【実施例】
【0016】
(実施例1)
上記電力変換装置の実施例につき、
図1〜
図5を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、
図1、
図2に示すごとく、互いの間に間隙を設けつつ積層配置された複数の冷却管21を有する積層冷却器2と、積層冷却器2における隣り合う冷却管21の間に挟持された電子部品としての半導体モジュール3と、積層冷却器2及び半導体モジュール3を内側に収容するケース4とを有する。
【0017】
ケース4は、積層冷却器2の積層方向(以下において、「X方向」という。)の後方と前方とにそれぞれ配される後方壁部411及び前方壁部412と、後方壁部411と前方壁部412とをそれぞれの両端において連結するように設けられた一対の側方壁部413と、囲み部材42とを有する。囲み部材42は、積層冷却器2をX方向の一方、冷却管21の長手方向(以下において、「Y方向」という。)の双方、及びX方向と冷却管21のY方向との双方に直交する高さ方向(以下において、「Z方向」という。)の双方から囲むように形成されている。
【0018】
後方壁部411は、X方向に貫通する壁部開口部401を有する。壁部開口部401は、ケース4に固定される閉塞部材5によって塞がれている。
積層冷却器2は、X方向から見たとき、壁部開口部401の外形の内側に収まる形状を有する。
【0019】
図1、
図2に示すごとく、半導体モジュール3は、X方向の両側から冷却管21によって挟持されている。半導体モジュール3は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子やFWD(フリーホイールダイオード)等のダイオードを内蔵した本体部33と、Z方向の一方(以下において、「上方」という。)に突出したパワー端子31と、Z方向の他方(以下において、「下方」という。)に突出した制御端子32とを有する。パワー端子31はバスバーに接続されており、制御端子32は回路基板11に接続されている。
図2、
図3に示すごとく、回路基板11は、ケース4の基板固定部46に固定されている。基板固定部46は、囲み部材42及び後述する接続底部45から、それぞれ下側に突出するように形成されている。
【0020】
図1に示すごとく、複数の冷却管21は、X方向に直交する方向に長く、そのY方向の両端側において、隣り合う冷却管21同士が変形可能な連結管22によって連結され、積層冷却器2を構成している。積層冷却器2は、X方向の後方端部に配設された後端冷却管21aの両端側において、積層冷却器2へ冷却媒体を導入する冷媒導入管23と、積層冷却器2から冷却媒体を排出する冷媒排出管24とが連結されている。冷媒導入管23と冷媒排出管24は、積層冷却器2から後方壁部411側に突出している。積層冷却器2は、アルミニウム等、熱伝導性に優れた金属からなる。なお、冷媒導入管23と冷媒排出管24との並び方向は、ケース4における一対の側方壁部413の並び方向と一致している。
【0021】
冷媒導入管23から導入された冷却媒体は、連結管22を適宜通り、各冷却管21に分配されると共にそのY方向に流通する。そして、各冷却管21を流れる間に、冷却媒体は半導体モジュール3との間で熱交換を行う。熱交換により温度上昇した冷却媒体は、下流側の連結管22を適宜通り、冷媒排出管24に導かれ、積層冷却器2から排出される。
【0022】
冷却媒体としては、例えば、水やアンモニア等の自然冷媒、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、フロリナート(登録商標)等のフッ化炭素系冷媒、HCFC123、HFC134a等のフロン系冷媒、メタノール、アルコール等のアルコール系冷媒、アセトン等のケトン系冷媒等を用いることができる。
【0023】
ケース4において、後方壁部411は前方壁部412に対向しており、一対の側方壁部413は互いに対向している。
後方壁部411と平行に形成された第1隔壁431と、Y方向における第1隔壁431の一端から前方側に向かって延びるように形成された第2隔壁432とによって、隔壁部43が形成されている。Y方向において、第1隔壁431の一方の端部は、一方の側方壁部413と繋がっており、他方の端部は、他方の側方壁部413から離れた位置に配置されている。そして、
図2に示すごとく、隔壁部43、前方壁部412の一部、及び側方壁部413の一部で囲まれた空間を塞ぐように、Z方向に垂直な底壁部44が形成されている。隔壁部43、前方壁部412の一部、側方壁部413の一部、及び底壁部44によって囲まれた空間にはコンデンサ12が配置されている。
【0024】
図1、
図2に示すごとく、ケース4内において、隔壁部43の前方には囲み部材42が形成されている。囲み部材42は、
図1、
図3に示すごとく、Y方向及びZ方向から積層冷却器4を覆うように形成された囲み部材本体421と、第1隔壁431の一部でもある前方囲み部422から構成されている。囲み部材本体421におけるY方向の中央部には、X方向全体にわたって開放された開放部420が形成されている。Y方向における開放部420の大きさは、Y方向における半導体モジュール3の大きさよりも大きい。囲み部材本体421は、開放部420を介してY方向に2部分に分かれており、その一方は一方の側方壁部413に直接接続され、他方は他方の側方壁部413に接続底部45を介して接続されている。
図3に示すごとく、囲み部材42の2つの部位は、X方向に直交する断面の形状が、互いに開口方向を対向させたU字状に湾曲している。
【0025】
図1、
図2に示すごとく、囲み部材42の内側に、積層冷却器2、半導体モジュール3が配置されている。また、積層冷却器2におけるX方向の前方端部に配設された前端冷却管21bと第1隔壁431との間には、加圧部材6が配設されている。加圧部材6の付勢力によって、積層冷却器2がX方向に加圧された状態となっている。加圧部材6は、例えばコイルバネ、板バネ、ゴム等の弾性部材によって構成することができる。
【0026】
後端冷却管21aの後側面には、積層冷却器2をケース4に固定するための閉塞部材5が接合されている。閉塞部材5の外形は、X方向から見たとき、壁部開口部401の外形が内側に収まる長方形状をなしている。また、閉塞部材5は、前方側に向かって突出した閉塞凸部51を有する。閉塞凸部51は、X方向から見たとき、壁部開口部401の内側に収まる大きさの外形で形成されており、その前端面は、後端冷却管21aの後端面に密着して接合されている。閉塞凸部51と後端冷却管21aとは、ろう付けや溶接等によって接合することができる。また、閉塞凸部51のX方向における厚みは、壁部開口部401のX方向における厚みよりも大きい。
【0027】
また、閉塞部材5は、冷媒導入管23及び冷媒排出管24をそれぞれ挿通配置するための挿通孔をY方向に並べて設けてなる。冷媒導入管23及び冷媒排出管24は、閉塞部材5に設けられた2つの挿通孔をそれぞれ貫通している。閉塞部材5には、各挿通孔の内周の全周にわたってそれぞれパイプシール部材13が設けられている。冷媒導入管23及び冷媒排出管24は、パイプシール部材13に密着している。閉塞部材5は、ケース4の後方壁部411にボルト等(図示略)によって固定されている。これにより、閉塞部材5によって、壁部開口部401が密閉される。また、ケース4は、Z方向の両側を、図示しない蓋体によって密閉される。以上により、ケース4内は、水密的に密封されている。
【0028】
ケース4(囲み部材42を含む。)、閉塞部材5は、例えば、アルミニウム、鉄等の金属又は合金からなる。
【0029】
積層冷却器2、半導体モジュール3、及び加圧部材6は、例えば次のように囲み部材42内に収容される。
図4、
図5に示すごとく、加圧部材6を、囲み部材42の内側であって、前方囲み部422の後面側に配設する。そして、後端に閉塞部材5が接合された積層冷却器2を、その前端側から壁部開口部401を通して囲み部材42の内側に挿入する。
【0030】
次に、積層冷却器2において隣り合う冷却管21の間に半導体モジュール3を配置する。このとき、半導体モジュール3は、開放部420を通して囲み部材42の内側へと挿入する。そして、閉塞部材5を前方へ押し込むと共に後方壁部411に固定する。閉塞部材5を後方壁部411に固定すると、積層冷却器2が閉塞部材5によって前方に押圧される。これにより、連結管22がX方向において短くなるように変形し、隣り合う冷却管21同士の距離が小さくなり、半導体モジュール3が冷却管21によって挟持される。なお、積層冷却器2によって加圧部材6が圧縮変形することにより、加圧部材6に付勢力が生じ、積層冷却器2及び半導体モジュール3がX方向に加圧された状態が維持される。
【0031】
次に、本例の作用効果について説明する。
電力変換装置1において、ケース4は、積層冷却器2をX方向の一方、冷却管21のY方向の双方、及びZ方向の双方から囲むように形成された囲み部材42を有する。それゆえ、ケース4における積層冷却器2の周囲の剛性を高くすることができる。これにより、ケース4に外力が加わっても、積層冷却器2の周囲部が変形することを防ぐことができる。その結果、積層冷却器2の変形や変位を防ぎ、積層冷却器2に配された半導体モジュール3の位置変動を防ぐことができる。
【0032】
また、積層冷却器2を囲み部材42で囲うことにより、積層冷却器2における隣り合う冷却管21の間に挟持された半導体モジュール3から発生する電磁ノイズが、周囲の他の電子部品へ影響を与えることを抑制することができる。
【0033】
また、囲み部材42は、積層冷却器2を囲っているため、積層冷却器2によって冷却されやすい。それに伴い、ケース4全体も冷却されやすい。これにより、積層冷却器2に配された半導体モジュール3のみならず、ケース4内に配された他の部品の温度上昇も抑制することができる。
【0034】
また、回路基板11を固定する複数の基板固定部46の一部は、囲み部材42に設けてある。これにより、回路基板11は半導体モジュール3の近くで固定されうるため、半導体モジュール3の制御端子32と回路基板11との組み付け精度の向上を図ることができる。それに伴い、制御端子32と回路基板11との接合部や、制御端子32自体にかかる応力を緩和することができる。また、半導体モジュール3は積層冷却器2を通じて、回路基板11は基板固定部46を通じて、共に囲み部材42に固定されている。そのため、電力変換装置1が振動した際、半導体モジュール3と回路基板11とは、同位相の振動をすることになる。それゆえ、電力変換装置1が振動した際に、半導体モジュール3の制御端子32と回路基板11との接合部に応力がかかることを抑制することができる。
【0035】
なお、半導体モジュール3のパワー端子31に接合されるバスバーを固定するバスバー固定部が、囲み部材42に設けてられていてもよい。この場合には、半導体モジュール3のパワー端子31とバスバーとの組み付け精度の向上を図ることができると共に、パワー端子31とバスバーとの接合部や、パワー端子31自体にかかる応力を緩和することができる。
【0036】
以上のごとく、本例によれば、ケースに外力が加わっても積層冷却器に配された電子部品の位置変動を防ぎ、電磁ノイズの影響を抑制し、ケース内全体の冷却性能に優れた電力変換装置を提供することができる。
【0037】
(実施例2)
本例は、
図6に示すごとく、囲み部材42に形成された開放部420のY方向における大きさを変更したものである。すなわち、囲み部材42における上側の開放部420のY方向における大きさを小さくしている。
【0038】
具体的には、囲み部材42における上側の開放部420のY方向における大きさを、半導体モジュール3のY方向の大きさよりも小さくし、かつ、開放部420から半導体モジュール3のパワー端子31が突出できる大きさにしている。そして、囲み部材42における下側の開口部420のY方向における大きさは、半導体モジュール3のY方向にける大きさよりも大きい。つまり、囲み部材42における下側の開口部420は、上側の開口部420よりもY方向における大きさが大きい。
【0039】
半導体モジュール3の本体部33は、囲み部材42の上側の開放部420のY方向における両側において、囲み部材本体421に当接している。
また、本例においては、半導体モジュール3は、下側の開口部420から囲み部材42の内側へと挿入する。
【0040】
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0041】
本例においては、半導体モジュール3を囲み部材42内に配置する際の位置決めが容易となる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0042】
(実施例3)
本例は、
図7に示すごとく、囲み部材42に、厚み方向に貫通した多数の貫通孔424を設けた例である。複数の四角形状の貫通孔424を設けて、囲み部材本体421をメッシュ状に形成している。貫通孔424の形状等は特に限定されるものではなく、例えば円形状や三角形状等でもよい。
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0043】
本例においては、囲み部材42の軽量化を図ることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0044】
(実施例4)
本例は、
図8に示すごとく、囲み部材42に、厚み方向に貫通した複数の貫通孔424を設けた例である。本例では、貫通孔424は、開放部420におけるY方向の両側のそれぞれにおいて、X方向に複数個、等間隔に形成してある。各貫通孔424のX方向における大きさは、半導体モジュール3のX方向における大きさよりも大きい。
【0045】
換言すると、開放部420を介して分かれた囲み部材本体421の2つの部分は、それぞれ、X方向に直線状に延びる複数の直線状部421aと、直線状部421aに直交しつつX方向から見て略U字形状に湾曲した複数の湾曲状部421bとを互いに組み合わせた構造となっている。そして、複数の直線状部421aと複数の湾曲状部421bとの間に、長方形状の貫通孔424が形成されている。
【0046】
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0047】
本例においても、囲み部材42の軽量化を図ることができる。
また、半導体モジュール3を駆動させるための電源回路の部品としてのコンデンサ、トランス等が囲み部材42に干渉することなく、ケース4内におけるこれらの部品の配置自由度を向上させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0048】
(実施例5)
本例は、
図9、
図10に示すごとく、囲み部材42に、補強リブ425が部分的に形成されている例である。補強リブ425は、囲み部材本体421の厚みを他の部分よりも大きくすることにより形成されている。囲み部材本体421の輪郭における外側には、補強リブ425aが形成されている。また、X方向に等間隔に、複数の補強リブ425bが囲み部材本体421の外側に形成されている。
【0049】
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0050】
本例においては、補強リブ425によって囲み部材42の剛性を向上させつつ、囲み部材42においては、補強リブ425以外の部位の厚みを薄くすることができる。これにより、軽量化を図りつつ、囲み部材42の剛性を向上させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0051】
(実施例6)
本例は、
図11、
図12に示すごとく、囲み部材本体421のY方向における双方の端部を、一対の側方壁部413に直接接続した例である。すなわち、本例においては、ケース4に、実施例1に示した接続底部(
図3の符号45)が形成されていない。
また、
図11に示すごとく、囲み部材42の前方囲み部422は、一対の側方壁部413を繋ぐように形成されている。前方囲み部422の一部は、隔壁43の第1隔壁431を兼ねている。
【0052】
また、
図12に示すごとく、回路基板11は、いずれも囲み部材42に形成された基板固定部46に固定されている。
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0053】
本例においては、回路基板11を固定する基板固定部46のすべてが、囲み部材42に固定されている。これにより、制御端子32と回路基板11との接合部や、制御端子32自体にかかる応力を、一層緩和することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0054】
なお、上記複数の実施例を適宜組み合わせた態様としてもよい。例えば、実施例2と実施例4とを組み合わせた態様とすることができる。