特許第6237219号(P6237219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237219
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】異常検出機能付ヒータ駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20171120BHJP
   A47K 13/30 20060101ALI20171120BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H05B3/00 320Z
   A47K13/30 A
   E03D9/08 H
   H05B3/00 310C
   H05B3/00 320B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-266536(P2013-266536)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-122256(P2015-122256A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】坂本 徹
(72)【発明者】
【氏名】野々村 貢
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−018997(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00
A47K 13/30
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に直列接続されたヒータ、抵抗、および第一スイッチを含む回路部と、
前記第一スイッチがオンであるときにおける前記ヒータと前記抵抗の間の電圧である判定電圧に基づき、前記ヒータの異常の有無を判定するマイコンと、
前記交流電源に接続され前記マイコンに対して電源を供給する電源ICと、
を備え
前記マイコンに対して前記判定電圧が入力されるようにするための回路は非絶縁回路であり、
前記電源ICを介した前記マイコンに対する電源供給用の回路は非絶縁回路である、異常検出機能付ヒータ駆動回路。
【請求項2】
前記回路部と前記マイコンとの間に介在された第二スイッチと、
前記交流電源の電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段と、
をさらに備え、
前記マイコンによる前記ヒータの異常の有無の判定は、前記ゼロクロス検出手段により前記交流電源の電圧が負であることが検出されている状態で前記第二スイッチがオンとされることにより実行される、請求項に記載の異常検出機能付ヒータ駆動回路。
【請求項3】
交流電源に直列接続されたヒータ、抵抗、および第一スイッチを含む回路部と、
前記第一スイッチがオンであるときにおける前記ヒータと前記抵抗の間の電圧である判定電圧に基づき、前記ヒータの異常の有無を判定する異常判定手段と、
を備え
前記異常判定手段は、前記判定電圧の値と前記第一スイッチがオフであるときにおける前記ヒータと前記抵抗の間の電圧である基準電圧の値との差の絶対値が、第一閾値よりも大きく第二閾値よりも小さい場合には前記ヒータが正常であると判定し、それ以外の場合には前記ヒータが異常であると判定する、異常検出機能付ヒータ駆動回路。
【請求項4】
前記異常判定手段は、前記判定電圧の値と前記基準電圧の値との差の絶対値が、前記第一閾値よりも小さい場合には前記ヒータが断線状態であると判定し、前記第二閾値よりも大きい場合には前記ヒータが短絡状態であると判定する、請求項に記載の異常検出機能付ヒータ駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータの異常を検出することができるヒータ駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ヒータをオンさせたときの温水等の温度勾配に基づき、ヒータの異常を検出する技術が記載されている。かかる技術は、測定される温度勾配が、室温、各種部品の劣化等、様々な要因によって変化する可能性があるため、検出精度に問題がある。
【0003】
下記特許文献2には、フォトカプラを用いてヒータの異常を検出する技術が記載されている。このような技術は、フォトカプラを用いることによるコスト増加の問題がある。また、ヒータをオフさせたときであってもフォトカプラで電力が消費されてしまう(待機電力が大きい)という問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−102614号公報
【特許文献2】特開2002−359055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、安価かつ検出精度に優れる異常検出機能付ヒータ駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる異常検出機能付ヒータ駆動回路は、交流電源に直列接続されたヒータ、抵抗、および第一スイッチを含む回路部と、前記第一スイッチがオンであるときにおける前記ヒータと前記抵抗の間の電圧である判定電圧に基づき、前記ヒータの異常の有無を判定する異常判定手段と、を備える。
【0007】
前記異常判定手段は、前記判定電圧の値と前記第一スイッチがオフであるときにおける前記ヒータと前記抵抗の間の電圧である基準電圧の値との差の絶対値が、第一閾値よりも大きく第二閾値よりも小さい場合には前記ヒータが正常であると判定し、それ以外の場合には前記ヒータが異常であると判定するものであるとよい。
【0008】
前記異常判定手段は、前記判定電圧の値と前記基準電圧の値との差の絶対値が、前記第一閾値よりも小さい場合には前記ヒータが断線状態であると判定し、前記第二閾値よりも大きい場合には前記ヒータが短絡状態であると判定するものであるとよい。
【0009】
前記回路部と前記異常判定手段との間に介在された第二スイッチと、前記交流電源の電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出手段と、をさらに備え、前記異常判定手段による前記ヒータの異常の有無の判定は、前記ゼロクロス検出手段により前記交流電源の電圧が負であることが検出されている状態で前記第二スイッチがオンとされることにより実行されるものであるとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる異常検出機能付ヒータ駆動回路は、第一スイッチがオンされているときにおけるヒータと抵抗の間の電圧(アナログ値)に基づきヒータの異常の有無を判断するものであるため、検出精度に優れる。また、フォトカプラ等を使用するものではないため、回路を安価に構築することができる。
【0011】
判定電圧の値と基準電圧の値との差の絶対値が、第一閾値よりも大きく第二閾値よりも小さい場合にはヒータが正常であると判定し、それ以外の場合にはヒータが異常であると判定する構成とすれば、異常の有無の判定が容易である。また、判定電圧の値と基準電圧の値との差の絶対値が、第一閾値よりも小さいか、第二閾値よりも大きいかを判定することにより、ヒータの異常が短絡によるものか、断線によるものかを区別することができる。
【0012】
ヒータの異常の有無の判定が、交流電源の電圧が負であることが検出されている状態で実行されるようにすることで、異常判定が実行される際の電圧(電圧の最大値)を低下させることができ、異常判定手段にかかる負荷が低減される(異常判定手段の故障が防止される)。また、回路部と異常判定手段との間に介在された第二スイッチを有しているため、異常の有無を判定しない状態(待機状態)において第二スイッチをオフとすることで、待機状態にある異常判定手段によって消費される電力が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態にかかる異常検出機能付ヒータ駆動回路を示した図である。
図2図1に示した異常検出機能付ヒータ駆動回路において、ヒータが断線したときの電流の流れを示した図である。
図3】第一閾値および第二閾値とヒータの正常・異常(断線異常および短絡異常)の関係を示した図である。
図4】本発明の第二実施形態にかかる異常検出機能付ヒータ駆動回路を示した図である。
図5】第二実施形態にかかる異常検出機能付ヒータ駆動回路が、ヒータが正常かどうかを判定するタイミングを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示す第一実施形態にかかる異常検出機能付ヒータ駆動回路1(以下、単にヒータ駆動回路1と称する)は、回路部10および異常判定手段を備える。
【0015】
回路部10は、交流電源11(電圧Vin)に対しヒータ12が接続された閉回路である。交流電源11の電力によって、ヒータ12が発熱する。ヒータ12には、第一抵抗13(本発明における抵抗に相当する)が直列接続されている。ヒータ12と第一抵抗13の間にはトライアック14(本発明における第一スイッチに相当する)が設けられている。つまり、回路部10は、交流電源11に直列接続されたヒータ12、第一抵抗13、およびトライアック14を含む。トライアック14は、交流用のスイッチング素子であり、交流電源11からヒータ12への電力供給をオン/オフ制御(スイッチング制御)する。ヒータ12が正常であるとき(断線していないとき)は、トライアック14をオンとすることによりヒータ12が発熱する。なお、本実施形態では、回路部10の低電位側に電源IC15が接続されている。つまり、回路部10の低電位側は、電源IC15が駆動する電位(例えば12V)に設定される。
【0016】
異常判定手段は、上記回路部10におけるヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(電位)(Va)を測定するものである。より具体的には、第一抵抗13とトライアック14の間の電圧を測定するものである。本実施形態における異常判定手段であるマイコン20は、電圧測定地点に接続された配線に接続されている。本実施形態では、当該配線に設けられた第二抵抗21と第三抵抗22の間にマイコン20が接続されている。つまり、二つの抵抗によって構成される分圧回路により、回路部10におけるヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(Va)に比例した電圧(Vm)がマイコン20に検出される。分圧回路は、マイコン20の仕様に合わせた電圧(Vm)を発生させるためのものである。分圧回路(電圧測定地点に接続された配線)における回路部10に接続された側の反対側の端部は、接地されている。
【0017】
異常判定手段として使用するマイコン20の仕様やヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(Va)のレベルによっては、直接(分圧回路を用いずに)マイコン20が回路部10におけるヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(Va)を測定する構成としてもよい。なお、以下では、説明を分かりやすくするため、特に明示した場合を除き、マイコン20が測定する電圧が実際のヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(Va)であるものとしてヒータ12の異常判定手法を説明する。
【0018】
このような構成のヒータ駆動回路1において、ヒータ12の異常の有無を判定する手順は以下の通りである。ヒータ12の異常を判定する際には、トライアック14をオンとし、ヒータ12に通電する(ヒータ12が断線していれば通電されないが、以下の説明ではこのような場合を含めトライアック14をオンとしたときを通電(状態)、オフとしたときを非通電(状態)と称することもある)。マイコン20は、トライアック14をオンとし、ヒータ12に通電された状態における、ヒータ12と第一抵抗13の間の電圧である判定電圧(Vaon)を測定する。
【0019】
この判定電圧に基づき、ヒータ12の異常の有無を判定する。具体的には、判定電圧(Vaon)と基準電圧(Vaoff)の差の絶対値を、第一閾値および第二閾値と比較することにより、ヒータ12が正常か否か、異常である場合にはその以上の内容を判定する。ここで、基準電圧とは、トライアック14をオフとし、ヒータ12が非通電状態にあるときにおけるヒータ12と第一抵抗13の間の電圧である。つまり、交流電源11から回路部10の低電圧側を経由してマイコン20が接続された配線に電流が流れる状態での、ヒータ12(トライアック14)と第一抵抗13の間の電圧である。判定電圧と基準電圧の差の絶対値をとる(判定電圧と基準電圧がどれだけ離れているかを見る)のは、電源として交流電源11を用いているからである。基準電圧は、図示されない記憶手段に予め記憶されたものを使用する構成としてもよいし、ヒータ12が非通電状態にあるときに自動的に測定し、その都度更新される構成としてもよい。
【0020】
ヒータ12が断線(ヒータ線の一部が破損等し、断線に近い状態にあるものを含む)している場合、正常である場合に比べてヒータ12の抵抗は増大する(完全に断線している場合には無限大となる)ため、測定される判定電圧は正常である場合よりも基準電圧に近づく。図2に示すように、完全にヒータ12が断線していれば、回路部10における電流の流れは、トライアック14がオフである場合と同じ状態になるため、判定電圧と基準電圧は同じとなる。これを踏まえ、測定される判定電圧と基準電圧の差の絶対値が、予め設定される基準値である第一閾値よりも小さければ(第一閾値よりも基準電圧の値に近ければ)、ヒータ12が断線状態であると判定する(図3参照)。第一閾値は適宜設定することができる。例えば、断線異常と判断されるべきヒータ12(ヒータ線の一部が破損等したヒータ12)を用いた回路を作成し、ヒータ12と第一抵抗13の間の電圧を実際に測定することにより設定することができる。また、安全側に余裕をもたせた設定にするとよい。
【0021】
ヒータ12が短絡(ヒータ12の両端が繋がった「完全なショート状態」にあるものだけではなく、ヒータ12の一部が短絡するいわゆる「レアショート状態」を含む)している場合、正常である場合に比べてヒータ12の抵抗は小さくなる。(ヒータ12の両端が繋がった「完全なショート状態」である場合にはヒータ12の抵抗は0となる)ため、測定される判定電圧は正常である場合よりも基準電圧から離れる。したがって、測定される判定電圧と基準電圧の差の絶対値が、予め設定される基準値である第二閾値(第二閾値>第一閾値)よりも大きければ(第二閾値よりも基準電圧側から離れていれば)、ヒータ12が短絡状態であると判定する(図3参照)。第二閾値は適宜設定することができる。例えば、短絡異常と判断されるべきヒータ12(「レアショート状態」にあるヒータ12)を用いた回路を作成し、ヒータ12と第一抵抗13の間の電圧を実際に測定することにより設定することができる。また、安全側に余裕をもたせた設定にするとよい。
【0022】
測定される判定電圧と基準電圧の差の絶対値が、第一閾値よりも大きく第二閾値よりも小さければ、ヒータ12が正常であると判定する(図3参照)。つまり、正常であるヒータ12の抵抗によって、測定される判定電圧と基準電圧の差の絶対値は、第一閾値と第二閾値の間に収まる。安全側に余裕をもたせた設定にする場合には、第一閾値と第二閾値の間の範囲を(実測値等よりも)小さくするとよい。
【0023】
以上説明した本実施形態では、第一閾値よりも小さければヒータ12が断線異常であると判定し、第二閾値よりも大きければヒータ12が短絡異常であると判定することを説明したが、必ずしも異常の内容まで判定する構成としなくてもよい。つまり、測定される判定電圧と基準電圧の差の絶対値が、第一閾値よりも大きく第二閾値よりも小さければヒータ12が正常であると判定し、それ以外であれば異常であると判定する、というように、正常か否かのみを判定する構成としてもよい。
【0024】
なお、測定される判定電圧と基準電圧の差の絶対値が、第一閾値や第二閾値と同じである場合、正常と判定してもよいし、異常と判定してもよい。つまり、測定される判定電圧と基準電圧の差の絶対値が、「第一閾値以上かつ第二閾値以下」であればヒータ12が正常であると判定し、それ以外であれば異常であると判定する構成としてもよいし、「第一閾値超かつ第二閾値未満」であればヒータ12が正常であると判定し、それ以外であれば異常であると判定する構成としてもよい。いずれの場合も「第一閾値よりも大きく第二閾値よりも小さい」という設定に該当するものとする。
【0025】
また、上記判定手法の説明は、実際のヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(Va)を測定する場合のものであるが、本実施形態のように分圧回路を用いる場合、基準電圧(Va)を、マイコン20によって検出される電圧(Vm)に換算して判定してもよい。すなわち、実際のヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(Va)とマイコン20によって検出される電圧(Vm)の関係は、第一抵抗13の抵抗値(R1)、第二抵抗21の抵抗値(R2)、第三抵抗22の抵抗値(R3)により、
Vm=R3/(R2+R3)×Va
であらわすことができるから、このVmの値と第一閾値および第二閾値の大小関係に基づき、ヒータ12の異常の有無や異常の内容を判定するようにしてもよい。なお、この場合に用いる第一閾値および第二閾値は、実際のヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(Va)を用いて判定する場合の第一閾値および第二閾値とは異なる値となる。具体的には、例えば、実際のヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(Va)を用いて判定する場合の第一閾値および第二閾値のそれぞれに、[R3/(R2+R3)]の値を乗じたものを第一閾値および第二閾値として設定すればよい。このように、実際のヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(Va)に比例した電圧(Vm)を判定電圧として用いる構成も、「ヒータ12と抵抗(第一抵抗13)の間の電圧である判定電圧に基づき、ヒータ12の異常の有無を判定する」という構成に該当するものとする。
【0026】
以上説明した本実施形態にかかる異常検出機能付ヒータ駆動回路1は、第一スイッチがオンされているときにおけるヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(アナログ値)に基づきヒータ12の異常の有無を判断するものであるため、検出精度に優れる。また、フォトカプラ等を使用するものではないため、回路を安価に構築することができる。
【0027】
また、判定電圧の値と基準電圧の値との差の絶対値が、第一閾値よりも小さいか、第二閾値よりも大きいかを判定することにより、ヒータ12の異常が短絡によるものか、断線によるものかを区別することができる。
【0028】
第二実施形態にかかるヒータ駆動回路1aについて、上記第一実施形態にかかるヒータ駆動回路1と異なる点を中心に説明する。図4に示す第二実施形態にかかるヒータ駆動回路1aは、上記第一実施形態にかかるヒータ駆動回路1に対し、回路部10とマイコン20(異常判定手段)との間に介在されたトランジスタ30(本発明における第二スイッチに相当する)、および交流電源11の電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス回路40(本発明におけるゼロクロス検出手段に相当する)を設けたものである。
【0029】
トランジスタ30のベース端子は、スイッチング素子であるトランジスタ30をオン・オフ制御するマイコン31に接続されている。かかるマイコン31は、異常判定手段としてのマイコン20と同じであってもよいし、異なっていてもよい。トランジスタ30をオンとすることにより、異常判定手段としてのマイコン20がヒータ12と第一抵抗13の間の電圧(判定電圧および基準電圧)を検出可能な状態となる。
【0030】
ゼロクロス回路40は、交流電源11に並列に接続されている。ゼロクロス回路40はマイコン41によって制御される。かかるマイコン41は、異常判定手段としてのマイコン20やトランジスタ30を制御するマイコン31と同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態にかかるヒータ駆動回路1aは、ゼロクロス回路40により交流電源11の電圧のゼロクロス点を検出することができる。換言すれば、交流電源11の電圧が「負」である状態を検出することができるということである。本実施形態では、このゼロクロス回路40の機能を利用し、交流電源11の電圧が「負」である状態でヒータ12の異常の有無の判定を実行する。つまり、ヒータ12の異常の有無を判定する場合には、上記トランジスタ30をオンとすることになるが、トランジスタ30をオンとするのは、交流電源11の電圧が「負」である状態に限る設定とする(図5参照)。
【0031】
なお、本実施形態の場合、ヒータ12の異常の有無の判定は、交流電源11の電圧が「負」であるときに行われるのであるから、基準電圧よりも小さい(マイナス)側で、判定電圧と基準電圧の差の絶対値と、第一閾値および第二閾値の大小関係を比較することになる。
【0032】
このような構成とすることにより、本実施形態では、異常判定手段としてのマイコン20にかかる電圧を低くすることができる。つまり、ヒータ12の異常の有無を判定するタイミングが特定のタイミングに限定されていない場合には、交流電源11の電圧がピーク(電圧「正」)の状態で回路部10と異常判定手段としてのマイコン20が導通してしまい、マイコン20の故障リスクが高まってしまうおそれがあるところ、本実施形態では回路部10と異常判定手段としてのマイコン20が導通するのは交流電源11の電圧が「負」であるときであるから、当該故障リスクを低減することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1(1a) 異常検出機能付ヒータ駆動回路
10 回路部
11 交流電源
12 ヒータ
13 第一抵抗(抵抗)
14 トライアック(第一スイッチ)
20 マイコン(異常判定手段)
30 トランジスタ(第二スイッチ)
40 ゼロクロス回路(ゼロクロス検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5