特許第6237270号(P6237270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6237270画像形成装置,プログラム,およびシート搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237270
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】画像形成装置,プログラム,およびシート搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20171120BHJP
   B41J 13/00 20060101ALI20171120BHJP
   B65H 31/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   B41J13/00
   B65H31/02
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-14335(P2014-14335)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-139951(P2015-139951A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴史
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−150174(JP,A)
【文献】 実開平01−159661(JP,U)
【文献】 特開2002−249273(JP,A)
【文献】 特開2006−001680(JP,A)
【文献】 特開2010−222091(JP,A)
【文献】 特開2005−350156(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0031678(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 13/00
B65H 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送部と,
前記搬送部によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と,
前記搬送部によって前記画像形成部を経由して搬送されたシートを積載する排紙トレイと,
前記排紙トレイに対応する高さ方向の位置がそれぞれ異なる複数の排紙口と,
前記排紙トレイ上のシートを前記複数の排紙口の各々に対応付けて検知する検知部と,
制御部と,
を備え,
前記制御部は,
前記検知部の検知結果に基づいて,前記排紙トレイに所定量のシートが積載されたことの条件を満たすか否かを判断する判断処理であって,排紙口ごとに前記条件を満たすか否かを判断し,さらに排紙口ごとに前記条件の所定量の値が異なる前記判断処理と,
前記判断処理の判断結果に基づいて,前記複数の排紙口のうちシートを排出する実行排紙口を決定する決定処理であって,前記条件を満たしていない排紙口の1つを、前記実行排紙口に決定する前記決定処理と,
を実行し、
前記決定処理では,前回の実行排紙口よりも下方に位置し,前回は前記条件を満たしていた排紙口が,今回は前記条件を満たしていない状態である場合,当該排紙口を今回の実行排紙口に決定し,
前記決定処理にて決定された今回の実行排紙口が前回の実行排紙口よりも下方に位置する場合,前記搬送部が搬送するシートの間隔を広げる調整処理をさらに実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
前記制御部は,
前記決定処理では,前回は前記条件を満たしていない状態であり,今回は前記条件を満たしている状態である場合,前回の実行排紙口よりも上方に位置する排紙口を今回の実行排紙口に決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
前記制御部は,
前記決定処理では,前記条件を満たしていない排紙口のうち最も下方の排紙口を,前記実行排紙口に決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記制御部は,
前記排紙トレイに積載されたシートの量が閾値を超えているか否かを判断する過積載判断処理と,
前記過積載判断処理にてシートの量が前記閾値を超えていると判断された場合に,前記搬送部によるシートの搬送を停止させる停止処理と,
を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
シートを搬送する搬送部と,
前記搬送部によって搬送されたシートを積載する排紙トレイと,
前記排紙トレイに対応する高さ方向の位置がそれぞれ異なる複数の排紙口と,
前記排紙トレイ上のシートを前記複数の排紙口の各々に対応付けて検知する検知部と,
を備える装置に,
前記検知部の検知結果に基づいて,前記排紙トレイに所定量のシートが積載されたことの条件を満たすか否かを判断する判断処理であって,排紙口ごとに前記条件を満たすか否かを判断し,さらに排紙口ごとに前記条件の所定量の値が異なる前記判断処理と,
前記判断処理の判断結果に基づいて,前記複数の排紙口のうちシートを排出する実行排紙口を決定する決定処理であって,前記条件を満たしていない排紙口の1つを、前記実行排紙口に決定する前記決定処理と,
を実行させ
前記決定処理では,前回の実行排紙口よりも下方に位置し,前回は前記条件を満たしていた排紙口が,今回は前記条件を満たしていない状態である場合,当該排紙口を今回の実行排紙口に決定し,
前記決定処理にて決定された今回の実行排紙口が前回の実行排紙口よりも下方に位置する場合,前記搬送部が搬送するシートの間隔を広げる調整処理をさらに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
シートを搬送する搬送部と,
前記搬送部によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と,
前記搬送部によって前記画像形成部を経由して搬送されたシートを積載する排紙トレイと,
前記排紙トレイに対応する高さ方向の位置がそれぞれ異なる複数の排紙口と,
前記排紙トレイ上のシートを前記複数の排紙口の各々に対応付けて検知する検知部と,
を備える画像形成装置のシート搬送方法であって,
前記検知部の検知結果に基づいて,前記排紙トレイに所定量のシートが積載されたことの条件を満たすか否かを判断する判断ステップであって,排紙口ごとに前記条件を満たすか否かを判断し,さらに排紙口ごとに前記条件の所定量の値が異なる前記判断ステップと,
前記判断ステップの判断結果に基づいて,前記複数の排紙口のうちシートを排出する実行排紙口を決定する決定ステップであって,前記条件を満たしていない排紙口の1つを、前記実行排紙口に決定する前記決定ステップと,
を含み、
前記決定ステップでは,前回の実行排紙口よりも下方に位置し,前回は前記条件を満たしていた排紙口が,今回は前記条件を満たしていない状態である場合,当該排紙口を今回の実行排紙口に決定し,
前記決定ステップにて決定された今回の実行排紙口が前回の実行排紙口よりも下方に位置する場合,前記搬送部が搬送するシートの間隔を広げる調整ステップをさらに含むことを特徴とするシート搬送方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成装置に関する。さらに詳細には,1つの排紙トレイに対して複数の排紙口がある装置において,シートを排紙トレイに排出する画像形成装置,プログラム,およびシート搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,シートを装置内から装置外に搬送する装置において,複数の排紙口を備える装置が知られている。例えば,特許文献1には,複数の排紙口と,各排紙口に対応し,装置本体から着脱可能な排紙トレイとを備えた画像形成装置であって,排紙トレイが取り外された排紙口からの排紙を制限する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−249273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,1つの排紙トレイに対して複数の排紙口からの排紙が可能な装置について,排紙制御に改善の余地がある。例えば特許文献1では,排紙トレイが取り外された状態の場合,上方に位置する排紙口からの排紙を制限される。そのため,複数の排紙口を有効に活用できていない。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,1つの排紙トレイに対して複数の排紙口がある装置において,その複数の排紙口を有効活用できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,シートを搬送する搬送部と,前記搬送部によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と,前記搬送部によって前記画像形成部を経由して搬送されたシートを積載する排紙トレイと,前記排紙トレイに対応する高さ方向の位置がそれぞれ異なる複数の排紙口と,前記排紙トレイ上のシートを検知する検知部と,制御部とを備え,前記制御部は,前記検知部の検知結果に基づいて,前記排紙トレイに所定量のシートが積載されたことの条件を満たすか否かを判断する判断処理と,前記判断処理の判断結果に基づいて,前記複数の排紙口のうちシートを排出する実行排紙口を決定する決定処理とを実行することを特徴としている。
【0007】
本明細書に開示される画像形成装置は,高さ方向の位置がそれぞれ異なる複数の排紙口と,排紙トレイに対応する排紙トレイとを備える。つまり,複数の排紙口のいずれかから排出されたシートが,排紙トレイに積載される。また,画像形成装置は,排紙トレイに積載されているシートを検知する検知部を備え,検知部の検知結果に基づいて,排紙トレイに所定量のシートが積載されたことの条件を満たすか否かを判断する。さらに,その判断結果に基づいて,複数の排紙口のうちシートを排出する実行排紙口を決定する。なお,所定量は,例えば,各排紙口ごとに満杯であると判断できる量であればよい。また,検知部は,排紙口個々に配置して検知してもよいし,1つの検知部によって検知してもよい。また,検知部は,反射型フォトセンサや距離センサ等によって,シート束の高さを検知してもよいし,重量センサ等によってシート束の重さを検知してもよい。また,実行排紙口の決定は,シート1枚の搬送ごとに実行してもよいし,所定枚数の搬送ごとに実行してもよいし,ジョブ単位で実行してもよい。
【0008】
すなわち,本明細書に開示される画像形成装置によれば,検知部の検知結果に基づいて,排紙トレイに所定量のシートが積載されたか否かが判断される。さらに,その判断結果に基づいて排出する排紙口を決定することで,1つの排紙トレイに対して複数の排紙口がある装置において,好適な排紙口の利用が期待できる。
【0009】
また,前記制御部は,前記決定処理では,前回は前記条件を満たしていない状態であり,今回は前記条件を満たしている状態である場合,前回の実行排紙口よりも上方に位置する排紙口を今回の実行排紙口に決定するとよい。所定量のシートが積載された場合には前回より上方の排紙口に切り換えることで,排紙の際の用紙詰まりを抑制できる。なお,今回の実行排紙口は,前回の実行排紙口よりも上方であればよく,例えば直上の排紙口であってもよいし,直上より上位の排紙口であってもよい。
【0010】
また,前記検知部は,前記複数の排紙口の各々に対応付けてシートを検知し,前記制御部は,前記判断処理では,排紙口ごとに前記条件を満たすか否かを判断し,さらに排紙口ごとに前記条件の所定量の値が異なり,前記決定処理では,前記条件を満たしていない排紙口の1つを,前記実行排紙口を決定するとよい。排紙口個々に条件を変えて,排紙口個々に条件を満たすか否かを判断することで,より適切な排紙口の制御が期待できる。例えば,上方に位置する排紙口ほど所定量の値が大きいとすれば,排紙口個々に満杯であるか否かを判断できる。
【0011】
また,前記制御部は,前記決定処理では,前記条件を満たしていない排紙口のうち最も下方の排紙口を,前記実行排紙口に決定するとよい。実行排紙口を,満杯ではない最も下方の排紙口に決定することで,排紙されるシートの排紙トレイに積載されるまでの落下量が少なくなり,積載状態の悪化を抑制できる。
【0012】
また,前記制御部は,前記決定処理では,前回の実行排紙口よりも下方に位置し,前回は前記条件を満たしていた排紙口が,今回は前記条件を満たしていない状態である場合,当該排紙口を今回の実行排紙口に決定するとよい。排紙トレイに積載されたシート束をユーザが取り出した等,下方に位置する排紙口で条件を満たさなくなった場合には,その排紙口に切り換えることで,排紙されるシートの排紙トレイへの落下量が少なくなり,積載状態の悪化を抑制できる。
【0013】
また,前記制御部は,前記決定処理にて決定された今回の実行排紙口が前回の実行排紙口よりも下方に位置する場合,前記搬送部が搬送するシートの間隔を広げる調整処理を実行するとよい。下方の排紙口に切り換えた場合には,シートの間隔を広げて排出を遅らせることで,上方の排紙口から排紙される先行のシートとの順番が逆転してしまうことの抑制が期待できる。なお,調整量は,固定値であっても,搬送速度や排紙口間の距離等に応じて計算される可変値であってもよい。
【0014】
また,前記制御部は,前記排紙トレイに積載されたシートの量が閾値を超えているか否かを判断する過積載判断処理と,前記過積載判断処理にてシートの量が前記閾値を超えていると判断された場合に,前記搬送部によるシートの搬送を停止させる停止処理とを実行するとよい。これにより,排紙トレイの強度以上に積載される状態を抑制できる。
【0015】
また,本明細書には,シートを搬送する搬送部と,前記搬送部によって搬送されたシートを積載する排紙トレイと,前記排紙トレイに対応する高さ方向の位置がそれぞれ異なる複数の排紙口と,前記排紙トレイ上のシートを検知する検知部とを備える装置に,前記検知部の検知結果に基づいて,前記排紙トレイに所定量のシートが積載されたことの条件を満たすか否かを判断する判断処理と,前記判断処理の判断結果に基づいて,前記複数の排紙口のうちシートを排出する実行排紙口を決定する決定処理とを実行させるプログラムが開示されている。
【0016】
また,本明細書には,シートを搬送する搬送部と,前記搬送部によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と,前記搬送部によって前記画像形成部を経由して搬送されたシートを積載する排紙トレイと,前記排紙トレイに対応する高さ方向の位置がそれぞれ異なる複数の排紙口と,前記排紙トレイ上のシートを検知する検知部とを備える画像形成装置のシート搬送方法であって,前記検知部の検知結果に基づいて,前記排紙トレイに所定量のシートが積載されたことの条件を満たすか否かを判断する判断ステップと,前記判断ステップの判断結果に基づいて,前記複数の排紙口のうちシートを排出する実行排紙口を決定する決定ステップとを含むシート搬送方法が開示されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,1つの排紙トレイに対して複数の排紙口がある装置において,その複数の排紙口を有効活用できる技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態にかかるプリンタの概略構成を示す断面図である。
図2】シートセンサを示す説明図である。
図3】シートセンサを示す説明図である。
図4】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図5】排出口の切り換えの例を示す説明図である。
図6】第1の形態のシート搬送処理の手順を示すフローチャートである。
図7】実行排紙口決定処理の手順を示すフローチャートである。
図8】排紙トレイの例を示す説明図である。
図9】第2の形態のシート搬送処理の手順を示すフローチャートである。
図10】過積載判断処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,画像形成機能を備えたプリンタに本発明を適用したものである。
【0020】
本形態のプリンタ100は,図1に示すように,シートに画像を印刷する画像形成部10と,シートを搬送する搬送部11と,シートを収容する給紙トレイ12と,排出されたシートを積載する排紙トレイ13とを有する。画像形成部10は,シートに画像を形成する。画像形成部10の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
【0021】
画像形成時には,プリンタ100は,シートを給紙トレイ12から引き出し,画像形成部10を経由して印刷させ,印刷済みのシートを排紙トレイ13に排出する。そのために,搬送部11は,画像形成部10を経由する搬送経路14に沿って,シートを搬送する。図1では,シートの搬送経路14を,一点鎖線で示している。なお,搬送部11は,図1中に符号を付したローラのみではなく,給紙トレイ12から排紙トレイ13まで,シートを搬送する各種の部材を含む総称である。
【0022】
本形態のプリンタ100は,図1に示すように,排紙トレイ13に排出するためのシートの出口として,高さ方向の位置が異なる複数の排紙口21,22,23を有している。本形態では,高さ位置が低いものから順に排紙口21,22,23とする。そして,排紙トレイ13は,排紙口21,22,23のいずれよりも高さ方向の下方に位置する。つまり,複数の排紙口21,22,23のうちのいずれから排出されたシートも,排紙トレイ13の上に積載される。
【0023】
本形態のプリンタ100は,さらに,各排紙口21,22,23にそれぞれ対応するシートセンサ25,26,27を有している。各シートセンサ25,26,27は,対応する排紙口21,22,23と同じかそれより高い位置に配置され,排紙トレイ13に積載されているシートを検知する。各シートセンサは,例えば,反射型フォトセンサであり,それぞれ所定の高さ位置におけるシートの有無を検知する。つまり,各シートセンサ25,26,27は,検知する高さがそれぞれ異なる。
【0024】
具体的には,各シートセンサは,それぞれの対応する排紙口によって適切に排出可能な最大の高さまで,シートが積載されているか否かを検知する。例えば,図2に示すように,シートセンサ25は,排紙トレイ13に積載されているシートの最上部の高さが,排紙口21の高さ以上である場合にオンとなり,排紙口21より低い場合にはオフとなる。同様に,シートセンサ26は,排紙口22の高さ位置におけるシートの有無を検知する。シートセンサ27は,排紙口23の高さ位置におけるシートの有無を検知する。各シートセンサは,検知部の一例である。
【0025】
なお,シートセンサ25,26,27がオフからオンに切り替わる時のシートの最上部の高さは,対応する排紙口21,22,23の高さそのものでなくてもよい。各シートセンサによる検知結果に基づいて,対応する排紙口からのシートの排出に対して障害となるおそれがある高さまでシートが積載されたか否かの判断ができればよい。そのため,図1に示したように斜面で湾曲した排紙トレイ13では,その検知箇所によって検知対象の高さは異なる可能性がある。また,シートセンサ25,26,27にてシートを検知した後,さらに所定枚数のシートを排出した場合に,それ以上は排出できないと判断できる高さを検知してもよい。
【0026】
以下では,次回の排出の障害となる高さまでシートが積載された状態を,その排紙口が満杯であるとする。プリンタ100は,各シートセンサの結果に基づいて,対応する排紙口が満杯となる所定量のシートが,排紙トレイ13に積載されたか否かを判断する。
【0027】
なお,本形態のプリンタ100では,各排紙口が満杯であるか否かを判断できればよい。そこで,例えば,図3に示すように,シートセンサ25,26,27に代えて,距離センサ29としてもよい。距離センサ29は,センサの位置からシートの上面までの距離を取得できる反射型センサであり,全ての排紙口より上方に配置されている。プリンタ100は,距離センサ29にて検知されたシートまでの距離を,排紙口ごとに設定されている所定値と比較することにより,各排紙口が満杯であるか否かを判断できる。この距離センサ29も,検知部の一例である。
【0028】
また,排紙トレイ13にシートを排出する排紙口の数は,3つに限らず,2つでもよいし,4つ以上でもよい。また,給紙トレイ12は,図1に示したような多段トレイでもよいし,1段のみのトレイであってもよい。また,プリンタ100は,排紙トレイ13以外にも,排出されたシートを積載する箇所を有していてもよい。
【0029】
続いて,プリンタ100の電気的構成について説明する。プリンタ100は,図4に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(不揮発性RAM)34と,ASIC35とを含むコントローラ30を備えている。また,プリンタ100は,画像形成部10と,シートセンサ25と,シートセンサ26と,シートセンサ27と,ネットワークインターフェース37と,USBインターフェース38と,操作パネル40とを備え,これらがコントローラ30に電気的に接続されている。
【0030】
ROM32には,プリンタ100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは,データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素を制御する。
【0031】
CPU31は,制御部の一例である。なお,コントローラ30が制御部であってもよいし,ASIC35が制御部であってもよい。なお,図4中のコントローラ30は,CPU31等,プリンタ100の制御に利用されるハードウェアを纏めた総称であって,実際にプリンタ100に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0032】
ネットワークインターフェース37は,LANケーブル等を用いてネットワークを介して接続された装置と通信を行うためのハードウェアである。USBインターフェース38は,USBケーブル等を介して接続された装置と通信を行うためのハードウェアである。また,操作パネル40は,ユーザに向けた各種の表示を行うとともに,ユーザによる指示入力を受け付ける。
【0033】
続いて,本形態のプリンタ100における印刷動作について説明する。本形態のプリンタ100は,印刷動作に際して,シート1枚ごとに,シートの搬送を開始する前に,シートを排出する排紙口である実行排紙口を決定する。
【0034】
本形態のプリンタ100は,印刷済みのシートを排紙トレイ13に排出する印刷ジョブを受け付けると,複数の排紙口21,22,23のうちから1つを選択して,シートを排出する実行排紙口に決定する。具体的には,既に満杯となっている排紙口以外の排紙口のうち,最も低い位置にある排紙口を実行排紙口に決定する。
【0035】
つまり,最も下方に配置されたシートセンサ25がオフである場合には,最下方の排紙口である排紙口21を実行排紙口とする。シートセンサ25がオンで,直上のシートセンサ26がオフであれば,直上の排紙口22を実行排紙口とする。シートセンサ25がオンで,シートセンサ26もオンであり,シートセンサ27がオフであれば,最上位の排紙口23を実行排紙口とする。なお,シートセンサ25,26,27がいずれもオンであれば,全ての排紙口21,22,23が満杯であり,シートの排出を実行しない。
【0036】
仮に,既に満杯となっている排紙口からシートを排出すると,新たに排出したシートが積載済みのシートに衝突し,しわやジャムの原因となるので好ましくない。また,仮に,積載済みのシートの最上面より離れて高い位置の排出口から排出すると,排出後に排紙トレイ13に積載されるまでの移動距離が長く,シートの整合性の悪化の原因となるので好ましくない。前述したように実行排紙口を決定することで,シートの積載状態の悪化やジャムの発生を抑制して,1つの排紙トレイ13に多量のシートを適切に積載させることができる。
【0037】
さらに,プリンタ100は,連続して複数枚のシートに印刷する印刷ジョブの実行時には,ジョブの開始時のみでなく,ジョブ中にもシートセンサ25,26,27の検知結果に応じて,実行排出口を切り換える。例えば,1枚の印刷ごと,または,数枚の印刷ごとに,実行排紙口を決定し,前回の実行排紙口が満杯となった場合には,図5に示すように,実行排紙口を上方の排紙口に切り換える。
【0038】
具体的には,プリンタ100は,印刷ジョブの開始時に,最下方の排紙口21が満杯でなければ,図5(A)に示すように,シートを排紙口21から排出する。そして,印刷ジョブの途中で排紙口21が満杯となった後は,図5(B)に示すように,一つ上の排紙口22から排出する。さらに,排紙口22が満杯となったら,排紙口23から排出する。これにより,複数の排紙口を有効に活用できる。
【0039】
一方,排紙トレイ13に積載されているシートがユーザによって持ち去られた場合,シートの最上位の高さは減少する。そのため,前回はオンであったシートセンサの検知結果が,今回はオフに変化している場合がある。前回の印刷時に実行排紙口とした排紙口よりも下方の排紙口に対応するシートセンサがオフである場合には,実行排紙口を,下方の排紙口に切り換える。
【0040】
続いて,第1の形態のプリンタ100における印刷実行時に実行排紙口を決定してシートを搬送する動作を実現するシート搬送処理の手順について,図6のフローチャートを参照して説明する。このシート搬送処理は,プリンタ100にて印刷を実行する指示を受け付け,1枚のシートへの印刷動作を開始することを契機にCPU31によって実行される。本形態では,プリンタ100は,印刷済みのシートを,印刷面を下向きにして,本体の上面に形成されている排紙トレイ13へ排出する。
【0041】
シート搬送処理を開始すると,まず,前回搬送したシートから所定の紙間が空いたか否かを判断する(S101)。連続して印刷する場合,プリンタ100の印刷速度に応じて,シート同士の間に所定の間隔を空けて搬送する必要がある。そこで,所定の紙間が空いていないと判断した場合は(S101:NO),所定の紙間が空くまで待つ。所定の紙間が空いたと判断したことに応じて(S101:YES),実行排紙口を決定するための実行排紙口決定処理を実行する(S102)。
【0042】
次に,実行排紙口決定処理の手順について,図7のフローチャートを参照して説明する。実行排紙口決定処理では,まず,各シートセンサ25,26,27の結果を取得する(S201)。
【0043】
そして,S201で取得した結果に基づいて,最下方の排紙口21が,満杯か否かを判断する(S202)。つまり,最下方の排紙口21に対応するシートセンサ25がオンであるか否かを判断する。シートセンサ25がオフであり,排紙口21が満杯ではないと判断したことに応じて(S202:NO),最下方の排紙口21を実行排紙口に決定して(S203),実行排紙口決定処理を終了する。
【0044】
一方,シートセンサ25がオンであり,排紙口21が満杯であると判断した場合は(S202:YES),満杯であった排紙口21の1つ上の排紙口22が,満杯であるか否かを判断する(S205)。つまり,最下方の排紙口21が満杯であった場合は,その直上の排紙口22に対応するシートセンサ26がオンであるか否かを判断する。そして,排紙口22が満杯でないと判断したことに応じて(S205:NO),排紙口22を実行排紙口に決定して(S206),実行排紙口決定処理を終了する。
【0045】
また,排紙口22が満杯であると判断した場合(S205:YES),さらに上方に排紙口があるか否かを判断する(S208)。さらに上方に排紙口があると判断した場合には(S208:YES),その排紙口についてS205を実行し,その排紙口が満杯であるか否かを判断する。
【0046】
全ての排紙口が満杯であって,それより上方には排紙口がないと判断した場合(S208:NO),実行排紙口を決定できない(S209)。つまり,この場合には,排紙できる排紙口がないので,実行排紙口を決定せずに,実行排紙口決定処理を終了する。なお,実行排紙口決定処理にて,満杯であるか否かを判断する処理(S202およびS205)は,判断処理の一例であり,その判断結果に基づいて実行排紙口を決定する処理(S203およびS206)は,決定処理の一例である。
【0047】
図6に戻り,S102の実行排紙口決定処理の結果,実行排紙口が決定したか否かを判断する(S103)。例えば,図7のS209にて,実行排紙口を決定できなかった場合は(S103:NO),印刷しても印刷済みのシートを適切に排出できない可能性がある。そのため,印刷を実行しないこととする。さらに,すべての排紙口が満杯であることを報知し(S104),シート搬送処理を終了する。なお,排紙トレイ13以外にも排紙トレイを有しているプリンタであれば,他の排紙トレイに排出するとしてもよい。
【0048】
また,実行排紙口決定処理にて実行排紙口が決定したと判断した場合(S103:YES),今回決定された実行排紙口が前回の印刷時の実行排紙口より下方にあるか否かを判断する(S106)。例えば,ユーザによってシートを持ち去られた場合には,前回の実行排紙口よりも下方の排紙口が,今回の実行排紙口に決定される。
【0049】
今回の実行排紙口が,前回の実行排紙口より下方ではないと判断したことに応じて(S106:NO),シートを給紙する動作を開始して(S109),シート搬送処理を終了する。プリンタ100は,印刷を実行し,印刷済のシートを,実行排紙口決定処理にて決定された実行排紙口に排出する。
【0050】
一方,前回より今回の実行排紙口の方が下方であると判断したことに応じて(S106:YES),S101にて設けた紙間に追加して,さらに紙間を空ける。仮に,追加の紙間を空けないと,前回の上方の実行排紙口から排出された前回のシートが排紙トレイ13に積載される前に,それより下方の排紙口から今回のシートの先端が排出される可能性がある。このようになると,シート同士が当たってシートの整合性が悪化したり,積載後のシートの順序が逆転したりする不都合が発生するおそれがある。
【0051】
そこで,プリンタ100では,実行排紙口を前回より下方へ切り換えた時には,排紙口を切り換えない場合,および,上方へ切り換えた場合のいずれよりも紙間を大きくする。これにより,シート同士の間隔を広げて排出する。
【0052】
具体的に,余分に紙間を空けるために,追加分の紙間が空くだけの時間が経過したか否かを判断する(S107)。追加分の紙間が空いていないと判断した場合には(S107:NO),紙間が空くまで待つ。なお,追加分の紙間の量は,固定値であっても,搬送速度や排紙口間の距離等に応じて計算される可変値であってもよい。S107にて紙間を広げる処理は,調整処理の一例である。そして,紙間が空いたと判断したことに応じて(S107:YES),シートを給紙する動作を開始して(S109),シート搬送処理を終了する。
【0053】
以上詳細に説明したように,第1の形態のプリンタ100は,高さ方向の位置がそれぞれ異なる複数の排紙口21,22,23と,各排紙口に対応する複数のシートセンサ25,26,27とを備え,排紙トレイ13にシートを排出する。そして,プリンタ100は,各シートセンサ25,26,27の検知結果に基づいて,対応する排紙口21,22,23が満杯か否かを判断し,その判断結果に基づいて,シートを排出する排紙口である実行排紙口を決定する。従って,1つの排紙トレイに対して複数の排紙口があっても,シートを排出するのに好適な排紙口が選択されるので,複数の排紙口を有効活用できる。
【0054】
続いて,第2の形態のプリンタ100について説明する。第2の形態のプリンタ100は,図8に示すように,一端側のみが本体に取り付けられ,他端側が支持されていない板状の排紙トレイ16を備え,排紙口21,22,23から排出されたシートを排紙トレイ16に積載する。図8に示す例は,着脱可能な複数のトレイを有するプリンタにおいて,上2段のトレイを取り外した状態である。このような構成でも,各排紙口21,22,23のうちいずれかから排出されたシートを排紙トレイ16に積載することができる。
【0055】
第2の形態のプリンタ100では,1つの排紙トレイ16に多量のシートが積載される可能性がある。そのため,本形態では,排紙トレイ16の強度を考慮して,実行排紙口を決定する。なお,第1の形態のプリンタ100のように,本体の上面に形成されている排紙トレイ13を使用する場合には,積載されるシートの種類や大きさに関わらず,トレイの強度は充分であると推測できる。
【0056】
次に,第2の形態のプリンタ100におけるシート搬送動作を実現するシート搬送処理の手順について,図9のフローチャートを参照して説明する。本形態では,排紙トレイ16の強度を考慮する点で第1の形態とは異なる。第1の形態と同じ処理については同じ符号を付し,説明を省略する。
【0057】
第2の形態のプリンタ100は,シート搬送処理を開始すると,まず,トレイの強度の範囲内で今回のシートを排出できるか否かを判断する過積載判断処理を実行する(S301)。過積載判断処理の手順について,図10のフローチャートを参照して説明する。
【0058】
過積載判断処理では,まず,今回排出するシートのポイントを取得する(S401)。ポイントは,排紙トレイ16に積載されているシートの量を数値化するためのものである。プリンタ100は,ポイントの合計値が,排紙トレイ16に設定した所定の閾値を超えていると判断した場合には,それ以上のシートを排紙トレイ16に排出しない。
【0059】
各シートのポイントは,シートの種類と大きさとに応じて,予め決められている。例えば,A4サイズの普通紙では1枚1ポイント,リーガルサイズの普通紙では,1枚1.5ポイントとする。シートの重量が大きいほど,積載可能な枚数は少なく,1枚ごとのポイントは大きい。また,シートの搬送方向の大きさが大きいシートほど,1枚ごとのポイントは大きい。これは,一端側のみで本体に取り付けられている排紙トレイ16では,他端側に掛かる重量は,一端側に掛かる重量に比較して,取り付け箇所に加わる重量モーメントが大きく,強度への影響が大きいからである。つまり,同じ重さのシートであっても,シート搬送方向の大きさが大きいほど,積載可能な枚数は少ない。
【0060】
次に,現時点で排紙トレイ16に積載されているシートの有無を判断する(S403)。この判断は,シートセンサ25にて行ってもよいし,別のセンサを用いて行ってもよい。積載されているシートが無いと判断したことに応じて(S403:NO),S401にて取得したポイントを記憶して(S404),過積載判断処理を終了する。つまり,今までのポイントはクリアされ,今回のシートのポイントのみが記憶される。
【0061】
排紙トレイ16に既にシートが積載されている場合には,積載されているシートの分のポイントが記憶されているので,ポイントを読み出す(S406)。そして,読み出したポイントに,S401にて取得した今回のシートのポイントを加算する(S407)。さらに,S407にて得られたポイントの合計値が,予め決められている閾値より大きいか否かを判断する(S408)。ポイントが閾値より大きくないと判断したことに応じて(S408:NO),ポイントの合計値を記憶して(S409),過積載判断処理を終了する。
【0062】
一方,ポイントの合計値が閾値より大きいと判断した場合(S408:YES),過積載となるおそれがあるので,今回のシートを排紙トレイ16に積載することは好ましくない。そこで,ポイントの合計値が閾値より大きいと判断したことに応じて,過積載であると決定して(S410),過積載判断処理を終了する。
【0063】
図9に戻り,S301の過積載判断処理の後,過積載と決定したか否かを判断する(S302)。過積載判断処理をS404またはS409を経て終了した場合は,過積載ではないと判断されている。過積載ではないと判断したことに応じて(S302:NO),第1の形態と同様に,実行排紙口を決定する。
【0064】
つまり,所定の紙間を空くのを待ち(S101),実行排紙口決定処理を実行する(S102)。S102以下の処理および,実行排紙口決定処理の手順は,第1の形態と同様である。第2の形態では,各排紙口21,22,23から排出されたシートは,排紙トレイ16へ積載される点のみが第1の形態と異なる。
【0065】
一方,過積載と判断した場合には,今回のシートを排紙トレイ16へ排出しない。そこで,過積載であると判断したことに応じて(S302:YES),過積載であることを報知し(S303),シート搬送処理を終了する。つまり,シートの搬送を停止し,印刷を実行しない。S303にてシートの搬送を停止する処理は,停止処理の一例である。なお,排紙トレイ16以外にも排紙トレイを有しているプリンタであれば,他の排紙トレイに排出するとしてもよい。
【0066】
以上,詳細に説明したように,第2の形態のプリンタ100によれば,第1の形態のプリンタ100と同様に,複数の排紙口を有効活用できる。さらに,第2の形態では,排紙トレイ16の強度を考慮して実行排紙口を決定するので,排紙トレイ16の強度以上に積載される状態を抑制できる。
【0067】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタに限らず,複写機,複合機,FAX装置等,画像形成機能を備えるものであれば適用可能である。
【0068】
また,例えば,複数の排紙口を備えて,搬送するシートをその複数の排紙口のいずれかから排出して排紙トレイに積載する装置であれば,画像形成機能を備えていなくてもよい。例えば,画像形成装置に装着して使用されるフィニッシャ等にも適用可能である。
【0069】
また,シートセンサは,各排紙口に対応する所定量のシートが積載されたか否かを検知できればよく,シートセンサの数や検知方式は上記の形態のものに限らない。例えば,排紙トレイ13に重量センサを備え,積載されているシートの重量に基づいて,各排紙口が満杯であるか否かを判断してもよい。
【0070】
また,シートセンサに代えて使用できる距離センサとしては,図3に例示した反射型の距離センサ29に限るものではない。例えば,透過型のセンサを用いてもよいし,アクチュエータ等を用いて物理的に,積載されているシートの上面の位置を検知してもよい。
【0071】
また,例えば,第2の形態では,シートの種類や大きさごとに異なる値のポイントを加算するとしたが,ポイントは単に枚数とし,シートの種類や大きさによって閾値を異なる値としてもよい。例えば,重量の大きいシートを使用する印刷では,重量の小さいシートより積載可能な枚数の閾値を小さくすればよい。また,用紙長の長いシートを使用する印刷では,用紙長の短いシートより積載可能な枚数の閾値を小さくすればよい。
【0072】
また,上記の形態では,シート1枚の搬送ごとにシート搬送処理を実行し,シート1枚ごとに実行排紙口を決定するとしたが,所定枚数の搬送ごとに実行排紙口を決定してもよいし,ジョブ単位で決定してもよい。
【0073】
また,上記の形態では,下方の排紙口が満杯となったら上方の排紙口に切り換えて排出し,下方の排紙口が満杯でなくなったら下方の排紙口に切り換えて排出するとしたが,これらのいずれか一方の処理のみを備えるものでもよい。例えば,下方から上方への切り換えのみを実行するプリンタであってもよい。あるいは,上方から下方への切り換えのみを実行するプリンタであってもよい。ただし,いずれの方向への切り換えをも可能とすれば,最も適切な排紙口を選択することができるので好ましい。
【0074】
また,上記の形態では,排紙口が満杯となったら,直上の排紙口に切り換えるとしたが,上方の排紙口であれば直上ではなくてもよい。また,下方へ切り換える場合も,満杯ではない最も下方の排紙口を選択しているが,最も下方でなくてもよい。要するに,前回の実行排紙口の位置とは関わりなく,満杯ではない排紙口を今回のシートの実行排紙口とすればよい。
【0075】
また,実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 画像形成部
11 搬送部
13,16 排紙トレイ
21,22,23 排紙口
25,26,27 シートセンサ
31 CPU
100 プリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10