(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で説明する実施形態の表示システムは、計測部による計測日時と、当該計測日時に計測したエネルギー使用量の積算値と、計測部の交換日時と、を含むエネルギー使用量情報を記録する記録部と、積算値を時系列的に表示する表示部と、記録部に記録されるエネルギー使用量情報を参照して、計測部の交換前後の積算値の差分を算出し、交換後に計測した積算値から当該差分にもとづくオフセット値を減算して前記表示部に表示させる処理部と、を具備する。
【0011】
また、実施形態の表示システムが具備する表示部は、交換日時の情報を積算値とともに表示する。
【0012】
また、以下で説明する実施形態の表示システム1が具備する記録部12は、計測部11からエネルギー使用量情報を取得しない期間がある場合、エネルギー使用量情報を取得しない理由を、計測日時に対応づけて記録し、表示部14は理由を積算値とともに表示する。
【0013】
また、以下で説明する実施形態の表示システム2が具備する記録部は、第1の記録部42と、第2の記録部52とを含み、第1の記録部42は計測部41からエネルギー使用量情報を取得して記録し、第2の記録部52は第1の記録部42からエネルギー使用量情報を取得して記録し、第1の記録部42と第2の記録部52とは直列に接続される。
【0014】
また、以下で説明する実施形態の表示システム2が具備する記録部42,52は、エネルギー使用量情報が記録の停止により取得されなかったこと、エネルギー使用量情報が再取得可能であること、またはエネルギー使用量情報が再取得不可であること、のすくなくとも一つを理由として記録する。
【0015】
また、以下で説明する実施形態の表示システム1が具備する記録部12は、積算値を計測した計測部の識別子をさらに計測日時に対応づけて記録し、処理部13は、記録部12に記録された識別子を参照して計測部11の交換日時を判定する。
【0016】
また、以下で説明する実施形態の表示システム2はさらに、ユーザからの指示入力を受け付ける操作部44,53を具備し、記録部42,52は、操作部44,53からの指示に応じて、エネルギー使用量情報の記録を停止および再開し、処理部43,51は、エネルギー使用量情報の記録を停止したことによりエネルギー使用量を記録していない期間については、表示部44,53に記録を停止していた旨を表示させる。
【0017】
また、以下で説明する実施形態の表示システム2において、記録部52がエネルギー使用量情報を記録していない期間があり、当該期間のエネルギー使用量情報を再取得可能である場合、処理部51は、表示部が表示する情報中当該期間に対応する箇所に再取得可能であることを表示させる。
【0018】
また、以下で説明する実施形態の表示システム2において、記録部52がエネルギー使用量情報を記録していない期間があり、当該期間のエネルギー使用量情報を再取得不可能である場合、処理部51は、表示部が表示する情報中当該期間に対応する箇所に再取得不可能であることを表示させる。
【0019】
以下に、図面を参照して、実施形態に係る表示システムを説明する。実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明を省略される。
【0020】
(第1の実施形態)
まず、
図1乃至
図8を用いて、第1の実施形態に係る表示システムについて説明する。
【0021】
第1の実施形態に係る表示システム1は、家屋等に設置される電力計(計測部)が計測した電力使用量に関する情報を表示する。たとえば、表示システム1は、HEMSに組み込まれ、宅内の電力使用量の積算量の時間推移をグラフやリストにして表示する。家庭に設置される電力計は、継続的に電力使用量を計測し、電力使用量の積算値を記憶する。従来、電力使用量を表示するシステムは、かかる電力計をユーザが使用開始した時点に当該電力計に記録されている積算値を初期値として、ユーザの電力使用量の積算値の推移を表示している。しかし、電力計が交換される場合、新しい電力計が予め記憶している積算値は必ずしもゼロではなく、電力計毎に初期値が異なる場合がある。また、新しい電力計の初期値は、交換前の電力計が最後に記憶していた積算値と必ずしも一致しない。かかる場合に、表示システムが電力計に記憶された積算値をそのまま表示すると、電力計の交換の前後で表示される積算値にずれが生じる。また、電力計の使用を開始したのちに、当該電力計が故障して交換が必要になった場合等もやはり、交換前後の電力計の積算値は対応していないことがある。このため、電力計の交換前後の積算値の連続性が保証できなかった。そこで、従来は交換前の積算値の情報をいったん破棄して、交換後の電力計に記録される積算値のみに基づいた表示が行われていた。
【0022】
第1の実施形態に係る表示システム1は、電力計の交換があった場合、交換後の電力計が記録している積算値から交換前の電力計が記録している積算値を減算して差分を算出する。そして、表示システム1は、交換後の電力計が記憶する積算値から算出した差分を減算する。表示システム1は、減算後の値を交換後の積算値として表示する。このように処理することにより、第1の実施形態に係る表示システム1は、電力計の交換があった場合に表示される積算値のずれの発生を抑制することができる。
【0023】
[表示システム1の構成]
図1は、第1の実施形態に係る表示システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、表示システム1は、宅内に配置される表示装置10と、宅外に配置されるサーバ20と、ユーザに携帯され宅内および宅外を移動する携帯端末30と、を備える。
【0024】
表示装置10は、宅内で消費された電力量を時系列的に表示する。たとえば、表示装置10は、各月ごとの電力使用量の積算値を表示する。表示装置10は、たとえば、宅内に配置される家電機器の消費電力や動作等を制御するHEMSの制御装置等に組み込まれてもよい。表示装置10は、ネットワークNWを介してサーバ20と通信可能に接続される。また、表示装置10は、ネットワークNWを介して携帯端末30と通信可能に接続される。
【0025】
サーバ20は、宅内の表示装置10に記録される電力使用量の情報をネットワークNWを介して取得する。また、サーバ20は、ユーザの要求に応じて携帯端末30に宅内の電力使用量に関する情報を送信する。サーバ20はたとえば、HEMSを運営管理する事業者が運用するサーバである。
【0026】
携帯端末30は、表示装置10が配置される宅の居住者が所有する情報端末である。携帯端末30はたとえば、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ等である。携帯端末30のユーザは、携帯端末30からサーバ20に対して情報の送信を要求することで、宅内の電力使用量等に関する情報を取得することができる。
【0027】
[表示装置10の構成]
表示装置10は、計測部11と、記録部12と、処理部13と、表示操作部14と、を具備する。
【0028】
計測部11は、宅内の電力使用量を継続的に計測し、電力使用量の積算値を記憶する。計測部11は、たとえば、分電盤に接続され、分岐ブレーカおよび主幹ごとの電力使用量を計測する電力計測ユニットである。計測部11は、予め定められた期間ごとに電力使用量の積算値の計測日時とその時の電力使用量の積算値とを処理部13に通知する。
【0029】
記録部12は、処理部13からの指示に基づき、計測部11が計測し処理部13に通知した電力使用量の計測日時と電力使用量の積算値とを対応づけて記録する。また、記録部12は、処理部13からの指示に基づき、計測部11の交換日時を記憶する。
【0030】
処理部13は、電力使用量情報取得部131と、交換情報取得部132と、表示情報生成部133と、を備える。
【0031】
電力使用量情報取得部131は、計測部11から予め定められた期間ごとに電力使用量の積算値の計測日時とその時の電力使用量の積算値とを示す情報を受信する。そして、電力使用量情報取得部131は、受信した計測日時とその時の積算値とを、記録部12に記録する。
【0032】
交換情報取得部132は、計測部11の交換日時を示す情報を取得する。交換情報取得部132による交換日時の情報の取得態様は特に限定されない。たとえば、交換情報取得部132は、ユーザが表示装置10に計測部11が交換されたことを示す情報を手入力した場合に、その日時を交換日時の情報として取得するようにしてもよい。また、たとえば、計測部11が積算値の計測日時とその時の積算値とを処理部13に送信する際に、計測部11固有の識別子を情報に付加するものとしてもよい。そして、電力使用量情報取得部131は計測日時とその時の積算値とを示す情報を抽出し、交換情報取得部132は計測部11固有の識別子を抽出するものとしてもよい。そして、交換情報取得部132は、送信された識別子を、当該識別子が付与されていた計測日時および積算値と対応づけて記録部13に記録するように構成してもよい(
図4参照)。
【0033】
表示情報生成部133は、ユーザからの指示入力に応じて所定期間の電力使用量を時系列的に示すための表示情報を生成する。たとえば、表示情報生成部133は、
図2に示すような電力使用量グラフを表示するための情報を生成する。
図2は、第1の実施形態に係る表示システム1において表示される電力使用量グラフの一例を説明するための図である。
図2の例では、T
1〜T
7の各時点の積算値が線グラフで表示されている。T
4とT
5の間の積算値の情報は表示されていない。これは、T
4からT
5の間に計測部11が交換されており、その間の積算値が記録部12に記録されていないためである。しかし、
図2に示すように、第1の実施形態の表示システム1では、計測部11が交換されてもその前後の積算値が整合するように表示を行うことができる。なお、
図2では、積算値が記録部12に記録されていない期間については、電力使用量はゼロとみなして表示を行っている。ただし、これに限定されず、たとえばユーザが記録のない期間の推定電力使用量を入力し入力された値に基づいて表示をおこなってもよい。電力使用量グラフを表示するための表示情報生成処理の詳細については後述する。
【0034】
表示操作部14は、表示情報生成部133が生成した表示情報に基づき、電力使用量グラフを表示する。たとえば、表示操作部14は、
図2に示すような電力使用量グラフを表示する。また、表示操作部14は、ユーザの指示入力を受け付ける。たとえば、表示操作部14は、ユーザから所定の期間の入力を受け付け、当該期間に対応する電力使用量グラフを表示する。表示操作部14は、たとえばタッチパネルのように表示機能と入力機能とを備える機能部である。ただしこれに限定されず、表示操作部14は、モニタスクリーン等の表示部とキーボード等の入力部とを別個に備える機能部であってもよい。
【0035】
[記録部12に記録される情報の例]
図3乃至
図6は各々、第1の実施形態に係る表示システム1の記録部12に記録される電力使用量情報の第1の例乃至第4の例を示す図である。
図3に示す第1の例では、記録部12は、計測部11が積算値を計測した日時である「計測日時」とその時計測された積算値である「計測値」とを対応づけた積算値リストを記録する。
【0036】
また、記録部12は、処理部13が検知した計測部11の交換日時である「計測日時」を示す交換点リストを記録する。
図3の例では、処理部13は、計測部11から送信される情報に付加された計測部11の識別子に基づき、交換日時を検知するものとする。このため、交換点リストには、それまでの識別子と異なる識別子が付加された情報が送信された計測日時が記録される。
【0037】
たとえば、
図3に示すように、「計測日時」として「14/02/20 13:00」、「計測値」として「200001」が対応づけて記録される。これは、2014年2月20日13時に計測部11が計測した積算値が「200001」であることを示す。また、
図3に示すように、交換点リストとして、「計測日時、14/02/20 13:00」が記録される。これは、2014年2月20日13時に計測を行った計測部11は、それ以前の計測部11とは異なる識別子を付与されていることを示す。すなわち、2014年2月20日13時とその直前の計測との間に計測部11の交換が行われたことを示す。なお、最初に計測部が設置された場合は計測日時は新規に計測部が設置されたことを示すものとする。
【0038】
図4に示す第2の例では、記録部12には、「計測日時」、「計測値」、「識別子」が対応づけて記録される。「計測日時」および「計測値」は
図3に示す例と同様である。
図4の第2の例では、「計測日時」および「計測値」に対応づけてさらに「識別子」が記録される。「識別子」は、当該計測日時に計測を行った計測部11の識別子を示す。
図4の例では、「計測日時、14/02/20 16:00」に対応づけられる識別子は「M01」であるのに対し、「計測日時、14/02/20 17:00」に対応づけられる識別子は「M02」である。これは、「計測日時、14/02/20 16:00」と「計測日時、14/02/20 17:00」との間に計測部11が交換されたことを示す。
【0039】
図5に示す第3の例では、記録部12には、複数の積算値リストが記録される。第3の例では、一つの積算値リストが一つの計測部11に対応する。すなわち、計測部11が交換されたことを検知すると、記録部12は新しい計測部11による計測データをそれ以前の計測部11による計測データとは別個に記録する。この場合、複数の積算値リスト相互間の関係はリスト間のリンクを設定することで保持する。
【0040】
図6に示す第4の例は、
図3に示す第1の例と同様である。ただし、積算値として計測部11から取得した値ではなく、計測開始時点の値を「0」として、その後の計測値については計測開始時点の計測値との差分を記録する。
図6の交換点リストは
図3に示す交換点リストと同様である。
【0041】
このように、計測部11から送信される情報にもとづき、電力使用量の積算値を示すデータが記録部12に記録される。また、計測部11の交換時点を示す情報が記録部12に記録される。
【0042】
[表示情報生成処理の流れの一例]
図7は、第1の実施形態に係る表示システム1における表示情報生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7を参照し、第1の実施形態に係る表示システム1における表示情報生成処理について説明する。
【0043】
上述のように、表示情報生成処理は、表示情報生成部133により実行される。まず、表示操作部14は、ユーザから表示期間(表示開始日時P
1および表示終了日時P
2)を指定する入力を受け付ける(ステップS701)。表示操作部14は、受け付けた入力により指定される表示期間を処理部13に通知し、処理部13は表示期間を取得する(ステップS702)。表示期間を取得した処理部13の表示情報生成部133は、入力により指定された表示開始日時P
1を処理対象期間の先頭日時「S」とする。また、表示情報生成部133は、オフセット値「O」を表示開始日時P
1の計測値とする(ステップS703)。次に、表示情報生成部133は、P
1とP
2が同じ区間に含まれるか否かを判定する(ステップS704)。ここで、同じ「区間」とは、同一の計測部11によって積算値が計測されている期間を指す。たとえば、
図3の例において、「計測日時、14/02/20 13:00」と「計測日時、14/02/20 16:00」とは同じ区間に属し、「計測日時、14/02/20 14:00」と「計測日時、14/02/20 19:00」とは異なる区間に属する。
【0044】
表示情報生成部133は、P
1とP
2とが同じ区間に含まれると判定した場合(ステップS704、肯定)、次に記録部12を参照してP
1からP
2までの間に計測された計測値のデータを取得する(ステップS705)。そして、表示情報生成部133は取得したデータ中の各計測値の値からオフセット値Oを減算した値を各計測日時の積算値として、グラフを描画する(ステップS706)。P
1とP
2が同じ区間内にある場合、表示情報生成処理はこれで終了する。
【0045】
他方ステップS704に戻って、表示情報生成部133は、P
1とP
2が同じ区間に含まれないと判定した場合(ステップS704、否定)、次に記録部12を参照してP
1を含む区間のP
1以後のデータを取得する(ステップS707)。そして、表示情報生成部133は、取得したデータに含まれる各計測日時の計測値からオフセット値Oを減算した値を積算値として、グラフを描画する(ステップS708)。次に、表示情報生成部133は、オフセット値Oをそれまでのオフセット値Oに、「次区間の先頭の計測日時の計測値−前区間の最終計測日時の計測値」を加算したものとする(ステップS709)。また、表示情報生成部133は、処理対象期間の先頭日時Sを次区間の先頭の計測日時とする(ステップS709)。そして、表示情報生成部133は、P
2が次区間に含まれるか否かを判定する(ステップS710)。P
2は次区間に含まれると判定した場合(ステップS710、肯定)、表示情報生成部133は、次の区間の先頭からP
2までのデータを記録部12から取得する(ステップS711)。そして、表示情報生成部133は、取得したデータに含まれる各計測日時の計測値からオフセット値Oを減算したものを各計測日時の積算値としてグラフを描画する(ステップS712)。この場合の表示情報生成処理はこれで終了する。
【0046】
他方ステップS710に戻って、表示情報生成部133は、P
2が次区間に含まれないと判定した場合(ステップS710、否定)、次に次区間全体のデータを記録部12から取得する(S713)。そして、表示情報生成部133は、取得したデータに含まれる各計測日時の計測値からオフセット値Oを減算した値を積算値としてグラフを描画する(ステップS714)。この場合、表示情報生成部133はふたたびステップS709に戻って、次の区間について処理を続ける。最終的にP
2まで描画が終了すると、表示情報生成部133は、表示情報生成処理を終了する。
【0047】
[第1の実施形態の効果]
このように第1の実施形態に係る表示システム1は、計測部11による計測日時と、当該計測日時に計測した電力使用量の積算値と、計測部11の交換日時と、を含む電力使用量情報を記録する記録部12と、積算値を時系列的に表示する表示部14と、記録部12に記録される電力使用量情報を参照して、計測部11の交換前後の積算値の差分を算出し、交換後に計測した積算値から当該差分にもとづくオフセット値を減算して表示部14に表示させる処理部13と、を具備する。このため、計測部11の交換により、電力使用量の情報が取得できない期間がある場合でも、計測部11の交換前後の情報に齟齬が生じない。このため、表示システム1は、電力使用量の情報を取得できない期間があった場合でもユーザが理解しやすい電力使用量の情報を提示することができる。よって、表示システム1は、計測部11が交換された場合でも継続して積算値を表示することができる。
【0048】
また、第1の実施形態に係る表示システム1において、記録部は、積算値を計測した計測部の識別子をさらに計測日時に対応づけて記録し、処理部は、記録部に記録された識別子を参照して計測部の交換日時を判定する。このため、表示システム1は、ユーザの手入力等によらずに、自動的に計測部の交換を検知して、交換前後の積算値を算出して表示することができる。
【0049】
なお、第1の実施形態においては、交換前後の計測部11に記録された積算値に基づいてオフセット値を設定した。しかし、これに限定されず、たとえば、計測部11の交換の際に、ユーザがオフセット値を入力し、入力された値に基づきオフセット値を算出して以後の積算値を表示するように表示システムを構成してもよい。
【0050】
[第1の実施形態の変形例]
上記第1の実施形態では、表示システム1は、計測部11の交換前後の計測値の差分を算出し、交換後の計測値から算出した差分を減算した値を交換後の積算値として表示する。これに加えて、表示システム1は、計測部11の交換日時を示す情報を表示してもよい。たとえば、
図8は、第1の実施形態の変形例に係る表示システムが表示するグラフの例を示す図である。
図8中、計測器が交換された時点に対応するT
5には、交換が行われたことを示すための点線のマーカが表示されている。また、グラフの上部に「計測器交換」の文字が表示されている。このようにグラフ上に交換日時を示すマーカを表示することにより、ユーザが容易に計測部11の交換日時を確認できる。
【0051】
[第1の実施形態の変形例の効果]
このように、第1の実施形態の変形例に係る表示システムにおいては、表示部は、交換日時の情報を積算値とともに表示する。すなわち、表示システムは、積算値を表示する際、計測部が交換された時系列位置に、交換を示すマーカを表示する。このため、仮にグラフが水平になっていたり、数値の変化がない表示となっていても、それが計測部の交換中の数値であり、計測が行われていなかったことをユーザが容易に認識することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る表示システム2では、ネットワークの障害等により、計測部11から情報を送信できず記録部12に情報が記録されておらず、当該期間について電力量等の情報を表示できない場合でも、ユーザに理解しやすい情報提示を実現する。表示システム2は、ネットワーク障害等のために記録部12に情報が記録されていない場合に、情報が欠落している理由を記録する。そして、第2の実施形態に係る表示システム2では、ユーザの指定した表示期間の電力使用量の積算値を表示する際に、当該表示期間に電力使用量の情報が記録されていない期間が含まれている場合、情報欠落の理由を併せて表示する。
【0053】
[表示システム2の構成の一例]
図9は、第2の実施形態に係る表示システム2の構成の一例を示す図である。
図9に示すように、第2の実施形態に係る表示システム2は、宅内装置40と、情報処理装置50と、を具備する。
【0054】
宅内装置40は、家屋等に設けられ、宅内での電力使用量等を監視する。特に宅内装置40は、宅内での電力使用量を計測し、計測した電力使用量を記録する。宅内装置40はたとえば、HEMSの制御装置、ホームゲートウェイ(HGW)やエネルギー計測装置等である。
【0055】
宅内装置40は、計測部41と、記録部42と、処理部43と、表示操作部44と、を備える。計測部41は、宅内の電力使用量を計測する。記録部42は、計測部41が計測した宅内の電力使用量を記録する。処理部43は、宅内装置40内の各部に指示を送信して各部の処理を制御する。たとえば、処理部43は、計測部41から計測した電力使用量の情報を受信して記録部42に記録させる。また、処理部43は、表示操作部44が受け付けたユーザの指示入力を受信して、記録部42に記録された情報を読み出し、表示操作部44に表示するための情報を生成する。計測部41、記録部42、処理部43および表示操作部44は、第1の実施形態の表示装置1が備える計測部11、記録部12、処理部13および表示操作部14(
図1参照)におおむね対応する。このため、詳細な説明は省略する。
【0056】
情報処理装置50は、ネットワークNWを介して宅内装置40と通信可能に接続される。情報処理装置50は、たとえば、第1の実施形態のサーバ20や携帯端末30(
図1参照)に対応する。情報処理装置50は、宅内装置40から宅内での電力使用量に関する情報を受信し、受信した情報を記録するとともに、ユーザが電力使用量の状況を把握しやすい態様で表示する。
【0057】
情報処理装置50が、宅内装置40から電力使用量に関する情報を取得するタイミングは、予め定められた所定間隔ごとに宅内装置40が自動的に情報送信を行うものとしてもよい。また、情報処理装置50に対するユーザの指示入力に応じてユーザが指定する期間の情報の送信を宅内装置40に対して要求し、宅内装置40が要求に応じて情報を情報処理装置50に送信するものとしてもよい。宅内装置40から情報処理装置50への情報送信のタイミングは特に限定されない。たとえば、情報処理装置50がHEMSを運営する事業者が管理するサーバである場合、宅内装置40は所定期間ごとに情報処理装置50に情報を送信するものとすればよい。この場合でも、サーバが必要に応じて宅内装置40に対して情報送信を要求し、宅内装置40が情報を送信するように構成してもよい。また、情報処理装置50がHEMSを利用するユーザの携帯端末等であって、サーバを介さずに宅内装置40にアクセスできる場合、ユーザの指示入力に応じて宅内装置40が情報を送信するように構成してもよい。
【0058】
情報処理装置50は、ネットワークNWに障害が発生した場合などは、宅内装置40から電力使用量の情報を受信できないこともある。また、ユーザからの指示により、宅内装置40が電力使用量の計測を停止している場合もある。そこで、情報処理装置50は、宅内装置40から所定期間に対応する電力使用量の情報を受信できない場合、受信できない理由を検知する。そして、情報処理装置50は、宅内装置40から電力使用量の情報を受信できない理由を記録して表示する。
【0059】
[情報処理装置50の構成の一例]
情報処理装置50は、処理部51と、記録部52と、表示操作部53と、を具備する。処理部51は、障害検知部511と、入力処理部512と、を備える。
【0060】
障害検知部511は、ネットワークNWにおける通信障害の発生の有無を検知する。第2の実施形態の情報処理装置50は、通信の接続エラーが発生すると、予め定められた期間待機した後、再度通信接続を試みる(リトライ)。リトライの回数および間隔は予め設定されているものとする。障害検知部511は、通信エラーが発生して宅内装置40から情報を取得できなかった場合、情報が未取得である旨を記録部52に記録する(
図11参照、「ステータス、未取得」)。また、障害検知部511は、通信エラー発生後に、リトライを行っている場合、やはり情報が未取得である旨を記録部52に記録する(
図11参照、「ステータス、未取得」)。また、障害検知部511は、所定回数リトライを実行したにもかかわらず情報を受信できなかった場合は、情報を取得できなかった旨を記録部52に記録する(
図11参照、「ステータス、取得不可」)。障害検知部511の処理の結果記録部52に記録される情報については後述する。
【0061】
入力処理部512は、表示操作部53へのユーザの指示入力により、所定期間にわたり宅内装置40からの情報取得が停止された場合に、この指示を検知する。そして、入力処理部512は、ユーザの指示入力により情報を取得していないことを、記録部52に記録する。なお、宅内装置40が備える表示操作部44に対するユーザの指示入力によって、所定期間にわたり宅内装置40において電力使用量の情報の記録が停止されることもある。この場合、記録部42に、ユーザの指示によって情報の記録が停止されている旨を記録する。そして、情報処理装置50が宅内装置40に情報送信を要求した場合は、宅内装置40は、ユーザの指示により情報の記録が停止されていた旨の情報を情報処理装置50に送信する。このとき、ユーザの指示入力を受け付けた装置を識別する情報を併せて送信し、記録部52に記録するように構成してもよい。
【0062】
[記録部52に記録する情報の一例]
図11は、第2の実施形態に係る表示システム2の記録部52に記録する電力使用量情報の一例を示す図である。なお、宅内装置40の記録部42に記録される情報は第1の実施形態の記録部12に記録される情報と同様である(
図3乃至
図6参照)。ただし、宅内装置40の表示操作部44がユーザから記録停止を指示する入力を受けて電力使用量の記録を停止している期間がある場合は、その旨も併せて記録するように構成してもよい。
【0063】
図11を参照し、記録部52には、情報処理装置50が宅内装置40から受信した電力使用量情報が記録される。
図11に示すように、電力使用量情報は、「期間」、「ステータス」および「電力量」を含む。ここで、「期間」とは、電力使用量を計測した日時を示す情報である。
【0064】
「ステータス」とは、電力使用量を示す情報の取得状況を示す情報である。
図11に示す「ステータス」には、「有効」、「取得停止」、「取得不可」および「未取得」が含まれる。ただし、図示する以外のステータスも記録するように表示システム2を構成してもよい。
【0065】
「有効」とは、対応する期間の電力使用量情報が取得できていることを示す。たとえば、通信障害がなく宅内装置40から情報処理装置50が情報を取得できた場合の「期間」に対応づけられる「ステータス」は「有効」となる。
図11中、「期間、2013/1/2 01:00」には「ステータス、有効」が対応づけて記録されている。これは2013年1月2日の1時の電力使用量は適切に取得されていることを示す。
【0066】
「取得停止」とは、対応する期間の電力使用量情報の取得または計測がユーザにより停止されていることを示す。たとえば、ユーザが情報処理装置50の表示操作部53から指示入力によって計測の停止を指示した場合、対応する「期間」の「ステータス」は「取得停止」となる。
図11中、「期間、2013/1/2 02:00」には「ステータス、取得停止」が対応づけて記録されている。これは2013年1月2日の2時の電力使用量の情報は、ユーザにより情報取得が停止されていたため取得されていないことを示す。
【0067】
「取得不可」とは、対応する期間の電力使用量情報が取得できなかったことを示す。たとえば、通信障害が発生したために、情報処理装置50が宅内装置40から電力使用量情報を取得できず、所定回数のリトライを経ても情報の取得に失敗した場合、対応する「期間」の「ステータス」は「取得不可」となる。
図11中、「期間、2013/1/2 04:00」には「ステータス、取得不可」が対応づけて記録されている。これは2013年1月2日の4時の電力使用量の情報は、通信障害により取得できなかったことを示す。
【0068】
「未取得」とは、対応する期間の電力使用量情報がまだ取得されていないが、これから取得される可能性があることを示す。たとえば、通信障害が発生したために、情報処理装置50が宅内装置40から電力使用量情報を取得できなかったが、まだ所定回数のリトライが終了しておらず、実行中のリトライまたは以後のリトライによって情報を取得できる可能性がある場合である。
図11中、「期間、2013/1/2 07:00」には「ステータス、未取得」が対応づけて記録されている。これは、2013年1月2日の7時の電力使用量の情報は、まだ取得されていないが、現在またはこれからリトライが行われて取得される可能性があることを示す。
【0069】
記録部52に記録される情報のステータスは、リトライの状況に伴い更新される。すなわち、リトライにより「未取得」の情報が取得されればステータスは「有効」に更新される。また、リトライによっても「未取得」の情報が取得されなければステータスは「取得不可」に更新される。なお、「取得不可」と「未取得」とをまとめて一つのステータスとして扱い、リトライ期間が経過しているか否かを別途フラグとして記録部42に記録してもよい。そして、表示操作部53は、リトライ期間が未経過のものは「未取得」、リトライ期間が経過済みのものは「取得不可」として表示する情報を生成するように構成してもよい。
【0070】
「電力量」とは、対応する期間に計測された電力使用量の積算値である。第2の実施形態の表示システム2でも、第1の実施形態と同様、計測部41は電力使用量の積算値を記録していくものとする。たとえば、
図11中、「期間、2013/1/2 01:00」には「電力量、500」が対応づけて記録されている。これは、2013年1月2日の1時までに使用された電力の積算値は「500」であることを示す。
【0071】
[表示システム2が表示する電力使用量情報の一例]
図10は、第2の実施形態に係る表示システム2において表示される電力使用量グラフの一例を説明するための図である。
図10に示すように、第2の実施形態の表示システム2は、電力使用量の積算値を時系列的に表示する。つまり、縦軸に電力量(積算値)を、横軸に日時を表示する。また、第2の実施形態の表示システム2は、電力使用量の情報を取得できなかった場合に、電力使用量の積算値と併せて電力使用量の情報を取得できなかった理由を表示する。
【0072】
たとえば、
図10の例では、グラフの途中に、「取得停止期間」、「取得不可期間」、「再取得試行期間」等の文字が表示されている。第2の実施形態の表示システム2も、第1の実施形態の表示システム1と同様、表示操作部44または表示操作部53への指示入力に応じて、指示入力によって指定された期間の電力使用量情報を記録部42または52から読み出して表示する。第2の実施形態では、表示操作部53からの指示入力に応じて電力使用量を表示する場合であって記録部52に対応する期間の電力使用量(積算値)が記録されていない場合、当該期間に対応する「ステータス」の内容を表示する。たとえば、
図10のグラフ中、「取得停止期間」の表示は、
図11の「ステータス、取得停止」の期間に対応する。また、
図10のグラフ中、「取得不可期間」の表示は、
図11の「ステータス、取得不可」に対応する。また、
図10のグラフ中、「再取得試行期間」の表示は、
図11の「ステータス、未取得」に対応する。
【0073】
このように、第2の実施形態では、ユーザの指示入力に応じて電力使用量情報を表示する際、記録部52に記録されているステータスに対応する情報を表示する。
【0074】
[電力使用量情報の表示情報生成処理の流れの一例]
図12は、第2の実施形態に係る表示システム2における表示情報生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、表示システム2において情報処理装置50は表示操作部53に対する指示入力を受け付ける。指示入力は処理部51に送られ、処理部51は、指示入力により指定された表示期間を取得する(ステップS1201)。そして、処理部51は、表示期間の電力使用量情報を、記録部52に記録された情報を参照して取得する(ステップS1202)。そして、処理部51は、表示期間中の表示開始日時をTとおく(ステップS1203)。そして、処理部51は、Tから開始する「期間」と「ステータス」が同一の期間を取得する(ステップS1204)。ここで、「期間」とは
図11に示す「期間」に対応するものとする。すなわち、計測部41による1回の電力使用量の計測に対応する期間を指す。たとえば、
図11の例では、「13/1/2 01:00」から「13/1/2 02:00」までが一つの期間である。
【0075】
さらに、処理部51は、ステップS1204で取得したTから開始する「期間」の「ステータス」が「有効」か否かを判定する(ステップS1205)。「ステータス」が「有効」であると判定した場合(ステップS1205、肯定)、処理部51は、ステップS1202で取得したデータに基づき電力使用量のグラフを描画する(ステップS1206)。他方、「ステータス」が「有効」ではないと判定した場合(ステップS1205、否定)、処理部51は、Tから開始する「期間」の「ステータス」を取得し、当該「ステータス」に対応する文字表示を特定する。すなわち、処理部51は、当該期間の電力使用量の情報が取得されていない理由を特定する。そして、処理部51は、当該期間に対応するグラフ中の場所に特定した文字表示を描画する(ステップS1207)。たとえば、処理部51は、該当する箇所にボックスを描画してその中に特定した文字、すなわち、電力使用量の情報が取得されていない理由を表示する。
【0076】
そして、ステップS1206またはステップS1207が終了すると、処理部51は、ステップS1203で表示期間の表示開始日時に設定した「T」を、次の期間の先頭に設定する(ステップS1208)。つまり、既に描画済み(ステップS1207、S1208)の期間の次の期間の先頭をTとおく。そして、処理部51は、TがステップS1202で指定された表示期間外であるか否かを判定する(ステップS1209)。Tが表示期間外でないと判定した場合(ステップS1209、否定)、処理部51は、ステップS1204に戻り、次の期間について処理を繰り返す。他方、Tが表示期間外であると判定した場合(ステップS1209、肯定)、処理部51は処理を終了する。これによって、表示情報生成処理は終了する。
【0077】
なお、
図7に示す第1の実施形態の表示情報生成処理と、
図12に示す第2の実施形態の表示情報生成処理とを組み合わせて、計測部の交換による積算値の齟齬と通信障害等による情報の欠落の双方に対処した表示情報を生成するように表示システムを構成してもよい。
【0078】
[第2の実施形態の効果]
上記のように、第2の実施形態に係る表示システム2においては、記録部52は、計測部41から電力使用量情報を取得しない期間がある場合、電力使用量情報を取得しない理由を、計測日時に対応づけて記録し、表示部53は理由を積算値とともに表示する。このため、記録部52に電力使用量の情報が記録されていない場合であっても、記録されていない理由をユーザに対して提示することができる。
【0079】
また、第2の実施形態に係る表示システム2において、記録部は、宅内装置に配置される第1の記録部(記録部42)と、宅外の装置に配置される第2の記録部(記録部52)とを含み、第1の記録部は計測部41から電力使用量情報を取得して記録し、第2の記録部は第1の記録部から電力使用量情報を取得して記録し、第1の記録部と第2の記録部とは直列に接続される。このように、計測部41と処理部51との間に複数の記録部が直列に接続される場合であっても、電力使用量が記録されていない期間について、その理由をユーザに提示することができる。したがって、ユーザは記録がない期間について、なぜ記録がないのか容易に知ることができる。このため、表示される情報の有用性を高めることができる。
【0080】
また、第2の実施形態に係る表示システム2は、ユーザからの指示入力を受け付ける操作部(表示操作部44,53)をさらに具備し、記録部(記録部42,52)は、操作部からの指示に応じて、電力使用量情報の記録を停止および再開し、処理部(処理部43,51)は、電力使用量情報の記録を停止したことにより電力使用量を記録していない期間については、表示部に記録を停止していた旨を表示させる。このため、電力使用量情報が記録されていない場合に、それがユーザの意思によるものであれば、ユーザの意思による記録停止であることが表示される情報から容易に認識できる。
【0081】
また、第2の実施形態に係る表示システム2は、記録部(記録部42,52)が電力使用量情報を記録していない期間があり、当該期間の電力使用量情報を再取得可能である場合、処理部(処理部43,51)は、表示部(表示操作部44,53)が表示する情報中当該期間に対応する箇所に再取得可能であることを表示させる。このため、ユーザに対して、記録されていない電力使用量の情報が再取得可能であることを容易に認識させることができる。
【0082】
また、第2の実施形態に係る表示システム2は、記録部(記録部42,52)が電力使用量情報を記録していない期間があり、当該期間の電力使用量情報を再取得不可能である場合、処理部(処理部43,51)は、表示部(表示操作部44,53)が表示する情報中当該期間に対応する箇所に再取得不可能であることを表示させる。このため、ユーザに対して、記録されていない電力使用量の情報が再取得不可であることを容易に認識させることができる。
【0083】
なお、上記第1および第2の実施形態においては、主に、電力使用量について表示を行う場合を前提として説明した。しかし、これに限定されず任意のエネルギー、たとえば、ガスや水道等、使用量を計測して表示を行うものであれば、本発明を適用することができる。また、第2の実施形態においては、表示する情報は積算量でなく所定の計測期間ごとの電力使用量であってもよい。
【0084】
以上説明したとおり、上記実施形態によれば、エネルギー使用量の情報を取得できない期間があった場合でもユーザが理解しやすいエネルギー使用量の情報を提示することができる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。