(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転軸に装着されるオイルシールを固定するためのオイルシール固定部と、前記オイルシール固定部を取り囲むように設けられた第1係合部とを含むオイルシール固定部材と、
前記オイルシール固定部材の前記第1係合部に係合する第2係合部と、前記オイルシールの抜けを防止するためのオイルシール抜け止め部とを含むオイルシール抜け止め部材とを備え、
前記オイルシール固定部材の前記第1係合部は、第1ネジ部を有し、
前記オイルシール抜け止め部材の前記第2係合部は、前記第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を有するとともに、半径方向に弾性変形可能に構成されている、オイルシールの抜け止め構造。
前記オイルシール抜け止め部材の前記第2ネジ部を前記第1ネジ部に対して外す時の回転方向は、前記オイルシールが装着される前記回転軸の回転方向とは反対の方向になるように構成されている、請求項1に記載のオイルシールの抜け止め構造。
前記オイルシール抜け止め部材の前記第2ネジ部は、前記第1係合部に対する挿入方向の先端側のネジ山の高さが根元側のネジ山の高さよりも小さくなるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオイルシールの抜け止め構造。
前記第2係合部は、前記オイルシール抜け止め部材の前記円筒形状の胴部に周方向に所定の角度間隔で複数形成されている、請求項5に記載のオイルシールの抜け止め構造。
前記オイルシール抜け止め部材の前記第2係合部の周りの部分には、前記第2係合部を半径方向に弾性変形可能にするための切欠き溝が形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のオイルシールの抜け止め構造。
前記オイルシール抜け止め部材の前記第2係合部は、前記第1係合部に対する挿入方向の先端側を支点として根元側が半径方向に弾性変形可能なように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のオイルシールの抜け止め構造。
前記オイルシール抜け止め部材の前記第2係合部は、前記第1係合部に対する挿入方向の前記先端側から前記根元側に向かって、半径方向外側に傾斜するように構成されている、請求項9に記載のオイルシールの抜け止め構造。
前記オイルシール抜け止め部材は、装着時には、前記オイルシール固定部の前記第1係合部に軸方向に挿入されることにより前記第2ネジ部を有する前記第2係合部が弾性変形されて前記第1係合部の前記第1ネジ部に前記第2ネジ部が係合され、取り外し時には、前記オイルシール抜け止め部材が前記第1ネジ部に対して前記第2ネジ部が外れる方向に回転されることにより前記オイルシール抜け止め部材の前記第2ネジ部が前記第1係合部の前記第1ネジ部から取り外されるように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のオイルシールの抜け止め構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたオイルシールの抜け止め装置では、ロックリングの直線状部分を内側に撓ませた状態で、ロックリングの円弧状部分を環状溝に嵌め込む必要があり、ロックリングの装着作業が煩雑であるという問題点がある。さらに、円弧状部分と直線状部分とを有するロックリングの直線状部分に嵌め込み方向とは反対方向に外力が加えられた場合には、環状溝に嵌め込まれていたロックリングの円弧状部分が弾性変形して環状溝を乗り越えて、ロックリングがハウジングから脱落しやすいという問題点もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、オイルシール抜け止め部材の装着作業を簡素化することができるとともに、オイルシール抜け止め部材がオイルシール固定部材から脱落するのを抑制することが可能なオイルシールの抜け止め構造およびそのようなオイルシールの抜け止め構造を備える内燃機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるオイルシールの抜け止め構造は、回転軸に装着されるオイルシールを固定するためのオイルシール固定部と、オイルシール固定部を取り囲むように設けられた第1係合部とを含むオイルシール固定部材とオイルシール固定部材の第1係合部に係合する第2係合部とオイルシールの抜けを防止するためのオイルシール抜け止め部とを含むオイルシール抜け止め部材とを備え、オイルシール固定部材の第1係合部は、第1ネジ部を有し、オイルシール抜け止め部材の第2係合部は、第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を有するとともに、半径方向に弾性変形可能に構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造では、上記のように、オイルシール固定部材の第1係合部が、第1ネジ部を有し、オイルシール抜け止め部材の第2係合部が、第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を有するとともに、オイルシール抜け止め部材の第2係合部を半径方向に弾性変形可能に構成する。これにより、オイルシール固定部材の第1係合部に対してオイルシール抜け止め部材の第2係合部を挿入するだけで、第2係合部が半径方向に自動的に撓みながら第1係合部に係合されるので、第2係合部の第2ネジ部を第1係合部の第1ネジ部に対して螺合する方向に回転させなくとも、挿入するだけで第1係合部の第1ネジ部と第2係合部の第2ネジ部とを係合状態(螺合状態)にすることができる。これにより、オイルシール抜け止め部材の装着作業を簡略化することができる。また、第1ネジ部と第2ネジ部とを螺合させることにより、オイルシール抜け止め部材が溝部などに単に嵌め込まれている場合と比べて、オイルシール固定部材とオイルシール抜け止め部材とを強固に固定することができる。これにより、外力などが加えられた場合であっても、オイルシール抜け止め部材がオイルシール固定部材から脱落するのを抑制することができる。
【0009】
また、第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造では、オイルシール抜け止め部材の第2ネジ部をオイルシール固定部材の第1ネジ部から取り外す際には、第2ネジ部を回転させることにより第1ネジ部と第2ネジ部との係合状態を容易に解除することができるので、オイルシール交換時などオイルシールを取り外す必要がある場合に、オイルシール抜け止め部材をオイルシール固定部材から容易に取り外すことができる。これにより、オイルシール抜け止め部により抜けが防止されていたオイルシールを、オイルシール固定部材から容易に取り外すことができる。
【0010】
上記第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造において、好ましくは、オイルシール抜け止め部材の第2ネジ部を第1ネジ部に対して外す時の回転方向は、オイルシールが装着される回転軸の回転方向とは反対の方向になるように構成されている。このように構成すれば、回転軸の回転による回転振動に起因してオイルシール抜け止め部材に回転軸の回転方向に回転するような力が加えられた場合にも、第1ネジ部と第2ネジ部との係合状態(螺合状態)が解除されるのを抑制することができる。これにより、オイルシール抜け止め部材がオイルシール固定部材から脱落するのを効果的に抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造において、好ましくは、オイルシール固定部材の第1係合部は、オイルシール固定部を取り囲むように設けられた周状溝を含み、周状溝は、互いに対向する一対の内周面を有するとともに、一対の内周面の一方には第1ネジ部が設けられている。このように構成すれば、周状溝からなる第1係合部により、第1係合部をオイルシール固定部材の外側に突出しないように形成することができるので、第1係合部がオイルシール固定部材から外側に突出する壁部である場合と比べて、外側に突出する方向にオイルシール固定部材が大型化するのを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造において、好ましくは、オイルシール抜け止め部材の第2ネジ部は、第1係合部に対する挿入方向の先端側のネジ山の高さが根元側のネジ山の高さよりも小さくなるように構成されている。このように構成すれば、高さが小さくなるように形成された第2ネジ部の先端側のネジ山がオイルシール固定部材の第1ネジ部に当接して半径方向に弾性変形される際に、第2ネジ部の先端側のネジ山の高さが小さくなるように形成されていない場合と比べて、第2係合部の弾性変形の度合い(変形角度)を小さくすることができる。これにより、第2係合部が大きく変形するのを抑制することができるので、第2係合部が破損したり、第2係合部に塑性変形が生じて第1ネジ部と第2ネジ部とが十分に螺合しなくなるのを抑制することができる。なお、「第2ネジ部の第1係合部に対する挿入方向の先端側」とは、第2ネジ部が第1ネジ部に挿入される際に、根元側よりも前に第1ネジ部に挿入される側を意味し、「挿入方向の根元側」とは、先端側よりも後に第1ネジ部に挿入される側を意味する。
【0013】
上記第1係合部が周状溝を含む構成において、好ましくは、オイルシール固定部材の周状溝は、円周状溝であり、オイルシール抜け止め部材は、円周状溝に挿入可能な円筒形状の胴部を含み、第2係合部は、オイルシール抜け止め部材の円筒形状の胴部に設けられており、オイルシール抜け止め部は、オイルシール抜け止め部材の円筒形状の胴部の軸方向の一方端部側において、オイルシール固定部の少なくとも一部を覆うように回転軸側に突出して設けられている。このように構成すれば、オイルシール抜け止め部材の第2係合部が設けられた胴部をオイルシール固定部を取り囲むように形成された円周状溝に挿入することによって、回転軸側に突出して設けられたオイルシール抜け止め部をオイルシール固定部を囲むように配置することができる。これにより、オイルシール固定部の少なくとも一部を覆うように回転軸側に突出して設けられた部分により、オイルシールがオイルシール固定部材から脱落するのを確実に防止することができる。
【0014】
上記第2係合部がオイルシール抜け止め部材の胴部に設けられた構成において、好ましくは、第2係合部は、オイルシール抜け止め部材の円筒形状の胴部に周方向に所定の角度間隔で複数形成されている。このように構成すれば、半径方向に弾性変形可能な第2係合部を複数形成することによって、第1係合部の第1ネジ部と第2係合部の第2ネジ部との十分な係合(螺合)面積を確保しながら、第2係合部を1箇所のみ設ける場合よりも第2係合部自体の幅が大きくなるのを抑制して第2係合部が弾性変形しにくくなるのを抑制することができる。また、第2係合部を周方向に所定の角度間隔で複数形成することによって、第2係合部の第2ネジ部を第1係合部の第1ネジ部に略均等に係合(螺合)させることができる。
【0015】
上記第2係合部がオイルシール抜け止め部材の胴部に設けられた構成において、好ましくは、第1ネジ部は、円周状溝の一対の内周面のうち、外側の内周面に設けられており、第2ネジ部は、オイルシール抜け止め部材の円筒形状の胴部に設けられる第2係合部の円弧状の外周面に設けられている。このように構成すれば、円周状溝の外側の内周面は内側の内周面と比べて面積が大きく、第2係合部の円弧状の外周面は内周面と比べて面積が大きいので、第1ネジ部を円周状溝の内側の内周面に設け、第2ネジ部を第2係合部の円弧状の内周面に設ける場合と比べて、円周状溝の第1ネジ部が形成される領域および第2係合部の第2ネジ部が形成される領域を共に大きくすることができる。これにより、第1ネジ部と第2ネジ部との係合(螺合)面積を大きくすることができる。また、たとえば、樹脂材料からなるオイルシール抜け止め部材を一体成型する場合には、第2ネジ部を第2係合部の内周面に設けようとすると、型抜きの際に胴部の内周面に配置した型を取り外すのが容易ではない。一方、第2ネジ部を第2係合部の円弧状の外周面に設けることによって、型抜きの際に胴部から遠ざかる方向に型を移動させるだけで型を外すことができるので、容易に、第2ネジ部を第2係合部に形成することができる。
【0016】
上記第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造において、好ましくは、オイルシール抜け止め部材の第2係合部の周りの部分には、第2係合部を半径方向に弾性変形可能にするための切欠き溝が形成されている。このように構成すれば、切欠き溝を形成することによって、オイルシール抜け止め部材に形成した第2係合部を容易に半径方向に弾性変形可能とすることができる。
【0017】
上記第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造において、好ましくは、オイルシール抜け止め部材の第2係合部は、第1係合部に対する挿入方向の先端側を支点として根元側が半径方向に弾性変形可能なように構成されている。このように構成すれば、支点となる先端部は弾性変形の度合いが小さいので、支点となる先端部の第2ネジ部を第1係合部の第1ネジ部に十分に係合(螺合)させることができる。これにより、第1係合部の第1ネジ部と第2係合部の第2ネジ部とを挿入方向の深い位置で十分に係合させることができるので、オイルシール固定部材とオイルシール抜け止め部材とをより強固に固定することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、オイルシール抜け止め部材の第2係合部は、第1係合部に対する挿入方向の先端側から根元側に向かって、半径方向外側に傾斜するように構成されている。このように構成すれば、第2係合部を第1係合部に係合(螺合)させた際に、第2係合部に半径方向外側に向かう力を発生させることができるので、第2係合部の第2ネジ部を第1係合部の第1ネジ部に対してより密着するように係合(螺合)させることができる。これにより、オイルシール固定部材とオイルシール抜け止め部材とをさらに強固に固定することができる。
【0019】
上記第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造において、好ましくは、オイルシール抜け止め部材は、装着時には、オイルシール固定部の第1係合部に軸方向に挿入されることにより第2ネジ部を有する第2係合部が弾性変形されて第1係合部の第1ネジ部に第2ネジ部が係合され、取り外し時には、オイルシール抜け止め部材が第1ネジ部に対して第2ネジ部が外れる方向に回転されることによりオイルシール抜け止め部材の第2ネジ部が第1係合部の第1ネジ部から取り外されるように構成されている。このように構成すれば、装着時には、オイルシール固定部材の第1係合部に対してオイルシール抜け止め部材の第2係合部を挿入するだけで、第1係合部の第1ネジ部と第2係合部の第2ネジ部とを係合状態(螺合状態)にすることができるので、オイルシール抜け止め部材の装着作業を簡略化することができる。さらに、取り外し時には、オイルシール抜け止め部材を第1ネジ部に対して第2ネジ部が外れる方向に回転させることにより、オイルシール抜け止め部材をオイルシール固定部材から容易に取り外すことができる。
【0020】
この発明の第2の局面における内燃機関は、内燃機関本体の回転軸としてのクランクシャフトに装着されるオイルシールと、クランクシャフトに装着されたオイルシールを固定するためのオイルシール固定部とオイルシール固定部を取り囲むように設けられた第1係合部とを含むカバー部材と、カバー部材の第1係合部に係合する第2係合部とオイルシールの抜けを防止するためのオイルシール抜け止め部とを含むオイルシール抜け止め部材とを備え、カバー部材の第1係合部は、第1ネジ部を有し、オイルシール抜け止め部材の第2係合部は、第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を有するとともに、半径方向に弾性変形可能に構成されている。
【0021】
この発明の第2の局面による内燃機関では、上記のように、オイルシール固定部材の第1係合部が、第1ネジ部を有し、オイルシール抜け止め部材の第2係合部が、第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を有するとともに、オイルシール抜け止め部材の第2係合部を半径方向に弾性変形可能に構成する。これにより、オイルシール固定部材の第1係合部に対してオイルシール抜け止め部材の第2係合部を挿入するだけで、第2係合部が半径方向に自動的に撓みながら第1係合部に係合されるので、第2係合部の第2ネジ部を第1係合部の第1ネジ部に対して螺合する方向に回転させなくとも、挿入するだけで第1係合部の第1ネジ部と第2係合部の第2ネジ部とを係合状態(螺合状態)にすることができる。これにより、オイルシール抜け止め部材の装着作業を簡略化することができるので、オイルシールの抜け止め構造を有する内燃機関の組み付け性を向上させることができる。また、第1ネジ部と第2ネジ部とを螺合させることにより、オイルシール抜け止め部材が溝部などに単に嵌め込まれている場合と比べて、オイルシール固定部材とオイルシール抜け止め部材とを強固に固定することができる。これにより、外力などが加えられた場合であっても、オイルシール抜け止め部材がオイルシール固定部材から脱落するのを抑制することができる。
【0022】
また、第2の局面による内燃機関では、オイルシール抜け止め部材の第2ネジ部をオイルシール固定部材の第1ネジ部から取り外す際には、第2ネジ部を回転させることによって、第1ネジ部と第2ネジ部との係合状態を容易に解除することができるので、オイルシール交換時などオイルシールを取り外す必要がある場合に、オイルシール抜け止め部材をオイルシール固定部材から容易に取り外すことができる。これにより、オイルシール抜け止め部により抜けが防止されていたオイルシールを、オイルシール固定部材から容易に取り外すことができる。
【0023】
なお、本出願では、上記第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造において、以下のような構成も考えられる。
【0024】
(付記項)
すなわち、上記第1の局面によるオイルシールの抜け止め構造において、オイルシール抜け止め部材の外周部には、多角形形状または小判形状(トラック形状)に形成された工具係合部が設けられており、工具係合部に所定の工具が係合された状態で回転されることによって、オイルシール抜け止め部材の第2ネジ部は、第1ネジ部に対して外されるように構成されている。このように構成すれば、所定の工具を用いて、オイルシール抜け止め部材をオイルシール固定部材からより容易に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、上記のように、オイルシール抜け止め部材の装着作業を簡素化することができるとともに、オイルシール抜け止め部材がオイルシール固定部材から脱落するのを抑制することが可能なオイルシールの抜け止め構造およびそのようなオイルシールの抜け止め構造を備える内燃機関を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図8を参照して、本発明の第1実施形態によるエンジン100の構成について説明する。なお、以下では、エンジン100におけるクランクシャフト5の延びる方向をX方向とするとともに、クランクシャフト5に直交する方向のうち、エンジン100の短手方向をY方向とし、エンジン100の長手方向をZ方向として説明を行う。なお、エンジン100は、本発明の「内燃機関」の一例である。
【0029】
本発明の第1実施形態による自動車用のエンジン100は、
図1に示すように、シリンダヘッド1、シリンダブロック2およびクランクケース3を含むアルミニウム合金製のエンジン本体10を備えている。また、ガソリン機関からなるエンジン100は、エンジン本体10のX2側の側部に組み付けられるタイミングチェーンカバー20(以降、TCC20と称する)と、シリンダヘッド1の上側(Z1側)に組み付けられるヘッドカバー1aと、TCC20に装着される抜け止め部材30とを備えている。TCC20は、タイミングチェーン4をX2側から覆うように配置されている。また、TCC20と抜け止め部材30とによって、オイルシールの抜け止め構造40が構成されている。また、TCC20、抜け止め部材30およびヘッドカバー1aは、共に、樹脂材料であるポリアミドから構成されている。なお、エンジン本体10は、本発明の「内燃機関本体」の一例であり、TCC20は、本発明の「オイルシール固定部材」および「カバー部材」の一例である。また、抜け止め部材30は、本発明の「オイルシール抜け止め部材」の一例である。
【0030】
シリンダヘッド1の内部には、カムシャフトおよびバルブ機構(図示せず)などが配置されている。シリンダヘッド1の下方(Z2側)に接続されるシリンダブロック2の内部には、ピストン(図示せず)がZ方向に往復動するシリンダ2a(破線で示す)が形成されている。また、シリンダヘッド1には、シリンダブロック2に形成された複数(4つ)のシリンダ2aのそれぞれに吸気を導入する吸気装置(図示せず)が接続されている。また、シリンダブロック2の下方(Z2側)に接続されるクランクケース3の内部には、ピストンおよびコンロッドを介してA方向に回転可能に接続されたクランクシャフト5が配置されている。なお、
図1においては、クランクシャフト5を概略棒形状に図示しているが、実際には、クランクシャフト5は、各シリンダ2aの直下において回転軸が偏心されたクランクピンとこのクランクピンを挟み込むバランスウェイトとがクランクジャーナルに接続されて構成されている。また、クランクシャフト5は、本発明の「回転軸」の一例である。
【0031】
また、
図1に示すように、エンジン本体10のX2側で、かつ、Y方向の両側(Y1側およびY2側)には、TCC20の周縁部26に対向するように、縁部12(Y2側は図示せず)が設けられている。この縁部12には、TCC20の周縁部26の複数の貫通孔26c(
図2参照)の各々に対応する複数のネジ穴(図示せず)が形成されている。
【0032】
また、クランクケース3の下部(Z2側)には、エンジンオイルを溜めるオイル溜め部3aが設けられている。エンジンオイルは、図示しないオイルポンプによりオイル溜め部3aからエンジン本体10内の上部に汲み上げられてカムシャフトやピストン外周面などの摺動部を潤滑にした後、自重により落下してオイル溜め部3aに戻される。
【0033】
TCC20は、
図2に示すように、エンジン本体10(
図1参照)のX2側の側断面形状に重なるような平面形状を有している。また、TCC20には、
図3および
図4に示すように、本体部21の下部側(Z2側)で、かつ、Y方向の中央部近傍に貫通孔22が形成されている。貫通孔22は、本体部21をX方向に貫通しており,貫通孔22にクランクシャフト5が挿通されるとともに、クランクシャフト5に装着されたオイルシール6が圧入されて固定されるように構成されている。この際、
図5に示すように、貫通孔22の中心軸C1と、クランクシャフト5の中心軸C2とが略一致するように構成されている。
【0034】
また、
図6に示すように、TCC20における貫通孔22には、エンジン本体10側(X1側)の端部に形成され、クランクシャフト5側(貫通孔22の中心軸C1側)に向かって周状に突出する鍔部22aと、鍔部22aよりもエンジン本体10とは反対側(X2側)の内周面22bとが形成されている。この鍔部22aと内周面22bとにより、貫通孔22の周囲に上方に開口23aを有する凹部(段差部)23が形成されている。この凹部23では、クランクシャフト5に装着されるオイルシール6がX2側の開口23aから挿入(圧入)されて固定されるように構成されている。なお、内周面22bは、溝部などが形成されておらず、平らな曲面に形成されている。また、凹部23は、本発明の「オイルシール固定部」の一例である。
【0035】
オイルシール6は、リング状に形成されているとともに、オイルシール6に形成されたシールリップ6aの内周面にクランクシャフト5が密着した状態で、クランクシャフト5がA方向(
図2参照)に回転するように構成されている。なお、オイルシール6は、クランクシャフト5とTCC20の貫通孔22との間からエンジンオイルが漏れ出るのを抑制する機能を有している。なお、オイルシール6の外径は、凹部23の内周面22bの内径よりも微小量だけ大きくなるように構成されており、その結果、オイルシール6が凹部23に圧入されて固定されるように構成されている。
【0036】
鍔部22aは、エンジン本体10とTCC20とによって形成される空間内の内圧が外圧(大気圧)に対して過小となった場合に、X1側に移動するオイルシール6が鍔部22aに当接することによって、オイルシール6がX1側から脱落するのを抑制する機能を有している。
【0037】
ここで、第1実施形態では、
図5および
図6に示すように、TCC20の本体部21の表面21aには、X1側に窪む円周状溝24が設けられている。この円周状溝24は、凹部23(貫通孔22)の外周側において凹部23を取り囲むように設けられている。また、円周状溝24は、
図6に示すように、一定の溝幅W1で、かつ、深さ方向(X方向)に一定の深さL1で設けられている。また、円周状溝24の中心軸C3は、貫通孔22の中心軸C1およびクランクシャフト5の中心軸C2と略一致するように構成されている。なお、円周状溝24は、本発明の「第1係合部」および「周状溝」の一例である。
【0038】
また、円周状溝24は、ネジ部25が形成された外側(クランクシャフト5とは反対側)の内周面24aと、ネジ部が形成されていない内側(クランクシャフト5側)の内周面24bと、外側の内周面24aと内側の内周面24bとをX1側で接続するX1側の底面24cとを有している。また、ネジ部25は、円周状溝24の外側の内周面24aにおいて、中心軸C3周り(周方向)に沿ってネジ山およびネジ谷が延びるように形成されているとともに、周方向の全周に亘って形成されている。また、ネジ部25は、円周状溝24のX1側の底面24c近傍とX2側の開口部24d近傍とを除き、外側の内周面24aの深さ方向(X方向)の略全域に亘って形成されている。また、ネジ部25は、一般的なネジ山およびネジ谷の形状を有している。つまり、ネジ部25のネジ山は、外側の内周面24aから内側(クランクシャフト5側)に向かって垂直に突出するように形成されているとともに、ネジ部25のネジ山の角度(フランク角)およびネジ山の高さは略一定になるように形成されている。なお、ネジ部25は、本発明の「第1ネジ部」の一例である。
【0039】
抜け止め部材30は、
図6および
図7に示すように、中心軸C4周りに形成された円筒形状の胴部31と、胴部31の半径方向内側(中心軸C4側、クランクシャフト5側)の端部から半径方向内側に延びるように形成された内側フランジ部32と、胴部31の半径方向外側(中心軸C4とは反対側)の端部から半径方向外側に延びるように形成された外側フランジ部33とを含んでいる。この胴部31の中心軸C4は、中心軸C1〜C3と略一致するように構成されている。
【0040】
また、円筒形状の胴部31は、
図6に示すように、円周状溝24に挿入可能なように構成されている。つまり、後述するネジ山も含めた胴部31の厚みt1は、円周状溝24の溝幅W1よりも小さくなるように形成されているとともに、内側フランジ部32および外側フランジ部33のX1側の面から胴部31のX1側の先端部までのX方向の長さL2は、円周状溝24のX方向の深さL1よりも小さくなるように形成されている。
【0041】
また、内側フランジ部32の半径方向内側の内縁部32aにより、X2側から平面的に見て円状の開口部32bが形成されている。この開口部32bと円筒形状の胴部31の内側とをクランクシャフト5が通過(貫通)することによって、抜け止め部材30がクランクシャフト5に挿通されるように構成されている。
【0042】
また、内側フランジ部32の内縁部32aは、抜け止め部材30がTCC20に装着された際に、貫通孔22の内周面22bよりも半径方向内側に位置するように形成されている。これにより、内側フランジ部32の内縁部32a近傍は、オイルシール6が挿入(圧入)されて固定される凹部23の一部(内周面22b側)を、全周に亘って覆うように突出している。また、内側フランジ部32は、エンジン本体10とTCC20とによって形成される空間における内圧が外圧(大気圧)に対して過大となりオイルシール6がX2側に移動した場合に、オイルシール6が内側フランジ部32に当接することによって、オイルシール6がX2側から脱落するのを抑制する機能を有している。なお、内側フランジ部32は、本発明の「オイルシール抜け止め部」の一例である。
【0043】
また、
図5に示すように、外側フランジ部33の外縁部33aは、平面的に見て、正六角形形状に形成されている。この外縁部33aは、モンキーレンチなどの所定の工具が係合可能なように構成されており、工具を用いて抜け止め部材30をB方向(取り外し方向)に回転させることによって、抜け止め部材30をTCC20から取り外すことが可能なように構成されている。なお、工具を用いずに手動で抜け止め部材30をTCC20から取り外すことも可能である。なお、外縁部33aは、本発明の「工具係合部」の一例である。
【0044】
また、第1実施形態では、
図5および
図7に示すように、4つの係合部34が、樹脂材料から構成される抜け止め部材30に一体的に設けられている。4つの係合部34は、中心軸C4周り(周方向)に略90度の等角度間隔で設けられている。また、4つの係合部34は、TCC20側(X1側)以外の3方(X2側と周方向における外周面34bの両側)に形成された切欠き溝35に囲まれている。つまり、抜け止め部材30の4つの係合部34の周りの部分には、それぞれ、切欠き溝35が設けられている。これにより、樹脂材料から構成される係合部34は、X1側に形成された先端部34aを支点として、根元側(X2側)が半径方向内側(中心軸C4に向かう方向)および半径方向外側(中心軸C4から遠ざかる方向)に弾性変形可能なように構成されている。また、係合部34は、先端部34aにおいて胴部31に接続されている。また、係合部34は、周方向に沿って円弧状に湾曲しているとともに、側面から見て、X方向に長い長方形形状を有するように形成されている。なお、係合部34は、本発明の「第2係合部」の一例である。
【0045】
また、係合部34の円弧状の外周面34bには、ネジ部25に螺合するネジ部36が形成されている。このネジ部36は、係合部34の円弧状の外周面34bにおいて、周方向に沿ってネジ山およびネジ谷が延びるように形成されているとともに、先端部34aを除き、深さ方向(X方向)の略全域に亘って形成されている。また、ネジ部36のネジ山は、ネジ部25のネジ谷に対応するように形成されている。つまり、ネジ部36のネジ山は、円弧状の外周面34bから半径方向外側に向かって垂直に突出するように形成されているとともに、ネジ部36のネジ山の角度(フランク角)は略一定になるように形成されている。なお、ネジ部36は、本発明の「第2ネジ部」の一例である。
【0046】
また、
図8に示すように、ネジ部36の先端側の複数(3つ)のネジ山は、頂部が切り取られている。具体的には、ネジ部36の先端側(X1側)のネジ山では、外周面34bに対して角度θ1で延びる半直線Dに対して、半径方向外側に位置する部分が切り取られている。なお、この半直線Dは、ネジ部36のうち最も先端に位置するネジ山のX1側と外周面34bとの接続部分から、角度θ1で傾斜している。また、角度θ1は、外周面34bとネジ部36のネジ山とがなす角度θ2よりも小さい。この結果、ネジ部36の先端側(X1側)の頂部が切り取られた3つのネジ山の高さは、根元側(X2側)のネジ山の高さHよりも小さくなるように構成されている。
【0047】
また、
図7に示すように、周方向における係合部34の幅W2は、係合部34が弾性変形可能な程度に小さく、かつ、係合部34の強度が不足して弾性変形時に破損等が生じるのを抑制することが可能な程度に大きく形成されている。
【0048】
また、抜け止め部材30は、
図2に示すように、TCC20に対してクランクシャフト5が回転するA方向と同一の方向に回転させることによって、ネジ部25とネジ部36とが係合(螺合)する(
図6参照)ように構成されているとともに、TCC20に対してA方向とは反対のB方向に回転させることによって、ネジ部25とネジ部36との係合状態(螺合状態)が解除されるように構成されている。つまり、抜け止め部材30のネジ部36をTCC20のネジ部25に対して外す時の回転方向は、クランクシャフト5の回転するA方向とは反対のB方向になるように構成されている。
【0049】
また、
図3〜
図5に示すように、TCC20の周縁部26は、エンジン本体10側(X1側、
図5参照)に突出した状態で、本体部21の周囲に形成されている。また、
図4に示すように、TCC20の周縁部26の裏面26aには、図示しないゴム製のシール部材が嵌め込まれる溝部26bが本体部21の全周に亘って形成されている。このシール部材は、エンジン本体10とTCC20の周縁部26との隙間からオイルが漏れ出るのを抑制する機能を有している。また、
図3および
図4に示すように、TCC20の周縁部26には、複数の貫通孔26cが形成されている。また、
図2に示すように、貫通孔26cに挿入された複数の締結ボルト90がエンジン本体10の図示しないネジ穴に螺合されることによって、締結ボルト90によってエンジン本体10にTCC20が取り付けられている。
【0050】
また、
図1に示すように、エンジン本体10とTCC20とによって形成される空間においては、クランクシャフト5に取り付けられたクランクシャフトタイミングスプロケット(図示せず)と、シリンダヘッド1の内部に組み込まれたカムシャフト(図示せず)駆動用のカムシャフトタイミングスプロケット31とがタイミングチェーン4によって繋がれている。また、エンジン本体10とTCC20とによって形成される空間においては、エンジンオイルがタイミングチェーン4に供給されるように構成されている。また、TCC20の外部においては、クランクシャフト5のX2側の端部には、クランクプーリ(図示せず)がクランクシャフト5と一体に回転されるように取り付けられている。そして、エンジン100に取り付けられる冷却水循環用のウォータポンプ(図示せず)や車内空調用のコンプレッサ(図示せず)などの補機類は、クランクプーリに掛けられたベルト(図示せず)により駆動される。また、クランクシャフト5のX1側の端部は、変速機などからなる動力伝達部(図示せず)に接続されている。
【0051】
次に、
図6および
図9〜
図12を参照して、本発明の第1実施形態による抜け止め部材30のTCC20への装着動作について説明する。
【0052】
抜け止め部材30のTCC20への装着時には、
図9に示すように、まず、クランクシャフト5をTCC20の貫通孔22に挿入させた後に、オイルシール6をクランクシャフト5に装着させつつ、TCC20の凹部23のX2側に配置する。そして、オイルシール6を凹部23にX1側に向かって挿入(圧入)することによって、オイルシール6を凹部23の内周面22bに固定させる。その後、抜け止め部材30の開口部32bにクランクシャフト5を挿入した状態で、抜け止め部材30をTCC20のX2側に配置する。そして、抜け止め部材30の胴部31をTCC20の円周状溝24に中心軸C4に沿ってX1方向に挿入する。
【0053】
ここで、第1実施形態では、TCC20の円周状溝24に形成されたネジ部25のネジ山に、抜け止め部材30の胴部31に形成された4つの係合部34の各々のネジ部36のネジ山が当接する。そして、
図10に示すように、抜け止め部材30の胴部31をX1方向に向かって円周状溝24にさらに挿入することによって、ネジ部36のネジ山の頂部がネジ部25のネジ山の頂部を越えてX1方向に移動するために、4つの係合部34は、
図11に示すように、X1側の先端部34aを支点として、半径方向内側に弾性変形する。その際、第1実施形態の係合部34(実線)では、ネジ部36の先端側(X1側)のネジ山が切り取られていることによって、弾性変形による先端部34aに対する根元側の傾き(変形角度)αが、ネジ山が切り取られていない参考例の係合部(点線)の傾きβよりも小さくなる。つまり、第1実施形態の係合部34では、参考例の係合部よりも弾性変形の度合い(変形角度α)を小さくすることが可能である。
【0054】
そして、抜け止め部材30の内側フランジ部32と外側フランジ部33との下面(X1側の面)が、TCC20の本体部21の表面21aに当接する程度まで、抜け止め部材30の係合部34を円周状溝24に挿入する。そして、TCC20のネジ部25と、抜け止め部材30のネジ部36とが噛合う(螺合する)位置で、抜け止め部材30の係合部34を円周状溝24に挿入するのを停止する。これにより、係合部34の弾性変形が解除されて、
図6に示すように、TCC20のネジ部25と抜け止め部材30のネジ部36とが係合(螺合)される。この結果、TCC20の円周状溝24に対して抜け止め部材30の胴部31の係合部34を挿入するだけで、抜け止め部材30がTCC20に取り付けられて固定される。なお、装着後には、抜け止め部材30をA方向またはB方向(
図12参照)に若干回転させたり、X2方向に抜け止め部材30を引っ張ったりすることにより、ネジ部25とネジ部36との係合状態(螺合状態)を容易に確認することが可能である。また、装着後に抜け止め部材30をA方向に所定のトルクで回転させることによって、TCC20と抜け止め部材30との係合をより強固とすることが可能である。
【0055】
次に、
図5および
図12を参照して、本発明の第1実施形態による抜け止め部材30のTCC20からの取り外し動作について説明する。
【0056】
取り外し時には、
図12に示すように、まず、モンキーレンチなどの所定の工具101を、抜け止め部材30の外側フランジ部33の外縁部33aに係合させる。そして、工具101を用いて、抜け止め部材30を、クランクシャフト5が回転するA方向とは逆のB方向(取り外し方向)に回転させる。これにより、TCC20のネジ部25と抜け止め部材30のネジ部36との螺合が解除されて、
図5に示すように、抜け止め部材30がTCC20から取り外される。なお、この取り外し動作は、クランクシャフト5が抜け止め部材30の開口部32bを挿通している状態であっても行うことが可能である。
【0057】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
第1実施形態では、上記のように、TCC20の円周状溝24にネジ部25を設け、抜け止め部材30の4つの係合部34にネジ部25に螺合するネジ部36を設けるとともに、抜け止め部材30の4つの係合部34を半径方向内側(中心軸C4に向かう方向)および半径方向外側(中心軸C4から遠ざかる方向)に弾性変形可能に構成する。これにより、TCC20の円周状溝24に対して抜け止め部材30の係合部34を挿入するだけで、係合部34が半径方向内側に自動的に撓みながら円周状溝24に係合されるので、係合部34のネジ部36を円周状溝24のネジ部25に対して螺合する方向に回転させなくとも、挿入するだけで円周状溝24のネジ部25と係合部34のネジ部36とを係合状態(螺合状態)にすることができる。これにより、抜け止め部材30の装着作業を簡略化することができるので、オイルシールの抜け止め構造40を有するエンジン100の組み付け性を向上させることができる。また、ネジ部25とネジ部36とを螺合させることにより、抜け止め部材30が溝部などに単に嵌め込まれている場合と比べて、TCC20と抜け止め部材30とを強固に固定することができる。これにより、外力などが加えられた場合であっても、抜け止め部材30がTCC20から脱落するのを抑制することができるとともに、ネジ部25とネジ部36とが不十分に係合することに起因して抜け止め部材30ががたつくのを抑制することができる。
【0059】
また、第1実施形態では、抜け止め部材30のネジ部36をTCC20のネジ部25から取り外す際には、ネジ部36をB方向に回転させることによりネジ部25とネジ部36との係合状態(螺合状態)を容易に解除することができるので、オイルシール6の交換時などオイルシール6を取り外す必要がある場合に、抜け止め部材30をTCC20から容易に取り外すことができる。これにより、内側フランジ部32により抜けが防止されていたオイルシール6を、TCC20から容易に取り外すことができる。
【0060】
また、第1実施形態では、抜け止め部材30のネジ部36をTCC20のネジ部25に対して外す時の回転方向を、クランクシャフト5の回転するA方向とは反対のB方向にすることによって、クランクシャフト5の回転による回転振動に起因して抜け止め部材30にクランクシャフト5の回転するA方向に回転するような力が加えられた場合にも、ネジ部25とネジ部36との係合状態(螺合状態)が解除されるのを抑制することができる。これにより、抜け止め部材30がTCC20から脱落するのを効果的に抑制することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、TCC20の円周状溝24を凹部23(貫通孔22)の外周側で凹部23を取り囲むように設けることによって、周状溝からなる円周状溝24により、円周状溝24をTCC20の外側(抜け止め部材30側、X2側)に突出しないように形成することができるので、TCC20から外側に突出する壁部が形成されている場合と比べて、外側に突出する方向にTCC20が大型化するのを抑制することができる。これにより、エンジン100が大型化するのを抑制することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、ネジ部36のX1側の先端側の頂部が切り取られたネジ山の高さを、X2側の根元側のネジ山の高さHよりも小さくすることによって、高さが小さくなるように形成されたネジ部36の先端側のネジ山がTCC20のネジ部25のネジ山に当接して半径方向に弾性変形される際に、ネジ部36の先端側のネジ山の高さが小さくなるように形成されていない場合と比べて、係合部34の弾性変形の度合い(変形角度)を小さくすることができる。これにより、係合部34が大きく変形するのを抑制することができるので、係合部34が破損したり、係合部34の先端部34a(支点)に塑性変形が生じて、ネジ部25とネジ部36とが十分に螺合しなくなるのを抑制することができる。さらに、係合部34の弾性変形の度合い(変形角度)が小さいことによって、係合部34が弾性変形した状態で挿入される円周状溝24の溝幅W1を小さくすることができるので、円周状溝24の占める領域が大きくなることに起因してTCC20の凹部23周辺の強度が低下するのを抑制することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、ネジ部36において、支点となる先端部34a側のネジ山の高さを根元側のネジ山の高さHよりも小さくすることによって、根元側のネジ山における弾性変形による半径方向への変位量を支点となる先端部34a側のネジ山における弾性変形による半径方向への変位量よりも大きくすることができるので、先端部34a側がTCC20のネジ部25のネジ山に接触させないように半径方向に弾性変形させるだけで、半径方向への変位量が大きい根元側のネジ山も、TCC20のネジ部25のネジ山に接触しないような位置まで変位させることができる。これにより、ネジ部36において根元側のネジ山を小さくする必要がないので、先端部34a側のネジ山の高さを小さくした場合であっても、TCC20のネジ部25と抜け止め部材30のネジ部36とを十分に係合(螺合)させることができる。
【0064】
また、第1実施形態では、TCC20の円周状溝24に挿入可能な円筒形状の胴部31に4つの係合部34を設けるとともに、内側フランジ部32の内縁部32a近傍を凹部23の一部を全周に亘って覆うように突出させる。これにより、抜け止め部材30の係合部34が設けられた胴部31を凹部23を取り囲むように形成された円周状溝24に挿入することによって、半径方向内側(クランクシャフト5側、中心軸C4側)に突出して設けられた内側フランジ部32を凹部23を囲むように配置することができる。これにより、凹部23の内周面22b側の一部を全周に亘って覆うように突出して設けられた部分(内側フランジ部32の内縁部32a近傍)により、オイルシール6がTCC20から脱落するのを確実に防止することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、半径方向に弾性変形可能な係合部34を複数(4つ)形成することによって、係合部34を1箇所のみ設ける場合と比べて、円周状溝24のネジ部25と係合部34のネジ部36との十分な係合(螺合)面積を確保しながら、係合部34を1箇所のみ設ける場合よりも、係合部34自体の幅W2が大きくなるのを抑制して係合部34が弾性変形しにくくなるのを抑制することができる。また、4つの係合部34を中心軸C4周り(周方向)に略90度の等角度間隔で形成することによって、4つの係合部34のネジ部36を円周状溝24のネジ部25に略均等に係合(螺合)させることができる。
【0066】
また、第1実施形態では、ネジ部25を外側の内周面24aに設けるとともに、ネジ部36を係合部34の円弧状の外周面34bに設けることによって、ネジ部25を円周状溝24の内側の内周面24bに設け、ネジ部36を係合部34の円弧状の内周面に設ける場合と比べて、円周状溝24のネジ部25が形成される領域、および、係合部34のネジ部36が形成される領域を共に大きくすることができる。これにより、ネジ部25とネジ部36との係合(螺合)面積を大きくすることができる。
【0067】
また、ネジ部36を係合部34の内周面に設けた場合には、一体成型(樹脂成型)時の型抜きの際に胴部31の内周面に配置した型を取り外すのが容易ではない。一方、第1実施形態では、ネジ部36を係合部34の円弧状の外周面34bに設けることによって、一体成型時の型抜きの際に胴部31から遠ざかる方向(半径方向外側)に型を移動させるだけで型を外すことができるので、容易に、ネジ部36を係合部34に形成することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、切欠き溝35を、係合部34のTCC20側(X1側)以外の3方に形成することによって、抜け止め部材30に形成した係合部34を容易に半径方向に弾性変形可能とすることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、係合部34を、TCC20側(X1側)に形成された先端部34aを支点として、根元側(X2側)が半径方向に変形可能なように構成することによって、支点となる先端部34aは弾性変形の度合いが小さいので、支点となる先端部34aのネジ部36を円周状溝24のネジ部25に十分に係合(螺合)させることができる。これにより、円周状溝24のネジ部25と係合部34のネジ部36とを挿入方向(X方向)のX1側の深い位置で十分に係合させることができるので、TCC20と抜け止め部材30とをより強固に固定することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、抜け止め部材30は、装着時には、凹部23の円周状溝24に中心軸C4に沿ったX1方向に挿入されることによりネジ部36を有する係合部34が弾性変形されて円周状溝24のネジ部25にネジ部36が係合され、取り外し時には、抜け止め部材30がネジ部25に対してネジ部36が外れるB方向に回転されることにより抜け止め部材30のネジ部36が円周状溝24のネジ部25から取り外されるように構成する。これにより、装着時には、TCC20の円周状溝24に対して抜け止め部材30の係合部34を挿入するだけで、円周状溝24のネジ部25と係合部34のネジ部36とを係合状態(螺合状態)にすることができるので、抜け止め部材30の装着作業を簡略化することができる。さらに、取り外し時には、抜け止め部材30をネジ部25に対してネジ部36が外れる方向に回転させることにより、抜け止め部材30をTCC20から容易に取り外すことができる。
【0071】
また、第1実施形態では、正六角形形状に形成された外側フランジ部33の外縁部33aをモンキーレンチなどの所定の工具101が係合可能なように構成することによって、所定の工具101を用いて、抜け止め部材30をTCC20からより容易に取り外すことができる。
【0072】
また、第1実施形態では、オイルシール6が固定される貫通孔22の内周面22bを平らな曲面に形成することによって、貫通孔の内周面に溝部が形成されている場合と異なり、溝部にオイルシール6が引っ掛かることに起因してオイルシール6が傷つくのを抑制することができる。これにより、オイルシール6のシール性が低下して、エンジンオイルが十分にシールされなくなるのを抑制することができるので、TCC20の外部にエンジンオイルが漏れ出るのを抑制することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、抜け止め部材30を回転させたり、X2方向に抜け止め部材30を引っ張ったりすることにより、ネジ部25とネジ部36との係合状態(螺合状態)を容易に確認することができるので、抜け止め部材30がTCC20に固定されていることを容易に確認することができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、
図13および
図14を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、抜け止め部材30の係合部34が中心軸C4に沿って延びる上記第1実施形態とは異なり、抜け止め部材230の係合部234が、先端側(X1側)から根元側(X2側)に向かって、半径方向外側(中心軸C4から遠ざかる方向)に傾斜する例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。また、抜け止め部材230は、本発明の「オイルシール抜け止め部材」の一例であり、係合部234は、本発明の「第2係合部」の一例である。る。
【0075】
第2実施形態のオイルシールの抜け止め構造240を構成する抜け止め部材230は、
図13および
図14に示すように、胴部31と、内側フランジ部32と、外側フランジ部233とを含んでいる。外側フランジ部233の外縁部233aは、平面的に見て、小判形状(トラック形状)に形成されており、モンキーレンチなどの所定の工具が係合可能なように構成されている。なお、外縁部233aは、本発明の「工具係合部」の一例である。
【0076】
また、胴部31には、4つの係合部234が胴部31と一体的に設けられている。4つの係合部234は、中心軸C4周り(周方向)に略90度の等角度間隔で設けられている。また、係合部234は、
図14に示すように、抜け止め部材230がTCC20に装着される前の状態において、先端側(X1側)から根元側(X2側)に向かって、半径方向外側(中心軸C4から遠ざかる方向)に所定の傾斜角度で傾斜するように構成されている。なお、この傾斜した係合部234は、抜け止め部材230を一体成型時により形成する際に合わせて形成するのが好ましい。また、係合部234は、先端部234aを支点として、根元側(X2側)が半径方向内側(中心軸C4に向かう方向)および半径方向外側に弾性変形可能なように構成されている。なお、第2実施形態におけるその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0077】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
第2実施形態では、上記のように、TCC20の円周状溝24にネジ部25を設け、抜け止め部材230の4つの係合部234にネジ部25に螺合するネジ部36を設けるとともに、抜け止め部材230の4つの係合部234を半径方向に弾性変形可能に構成することによって、第1実施形態と同様に、抜け止め部材30の装着作業を簡略化することができるとともに、抜け止め部材230がTCC20から脱落するのを抑制することができる。また、抜け止め部材230のネジ部36をネジ部25に対して外す時の回転方向に回転させることによって、第1実施形態と同様に、抜け止め部材230をTCC20から容易に取り外すことができる。
【0079】
また、第2実施形態では、係合部234を、抜け止め部材230がTCC20に装着される前の状態において、TCC20側(X1側)の先端部234aを支点として、先端側(X1側)から根元側(X2側)に向かって、半径方向外側に所定の傾斜角度で傾斜するように構成する。これにより、係合部234を円周状溝24に係合(螺合)させた際に、係合部234に半径方向外側に向かう力を発生させることができるので、係合部234のネジ部36を円周状溝24のネジ部25に対してより密着するように係合(螺合)させることができる。これにより、TCC20と抜け止め部材230とをさらに強固に固定することができる。
【0080】
また、第2実施形態では、小判形状(トラック形状)に形成された外側フランジ部233の外縁部233aをモンキーレンチなどの所定の工具が係合可能なように構成することによって、上記第1実施形態と同様に、抜け止め部材230をTCC20からより容易に取り外すことができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
(第3実施形態)
次に、
図15を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、抜け止め部材30の胴部31が装着される円周状溝24をTCC20に設けた上記第1および第2実施形態とは異なり、溝部の代わりに、TCC320に壁部324を設けた例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。また、TCC320は、本発明の「オイルシール固定部材」および「カバー部材」の一例であり、壁部324は、本発明の「第1係合部」の一例である。
【0082】
第3実施形態のオイルシールの抜け止め構造340を構成するTCC320には、
図15に示すように、本体部321の表面321aからX2側に突出する壁部324が設けられている。また、壁部324は、TCC320の凹部23(貫通孔22)の外周側で凹部23を取り囲むように設けられている。また、ネジ部25は、壁部324の内周面324aにおいて、中心軸C1周り(周方向)に沿ってネジ山およびネジ谷が延びるように形成されているとともに、周方向の全周に亘って形成されている。また、ネジ部25は、抜け止め部材330の胴部31に形成された4つの係合部34のネジ部36に係合(螺合)可能なように構成されている。なお、4つの係合部34のうち、1つの係合部34に関しては図示を省略している。
【0083】
また、オイルシールの抜け止め構造340を構成する抜け止め部材330は、胴部31と、胴部31の先端側(X1側)から半径方向内側(中心軸C4側)に突出するように形成された内側フランジ部332と、外側フランジ部33とを含んでいる。内側フランジ部332の内縁部332a近傍は、オイルシール6が挿入(圧入)されて固定されるTCC320の凹部23の内周面22b側の一部を、全周に亘って覆うように突出している。なお、抜け止め部材330は、本発明の「オイルシール抜け止め部材」の一例である。また、第3実施形態におけるその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0084】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0085】
第3実施形態では、上記のように、TCC320の壁部324にネジ部25を設け、抜け止め部材330の4つの係合部34にネジ部25に螺合するネジ部36を設けるとともに、抜け止め部材330の4つの係合部34を半径方向に弾性変形可能に構成することによって、第1実施形態と同様に、抜け止め部材330の装着作業を簡略化することができるとともに、抜け止め部材330がTCC320から脱落するのを抑制することができる。また、抜け止め部材330のネジ部36をネジ部25に対して外す時の回転方向に回転させることによって、第1実施形態と同様に、抜け止め部材330をTCC320から容易に取り外すことができる。
【0086】
また、第3実施形態では、TCC320の本体部321の表面321aからX2側に突出する壁部324を設けることによって、TCC320の本体部321のX方向の厚みが小さいことに起因して本体部321に十分な深さの溝部を設けることが容易ではない場合であっても、ネジ部25が形成された壁部324により、抜け止め部材330をTCC320に固定することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0087】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0088】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、TCC20(320)のネジ部25のネジ山を、それぞれ、外側の内周面24aから垂直に突出するように形成するとともに、抜け止め部材30(230、330)のネジ部36のネジ山を、円弧状の外周面34bから垂直に突出するように形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、TCCのネジ部のネジ山と抜け止め部材のネジ部のネジ山とを、傾斜した状態で突出するように形成してもよい。たとえば、
図16に示す本発明の変形例のように、TCC420の係合部424のネジ部425のネジ山を、下方(先端側、X1側)に向かうように傾斜した状態で突出させるとともに、抜け止め部材430の弾性変形可能な係合部434のネジ部436のネジ山を、上方(根元側、X2側)に向かうように傾斜した状態で突出させてもよい。これにより、TCC420に対して抜け止め部材430がX2方向に移動する場合の、移動力に起因する係合部434を半径方向に弾性変形させる力を軽減することができるので、TCC420に対する抜け止め部材430のX2方向への移動(抜け)をより抑制することが可能である。なお、係合部424および434は、それぞれ、本発明の「第1係合部」および「第2係合部」の一例である。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、円周状溝24において、ネジ部25を外側の内周面24aに形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、TCC20の円周状溝24において、ネジ部を内側の内周面24b(
図5参照)に形成してもよい。この際、抜け止め部材30の係合部34の円弧状の内周面に、TCC20のネジ部と螺合するネジ部を形成する必要がある。
【0090】
また、上記第1〜第3実施形態では、抜け止め部材30(230、330)において、ネジ部36の先端側のネジ山の頂部を切り取る例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、抜け止め部材において、ネジ部の先端側のネジ山の頂部は切り取らなくてもよい。これにより、ネジ山の頂部が切り取られていない分、TCCのネジ部と抜け止め部材のネジ部との係合(螺合)状態をより強固にすることができるので、抜け止め部材をTCCにより強固に固定することが可能である。
【0091】
また、上記第1〜第3実施形態では、抜け止め部材30の胴部31に4つの係合部34を設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、抜け止め部材に係合部を1箇所のみ設けてもよい。これにより、装着時に、大きな力を加えることなく容易に係合部を弾性変形させることができるので、抜け止め部材をTCCに容易かつ迅速に装着させることが可能である。また、抜け止め部材に係合部を4つ以外の複数設けてもよい。この際、複数の係合部を等角度間隔に設けるのが好ましい。
【0092】
また、上記第1〜第3実施形態では、4つの係合部34を胴部31と一体的に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、抜け止め部材に別途設けられた係合部を半径方向に弾性変形可能なように取り付けてもよい。
【0093】
また、上記第1〜第3実施形態では、TCC20(320)および抜け止め部材30(230、330)が樹脂材料であるポリアミドから構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、TCCおよび抜け止め部材を共にポリアミド以外の樹脂材料から構成してもよいし、樹脂材料以外の材料(たとえば、金属材料)から構成してもよい。なお、抜け止め部材は、弾性変形可能である一方、塑性変形しにくい材料から構成するのが好ましい。さらに、TCCと抜け止め部材とは異なる材料により構成されていてもよい。たとえば、TCCを金属材料から構成し、抜け止め部材を樹脂材料から構成してもよい。
【0094】
また、上記第1〜第3実施形態では、係合部34(234)を、TCC20(320)側に形成された先端部34a(234a)を支点として、根元側(X2側)が半径方向に弾性変形可能なように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、係合部を、TCCとは反対側に形成された根元側を支点として、先端側(TCC側)が半径方向に弾性変形可能なように構成してもよい。この場合、根元側に胴部との接続部分を設けるとともに、切欠き溝をTCCとは反対側以外の3方(
図7において、X1側と周方向における外周面34bの両側)に形成する必要がある。
【0095】
また、上記第1実施形態では、外側フランジ部33の外縁部33aを正六角形形状に形成することによって、所定の工具が係合可能なように構成した例を示し、上記第2実施形態では、外側フランジ部233の外縁部233aを小判形状(トラック形状)に形成することによって、所定の工具が係合可能なように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、外側フランジ部の外縁部の形状は特に限定されない。たとえば、外側フランジ部の外縁部を、所定の工具が係合可能なように平面的に見て正六角形形状以外の多角形形状に形成してもよいし、平面的に見て正円状に形成してもよい。
【0096】
また、上記第1〜第3実施形態では、ガソリン機関からなる自動車用のエンジン100に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、クランクシャフトを有する内燃機関であるならば、ガソリン機関以外のガス機関(ディーゼルエンジンおよびガスエンジンなどの内燃機関)のオイルシールの抜け止め構造に対して本発明を適用してもよい。また、自動車用以外のたとえば設備機器の駆動源(動力源)として搭載されるような内燃機関のオイルシールの抜け止め構造に対して本発明を適用してもよい。さらに、内燃機関以外のオイルシールの抜け止め構造に対して本発明を適用してもよい。