(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各前記第二レンズ面部は、片側に隣接する前記第一レンズ面部との境界部(42a,242a)と、逆側に隣接する前記第一レンズ面部との境界部(42b,242b)とを、前記基準方向にずらして有することを特徴とする請求項1に記載の照明用レンズ。
前記第一レンズ面部と前記第二レンズ面部との交互配列構造(42,242,342)は、前記光源から入射した光を出射する出射面(4b,404b)に、設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の照明用レンズ。
前記第二レンズ面部は、個別の前記第二光軸を対称軸として線対称のプロファイルを有する各前記第二仮想レンズ面から、設定数ずつ抽出されることを特徴とする請求項6に記載の照明用レンズ。
前記基準方向として出射面側基準方向(X)における前記第一レンズ面部と前記第二レンズ面部との交互配列構造(42,242,342)は、当該出射面側基準方向に沿って配列される前記光源から入射した光を出射する出射面(404b)に、設けられ、
前記基準方向として前記出射面側基準方向と直交した入射面側基準方向(Y)における前記第一レンズ面部と前記第二レンズ面部との交互配列構造(42,242,342)は、当該入射面側基準方向に沿って配列される前記光源から光の入射する入射面(404a)に、設けられることを特徴とする請求項6又は7に記載の照明用レンズ。
各前記第一レンズ面部(40)は、前記基準方向に曲率を有することにより二階微分が可能な凸レンズ面状の前記第一仮想レンズ面(40a)から、一部分ずつ抽出した形状に形成され、
各前記第二レンズ面部(41)は、前記基準方向に曲率を有することにより二階微分が可能な凸レンズ面状の前記第二仮想レンズ面(41a)から、一部分ずつ抽出した形状に形成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の照明用レンズ。
各前記第一レンズ面部(240)は、前記基準方向に曲率を有することにより二階微分が可能な凹レンズ面状の前記第一仮想レンズ面(240a)から、一部分ずつ抽出した形状に形成され、
各前記第二レンズ面部(241)は、前記基準方向に曲率を有することにより二階微分が可能な凹レンズ面状の前記第二仮想レンズ面(241a)から、一部分ずつ抽出した形状に形成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の照明用レンズ。
各前記第一レンズ面部と各前記第二レンズ面部とは、互いに同一プロファイルを有する前記第一仮想レンズ面と前記第二仮想レンズ面とから、其々一部分ずつ抽出した形状に形成されることを特徴とする請求項11又は12に記載の照明用レンズ。
各前記第一レンズ面部(40,240)は、前記基準方向に曲率を有することにより二階微分が可能な凸レンズ面状又は凹レンズ面状の前記第一仮想レンズ面(40a,240a)から、一部分ずつ抽出した形状に形成され、
各前記第二レンズ面部(341)は、前記基準方向に対して傾斜することにより一階微分までが可能な線形プリズムレンズ面状の前記第二仮想レンズ面(341a)から、一部分ずつ抽出した形状に形成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の照明用レンズ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0015】
(第一実施形態)
図1に示すように、本発明の第一実施形態によるHUD装置1は、「移動体」としての車両8に搭載されて、インストルメントパネル80内に収容されている。HUD装置1は、車両8の「表示部材」であるウインドシールド81へ表示像10を投影する。その結果、車両8の室内では、ウインドシールド81により反射した表示像10の光束が視認者9のアイポイント90に到達する。視認者9は、アイポイント90への到達光束を知覚することで、ウインドシールド81の前方に結像された表示像10の虚像10aを視認する。
【0016】
HUD装置1は、照明ユニット2、表示器5、光学系6及び表示制御ユニット7を備えている。照明ユニット2は、光源3及び照明用レンズ4を組み合わせて構成されている。
【0017】
光源3は、例えば発光ダイオード(LED)等の点状発光源であり、複数設けられている。各光源3は、通電により発光することで、その発した光を照明用レンズ4に向けて投射する。本実施形態の各光源3は、後に詳述する表示器5を照明するために、白色光を照明用レンズ4に向けて投射する。
【0018】
照明用レンズ4は、例えば樹脂又はガラス等の透光性材料により、全体として長方形の板状に形成されている。照明用レンズ4のうち一方の板面は、各光源3と対向する入射面4aを、構成している。入射面4aには、各光源3からの投射光が入射する。照明用レンズ4のうち他方の板面は、「照明対象」としての表示器5と対向する出射面4bを、構成している。出射面4bからは、各光源3から入射面4aに入射した光が出射される。ここで照明用レンズ4は、各光源3からの光を集光する集光機能を有しており、当該機能により集光させた光を「照明対象」としての表示器5側へ出射する。
【0019】
表示器5は、例えばドットマトリクス型TFT液晶パネル等の画像表示パネルであり、照明用レンズ4に対応した長方形の画面50を有している。表示器5は、画面50を構成する複数画素の駆動により、表示像10としてのモノクロ画像又はカラー画像を当該画面50上に形成する。表示器5は、照明用レンズ4を通して受ける各光源3からの光により透過照明される。かかる照明により表示器5は、画面50上の表示像10を発光表示させる。尚、表示像10は、例えば車両8の走行速度や進行方向、ウォーニング等の車両関連情報を表示する光像として、発光表示される。
【0020】
光学系6は、本実施形態では一つの凹面鏡60を主体として、構成されている。凹面鏡60は、例えば樹脂又はガラス等の基材にアルミニウム等の金属反射膜を蒸着させることで、反射面60aを形成してなる。凹面鏡60は、表示器5の画面50から入射する光を反射面60aにより反射する反射機能を有しており、当該機能により反射させた光をウインドシールド81側へ導光する。かかる導光によりウインドシールド81には、画面50上の表示像10が拡大して投影されることで、当該表示像10の虚像10aが車両8の室内の視認者9から視認可能に表示される。尚、光学系6としては、複数の凹面鏡60を有するものであってもよいし、凹面鏡60以外の反射鏡又はレンズを有するものであってもよい。
【0021】
表示制御ユニット7は、例えばマイクロコンピュータ等の電子回路であり、各光源3及び表示器5と電気接続されている。さらに表示制御ユニット7は、車両8のうち例えば他の制御ユニット及び各種センサ等と通信可能に接続されている。表示制御ユニット7は、車両関連情報に応じて各光源3への通電を制御することで、それらの光源3を発光させる。それと共に表示制御ユニット7は、車両関連情報に応じて画面50の構成画素の駆動を制御することで、画面50上での表示像10の表示、ひいては視認者9への虚像10aの表示を実現する。
【0022】
(照明ユニットの詳細構成)
次に、照明ユニット2の詳細構成を説明する。尚、
図2,3に示す基準方向Xは、画面50の長手方向に対応した照明用レンズ4の長手方向である。また、
図2,3に示す直交方向Yは、画面50の短手方向に対応した照明用レンズ4の短手方向である。
【0023】
図2,3に示すように、照明ユニット2を構成する複数(本実施形態では三つ)の光源3は、基準方向Xに沿って直線状に配列されている。基準方向Xに互いに離間して並ぶ光源3間のピッチPは、いずれの光源3間でも一定値に設定されている。
【0024】
照明ユニット2を構成する照明用レンズ4は、平面状の入射面4aに対して、第一及び第二レンズ面部40,41を複数ずつ形成する出射面4bを有した、新規の複合型フレネルレンズである。
図4に示すように各第一レンズ面部40は、光源3の数と同じとなる複数の第一仮想レンズ面40aのうちいずれから、一部分ずつ抽出した形成に形成されている。これに対して各第二レンズ面部41は、光源3よりも一つ多い複数の第二仮想レンズ面41aのうちいずれから、一部分ずつ抽出した形状に形成されている。尚、
図4では、三つの第一仮想レンズ面40aのうち二つを代表して示すと共に、四つの第二仮想レンズ面41aのうち三つを代表して示している。
【0025】
具体的に各第一仮想レンズ面40aは、相異なる光源3と対応する複数箇所に其々個別の第一光軸L1を定めるようにして、仮想的に規定されている。かかる規定により、基準方向Xに等ピッチPをあけて平行にのびる各第一光軸L1上には、其々光源3が配置されている。本実施形態の各第一仮想レンズ面40aは、所定の曲率を基準方向Xに有することで、同方向Xに沿う断面にて互いに並ぶ第一光軸L1と第二光軸L2との間では、一階微分且つ二階微分が少なくとも可能なシリンドリカル形の凸レンズ面状に、規定されている。ここで各第一仮想レンズ面40aは、二階微分までが可能であってもよいし、三階以上の階数での微分まで可能であってもよい。また、それと共に各第一仮想レンズ面40aは、互いに同一のレンズプロファイルとして、其々個別の第一光軸L1を対称軸とした線対称形のプロファイルを、有している。
【0026】
一方、各第二仮想レンズ面41aは、各第一光軸L1間の複数箇所に其々個別の第二光軸L2を定めるようにして、仮想的に規定されている。かかる規定により、基準方向XにピッチPをあけて平行にのびる各第二光軸L2は、同方向Xの両側をのびる第一光軸L1から、其々半ピッチP/2分だけ離間している。即ち各第二光軸L2は、基準方向Xにおいて両側の第一光軸L1から、それら光軸L1間の中央位置まで偏心している。本実施形態の各第二仮想レンズ面41aは、所定の曲率を基準方向Xに有することで、同方向Xに沿う断面にて互いに並ぶ光軸L1,L2間では、一階微分且つ二階微分が少なくとも可能なシリンドリカル形の凸レンズ面状に、規定されている。ここで各第二仮想レンズ面41aは、二階微分までが可能であってもよいし、三階以上の階数での微分まで可能であってもよい。また、それと共に各第二仮想レンズ面41aは、互いに同一且つ各第一仮想レンズ面40aとも同一のレンズプロファイルとして、其々個別の第二光軸L2を対称軸とした線対称形のプロファイルを、有している。
【0027】
第一レンズ面部40と第二レンズ面部41とは、こうした各第一仮想レンズ面40aと各第二仮想レンズ面41aとから其々、
図4の破線の如く設定数ずつ断続的に抽出されている。その結果、基準方向Xに並ぶ第一光軸L1と第二光軸L2との間では、第一レンズ面部40と第二レンズ面部41とが基準方向Xに交互に配列されている(
図2,3も参照)。ここで、上述の如く第一及び第二仮想レンズ面40a,41aは、共通の出射面4bに対して、同一プロファイルで複数ずつ規定されている。これにより、第一及び第二光軸L1,L2間における第一及び第二レンズ面部40,41の交互配列構造42については、各第二光軸L2を対称軸として線対称形態となるように、その複数構造が出射面4bに設けられている。
【0028】
図4に示すように、交互配列構造42の其々において各第一レンズ面部40は、片側に隣接する第二レンズ面部41との尖鋭な凸状境界部42aと、逆側に隣接する第二レンズ面部41とのV溝形の凹状境界部42bとを、基準方向Xにずらして有している。これにより、基準方向Xにおける各第一レンズ面部40の幅W1は、第一光軸L1に近い第一レンズ面部40ほど広くなっている。
【0029】
交互配列構造42の其々において各第二レンズ面部41は、片側に隣接する第一レンズ面部40との凹状境界部42bと、逆側に隣接する第一レンズ面部40との凸状境界部42aとを、基準方向Xにずらして有している。但し、照明用レンズ4の両縁に設けられる各交互配列構造42の第二レンズ面部41は、片側の凹状境界部42bと、逆側にて同レンズ4の端面部4cとなす角部42cと、逆側の基準方向Xにずらして有している。これらにより、基準方向Xにおける各第二レンズ面部41の幅W2は、第二光軸L2に近い第二レンズ面部41ほど広くなっている。
【0030】
交互配列構造42の其々において、第一仮想レンズ面40aから抽出されている第一レンズ面部40の数と、第二仮想レンズ面41aから抽出されている第二レンズ面部41の数とは、同数(本実施形態では四つ又は二つ)に設定されている。これにより、互いに隣接した第一レンズ面部40と第二レンズ面部41との対から構成されるレンズ面部対は、交互配列構造42毎に複数対(本実施形態では四対又は二対)ずつ、基準方向Xに並んで設けられている。ここで、かかる各レンズ面部対の基準方向Xにおける幅Wpは、凸状境界部42aの間隔(W1+W2)と一致した一定幅に、設定されている。
【0031】
図3,4に示すように、交互配列構造42を両側に分けている各第一光軸L1上では、それら構造42の第一レンズ面部40同士が同光軸L1を対称軸として線対称に隣接することで、滑らかな凸状境界部42fを形成している。また、交互配列構造42を両側に分けている各第二光軸L2上では、それら構造42の第二レンズ面部41同士が同光軸L2を対称軸として線対称に隣接することで、滑らかな凸状境界部42eを形成している。ここで、凸状境界部42f,42eのいずれも、凸状境界部42a及び角部42cの全てと共に、第一及び第二光軸L1,L2と直交する仮想平面42g上に配置されている。これにより第一実施形態では、仮想平面42gから各光源3までの距離D、即ち各凸状境界部42fから同一光軸L1上の光源3までの距離Dは、第一仮想レンズ面40aに固有の焦点距離に対して、短く設定されている。尚、距離Dについては、第一仮想レンズ面40aに固有の焦点距離に対して、等しく又は長く設定してもよい。
【0032】
このような構成の照明ユニット2による光の集光原理を、
図5に示す概念模式図を利用して説明する。
【0033】
図5(a)に示すように各第一レンズ面部40は、其々対応する第一光軸L1上の光源3から入射面4a側に入射した光を、出射面4b側にて屈折させる。これにより、各第一レンズ面部40から出射される光は、其々対応する第一光軸L1に沿って集光される。その結果、各第一レンズ面部40から出射されて表示器5の画面50を照明する出射光には、
図5(a)のグラフの如く各第一光軸L1にて最大となる強度分布が生じる。
【0034】
また一方、
図5(b)に示すように各第二レンズ面部41は、其々対応する第二光軸L2上の光源3から入射面4a側に入射した光を、出射面4b側にて屈折させる。これにより、各第二レンズ面部41から出射されて表示器5の画面50を照明する出射光は、其々対応する第二光軸L2に沿って集光される。その結果、各第二レンズ面部41からの出射光には、
図5(b)のグラフの如く各第二光軸L2にて最大となる強度分布が生じる。
【0035】
ここで、互いに偏心する第一及び第二光軸L1,L2間にて、第一レンズ面部40と第二レンズ面部41が交互に配列される照明用レンズ4によると、出射光の強度分布は、
図5(a)の分布と
図5(b)の分布とを重ね合わせたものとなる。即ち、
図5(c)に示す如き重ね合わせの強度分布では、第二光軸L2上だけでなく、第一及び第二光軸L1,L2間においても、出射光の強度が高くなる。その結果、第一光軸L1から離間した第二光軸L2上での強度は勿論、それら光軸L1,L2間の強度についても、第一光軸L1上での強度に対する偏差が小さくなる。故に、こうした照明用レンズ4からの出射光により照明される表示器5では、画面50における照度ムラの抑制が可能となる。
【0036】
(作用効果)
以上説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0037】
第一実施形態の照明用レンズ4によると、第一光軸L1を定める仮想レンズ面として、少なくとも二階微分が可能な第一仮想レンズ面40aから一部分ずつ抽出した形状の各第一レンズ面部40は、光源3の配置される第一光軸L1に沿って集光機能を発揮し得る。また一方、第二光軸L2を定める仮想レンズ面として、少なくとも一階微分が可能な第二仮想レンズ面41aから一部分ずつ抽出した形状の各第二レンズ面部41は、基準方向Xにて第一レンズ面部40と交互に配列されている。これにより、第一光軸L1とは基準方向Xに偏心して離間した第二光軸L2上及びそれら光軸L1,L2間では、いずれかの第一レンズ面部40を通した出射光に対し、いずれかの第二レンズ面部41を通した出射光が重畳され得る。故に、照明用レンズ4を備えた照明ユニット2によれば、光源3の配置される第一光軸L1上から離間した箇所にあっても、出射光の強度を高めて、表示器5の照明における照度ムラを抑制することが可能となる。またそれ故に、表示器5の表示像10を車両8のウインドシールド81へと投影することで表示される虚像につき、視認者9の感じる強度ムラも抑制可能となる。
【0038】
ここで、片側及び逆側に其々隣接する第一レンズ面部40との境界部42a,42bが基準方向Xにずらされる各第二レンズ面部41によると、第一光軸L1上の光源3からの光を、当該光軸L1とは偏心する第二光軸L2上又はそれら光軸L1,L2間へと確実に出射し得る。これによれば、第一及び第二レンズ面部40,41を通した出射光同士の重畳作用を確固たるのものとして、照度ムラの抑制効果の信頼性を向上させることが可能となる。
【0039】
また、各第一レンズ面部40は、第一光軸L1に近い第一レンズ面部40ほど基準方向Xに広幅となるので、第一及び第二光軸L1,L2間における第一光軸L1周辺からの出射光ほど、光量を増大させ得る。それと共に各第二レンズ面部41は、第二光軸L2に近い第二レンズ面部41ほど基準方向Xに広幅となるので、第一及び第二光軸L1,L2間における第二光軸L2周辺からの出射光ほど、光量を増大させ得る。これらによれば、第一及び第二レンズ面部40,41を通した出射光同士の重畳光につき、第一及び第二光軸L1,L2間での強度変動を小さく抑えて、照度ムラの抑制効果を高めることが可能となる。
【0040】
また、互いに隣接した第一及び第二レンズ面部40,41から構成されるレンズ面部対は、その複数対が並ぶ基準方向Xにて一定幅Wpを有することで、光源3から各対へ向かう光量の差を低減し得る。これによれば、各レンズ面部対を構成する第一及び第二レンズ面部40,41を其々通した出射光につき、いずれも光量を確保して重畳させることができるで、照度ムラの抑制効果を高めることが可能となる。
【0041】
また、基準方向Xにおける第一及び第二レンズ面部40,41の交互配列構造42を、照明用レンズ4のうち光源3からの入射光の出射面4bに設けることで、当該出射面4bの出射光に関する収差に起因して生じる照度ムラについても、抑制可能となる。
【0042】
また、基準方向Xに沿って配列される複数光源3からの光を照明用レンズ4により集光して出射することで、各光源3と照明用レンズ4との間の距離を短縮しつつ、表示器5の広い面積を照明し得る。さらに第一レンズ面部40は、各光源3と対応する箇所に第一光軸L1を個別に定める複数の第一仮想レンズ面40aから設定数ずつ抽出されるので、それら各第一レンズ面部40により、其々の第一光軸L1に沿った集光機能を発揮し得る。しかも第二レンズ面部41は、第一光軸L1間に第二光軸L2を個別に定める複数の第二仮想レンズ面41aから設定数ずつ抽出されて、第一レンズ面部40との交互配列構造42を構成している。故に、これら各第二レンズ面部41によると、いずれかの第一光軸L1から離間した其々の第二光軸L2上及びそれら光軸L1,L2間にて、第一及び第二レンズ面部40,41を通した出射光同士の重畳作用を現出させ得る。以上によれば、各光源3から照明用レンズ4に到る部分が小型化となる構成下にて、照度ムラを抑制することが可能となる。
【0043】
また、個別の第二光軸L2を対称軸とした線対称プロファイルの各第二仮想レンズ面41aから第二レンズ面部41が設定数ずつ抽出されることで、それら光軸L2両側では、第一及び第二レンズ面部40,41を通した出射光同士の重畳光の強度差を低減し得る。故に、照度ムラの抑制効果を高めることが可能となる。
【0044】
また、第一光軸L1を対称軸として第一レンズ面部40同士が線対称に隣接することで、当該光軸L1の両側周辺では、第一及び第二レンズ面部40,41を通した出射光同士の重畳光の強度差を低減し得る。故に、照度ムラの抑制効果を高めることが可能となる。
【0045】
また、第二光軸L2を対称軸として第二レンズ面部41同士が線対称に隣接することで、当該光軸L2の両側周辺では、第一及び第二レンズ面部40,41を通した出射光同士の重畳光の強度差を低減し得る。故に、照度ムラの抑制効果を高めることが可能となる。
【0046】
また、基準方向Xに曲率を有することで二階微分が可能な凸レンズ面状の第一仮想レンズ面40aから、一部分ずつ抽出した形状の各第一レンズ面部40は、光源3の配置される第一光軸L1に沿って集光機能を発揮し得る。また一方、基準方向Xに曲率を有することで二階微分が可能な凸レンズ面状の第二仮想レンズ面41aから、一部分ずつ抽出した形状の各第二レンズ面部41は、第一光軸L1から偏心する第二光軸L2に沿って集光機能を発揮し得る。しかも、こうした各別の集光機能を発揮する第一及び第二レンズ面部40,41の交互配列構造42によれば、第一光軸L1から偏心によって離間した第二光軸L2上及びそれら光軸L1,L2間にて、第一及び第二レンズ面部40,41を通した出射光同士の重畳作用を確固たるのものとなし得る。故に、照度ムラの抑制効果の信頼性を高めることが可能となる。
【0047】
また、各第一レンズ面部40と各第二レンズ面部41とは、同一プロファイルの第一仮想レンズ面40aと第二仮想レンズ面41aとから、其々一部分ずつ抽出した形状に形成されて、交互配列構造42を構成する。こうした構成下では、各第一レンズ面部40による第一光軸L1に沿った集光機能と、各第二レンズ面部41による第二光軸L2に沿った集光機能とを、互いに同程度に発揮し得る。これによれば、第一及び第二レンズ面部40,41を通した出射光同士の重畳光につき、第一及び第二光軸L1,L2間での強度変動を小さく抑えて、照度ムラの抑制効果を高めることが可能となる。
【0048】
(第二実施形態)
図6,7に示すように本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0049】
第二実施形態の照明用レンズ204に関する各第一仮想レンズ面240aは、所定の曲率を基準方向Xに有することで、同方向Xに沿う断面の光軸L1,L2間では、一階微分且つ二階微分が少なくとも可能なシリンドリカル形の凹レンズ面状に、規定されている。ここで各第一仮想レンズ面240aは、二階微分までが可能であってもよいし、三階以上の階数での微分まで可能であってもよい。また、かかる各第一仮想レンズ面240aについても、互いに同一のレンズプロファイルとして、其々個別の第一光軸L1を対称軸とした線対称形のプロファイルを、有している。
【0050】
また、第二実施形態の照明用レンズ204に関する各第二仮想レンズ面241aは、所定の曲率を基準方向Xに有することで、同方向Xに沿う断面の光軸L1,L2間では、一階微分且つ二階微分が少なくとも可能なシリンドリカル形の凹レンズ面状に、規定されている。ここで各第二仮想レンズ面241aは、二階微分までが可能であってもよいし、三階以上の階数での微分まで可能であってもよい。また、かかる各第二仮想レンズ面241aについても、互いに同一且つ各第一仮想レンズ面240aとも同一のレンズプロファイルとして、其々個別の第二光軸L2を対称軸とした線対称形のプロファイルを、有している。
【0051】
第一レンズ面部240と第二レンズ面部241とは、こうした各第一仮想レンズ面240aと各第二仮想レンズ面241aとから其々、
図7の破線の如く設定数ずつ断続的に抽出されている。その結果、基準方向Xに並ぶ第一光軸L1と第二光軸L2との間では、第一レンズ面部240と第二レンズ面部241とが基準方向Xに交互に配列されて、それら光軸L1,L2間の交互配列構造242を構成している(
図6も参照)。かかる交互配列構造242については、各第二光軸L2を対称軸として線対称形態となるように、その複数構造が出射面4bに設けられている。
【0052】
図7に示すように、交互配列構造242の其々において各第一レンズ面部240は、片側に隣接する第二レンズ面部241とのV溝形の凹状境界部242aと、逆側に隣接する第二レンズ面部241との尖鋭な凸状境界部242bとを、基準方向Xにずらして有している。これにより、第二実施形態の基準方向Xにおいても、各第一レンズ面部240の幅W1は、第一光軸L1に近い第一レンズ面部240ほど広くなっている。
【0053】
交互配列構造242の其々において各第二レンズ面部241は、片側に隣接する第一レンズ面部240との凸状境界部242bと、逆側に隣接する第一レンズ面部240との凹状境界部242aとを、基準方向Xにずらして有している。但し、照明用レンズ204の両縁に設けられる各交互配列構造242の第二レンズ面部241は、片側の凸状境界部242bと、逆側にて同レンズ204の端面部204cとなす角部242cとを、基準方向Xにずらして有している。これらにより、第二実施形態の基準方向Xにおいても、各第二レンズ面部241の幅W2は、第二光軸L2に近い第二レンズ面部241ほど広くなっている。
【0054】
第一実施形態と同様な原理により、互いに隣接した第一レンズ面部240と第二レンズ面部241との対から構成されるレンズ面部対は、交互配列構造242毎に複数対(本実施形態でも四対又は二対)ずつ、基準方向Xに並んで設けられている。ここで、かかる各レンズ面部対の基準方向Xにおける幅Wpは、凹状境界部242aの間隔(W1+W2)と一致した一定幅に、設定されている。
【0055】
図6,7に示すように、交互配列構造242を両側に分けている各第一光軸L1上では、それら構造242の第一レンズ面部240同士が同光軸L1を対称軸として線対称に隣接することで、滑らかな凹状境界部242fを形成している。また、交互配列構造242を両側に分けている各第二光軸L2上では、それら構造242の第二レンズ面部241同士が同光軸L2を対称軸として線対称に隣接することで、滑らかな凹状境界部242eを形成している。ここで、凹状境界部242e,242f及び角部242cのいずれも、凹状境界部242aの全てと共に、第一及び第二光軸L1,L2と直交する仮想平面242g上に配置されている。これにより第二実施形態では、仮想平面242gから各光源3までの距離D、即ち各凹状境界部242fから同一光軸L1上の光源3までの距離Dは、第一仮想レンズ面240aに固有の焦点距離に対して、短く設定されている。尚、距離Dについては、第一仮想レンズ面240aに固有の焦点距離に対して、等しく又は長く設定してもよい。
【0056】
以上説明した第二実施形態では、基準方向Xに曲率を有することで二階微分が可能な凹レンズ面状の第一仮想レンズ面240aから、一部分ずつ抽出した形状の各第一レンズ面部240は、光源3の配置される第一光軸L1に沿って集光機能を発揮し得る。また一方、基準方向Xに曲率を有することで二階微分が可能な凹レンズ面状の第二仮想レンズ面241aから、一部分ずつ抽出した形状の各第二レンズ面部241は、第一光軸L1から偏心する第二光軸L2に沿って集光機能を発揮し得る。しかも、こうした各別の集光機能を発揮する第一及び第二レンズ面部240,241の交互配列構造242によれば、第一光軸L1から偏心によって離間した第二光軸L2上及びそれら光軸L1,L2間にて、第一及び第二レンズ面部240,241を通した出射光同士の重畳作用を確固たるのものとなし得る。故に、照度ムラの抑制効果の信頼性を高めることが可能となる。
【0057】
(第三実施形態)
図8,9に示すように本発明の第三実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0058】
第三実施形態の照明用レンズ304に関する各第二仮想レンズ面341aは、基準方向Xに対して山形に傾斜することで、同方向Xに沿う断面の光軸L1,L2間では、一階微分までが可能なプリズムレンズ面状に、規定されている。各第二仮想レンズ面341aは、互いに同一ではあるが、第一実施形態と同様に規定される各第一仮想レンズ面40aとは異なるレンズプロファイルとして、其々個別の第二光軸L2を対称軸とした線対称形のプロファイルを、有している。そして、かかる各第二仮想レンズ面341aからは、第二レンズ面部341が設定数ずつ断続的に抽出されている。尚、以上の他、滑らかな凸状境界部42e,42fが尖鋭な凸状境界部342e,342fに変わる以外は、第一実施形態の第二仮想レンズ面41a及び第二レンズ面部41を其々、第二仮想レンズ面341a及び第二レンズ面部341と読み替えた構成となる。
【0059】
このように、第三実施形態の各第二レンズ面部341は、基準方向Xとは傾斜することで一階微分までが可能なプリズムレンズ面状の第二仮想レンズ面341aから、一部分ずつ抽出した形状に形成される。故に、こうした第二レンズ面部341と第一レンズ面部40との交互配列構造342によれば、第一光軸L1から偏心によって離間した第二光軸L2上及びそれら光軸L1,L2間にて、第一及び第二レンズ面部40,341を通した出射光同士の重畳作用を現出させ得る。また、第一実施形態と同様の原理により、各第一レンズ面部40は、光源3の配置される第一光軸L1に沿って集光機能を発揮し得る。これらによれば、プリズムレンズ面状という単純形状を各第二レンズ面部341に付与して照明用レンズ304の設計又は製造を容易にしつつ、照度ムラを抑制することが可能となる。
【0060】
(第四実施形態)
図10〜12に示すように本発明の第四実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0061】
第四実施形態の照明ユニット402では、長手方向の基準方向Xに加えて、当該方向Xに直交する短手方向の直交方向Yも、別の基準方向Yとして設定されている。ここで基準方向Xは、第一実施形態と同様に各交互配列構造42をなす第一及び第二レンズ面部40,41が照明用レンズ404の出射面404bにて配列される、出射面側基準方向Xである。また一方で基準方向Yは、第一実施形態に準じて各交互配列構造42をなす第一及び第二レンズ面部40,41が照明用レンズ404の入射面404aにて配列される、入射面側基準方向Yである。
【0062】
このような照明ユニット402では、複数(本実施形態では九つ)の光源403が出射面側基準方向Xと入射面側基準方向Yとに分けて、二次元配列されている。即ち、出射面側基準方向Xに沿って視たとき、第一光軸L1上の光源403が所定数(本実施形態では三つ)ずつ並ぶ光源列は、入射面側基準方向Yに複数列(本実施形態では三列)となるよう、設けられている。また一方、入射面側基準方向Yに沿って視たときには、第一光軸L1上の光源403が所定数(本実施形態では三つ)ずつ並ぶ光源列は、出射面側基準方向Xに複数列(本実施形態では三列)となるよう、設けられている。
【0063】
こうした第四実施形態によると、照明用レンズ404のうち出射面側基準方向Xに沿って配列される光源403からの入射光を出射する出射面404bには、当該方向Xにおける第一及び第二レンズ面部40,41の交互配列構造42が設けられる。故に出射面側基準方向Xでは、第一及び第二光軸L1,L2間での出射光同士の重畳作用が現出し得る。また、照明用レンズ404のうち出射面側基準方向Xと直交した入射面側基準方向Yに沿って配列される光源403から、光の入射する入射面404aには、当該方向Yにおける第一及び第二レンズ面部40,41の交互配列構造42が設けられる。故に入射面側基準方向Yでも、第一及び第二光軸L1,L2間での出射光同士の重畳作用が現出し得る。これらによれば、出射面側基準方向Xと入射面側基準方向Yとに二次元配列された複数光源3からの光を利用して、表示器5のうち照度ムラの抑制される面積を可及的に拡大可能となる。
【0064】
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それら実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0065】
具体的に、第一〜第三実施形態に関する変形例1では、
図13に示すように、交互配列構造42,242,342を、出射面4bに設ける代わりに、入射面4aに設けてもよい。尚、
図13は、第三実施形態に関する変形例1を示している。
【0066】
第一〜第三実施形態及び変形例1に関する変形例2では、
図14,15に示すように、出射面4b及び入射面4aのうち交互配列構造42,242,342を設けない一方の面に、一仮想レンズ面44aを直交方向Yにおいて分割抽出してなる通常のフレネルレンズ面部44の複数を、設けてもよい。尚、
図14,15は、第一実施形態に関する変形例2を示している。
【0067】
第一、第二及び第四実施形態に関する変形例3では、
図16に示すように、相異なるプロファイルの第一仮想レンズ面40a,240aと第二仮想レンズ面41a,241aとから、第一レンズ面部40,240と第二レンズ面部41,241とを抽出してもよい。尚、
図16は、第一実施形態に関する変形例3として、第一仮想レンズ面40a,240aとは曲率の異なる第二仮想レンズ面41a,241aを規定することで、それら第一及び第二仮想レンズ面同士のプロファイルを相異ならせた例を、示している。
【0068】
第三実施形態に関する変形例4では、
図17に示すように、凸レンズ面状の第一仮想レンズ面40aから抽出の第一レンズ面部40に代えて、第二実施形態に準じた凹レンズ面状の第一仮想レンズ面240aから抽出の第一レンズ面部240を、設けてもよい。尚、17の変形例4において各第二仮想レンズ面341aは、基準方向Xに対して谷形に傾斜することで、同方向Xに沿う断面にて一階微分までが可能なプリズムレンズ面状に、規定されている。また、第四実施形態に関する変形例5では、第二又は第三実施形態に準ずる交互配列構造242,342を、出射面404b及び入射面404aの双方に設けてもよい。
【0069】
第一〜第四実施形態に関する変形例6では、第一光軸L1を挟んで非対称のプロファイルとなる凸又は凹面状の第一仮想レンズ面40a,240aから、第一レンズ面部40,240を抽出してもよい。また、第一〜第四実施形態に関する変形例7では、第一光軸L1上にて第一レンズ面部40,240同士を、非対称に隣接させてもよい。
【0070】
第一〜第四実施形態に関する変形例8では、第二光軸L2を挟んで非対称のプロファイルとなる凸又は凹又はプリズムレンズ面状の第二仮想レンズ面41a,241a,341aから、第二レンズ面部41,241,341を抽出してもよい。また、第一〜第四実施形態に関する変形例9では、第二光軸L2上にて第二レンズ面部41,241,341同士を、非対称に隣接させてもよい。
【0071】
第一〜第四実施形態に関する変形例10では、光源3,403の数を、説明したもの以外となる単数又は複数に設定してもよい。また、この変形例10の場合、光源3,403の数に応じて、交互配列構造42,242,342の数も、説明したもの以外となる単数又は複数に設定してもよい。
【0072】
第一〜第四実施形態に関する変形例11では、一交互配列構造42,242,342においてレンズ面部対が基準方向Xに並ぶ数を、説明したもの以外となる複数に設定してもよい。また、第一〜第四実施形態に関する変形例12では、第一レンズ面部40と第二レンズ面部41との対から構成される各レンズ面部対の幅Wpを、相異ならせてもよい。
【0073】
第一〜第四実施形態に関する変形例13では、各第一レンズ面部40,240の幅W1を、第一光軸L1に近い第一レンズ面部40,240ほど狭くなるように、又は一定幅に設定してもよい。また、第一〜第四実施形態に関する変形例14では、第一レンズ面部40,240の幅W1に応じて、各第二レンズ面部41,241,341の幅W2を、第二光軸L2に近い第二レンズ面部41,241,341ほど狭くなるように、又は一定幅に設定してもよい。
【0074】
第一〜第四実施形態に関する変形例15では、車両8の「表示部材」として、ウインドシールド81以外の要素、例えばウインドシールド81の室内側の面に貼りつけた又はウインドシールド81とは別体に形成されたコンバイナ等を、採用してもよい。
【0075】
第一〜第四実施形態に関する変形例16では、車両8以外の船舶乃至は飛行機等の各種移動体に搭載されるHUD装置1、又は当該装置1が備える照明ユニット2,402若しくは照明用レンズ4,204,304,404に、本発明を適用してもよい。あるいは、第一〜第四実施形態に関する変形例17では、HUD装置1以外において使用される照明ユニット2,402若しくは照明用レンズ4,204,304,404に、本発明を適用してもよい。