(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開設工程では、前記通路に空気を流すための送風部(3)より下流側であって、前記通路に流れる空気を冷却する蒸発器(25)より上流側の位置に前記貫通穴を開設することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置の洗浄方法。
前記開設工程の前に、さらに、前記貫通穴を開設する位置を示すために前記ケースの外部に形成されたアクセスポート(41、42)を見つけることによって、前記貫通穴を開設する位置を特定する位置決め工程(172)を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両用空調装置の洗浄方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の構成では、車両用空調装置の最も上流側の端部である内気導入口または外気導入口から洗浄剤が供給される。このため、車両用空調装置の内部に設けられた可動部品、電気部品にも洗浄剤が接触することがある。例えば、空気通路切換ドア、ドアを駆動するサーボモータ、送風機のモータ、モータを制御する制御回路、放熱のために空気通路に設置された電気部品などに洗浄剤が接触することがある。
【0005】
洗浄剤の成分、洗浄剤に含まれる水または溶媒は、可動部品の機能を損なうことがある。洗浄剤は、例えば、可動部品に付着して残留し、可動部品の動きを妨げたり、バランスを変化させたりすることがある。
【0006】
洗浄剤の成分、洗浄剤に含まれる水または溶媒は、電気部品の性能を劣化させ、故障させることがある。洗浄剤は、例えば、電気的な接点の酸化による導通不良、絶縁材料の劣化による絶縁不良、放熱機能の低下、モータの回転位置の検出精度の低下など種々の不具合を生じさせることがある。
【0007】
洗浄剤によって故障する電気部品の一例は、送風機である。一般的に、車両用空調装置の送風機は、内気導入口または外気導入口と熱交換器との間に設けられている。このため、大量の洗浄剤が送風機を通過する。洗浄剤は、送風機の回転する機械部品、送風機のモータなどの電気部品、およびその制御回路に付着し、不具合を生じさせることがある。
【0008】
上述の観点において、または言及されていない他の観点において、車両用空調装置の洗浄方法、車両用空調装置、および洗浄器具にはさらなる改良が求められている。
【0009】
発明の目的のひとつは、車両用空調装置に設けられた機器の故障を抑制することができる車両用空調装置の洗浄方法、および車両用空調装置の洗浄器具を提供することである。
【0010】
発明の目的の他のひとつは、送風機の故障を抑制することができる車両用空調装置の洗浄方法、および車両用空調装置の洗浄器具を提供することである。
【0011】
発明の目的のさらに他のひとつは、洗浄作業が容易な車両用空調装置の洗浄方法を提供することである。
【0012】
発明の目的のさらに他のひとつは、洗浄作業を支援する車両用空調装置の洗浄器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここに開示される発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
ひとつの車両用空調装置の洗浄方法の発明は、車両の室内に向けて空気を流す通路(22、23)を区画形成するケース(21)の内部を洗浄する車両用空調装置(1)の洗浄方法において、通路に設けられた電気機器または可動部材より空気の流れに関して下流側であって、通路に設けられた熱交換器(25)より空気の流れに関して上流側の位置に、ケース(21)を貫通する貫通穴(21b)を開設する開設工程(173−175、876)と、貫通穴から通路の内部に洗浄剤を供給することにより、洗浄剤により熱交換器を含むケースの内部を洗浄する供給工程(181−185)と、貫通穴を閉塞する閉塞工程(186−188)とを備え、閉塞工程では、ケースの外部に形成された案内部(41a、42a)によって閉塞装置を案内しながら貫通穴を閉塞し、案内部は、上下方向に延びる筒状部分(41a、42a)を有し、筒状部分の上端には通路を区画する閉塞端(41d、42d)が設けられており、開設工程では、閉塞端に貫通穴が加工され、閉塞工程では、閉塞装置として、筒状部分にプラグ(62)が固定されることを特徴とする。
他のひとつの車両用空調装置の洗浄方法の発明は、車両の室内に向けて空気を流す通路(22、23)を区画形成するケース(21)の内部を洗浄する車両用空調装置(1)の洗浄方法において、通路に設けられた電気機器または可動部材より空気の流れに関して下流側であって、通路に設けられた熱交換器(25)より空気の流れに関して上流側の位置に、ケース(21)を貫通する貫通穴(21b)を開設する開設工程(173−175、876)と、貫通穴から通路の内部に洗浄剤を供給することにより、洗浄剤により熱交換器を含むケースの内部を洗浄する供給工程(181−185)と、貫通穴を閉塞する閉塞工程(186−188)とを備え、開設工程では、ケースを加工することにより貫通穴を開設し、開設工程では、ケースの外部に設けられた案内部(41a、42a)によって貫通穴を開設するための加工用工具(51、52、53)を案内しながら貫通穴を開設し、加工用工具は、ケースに切り込むことができるセルフタッピング型のスクリュ(52)を含み、閉塞工程では、貫通穴を閉塞する閉塞装置(362j、562p)としてスクリュを利用することを特徴とする。
【0015】
この発明によると、電気機器または可動部材への洗浄剤の付着を抑制しながら、通路の内部に洗浄剤を供給することによって通路の内部と熱交換器とを洗浄することができる。
【0016】
実施形態は、開設工程では、通路に空気を流すための送風部(3)より下流側であって、通路に流れる空気を冷却する蒸発器(25)より上流側の位置に貫通穴を開設することを特徴とする。この発明によると、送風部への洗浄剤の付着を抑制しながら、蒸発器を洗浄することができる。
【0017】
実施形態は、開設工程では、ケースを加工することにより貫通穴を開設することを特徴とする。この発明では、洗浄のための貫通穴は、車両用空調装置の製造販売時には設けられていない。貫通穴は、車両用空調装置が一旦は利用者による利用に供された後に、作業者がケースを加工することによって開設される。
【0018】
実施形態は、開設工程では、ケースに設けられた案内部(41a、42a)によって貫通穴を開設するための加工用工具(51、52、53)を案内しながら貫通穴を開設することを特徴とする。この発明では、ケースに設けられた案内部によって加工用工具が案内されるから、加工のための作業を支援することができる。
【0019】
実施形態は、加工用工具は、ケースに切り込むことができるセルフタッピング型のスクリュ(52)を含み、閉塞工程では、貫通穴を閉塞する閉塞装置(362j、562p)としてスクリュを利用することを特徴とする。この発明では、ケースの加工に利用されたセルフタッピング型のスクリュを閉塞装置として利用することができる。
【0020】
実施形態は、開設工程では、ケースに予め形成されている貫通穴(21b)に適用され貫通穴を塞いでいる閉塞装置(862)を取り除くことにより貫通穴を開設することを特徴とする。この発明では、洗浄のための貫通穴は、車両用空調装置の製造販売時に形成されているが、閉塞装置によって閉塞されている。貫通穴は、洗浄が必要になってから、閉塞装置を取り除くことによって開設される。
【0021】
実施形態は、開設工程の前に、さらに、貫通穴を開設する位置を示すためにケースの外部に形成されたアクセスポート(41、42)を見つけることによって、貫通穴を開設する位置を特定する位置決め工程(172)を備えることを特徴とする。この発明によると、ケースの外部に形成されたアクセスポートを探し、そのアクセスポートを見つけることによって、貫通穴を開設すべき位置が特定される。このため、ケースの外部から作業が可能である。
【0022】
実施形態は、供給工程は、ケースの外部に形成された案内部(41a、42a)に、洗浄剤を供給するための供給装置(55、56、57、58)を接続する接続工程(181、182、183)を含むことを特徴とする。この発明によると、ケースの外部に形成された案内部を利用して供給装置を接続することができるから、案内部によって接続作業を支援することができる。
【0023】
実施形態は、供給工程は、ケースの外部に形成された案内部(41a、42a)によって洗浄剤を供給するためのノズルを案内しながらノズルを貫通穴からケースの内部に挿入する工程(182、183)を含むことを特徴とする。この発明によると、ケースの外部に形成された案内部によってノズルが案内されるから、ノズルの挿入作業を支援することができる。
【0024】
実施形態は、供給工程は、ケースの内部に形成された
内部案内部(42g、641h)によって洗浄剤を供給するためのノズルを案内しながらノズルを貫通穴からケースの内部に挿入する工程(182、183)を含むことを特徴とする。この発明によると、ケースの内部に形成された案内部によってノズルが案内されるから、ノズルの挿入作業を支援することができる。
【0025】
実施形態は、ケースの内部に形成された
内部案内部(42g、641h)は、洗浄剤の供給に適した通路の中の位置にノズルを案内することを特徴とする。この発明によると、ケースの内部においてノズルを適切な位置に位置付けることができる。
【0026】
実施形態は、ケースの内部に形成された
内部案内部(42g)は、通路の中央にノズルを案内することを特徴とする。この発明によると、通路の中央にノズルの先端を案内することができる。
【0027】
実施形態は、ケースの内部に形成された
内部案内部(641h)は、熱交換器を指向するようにノズルを案内することを特徴とする。この発明によると、熱交換器を指向するようにノズルが案内されるから、送風部への洗浄剤の付着が抑制される。
【0028】
実施形態は、供給工程では、ケースの外部に形成された案内部(41a、42a)と、洗浄剤を供給するための供給装置(55、56、57、58)に設けられたストッパ(58)とを干渉させることによって、洗浄剤を供給するためのノズルのケース内への挿入長さを適切な長さに設定することを特徴とする。この発明によると、ノズルの挿入長さを適切な長さに設定できる。
【0029】
実施形態は、閉塞工程では、ケースの外部に形成された案内部(41a、42a)によって閉塞装置を案内しながら貫通穴を閉塞することを特徴とする。この発明では、ケースに設けられた案内部によって閉塞装置が案内されるから、閉塞のための作業を支援することができる。
【0030】
実施形態は、閉塞工程では、ケースの外部に形成された案内部(41a、42a)に閉塞装置を固定することを特徴とする。この発明では、ケースに設けられた案内部によって閉塞装置を固定することができる。
【0031】
ひとつの車両用空調装置の洗浄器具の発明は、車両の室内に向けて空気を流す通路(22、23)を区画形成するケース(21)の内部を洗浄する車両用空調装置(1)の洗浄器具において、通路に設けられた電気機器または可動部材より空気の流れに関して下流側であって、通路に設けられた熱交換器(25)より空気の流れに関して上流側の位置に対応してケースの外部に形成された案内部(41a、42a)によって案内されながらケースを加工することによりケース(21)を貫通する貫通穴(21b)を開設する加工用工具(51、52、53)と、案内部に接続可能であって、貫通穴から通路の内部に洗浄剤を供給するための供給装置(55、56、57、58)と、案内部によって案内されることによって貫通穴を閉塞する閉塞装置(61、62、362j、462、562p、862)とを備え、加工用工具は、ケースに切り込むことができるセルフタッピング型のスクリュ(52)を含み、スクリュは閉塞装置(362j、562p)でもあることを特徴とする。
【0032】
この構成によると、電気機器または可動部材への洗浄剤の付着を抑制しながら、通路の内部に洗浄剤を供給することによって通路の内部と熱交換器とを洗浄する洗浄方法を適切に実施できる洗浄器具が提供される。洗浄器具は、ケースにおける貫通穴を形成すべき位置に設けられた案内部を利用して、貫通穴の加工、貫通穴からの洗浄剤の供給、および貫通穴の閉塞を提供する。
【0034】
実施形態は、供給装置は、洗浄剤をケースの中に供給するために貫通穴から挿入されるノズル(57)と、案内部(41a、42a)と干渉することによって、ノズルのケース内への挿入長さを適切な長さに設定するストッパ(58)とを有することを特徴とする。この構成によると、ノズルの挿入長さを適切な長さに設定できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面を参照しながら、ここに開示される発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。また、後続の実施形態においては、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分に百以上の位だけが異なる参照符号を付することにより対応関係を示し、重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については他の形態の説明を参照し適用することができる。
【0037】
(第1実施形態)
図1において、車両用空調装置1は、乗員が乗車するための室を有する車両に搭載されている。車両用空調装置1は、室内の暖房、冷房、および/または換気を提供する。車両用空調装置1は、室内に向けて空気を送る。車両用空調装置1の内部にはゴミ、ほこり、カビなどの異物が付着することがある。このため、車両用空調装置1の内部が洗浄されることがある。ここで、洗浄の語は、水などによって異物を流し去る除去と、異物などは残したまま、異臭の発生を抑制するための殺菌または消毒との一方または両方を意味する。
【0038】
車両用空調装置1は、室内の空気と、室外の空気とを選択的に、および/または混合して導入する内外気部2を有する。内外気部2は、空気の通路を形成するケース11を有する。ケース11は、内気導入口12と、外気導入口13とを区画形成する。内外気部2は、内気導入口12および外気導入口13を開閉するひとつまたは複数の切換ドア14を有する。切換ドア14は、手動により、またはサーボモータによって移動可能である。切換ドア14は、車両用空調装置1における可動部品のひとつである。
【0039】
車両用空調装置1は、室内へ向けて空気を送る送風部3を有する。送風部3は、送風機を提供する。送風部3は、内外気部2の下流に設けられている。送風部3は、空気の通路を形成するケース16を有する。ケース16内には、回転することによって内外気部2から空気を吸い込み、空気を送り出す羽根車17が収容されている。羽根車17は、車両用空調装置1における可動部品のひとつである。
【0040】
送風部3は、羽根車17を回転させるための電動モータ18を有する。電動モータ18は、車両に搭載されたバッテリから供給される電力によって回転する。電動モータ18は、それ自身の放熱のために、送風部3が形成する空気通路から空気を取り入れている。電動モータ18は、車両用空調装置1における可動部品のひとつである。電動モータ18は、車両用空調装置1における電気機器のひとつである。
【0041】
送風部3は、電動モータ18を駆動するための電気回路19を有する。電気回路19の一部、例えばヒートシンクは、それ自身の放熱のために、送風部3が形成する空気通路内に露出している。電動モータ18と電気回路19とは、ブラシレスモータとその駆動回路を提供している。電気回路19は、電動モータ18を回転させるための回転位置センサ、および精密な電子回路を含む。電気回路19は、車両用空調装置1における電気機器のひとつである。
【0042】
車両用空調装置1は、室内に供給される空気の温度を調節する温度調節部4を有する。温度調節部4は、送風部3の下流に設けられている。この結果、送風部3は、内外気部2と温度調節部4との間に設けられている。
【0043】
温度調節部4は、空気の通路を形成するケース21を有する。ケース21は、第1通路22と第2通路23とを形成する。ケース21内には、第1通路22と第2通路23とを区画する隔壁24が設けられている。第1通路22と第2通路23とは、室内に設定された2つの領域に個別の空調を提供するために設けられている。例えば、第1通路22と第2通路23とは、運転席領域と助手席領域とに異なる温度を提供するために、または前席領域と後席領域とに異なる温度を提供するために設けられている。
【0044】
温度調節部4は、空気を冷却する冷却用熱交換器としての蒸発器25を有する。蒸発器25は、第1通路22と第2通路23との両方にまたがって設けられている。蒸発器25は、冷凍サイクルのひとつの部品であって、冷凍サイクルから供給される冷媒を蒸発させることによって空気を冷却する。蒸発器25が空気を冷却するとき、蒸発器25には凝縮水が発生する。蒸発器25に堆積する異物、および蒸発器25に発生する凝縮水は、室内に噴出される空気の質を低下させることがある。例えば、異物の匂い、凝縮水の蒸発に起因する匂い、蒸発器25から発生するカビは、空気の質を低下させることがある。
【0045】
ケース21は、蒸発器25に発生する凝縮水を車外に排出するためのドレン装置26を有する。ドレン装置26は、蒸発器25から流れ落ちる液体を集め、車外へ排出する。ドレン装置26は、液体を集める液体捕捉部と、液体を車外へ排出するための排出通路とを有する。ドレン装置26は、凝縮水だけでなく、蒸発器25から流れ落ちる異物も排出する。さらに、ドレン装置26は、蒸発器25に付着した洗浄剤を車外へ排出するための洗浄剤排出装置としても機能する。
【0046】
温度調節部4は、空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア27を有する。ヒータコア27は、第1通路22と第2通路23との両方にまたがって設けられている。ヒータコア27は、車両に搭載された内燃機関などの発熱機器から供給される冷却液によって空気を加熱する。ヒータコア27は、電気的なヒータ、または冷凍サイクルの凝縮器によって提供されてもよい。ケース21は、ヒータコア27を通ることなく迂回するバイパス通路を区画形成する。
【0047】
温度調節部4は、ヒータコア27を通過する空気量とヒータコア27を迂回する空気量とを調節することにより空気の温度を調節する温度調節ドア28、29を有する。空気通路22に温度調節ドア28が設けられ、空気通路23に温度調節ドア29が設けられることにより、独立した温度調節が可能である。
【0048】
車両用空調装置1は、吹出部5を有する。吹出部5は、温度調節部4の下流に設けられている。吹出部5は、複数の吹出口31を有する。例えば、窓に向けて空気を吹出すデフロスタ吹出口、運転席領域の上部に向けて空気を吹出すベント吹出口、運転席領域の下部に向けて空気を吹出すヒート吹出口、助手席領域の上部に向けて空気を吹出すベント吹出口、および助手席領域の下部に向けて空気を吹出すヒート吹出口などの多様な吹出口を有することができる。吹出部5は、複数の吹出口からの空気の吹き出しを調節する複数のドア32を有する。複数のドア32によって複数の吹出口からの空気の流量が調節されることにより、複数の吹出モードが提供される。
【0049】
車両用空調装置1は、車両用空調装置1の内部、より具体的には温度調節部4のケース21の内部を洗浄するために利用されるアクセスポート41、42を有する。アクセスポート41、42は、ケース21に設けられている。望ましい態様においては、アクセスポート41、42は、ケース21を構成する樹脂材料に一体的に形成されている。ケース21は、樹脂材料を射出成形することによって形成されうる。アクセスポート41、42は、ケース21から突出する部分として射出整形によって形成することができる。
【0050】
アクセスポート41、42は、ケース21の内部および蒸発器25を洗浄するための洗浄剤をケース21の内部に供給するための開口部を提供する。アクセスポート41、42は、車両用空調装置1が製造工場から出荷された段階では、開いた開口をもたない。アクセスポート41、42は、車両用空調装置1が販売され、利用に供された後に、ケース21に所定の形状をもった貫通穴を設けるための予定された部位として設けられている。アクセスポート41、42は、車両用空調装置1が一旦は利用に供された後に、後追い的な追加的な加工によって貫通穴を形成するための予定された部分である。
【0051】
アクセスポート41、42は、貫通穴を加工するための位置を示すためのマーカとしても機能する。利用者は、アクセスポート41、42を見つけることによって、貫通穴を設けるための適切な位置を容易に見つけることができる。アクセスポート41、42は、ケース21に貫通穴を加工するための加工器具を適切な位置に位置決めするための位置決め器としても機能する。さらに、アクセスポート41、42は、ケース21に貫通穴を加工するための加工器具を加工のための適切な姿勢に維持するための加工補助のための案内器としても機能する。
【0052】
アクセスポート41、42は、洗浄器具から供給される洗浄剤をケース21内の適切な位置に供給するための洗浄剤用案内器としても機能する。具体的には、アクセスポート41、42は、洗浄剤を供給するためのノズル(チューブ)を案内することによって洗浄剤を案内する。
【0053】
まず、アクセスポート41、42は、ノズルが挿入される過程において、ノズルを貫通穴に向けて案内する。アクセスポート41、42は、貫通穴をスムーズに通過するようにノズルの姿勢を保持する。アクセスポート41、42は、ノズルが挿入される過程において、ケース21内の適切な位置にノズルの先端、すなわち洗浄剤の放出口が位置づけられるように、ノズルを案内する。より具体的には、アクセスポート41、42は、ケース21内におけるノズルの延在方向を案内する。アクセスポート41は、ノズルの先端が空気通路22内の適切な位置、例えばほぼ中央に到達するようにノズルを案内する。アクセスポート42は、ノズルの先端が空気通路23内の適切な位置、例えばほぼ中央に到達するようにノズルを案内する。アクセスポート42は、ノズルの先端が蒸発器25に向けて開口し、洗浄剤が蒸発器25に向けて供給されるようにノズルを案内する場合がある。
【0054】
アクセスポート41、42は、一旦、貫通穴が開設された後は、その貫通穴を再び閉じるための閉塞部材として機能する。アクセスポート41、42には、追加的に開設された貫通穴を塞ぐための付加的な閉塞部材または閉塞装置が設けられる。
【0055】
図2は、
図1におけるII−II断面を示す。図中には、車両用空調装置1の断面に加えて、それを搭載する車両の部分断面が図示されている。車両用空調装置1は、車室の前方の内装部品VB、例えばダッシュボードなどの内部に隠されるように収容されている。車両用空調装置1が車両に搭載されている状態では、車両用空調装置1のケース21に到達できる経路は限られている。例えば、図に例示されるように、内装部品VBを避けて、内装部品VBの下部の隙間からケース21へ到達する方法がある。また、内装部品VBを部分的に除去して、ケース21へ到達する方法が提供される場合がある。いずれにおいても、ケース21への到達経路は限られており、ケース21へのアクセスは容易ではなく、しかも十分な作業空間を確保することが困難である。このような車両用空調装置1の設置環境において、アクセスポート41、42は、洗浄作業を容易化するために貢献する。
【0056】
アクセスポート41は、下方向に面するケース21の下面部に設けられている。アクセスポート41は、空気通路22の通風方向と直交する幅方向、図中の左右方向のほぼ中央に設けられている。この配置は、空気通路22のほぼ中央にノズルの先端を位置づけ、空気通路22のほぼ中央に洗浄剤を供給することを可能とする。
【0057】
アクセスポート42は、ケース21の側面に位置づけられている。アクセスポート42は、ケース21から横方向へ突出する部位の下面部に設けられている。アクセスポート41は、ノズルの先端を空気通路23のほぼ中央に位置づけ、空気通路23のほぼ中央に洗浄剤を供給することを可能とするための案内面を提供する案内部を有している。
【0058】
図3は、アクセスポート41の拡大断面図である。アクセスポート41は、ケース21のうち、下方向へ面する下面部に設けられている。アクセスポート41は、車両用空調装置1が車両に搭載された状態において上下方向に延びる筒状部分41aを有する。筒状部分41aは、ケース21へ到達するための内装部品VBの隙間に向けて伸びているといえる。筒状部分41aの軸は、鉛直方向に伸びている。筒状部分41aは、筒内面41bによって筒内空洞を区画する。筒状部分41aは、下端に開口端41cを有する。筒状部分41aの上端には第1通路22を区画する閉塞端21aが設けられている。
【0059】
筒状部分41aは、閉塞端41dに貫通穴を設けるための加工工程において閉塞端41dを見つけるための目印として機能する。筒内面41bは、加工工程における案内面を提供する。筒内面41bは、洗浄工程における案内面も提供する。筒内面41bは、閉塞装置を付加するためのホルダ部を提供する。
【0060】
図4は、アクセスポート42の拡大断面図である。アクセスポート42は、ケース21のうち、横方向へ面する側面部に設けられている。アクセスポート42は、車両用空調装置1が車両に搭載された状態において上下方向に延びる筒状部分42aを有する。筒状部分42aは、ケース21へ到達するための内装部品VBの隙間に向けて伸びているといえる。筒状部分42aの軸は、鉛直方向に伸びている。筒状部分42aは、筒内面42bによって筒内空洞を区画する。筒状部分42aは、下端に開口端42cを有する。筒状部分42aの上端には第2通路23を区画する閉塞端42dが設けられている。
【0061】
アクセスポート42は、ケース21から横方向へ突出するように設けられた突出部分42eを有する。突出部分42eは、下方向に面する下面部を提供する。筒状部分42aは、下面部に設けられている。突出部分42eは、第2通路23に連通する膨らんだ膨出部42fを形成する。
【0062】
さらに、突出部分42eは、洗浄剤を第2通路23の中央部に向けて案内する案内面42gを有する。突出部分42eは、案内面42gを提供する案内部でもある。案内面42gは、筒状部分42aの軸に交差するように広がり、第2通路23の内部に指向するように広がっている。案内面42gは、筒状部分42aに沿って挿入されるノズルを第2通路23の中央部に向けて曲げるように傾斜している。
【0063】
筒状部分42aは、閉塞端42dに貫通穴を設けるための加工工程において閉塞端42dを見つけるための目印として機能する。筒内面42bは、加工工程における案内面を提供する。筒内面42bは、洗浄剤を供給する供給工程における案内面も提供する。筒内面42bは、閉塞装置を付加するためのホルダ部を提供する。さらに、案内面42gは、ノズルを案内することによって洗浄剤を案内する案内面を提供する。
【0064】
図5は、車両用空調装置1の洗浄方法を示すフローチャートである。洗浄方法170は、車両用空調装置1を車両に搭載したままで実行される。洗浄方法170が実行される前に、車両においては、作業者がアクセスポート41、42に到達できるように内装部品VBが位置づけられる。例えば、作業者は内装部品VBを車両の通常の使用状態のままに位置づけることができる。また、作業者は内装部品VBを作業に適した位置に移動させるか、または部分的に除去することができる。また、洗浄方法170が実行される前に、洗浄器具が準備される。
【0065】
第1段階であるステップ171では、アクセスポート41、42に貫通穴が開かれる。ステップ171では、通路22、23に空気を流すための送風部3より下流側であって、通路22、23に流れる空気を冷却する蒸発器25より上流側の位置に貫通穴を開設する。ステップ171は、ケース21に貫通穴を開く開設工程を提供する。ステップ171は、ケース21に貫通穴を新たに加工する加工工程を提供する。ステップ171は、ケース21を切ることによって、具体的にはケース21を切削し変形させることによって貫通穴を形成する加工工程を提供する。
【0066】
ステップ172では、作業者はアクセスポート41、42を探す。ステップ172は、探索工程を提供する。作業者は、内装部品VBの隙間からケース21の表面を見ることで、特徴的な形状であるアクセスポート41、42を容易に見つけ出すことができる。ステップ172は、後述の開設工程の前に行われる位置決め工程を提供する。この工程では、作業者は、貫通穴を開設する位置を示すためにケース21の外部に形成されたアクセスポート41、42を見つけることによって、貫通穴を開設する位置を特定する。作業者は、ケース21の外部に形成されたアクセスポート41、42を探し、そのアクセスポート41、42を見つけることによって、貫通穴を開設すべき位置を特定することができる。このため、ケース21の内部を目視することができなくても、ケース21の外部から作業が可能である。
【0067】
ステップ173では、作業者はアクセスポート41、42に加工用工具を装着する。ここでは、ケース21に貫通穴を開設するための穴あけ工具が装着される。工具としては、ドリル、セルフタッピングスクリュ、錐などを用いることができる。ステップ174では、作業者は加工用工具を操作することによって、アクセスポート41、42に貫通穴を形成する。
【0068】
図6および
図7は、加工工程の一例を示す。加工用工具51は、ケース21に切り込むことができるセルフタッピング型のスクリュ52を含む。ここでは、加工用工具51として、穴を掘りながら部材の中にねじ込むことができるセルフタッピング型のスクリュ52が利用される。さらに、スクリュ52を操作するドライバ53が加工用工具51として利用される。これら加工用工具51は、洗浄工程のための洗浄器具に含まれている。
【0069】
図示されるように、スクリュ52は、筒状部分41a、42aの中に挿入される。さらに、スクリュ52は、筒状部分41a、42aの中に挿入されたまま操作され、閉塞端41d、42dに差し込まれる。これにより、筒状部分41a、42aの閉塞端41d、42dに貫通穴21bが開設される。
【0070】
筒状部分41a、42aとスクリュ52との径と長さとは、筒状部分41a、42aの中にスクリュ52を受け入れ可能であるように設定されている。しかも、筒状部分41a、42aとスクリュ52との径と長さとは、筒状部分41a、42aの中においてスクリュ52が閉塞端41dのほぼ中央に刺さりうる姿勢に維持されるように設定されている。筒状部分41a、42aとスクリュ52との径と長さとは、筒状部分41a、42aの中においてスクリュ52の操作部、すなわちドライバ53との嵌合部が筒状部分41a、42aのほぼ中央に位置づけられるように設定されている。これにより、作業者は、閉塞端41dを直接に目視することができなくても、スクリュ52を適切に位置づけ、操作することができる。
【0071】
さらに、筒状部分41a、42aは、スクリュ52がねじ込まれる間中、スクリュ52を上述の適切な位置に案内し続ける。加えて、筒状部分41a、42aは、ドライバ53の先端部分も案内する。このため、スクリュ52とドライバ53との噛み合いが正常な状態に維持されやすい。
【0072】
図5に戻り、ステップ175では、作業者はアクセスポート41、42から加工用工具51を取り外す。ここでは、作業者はスクリュ52を貫通穴21bから抜くように操作する。これにより、貫通穴21bが開かれる。
【0073】
このように、開設工程では、作業者は、ケース21を加工することにより貫通穴21bを開設する。この実施形態では、洗浄のための貫通穴21bは、車両用空調装置1の製造販売時には設けられていない。貫通穴21bは、車両用空調装置1が一旦は利用者による利用に供された後に、作業者がケース21を加工することによって開設される。貫通穴21bは、洗浄が必要になってから初めて開設される。貫通穴21bは、ケース21の材料、作業者が利用可能な加工用工具などに応じて適切な加工方法により開設される。例えば、樹脂材料製のケース21の場合、切る、削る、熱で溶かすなどの加工方法によって貫通穴21bを開設することができる。開設工程では、作業者は、ケース21に設けられた案内部としての筒状部分41a、42aによって貫通穴21bを開設するための加工用工具51を案内しながら貫通穴21bを開設する。ケース21の外部に設けられた案内部によって加工用工具51が案内されるから、加工のための作業を支援することができる。
【0074】
第2段階であるステップ181では、作業者は、洗浄剤を供給するための
図8に図示される供給装置55を車両用空調装置1、すなわちアクセスポート41、42に接続する。供給工程は、ケース21の外部に形成された案内部としての筒状部分41a、42aに、洗浄剤を供給するための供給装置55を接続する接続工程を含む。これにより、ケース21の外部に形成された案内部を利用して供給装置55を接続することができるから、案内部によって接続作業を支援することができる。
【0075】
ステップ182では、供給装置55の供給管としてのノズル57が筒状部分41a、42aおよび貫通穴21bに挿入される。ステップ183では、ノズル57がケース21に設けられた案内部によって案内される。ステップ183は、ステップ182と同時に、またはステップ182の前後において実施される。
【0076】
まず、ノズル57は、筒状部分41a、42aにおいて案内される。供給工程は、ケース21の外部に形成された案内部としての筒状部分41a、42aによって洗浄剤を供給するためのノズル57を案内しながらノズル57を貫通穴21bからケース21の内部に挿入する工程を含む。これによりノズル57の挿入作業が支援される。
【0077】
さらに、ノズル57は、案内面42gによって案内される。このように、供給工程は、ケース21の内部に形成された案内部としての案内面42gによってノズル57を案内しながらノズル57を貫通穴21bからケース21の内部に挿入する工程を含む。この工程により、ケース21の内部に形成された案内部によってノズル57が案内されるから、ノズル57の挿入作業を支援することができる。案内部である案内面42gは、通路23の中の洗浄剤の供給に適した位置にノズル57およびその先端を案内する。より具体的には、案内面42gは、通路23の中央にノズル57の先端を案内する。
【0078】
図8は、挿入工程におけるアクセスポート42と供給装置55とを示す。供給装置55は、車両用空調装置1の内部に洗浄剤を供給する。供給装置55は、液体状の洗浄剤を第1通路22および第2通路23に供給する。洗浄剤は、第1通路22および第2通路23の内部および内容物に付着した異物を洗い流し、それらを消毒する。洗浄剤は、主たる洗浄対象である蒸発器25に付着することによって、蒸発器25の表面に付着した異物を洗い流す。洗浄剤は、ドレン装置26から排出される。洗浄剤は、泡の状態、ミストの状態、またはガスの状態で供給されてもよい。供給装置55は、洗浄工程のための洗浄器具に含まれている。
【0079】
供給装置55は、洗浄剤を収容するとともに、洗浄剤を噴射することができる容器としてのボンベ56を有する。供給装置55は、洗浄剤をケース21の中に供給するために貫通穴21bから挿入されるノズル57を有する。ノズル57は、ボンベ56から延び出し、通路22、23内の適切な位置に到達可能な供給管である。ノズル57は細長い管である。ノズル57は、貫通穴21bに挿入可能な径をもつ。ノズル57は、貫通穴21bから第1通路22および第2通路23へ挿入可能な柔軟性を有している。
【0080】
作業者は、ノズル57を筒状部分42a内に挿し込む。作業者は、ノズル57の先端を内面42bによって案内させながら、徐々に深く挿し込む。内面42bは、ノズル57を貫通穴21bに向けて案内してゆく。やがて、ノズル57の先端が貫通穴21bに到達すると、作業者はノズル57を貫通穴21bに挿し込む。作業者は、ノズル57の先端が案内面42bに当たりまで挿し込む。この後、作業者は、ノズル57の先端を案内面42gに沿って滑らせながら、すなわちノズル57を案内面42gによって案内させながら、徐々に深く挿し込んでゆく。この過程で、ノズル57は、第2通路23の中央に向かうように案内される。やがて、ノズル57が深く挿し込まれると、第2通路23の中央部分、すなわち洗浄剤の供給に適した位置に向けて延びるように、ノズル57は案内面42gによって曲げられる。
【0081】
さらに、作業者は所定の長さだけ、ノズル57を第2通路23内へ挿入する。ノズル57には、ノズル57の挿入長さを設定するためのストッパ58が設けられている。ストッパ58は、筒状部分42aの開口端42cに接触することにより挿入長さを規制する。よって、供給装置55は、案内部である筒状部分41a、42aと干渉することによって、ノズル57のケース21内への挿入長さを適切な長さに設定するストッパ58を有する。この構成によると、ノズル57の挿入長さを適切な長さに設定できる。供給工程では、作業者は、案内部としての筒状部分41a、42aと、洗浄剤を供給するための供給装置55に設けられたストッパ58とを干渉させることによって、洗浄剤を供給するためのノズル57のケース21内への挿入長さを適切な長さに設定する。ストッパ58は、ノズル57を摘みやすくするための摘み部としても機能する。
【0082】
筒状部分41a、42aは、ノズル57を貫通穴21bに向けて案内する外部案内部を提供する。案内面42gは、ノズル57の先端を空気の通路の中の所定の位置に向けて案内する内部案内部を提供する。
【0083】
図5に戻り、第3段階であるステップ184では、作業者は、洗浄剤を第1通路22および第2通路23に供給する。作業者は、洗浄剤を蒸発器25に供給する。作業者は、洗浄剤を第1通路22および第2通路23に供給することにより、ケース21の内部、および蒸発器25を洗浄する。ステップ184においては、送風部3は作動状態、または停止状態に置かれる。送風部3を作動状態にしながら、洗浄剤を供給することにより、送風部3への洗浄剤の付着がより確実に阻止される。洗浄剤の多くは蒸発器25の表面に付着する。洗浄剤は蒸発器25の表面を流れ下り、ドレン装置26から車外へ排出される。
【0084】
図9は、供給工程における車両用空調装置1と供給装置55とを示す。図中には、第1通路22のための供給装置と、第2通路23のための供給装置とが同時に使用されている。供給工程において、ノズル57は、その先端を対応する空気通路のほぼ中央に位置づけるように筒状部分41a、42a、および案内面42gによって案内されている。これら筒状部分41a、42a、および案内面42gは、ノズル57を正規の位置に保持する保持部材を提供する。ノズル57の先端が、対応する空気通路の正規の位置に位置づけられるとき、ストッパ58は、アクセスポート41、42に接触した状態である。
【0085】
図5に戻り、第4段階であるステップ185では、作業者は、供給装置55を車両用空調装置1から取り外す。作業者は、車両用空調装置1からノズル57を引き抜く。
【0086】
第5段階であるステップ186では、作業者は貫通穴21bを閉じる。この実施形態では、作業者は、筒状部分41a、42aの開口端41c、42cを閉塞装置61によって閉じることによって貫通穴21bを閉じる。筒状部分41aと筒状部分42aとのそれぞれに同じ構造の閉塞装置61が適用される。ステップ187では、作業者は筒状部分41a、42aによって閉塞装置61を案内する。閉塞工程では、作業者は、ケース21の外部に形成された案内部としての筒状部分41a、42aによって閉塞装置61を案内しながら貫通穴21bを閉塞する。ケース21に設けられた案内部によって閉塞装置61が案内されるから、閉塞のための作業が支援される。ステップ188では、作業者は筒状部分41a、42aを利用して閉塞装置61を固定する。このように、閉塞工程では、作業者は、ケース21の外部に形成された案内部としての筒状部分41a、42aに閉塞装置61を固定する。よって、ケース21に設けられた案内部によって閉塞装置61を固定することができる。
【0087】
図10は、閉塞工程におけるアクセスポート41と閉塞装置61とを示す。
図11は、閉塞工程が完了した状態を示している。閉塞装置61は、筒状部分41a、42aの中に挿入されるプラグ62を有する。プラグ62は、閉塞部材とも呼ばれる。プラグ62は、操作されることによって筒状部分41a、42aの内面41bに強く押し付けられ、固定される拡張型のプラグである。閉塞装置61は、プラグ62を操作するためのドライバ63を有する。ドライバ63は、上述のドライバ53と同じものを利用することができる。閉塞装置61は、洗浄工程のための洗浄器具に含まれている。
【0088】
プラグ62は、ボルト62aと、このボルト62aに螺合するナット62bとを有する。これらボルト62aとナット62bとは、締め付け部材を提供する。プラグ62は、ボルト62aとナット62bとの間に配置されたワッシャ62c、62dと、それらの間に配置された環状の弾性体62eとを有する。弾性体62eはボルト62aの外側に配置されている。弾性体62eは、筒状部分41a、42aの内部に挿入される軸部と、開口端41c、42cを覆うように広がる円板状のフランジ部とを有する。
【0089】
作業者は、プラグ62を内面41b、42bによって案内させながら、筒状部分41a、42aの中にプラグ62を挿入する。プラグ62が筒状部分41a、42aの中に挿入されると、作業者は、ボルト62aを締め付ける。これにより、弾性体62eは軸方向に圧縮され、径方向へ拡張する。弾性体62eは内面41b、42bに強く押し付けられる。この結果、弾性体62eは、開口端41c、42cを閉じるとともに、内面41b、42bに固定される。
【0090】
この実施形態において利用される加工用工具51と、供給装置55と、閉塞装置61とは、供給装置55を中心的な機器とする洗浄器具を提供する。加工用工具51と、供給装置55と、閉塞装置61とは、車両用空調装置1のための洗浄器具としてひとまとまりのキットとしてひとつのパッケージに納めて販売される。これにより利用者は、アクセスポート41、42を利用する洗浄方法を実施するために適した洗浄機器を確実に入手することができる。
【0091】
以上に述べた実施形態では、車両の室内に向けて空気を流す通路22、23を区画形成するケース21の内部を洗浄する車両用空調装置1の洗浄方法が提供される。この洗浄方法では、通路22、23に設けられた電気機器または可動部材である送風部3より空気の流れに関して下流側であって、通路22、23に設けられた熱交換器である蒸発器25より空気の流れに関して上流側の位置に、ケース21を貫通する貫通穴21bを開設する開設工程173−175が実行される。この洗浄工程では、その後に、貫通穴21bから通路22、23の内部に洗浄剤を供給することにより、洗浄剤により蒸発器25を含むケース21の内部を洗浄する供給工程181−185が実行される。さらに、洗浄方法には、供給工程の後に、貫通穴21bを閉塞する閉塞工程186−188を備える。この洗浄方法によると、電気機器または可動部材への洗浄剤の付着を抑制しながら、通路22、23の内部に洗浄剤を供給することによって通路22、23の内部と蒸発器25とを洗浄することができる。
【0092】
以上に述べた実施形態では、車両の室内に向けて空気を流す通路22、23を区画形成するケース21の内部を洗浄する車両用空調装置の洗浄器具が提供される。洗浄器具は、ケース21を加工することによりケース21を貫通する貫通穴21bを開設する加工用工具51を備える。加工用工具51は、案内部としての筒状部分41a、42aによって案内されながら、ケース21を加工する。案内部は、通路22、23に設けられた電気機器または可動部材である送風部3より空気の流れに関して下流側であって、通路22、23に設けられた熱交換器である蒸発器25より空気の流れに関して上流側の位置に対応してケース21の外部に形成されている。洗浄器具は、案内部としての筒状部分41a、42aに接続可能であって、貫通穴21bから通路22、23の内部に洗浄剤を供給するための供給装置55を備える。さらに、洗浄器具は、案内部によって案内されることによって貫通穴21bを閉塞する閉塞装置61を備える。
【0093】
この洗浄器具によると、電気機器または可動部材への洗浄剤の付着を抑制しながら、通路22、23の内部に洗浄剤を供給することによって通路22、23の内部と蒸発器25とを洗浄する洗浄方法を適切に実施できる。洗浄器具は、ケース21における貫通穴21bを形成すべき位置に設けられた案内部を利用して、貫通穴21bの加工、貫通穴21bからの洗浄剤の供給、および貫通穴21bの閉塞を提供する。
【0094】
この実施形態では、車両用空調装置1の内部に洗浄剤を供給するための貫通穴を開設するために適した場所に、予約的にアクセスポート41、42が設けられる。しかも、アクセスポート41、42は、車両用空調装置1の電気機器である送風部3と熱交換器である蒸発器25との間に設けられる。この結果、車両用空調装置1の中に洗浄剤を供給しても、洗浄剤の電気機器への接触が抑制される。別の観点では、アクセスポート41、42は、車両用空調装置1の可動部材である送風部3と熱交換器である蒸発器25との間に設けられる。この結果、車両用空調装置1の中に洗浄剤を供給しても、洗浄剤の可動部材への接触が抑制される。
【0095】
このような構造は、電気機器または可動部材の下流から熱交換器に洗浄剤を供給する車両用空調装置の洗浄方法に好適である。この洗浄方法によると、電気機器または可動部材への洗浄剤の付着を抑制することができる。
【0096】
この実施形態の車両用空調装置によると、そこに含まれる機器の故障を抑制することができる車両用空調装置の洗浄方法、車両用空調装置、および洗浄器具を提供することができる。具体的には、可動部材でもあり、電気機器でもある送風部3の故障を抑制することができる。また、洗浄作業が容易な車両用空調装置、および洗浄器具が提供される。
【0097】
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、プラグ62だけで貫通穴21bを閉鎖した。これに代えて、この実施形態では、
図12に図示されるように、貫通穴21bを塞ぐための充填剤262gが追加的に併用される。充填剤262gは、筒状部分41a、42aから貫通穴21bに供給される。充填剤262gは、貫通穴21bを塞ぎ、硬化する樹脂材料である。この実施形態では、閉塞装置61は、プラグ62と充填剤262gとによって提供される。この実施形態によると、開口端41c、42cばかりでなく、貫通穴21bそれ自身を閉鎖することができる。このため、空気の漏れ、貫通穴21bにおける風音の発生といった不具合を抑制することができる。
【0098】
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、プラグ62を筒状部分41a、42aに適用した。これに代えて、この実施形態では、
図13に図示されるように、スクリュ362fと、シール部材としてのOリング362kとが採用される。スクリュ362fは貫通穴21bにねじ込まれる。Oリング362kは、スクリュ362jとケース21との間に設けられ、シール部材として機能する。スクリュ362jは、貫通穴21bを開設するために使用されたスクリュ52を流用してもよい。この場合、スクリュ52は閉塞装置としてのスクリュ362jでもある。この構成では、ケースの加工に利用されたセルフタッピング型のスクリュを閉塞装置として利用することができる。また、スクリュ362jに代えて、通常のスクリュを採用してもよい。この実施形態では、閉塞装置61は、スクリュとシール部材とによって提供される。この実施形態によると、安価な構成によって、貫通穴21bそれ自身を閉鎖することができる。
【0099】
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、直径が調節可能なプラグ62を筒状部分41a、42aに適用した。これに代えて、この実施形態では、
図14に図示されるように、筒状部分41a、42aの中に圧入され、自己保持される弾性材料製のプラグ462が採用される。プラグ462は、筒状部分41a、42aの中に圧入され、内面41b、42bに強く接触して保持される大径部分である基部462mを有する。さらに、プラグ462は、貫通穴21bの中に位置づけられて貫通穴21bの開口面積を減らすか、または貫通穴21bを閉じる小径部分である先端部462nを有する。この構成によると、比較的簡単な構成によって貫通穴21bを閉じることができる。しかも、貫通穴21bそれ自身が閉じられる。
【0100】
(第5実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、プラグ62を筒状部分41a、42aに適用した。これに代えて、この実施形態では、
図15に図示されるように、スクリュ562pだけが採用される。スクリュ562pは貫通穴21bにねじ込まれる。スクリュ562pは、貫通穴21bを開設するために使用されたスクリュ52を流用してもよい。この場合、スクリュ52は閉塞装置としてのスクリュ562pでもある。また、スクリュ562pに代えて、通常のスクリュを採用してもよい。この実施形態では、閉塞装置61は、スクリュによって提供される。この実施形態によると、安価な構成によって、貫通穴21bそれ自身を閉鎖することができる。
【0101】
(第6実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、アクセスポート42にノズル57を第2通路23の中央に向けて案内するための案内面42gを設けた。これに代えて、この実施形態では、
図16に図示されるように、ノズル57を送風部3から遠ざけるように案内する案内面641hを提供する部材が設けられる。この案内面641hは、蒸発器25に向けて洗浄剤が供給されるように、その先端開口が蒸発器25を指向するようにノズル57を案内する。
【0102】
図17は、アクセスポート41を示す。アクセスポート41は、案内面641hを提供する庇状の部材を有する。庇状の部材は、閉塞端41dより第1通路22の内部に設けられている。庇状の部材は、貫通穴21bが開設される閉塞端41dの上に、送風部3側から覆いかぶさるように形成されている。庇状の部材は、筒状部分41aの軸に交差するように伸びており、蒸発器25に面するように延びている。庇状の部材は、閉塞端41dの送風部3側に設けられ、閉塞端41dに覆いかぶさる半球形の部材である。
【0103】
図18は、アクセスポート41からノズル57が挿入される過程を示している。ノズル57が挿入されるとき、ノズル57の先端は案内面641hに当たり、蒸発器25の方向へ向けて案内される。この実施形態の供給工程は、ケース21の内部に形成された案内面641hによってノズル57を案内しながらノズル57を貫通穴21bからケース21の内部に挿入する工程を含む。この結果、ノズル57の先端の開口は、送風部3を避けるように指向させられ、蒸発器25に向かうように指向させられる。このように、ケース21の内部に形成された案内部としての案内面641hは、蒸発器25を指向するようにノズル57を案内する。これにより蒸発器25を指向するようにノズル57が案内されるから、送風部3への洗浄剤の付着が抑制される。言い換えると、ケース21の内部に形成された案内部としての案内面641hは、通路22の中の洗浄剤の供給に適した位置にノズル57を案内する。同様の案内面はアクセスポート42にも設けることができる。この構成によると、送風部3への洗浄剤の付着をより確実に抑制することができる。
【0104】
(第7実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、アクセスポート42を設けるために突出部分42eがケース21に設けられる。これに代えて、この実施形態では、
図19に図示されるように、ケース21に設けられた段差部分721cにアクセスポート42が設けられる。この構成によると、ケース21が部分的に突出する突出部分42eを設けることなく、ケース21の側面にアクセスポート42を設けることができる。
【0105】
(第8実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、貫通穴21bを持たない車両用空調装置1を市場に供給し、利用者によると使用に供した後に、ケース21を切り開くことによって貫通穴21bを形成した。これに代えて、この実施形態では、
図20に図示されるように、ケース21にはケース21の製造段階において、すなわち車両用空調装置1が利用者による利用に供される前に、予め貫通穴821bが開設されている。貫通穴821bは、車両用空調装置1が最初に販売される段階からすでに設けられている。ただし、貫通穴821bは、プラグ862によって閉塞されている。プラグ862は、筒状部分41a、42aの中に圧入され、内面41b、42bに強く接触して保持される大径部分である基部862mを有する。さらに、プラグ862は、貫通穴821bの中に位置づけられて貫通穴821bの開口面積を減らすか、または貫通穴821bを閉じる小径部分である先端部862nを有する。プラグ862は閉塞装置61を提供する。この構成によると、比較的簡単な構成によって貫通穴821bが閉じられる。
【0106】
さらに、プラグ862は、作業者がプラグ862を摘み、プラグ862を筒状部分41a、42aから引き抜くための摘み部分862rを有する。摘み部分862rは、筒状部分41a、42aから突出して設けられている。
【0107】
図21は、この実施形態における洗浄方法870を示すフローチャートである。この実施形態では、貫通穴821bを開く工程の中に、筒状部分41a、42aからプラグ862を引き抜く工程876が設けられる。この実施形態の開設工程では、作業者は、ケース21に予め形成されている貫通穴21bに適用され貫通穴21bを塞いでいる閉塞装置としてのプラグ862を取り除くことにより貫通穴21bを開設する。この実施形態では、洗浄のための貫通穴21bは、車両用空調装置1の製造販売時に形成されているが、閉塞装置によって閉塞されている。貫通穴21bは、洗浄が必要になってから、閉塞装置であるプラグ862を取り除くことによって開設される。
【0108】
この実施形態によると、作業者にケース21を切り開くような加工作業を行わせることなく貫通穴821bを開くことができる。この構成においても、送風部3の下流であって、熱交換器である蒸発器25の上流側から蒸発器25に向けて洗浄剤を供給することができる。
【0109】
(他の実施形態)
ここに開示される発明は、その発明を実施するための実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。開示される発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。実施形態は追加的な部分をもつことができる。実施形態の部分は、省略される場合がある。実施形態の部分は、他の実施形態の部分と置き換え、または組み合わせることも可能である。実施形態の構造、作用、効果は、あくまで例示である。開示される発明の技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される発明のいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0110】
例えば、上記実施形態では、第1通路22と第2通路23とをもつデュアルエアコンを説明した。これに代えて、隔壁24をもたないシングルエアコンにも発明は適用可能である。また、上記実施形態では、第1通路22のためのアクセスポート41と、第2通路23のためのアクセスポート42とをそれぞれ設けた。これに代えて、第1通路22と第2通路23とが分岐する前の部位、例えば送風部3の出口部分に単一のアクセスポートを設けてもよい。
【0111】
上記実施形態では、筒状部分41a、42aは、上下方向に延びている。これに代えて、横方向に延びる筒状部分、または斜め方向に延びる筒状部分を設けてもよい。いずれの構成においては、筒状部分が伸びる方向は、貫通穴を形成するための加工工程における作業、および洗浄工程における作用を容易にするように設定される。
【0112】
上記実施形態では、ノズルを挿入することによって洗浄剤を供給した。これに代えて、筒状部分にノズルを被せて、筒状部分から貫通穴を経由して洗浄剤を供給してもよい。かかる構成においても、筒状部分は洗浄剤を直接的に案内する部材として機能する。また、通路の内部の案内面も、洗浄剤を直接的に案内する部材として機能する。
【0113】
上記実施形態では、アクセスポート41、42の形状を特徴付けるケース21の外部の形状としては特殊な形状である筒状部分41a、42aによって案内部を提供した。これに代えて、多角形の筒によって筒状部分41a、42aを提供してもよい。また、開口端41cの位置、すなわち先端に閉塞端を有し、閉塞端41dの位置に開口端を有する筒状部分を採用してもよい。この場合、先端の閉塞端を切除する加工によって筒状部分の中に貫通穴を開設することができる。また、貫通穴を開設するための加工方法は、切削、切断、切り開き、変形、熱による溶融といった多様な加工方向から選択することができる。