特許第6237370号(P6237370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237370
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】時間電圧変換器
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/66 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   H03M1/66 C
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-57622(P2014-57622)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-185856(P2015-185856A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】菅原 岳樹
【審査官】 及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−179951(JP,A)
【文献】 特開2012−112871(JP,A)
【文献】 特開昭62−249094(JP,A)
【文献】 特開平08−220260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/00−1/88
G04F 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定信号が第1電圧から第2電圧まで変化する時間を電圧に変換して出力する時間電圧変換器であって、
前記被測定信号が第1電圧に達したときに、第1定電流により第1コンデンサを充電する第1充電回路と、
前記被測定信号が第2電圧に達したときに、第2定電流により第2コンデンサを充電する第2充電回路と、
前記被測定信号が第2電圧に達してから所定時間が経過した後に前記第1コンデンサの電圧と前記第2コンデンサの電圧との差電圧を検出し、前記被測定信号が前記第1電圧から前記第2電圧に至るまでの時間に対応する電圧として出力する差電圧検出部と、
を備えることを特徴とする時間電圧変換器。
【請求項2】
前記第1充電回路は、
前記第1電圧を第1基準電圧として前記被測定信号と比較し、被測定信号が第1基準電圧に達したときに、前記第1定電流による前記第1コンデンサへの充電を開始させる第1電圧比較器を備え、
前記第2充電回路は、
前記第2電圧を第2基準電圧として前記被測定信号と比較し、被測定信号が第2基準電圧に達したときに、前記第2定電流による前記第2コンデンサへの充電を開始させる第2電圧比較器を備えることを特徴とする請求項1記載の時間電圧変換器。
【請求項3】
前記第1定電流の値と前記第2定電流の値との比は1:1/N(Nは1以上の整数)であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の時間電圧変換器。
【請求項4】
前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との比は1:N(Nは1以上の整数)であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の時間電圧変換器。
【請求項5】
前記第1充電回路は、前記被測定信号が第1電圧に達したときに計数を開始する第1カウンタを備え、該第1カウンタが所定数を計数したときに前記第1定電流により第1コンデンサを充電し、
前記第2充電回路は、前記被測定信号が第2電圧に達したときに計数を開始する第2カウンタを備え、該第2カウンタが所定数を計数したときに前記第2定電流により第2コンデンサを充電することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の時間電圧変換器。
【請求項6】
第1電圧から第N電圧(Nは3以上の整数)まで変化する被測定信号を構成する複数の区間の時間を電圧に変換して出力する時間電圧変換器であって、
前記被測定信号が第j電圧(j=1、2、・・・、N)に達したときに、第j定電流により第jコンデンサを充電する第j充電回路と、
前記被測定信号が第j+1電圧に達したときに、第j+1定電流により第j+1コンデンサを充電する第j+1充電回路と、
前記被測定信号が第j+1電圧に至る毎に、第j+1電圧に達してから所定時間が経過した後に前記第jコンデンサの電圧と前記第j+1コンデンサの電圧との差電圧を検出し、前記第1電圧から前記第N電圧まで変化する前記被測定信号を構成する複数の区間の時間に対応する電圧として出力する差電圧検出部と、
を備えることを特徴とする時間電圧変換器。
【請求項7】
前記差電圧検出部は、前記被測定信号が第j電圧から第j+x電圧(x=2、3、・・・、N)に達してから所定時間が経過した後に前記第jコンデンサの電圧と前記第j+xコンデンサの電圧との差電圧を検出し、前記被測定信号の前記第jから第j+x区間の時間に対応する電圧として出力することを特徴とする請求項6記載の時間電圧変換器。
【請求項8】
第1の被測定信号が第1電圧に達してから、第2の被測定信号が第2電圧に達するまでの時間差を電圧に変換して出力する時間電圧変換器であって、
前記第1の被測定信号が第1電圧に達したときに、第1定電流により第1コンデンサを充電する第1充電回路と、
前記第2の被測定信号が第2電圧に達したときに、第2定電流により第2コンデンサを充電する第2充電回路と、
前記第2の被測定信号が第2電圧に達してから所定時間が経過した後に前記第1コンデンサの電圧と前記第2コンデンサの電圧との差電圧を検出し、前記第1の被測定信号が前記第1電圧に達してから前記第2の被測定信号が前記第2電圧に至るまでの時間に対応する電圧として出力する差電圧検出部と、
を備えることを特徴とする時間電圧変換器。
【請求項9】
前記被測定信号は、2以上の複数の被測定信号jからなり、
前記複数の被測定信号jの各々が第j電圧(j=1、2、・・・、N)に達したときに、第j定電流により第jコンデンサを充電する第j充電回路を備え、
前記差電圧検出部は、前記複数の被測定信号が第j電圧から第j+x電圧(x=2、3、・・・、N)に達してから所定時間が経過した後に、前記第jコンデンサの電圧と前記第j+xコンデンサの電圧との差電圧を検出し、前記被測定信号の第jから第j+x区間の時間に対応する電圧として出力することを特徴とする請求項6記載の時間電圧変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号のパルス幅時間又は周期を、その長さに比例した電圧値に変換する時間電圧変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時間電圧変換器を用いてデジタル信号のパルス幅や周期を測定する技術が知られている。例えば、特許文献1に開示された時間電圧変換器では、被測定信号の立ち上がりに同期して定電流源によるコンデンサの充電を開始し、立下りに同期して充電を終了する。
【0003】
コンデンサを充放電するスイッチをオフする際(充電を開始する際)に発生する非リニア領域の部分をマスクするために、遅延回路が挿入されている。このように、非リニア領域を排してリニア領域の期間のみでコンデンサを充電することにより、良好な時間電圧変換特性が得られる。
【0004】
また、同様の技術として、特許文献2は、微小時間を拡大して測定する微小時間拡大装置を開示する。微小時間拡大装置は、入力信号の立ち上がりと立ち下りの各々に同期した2つの演算増幅器を用いた積分回路を備え、2つの積分回路の出力電圧の変化率に差をつけて、それら2つの信号を入力とする比較器の出力を反転させている。これにより、パルス幅は拡大率αで拡大され、この拡大率αは2つの積分器の開始電圧、抵抗値及び容量値から求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−179951号公報
【特許文献2】特開昭62−249094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、高速で変化するデジタル信号や半導体素子のスイッチング時間など、数10nsから数100nsのオーダーの微小時間の測定は、時間分解能の関係で測定不可能又は十分な測定精度が得られない。仮にスイッチング波形をサンプリングしようとする場合、精度良く測定するためにはその10倍程度、つまり1GHz以上でスイッチング波形をサンプリングしなければならず、汎用装置では困難である。
【0007】
特許文献1では、被測定信号を遅延回路に通した後、その立ち上がり又は立ち上がりにそれぞれ同期して、定電流回路とコンデンサにより充電を開始又は終了させ、そのコンデンサの電圧差を読み取っている。
しかし、測定時間が非常に短い場合には、その電圧差は非常に小さくなるため、精度よく測定することが困難である。また、特許文献1では、デジタル信号のパルス幅時間及び周期の測定に専ら使用される。
【0008】
また、特許文献2では、2つの演算増幅器を用いた積分器を用いて微小時間を拡大率αで拡大し、積分器の回路定数により微小時間を測定している。この技術では、2つの積分器の出力電圧が一致した点を基準として時間を計算しており、電圧差は用いられない。従って、出力電圧を一致(交差)させる必要があるので、測定精度の向上のために電圧差を大きくすることは測定時間がかかるという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、測定時間が非常に短くても微小なパルス幅時間又は周期を有する被測定信号を高精度で測定することができる時間電圧変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、集積回路内の素子のマッチングの良好さを利用し、全ての回路を集積回路内に作り込むことにより良好な時間電圧変換器を作製する。即ち、本発明の時間電圧変換器は、被測定信号が第1電圧から第2電圧まで変化する時間を電圧に変換して出力する時間電圧変換器であって、被測定信号が第1電圧に達したときに、第1定電流により第1コンデンサを充電する第1充電回路と、被測定信号が第2電圧に達したときに、第2定電流により第2コンデンサを充電する第2充電回路と、被測定信号が第2電圧に達してから所定時間が経過した後に第1コンデンサの電圧と第2コンデンサの電圧との差電圧を検出し、被測定信号が第1電圧から第2電圧に至るまでの時間に対応する電圧として出力する差電圧検出部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、測定時間が非常に短くても微小なパルス幅時間又は周期を有する被測定信号を高精度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1の時間電圧変換器の構成を示す回路図である。
図2】本発明の実施例1の時間電圧変換器の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3】本発明の実施例2の時間電圧変換器の構成を示す回路図である。
図4】本発明の実施例3の時間電圧変換器の構成を示す回路図である。
図5】本発明の実施例3の時間電圧変換器の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図6】本発明の実施例3の変形例の時間電圧変換器の構成を示す回路図である。
図7】本発明の実施例3の変形例の時間電圧変換器の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態の時間電圧変換器を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1の時間電圧変換器の構成を示す回路図である。この時間電圧変換器は、第1充電回路11、第2充電回路12及びオペアンプOPを備える。オペアンプOPは、本発明の差電圧検出部に対応する。
【0015】
第1充電回路11は、第1基準電源E1、第1コンパレータCMP1、第1カウンタ21、第1電流源I1、第1スイッチング素子SW1及び第1コンデンサC1を備える。第1コンパレータCMP1は、本発明の第1電圧比較器に対応する。
【0016】
第1基準電源E1は、第1基準電圧Vref1を発生し、第1コンパレータCMP1の非反転入力端子に出力する。第1基準電圧Vref1は、例えば、外部から入力される被測定信号VINの高レベル時の電圧の10%の電圧とする。
【0017】
第1コンパレータCMP1は、外部から反転入力端子に入力される被測定信号VINと第1基準電源E1から非反転入力端子に入力される第1基準電圧Vref1とを比較し、被測定信号VINの電圧が第1基準電圧Vref1より大きくなったときに出力端子からLレベルを出力する。
【0018】
第1カウンタ21は、例えばk分周器(kは正の整数)からなる。第1カウンタ21は、必要に応じて付加され、被測定信号VINの電圧が第1基準電圧Vref1より大きくなり第1コンパレータCMP1からLレベルが出力されたときに計数を開始する。
第1カウンタ21は、所定数を計数したときに、その旨の信号を第1スイッチング素子SW1に出力し、第1スイッチング素子SW1をオンさせる。第1カウンタ21の計数値を調整することにより、第1コンデンサC1に充電される電圧を調整することができる。
【0019】
第1電流源I1は、直流電流を第1スイッチング素子SW1の一端に供給する。第1コンデンサC1は、第1電流源I1から第1スイッチング素子SW1を介して供給される直流電流により充電される。
【0020】
第1スイッチング素子SW1は、例えばMOSFETからなる。第1スイッチング素子SW1の一端は第1電流源I1に接続され、他端は第1コンデンサC1の一端に接続され、制御端子は第1カウンタ21の出力端子に接続される。第1スイッチング素子SW1は、制御端子に供給される信号に応じてオン/オフする。
【0021】
第1コンデンサC1は、第1電流源I1から第1スイッチング素子SW1を介して供給される直流電流により充電される。第1コンデンサC1の電圧は、オペアンプOPの反転入力端子に供給される。
【0022】
第2充電回路12は、第2基準電源E2、第2コンパレータCMP2、第2カウンタ22、第2電流源I2、第2スイッチング素子SW2及び第2コンデンサC2を備える。第2コンパレータCMP2は、本発明の第2電圧比較器に対応する。
【0023】
第2基準電源E2は、第2基準電圧Vref2を発生し、第2コンパレータCMP2の非反転入力端子に供給する。第2基準電圧Vref2は、例えば、外部から入力される被測定信号VINの高レベル時の電圧の90%の電圧とする。
【0024】
第2コンパレータCMP2は、外部から反転入力端子に供給される被測定信号VINと、第2基準電源E2から非反転に端子に供給される第2基準電圧Vref2とを比較し、被測定信号VINの電圧が第2基準電圧Vref2より大きくなったときに、出力端子からLレベルを出力する。
【0025】
第2カウンタ22は、例えばk分周器からなる。第2カウンタ22は、必要に応じて付加され、被測定信号VINの電圧が第2基準電圧Vref2より大きくなり第2コンパレータCMP2からLレベルが出力されたときに計数を開始する。第2カウンタ22は、所定数を計数したときに、その旨の信号を第2スイッチング素子SW2に出力し、第2スイッチング素子SW2をオンさせる。第2カウンタ22の計数値を調整することにより、第2コンデンサC2に充電される電圧を調整することができる。
【0026】
第2電流源I2は、直流電流を第2スイッチング素子SW2の一端に供給する。第2コンデンサC2は、第2電流源I2から第2スイッチング素子SW2を介して供給される直流電流により充電される。
【0027】
第2スイッチング素子SW2は、例えばMOSFETからなる。第2スイッチング素子SW2の一端は第2電流源I2に接続され、他端は第2コンデンサC2の一端に接続され、制御端子は第2カウンタ22の出力端子に接続される。第2スイッチング素子SW2は、制御端子に供給される信号に応じてオン/オフする。
【0028】
第2コンデンサC2は、第2電流源I2から第2スイッチング素子SW2を介して供給される直流電流により充電される。第2コンデンサC2の電圧は、オペアンプOPの非反転入力端子に供給される。
【0029】
オペアンプOPは、第1コンデンサC1の電圧と第2コンデンサC2の電圧との差電圧ΔVを算出し、差電圧ΔVを、被測定信号VINが第1基準電圧Vref1から第2基準電圧Vref2まで変化する時間に対応する電圧として、出力端子OUTから出力する。このとき、オペアンプOPは、差電圧ΔVを増幅して出力する。これにより、電圧(差電圧ΔV)を時間に変換する際の精度のノイズマージンを向上させることができる。
【0030】
このような構成において、第1電流源I1からの電流値及び第1コンデンサC1の容量値を変化させることにより、第1コンデンサC1の充電特性、より詳しくは充電時の電圧の変化を示す直線の傾きを変化させることができる。同様に、第2電流源I2からの電流値及び第1コンデンサC1の容量値を変化させることにより、第2コンデンサC2の充電特性、より詳しくは充電時の電圧の変化を示す直線の傾きを変化させることができる。
従って、例えば、第1コンデンサC1の充電特性を示す直線の傾きより第2コンデンサC2の充電特性を示す直線の傾きを小さくすれば、大きな差電圧ΔVを得ることができる。この構成により、耐ノイズ性を向上させ、また、感度を向上させることができる。
【0031】
また、第1充電回路11及び第2充電回路12は、1つの集積回路の中に作成することができる。この場合、両者の特性が非常に近くなるのでペアの特性が良好になり、特性の相違に起因する種々の誤差を除去することができる。
【0032】
例えば、第1充電回路11及び第2充電回路12を1つの集積回路の中に作成することにより、第1コンパレータCMP1及び第2コンパレータCMP2の各々の入力に対する出力の誤差分が略同じになり、この状態で差電圧ΔVが算出されるので、差電圧ΔVから誤差分が除去される。従って、2つのコンパレータを使用したことにより、正確に動作する時間電圧変換器を実現できる。
【0033】
次に、このように構成される実施例1の時間電圧変換器の動作を図2に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。実施例1では、外部からスイッチング波形として入力される被測定信号VINを、2つのコンパレータに決められた2つの閾値(例えば10%、90%)を用いてそれぞれ検出し、検出された時間差(Δt)を電圧差(ΔV)に変換し、電圧差(ΔV)を参照することにより間接的にスイッチング時間を測定する。
【0034】
時間差(Δt)から電圧差(ΔV)への変換は次のようにして行われる。図2に示すように被測定信号VINの電圧が上昇し第1基準電圧Vref1(10%)より大きくなると、第1コンパレータCMP1の出力が第1カウンタ21を介して第1スイッチング素子SW1の制御端子に出力される。これにより、第1電流源I1から第1スイッチング素子SW1を経由して第1コンデンサC1に電流が供給され、図2のC1に示すように充電が開始されて電圧が上昇する。
第1コンデンサC1の充電は、時間ta’が経過した後、例えば、10μsが経過した後に停止される。なお、図2において、時間td及びtd’は、被測定信号VINの立ち上がり及び立ち下がり時に第1コンパレータCMP1及び第2コンパレータCMP2の出力にそれぞれ発生するディレイタイムである。
【0035】
これと同様に、被測定信号VINの電圧がさらに上昇して第2基準電圧Vref2(90%)より大きくなると、第2コンパレータCMP2の出力が第2カウンタ22を介して第2スイッチング素子SW2の制御端子に供給される。これにより、第2電流源I2から第2スイッチング素子SW2を経由して第2コンデンサC2に電流が供給され、図2のC2に示すように充電が開始されて電圧が上昇する。
第2コンデンサC2の充電は、時間tb’が経過した後に停止される。第2コンデンサC2の充電の停止は、例えば第1コンデンサC1の充電の停止と同じタイミングになるように構成してもよい。
【0036】
第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の充電が停止された時点において、オペアンプOPは、第1コンデンサC1の電圧と第2コンデンサC2の電圧との差電圧を演算し、被測定信号VINが第1基準電圧Vref1から第2基準電圧Vref2まで変化する時間に対応する電圧として、出力端子OUTから出力する。
【0037】
なお、第1コンデンサC1の電圧と第2コンデンサC2の電圧との差電圧は、オペアンプOPにおいて増幅される。また、差電圧を大きくとるために、第1電流源I1からの第1定電流の値と第2電流源I2からの第2定電流の値との比を1:1/M(Mは1以上の整数)に設定することができる。また、第1コンデンサC1の容量と第2コンデンサC2の容量との比を1:Mに設定しても良い。
このように、第1定電流及び第2定電流の値、又は、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の容量を設定することにより、第1コンデンサC1の充電特性を示す直線の傾きより第2コンデンサC2の充電特性を示す直線の傾きが小さくなるので、大きな差電圧ΔVを得ることができる。その結果、耐ノイズ性を向上させ、また、感度を向上させることができる。
【0038】
今、第1電流源I1からの電流値をi1、第2電流源I2からの電流値をi2、第1コンデンサC1の容量値をc1、及び、第2コンデンサC2の容量値をc2とする。
【0039】
第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の充電が開始されると、任意の時刻tにおける第1コンデンサC1の電圧V1’及び第2コンデンサC2の電圧V2’はそれぞれ以下の(1)式及び(2)式で表される。
【0040】
【0041】
ここで、第1コンパレータCMP1が反転して第1電流源I1からの第1定電流i1により第1コンデンサC1への充電が開始し、時間Δt後に、第2コンパレータCMP2が反転して第2電流源I2からの第2定電流i2により第2コンデンサC2への充電が開始し、第1コンパレータCMP1が反転してから時間Tが経過した後の第1コンデンサC1の電圧と第2コンデンサC2の電圧との差を読み取る場合を考える。
【0042】
時間Tが経過した後の第1コンデンサC1の電圧V1’及び第2コンデンサC2の電圧V2’は、それぞれ以下の(3)式及び(4)式で表される。
【0043】
【0044】
ここで、i1=I、i2=I/m、c1=C、c2=nCとすると、電圧V1’と電圧V2’との電圧差ΔVは下記(5)式のようになる。なお、比率m及びnは任意の正数である。
【0045】
【0046】
この(5)式から分かるように、時間Tや比率m、nを大きくとることにより、電圧差ΔVを大きくすることができる。ここで、m=n=1とすれば、下記(6)式が得られる。
【0047】
【0048】
なお、特許文献1に示すように遅延回路を設けて非リニア領域を避け、リニア領域で測定を行うように構成すれば、さらに測定精度を向上させることが可能となる。
【0049】
また、時間Tを長くとるために、第1カウンタ21及び第2カウンタとして高次の分周回路を用いることもできる。上述した時間電圧変換器は、アナログ、ミックスドシグナル及びデジタルICの全てにおいて有効である。
【実施例2】
【0050】
本発明の実施例2は、実施例1をさらに具体化したものである。図3は、本発明の実施例2の時間電圧変換器の構成を示す回路図である。なお、実施例1と同一部分には、同一符号を付し説明を省略する。
【0051】
実施例2の時間電圧変換器では、実施例1の時間電圧変換器と異なり、被測定信号VIN1と被測定信号VIN2との2個の被測定信号が外部から入力される。
【0052】
第1充電回路11の第1カウンタ21は、抵抗、コンデンサ及びシュミットトリガ特性を有するインバータから構成されたフィルタと、このフィルタの出力をクロックCLKに同期して分周する分周回路とから構成されている。フィルタは、第1コンパレータCMP1からの信号に含まれるノイズを除去し、分周回路に供給する。分周回路は、フィルタからの信号を分周して第1スイッチング素子SW1の制御端子に供給する。第1カウンタ21による信号の遅延時間は、第1コンパレータCMP1の応答遅れ時間td及びtd’に含まれる。
【0053】
第2充電回路12の第2カウンタ22は、抵抗、コンデンサ及びシュミットトリガ特性を有するインバータから構成されたフィルタと、このフィルタの出力をクロックCLKに同期して分周する分周回路とから構成されている。フィルタは、第2コンパレータCMP2からの信号に含まれるノイズを除去し、分周回路に供給する。分周回路は、フィルタからの信号を分周して第2スイッチング素子SW2の制御端子に供給する。第2カウンタ22による信号の遅延時間は、第2コンパレータCMP2の応答遅れ時間td及びtd’に含まれる。
【0054】
差動増幅回路13は、第1充電回路11からの電圧と第2充電回路12からの電圧との電圧差ΔVを増幅する。差動増幅回路13は、実施例1のオペアンプOPに4個の抵抗を付加して構成されており、本発明の差電圧検出部に対応する。即ち、差動増幅回路13に有するオペアンプOPの反転入力端子は、抵抗R1を介して第1コンデンサC1の一端に接続されるとともに、抵抗R3を介してオペアンプOPの出力端子に接続されている。オペアンプOPの非反転入力端子は、抵抗R2を介して第2コンデンサC2の一端に接続されるとともに、抵抗R4を介して接地されている。
【0055】
ここで、R1=R3、R2=R4とし、差動増幅回路13の増幅率をR2/R1とすると、差電圧ΔVは下記(7)式で求めることができる。
【0056】
【0057】
実施例2の時間電圧変換器の動作は、被測定信号VIN1と被測定信号VIN2との2個の被測定信号が外部から入力される点を除けば、実施例1の時間電圧変換器の動作と同じであるので、ここでは、その説明は省略する。
【0058】
このように構成される実施例2の時間電圧変換器は、実施例1の時間電圧変換器と同様に動作し同様の効果が得られる。また、複数の被測定信号を外部から入力することができるので、実施例1に比べて汎用性に優れるという利点を有する。
【0059】
なお、実施例2の時間電圧変換器において、被測定信号VIN1と被測定信号VIN2の入力端子を接続し、実施例1のように1個の被測定信号を測定するように構成しても良い。
【実施例3】
【0060】
本発明の実施例3の時間電圧変換器は、実施例1及び実施例2では2個の充電回路を備えるのに対して、N個(Nは3以上の整数)の充電回路を備えて構成されている。
【0061】
図4は、本発明の実施例3の時間電圧変換器の構成を示す回路図である。この時間電圧変換器は、N個の第1充電回路11〜第N充電回路1Nと差動増幅回路13を備えている。N個の第1充電回路11〜第N充電回路1Nの各々の構成は、実施例1又は実施例2の時間電圧変換器の第1充電回路11又は第2充電回路12の構成と同じである。第1充電回路11〜第N充電回路1Nからそれぞれ出力される電圧V1〜VNは、差動増幅回路13に出力される。
【0062】
なお、本発明においては、N個の第1充電回路11〜第N充電回路1Nの中の1個を表現する場合、第j充電回路1j(j=1、2、・・・、N)と表す。この場合、被測定信号との比較に使用される基準電圧は第j電圧、充電用の定電流は第j定電流、充電の対象であるコンデンサは第jコンデンサとそれぞれ表示する。また、第j充電回路1jの隣(サフィックスが増加する方向の隣)の充電回路は、第j+1充電回路と表し、基準電圧は第j+1電圧、定電流は第j+1定電流、コンデンサは第j+1コンデンサとそれぞれ表す。
【0063】
差動増幅回路13は、本発明の差電圧検出部に対応し、第1充電回路11からの電圧V1と第2充電回路12からの電圧V2との差電圧ΔV12を検出し、出力端子OUT1から出力する。同様に、第2充電回路12からの電圧V2と第3充電回路13からの電圧V3との差電圧ΔV23を検出し、出力端子OUT2から出力する。以下同様にして差電圧を検出し、最後に、第N−1充電回路1N−1からの電圧VN-1と第N充電回路1Nからの電圧VNとの差電圧ΔVN-1Nを検出し、出力端子OUTN−1から出力する。
【0064】
次に、本発明の実施例3の時間電圧変換器の動作を説明する。図5は、実施例3の時間電圧変換器の動作を説明するためのタイミングチャートである。図5では、5個の充電回路を有する場合の時間電圧変換器の動作の例を示している。被測定信号VINが図5に示すように変化すると、第1コンパレータCMP1〜第5コンパレータCMP5は、時刻t1〜t5においてそれぞれトリップし、電圧V1〜V5を差動増幅回路13に供給する。
これにより、差動増幅回路13の出力端子OUT1には、電圧V1と電圧V2との差電圧ΔV12が出力される。同様に、差動増幅回路13の出力端子OUT2には、電圧V2と電圧V3との差電圧ΔV23sが出力され、出力端子OUT3には、電圧V3と電圧V4との差電圧ΔV34が出力され、出力端子OUT4には、電圧V4と電圧V5との差電圧ΔV45が出力される。
【0065】
このように実施例3の時間電圧変換器によれば、連続的に変化する被測定信号の隣り合った2つの時刻における差電圧を連続的に検出できるので、被測定信号の複数の区間の時間を同時に測定できる。
また、差動増幅器13は、任意の充電回路間の差電圧を検出する組み合わせを行うことも可能であり、必要に応じて差動増幅器を増設してもよい。即ち、差動増幅回路13は、被測定信号が第j電圧から第j+x電圧(x=2、3、・・・、N)に達してから所定時間が経過した後に第jコンデンサの電圧と第j+xコンデンサの電圧との差電圧を検出し、被測定信号の第jから第j+x区間の時間に対応する電圧として出力するように構成してもよい。
【0066】
また、被測定信号は、2以上の複数の被測定信号jからなってもよい。この場合、複数の被測定信号jの各々が第j電圧(j=1、2、・・・、N)に達したときに、第j定電流により第jコンデンサを充電する第j充電回路を備える。差動増幅回路13は、複数の被測定信号jが第j電圧から第j+x電圧(x=2、3、・・・、N)に達してから所定時間が経過した後に、第jコンデンサの電圧と第j+xコンデンサの電圧との差電圧を検出し、被測定信号の第jから第j+x区間の時間に対応する電圧として出力するように構成してもよい。
【0067】
(実施例3の変形例)
次に、実施例3の変形例について説明する。図6は、本発明の実施例3の変形例の時間電圧変換器の構成を示す回路図である。実施例3と同一部分には、同一符号を付し説明を省略する。
【0068】
なお、実施例3の変形例では、4個の充電回路を備えた例を示しているが、充電回路の数は4個に限定されず任意である。変形例の時間電圧変換器は、実施例3の構成にさらに制御回路14及び基準電圧源15が追加されて構成されている。
【0069】
制御回路14は、被測定信号VINが漸増する範囲では、第1コンパレータCMP1〜第4コンパレータCMP4に与える基準電圧を電圧Vref1〜Vref4に設定し、被測定信号VINが漸減する範囲では、第1コンパレータCMP1〜第4コンパレータCMP4に与える基準電圧を電圧Vref5〜Vref8に設定するような閾値切り換え信号を生成し、基準電圧源15に出力する。
【0070】
基準電圧源15は、制御回路14からの閾値切り換え信号に応じて、第1コンパレータCMP1〜第4コンパレータCMP4の各々の非反転入力端子に基準電圧Vref1〜Vref4又は基準電圧Vref5〜Vref8を供給する。
【0071】
また、図面の煩雑化を避けるために、第1充電回路11〜第4充電回路14の各々の範囲を図示していないが、各充電回路は、以下のように構成される。
【0072】
即ち、第1充電回路11は、基準電圧源15の一部、第1コンパレータCMP1、第1カウンタ21、制御回路14の一部、第1電流源I1、第1スイッチング素子SW1及び第1コンデンサC1から構成されている。第2充電回路12は、基準電圧源15の一部、第2コンパレータCMP2、第2カウンタ22、制御回路14の一部、第2電流源I2、第2スイッチング素子SW2及び第2コンデンサC2から構成されている。
【0073】
同様に、第3充電回路13は、基準電圧源15の一部、第3コンパレータCMP3、第3カウンタ23、制御回路14の一部、第3電流源I3、第3スイッチング素子SW3及び第3コンデンサC3から構成されている。第4充電回路14は、基準電圧源15の一部、第4コンパレータCMP4、第4カウンタ24、制御回路14の一部、第4電流源I4、第4スイッチング素子SW4及び第4コンデンサC4から構成されている。
【0074】
次に、本発明の実施例3の変形例の時間電圧変換器の動作を説明する。図7は、実施例3の変形例の時間電圧変換器の動作を説明するためのタイミングチャートである。
被測定信号VINが図7に示すように変化すると、被測定信号VINが漸増する範囲では、第1コンパレータCMP1〜第4コンパレータCMP4が時刻t1〜t4においてそれぞれトリップし、電圧V1〜V4を差動増幅回路13に供給する。
これにより、差動増幅回路13の出力端子OUT1には、電圧V1と電圧V2との差電圧ΔV12が出力される。同様に、差動増幅回路13の出力端子OUT2には、電圧V2と電圧V3との差電圧ΔV23が出力され、出力端子OUT3には、電圧V3と電圧V4との差電圧ΔV34が出力される。
【0075】
一方、被測定信号VINが漸減する範囲では、第1コンパレータCMP1〜第4コンパレータCMP4が時刻t5〜t8においてそれぞれトリップし、電圧V5〜V8を差動増幅回路13に供給する。
これにより、差動増幅回路13の出力端子OUT1には、電圧V5と電圧V6との差電圧ΔV56が出力される。同様に、差動増幅回路13の出力端子OUT2には、電圧V6と電圧V7との差電圧ΔV67が出力され、出力端子OUT3には、電圧V7と電圧V8との差電圧ΔV78が出力される。
【0076】
このように実施例3の変形例によれば、実施例3と同様に動作し同様の効果が得られる。また、4個の充電回路で8個分の充電回路の機能を実現できるので、コストパフォーマンスを向上させることができる。
【0077】
また、実施例3と同様に、任意の充電回路出力間電圧を測定することも可能である。
【符号の説明】
【0078】
11 第1充電回路
12 第2充電回路
1N 第N充電回路
13 差動増幅回路
14 制御回路
15 基準電圧源
OP オペアンプ
CMP1〜CMP4 第1〜第4コンパレータ
E1〜EN 第1〜第N基準電源
21〜2n 第1〜第Nカウンタ
I1〜IN 第1〜第N電流源
SW1〜SWN 第1〜第Nスイッチング素子
C1〜CN 第1〜第Nコンデンサ
R1〜R4 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7