(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切り離す工程では、前記応力緩衝層の主面に沿った方向に延びるワイヤを前記応力緩衝層の端面から前記応力緩衝層に圧入させることにより、前記応力緩衝層において前記炭化珪素単結晶と前記台座とを切り離す、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
前記切り離す工程では、前記応力緩衝層に対してレーザ光を照射させることにより前記応力緩衝層において前記炭化珪素単結晶と前記台座とを切り離す、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
前記残渣を除去する工程では、酸素含有雰囲気下において前記炭化珪素単結晶を加熱することにより、前記応力緩衝層の残渣を除去する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0014】
はじめに、本発明の実施の形態の概要について説明する。
[本願発明の実施形態の説明]
(1)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、種基板10と台座20とを応力緩衝層30を介して固定する工程(S10)と、種基板10上に炭化珪素単結晶50を成長させる工程(S20)と、応力緩衝層30において炭化珪素単結晶50と台座20とを切り離す工程(S30)と、切り離す工程(S30)後の炭化珪素単結晶50に付着している応力緩衝層30の残渣を除去する工程(S40)とを備える。
【0015】
ここで、応力緩衝層30は、種基板10を構成する炭化珪素と台座20を構成する材料との熱膨張率の差異により、種基板10に加えられる応力を緩衝するために種基板10と台座20との間に形成されている。
【0016】
つまり、応力緩衝層30は、種基板10を構成する炭化珪素よりも低硬度であり、加工が容易である。そのため、切り離す工程(S30)において、応力緩衝層30において炭化珪素単結晶50と台座20とを切り離すことにより、炭化珪素単結晶50と台座20とを容易に切り離すことができる。また、切り離す工程
(S30)において応力緩衝層30を切断することにより、種基板10の第4の主面10B上には応力緩衝層30の残渣31が生じることになるが、当該残渣31は、除去する工程(S40)において研削や研磨等によらず容易に除去することができる(詳細は後述する)。
【0017】
つまり、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法によれば、炭化珪素単結晶50と台座20とを容易に切り離すことができる。また、このようにして得られた当該炭化珪素単結晶50は炭化珪素単結晶基板に容易に加工され得る。
【0018】
(2)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、切り離す工程(S30)では、応力緩衝層30の主面(第1の主面30A)に沿った方向に延びるワイヤ60を応力緩衝層30の端面30Eから応力緩衝層30に圧入させることにより、応力緩衝層30において炭化珪素単結晶50と台座20とを切り離してもよい。
【0019】
このようにすれば、応力緩衝層30の外径よりも長く、かつ応力緩衝層30の厚みよりも細いワイヤ60を用いることにより、種基板10と台座20との間を固定している応力緩衝層30を容易に切断することができ、炭化珪素単結晶50と台座20とを容易に切り離すことができる。
【0020】
(3)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、切り離す工程(S30)では、応力緩衝層30に対してレーザ光を照射させることにより応力緩衝層30において炭化珪素単結晶50と台座20とを切り離してもよい。
【0021】
このようにすれば、種基板10と台座20との間を固定している応力緩衝層30を容易に切断することができ、炭化珪素単結晶50と台座20とを容易に切り離すことができる。
【0022】
(4)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、残渣を除去する工程(S40)では、酸素含有雰囲気下において炭化珪素単結晶50を加熱することにより、応力緩衝層30の残渣31を除去してもよい。
【0023】
つまり、応力緩衝層30を所定の温度で酸化されて除去されることが可能な材料で構成することができ、このような応力緩衝層30の残渣31は酸素含有雰囲気下において炭化珪素単結晶50を加熱することにより容易に除去することができる。
【0024】
(5)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、炭化珪素単結晶50を不活性ガス雰囲気下において加熱する工程(S50)をさらに備え、加熱する工程(S50)は、残渣を除去する工程(S40)の後に連続して実施されてもよい。
【0025】
ここで、残渣を除去する工程(S40)の後に加熱する工程(S50)を連続して実施するとは、たとえば両工程の間で加熱温度を低下させることなく、加熱する工程(S50)における一連の昇温プロセスの前段として残渣を除去する工程(S40)を実施した後、雰囲気および加熱温度を変えて後段として加熱する工程(S50)を実施することをいう。
【0026】
このようにすれば、炭化珪素単結晶50を不活性ガス雰囲気下において加熱する工程(S50)(たとえば活性化アニール処理工程)の一環として、炭化珪素単結晶50から応力緩衝層30の残渣31を容易に除去することができる。その結果、炭化珪素単結晶の製造方法において残渣を除去する工程(S40)と加熱する工程(S50)とを個別に行う場合と比べて、製造工程を低減でき、製造コストを軽減することができる。また、このようにして得られた炭化珪素単結晶50を炭化珪素単結晶基板に容易に加工することができる。
【0027】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
【0028】
まず、
図1を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、種基板10と台座20とを応力緩衝層30を介して固定する工程(S10)と、種基板10上に炭化珪素単結晶50を成長させる工程(S20)と、応力緩衝層30において炭化珪素単結晶50と台座20とを切り離す工程(S30)と、切り離す工程(S30)後の炭化珪素単結晶50に付着している応力緩衝層30の残渣を除去する工程(S40)とを備える。
【0029】
はじめに、
図2を参照して、種基板と台座とを応力緩衝層を介して固定する(工程(S10))。具体的には、まず、種基板10、台座20、および応力緩衝層30とを準備する。応力緩衝層30は、種基板10や炭化珪素単結晶50と比べて硬度が低く、柔軟性および伸縮性の高い材料から構成されている。応力緩衝層30を構成する材料は、たとえば黒鉛シートである。応力緩衝層30は、第1の主面30Aと、第1の主面30Aの反対側に位置する第2の主面30Bとを有している。
【0030】
種基板10は、炭化珪素からなる単結晶である。種基板10の炭化珪素の結晶構造は六方晶系であることが好ましい。また結晶構造のポリタイプは4Hまたは6Hであることが好ましい。種基板10は、炭化珪素単結晶50(
図3参照)が成長される第3の主面(成長面)10Aと、第3の主面10Aの反対側に位置して応力緩衝層30の第1の主面30Aと接着される第4の主面10Bとを有している。第3の主面10Aは、たとえば(0001)面に対して10度以下のオフ角を有する面である。第3の主面10Aと第4の主面10Bとは、いずれも高い平坦性を有しているのが好ましい。種基板10の第3の主面10Aにおける外径は、たとえば100mm以上であり、好ましくは150mm以上である。
【0031】
台座20は、たとえばグラファイトからなる。台座20は、昇華法により種基板10の第3の主面10A上に炭化珪素単結晶50を成長させる際に、種基板10を保持可能に設けられている、第5の主面20Aを有している。第5の主面20Aの幅(第3の主面10Aに沿った方向における端部から端部までの距離)は、種基板10の第3の主面10Aにおける外径以上である。
【0032】
応力緩衝層30の第1の主面30Aにおける幅は、種基板10の第3の主面10Aにおける外径と同等程度に設けられており、たとえば100mm以上であり、好ましくは150mm以上である。応力緩衝層30の厚みは、たとえば0.1mm以上3mm以下である。
【0033】
次に、準備した種基板10、台座20、および応力緩衝層30を接着剤40を介して接着する。
【0034】
接着剤40は、所定の温度(たとえば1000℃以上)で硬化可能に設けられている、任意の材料で構成されていればよい。接着剤40は、たとえばカーボン接着剤である。カーボン接着剤とは、溶媒中にカーボン粉末が分散されてなる接着剤であり、熱処理によって溶媒が揮発し、実質的にカーボンのみからなる接着層を形成し得るものである。台座20が炭素を含み、接着剤40がカーボン接着剤であることにより、応力緩衝層30の第2の主面30Bと台座20の第5の主面20Aとが接着剤40を介して強固に接着される。カーボン接着剤の具体例としては、たとえば、フェノール樹脂にカーボン粉末が混合され、溶媒としてフェノールおよびエチルアルコールを含むものを例示することができる。
【0035】
種基板10の第4の主面10Bと応力緩衝層30の第1の主面30Aとの間、および応力緩衝層30の第2の主面30Bと台座20の第5の主面20Aとの間に接着剤40を塗布した後、これらを上記所定の温度で加熱することにより接着剤40を硬化させ、種基板10、応力緩衝層30、および台座20を固定する。
【0036】
このとき、固定する工程(S10)における加熱処理は任意の方法で実施すればよく、たとえばホットプレートやランプアニール装置、恒温槽等を用いて2段階に分けて実施してもよい。具体的には、接着剤40に含まれる溶媒をある程度揮発させることができる温度、たとえば100℃以上400℃以下の所定の温度で加熱した後、接着剤40を硬化させることができる温度、たとえば400℃以上の所定の温度で加熱してもよい。熱処理の時間は、たとえば所定の温度に到達した後5分以上60分以下である。このようにして、接着剤40を硬化させて、応力緩衝層30を介して種基板10と台座20とを固定することができる。
【0037】
次に、
図3を参照して、種基板10上に炭化珪素単結晶50を成長させる(工程(S20))。具体的には、応力緩衝層30を介して種基板10を固定している台座20を、原料(図示しない)が内に収められている坩堝(図示しない)に取り付ける。坩堝の内部へ種基板10の第3の主面10Aが面するように、坩堝に台座20が取り付けられる。坩堝は、たとえば炭素原料を含んで構成されている。坩堝の内部には原料が収められている。原料は、たとえば炭化珪素粉末である。また、坩堝は、その周囲に配置されている加熱部(図示しない)により後述する所定の温度に加熱可能に設けられている。
【0038】
次に、原料を昇華させることで種基板10の第3の主面10A上に昇華物を堆積させて、炭化珪素単結晶50を成長させる。この昇華再結晶法における温度は、たとえば、2100℃以上2500℃以下とされる。またこの昇華再結晶法における圧力は、好ましくは1.3kPa以上大気圧以下とされ、より好ましくは、成長速度を高めるために13kPa以下とされる。このようにして、
図3を参照して、応力緩衝層30を介して台座20と固定されている種基板10上に成長された炭化珪素単結晶50を得ることができる。
【0039】
次に、
図4を参照して、応力緩衝層30において炭化珪素単結晶50と台座20とを切り離す(工程(S30))。具体的には、まず炭化珪素単結晶50と台座20とを切り離す装置として、ワイヤ60を準備する。ワイヤ60は、長さが応力緩衝層30の第1の主面30Aの外径よりも長く、太さが応力緩衝層30の厚みよりも小さいものが準備される。次に、ワイヤ60を応力緩衝層30の第1の主面30Aに沿った方向に伸ばし、ワイヤ60を応力緩衝層30の端面30E(第1の主面30Aと垂直な方向に沿った面)から応力緩衝層30に圧入させる。応力緩衝層30の端面30Eにおいて、ワイヤ60を圧入させる位置は、端面30Eの中央部であってもよいし、当該中央部に対して種基板10側または台座20側であってもよい。
【0040】
ワイヤ60を応力緩衝層30の一方の端面30Eから第1の主面30Aを挟んで対向する他方の端面30Eに達するまで圧入することにより、応力緩衝層30において炭化珪素単結晶50と台座20とを切り離すことができる。台座20から切り離された後の炭化珪素単結晶50は、種基板10と、種基板10の第4の主面10B上に接着剤40を介して接着されている応力緩衝層30の残渣31と一体として構成されている。なお、台座20の第5の主面20A上にも、接着剤40を介して応力緩衝層30の残渣32が形成されている。
【0041】
次に、切り離す工程(S30)後の炭化珪素単結晶50に付着している応力緩衝層30の残渣31を除去する(工程(S40))。具体的には、先の工程(S30)により台座20から切り離された炭化珪素単結晶50を酸素含有雰囲気下において加熱する。酸素含有雰囲気とは、酸素濃度が大気中と比べて高い酸素雰囲気でもよいし、大気中と同程度の酸素濃度を有する雰囲気あるいは大気であってもよい。本工程(S40)は、酸素含有雰囲気下において所定の温度に加熱することができる任意の装置を用いて行われればよく、たとえば大気炉を用いることができる。加熱温度は、応力緩衝層30を酸化し除去することができる任意の温度とすればよく、たとえば1000℃以上の所定の温度とすればよい。加熱時間は、応力緩衝層30を酸化し除去することができる任意の時間とすればよく、たとえば所定の温度に到達した後30分以上48時間以下である。これにより、
図5に示すように、応力緩衝層30の残渣31を除去することができる。
【0042】
このようにして得られた炭化珪素単結晶50は、さらに種基板10の第3の主面10Aと交差する方向に伸びる側面が研削された後、スライスすることにより炭化珪素単結晶基板を得ることができる。
【0043】
次に、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法の作用効果について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法によれば、切り離す工程(S30)において、炭化珪素単結晶50と台座20とは応力緩衝層30において切り離される。ここで、応力緩衝層30は種基板10を構成する炭化珪素よりも低硬度で加工が容易である。そのため、炭化珪素単結晶50と台座20とを容易に切り離すことができる。
【0044】
さらに、除去する工程(S40)において、応力緩衝層30の残渣31を切削や研磨等によらずに容易に除去することができる。このため、たとえば炭化珪素の加工に用いる砥石により炭素材料からなる台座20を加工することなく、炭化珪素単結晶50と台座20とを容易に切り離すことができる。つまり、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法によれば、炭化珪素単結晶50と台座20とを容易に切り離すことができる。
【0045】
また、応力緩衝層30は所定の温度で酸化されて除去されることが可能な材料で構成されているため、残渣を除去する工程(S40)において、応力緩衝層30の残渣31は酸素含有雰囲気下において炭化珪素単結晶50を加熱することにより容易に除去することができる。これにより、当該炭化珪素単結晶50は炭化珪素単結晶基板に容易に加工され得る。
【0046】
本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、種基板10の厚みによらず適用することができる。たとえば種基板10の厚みが数十μm以上数百μm以下程度と薄い場合にも、炭化珪素単結晶50を切り代として無駄にすることなく、かつ炭化珪素単結晶50と台座20とを容易に切り離すことができる。
【0047】
また、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、応力緩衝層30の第1の主面30A、種基板10の第3の主面10A、および台座20の第5の主面20Aは、いずれも種基板10の形状に併せて円形状に形成されているがこれに限られるものではない。これらを任意の形状としても、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法と同様の効果を奏することができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、切り離す工程(S30)はワイヤ60を用いて実施されるが、これに限られるものではない。切り離す工程(S30)は、たとえばワイヤ60を糸のこ状に構成した部材(たとえば平面形状がU字状のベース体において、対向する2つの端部の間をつなぐようにワイヤ60を張った部材)を用いて、当該ワイヤ60を応力緩衝層30の端面30Eから応力緩衝層30に圧入させることにより実施してもよい。また、切り離す工程(S30)は、扁平部分を有し当該扁平部分の厚みが応力緩衝層30の厚みよりも薄いヘラ状部材を用いて、当該扁平部分を応力緩衝層30の端面30Eから応力緩衝層30に圧入させることにより実施してもよい。このようにしても、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法と同様の効果を奏することができる。
【0049】
また、
図6を参照して、レーザ光源70を用いても良い。この場合、レーザ光源70から応力緩衝層30の端面30Eに、当該端面30Eの厚みよりも小さいスポット径を有するレーザ光を照射して、レーザ光を照射してもよい。このようにしても、レーザ光が照射された部分を境に応力緩衝層30を切断することができ、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法と同様の効果を奏することができる。また、応力緩衝層30の端面30Eに高圧水流を噴射させてもよい。このようにしても、高圧水流の噴射を受けた部分を境に応力緩衝層30を切断することができ、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法と同様の効果を奏することができる。
【0050】
本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、除去する工程(S40)は酸素含有雰囲気下で加熱処理されることにより実施されるが、任意の加熱処理工程と合わせて実施されても良い。
図7を参照して、たとえば、炭化珪素単結晶50を不活性ガス雰囲気下において加熱する工程(S50)の前段として実施してもよい。この場合、加熱する工程(S50)は、残渣31を除去する工程(S40)を実施後、酸素含有雰囲気からたとえばAr(アルゴン)ガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気に変更するとともに、加熱温度を低下させることなく所定の温度まで昇温することにより実施されてもよい。加熱する工程(S50)は、たとえば活性化アニール工程とすることができる。以下、
図7を参照して説明する。
【0051】
図7の縦軸は温度(単位:℃)を示し、横軸は時間(単位:分)を示す。
図7を参照して、たとえば除去する工程(S40)として炭化珪素単結晶50を酸素含有雰囲気下において1000℃まで加熱昇温し、かつ30分間(
図7中時点t1から時点t2の間)保持した後、加熱温度を低下させることなく連続して加熱する工程(S50)として炭化珪素単結晶50をArガス雰囲気下において2500℃まで加熱昇温し、かつ30分間(
図7中時点t3から時点t4の間)保持してもよい。これにより、残渣を除去する工程(S40)と加熱する工程(S50)とを個別に行う場合と比べて、製造工程数を低減でき、製造コストを軽減することができる。また、このようにして得られた炭化珪素単結晶50を炭化珪素単結晶基板に容易に加工することができる。
【0052】
言い換えれば、加熱する工程(S50)における一連の昇温プロセスの前段として残渣を除去する工程(S40)を実施した後、雰囲気および加熱温度を変えて後段として加熱する工程(S50)を実施してもよい。
【0053】
このようにすれば、炭化珪素単結晶50を不活性ガス雰囲気下において加熱する工程(S50)(たとえば活性化アニール処理工程)の一環として、炭化珪素単結晶50から応力緩衝層30の残渣31を容易に除去することができる。その結果、このようにして得られた炭化珪素単結晶50を用いることにより炭化珪素単結晶基板に容易に加工することができる。
【0054】
また、除去する工程(S40)は酸素含有雰囲気下で加熱処理されることに限られない。たとえば、サンドブラスト加工等の機械的加工により実施されても良いし、ヘラ状部材等を用いて人為的に残渣31を除去してもよい。また、たとえば硫酸過水(SPM)に残渣31を浸漬する等してウエットエッチングにより除去してもよい。このようにしても、残渣31を容易に除去することができる。
【0055】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。