特許第6237391号(P6237391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237391
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】自動車用ガラスラン
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/76 20160101AFI20171120BHJP
   B60J 10/21 20160101ALI20171120BHJP
   B60J 1/10 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B60J10/76
   B60J10/21
   B60J1/10 C
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-63360(P2014-63360)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-182722(P2015-182722A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】安達 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】寺本 光伸
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−158950(JP,A)
【文献】 特開平08−197947(JP,A)
【文献】 特開2000−071783(JP,A)
【文献】 特開2002−046476(JP,A)
【文献】 特開2010−184563(JP,A)
【文献】 実開平04−011123(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/76
B60J 1/10
B60J 10/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアガラスの昇降を案内するとともに、押出成形により成形された直線部と、上記ドアフレームのコーナー部に取付けられ型成形により成形されたコーナー部を有する自動車用ガラスランにおいて、
上記ガラスランの直線部は、上記ドアフレームの上辺部に取付けられるガラスラン上辺部と、上記ドアフレームのフロント側縦辺部に取付けられるガラスランフロント側縦辺部と、上記ドアフレームのリヤ側縦辺部に取付けられるガラスランリヤ側縦辺部とを有し、
上記ガラスラン上辺部は、ガラスラン部と硬質部材から形成されるトリム部を一体的に形成し、上記ガラスラン部は、車外側側壁と、車内側側壁とガラスラン底壁とからなる断面略U字形をなし、上記車外側側壁と車内側側壁の先端から、それぞれ上記断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、上記車外側シールリップと車内側シールリップにより上記ドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールし、上記トリム部は、上記ガラスラン底壁と一体に形成されるガラスラン側側壁と、車体開口部周縁と対向するボディー側側壁及びトリム部底壁からなり、
上記ガラスラン上辺部の上記車外側側壁と上記トリム部底壁の外面は連続して形成され、
上記ガラスランリヤ側縦辺部又は上記ガラスランフロント側縦辺部は、車外側側壁と、車内側側壁と、ガラスラン部底壁とからなる断面略U字形をなし、上記車外側側壁の先端から上記断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップを設け、上記車内側側壁の先端から断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車内側シールリップを設け、
上記ガラスラン上辺部と上記ガラスランリヤ側縦辺部又は上記ガラスランフロント側縦辺部を接続する上記コーナー部では、上記車外側側壁、上記車内側側壁、上記ガラスラン部底壁、上記車外側シールリップ及び上記車内側シールリップはそれぞれ上辺部側と上記縦辺部側の対応する部分と型成形により傾斜又は湾曲して接続されるとともに、
上記ガラスラン部底壁の外面は、上記ガラスラン上辺部の上記車外側側壁と上記トリム部底壁の外面が連続している部分の下端部と、上記ドアフレームのフロント側縦辺部又は上記ドアフレームのリヤ側縦辺部のドアガラス側の先端線の延長線の交点が上記ガラスラン部底壁外面の外周側に配置されたことを特徴とする自動車用ガラスラン。
【請求項2】
上記コーナー部の上記ガラスラン部底壁の外面は、斜めの直線的に形成された請求項1に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項3】
上記コーナー部の上記ガラスラン部底壁の外面は、上記ドアフレームのコーナー部のチャンネルの底面から離れて取付けられた請求項1又は請求項2に記載の自動車用ガラスラン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、自動車のドア1のドアフレーム2の内周には、ドアガラス5の昇降を案内するガラスラン110が取付けられている。その従来の取付構造を図10に示す。図10は、ドアフレーム2と車体開口部周縁6におけるガラスラン110とウエザストリップの取付関係を示す図9におけるA−A線に沿った断面図である。
【0003】
従来、ガラスラン110は、図10に示すようにドアフレーム2のチャンネル7内に取付けられて、ドアフレーム2の内周側に形成されているドアガラス開口部内のドアガラス5の昇降を案内するとともにドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。さらに、図9に示すように、ガラスラン110は、押出成形により成形された直線状の直線部111からなるドア1の上辺部とフロント側縦辺部及びリヤ側縦辺部を、ドアフレーム2の形状に合わせて型成形するコーナー部112で接続している。
【0004】
なお、図10に示すように、ドア1と車体との間のシールは、ドアフレーム2の外周に取付けられたドアウエザストリップ108および/または車体の車体開口部周縁6のフランジに取付けられたオープニングウエザストリップ109によりなされている。オープニングウエザストリップ109は、その中空シール部がドア閉時にドアフレーム2のインナーパネル2dの膨出部2gの車内側側面に当接してシールしている。
【0005】
ガラスラン110は、図10に示すように、車外側側壁120と、車内側側壁130と、底壁140からなる断面略U字状をなしている。車外側側壁120の先端付近から車外側シールリップ150が上記断面略U字状の内側に向けて延出するように設けられている。また、車内側側壁130にもその先端付近から車内側シールリップ160が断面略U字状の内側に向けて延出するように設けられている。さらに、車外側側壁120の先端から車外側の外面に沿って底壁140方向に延びる車外側カバーリップ124が延設され、車内側側壁130の先端から車内側の外面に沿って底壁140方向に延びる車内側カバーリップ134が延設されている。車外側カバーリップ124と車内側カバーリップ134はドアフレーム2の形状により短く形成されるものもある。
【0006】
そして、ドアフレーム2のコーナー部2cにおいては、図9に示すように、ドアフレーム2の上辺部と縦辺部が突き合わされて、接合され、チャンネル7も上辺部と縦辺部が同様に接合されている。このため、ドアフレーム2のコーナー部2cは鋭角状に形成され、ガラスラン110はコーナー部112において、ドアフレーム2のチャンネル7の形状に合わせて、鋭角状に型成形により形成されている。
【0007】
図11に示すような、ドアフレーム2のフランジの先端がガラスラン210で覆われるタイプでは、ドア1の上辺部とフロント側縦辺部に取付けられるガラスラン上辺部213とガラスランリヤ側縦辺部214を接続するコーナー部212において、ドアフレーム2の上辺部をガラスラン210のトリム部230のトリム部底壁233で覆い、車外側からはトリム部底壁233とガラスラン部220の車外側側壁221の外面が見えるように形成されている。コーナー部212では、トリム部底壁233とガラスラン210の車外側側壁221がガラスラン上辺部213から連続して端部まで延設されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
更に、ガラスラン上辺部213とガラスランリヤ側縦辺部214を接続するコーナー部212では、ガラスランリヤ側縦辺部214から延設された車外側側壁221と車外側シールリップ224、車内側側壁222、車内側シールリップ225、底壁223が、ガラスラン上辺部213の車外側側壁221と車外側シールリップ224、車内側側壁222、車内側シールリップ225、底壁223とそれぞれ接続されている。
【0009】
その接続部分215は、図11に示すように、ガラスラン上辺部213の延長部分の車外側シールリップ224の根元に、ガラスランリヤ側縦辺部214の車外側シールリップ224が直線的に接続されている。これは、ガラスラン上辺部213のトリム部底壁233とガラスラン210の車外側側壁221がモール部として、意匠が横方向に連続するようにするためである。
【0010】
この場合には、トリム部底壁233を含むトリム部230は、ドアフレーム2のフランジに取付けるために硬質部材から形成されている。そのため、ドアフレーム2のコーナー部にガラスラン210のコーナー部を組み付けるときに、トリム部230が変形し難く、ガラスランリヤ側縦辺部214の車外側シールリップ224が直線的に接続されているため、ドアフレーム2の縦辺部のチャンネルに嵌め込むための作業性が良くなかった。
【0011】
このため、図12に示すように、ガラスラン310のコーナー部312において、上辺部313の車外側シールリップ324に近接するように、ガラスラン310の縦辺部314側の車外側側壁321の先端にカバー状のシールリップ328を設けて、縦辺部314側の車外側シールリップ324と上辺部313側の車外側シールリップ324を連結させないものがある(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながらこの場合には、コーナー部312における縦辺部314側の車外側シールリップ324と上辺部313側の車外側シールリップ324のシール線が途切れてしまい、シール性が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−46476号公報
【特許文献2】特開2001−322437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、ガラスランの上辺部と縦辺部を接続するコーナー部を、自動車ドアのドアフレームのコーナー部に組み付けが容易で、シール性に優れたガラスランを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車のドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアガラスの昇降を案内するとともに、押出成形により成形された直線部と、ドアフレームのコーナー部に取付けられ型成形により成形されたコーナー部を有する自動車用ガラスランにおいて、
ガラスランの直線部は、ドアフレームの上辺部に取付けられるガラスラン上辺部と、ドアフレームのフロント側縦辺部に取付けられるガラスランフロント側縦辺部と、ドアフレームのリヤ側縦辺部に取付けられるガラスランリヤ側縦辺部とを有し、
ガラスラン上辺部は、ガラスラン部と硬質部材から形成されるトリム部を一体的に形成し、ガラスラン部は、車外側側壁と、車内側側壁とガラスラン底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁と車内側側壁の先端から、それぞれ断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールし、トリム部は、ガラスラン部底壁と一体に形成されるガラスラン側側壁と、車体開口部周縁と対向するボディー側側壁及びトリム部底壁からなり、
ガラスラン上辺部の車外側側壁とトリム部底壁の外面は連続して形成され、
ガラスランリヤ側縦辺部又はガラスランフロント側縦辺部は、車外側側壁と、車内側側壁と、ガラスラン部底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁の先端から断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップを設け、車内側側壁の先端から断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車内側シールリップを設け、
ガラスラン上辺部とガラスランリヤ側縦辺部又はガラスランフロント側縦辺部を接続するコーナー部では、車外側側壁、車内側側壁、ガラスラン部底壁、車外側シールリップ及び車内側シールリップはそれぞれ上辺部側と縦辺部側の対応する部分と型成形により傾斜又は湾曲して接続されるとともに、
ガラスラン部底壁の外面は、ガラスラン上辺部の車外側側壁とトリム部底壁の外面が連続している部分の下端部と、ドアフレームのフロント側縦辺部又はドアフレームのリヤ側縦辺部のドアガラス側の先端線の延長線との交点がガラスラン部底壁外面の外周側に配置されたことを特徴とする自動車用ガラスランである。
【0015】
請求項1の本発明では、ガラスランの直線部は、ドアフレームの上辺部に取付けられるガラスラン上辺部と、ドアフレームのフロント側縦辺部に取付けられるガラスランフロント側縦辺部と、ドアフレームのリヤ側縦辺部に取付けられるガラスランリヤ側縦辺部とを有する。このため、それぞれの直線部で適切な断面形状を有することができる。
【0016】
ガラスラン上辺部は、ガラスラン部と硬質部材から形成されるトリム部を一体的に形成したため、トリム部でドアフレームの先端のフランジ部を保持して、トリム部底壁と車外側側壁が一体的に連続したモール面を形成することができ、デザイン的に好ましい。硬質のトリム部をフランジ部に取付けて、ガラスラン部をドアフレームに強固に保持することができる。
【0017】
ガラスラン部は、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁と車内側側壁の先端から、それぞれ断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールする。
【0018】
このため、ドア閉時に、ガラスラン部の車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字状の内側にドアガラスの上端部を収納することができ、ドアガラスが上昇したときに、ドアガラスの上端部を確実に保持することができる。車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面および車内側面をシールするようにしたため、ドアガラスが上昇したときに、シールリップがドアガラスに当接し、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアフレームの上辺部とドアガラスとの間のシールをすることができる。
トリム部は、ガラスラン底壁と一体に形成されるガラスラン側側壁と、車体開口部周縁と対向するボディー側側壁及びトリム部底壁から形成されているため、ガラスラン底壁とガラスラン側側壁とは、同じ素材で同一の部材として一体的に形成することができる。ガラスラン上辺部の車外側側壁とトリム部底壁の外面は連続して形成されている。このため、コーナー部においてもガラスラン上辺部から連続して車外側側壁とトリム部底壁の外面が切れ目なく延設され、横方向に連続した意匠面を有することができ、デザイン的に好ましい。
【0019】
ガラスランリヤ側縦辺部又はガラスランフロント側縦辺部は、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁の先端から断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップを設け、車内側側壁の先端から断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車内側シールリップを設ける。
【0020】
このため、ドア昇降時に、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字状の内側にドアガラスの端部を収納することができ、ドアガラスを確実に保持することができる。車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面および車内側面をシールするようにしたため、ドアガラスの昇降に応じて、シールリップがドアガラスに当接し、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアフレームとドアガラスとの間のシールをすることができる。
【0021】
ガラスラン上辺部とガラスランリヤ側縦辺部又はガラスランフロント側縦辺部を接続するコーナー部では、車外側側壁、車内側側壁、ガラスラン部底壁、車外側シールリップ及び車内側シールリップはそれぞれ上辺部側と縦辺部側の対応する部分と型成形により傾斜又は湾曲して接続される。このため、コーナー部では、コーナー部において、側壁とシールリップが連続して形成されるため、コーナー部のシール性を確保することができる。
【0022】
ガラスラン部底壁の外面は、ガラスラン上辺部の車外側側壁とトリム部底壁の外面が連続している部分の下端部と、ドアフレームのフロント側縦辺部又はドアフレームのリヤ側縦辺部のドアガラス側の先端線の延長線との交点がガラスラン部底壁外面の外周側に配置された。このため、ガラスランをドアフレームのコーナー部に取付けるときに、ガラスランのコーナー部の上辺部側をドアフレームの上辺部に取付けても、ガラスランのコーナー部の上辺部側に近接した部分が、ドアフレームに拘束されないため、コーナー部の組み付けのための変形量が少なく、縦辺部側の組み付けが容易である。
【0023】
請求項2の本発明は、コーナー部のガラスラン部底壁の外面は、斜めの直線的に形成された自動車用ガラスランである。
【0024】
請求項2の本発明では、コーナー部のガラスラン部底壁の外面は、斜めの直線的に形成されたため、斜めの直線的に形成された部分をドアフレームのコーナー部に嵌める必要がなく、ガラスランの組み付けが容易である。ガラスラン部底壁とドアフレームのコーナー部の隙間をコーナーピースで埋めることができる。
【0025】
請求項3の本発明は、コーナー部のガラスラン部底壁の外面は、ドアフレームのコーナー部のチャンネルの底面から離れて取付けられた自動車用ガラスランである。
【0026】
請求項3の本発明では、コーナー部のガラスラン部底壁の外面は、ドアフレームのコーナー部のチャンネルの底面から離れて取付けられたため、ドアフレームのコーナー部にガラスランのコーナー部のガラスラン部底壁を嵌める必要がなく、ガラスランの組み付けが容易である。
【発明の効果】
【0027】
ガラスランのコーナー部では、車外側側壁、車内側側壁、ガラスラン部底壁、車外側シールリップ及び車内側シールリップはそれぞれ上辺部側と縦辺部側の対応する部分と型成形により傾斜又は湾曲して接続されるため、コーナー部では、側壁とシールリップが連続して形成されて、コーナー部のシール性を確保することができる。
【0028】
ガラスラン部底壁の外面は、ドアフレームのフロント側縦辺部又はドアフレームのリヤ側縦辺部のドアガラス側の先端線の延長線と、ガラスラン上辺部のトリム部の交点がガラスラン部底壁外面の外周側に配置されたため、ガラスランをドアフレームのコーナー部に取付けるときに、ガラスランのコーナー部が、ドアフレームに拘束されないため、縦辺部側の組み付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部にガラスランの上辺部のトリム部の一部切欠き部を付けた正面図である。
図2】本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部にドアガラスをはめた状態の正面図である。
図3】本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部にドアガラスをはめ、ドアフレームの縦辺部に嵌め込んだ状態の正面図である。
図4】本発明の実施の形態であるガラスラン上辺部の断面図である。
図5】本発明の実施の形態であるガラスランリヤ側縦辺部の断面図である。
図6】本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部の正面図である。
図7】本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部の断面図であり、図5におけるA−A線に沿った断面図である。
図8】本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部の断面図であり、図5におけるB−B線に沿った断面図である。
図9】自動車の側面図である。
図10】従来のドアフレームにおけるウエザストリップの取付関係図である。
図11】従来の他のガラスランのコーナー部の正面図である。
図12】従来の他のガラスランのコーナー部の一部切欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を図1図9に基づき説明する。
図9は自動車の側面図である。
図9に示すように、自動車のドア1の上部にはドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。即ち、ドアフレーム2の内周のドアガラス開口部には、ドアガラス5とガラスラン10が設けられ、ガラスラン10がドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
【0031】
ガラスラン10は、全体として押出成形で形成された略直線状の直線部11と、ドアフレーム2のコーナー部2cに取付けられ、その直線部11を接続し型成形で形成されるコーナー部12からなる。
直線部11は、ドアフレーム2の上辺に取付けられるガラスラン上辺部13と、ドアフレーム2のリヤ側縦辺に取付けられるガラスランリヤ側縦辺部14と、ドアフレーム2のフロント側縦辺に取付けられるガラスランフロント側縦辺部16とからなる。ドアのフロント側では、ドアフレーム2の上辺部2aは、前方に向けて斜め下方に形成され、ガラスランフロント側縦辺部16とは鈍角をなしている。ドアフレーム2には、ドアフレーム2の上辺にドアフレームフランジ部3を形成し、ガラスラン上辺部13を装着し、ドアフレーム2の縦辺には、ガラスラン10を装着する断面略U字形のチャンネルを形成している。
【0032】
ガラスラン10は、これらの直線部11を、ドアフレーム2に対応した形状となるように、コーナー部分において、型成形により成形して接続して、ガラスラン10のコーナー部12を形成しており、ガラスラン10のコーナー部12は、ドアフレーム2のコーナー部2cに装着される部分となる。本発明について、フロント側のドア1のリヤ側のガラスラン10のコーナー部12を例にとり説明するが、リヤ側のドア1のフロント側のガラスラン10のコーナー部12についても同様に本発明を使用することができる。
【0033】
ガラスラン上辺部13の断面形状は、図4に示すように、ドアフレーム2の内周に取付けられるガラスラン部20と、ドアフレーム2の先端に形成されるドアフレームフランジ部3に取付けられるトリム部30とから構成される。
【0034】
ガラスラン部20は、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の本体部と、車外側側壁21及び車内側側壁22の先端から断面略コ字状の内部方向斜めにそれぞれ車外側シールリップ24と車内側シールリップ25を延設している。このため、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の内部をドアガラス5の端部が摺動して、ドアガラス5を保持することができる。
【0035】
ガラスラン部20は、車内側側壁22、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25が軟質部材から形成されている。軟質部材として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。
【0036】
車外側側壁21とガラスラン部底壁23は、硬質部材で形成されている。
車外側側壁21は、根元部が厚肉に形成され、先端に行くにつれて肉厚を薄くするように形成されて、車外側側壁21は、内面が湾曲して形成されている。このため、車外側側壁21の剛性が大きく、ドアフレーム2の湾曲が大きくても、車外側側壁21が、皺が寄ったり、波打ったりするような変形することがない。また、ドアガラス5が車外側に寄っても、ドアガラス5の先端を車外側側壁21が保持することができ、ドアガラス5がガラスラン部20から外れることがない。
【0037】
車内側側壁22と車内側シールリップ25を車外側側壁21と車外側シールリップ24よりも大きく、肉厚に形成することが好ましい。この場合には、ドアガラス5が上昇してガラスラン10内に位置したときに、ドアガラス5を車外側にシフトさせることができ、ドア1の車外側面の段差を小さくして、見栄えを良くし、風切り音を減少させることができる。また、車内側側壁22がドアフレーム2のドアフレーム取付面に確実に取付けられることができる。
【0038】
ガラスラン部底壁23の内面側に、車内側側壁22との連結部分から底壁リップ26を形成することができる。底壁リップ26は、ドアガラス5が上昇したときに、ドアガラス5の上端が底壁リップ26に当接して、ガラスラン部底壁23への衝撃を吸収することができる。
【0039】
車内側側壁22、車外側シールリップ24、車内側シールリップ25、車内側カバーリップ28は、軟質部材で形成されている。このため、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25でドアガラス5の先端部分をシールすることができる。また、車内側側壁22は柔軟に曲がって、ドアフレーム2が湾曲していても、容易に取付けることができる。
【0040】
次に、トリム部30について説明する。トリム部30は、ガラスラン部底壁23と一体に形成されるガラスラン側側壁31と、車体開口部周縁6と対向するボディー側側壁32及びトリム部底壁33からなる断面略コ字状をなしている。
この断面略コ字状の内部に、ドアフレーム2の先端のドアフレームフランジ部3が挿入され、トリム部30で挟持し、ガラスラン10をドアフレーム2に保持する。本実施の形態では、ガラスラン部20のガラスラン部底壁23とトリム部30のガラスラン側側壁31は、同じ素材で同一の部材として一体的に形成されている。
【0041】
トリム部30のボディー側側壁32の外面(車体開口部周縁6と対向する面)には、トリム部外側シールリップ34が形成されている。図4に示すように、ドア閉時に、トリム部外側シールリップ34が車体開口部周縁6に当接して、車体開口部周縁6とドアフレーム2の間をシールする。
【0042】
ボディー側側壁32の断面略コ字状の内面には、2本のトリム部内側シールリップ35、35が形成され、ガラスラン側側壁31の断面略コ字状の内面には、3個のトリム部保持突条38、38、38が形成されている。図4に示すように、ドアフレームフランジ部3がトリム部30の断面略コ字状の内部に挿入されたときに、ドアフレームフランジ部3の一方の面をトリム部内側シールリップ35、35で保持し、ドアフレームフランジ部3の他方の面をトリム部保持突条38、38、38で保持することができる。また、トリム部30が安定的にドアフレームフランジ部3に保持されることができる。
【0043】
ガラスラン側側壁31の先端に、トリム部30の内部方向に向かって、トリム部係止リップ36が形成されている。ドアフレームフランジ部3がトリム部30の断面略コ字状の内部に挿入されたときに、トリム部係止リップ36は、ドアフレームフランジ部フック3aに係合する。このため、トリム部30は、サイドバイザーを接着しても、ドアフレームフランジ部3から外れ難くなっている。
【0044】
トリム部30は、ガラスラン側側壁31と、ボディー側側壁32、トリム部底壁33、トリム部係止リップ36、トリム部保持突条38は、硬質部材で形成され、トリム部外側シールリップ34、トリム部内側シールリップ35、35は軟質部材で形成され、トリム部全体が硬質部材と軟質部材の同時成形により押出成形される。なお、ガラスラン部20の車外側側壁21は、上述のように硬質部材で形成されている。このため、サイドバイザーを接着する部分の剛性を大きくすることができる。
【0045】
これにより、トリム部30の本体部分は剛性が強く、ドアフレームフランジ部3を保持することができるとともに、トリム部外側シールリップ34、34は、車体開口部周縁6の形状に合わせて、柔軟に当接してシールし、トリム部内側シールリップ35、35はドアフレームフランジ部3に柔軟に当接して、シールすることができる。
トリム部係止リップ36とトリム部カバーリップ37が硬質部材で形成されているため、トリム部30がドアフレームフランジ部3に強く係合される。
【0046】
次に、図5に基づいて、ガラスランリヤ側縦辺部14の断面形状について説明する。
なお、ガラスランリヤ側縦辺部14について説明するが、ガラスランフロント側縦辺部16についても同様である。
ガラスランリヤ側縦辺部14の断面形状は、ドアフレーム2の内周に取付けられるガラスラン部20のみであり、トリム部30を有しない。ガラスラン部20の形状は、ガラスラン上辺部13と類似しており、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の本体部と、車外側側壁21及び車内側側壁22の先端から断面略コ字状の内部方向斜めにそれぞれ車外側シールリップ24と車内側シールリップ25を延設している。このため、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の内部をドアガラス5の端部が摺動して、ドアガラス5を保持することができる。
【0047】
車外側側壁21と車内側側壁22の先端から断面略コ字状の本体部の外側に向けて車外側カバーリップ27と車内側カバーリップ28が形成され、ガラスラン部20をドアフレーム2のチャンネル7に保持している。
ガラスラン部20は、車内側側壁22、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25が軟質部材から形成されている。軟質部材として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。
【0048】
次に、ガラスラン10のコーナー部12について説明する。
ドアフレーム2は、図9に示すように、自動車ドアのリヤ側のコーナー部2cにおいては、上辺部2aは、略水平に形成され、縦辺部2bは略垂直に形成され、その上辺部2aと縦辺部2bとが付き合わされるように接合され、上辺部2aと縦辺部2bは直角又は鋭角を形成する。そして図9に示すように、ドアフレーム2のコーナー部2cにガラスラン10のコーナー部12が取付けられている。
【0049】
ガラスラン10のコーナー部12は、図9に示すように、ドアフレーム2の上辺部2aと縦辺部2bに取付けられるガラスラン上辺部13とガラスランリヤ側縦辺部14を接続し、ドアフレーム2のコーナー部2cに沿った形状に形成するために型成形で形成される。コーナー部12は、ガラスラン上辺部13とガラスランリヤ側縦辺部14を型成形時にその熱で接続している。
なお、フロント側ドアのガラスラン上辺部13とガラスランリヤ側縦辺部14のコーナー部12について説明するが、リヤ側ドアのガラスラン上辺部13とガラスランフロント側縦辺部16のコーナー部12についても同様である。
【0050】
ガラスラン10のコーナー部12の形状は、ガラスラン上辺部13と接続される上辺部側では、ガラスラン上辺部13と略同様の断面形状を有するとともに、車外側面である、車外側側壁21とトリム部底壁33の連続する部分が、ドアフレーム2の端まで直線的に延設されて、モールの役割をはたしている。このため、コーナー部12においてもガラスラン上辺部13から連続して車外側側壁21とトリム部底壁33の外面が切れ目なく延設され、横方向に連続した意匠面を有することができ、デザイン的に好ましい。
【0051】
コーナー部12のガラスランリヤ側縦辺部14と接続される縦辺部側では、ガラスランリヤ側縦辺部14と略同様の断面形状を有するとともに、上辺部側と縦辺部側の車外側側壁21、車内側側壁22、ガラスラン部底壁23、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25は、それぞれ対応する部分で接続されている。
【0052】
コーナー部12は、図1図6に示すように、ガラスラン上辺部13とガラスランリヤ側縦辺部14を接続するために、斜面状又は湾曲して形成されている。本実施の形態では、コーナー部12の車外側側壁21と車内側側壁22の先端側は湾曲した円弧状に形成され、ガラスラン部底壁23の外面は傾斜した直線状に形成されている。
【0053】
図2に示すように、ガラスラン部底壁23の外面は、ドアフレーム2の縦辺部2bのドアガラス5側の先端線の延長線と、ガラスラン上辺部13のトリム部30の交点X(図2に示すX)が、ガラスラン部底壁23外面の外周側に配置するように形成されている。このため、ガラスラン10をドアフレーム2のコーナー部2cに取付けるときに、ガラスラン10のコーナー部12のガラスラン上辺部13側を、ドアフレーム2の上辺部2aに取付けても、ガラスラン10のコーナー部12のガラスランリヤ側縦辺部14側のガラスラン上辺部13側に近接した部分が、トリム部30と同じ硬質部材で形成された上辺部13の車外側側壁21の拘束を受けても、ドアフレーム2に拘束されない部分を有しているため、組付方向が車両の幅方向である上辺部と、組付方向が車両の前後方向である縦辺部が隣接するコーナー部12においても、縦辺部の上端部の稼働量が大きな部分をドアフレーム2の縦辺部2bに組付ければよいことになり、ガラスラン10のコーナー部12の縦辺部側の組み付けが容易である。
【0054】
コーナー部12のガラスラン部底壁23の外面は、斜めの直線的に形成することが好ましい。この場合は、斜めの直線的に形成されたガラスラン部底壁23とすることにより、より上辺部2aの近くまで可動量の大きな部位を設定することができるため、ガラスラン10の組み付けが容易である。図3に示すように、本実施の形態では、ガラスラン部底壁23とドアフレーム2のコーナー部2cの隙間をコーナーピース8で埋めている。コーナーピース8は、略三角形に形成され、ドアフレーム2の上辺部2aとドアフレーム2の縦辺部2bの接続部分の隙間を埋めることができる。
【0055】
コーナー部12のガラスラン部底壁23の外面は、ドアフレーム2のコーナー部2cのチャンネル7の底面から離れて取付けられたため、ドアフレーム2のコーナー部2cにガラスラン10のコーナー部12のガラスラン部底壁23が嵌っている位置を若干車両下方に下げているため、ガラスラン10の組み付けが容易である。
【0056】
ガラスラン10のコーナー部12の組み付け状態を、図6図8に基づき説明する。図6は、ガラスラン10のコーナー部12を示し、図7図8はそれぞれ、図6のA−A線とB−B線に沿った断面図である。
図7に示すように、コーナー部12において、ガラスラン部底壁23は、ドアフレーム2のチャンネル7の底から離れており、コーナーピース8に当接している。また、図8に示すように、コーナーのB−B断面線の部分では、ガラスラン部底壁23は、ドアフレーム2のチャンネル7の底から離れて、チャンネル7の入口部分のみに嵌め込まれている。
このため、ガラスラン10をチャンネル7に嵌め込むときの変形量を少なくすることができ、ガラスラン10のコーナー部12を挿入することが容易である。
【0057】
ガラスラン10の成形においては、直線部11とコーナー部12の成形材料はいずれも、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。EPDMゴム、オレフィン系エラストマーを使用すると同種材料のためリサイクルが容易である。
【0058】
ガラスラン10の直線部11は、押出成形機により直線状に成形される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
【0059】
次に、ガラスラン10のコーナー部12を形成する型成形部分の成形は、上記により製造された直線部11を形成する押出成形部材を所定寸法に切断して、その切断した押出部分の端部を、型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに型成形部分を形成する材料を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱と圧力とで押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。
【符号の説明】
【0060】
2 ドアフレーム
2b コーナー部
5 ドアガラス
10 ガラスラン
12 コーナー部
13 ガラスラン上辺部
14 ガラスランリヤ側縦辺部
20 ガラスラン部
21 車外側側壁
22 車内側側壁
23 ガラスラン部底壁
30 トリム部
図1
図2
図3
図4
図5
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図12