(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃機関のクランクシャフト(14)が所定角度回転する毎にパルス信号が出力されるパルス区間と前記クランクシャフト(14)が基準位置まで回転した際にパルス信号の出力が停止される欠歯区間とを有するクランク信号の周期を計測する周期計測手段(30)と、
前記パルス区間では前記周期計測手段(30)による計測結果に基づいて前記クランクシャフト(14)の回転周期を予測する一方、前記欠歯区間では自身が予測した予測結果に基づいて前記クランクシャフト(14)が予め定められている基準角度だけ回転するのに要する時間を予測し、その予測結果に基づいて前記クランクシャフト(14)の回転周期を当該欠歯区間中に予測する周期予測手段(33)と、
を備えたことを特徴とするクランク角検出装置。
前記周期予測手段は、前記欠歯区間において前記クランクシャフト(14)が前記基準角度回転したことが検出されたタイミングで、新たに前記クランクシャフト(14)の回転周期を予測することを特徴とする請求項1記載のクランク角検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の複数の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に共通する部位については共通する符号を付し、その詳細な説明は省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、
図1から
図6を参照しながら説明する。
本実施形態では、クランク角検出装置を
図1に示す自動車用の内燃機関の制御装置に適用した例を示している。以下、内燃機関の制御装置を、便宜的にECU1(Electronic Control Unit)と称する。
【0008】
ECU1は、主たる制御を行うためのマイコン2と、そのマイコン2に接続されている入力回路3、EEPROM4、出力回路5および電源回路6等から構成されている。このECU1には、車両に搭載されているバッテリ7から電力が供給され、電源回路6においてマイコン2等で利用する制御用電圧が生成されている。このECU1は、EEPROM4等に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、内燃機関(図示省略)の制御を行っている。具体的には、ECU1は、入力回路3に接続されている各種センサ8や各種スイッチ9から入力された信号に基づいて内燃機関の制御を行っている。
【0009】
ECU1の入力回路3に接続されている各種センサ8としては、例えば内燃機関の燃焼圧を検出するための燃焼圧センサ10、カム11と一体に回転するカムロータ12に設けられている凹凸を検知することでカム11の回転角度に応じた信号を出力するカムセンサ13、および、クランクシャフト14と一体に回転するクランクロータ15に設けられている凹凸を検知することでクランクシャフト14の回転角度(以下、クランク角とも称する)に応じた信号(クランク信号。詳細は後述する)を出力するクランク角センサ18等がある。また、ECU1の出力回路5に接続されている制御対象となる機器としては、点火装置であるイグナイタ19や、燃料を噴射するインジェクタ20等がある。ECU1は、例えばイグナイタ19に対しては点火時期を示す点火信号を出力し、インジェクタ20に対しては燃料の噴射時期を示す噴射信号を出力する。なお、ECU1に接続される各種センサ8各種スイッチ9あるいは制御対象となる機器は、これらに限定されるものではなく、他のECU等であってもよい。
【0010】
ECU1のマイコン2は、I/O21、CPU22、ROM23、RAM24、A/D25(アナログ/デジタル変換器)、タイマ26、および、本実施形態におけるクランク角検出装置に相当するクランク角検出部27等の機能部を備えている。これら各機能部は、データバス28によって、相互にデータのやり取り可能に接続されている。クランク角検出部27は、クランク角センサ18から出力されるクランク信号に基づいてクランク角を検出する。なお、本実施形態ではクランク角検出部27をハードウェアで構成しているが、後述する第2実施形態にて説明するように、クランク角検出部27をソフトウェアにより実現してもよい。
【0011】
ここで、クランク信号の詳細について説明する。クランクシャフト14と一体に回転するクランクロータ15には、その周方向に等間隔で設けられている歯17と、クランクシャフト14の回転角度の基準となる部位に対応して、歯17が設けられていない欠歯部16とが設けられている。本実施形態では、歯17は10°CA(Crank Angle)間隔で設けられている一方、欠歯部16は2歯分の範囲となるように設けられている。つまり、クランクロータ15には、合計34個の歯17が設けられているとともに、30°CAの範囲が欠歯部16となっている。このため、クランク角センサ18から出力されるクランク信号は、
図2に示すように、クランクシャフト14が回転するのに伴って10°CA(Crank Angle)毎にパルス信号が出力するパルス区間と、欠歯部16に対応してパルス信号が出力されない欠歯区間とを有している。なお、
図2では、燃焼1サイクルにおけるクランク信号をTDC(Top Dead
Center:上死点)とともに例示している。
【0012】
次に、クランク角検出部27について説明する。
まず、本実施形態の検出対象であるクランク角について説明する。クランク角は、上記したように内燃機関の制御に用いられている。具体的には、燃焼圧センサ10からの燃焼圧信号を燃焼1サイクル中の所定の複数のクランク角で取得することで燃焼割合(燃焼1サイクルで燃焼する燃料に対するあるクランク角までに燃焼した燃料の割合)を算出し、その算出した燃焼割合を用いて、イグナイタ19の点火時期やインジェクタ20の燃料噴射時期が制御されている。そして、クランク角検出部27は、その制御の基準となるクランク角を検出する。このとき、燃焼割合や点火時期等をより正確に制御するためには、クランク角が所定の角度となったタイミングで極力正確に燃焼圧信号を取得する必要がある。
【0013】
そのため、パルス信号が入力される間隔(以下、便宜的にクランク周期とも称する)に基づいて、パルス信号間におけるクランク角をパルス間隔よりも短い間隔で予測あるいは推測することは可能である。例えば、欠歯区間になる前の区間におけるパルス信号に基づいて欠歯区間のクランク角を予測することが可能である。しかし、欠歯区間ではパルス信号が入力されないことから、また、欠歯区間においてもクランクシャフト14の回転速度が変化することは当然起こり得ることから、パルス区間におけるクランク周期に基づいてクランク周期を予測する手法では、欠歯区間におけるクランク角を検出する際の検出精度を向上させることができなかった。その結果、例えば燃焼圧信号を取得するタイミングが欠歯区間中であった場合にはそのタイミングがずれたり、あるいは点火信号や噴射信号を出力するタイミングが欠歯区間中となった場合にはそのタイミングがずれたりするおそれがあった。
【0014】
そこで、本実施形態のクランク角検出部27は、以下のようにして、欠歯区間におけるクランク角の検出精度を向上させている。
まず、パルス区間においてクランク周期を予測する基本的な作動について説明する。
図3に示すように、クランク角検出部27にクランク信号が入力されると、周期計測部30においてクランク周期、つまり、最後に入力されたパルス信号とその前に入力されたパルス信号との間隔が計測される。このクランク周期は、クランクシャフト14の回転周期を示している。
【0015】
さて、周期計測部30にて計測されたクランク周期がTであったとする。なお、計測されたクランク周期および後述する予測クランク周期は、本実施形態では少なくとも過去3回分のデータが後述する周期レジスタ32(記憶手段に相当する)に記憶される。そして、その過去3回分の計測結果に基づいて、後述するように周期予測部33にて次のパルス信号が入力されるまでの周期が予測され、周期予測部33から予測クランク周期として出力される。また、周期予測部33は、後述する欠歯区間においては、クランクシャフト14が後述する基準角度回転するのに要する時間を予測クランク周期(T0、T10、T20)として予測する。
【0016】
計測されたクランク周期は、セレクタ31に入力される。このセレクタ31は、周期予測部33に入力される周期、つまり、周期予測部33にて予測を行う際の基準となる周期を、クランク周期と、後述する予測クランク周期とに切り替えるためのものであり、切替手段に相当する。セレクタ31は、パルス区間ではクランク周期を入力する一方、欠歯区間においては基本的には予測クランク周期を入力するように切り替える。なお、切り替えのタイミングについては後述し、ここではクランク周期が入力されるものとする。
【0017】
周期予測部33は、周期レジスタ32に記憶されているクランク周期の今回の計測結果がT(i)、前回の計測結果がT(i−1)、前々回の計測結果がT(i−2)であったとすると、補正値ΔTを以下の(1)式〜(2)式に基づいて算出する。
ΔT1=T(i−1)−T(i−2) ・・・(1)
ΔT2=T(i)−T(i−1) ・・・(2)
ΔT3=(ΔT2×ΔT2)÷ΔT1 ・・・(3)
【0018】
続いて、周期予測部33は、パルス区間における予測周期T’を、以下の(4)式のように算出する。
T’=T(i)+ΔT3 ・・・(4)
つまり、周期予測部33は、クランクシャフト14の回転速度の変化の傾向に基づいて予測周期T’を求めている。なお、この予測周期T’は、パルス信号の計測結果に基づいて算出されたものであり、パルス区間における予測周期を示すものであるが、後述するように、欠歯区間における最初の予測値である予測周期T0と同一の値となる。
【0019】
周期予測部33から出力された予測クランク周期は、逓倍クロック生成部34に入力される。そして、逓倍クロック生成部34は、クランク信号に同期したクロックであって、予測クランク周期の間隔のn倍に逓倍された逓倍角度クロックを生成して出力する。本実施形態では、逓倍数は10に設定されている。
逓倍クロック生成部34は、パルス区間においては、クランク信号、より厳密には、パルス信号が入力される毎にリセットされる一方、パルス信号が入力されてから10°CA÷逓倍数を超えるクロックを出力しないように構成されている。これは、逓倍角度クロックはあくまでもクランク角の予測に用いられるものであることから、次のパルス信号が入力される前に誤って10°CAを超えたと判定されることを防止するためである。
【0020】
一方、逓倍クロック生成部34は、欠歯区間においては、パルス信号が入力されてから10°CA÷逓倍数を超えた場合であっても、継続してクロックを出力する。ただし、欠歯区間の角度の上限、本実施形態では30°CA(2歯欠けているので、10°CA×3=30°CAの範囲が欠歯区間となる)を超えてクロックを出力することはない。なお、パルス区間であるか欠歯区間であるかの判定は、パルス信号数をカウントする後述する上位カウンタ38の値により特定することができる。
【0021】
逓倍クロック生成部34で生成された逓倍角度クロックは、角度カウンタ37に入力される。角度カウンタ37は、クランク信号つまりはパルス信号の立ち下がりエッジをカウントする上位カウンタ38と、逓倍角度クロックの立ち下がりエッジをカウントする下位カウンタ39とから構成されている。このうち、上位カウンタ38は、欠歯区間の終了とともにリセットされる。また、下位カウンタ39は、パルス信号の入力毎に初期化される。このため、上位カウンタ38の値が大きいほど、また、下位カウンタ39の値が大きいほど、基準位置からのクランクシャフト14の回転角度が大きいことになる。つまり、角度カウンタ37は、クランク角を特定可能な角度情報を生成している。
【0022】
このため、上位カウンタ38の値によって10°CA刻みでクランクシャフト14の回転角度を特定でき、下位カウンタ39の値によってパルス信号間におけるクランクシャフト14の回転角度を特定できる。すなわち、角度カウンタ37のカウント値に基づいて、クランクシャフト14の回転角度を予測あるいは推定することができ、もって、クランクシャフト14の回転角度を検出することが可能となる。なお、本実施形態の場合には34歯であるので、上位カウンタ38のカウント値が「34」となった時点で欠歯区間になったと判定することができる。また、下位カウンタ39は逓倍角度クロックをカウントしているので、例えば逓倍数を10に設定したのであれば、下位カウンタ39のカウント値によって10°CA÷10=1°CA刻みでクランク角を特定することが可能となる。
【0023】
なお、逓倍数が大きければ大きいほど角度精度を高めること、換言すると、より詳細なタイミングでの制御を行うことができるが、逓倍数は適宜設定すればよい。例えば逓倍数を100に設定した場合には、0.1°CA刻みでクランク角を特定することができる。また、逓倍数を100に設定した場合であっても、カウント値が0〜9の範囲であれば1°CAに対応すると判定する等、カウント値の範囲によってもクランク角を特定することができるため、1°CA刻みでクランク角を特定することも可能である。
【0024】
この角度カウンタ37は、角度カウンタ37のカウント値と下位カウンタ39のカウント値とを含む(あるいは、カウント値を示す)角度カウント信号を出力する。この角度カウント信号は、クランクシャフト14の回転角度を特定可能な情報である。そして、クランク角検出部27自身やCPU22等において角度カウント信号に基づいてクランク角を特定することで、つまり、クランク角を検出することで、上記したような燃焼圧を取得するタイミング等が制御される。なお、下位カウンタ39のカウント値は、詳細は後述するが、10°CAフラグ生成部および20°CAフラグ生成部にも入力される。
【0025】
このように逓倍角度クロックをカウントすることにより、パルス信号間において、より詳細にクランク角を検出することができる。
ところで、パルス区間では、パルス信号が入力される毎に初期化された逓倍角度クロックが出力されるため、仮に下位カウンタ39に誤差が生じたとしても、その誤差はパルス信号が入力される毎にリセットされる。一方、パルス信号が入力されない欠歯区間では、下位カウンタ39の誤差がリセットされないため、誤差が蓄積されるおそれがある。また、上記したように欠歯区間においてクランクシャフト14の回転速度が変化した場合には、その誤差が大きくなる。
【0026】
そこで、本実施形態では、欠歯区間でのクランク角の検出を以下のように行っている。以下、
図4、
図5に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、
図4、
図5には、欠歯区間のクランク信号、クランク信号のパルス信号数をカウントする上位カウンタ38、パルス信号に同期して出力される逓倍角度クロック、逓倍角度クロックをカウントする下位カウンタ39、欠区間において10°CA回転したことを示す10°CAフラグのON/OFFの態様、欠区間において20°CA回転したことを示す20°CAフラグのON/OFFの態様、および予測クランク周期が示されている。
【0027】
まず、欠歯区間が開始された時点では、上記したように、セレクタ31によって周期予測部33にはクランク信号が入力される。このため、周期予測部33は、上記した(1)式〜(4)式に基づいて、クランク信号の予測周期T0を予測する。なお、この予測周期T0は、パルス区間における予測周期T’と同じ値となる。つまり、本実施形態では、周期予測部33が予測するクランクシャフト14が予め定められている基準角度とは、上記した所定角度(本実施形態では10°CA)であり、周期予測部33は、欠歯区間においてクランクシャフト14が所定角度だけ回転するのに要する時間を、その予測周期を求めることによって間接的に求めている。
【0028】
さて、欠歯区間では逓倍角度クロックは10°CAを超えて出力されるため、角度カウンタ37が10°CAを示す値(あるいは範囲)となった場合、クランクシャフト14が10°CA回転したものと推定することができる。そして、クランク角検出部27の10°CAフラグ生成部は、下位カウンタ39の値が10°CAを示す値となると、10°CAフラグをONする。この10°CAフラグは、セレクタ31の入力を切り替えるフラグでもあり、セレクタ31は、10°CAフラグがONされると、周期予測部33へ入力信号を、クランク周期(T)から予測クランク周期(T0)へと切り替える。
【0029】
そして、周期予測部33は、入力された予測クランク周期に基づいて、新たに予測周期を求める。具体的には、上記した(1)式〜(4)式において、先に予測した予測周期T0を今回の周期T(i)として用いるとともに、過去3回分の周期に基づいて新たな予測周期T10を求めている。そして、予測周期T10の新たな予測クランク周期に基づいて、新たな逓倍角度クロックが生成および出力される。つまり、クランク角検出部27は、欠歯区間においてクランクシャフト14が基準角度(本実施形態では、所定角度=10°CA)回転したことが検出されたタイミングで、新たにクランクシャフト14の回転周期を予測する。この場合、予測周期T10は、予測周期T0、パルス区間で計測された最後の周期およびその前の周期に基づいて求められている。つまり、クランクシャフト14の回転速度の変化の傾向に追従した周期が求められている。
【0030】
これにより、
図5に示すように、欠歯区間における10°CA以降において次に所定角度だけ回転するまでの間は、予測周期T0に対応する逓倍角度クロックに基づいて下位カウンタ39がカウントアップし、予測周期T0に基づいてクランク角が検出されることになる。
【0031】
そして、欠歯区間においてさらに所定角度回転したことが検出されたタイミングで、つまり、
図5に示すように下位カウンタ39が20°CAを示す値となったタイミングで、20°CAフラグがONされる。このとき、クランク角検出部27は、先に予測した予測周期T10を今回の周期T(i)として用いるとともに、過去3回分の周期に基づいて新たな予測周期T20を求めている。つまり、予測周期T20は、予測周期T10、予測周期T0、およびパルス区間で計測された最後の周期に基づいて求められている。そして、予測周期T20の新たな予測クランク周期に基づいて、新たな逓倍角度クロックが生成および出力され、欠歯区間における20°CAから次の所定角度でまでの区間において、クランク角が検出されることになる。
【0032】
このように、クランク角検出部27は、欠歯区間中にもクランクシャフト14の周期を再予測している。これにより、
図6に模式的に示すように、従来構成のクランク角検出装置のように欠歯区間となる前の予測値αを欠歯区間の全体に用いてクランク角を検出する場合に比べて、実施形態のクランク角検出装置のように欠歯区間中に予測を繰り返して予測値α1、α2、α3を用いてクランク角を検出可能することで、角度カウント値(下位カウンタ39の値)が欠歯区間の最後となる30°CAとなった時点における予測したクランク角と実際の回転角度との誤差を小さくすることが可能となる。
【0033】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
クランク角検出装置としてのクランク角検出部27は、パルス区間と欠歯区間とを有するクランク信号に基づいてクランク角を検出する際、パルス区間では周期計測部30による計測結果に基づいてクランクシャフト14の回転周期を予測する一方、欠歯区間では自身が予測した予測結果に基づいてクランクシャフト14が予め定められている基準角度だけ回転するのに要する時間(本実施形態では周期)を予測し、その予測結果に基づいてクランクシャフト14の回転周期を予測する。これにより、欠歯区間においてクランク角を検出する際の精度を向上させることができる。
【0034】
クランク角検出部27は、欠歯区間においてクランクシャフト14が基準角度回転したことを検出し、クランクシャフト14が基準角度回転したことが検出されたタイミングで新たにクランクシャフト14の周期を予測する。これにより、欠歯区間中にも複数回の予測を行うことができ、検出精度を向上させることができる。
このとき、クランク角検出部27は、過去3回分の周期を用いて新たな周期を予測しているので、周期の変化の傾向を含んだ状態、すなわち、クランクシャフト14の回転速度の変化に追従させた状態で周期を予測することができる。したがって、実際の回転角度との間に誤差が生じるおそれを低減することができる。
【0035】
また、欠歯区間中に予測を行う基準角度は、所定角度である。このため、パルス区間と欠歯区間とにおいて同じ角度毎に予測を行うことで、処理を共通化することができる。また、処理を共通化することにより、最小限の回路を追加することでクランク角検出装置を実現することができる。つまり、処理を共通化することにより、クランク角検出部27を構成するのにようする回路規模を縮小することができ、小型化や低コスト化をも図ることができる。
【0036】
クランク角検出装置は、パルス区間においては、周期予測部33に入力される周期をクランク周期に切り替える一方、欠歯区間においては、周期予測部33に入力される周期を当該周期予測部33にて予測された回転周期を示す予測クランク周期に切り替える切替手段としてのセレクタ31を設け、クランク角検出部27をマイコン2内に実装したハードウェアで構成している。これにより、クランク角検出装置は、高速で回転するクランクシャフト14の回転速度に追従させて高速に処理を行うことができる。
【0037】
また、実施形態では、セレクタ31により周期予測部33に入力する周期を切り替え、周期予測部33は、入力された周期に基づいて予測クランク周期を予測する構成としている。つまり、周期予測部33は、パルス区間においても欠歯区間においても、同じ態様にて周期の予測を行っている。そのため、パルス区間と欠歯区間と周期予測部33の処理を共通化することができ、クランク角検出装置をハードウェアで構成する場合に回路規模を縮小することができる。
【0038】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、
図7を参照しながら説明する。第2実施形態では、クランク角検出装置をソフトウェアで実現している点において、第1実施形態と異なっている。なお、
図7に示す検出処理は、その大まかな流れは第1実施形態と共通するので、重複する部分については詳細な説明は省略する。
【0039】
第2実施形態の場合、クランク角検出装置は、
図1に示したクランク角検出部27をソフトウェアで実現された構成となっている。このクランク角検出装置は、
図7に示す検出処理を実行しており、クランク信号が入力されると(S1)、10°CAフラグ、20°CAフラグに応じて周期予測処理を実行する(S2)。ここで、10°CAフラグは、第1実施形態と同様に欠歯区間においてクランクシャフト14が基準角度だけ回転したことを検出したときにONされるフラグである。本実施形態の場合、10°CAフラグは、下位カウンタ39のカウント値が10°CAを示したとき(S3:YES)にONされ(S4)、20°CAフラグは、下位カウンタ39のカウント値が20°CAを示したとき(S5:YES)にONされる(S6)フラグである。
【0040】
ここで、周期予測処理の詳細について説明する。クランク角検出装置は、第1実施形態で示した逓倍クロック生成部34および角度カウンタ37にて行われる処理を、ソフトウェア
で実現している。ただし、検出精度を考慮して、逓倍角度クロックに相当するクロックおよび経過時間を計測するためのカウンタは、マイコン2に内蔵されているタイマ26を用いている。なお、タイマ26は、パルス区間の少なくとも逓倍数のクロックをカウント可能な構成となっている。また、計測あるいは予測された周期は、例えばRAM24等の記憶手段に、本実施形態では少なくとも過去3回分のデータが記憶されている。
【0041】
具体的には、クランク角検出装置は、クランク信号が入力されると(S1)、タイマ26をリセットする。そして、クランク角検出装置は、パルス区間においては次のパルス信号が入力されるまでの間隔をタイマ26のカウント値に基づいて計測し、前述の(1)式〜(4)式に基づいてクランクシャフト14の回転周期(第1実施形態のT’に相当する)を予測する。そして、パルス区間においては、予測周期T’に基づいて、パルス信号が入力されてからの経過時間をタイマ26にてカウントすることで、クランク角を検出する。なお、パルス区間においては、カウント値は10°CAを上限としている。
【0042】
一方、クランク角検出装置は、欠歯区間が開始されると、最初の予測周期T0を求め、その予測周期T0に基づいてクランク角を検出する。この欠歯区間では、カウント値の上限は欠歯区間に対応する角度(本実施形態では、第1実施形態と同じ30°CA)の範囲を上限としている。予測周期T0を予測すると、クランク角検出装置は、タイマ26に予測周期T0の逓倍となるカウンタを設定し、そのカウント値に基づいてクランク角を検出する。つまり、本実施形態では、カウント値がクランクシャフト14の回転角度を特定可能な情報となっている。
【0043】
そして、クランク角検出装置は、欠歯区間において10°CAだけ回転したことを検出すると、つまり、
図7に示す検出処理のステップS3においてカウント値が10°CAとなると、10°CAフラグをONする。続いて、クランク角検出装置は、10°CAフラグがONになったことから、ステップS2において、第1実施形態と同様に今回の予測周期T0を用いて次の予測周期T10を求める。そして、タイマ26に予測周期T10の逓倍となるカウンタを設定し、そのカウント値に基づいてクランク角を検出する。
【0044】
その後、クランク角検出装置は、欠歯区間において20°CAだけ回転したことを検出すると、つまり、
図7に示す検出処理のステップS5においてカウント値が20°CAとなると、20°CAフラグをONする。そして、クランク角検出装置は、20°CAフラグがONになったことから、ステップS2において、第1実施形態と同様に今回の予測周期T10を用いて次の予測周期T20を予測する。そして、タイマ26に予測周期T20の逓倍となるカウンタを設定し、そのカウント値に基づいてクランク角を検出する。
【0045】
このように、第2実施形態のクランク角検出装置も、パルス区間では周期計測部30による計測結果に基づいてクランクシャフト14の回転周期を予測する一方、欠歯区間では自身が予測した予測結果に基づいてクランクシャフト14が予め定められている基準角度だけ回転するのに要する時間(本実施形態では周期)を予測し、その予測結果に基づいてクランクシャフト14の回転周期を予測する。これにより、欠歯区間においてクランク角を検出する際の精度を向上させることができる。
【0046】
また、クランク角検出装置は、欠歯区間においてクランクシャフト14が基準角度回転したことを検出し、クランクシャフト14が基準角度回転したことが検出されたタイミングで新たにクランクシャフト14の回転周期を予測する。これにより、欠歯区間中にも複数回の予測を行うことができ、検出精度を向上させることができる。
【0047】
このとき、クランク角検出装置は、過去3回分の周期を用いて新たな周期を予測しているので、周期の変化の傾向を含んだ状態、すなわち、クランクシャフト14の回転速度の変化に追従させた状態で周期を予測することができる。したがって、実際の回転角度との間に誤差が生じるおそれを低減することができる。
【0048】
また、欠歯区間中に予測を行う基準角度は、所定角度である。このため、パルス区間と欠歯区間とにおいて同じ角度毎に予測を行うことで、処理を共通化することができる。
また、クランク角検出装置をソフトウェアで構成することにより、つまり、クランク角を検出する機能をソフトウェアで実現することにより、多数の追加部品等を設けなくてもクランク角を検出することができる。このとき、本実施形態のように一般的なマイコン2に内蔵されているタイマ26を利用すれば、追加部品を必要とすることなくクランク角を検出することができるとともに、高速で回転するクランクシャフト14の回転角度を精度よく検出することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した一実施形態にて例示したものに限定されることなく、その範囲を逸脱しない範囲で任意に変形や拡張することができる。
実施形態で示した歯数や所定角度、逓倍数等の数値は一例であり、それらに限定されるものではない。
過去3回分の周期に基づいて新たな周期を予測する構成としたが、過去4回分やそれ以上の回数等、予測する際に用いる情報数は適宜変更してもよい。