(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半田ペーストを供給する工程は、前記第1ランドに対応して設けられた第1孔部および前記第2ランドに対応して設けられた第2孔部を有するステンシルを用いて前記半田ペーストを前記第1ランド上および前記第2ランド上に印刷することによって行なわれ、
前記半田ペーストは、0.45≦Rsol≦0.55の条件を充足し、
前記第1孔部の容積をVst1とし、前記第2孔部の容積をVst2とした場合に、下記式(15)および式(16)をいずれも充足する、請求項6に記載の電子部品の実装構造体の製造方法。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.33/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(15)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.33/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(16)
前記半田ペーストを供給する工程は、前記第1ランドに対応して設けられた第1孔部および前記第2ランドに対応して設けられた第2孔部を有するステンシルを用いて前記半田ペーストを前記第1ランド上および前記第2ランド上に印刷することによって行なわれ、
前記半田ペーストは、0.45≦Rsol≦0.55の条件を充足し、
前記第1孔部の容積をVst1とし、前記第2孔部の容積をVst2とした場合に、下記式(19)および式(20)をいずれも充足する、請求項8に記載の電子部品の実装構造体の製造方法。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.67/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(19)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.67/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(20)
前記半田ペーストを供給する工程は、前記第1ランドに対応して設けられた第1孔部および前記第2ランドに対応して設けられた第2孔部を有するステンシルを用いて前記半田ペーストを前記第1ランド上および前記第2ランド上に印刷することによって行なわれ、
前記半田ペーストは、0.45≦Rsol≦0.55の条件を充足し、
前記第1孔部の容積をVst1とし、前記第2孔部の容積をVst2とした場合に、下記式(23)および式(24)をいずれも充足する、請求項10に記載の電子部品の実装構造体の製造方法。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.83/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(23)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.83/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(24)
前記半田ペーストを供給する工程は、前記第1ランドに対応して設けられた第1孔部および前記第2ランドに対応して設けられた第2孔部を有するステンシルを用いて前記半田ペーストを前記第1ランド上および前記第2ランド上に印刷することによって行なわれ、
前記半田ペーストは、0.45≦Rsol≦0.55の条件を充足し、
前記第1孔部の容積をVst1とし、前記第2孔部の容積をVst2とした場合に、下記式(33)および式(34)をいずれも充足する、請求項15に記載の電子部品の実装構造体の製造方法。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.28/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(33)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.28/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(34)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子部品の実装構造体としての回路基板を可能な限り小型化する観点からは、上述した電子部品の実装に必要となる配線基板上の面積(いわゆる実装面積)を狭小化することが重要になる。当該実装面積を狭小化することが可能になれば、隣り合うように実装される電子部品間の距離を狭くすること(すなわち狭隣接化)が可能になり、回路基板の小型化が可能になる。
【0008】
ここで、上述した前者の構成を採用した場合には、電子部品の実装の際に、素体の端面およびこれに隣接する面を覆うように設けられた外部電極の表面に沿って半田接合材が濡れ上がることになるため、高いセルフアライメント効果が発揮されることになり、電子部品がより適切な位置に実装されることとなって、上述した狭隣接化の観点から有利なものとなる。しかしながら、実装の際に濡れ上がる半田接合材の量が多くなった場合には、電子部品の実装後において当該電子部品の側面に付着した部分の半田接合材の厚みが厚くなってしまい、隣り合って配置される電子部品同士が短絡してしまうことを防止する観点からは、結局のところ十分なマージンを確保することが必要となってしまい、狭隣接化が阻害されてしまうという問題があった。
【0009】
一方、上述した後者の構成を採用した場合には、半田接合材の濡れ上がりがないため、上述した如くの問題が発生せず、この意味において上述した狭隣接化の観点から有利なものとなるが、その反面、電子部品の実装の際に得られるセルフアライメント効果が低くなるため、電子部品が傾いた状態で実装されるおそれが高くなり、隣り合って配置される電子部品同士が短絡してしまうことを防止する観点からは、結局のところ十分なマージンを確保することが必要となってしまい、狭隣接化が阻害されてしまうという問題があった。
【0010】
このような問題は、特に上述した如くの小型化が図られた電子部品が実装されてなる実装構造体を製造する場合に顕在化するものであり、その解決が強く求められているところである。
【0011】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものであり、配線基板上に実装される電子部品間の狭隣接化が図られた電子部品の実装構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の局面に基づく電子部品の実装構造体は、直方体形状の電子部品が半田接合材を用いて配線基板に実装されてなるものであって、以下の前提となる構成を有している。
【0013】
上記電子部品は、厚み方向において相対して位置する第1主面および第2主面、上記厚み方向と直交する長さ方向において相対して位置する第1端面および第2端面、ならびに、上記厚み方向および上記長さ方向のいずれにも直交する幅方向において相対して位置する第1側面および第2側面を含む素体と、上記長さ方向において互いに離間して位置する第1外部電極および第2外部電極とを含んでいる。上記第1外部電極は、上記第1端面寄りに位置する部分の上記第2主面を覆う第1被覆部と、上記第1端面を覆う第2被覆部と、上記第1端面寄りに位置する部分の上記第1側面を覆う第3被覆部と、上記第1端面寄りに位置する部分の上記第2側面を覆う第4被覆部と、上記第1端面寄りに位置する部分の上記第1主面を覆う第5被覆部とを有している。上記第2外部電極は、上記第2端面寄りに位置する部分の上記第2主面を覆う第6被覆部と、上記第2端面を覆う第7被覆部と、上記第2端面寄りに位置する部分の上記第1側面を覆う第8被覆部と、上記第2端面寄りに位置する部分の上記第2側面を覆う第9被覆部と、上記第2端面寄りに位置する部分の上記第1主面を覆う第10被覆部とを有している。
【0014】
上記配線基板は、主表面を有する基材部と、互いに離間して位置するように上記主表面上に形成された第1ランドおよび第2ランドと、上記第1ランドおよび上記第2ランドの各々を取り囲むように上記主表面上に形成された半田レジストとを含んでいる。上記電子部品は、上記第1被覆部が上記第1ランドに対向するとともに上記第6被覆部が上記第2ランドに対向するように配置されている。
【0015】
上記半田接合材は、上記第1外部電極と上記第1ランドとを接合する第1接合部、および、上記第2外部電極と上記第2ランドとを接合する第2接合部を含んでいる。上記第1接合部は、上記第1ランドに固着しているとともに、上記第1被覆部、上記第2被覆部、上記第3被覆部、上記第4被覆部および上記第5被覆部に跨るように上記第1外部電極に固着している。上記第2接合部は、上記第2ランドに固着しているとともに、上記第6被覆部、上記第7被覆部、上記第8被覆部、上記第9被覆部および上記第10被覆部に跨るように上記第2外部電極に固着している。
【0016】
上記本発明の第1の局面に基づく電子部品の実装構造体は、上述した前提となる構成に加え、以下の特徴を有している。
【0017】
上記第1外部電極が設けられた部分の上記電子部品の上記幅方向における最大外形寸法をWc1とし、上記第2外部電極が設けられた部分の上記電子部品の上記幅方向における最大外形寸法をWc2とし、上記第3被覆部を覆う部分の上記第1接合部の上記幅方向における最大寸法をWAsol1とし、上記第4被覆部を覆う部分の上記第1接合部の上記幅方向における最大寸法をWBsol1とし、上記第8被覆部を覆う部分の上記第2接合部の上記幅方向における最大寸法をWAsol2とし、上記第9被覆部を覆う部分の上記第2接合部の上記幅方向における最大寸法をWBsol2とした場合に、下記式(1)ないし式(4)がいずれも充足されている。
WAsol1≦0.06×Wc1 ・・・(1)
WBsol1≦0.06×Wc1 ・・・(2)
WAsol2≦0.06×Wc2 ・・・(3)
WBsol2≦0.06×Wc2 ・・・(4)
【0018】
また、上記本発明の第1の局面に基づく電子部品の実装構造体は、上述した特徴に加え、以下の特徴をさらに有していてもよい。なお、その前提として、上記第1接合部に含まれる半田合金の体積をVsol1とし、上記第2接合部に含まれる半田合金の体積をVsol2とし、上記第1ランドの表面および上記第1ランドを取り囲む部分の上記半田レジストの壁面によって形成された上記半田レジストの第1空隙部の容積をVr1とし、上記第2ランドの表面および上記第2ランドを取り囲む部分の上記半田レジストの壁面によって形成された上記半田レジストの第2空隙部の容積をVr2とする。
【0019】
上記電子部品が、Wc1=0.125±0.025[mm]、および、Wc2=0.125±0.025[mm]の条件をいずれも充足している第1態様にあっては、好適には、下記式(5)および式(6)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.33 ・・・(5)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.33 ・・・(6)
【0020】
上記電子部品が、Wc1=0.2±0.04[mm]、および、Wc2=0.2±0.04[mm]の条件をいずれも充足している第2態様にあっては、好適には、下記式(7)および式(8)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.67 ・・・(7)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.67 ・・・(8)
【0021】
上記電子部品が、Wc1=0.3±0.06[mm]、および、Wc2=0.3±0.06[mm]の条件をいずれも充足している第3態様にあっては、好適には、下記式(9)および式(10)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.83 ・・・(9)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.83 ・・・(10)
【0022】
上記第1態様ないし第3態様にあっては、さらに好適には、下記式(11)および式(12)がいずれも充足されている。
1.0≦Vsol1/Vr1 ・・・(11)
1.0≦Vsol2/Vr2 ・・・(12)
【0023】
上記本発明の第1の局面に基づく電子部品の実装構造体においては、上記電子部品が、積層セラミックコンデンサであってもよい。
【0024】
本発明の第1の局面ないし第3の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法は、それぞれ上記本発明の第1の局面に基づく電子部品の実装構造体の上記第1態様ないし第3態様に係るものを製造するための製造方法であって、以下の前提となる第1工程ないし第3工程を有している。
【0025】
上記第1工程は、上記第1ランド上または上記第1被覆部上、および、上記第2ランド上または上記第6被覆部上に、上記第1接合部および上記第2接合部となる半田ペーストを供給する工程である。
【0026】
上記第2工程は、上記第1接合部となる上記半田ペーストを介して上記第1被覆部が上記第1ランドに対向するとともに、上記第2接合部となる上記半田ペーストを介して上記第2被覆部が上記第2ランドに対向するように、上記電子部品を上記配線基板上に載置する工程である。
【0027】
上記第3工程は、上記半田ペーストを溶融および固化させることにより、上記第1外部電極と上記第1ランドとを上記第1接合部を介して接合するとともに、上記第2外部電極と上記第2ランドとを上記第2接合部を介して接合し、これにより上記電子部品を上記配線基板に実装する工程である。
【0028】
上記本発明の第1の局面ないし第3の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法は、上述した前提となる工程に加え、それぞれ以下の特徴を有している。なお、その前提として、上記半田ペーストは、半田合金に加えてフラックスを含有するものとし、上記半田ペーストを供給する工程における、上記第1接合部となる上記半田ペーストの体積供給量をVp1とし、上記第2接合部となる上記半田ペーストの体積供給量をVp2とするとともに、さらに、上記半田ペーストにおける半田合金の体積含有率をRsolとする。
【0029】
上記本発明の第1の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(13)および式(14)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.33×Vr1/Rsol ・・・(13)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.33×Vr2/Rsol ・・・(14)
【0030】
上記本発明の第2の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(17)および式(18)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.67×Vr1/Rsol ・・・(17)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.67×Vr2/Rsol ・・・(18)
【0031】
上記本発明の第3の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(21)および式(22)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.83×Vr1/Rsol ・・・(21)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.83×Vr2/Rsol ・・・(22)
【0032】
上記本発明の第1の局面ないし第3の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(25)および式(26)がいずれも充足される。
1.0×Vr1/Rsol≦Vp1 ・・・(25)
1.0×Vr2/Rsol≦Vp2 ・・・(26)
【0033】
また、上記本発明の第1の局面ないし第3の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法は、上記特徴に加え、それぞれ以下の特徴をさらに有していてもよい。なお、その前提として、上記半田ペーストを供給する工程は、上記第1ランドに対応して設けられた第1孔部および上記第2ランドに対応して設けられた第2孔部を有するステンシルを用いて上記半田ペーストを上記第1ランド上および上記第2ランド上に印刷することによって行なわれるものとし、上記半田ペーストは、0.45≦Rsol≦0.55の条件を充足するものとし、さらに、上記第1孔部の容積をVst1とし、上記第2孔部の容積をVst2とする。
【0034】
上記本発明の第1の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(15)および式(16)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.33/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(15)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.33/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(16)
【0035】
上記本発明の第2の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(19)および式(20)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.67/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(19)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.67/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(20)
【0036】
上記本発明の第3の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(23)および式(24)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.83/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(23)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.83/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(24)
【0037】
上記本発明の第1の局面ないし第3の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法においては、上記電子部品が、積層セラミックコンデンサであってもよい。
【0038】
本発明の第2の局面に基づく電子部品の実装構造体は、直方体形状の電子部品が半田接合材を用いて配線基板に実装されてなるものであって、以下の前提となる構成を有している。
【0039】
上記電子部品は、厚み方向において相対して位置する第1主面および第2主面、上記厚み方向と直交する長さ方向において相対して位置する第1端面および第2端面、ならびに、上記厚み方向および上記長さ方向のいずれにも直交する幅方向において相対して位置する第1側面および第2側面を含む素体と、上記長さ方向において互いに離間して位置する第1外部電極および第2外部電極とを含んでいる。上記第1外部電極は、上記第1端面寄りに位置する部分の上記第2主面のみを覆っている。上記第2外部電極は、上記第2端面寄りに位置する部分の上記第2主面のみを覆っている。
【0040】
上記配線基板は、主表面を有する基材部と、互いに離間して位置するように上記主表面上に形成された第1ランドおよび第2ランドと、上記第1ランドおよび上記第2ランドの各々を取り囲むように上記主表面上に形成された半田レジストとを含んでいる。上記電子部品は、上記第1外部電極が上記第1ランドに対向するとともに上記第2外部電極が上記第2ランドに対向するように配置されている。
【0041】
上記半田接合材は、上記第1外部電極と上記第1ランドとを接合する第1接合部、および、上記第2外部電極と上記第2ランドとを接合する第2接合部を含んでいる。
【0042】
上記本発明の第2の局面に基づく電子部品の実装構造体は、上述した前提となる構成に加え、以下の特徴を有している。
【0043】
上記第1外部電極が設けられた部分の上記電子部品の上記幅方向における最大外形寸法をWc1とし、上記第2外部電極が設けられた部分の上記電子部品の上記幅方向における最大外形寸法をWc2とし、上記第1接合部に含まれる半田合金の体積をVsol1とし、上記第2接合部に含まれる半田合金の体積をVsol2とし、上記第1ランドの表面および上記第1ランドを取り囲む部分の上記半田レジストの壁面によって形成された上記半田レジストの第1空隙部の容積をVr1とし、上記第2ランドの表面および上記第2ランドを取り囲む部分の上記半田レジストの壁面によって形成された上記半田レジストの第2空隙部の容積をVr2とした場合に、下記式(27)および式(28)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.94×(Wc1)+1.03 ・・・(27)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.94×(Wc2)+1.03 ・・・(28)
【0044】
また、上記本発明の第2の局面に基づく電子部品の実装構造体は、上述した特徴に加え、以下の特徴をさらに有していてもよい。
【0045】
上記電子部品が、Wc1=0.125±0.025[mm]、および、Wc2=0.125±0.025[mm]の条件をいずれも充足している第1態様にあっては、好適には、下記式(37)および式(38)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.28 ・・・(37)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.28 ・・・(38)
【0046】
上記電子部品が、Wc1=0.2±0.04[mm]、および、Wc2=0.2±0.04[mm]の条件をいずれも充足している第2態様にあっては、好適には、下記式(39)および式(40)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.43 ・・・(39)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.43 ・・・(40)
【0047】
上記電子部品が、Wc1=0.3±0.06[mm]、および、Wc2=0.3±0.06[mm]の条件をいずれも充足している第3態様にあっては、好適には、下記式(41)および式(42)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.62 ・・・(41)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.62 ・・・(42)
【0048】
上記電子部品が、Wc1=0.5±0.1[mm]、および、Wc2=0.5±0.1[mm]の条件をいずれも充足している第4態様にあっては、好適には、下記式(43)および式(44)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦2.01 ・・・(43)
0.9≦Vsol2/Vr2≦2.01 ・・・(44)
【0049】
上記電子部品が、Wc1=0.8±0.16[mm]、および、Wc2=0.8±0.16[mm]の条件をいずれも充足している第5態様にあっては、好適には、下記式(45)および式(46)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦2.58 ・・・(45)
0.9≦Vsol2/Vr2≦2.58 ・・・(46)
【0050】
上記電子部品が、Wc1=1.25±0.25[mm]、および、Wc2=1.25±0.25[mm]の条件をいずれも充足している第6態様にあっては、好適には、下記式(47)および式(48)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦3.45 ・・・(47)
0.9≦Vsol2/Vr2≦3.45 ・・・(48)
【0051】
上記電子部品が、Wc1=1.6±0.32[mm]、および、Wc2=1.6±0.32[mm]の条件をいずれも充足している第7態様にあっては、好適には、下記式(49)および式(50)がいずれも充足されている。
0.9≦Vsol1/Vr1≦4.13 ・・・(49)
0.9≦Vsol2/Vr2≦4.13 ・・・(50)
【0052】
上記第1態様ないし第7態様にあっては、さらに好適には、下記式(29)および式(30)がいずれも充足されている。
1.0≦Vsol1/Vr1 ・・・(29)
1.0≦Vsol2/Vr2 ・・・(30)
【0053】
上記本発明の第2の局面に基づく電子部品の実装構造体においては、上記電子部品が、積層セラミックコンデンサであってもよい。
【0054】
本発明の第4の局面ないし第10の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法は、それぞれ上記本発明の第2の局面に基づく電子部品の実装構造体の上記第1態様ないし第7態様に係るものを製造するための製造方法であって、以下の前提となる第1工程ないし第3工程を有している。
【0055】
上記第1工程は、上記第1ランド上または上記第1外部電極上、および、上記第2ランド上または上記第2外部電極上に、上記第1接合部および上記第2接合部となる半田ペーストを供給する工程である。
【0056】
上記第2工程は、上記第1接合部となる上記半田ペーストを介して上記第1外部電極が上記第1ランドに対向するとともに、上記第2接合部となる上記半田ペーストを介して上記第2外部電極が上記第2ランドに対向するように、上記電子部品を上記配線基板上に載置する工程である。
【0057】
上記第3工程は、上記半田ペーストを溶融および固化させることにより、上記第1外部電極と上記第1ランドとを上記第1接合部を介して接合するとともに、上記第2外部電極と上記第2ランドとを上記第2接合部を介して接合し、これにより上記電子部品を上記配線基板に実装する工程である。
【0058】
上記本発明の第4の局面ないし第10の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法は、上述した前提となる工程に加え、それぞれ以下の特徴を有している。なお、その前提として、上記半田ペーストは、半田合金に加えてフラックスを含有するものとし、上記半田ペーストを供給する工程における、上記第1接合部となる上記半田ペーストの体積供給量をVp1とし、上記第2接合部となる上記半田ペーストの体積供給量をVp2とするとともに、さらに、上記半田ペーストにおける半田合金の体積含有率をRsolとする。
【0059】
上記本発明の第4の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(31)および式(32)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.28×Vr1/Rsol ・・・(31)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.28×Vr2/Rsol ・・・(32)
【0060】
上記本発明の第5の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(51)および式(52)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.43×Vr1/Rsol ・・・(51)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.43×Vr2/Rsol ・・・(52)
【0061】
上記本発明の第6の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(55)および式(56)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.62×Vr1/Rsol ・・・(55)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.62×Vr2/Rsol ・・・(56)
【0062】
上記本発明の第7の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(59)および式(60)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦2.01×Vr1/Rsol ・・・(59)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦2.01×Vr2/Rsol ・・・(60)
【0063】
上記本発明の第8の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(63)および式(64)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦2.58×Vr1/Rsol ・・・(63)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦2.58×Vr2/Rsol ・・・(64)
【0064】
上記本発明の第9の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(67)および式(68)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦3.45×Vr1/Rsol ・・・(67)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦3.45×Vr2/Rsol ・・・(68)
【0065】
上記本発明の第10の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、下記式(71)および式(72)がいずれも充足される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦4.13×Vr1/Rsol ・・・(71)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦4.13×Vr2/Rsol ・・・(72)
【0066】
上記本発明の第4の局面ないし第10の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(35)および式(36)がいずれも充足される。
1.0×Vr1/Rsol≦Vp1 ・・・(35)
1.0×Vr2/Rsol≦Vp2 ・・・(36)
【0067】
また、上記本発明の第4の局面ないし第10の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法は、上記特徴に加え、それぞれ以下の特徴をさらに有していてもよい。なお、その前提として、上記半田ペーストを供給する工程は、上記第1ランドに対応して設けられた第1孔部および上記第2ランドに対応して設けられた第2孔部を有するステンシルを用いて上記半田ペーストを上記第1ランド上および上記第2ランド上に印刷することによって行なわれるものとし、上記半田ペーストは、0.45≦Rsol≦0.55の条件を充足するものとし、さらに、上記第1孔部の容積をVst1とし、上記第2孔部の容積をVst2とする。
【0068】
上記本発明の第4の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(33)および式(34)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.28/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(33)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.28/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(34)
【0069】
上記本発明の第5の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(53)および式(54)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.43/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(53)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.43/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(54)
【0070】
上記本発明の第6の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(57)および式(58)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.62/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(57)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.62/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(58)
【0071】
上記本発明の第7の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(61)および式(62)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((2.01/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(61)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((2.01/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(62)
【0072】
上記本発明の第8の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(65)および式(66)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((2.58/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(65)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((2.58/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(66)
【0073】
上記本発明の第9の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(69)および式(70)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((3.45/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(69)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((3.45/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(70)
【0074】
上記本発明の第10の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法にあっては、さらに好適には、下記式(73)および式(74)がいずれも充足される。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((4.13/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(73)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((4.13/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(74)
【0075】
上記本発明の第4の局面ないし第10の局面に基づく電子部品の実装構造体の製造方法においては、上記電子部品が、積層セラミックコンデンサであってもよい。
【発明の効果】
【0076】
本発明によれば、配線基板上に実装される電子部品間の狭隣接化が図られた電子部品の実装構造体およびその製造方法を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0079】
以下に示す実施の形態においては、電子部品の実装構造体およびその製造方法として、積層セラミックコンデンサが配線基板に実装されてなる回路基板およびその製造方法を例示して説明を行なう。また、本発明が適用されて配線基板に実装される電子部品としては、その他の種類のコンデンサ素子や各種の抵抗素子等、どのようなものであってもよい。
【0080】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における実装構造体に具備される積層セラミックコンデンサの斜視図である。また、
図2は、
図1に示すII−II線に沿った模式断面図であり、
図3は、
図2に示すIIIA−IIIA線およびIIIB−IIIB線に沿った模式断面図である。まず、これら
図1ないし
図3を参照して、本実施の形態における実装構造体に具備される積層セラミックコンデンサ10Aについて説明する。
【0081】
図1ないし
図3に示すように、積層セラミックコンデンサ10Aは、全体として直方体形状を有する電子部品であり、素体11と、一対の外部電極としての第1外部電極15および第2外部電極16とを備えている。なお、直方体形状には、コーナー部および稜線部が丸みを帯びたものも含まれる。
【0082】
図2および
図3に示すように、素体11は、直方体形状を有しており、所定方向に沿って交互に積層された誘電体層12および内部電極層13にて構成されている。誘電体層12は、たとえばチタン酸バリウムを主成分とするセラミックス材料にて形成されている。また、誘電体層12は、後述するセラミックシートの原料となるセラミックス粉末の副成分としてのMn化合物、Mg化合物、Si化合物、Co化合物、Ni化合物、希土類化合物等を含んでいてもよい。一方、内部電極層13は、たとえばNi、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等に代表される金属材料にて形成されている。
【0083】
素体11は、誘電体層12となるセラミックシート(いわゆるグリーンシート)の表面に内部電極層13となる導電性ペーストが印刷された素材シートを複数準備し、これら複数の素材シートを積層して圧着および焼成することによって製作される。
【0084】
なお、誘電体層12の材質は、上述したチタン酸バリウムを主成分とするセラミックス材料に限られず、他の高誘電率のセラミックス材料(たとえば、CaTiO
3、SrTiO
3、CaZrO
3等を主成分とするもの)を誘電体層12の材質として選択してもよい。また、内部電極層13の材質も、上述した金属材料に限られず、他の導電材料を内部電極層13の材質として選択してもよい。
【0085】
図1および
図2に示すように、第1外部電極15および第2外部電極16は、素体11の所定方向の両端部の外表面を覆うように互いに離間して設けられている。第1外部電極15および第2外部電極16は、それぞれ導電膜にて構成されている。
【0086】
第1外部電極15および第2外部電極16は、たとえば焼結金属層とめっき層の積層膜にて構成される。焼結金属層は、たとえばCu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等のペーストを焼き付けることで形成される。めっき層は、たとえばNiめっき層とこれを覆うSnめっき層とによって構成される。めっき層は、これに代えてCuめっき層やAuめっき層であってもよい。また、第1外部電極15および第2外部電極16は、めっき層のみによって構成されていてもよい。
【0087】
さらには、第1外部電極15および第2外部電極16として、導電性樹脂ペーストを利用することも可能である。第1外部電極15および第2外部電極16として導電性樹脂ペーストを利用した場合には、導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂成分が素体11において発生した振動を吸収する効果を発揮するため、素体11から外部に伝播する振動を効果的に減衰させることが可能になり、騒音の低減に有利である。
【0088】
図2に示すように、積層方向に沿って誘電体層12を挟んで隣り合う一対の内部電極層13のうちの一方は、積層セラミックコンデンサ10Aの内部において第1外部電極15に電気的に接続されており、積層方向に沿って誘電体層12を挟んで隣り合う一対の内部電極層13のうちの他方は、積層セラミックコンデンサ10Aの内部において第2外部電極16に電気的に接続されている。これにより、一対の外部電極としての第1外部電極15および第2外部電極16間は、複数のコンデンサ要素が電気的に並列に接続された状態となっている。
【0089】
ここで、
図1ないし
図3に示すように、素体11における誘電体層12と内部電極層13との積層方向を厚み方向Tとして定義し、第1外部電極15および第2外部電極16が並ぶ方向を積層セラミックコンデンサ10Aの長さ方向Lとして定義し、これら長さ方向Lおよび厚み方向Tのいずれにも直交する方向を幅方向Wとして定義し、以降の説明においては、当該用語を使用する。なお、後述する配線基板20の向きを特定する場合においても、積層セラミックコンデンサ10Aが実装される向きに合わせて当該配線基板20の向きをこれら用語を用いて説明することとする。
【0090】
また、素体11が有する6つの表面のうち、厚み方向Tにおいて相対して位置する一対の表面を第1主面11a1および第2主面11a2と定義し、長さ方向Lにおいて相対して位置する一対の表面を第1端面11b1および第2端面11b2と定義し、幅方向Wにおいて相対して位置する一対の表面を第1側面11c1および第2側面11c2として定義し、以降の説明においては、当該用語を使用する。
【0091】
図1ないし
図3に示すように、素体11の表面を覆うように互いに離間して設けられた第1外部電極15および第2外部電極16は、それぞれ素体11の長さ方向Lにおける端部を覆うように設けられている。
【0092】
具体的には、
図2および
図3を参照して、第1外部電極15は、第1端面11b1寄りに位置する部分の第2主面11a2を覆う第1被覆部15aと、第1端面11b1を覆う第2被覆部15bと、第1端面11b1寄りに位置する部分の第1側面11c1を覆う第3被覆部15cと、第1端面11b1寄りに位置する部分の第2側面11c2を覆う第4被覆部15dと、第1端面11b1寄りに位置する部分の第1主面11a1を覆う第5被覆部15eとを有している。
【0093】
一方、第2外部電極16は、第2端面11b2寄りに位置する部分の第2主面11a2を覆う第6被覆部16aと、第2端面11b2を覆う第7被覆部16bと、第2端面11b2寄りに位置する部分の第1側面11c1を覆う第8被覆部16cと、第2端面11b2寄りに位置する部分の第2側面11c2を覆う第9被覆部16dと、第2端面11b2寄りに位置する部分の第1主面11a1を覆う第10被覆部16eとを有している。
【0094】
これにより、積層セラミックコンデンサ10Aの第1外部電極15が設けられた部分の厚み方向Tにおける最大外形寸法Tc1は、第1外部電極15の第1被覆部15aの露出表面と第1外部電極15の第5被覆部15eの露出表面との間の厚み方向Tに沿った距離のうちの最大値Te1によって規定され、積層セラミックコンデンサ10Aの第2外部電極16が設けられた部分の厚み方向Tにおける最大外形寸法Tc2は、第2外部電極16の第6被覆部16aの露出表面と第2外部電極16の第10被覆部16eの露出表面との間の厚み方向Tに沿った距離のうちの最大値Te2によって規定される。
【0095】
また、積層セラミックコンデンサ10Aの長さ方向Lにおける最大外形寸法Lcは、第1外部電極15の第2被覆部15bの露出表面と第2外部電極16の第7被覆部16bの露出表面との間の長さ方向Lに沿った距離のうちの最大値によって規定される。
【0096】
さらに、積層セラミックコンデンサ10Aの第1外部電極15が設けられた部分の幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1は、第1外部電極15の第3被覆部15cの露出表面と第1外部電極15の第4被覆部15dの露出表面との間の幅方向Wに沿った距離のうちの最大値We1によって規定され、積層セラミックコンデンサ10Aの第2外部電極16が設けられた部分の幅方向Wにおける最大外形寸法Wc2は、第2外部電極16の第8被覆部16cの露出表面と第2外部電極16の第9被覆部16dの露出表面との間の幅方向Wに沿った距離のうちの最大値We2によって規定される。
【0097】
ここで、第1外部電極15の長さ方向Lにおける最大外形寸法Le1および第2外部電極16の長さ方向Lにおける最大外形寸法Le2は、これらが同等となるように構成されることが好ましく、第1外部電極15と第2外部電極16との間の距離Deは、第1外部電極15と第2外部電極16との間の絶縁性を確保するのに十分な距離とされる。
【0098】
なお、本実施の形態における積層セラミックコンデンサ10Aは、長さ方向Lにおける最大外形寸法Lcが最も長くなるように構成されており、厚み方向Tにおける最大外形寸法Tc1,Tc2がいずれも上記長さ方向Lにおける最大外形寸法Lcの約半分の大きさで同等の寸法となるように構成されており、幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1,Wc2がいずれも上記長さ方向Lにおける最大外形寸法Lcの約半分の大きさで同等の寸法となるように構成されている。
【0099】
ここで、積層セラミックコンデンサ10Aの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)の代表値としては、たとえば0.25[mm]×0.125[mm]×0.125[mm]、0.4[mm]×0.2[mm]×0.2[mm]、0.6[mm]×0.3[mm]×0.3[mm]等が挙げられる。
【0100】
図4は、本実施の形態における実装構造体に具備される配線基板の概略斜視図である。また、
図5は、
図4に示すV−V線に沿った模式断面図であり、
図6は、
図5に示すVIA−VIA線およびVIB−VIB線に沿った模式断面図である。次に、これら
図4ないし
図6を参照して、本実施の形態における実装構造体に具備される配線基板20について説明する。
【0101】
図4ないし
図6に示すように、配線基板20は、全体として平板状の形状を有しており、基材部21と、半田レジスト22と、導電パターン23とを備えている。
【0102】
基材部21は、一対の主表面を有する平板状の形状を有しており、少なくともその一方の主表面上に上述した半田レジスト22および導電パターン23が形成されている。基材部21の材質としては、エポキシ樹脂等の樹脂材料やアルミナ等のセラミックス材料からなるもの、あるいはこれらに無機材料または有機材料からなるフィラーや織布等が添加されたもの等を用いることができる。一般的には、基材部21としては、エポキシ樹脂からなる母材にガラス製の織布が添加されたガラスエポキシ基板が好適に利用される。
【0103】
導電パターン23は、基材部21の主表面上に設けられており、所定の形状にパターニングされている。導電パターン23は、後述する第1ランド25および第2ランド26を形成する部分と、これら第1ランド25および第2ランド26から引き出された配線部24とを含んでいる。導電パターン23の材質としては、各種の導電材料が利用できるが、一般的には銅箔等の金属材料が好適に利用される。
【0104】
導電パターン23の第1ランド25および第2ランド26を形成する部分は、積層セラミックコンデンサ10Aの第1外部電極15および第2外部電極16に対応した形状に形成されており、その表面25a,26aが半田レジスト22によって覆われることなく露出した状態となっている。これに対し、第1ランド25および第2ランド26を形成する部分の周囲に位置する導電パターン23と、配線部24とは、いずれも半田レジスト22によって覆われている。
【0105】
半田レジスト22は、基材部21の主表面上および導電パターン23の主表面上に設けられており、所定の形状にパターニングされている。半田レジスト22は、積層セラミックコンデンサ10Aを配線基板20に実装する際に、後述する半田接合材が配線基板20の意図しない部分に付着してしまうことを防止するためのものであり、当該半田接合材が形成される領域を除く部分を主として覆っている。
【0106】
半田レジスト22には、積層セラミックコンデンサ10Aの第1外部電極15および第2外部電極16に対応した形状の一対の開口部22a,22bが設けられており、当該一対の開口部22a,22bによって上述した第1ランド25および第2ランド26の外形が規定されている。
【0107】
以上により、配線基板20は、導電パターン23のうちの第1ランド25の表面25aおよび半田レジスト22の開口部22aの壁面22a1によって形成されることになる半田レジスト22の第1空隙部27と、導電パターン23のうちの第2ランド26の表面26aおよび半田レジスト22の開口部22bの壁面22b1によって形成されることになる半田レジスト22の第2空隙部28とを有することになり、これら第1空隙部27および第2空隙部28が、積層セラミックコンデンサ10Aが実装されることとなる配線基板20の長さ方向Lに沿って並んで配置されることになる。
【0108】
なお、ランドを形成する部分の周囲に位置する導電パターンが半田レジストによって覆われることにより、半田レジストに設けられた開口部によってランドの外形が規定される上記構成は、一般にオーバーレジスト構造と称されるものであるが、ランドを形成する部分の周囲に導電パターンを設けず、ランドを形成する部分の導電パターンの外周縁と開口部の周縁とを合致させたり、あるいはランドを形成する部分の導電パターンの外周縁を開口部の周縁よりも内側に配置されたりした構成の配線基板としてもよい。なお、導電パターン23が基材部21から剥離してしまうことを防止する観点からは、上述したオーバーレジスト構造を採用することがより好ましい。
【0109】
ここで、上記第1ランド25および第2ランド26を平面視した状態におけるこれらの配置位置や形状、寸法は、積層セラミックコンデンサ10Aを素体11の第2主面11a2の法線方向に沿って見た状態における第1外部電極15および第2外部電極16の配置位置や形状、寸法と同等とされることが好ましい。
【0110】
すなわち、第1ランド25の第2ランド26が位置しない側の端部から第2ランド26の第1ランド25が位置しない側の端部までの長さ方向Lに沿った距離Lbは、上述した積層セラミックコンデンサ10Aの長さ方向Lにおける最大外形寸法Lcと同等となるように構成されることが好ましく、第1ランド25の長さ方向Lにおける外形寸法Ll1は、積層セラミックコンデンサ10Aの第1外部電極15の長さ方向Lにおける最大外形寸法Le1と同等となるように構成されることが好ましく、第1ランド25の幅方向Wにおける外形寸法Wl1は、積層セラミックコンデンサ10Aの第1外部電極15が設けられた部分の幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1(すなわちWe1)と同等となるように構成されることが好ましく、第2ランド26の長さ方向Lにおける外形寸法Ll2は、積層セラミックコンデンサ10Aの第2外部電極16の長さ方向Lにおける最大外形寸法Le2と同等となるように構成されることが好ましく、第2ランド26の幅方向Wにおける外形寸法Wl2は、積層セラミックコンデンサ10Aの第2外部電極16が設けられた部分の幅方向Wにおける最大外形寸法Wc2(すなわちWe2)と同等となるように構成されることが好ましく、第1ランド25と第2ランド26との間の長さ方向Lに沿った距離は、積層セラミックコンデンサ10Aの第1外部電極15と第2外部電極16との間の距離Deと同等となるように構成されることが好ましい。
【0111】
また、第1空隙部27の厚み方向Tにおける大きさTr1および第2空隙部28の厚み方向Tにおける大きさTr2は、いずれも導電パターン23を覆う部分の半田レジスト22の厚みによって規定されることになり、第1空隙部27の容積Vr1は、Ll1×Wl1×Tr1によって求めることができ、第2空隙部28の容積Vr2は、Ll2×Wl2×Tr2によって求めることができる。
【0112】
図7は、本実施の形態における実装構造体の模式断面図であり、
図8は、
図7に示すVIIIA−VIIIA線およびVIIIB−VIIIB線に沿った模式断面図である。次に、これら
図7および
図8を参照して、本実施の形態における実装構造体1Aについて説明する。
【0113】
図7および
図8に示すように、実装構造体1Aは、上述した構成の配線基板20に上述した構成の積層セラミックコンデンサ10Aが実装されてなるものであり、これら積層セラミックコンデンサ10Aおよび配線基板20に加えて、半田接合材からなる第1接合部31および第2接合部32を備えている。
【0114】
積層セラミックコンデンサ10Aは、第1外部電極15の第1被覆部15aが配線基板20の第1ランド25に対向するとともに、第2外部電極16の第6被覆部16aが配線基板20の第2ランド26に対向するように、素体11の第2主面11a2が配線基板20に対面した状態で配置されている。
【0115】
上述した第1接合部31は、これら対向配置された第1外部電極15と第1ランド25とを接合しており、第1ランド25の表面25aに固着するとともに、第1外部電極15の第1被覆部15a、第2被覆部15b、第3被覆部15c、第4被覆部15dおよび第5被覆部15eに跨るように第1外部電極15の表面に固着している。
【0116】
一方、上述した第2接合部32は、これら対向配置された第2外部電極16と第2ランド26とを接合しており、第2ランド26の表面26aに固着するとともに、第2外部電極16の第6被覆部16a、第7被覆部16b、第8被覆部16c、第9被覆部16dおよび第10被覆部16eに跨るように第2外部電極16の表面に固着している。
【0117】
第1接合部31および第2接合部32は、上述したように半田接合材によって構成されており、Snを含む半田合金を主成分としている。当該半田接合材としては、たとえばこれに含まれる金属成分のうち、Agの含有量が0wt%より大きく3.5wt%以下であり、Cuの含有量が0.5wt%以上0.7wt%以下である3元系のものを用いることが好ましい。
【0118】
当該半田接合材は、半田合金と有機材料であるフラックスとの混合物である半田ペーストを溶融および固化させることで形成されるものであり、半田ペースト中における半田合金の体積含有率Rsolは、0.45以上0.55以下であることが好ましい。
【0119】
ここで、第1接合部31となる半田ペーストは、積層セラミックコンデンサ10Aの実装時においてこれが溶融することで第1外部電極15の表面において濡れ広がり、その際に第1被覆部15aを覆うばかりでなく第2被覆部15b、第3被覆部15c、第4被覆部15dおよび第5被覆部15eを覆うように濡れ上がることになる。そのため、その後に濡れ広がった半田接合材が固化することにより、第1接合部31は、上述したように第1被覆部15a、第2被覆部15b、第3被覆部15c、第4被覆部15dおよび第5被覆部15eに跨るように第1外部電極15の表面に固着した状態で形成されることになる。
【0120】
また、第2接合部32となる半田ペーストも、積層セラミックコンデンサ10Aの実装時においてこれが溶融することで第2外部電極16の表面において濡れ広がり、その際に第6被覆部16aを覆うばかりでなく第7被覆部16b、第8被覆部16c、第9被覆部16dおよび第10被覆部16eを覆うように濡れ上がることになる。そのため、その後に濡れ広がった半田接合材が固化することにより、第2接合部32は、上述したように第6被覆部16a、第7被覆部16b、第8被覆部16c、第9被覆部16dおよび第10被覆部16eに跨るように第2外部電極16の表面に固着した状態で形成されることになる。
【0121】
図8に示すように、第1外部電極15の第3被覆部15cを覆う部分の第1接合部31の幅方向Wにおける最大寸法をWAsol1とし、第1外部電極15の第4被覆部15dを覆う部分の第1接合部31の幅方向Wにおける最大寸法をWBsol1とし、第2外部電極16の第8被覆部16cを覆う部分の第2接合部32の幅方向Wにおける最大寸法をWAsol2とし、第2外部電極16の第9被覆部16dを覆う部分の第2接合部32の幅方向Wにおける最大寸法をWBsol2とした場合に、本実施の形態における実装構造体1Aにおいては、これら最大寸法WAsol1,WBsol1,WAsol2,WBsol2が、上述した第1外部電極15が設けられた部分の積層セラミックコンデンサ10Aの幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1と、第2外部電極16が設けられた部分の積層セラミックコンデンサ10Aの幅方向Wにおける最大外形寸法Wc2との間で、それぞれ下記式(1)ないし式(4)の条件を充足している。
WAsol1≦0.06×Wc1 ・・・(1)
WBsol1≦0.06×Wc1 ・・・(2)
WAsol2≦0.06×Wc2 ・・・(3)
WBsol2≦0.06×Wc2 ・・・(4)
【0122】
すなわち、本実施の形態における実装構造体1Aにおいては、素体11の第1側面11c1および第2側面11c2側に形成される半田接合材からなる第1接合部31および第2接合部32の幅方向Wにおける厚み(すなわち半田接合材の膨らみ量)の最大値が、積層セラミックコンデンサ10Aの幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1,Wc2のそれぞれ6%以下の大きさに抑えられている。
【0123】
これにより、本実施の形態における実装構造体1Aにおいては、積層セラミックコンデンサ10Aを実装するために必要となる実装面積が狭小化することになり、隣り合って実装される電子部品との間の距離に大きなマージンを確保することが不要になり、狭隣接化が可能になる。したがって、実装構造体1Aである回路基板の小型化を図ることが可能になり、当該回路基板を具備する電子機器の小型化に寄与することになる。
【0124】
なお、本実施の形態における実装構造体1Aは、積層セラミックコンデンサ10Aの素体11の第1端面11b1、第2端面11b2、および、これらに隣接する第1側面11c1、第2側面11c2を覆うように設けられた第1外部電極15および第2外部電極16の表面に沿って半田接合材が濡れ上がることで第1接合部31および第2接合部32が形成されるものであるため、高いセルフアライメント効果が発揮されることになり、その結果、積層セラミックコンデンサ10Aがより適切な位置に実装されるものになり、当該効果と相まって上述した狭隣接化の効果が非常に高いものとなる。
【0125】
ここで、上記式(1)ないし式(4)の条件を具備するためには、第1接合部31に含まれる半田合金の体積をVsol1とし、第2接合部32に含まれる半田合金の体積をVsol2とした場合に、これらVsol1およびVsol2と、上述した第1空隙部27の容積Vr1および第2空隙部28の容積Vr2とが、積層セラミックコンデンサ10Aの幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1,Wc2に応じて、下記式(5)ないし式(10)を充足することで実現できる。
【0126】
すなわち、積層セラミックコンデンサ10Aが、Wc1=0.125±0.025[mm]、および、Wc2=0.125±0.025[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(5)および式(6)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.33 ・・・(5)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.33 ・・・(6)
【0127】
また、積層セラミックコンデンサ10Aが、Wc1=0.2±0.04[mm]、および、Wc2=0.2±0.04[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(7)および式(8)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.67 ・・・(7)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.67 ・・・(8)
【0128】
さらには、積層セラミックコンデンサ10Aが、Wc1=0.3±0.06[mm]、および、Wc2=0.3±0.06[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(9)および式(10)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.83 ・・・(9)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.83 ・・・(10)
【0129】
なお、本発明において、X=a±b(ここで、Xは変数、a,bは定数)と表記した場合、Xは、a−b以上でa+b以下の範囲内であることを意味する。
【0130】
ここで、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の値が、上記式(5)ないし式(10)に示す下限値である0.9を下回った場合には、半田合金の供給量が過少となり、十分な大きさの第1接合部31および第2接合部32を形成することが困難となってしまう。その場合には、実装後における積層セラミックコンデンサ10Aの接合強度を十分に保つことが難しくなる。なお、さらなる接合強度を確保する観点からは、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、下記式(11)および式(12)をさらに充足していることが好ましい。
1.0≦Vsol1/Vr1 ・・・(11)
1.0≦Vsol2/Vr2 ・・・(12)
【0131】
一方、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の値が、上記式(5)ないし式(10)に示す上限値を超えた場合には、半田合金の供給量が過多となり、上述した半田接合材の膨らみ量が大きくなってしまう。その場合には上記式(1)ないし式(4)の条件が充足されなくなってしまうことになり、狭隣接化の効果が大幅に損なわれてしまうことになる。なお、上記式(5)ないし式(10)に示すVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の上限値は、後述する第1検証試験によって導き出されたものである。
【0132】
図9は、本実施の形態における実装構造体の製造方法を示すフロー図である。次に、この
図9を参照して、本実施の形態における実装構造体の製造方法について具体的に説明する。
【0133】
上述した本実施の形態における実装構造体1Aを製造するに当たっては、まず、上述した構成の積層セラミックコンデンサ10Aと、上述した構成の配線基板20とが準備される。
【0134】
次に、
図9に示すように、配線基板20に半田ペーストが供給される(工程S1)。当該工程S1は、好ましくはステンシルを用いたスクリーン印刷法によって行なわれる。
【0135】
具体的には、配線基板20の第1空隙部27および第2空隙部28に対応した位置および大きさの第1孔部および第2孔部が設けられてなる平板状のステンシル(版)が予め準備され、当該第1孔部および第2孔部がそれぞれ配線基板20の第1空隙部27および第2空隙部28に重なるようにステンシルが配線基板20上に位置決めして載置され、当該第1孔部および第2孔部、これに重なる第1空隙部27および第2空隙部28が半田ペーストによって充填されるように半田ペーストの印刷が行なわれる。その際、ステンシルの表面に半田ペーストが残留することがないようにスキージ等を用いて余剰の半田ペーストが掻き取られる。これにより、配線基板20の第1ランド25上および第2ランド26上に所定量の半田ペーストが供給されることになる。
【0136】
なお、上述した工程S1においては、スクリーン印刷法を利用して半田ペーストを第1ランド25上および第2ランド26上に供給する場合を例示したが、他の方法を利用して半田ペーストを第1ランド25上および第2ランド26上に供給してもよいし、半田ペーストを積層セラミックコンデンサ10Aの第1外部電極15の第1被覆部15a上および第2外部電極16の第6被覆部16a上に供給することとしてもよいし、これら第1ランド25および第1被覆部15aならびに第2ランド26および第6被覆部16a上の双方に供給することとしてもよい。
【0137】
次に、配線基板20に積層セラミックコンデンサ10Aが載置される(工程S2)。当該工程S2においては、好ましくはチップマウンターが用いられ、積層セラミックコンデンサ10Aの第1外部電極15の第1被覆部15aが、第1接合部31となる半田ペーストを介して配線基板20の第1ランド25に対向配置されるとともに、積層セラミックコンデンサ10Aの第2外部電極16の第6被覆部16aが、第2接合部32となる半田ペーストを介して配線基板20の第2ランド26に対向配置されることとなるように、高精度に積層セラミックコンデンサ10Aが位置決めされて配線基板20上に載置される。
【0138】
次に、リフローが行なわれる(工程S3)。当該工程S3においては、配線基板20上に半田ペーストを介して載置された積層セラミックコンデンサ10Aが、当該配線基板20および半田ペーストごとたとえばリフロー炉に投入されることによって行なわれる。これにより、半田ペーストが加熱されて溶融し、その後半田ペーストが冷却されて固化することにより、上述した第1接合部31および第2接合部32が形成されることになり、積層セラミックコンデンサ10Aが配線基板20に実装される。
【0139】
ここで、上述したように、狭隣接化のためには半田合金の供給量が適切に管理される必要があり、そのためには、上述した工程S1において適切な量の半田ペーストが供給されることが重要になる。
【0140】
この点、本実施の形態における実装構造体の製造方法においては、第1接合部31となる半田ペーストの上記工程S1における体積供給量をVp1とし、第2接合部32となる半田ペーストの上記工程S1における体積供給量をVp2とした場合に、これらVp1およびVp2が、上述した第1空隙部27の容積Vr1、第2空隙部28の容積Vr2および半田ペースト中における半田合金の体積含有率Rsolとの間で、積層セラミックコンデンサ10Aの幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1,Wc2に応じて、下記式(13)、式(14)、式(17)、式(18)、式(21)および式(22)を充足するように管理される。
【0141】
すなわち、積層セラミックコンデンサ10Aが、Wc1=0.125±0.025[mm]、および、Wc2=0.125±0.025[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(13)および式(14)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.33×Vr1/Rsol ・・・(13)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.33×Vr2/Rsol ・・・(14)
【0142】
また、積層セラミックコンデンサ10Aが、Wc1=0.2±0.04[mm]、および、Wc2=0.2±0.04[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(17)および式(18)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.67×Vr1/Rsol ・・・(17)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.67×Vr2/Rsol ・・・(18)
【0143】
さらには、積層セラミックコンデンサ10Aが、Wc1=0.3±0.06[mm]、および、Wc2=0.3±0.06[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(21)および式(22)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.83×Vr1/Rsol ・・・(21)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.83×Vr2/Rsol ・・・(22)
【0144】
これにより、上記工程S1において第1ランド25上および第2ランド26上に供給される半田合金の体積Vsol1,Vsol2が、上記式(5)ないし式(10)の条件を充足することになり、接合強度の確保と狭隣接化とが実現できることになる。
【0145】
なお、さらなる接合強度を確保する観点からは、Vp1およびVp2が、下記式(25)および式(26)をさらに充足していることが好ましい。
1.0×Vr1/Rsol≦Vp1 ・・・(25)
1.0×Vr2/Rsol≦Vp2 ・・・(26)
【0146】
これにより、上記工程S1において第1ランド25上および第2ランド26上に供給される半田合金の体積Vsol1,Vsol2が、上記式(11)および式(12)の条件を充足することになり、さらなる接合強度の確保が可能になる。
【0147】
また、上述したように、工程S1においてスクリーン印刷法を利用する場合には、配線基板20の第1空隙部27に対応してステンシルに設けられた第1孔部の容積をVst1とし、配線基板20の第2空隙部28に対応してステンシルに設けられた第2孔部の容積をVst2とした場合に、これらVst1およびVst2が、上述した第1空隙部27の容積Vr1、第2空隙部28の容積Vr2および半田ペースト中における半田合金の体積含有率Rsolとの間で、積層セラミックコンデンサ10Aの幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1,Wc2に応じて、下記式(15)、式(16)、式(19)、式(20)、式(23)および式(24)を充足するように調整されていることが好ましい。
【0148】
すなわち、積層セラミックコンデンサ10Aが、Wc1=0.125±0.025[mm]、および、Wc2=0.125±0.025[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(15)および式(16)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.33/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(15)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.33/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(16)
【0149】
また、積層セラミックコンデンサ10Aが、Wc1=0.2±0.04[mm]、および、Wc2=0.2±0.04[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(19)および式(20)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.67/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(19)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.67/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(20)
【0150】
さらには、積層セラミックコンデンサ10Aが、Wc1=0.3±0.06[mm]、および、Wc2=0.3±0.06[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(23)および式(24)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.83/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(23)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.83/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(24)
【0151】
これにより、上記工程S1において第1ランド25上および第2ランド26上に供給される半田合金の体積Vsol1,Vsol2が、上記式(5)ないし式(10)の条件を充足することになり、接合強度の確保と狭隣接化とが実現できることになる。
【0152】
以上において説明したように、本実施の形態における実装構造体1Aとすることにより、また本実施の形態における実装構造体の製造方法を採用することにより、配線基板20上に実装される積層セラミックコンデンサ10Aとこれに隣り合うように配置される電子部品との間の狭隣接化が可能になり、電子機器の小型化を図ることが可能になる。
【0153】
(第1検証試験)
図10は、第1検証試験における検証例1ないし検証例3の製造条件を示す表であり、
図11ないし
図13は、それぞれ第1検証試験における検証例1ないし検証例3の製造条件および試験結果を示す表である。また、
図14は、第1検証試験における検証例1ないし検証例3の試験結果を示すグラフである。次に、これら
図10ないし
図14を参照して、上述した本発明の実施の形態1に関連して行なった第1検証試験について説明する。
【0154】
本第1検証試験は、検証例1ないし検証例3として、
図10に示す各種寸法および容積の積層セラミックコンデンサ、配線基板およびステンシルを準備し、
図10に示す半田合金の体積含有率を有する半田ペーストを用いて配線基板に積層セラミックコンデンサを実際に実装することにより、上述した半田接合材の膨らみ量の最大値(WAsol1、WBsol1、WAsol2およびWBsol2のうちの最大値)を実測したものである。
【0155】
検証例1において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、0.25[mm]×0.125[mm]×0.125[mm]であり、検証例2において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、0.4[mm]×0.2[mm]×0.2[mm]であり、検証例3において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、0.6[mm]×0.3[mm]×0.3[mm]である。
【0156】
また、配線基板に設けた第1ランドおよび第2ランドならびにステンシルに設けた第1孔部および第2孔部の平面視した場合おける配置位置や形状、寸法は、いずれも積層セラミックコンデンサを素体の第2主面の法線方向に沿って見た状態における第1外部電極および第2外部電極の配置位置や形状、寸法に合致させている。
【0157】
ここで、当該第1検証試験においては、
図11ないし
図13に示すように、半田合金の体積Vsol1,Vsol2に変化をもたせるために、ステンシルとしてその厚みTstが異なるものを複数準備してこれらを用いることとした。これにより、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2は、いずれも0.83〜2.50(ただし、検証例1においては0.83〜1.83、検証例2においては0.83〜2.17)の間で段階的に変化するようにしている。
【0158】
なお、第1検証試験においては、検証例1ないし検証例3のいずれについても、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の値毎に複数のサンプルを製造して半田接合材の膨らみ量の最大値を実測した。
図11ないし
図13において示す試験結果としてのこれらの値は、いずれも上記複数のサンプルにおける半田接合材の膨らみ量の最大値の平均値を算出して示したものである。
【0159】
図11および
図14に示されるように、第1検証試験の結果によると、検証例1においては、上記式(1)ないし式(4)を充足する(すなわち、半田接合材の膨らみ量の最大値が積層セラミックコンデンサの最大外形寸法の6%以下(0.0075[mm]以下)となる)ためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、1.33以下であることが必要であることが分かる。
【0160】
また、
図12および
図14に示されるように、第1検証試験の結果によると、検証例2においては、上記式(1)ないし式(4)を充足する(すなわち、半田接合材の膨らみ量の最大値が積層セラミックコンデンサの最大外形寸法の6%以下(0.012[mm]以下)となる)ためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、1.67以下であることが必要であることが分かる。
【0161】
さらに、
図13および
図14に示されるように、第1検証試験の結果によると、検証例3においては、上記式(1)ないし式(4)を充足する(すなわち、半田接合材の膨らみ量の最大値が積層セラミックコンデンサの最大外形寸法の6%以下(0.018[mm]以下)となる)ためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、1.83以下であることが必要であることが分かる。
【0162】
以上の結果に基づけば、上記式(1)ないし式(4)を充足するためには、実装する積層セラミックコンデンサの幅方向における最大外形寸法に応じて、上記式(5)ないし式(10)および上記式(13)ないし式(24)を充足することが好適であることが理解される。
【0163】
なお、上述した本発明の実施の形態1においては、内部電極層が配線基板の主表面に対して平行(すなわち、内部電極層の積層方向が当該主表面に垂直)となるように電子部品が配線基板に実装されてなる実装構造体に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明は、内部電極層が配線基板の主表面に対して垂直(すなわち、内部電極の積層方向が当該主表面に平行)となるように電子部品が配線基板に実装されてなる実装構造体にも当然にその適用が可能である。
【0164】
(実施の形態2)
図15は、本発明の実施の形態2における実装構造体に具備される積層セラミックコンデンサの模式断面図であり、
図16は、
図15に示すXVIA−XVIA線およびXVIB−XVIB線に沿った模式断面図である。まず、これら
図15および
図16を参照して、本実施の形態における実装構造体に具備される積層セラミックコンデンサ10Bについて説明する。
【0165】
図15および
図16に示すように、本実施の形態における積層セラミックコンデンサ10Bは、上述した実施の形態1における積層セラミックコンデンサ10Aと基本的に同様の構成の素体11を有しており、当該素体11の表面に設けられた第1外部電極15および第2外部電極の構成と、その詳細な説明は省略するが、積層方向において交互に第1外部電極15および第2外部電極16に接続された内部電極層13の当該第1外部電極15および第2外部電極16に対する接続態様とにおいてのみ、上述した実施の形態1における積層セラミックコンデンサ10Aのそれと異なっている。
【0166】
より詳細には、本実施の形態における積層セラミックコンデンサ10Bにおいては、素体11の表面を覆うように互いに離間して設けられた第1外部電極15および第2外部電極16が、それぞれ素体11の第2主面11a2の長さ方向Lにおける端部のみを覆うように設けられている。すなわち、第1外部電極15は、第1端面11b1寄りに位置する部分の第2主面11a2のみを覆うように構成されており、第2外部電極16は、第2端面11b2寄りに位置する部分の第2主面11a2を覆うように構成されている。
【0167】
これにより、積層セラミックコンデンサ10Bの第1外部電極15が設けられた部分の厚み方向Tにおける最大外形寸法Tc1は、第1外部電極15の露出表面と素体11の第1主面11a1との間の厚み方向Tに沿った距離のうちの最大値によって規定され、積層セラミックコンデンサ10Bの第2外部電極16が設けられた部分の厚み方向Tにおける最大外形寸法Tc2は、第2外部電極16の露出表面と素体11の第1主面11a1との間の厚み方向Tに沿った距離のうちの最大値によって規定される。
【0168】
また、積層セラミックコンデンサ10Bの長さ方向Lにおける最大外形寸法Lcは、素体11の第1端面11b1と第2端面11b2との間の長さ方向Lに沿った距離のうちの最大値によって規定される。
【0169】
さらに、積層セラミックコンデンサ10Bの第1外部電極15が設けられた部分の幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1は、素体11の第1側面11c1と第2側面11c2との間の幅方向Wに沿った距離のうちの最大値によって規定され、積層セラミックコンデンサ10Bの第2外部電極16が設けられた部分の幅方向Wにおける最大外形寸法Wc2は、素体11の第1側面11c1と第2側面11c2との間の幅方向Wに沿った距離のうちの最大値によって規定される。
【0170】
ここで、第1外部電極15の長さ方向Lにおける最大外形寸法Le1および第2外部電極16の長さ方向Lにおける最大外形寸法Le2は、これらが同等となるように構成されることが好ましく、第1外部電極15と第2外部電極16との間の距離Deは、第1外部電極15と第2外部電極16との間の絶縁性を確保するのに十分な距離とされる。
【0171】
なお、本実施の形態における積層セラミックコンデンサ10Bは、長さ方向Lにおける最大外形寸法Lcが最も長くなるように構成されており、厚み方向Tにおける最大外形寸法Tc1,Tc2がいずれも上記長さ方向Lにおける最大外形寸法Lcの約半分の大きさで同等の寸法となるように構成されており、幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1,Wc2がいずれも上記長さ方向Lにおける最大外形寸法Lcの約半分の大きさで同等の寸法となるように構成されている。
【0172】
ここで、積層セラミックコンデンサ10Bの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)の代表値としては、たとえば0.25[mm]×0.125[mm]×0.125[mm]、0.4[mm]×0.2[mm]×0.2[mm]、0.6[mm]×0.3[mm]×0.3[mm]、1.0[mm]×0.5[mm]×0.5[mm]、1.6[mm]×0.8[mm]×0.8[mm]、2.0[mm]×1.25[mm]×1.25[mm]、3.2[mm]×1.6[mm]×1.6[mm]等が挙げられる。
【0173】
図17は、本実施の形態における実装構造体の模式断面図であり、
図18は、
図17に示すXVIIIA−XVIIIA線およびXVIIIB−XVIIIB線に沿った模式断面図である。次に、これら
図17および
図18を参照して、本実施の形態における実装構造体1Bについて説明する。
【0174】
図17および
図18に示すように、実装構造体1Bは、配線基板20に上述した構成の積層セラミックコンデンサ10Bが実装されてなるものであり、これら積層セラミックコンデンサ10Bおよび配線基板20に加えて、半田接合材からなる第1接合部31および第2接合部32を備えている。ここで、配線基板20は、上述した実施の形態1において示した構成の配線基板20と同様の構成のものであり、第1ランド25および第2ランド26を平面視した状態におけるこれらの配置位置や形状、寸法は、積層セラミックコンデンサ10Bを素体11の第2主面11a2の法線方向に沿って見た状態における第1外部電極15および第2外部電極16の配置位置や形状、寸法と同等とされることが好ましい。
【0175】
積層セラミックコンデンサ10Bは、第1外部電極15が配線基板20の第1ランド25に対向するとともに、第2外部電極16が配線基板20の第2ランド26に対向するように、素体11の第2主面11a2が配線基板20に対面した状態で配置されている。
【0176】
上述した第1接合部31は、これら対向配置された第1外部電極15と第1ランド25とを接合しており、第1ランド25の表面25aに固着するとともに、第1外部電極15の表面に固着している。一方、上述した第2接合部32は、これら対向配置された第2外部電極16と第2ランド26とを接合しており、第2ランド26の表面26aに固着するとともに、第2外部電極16の表面に固着している。
【0177】
なお、第1接合部31および第2接合部32を構成する半田接合材は、上述した実施の形態1におけるそれと同様のものである。当該半田接合材は、半田合金と有機材料であるフラックスとの混合物である半田ペーストを溶融および固化させることで形成されるものであり、半田ペースト中における半田合金の体積含有率Rsolは、0.45以上0.55以下であることが好ましい。
【0178】
本実施の形態における実装構造体1Bは、
図18に示すように、実装後において積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが一切生じていないか、あるいは、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが生じている場合であってもその傾角が2°以下に抑えられているものであるが、当該傾きについて以下において説明する。
図19は、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた状態にある実装構造体の例を示す模式断面図である。
【0179】
図18に示すように、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが一切生じていない状態においては、積層セラミックコンデンサ10Bの素体11の第2主面11a2と、配線基板20の表面(より厳密には、半田レジスト22の露出表面)とが平行な状態にある。
【0180】
一方、
図19に示すように、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが生じている状態においては、積層セラミックコンデンサ10Bの素体11の第2主面11a2と、配線基板20の表面(より厳密には、半田レジスト22の露出表面)とが所定の傾角θを形成することになる。この傾角θが、2°を超えた場合には、積層セラミックコンデンサ10Bを実装するために必要となる実装面積に相当程度の大きなマージンを確保しておくことが必要になってしまう。
【0181】
したがって、本実施の形態における実装構造体1Bにおいては、上述したように、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが一切生じていないか、あるいは、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが生じている場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられているものであるため、積層セラミックコンデンサ10Bを実装するために必要となる実装面積が狭小化することになり、隣り合って実装される電子部品との間の距離に大きなマージンを確保することが不要になり、狭隣接化が可能になる。したがって、実装構造体1Bである回路基板の小型化を図ることが可能になり、当該回路基板を具備する電子機器の小型化に寄与することになる。
【0182】
なお、本実施の形態における実装構造体1Bは、上述した実施の形態1における実装構造体1Aに比較した場合に、積層セラミックコンデンサ10Bの素体11の第1端面11b1、第2端面11b2、第1側面11c1および第2側面11c2を覆うように第1外部電極15および第2外部電極16が設けられていないものであるため、半田接合材が濡れ上がることもなく、その結果、第1接合部31および第2接合部が積層セラミックコンデンサ10Bの上記複数の面に形成されることもないことになり、当該効果と相まって上述した狭隣接化の効果が非常に高いものとなる。
【0183】
また、本実施の形態における実装構造体1Bは、上述したように、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが一切生じていないか、あるいは、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが生じている場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられているものであるため、第1接合部31および第2接合部32の厚みをその全域にわたって十分に確保することができるものであり、結果として、高い接合強度が発揮されることで接合信頼性が高まったものにもなる。
【0184】
ここで、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにするためには、第1接合部31に含まれる半田合金の体積Vsol1および第2接合部32に含まれる半田合金の体積Vsol2と、配線基板20に設けられた第1空隙部27の容積Vr1および第2空隙部28の容積Vr2とが、下記式(27)および式(28)を充足することで実現できる。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.94×(Wc1)+1.03 ・・・(27)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.94×(Wc2)+1.03 ・・・(28)
【0185】
なお、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.125±0.025[mm]、および、Wc2=0.125±0.025[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(37)および式(38)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.28 ・・・(37)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.28 ・・・(38)
【0186】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.2±0.04[mm]、および、Wc2=0.2±0.04[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(39)および式(40)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.43 ・・・(39)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.43 ・・・(40)
【0187】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.3±0.06[mm]、および、Wc2=0.3±0.06[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(41)および式(42)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦1.62 ・・・(41)
0.9≦Vsol2/Vr2≦1.62 ・・・(42)
【0188】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.5±0.1[mm]、および、Wc2=0.5±0.1[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(43)および式(44)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦2.01 ・・・(43)
0.9≦Vsol2/Vr2≦2.01 ・・・(44)
【0189】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.8±0.16[mm]、および、Wc2=0.8±0.16[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(45)および式(46)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦2.58 ・・・(45)
0.9≦Vsol2/Vr2≦2.58 ・・・(46)
【0190】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=1.25±0.25[mm]、および、Wc2=1.25±0.25[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(47)および式(48)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦3.45 ・・・(47)
0.9≦Vsol2/Vr2≦3.45 ・・・(48)
【0191】
さらには、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=1.6±0.32[mm]、および、Wc2=1.6±0.32[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(49)および式(50)がいずれも充足されていることが好ましい。
0.9≦Vsol1/Vr1≦4.13 ・・・(49)
0.9≦Vsol2/Vr2≦4.13 ・・・(50)
【0192】
ここで、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の値が、上記式(37)ないし式(50)に示す下限値である0.9を下回った場合には、半田合金の供給量が過少となり、十分な大きさの第1接合部31および第2接合部32を形成することが困難となってしまう。その場合には、実装後における積層セラミックコンデンサ10Bの接合強度を十分に保つことが難しくなる。なお、さらなる接合強度を確保する観点からは、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、下記式(29)および式(30)をさらに充足していることが好ましい。
1.0≦Vsol1/Vr1 ・・・(29)
1.0≦Vsol2/Vr2 ・・・(30)
【0193】
一方、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の値が、上記式(37)ないし式(50)に示す上限値を超えた場合には、半田合金の供給量が過多となり、上述した積層セラミックコンデンサ10Bの傾角θが大きくなることが懸念される。その場合には、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサ10Bに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにすることが困難になり、狭隣接化の効果が場合によっては大幅に損なわれてしまうことになる。なお、上記式(37)ないし式(50)に示すVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の上限値は、後述する第2検証試験によって導き出されたものである。
【0194】
本実施の形態における実装構造体1Bを製造するに当たっては、上述した実施の形態1における実装構造体の製造方法と同様の製造方法が適用でき、上述した
図9に示した製造フローと同様の製造フローを経ることにより、上述した実装構造体1Bが製造される。
【0195】
ここで、本実施の形態における製造方法にあっても、上述したように、狭隣接化のためには半田合金の供給量が適切に管理される必要があり、そのためには、上述した工程S1において適切な量の半田ペーストが供給されることが重要になる。
【0196】
この点、本実施の形態における実装構造体の製造方法においては、第1接合部31となる半田ペーストの上記工程S1における体積供給量Vp1と、第2接合部32となる半田ペーストの上記工程S1における体積供給量Vp2とが、上述した第1空隙部27の容積Vr1、第2空隙部28の容積Vr2および半田ペースト中における半田合金の体積含有率Rsolとの間で、積層セラミックコンデンサ10Aの幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1,Wc2に応じて、下記式(31)、式(32)、式(51)、式(52)、式(55)、式(56)、式(59)、式(60)、式(63)、式(64)、式(67)、式(68)、式(71)および式(72)を充足するように管理される。
【0197】
すなわち、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.125±0.025[mm]、および、Wc2=0.125±0.025[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(31)および式(32)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.28×Vr1/Rsol ・・・(31)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.28×Vr2/Rsol ・・・(32)
【0198】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.2±0.04[mm]、および、Wc2=0.2±0.04[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(51)および式(52)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.43×Vr1/Rsol ・・・(51)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.43×Vr2/Rsol ・・・(52)
【0199】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.3±0.06[mm]、および、Wc2=0.3±0.06[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(55)および式(56)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦1.62×Vr1/Rsol ・・・(55)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦1.62×Vr2/Rsol ・・・(56)
【0200】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.5±0.1[mm]、および、Wc2=0.5±0.1[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(59)および式(60)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦2.01×Vr1/Rsol ・・・(59)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦2.01×Vr2/Rsol ・・・(60)
【0201】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.8±0.16[mm]、および、Wc2=0.8±0.16[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(63)および式(64)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦2.58×Vr1/Rsol ・・・(63)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦2.58×Vr2/Rsol ・・・(64)
【0202】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=1.25±0.25[mm]、および、Wc2=1.25±0.25[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(67)および式(68)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦3.45×Vr1/Rsol ・・・(67)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦3.45×Vr2/Rsol ・・・(68)
【0203】
さらに、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=1.6±0.32[mm]、および、Wc2=1.6±0.32[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(71)および式(72)がいずれも充足されるように、半田ペーストの体積供給量Vp1,Vp2が管理される。
0.9×Vr1/Rsol≦Vp1≦4.13×Vr1/Rsol ・・・(71)
0.9×Vr2/Rsol≦Vp2≦4.13×Vr2/Rsol ・・・(72)
【0204】
これにより、上記工程S1において第1ランド25上および第2ランド26上に供給される半田合金の体積Vsol1,Vsol2が、上記式(37)ないし式(50)の条件を充足することになり、接合強度の確保と狭隣接化とが実現できることになる。
【0205】
なお、さらなる接合強度を確保する観点からは、Vp1およびVp2が、下記式(35)および式(36)をさらに充足していることが好ましい。
1.0×Vr1/Rsol≦Vp1 ・・・(35)
1.0×Vr2/Rsol≦Vp2 ・・・(36)
【0206】
これにより、上記工程S1において第1ランド25上および第2ランド26上に供給される半田合金の体積Vsol1,Vsol2が、上記式(29)および式(30)の条件を充足することになり、さらなる接合強度の確保が可能になる。
【0207】
また、上述したように、工程S1においてスクリーン印刷法を利用する場合には、ステンシルの第1孔部の容積Vst1と、ステンシルの第2孔部の容積Vst2とが、上述した第1空隙部27の容積Vr1、第2空隙部28の容積Vr2および半田ペースト中における半田合金の体積含有率Rsolとの間で、積層セラミックコンデンサ10Aの幅方向Wにおける最大外形寸法Wc1,Wc2に応じて、下記式(33)、式(34)、式(53)、式(54)、式(57)、式(58)、式(61)、式(62)、式(65)、式(66)、式(69)、式(70)、式(73)および式(74)を充足するように調整されていることが好ましい。
【0208】
すなわち、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.125±0.025[mm]、および、Wc2=0.125±0.025[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(33)および式(34)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.28/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(33)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.28/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(34)
【0209】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.2±0.04[mm]、および、Wc2=0.2±0.04[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(53)および式(54)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.43/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(53)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.43/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(54)
【0210】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.3±0.06[mm]、および、Wc2=0.3±0.06[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(57)および式(58)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((1.62/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(57)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((1.62/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(58)
【0211】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.5±0.1[mm]、および、Wc2=0.5±0.1[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(61)および式(62)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((2.01/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(61)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((2.01/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(62)
【0212】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=0.8±0.16[mm]、および、Wc2=0.8±0.16[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(65)および式(66)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((2.58/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(65)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((2.58/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(66)
【0213】
また、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=1.25±0.25[mm]、および、Wc2=1.25±0.25[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(69)および式(70)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((3.45/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(69)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((3.45/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(70)
【0214】
さらには、積層セラミックコンデンサ10Bが、Wc1=1.6±0.32[mm]、および、Wc2=1.6±0.32[mm]の条件をいずれも充足している場合にあっては、下記式(73)および式(74)がいずれも充足されるように、ステンシルの第1孔部の容積Vst1および第2孔部の容積Vst2が調整されていることが好ましい。
((0.9/Rsol)−1)×Vr1≦Vst1≦((4.13/Rsol)−1)×Vr1 ・・・(73)
((0.9/Rsol)−1)×Vr2≦Vst2≦((4.13/Rsol)−1)×Vr2 ・・・(74)
【0215】
これにより、上記工程S1において第1ランド25上および第2ランド26上に供給される半田合金の体積Vsol1,Vsol2が、上記式(37)ないし式(50)の条件を充足することになり、接合強度の確保と狭隣接化とが実現できることになる。
【0216】
以上において説明したように、本実施の形態における実装構造体1Bとすることにより、また本実施の形態における実装構造体の製造方法を採用することにより、配線基板20上に実装される積層セラミックコンデンサ10Bとこれに隣り合うように配置される電子部品との間の狭隣接化が可能になり、電子機器の小型化を図ることが可能になる。
【0217】
(第2検証試験)
図20は、第2検証試験における検証例4ないし検証例10の製造条件を示す表であり、
図21ないし
図27は、それぞれ第2検証試験における検証例4ないし検証例10の製造条件および試験結果を示す表である。また、
図28は、第2検証試験における検証例4ないし検証例10の試験結果を示すグラフであり、
図29は、第2検証試験における検証例4ないし検証例10の試験結果をさらに整理したグラフである。次に、これら
図20ないし
図29を参照して、上述した本発明の実施の形態2に関連して行なった第2検証試験について説明する。
【0218】
本第2検証試験は、検証例4ないし検証例10として、
図20に示す各種寸法および容積の積層セラミックコンデンサ、配線基板およびステンシルを準備し、
図20に示す半田合金の体積含有率を有する半田ペーストを用いて配線基板に積層セラミックコンデンサを実際に実装することにより、上述した積層セラミックコンデンサの傾角θを実測したものである。
【0219】
検証例4において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、0.25[mm]×0.125[mm]×0.125[mm]であり、検証例5において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、0.4[mm]×0.2[mm]×0.2[mm]であり、検証例6において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、0.6[mm]×0.3[mm]×0.3[mm]であり、検証例7において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、1.0[mm]×0.5[mm]×0.5[mm]であり、検証例8において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、1.6[mm]×0.8[mm]×0.8[mm]であり、検証例9において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、2.0[mm]×1.25[mm]×1.25[mm]であり、検証例10において使用した積層セラミックコンデンサの最大外形寸法Lc,Wc1(Wc2),Tc1(Tc2)は、3.2[mm]×1.6[mm]×1.6[mm]である。
【0220】
また、配線基板に設けた第1ランドおよび第2ランドならびにステンシルに設けた第1孔部および第2孔部の平面視した場合おける配置位置や形状、寸法は、いずれも積層セラミックコンデンサを素体の第2主面の法線方向に沿って見た状態における第1外部電極および第2外部電極の配置位置や形状、寸法に合致させている。
【0221】
ここで、当該第2検証試験においては、
図21ないし
図27に示すように、半田合金の体積Vsol1,Vsol2に変化をもたせるために、ステンシルとしてその厚みTstが異なるものを複数準備してこれらを用いることとした。これにより、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2は、検証例4ないし検証例6において、いずれも0.67〜2.17(ただし、検証例4においては0.67〜1.67)の間で段階的に変化するようにし、検証例7ないし検証例10において、いずれも0.83〜3.83の間で段階的に変化するようにしている。
【0222】
なお、第2検証試験においては、検証例4ないし検証例10のいずれについても、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の値毎に複数のサンプルを製造して積層セラミックコンデンサの傾角を実測した。
図21ないし
図27において示す試験結果としてのこれらの値は、いずれも上記複数のサンプルにおける積層セラミックコンデンサの傾角の平均値を算出して示したものである。なお、
図28に示すグラフから明らかなように、Vsol1/Vr1およびVsol2/Vr2と傾角θとの関係が、概ねVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2がいずれも1.2以上の範囲で比例関係にあると認められるため、以下において示す傾角θが2°以下に抑えられるようにするためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2は、いずれも近似式を求めることで算出している。
【0223】
図21および
図28に示されるように、第2検証試験の結果によると、検証例4においては、積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにするためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、1.28以下であることが必要であることが分かる。
【0224】
また、
図22および
図28に示されるように、第2検証試験の結果によると、検証例5においては、積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにするためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、1.43以下であることが必要であることが分かる。
【0225】
また、
図23および
図28に示されるように、第2検証試験の結果によると、検証例6においては、積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにするためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、1.62以下であることが必要であることが分かる。
【0226】
また、
図24および
図28に示されるように、第2検証試験の結果によると、検証例7においては、積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにするためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、2.01以下であることが必要であることが分かる。
【0227】
また、
図25および
図28に示されるように、第2検証試験の結果によると、検証例8においては、積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにするためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、2.58以下であることが必要であることが分かる。
【0228】
また、
図26および
図28に示されるように、第2検証試験の結果によると、検証例9においては、積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにするためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、3.45以下であることが必要であることが分かる。
【0229】
さらに、
図27および
図28に示されるように、第2検証試験の結果によると、検証例10においては、積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにするためのVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2が、4.13以下であることが必要であることが分かる。
【0230】
以上の結果に基づけば、積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるようにするためには、実装する積層セラミックコンデンサの幅方向における最大外形寸法に応じて、上記式(37)ないし式(50)、上記式(31)ないし式(34)、および、上記式(51)ないし式(74)を充足することが好適であることが理解される。
【0231】
また、
図29に示すように、上述した第2検証試験の結果をさらに整理すると、積層セラミックコンデンサの幅方向における最大外形寸法Wc1,Wc2と、上述した積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられるVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の上限値には、比例関係があることが認められる。当該関係を一般化して表わす近似式は、上記式(27)および式(28)となる。
【0232】
ここで、上記式(27)および式(28)と、検証例4ないし検証例10において用いた積層セラミックコンデンサの幅方向における最大外形寸法Wc1,Wc2の上限値および下限値と、必要な接合強度が確保できるVsol1/Vr1およびVsol2/Vr2の下限値とを考慮すると、
図29に示すグラフにおいて斜線にて表わした領域Rの条件を充足することにより、積層セラミックコンデンサに傾きが一切生じないか、あるいは、積層セラミックコンデンサに傾きが生じた場合であってもその傾角θが2°以下に抑えられることになる。
【0233】
今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。