(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
グリシジルメタクリレート(GMA)含有ポリマーは、エポキシ基の反応性を利用できることから様々な分野の材料に用いることができ、例えば、塩素含有樹脂の安定剤、ポリエステル系樹脂の鎖延長剤、極性表面に対する親和性向上剤、繊維改質剤などの用途に適用される。また、GMA含有ポリマーは、エポキシ基を酸で変性することによりポリマー鎖に対する機能付与が可能であり、例えば、アクリル酸で変性することにより光重合性を付与でき、高級脂肪酸で変性することにより親油性を付与できるなどの特徴がある。とりわけGMAホモポリマーは単位質量当たりのエポキシ基の含有率が高いことから、高機能化や添加量の低減といった効果が期待でき有用である。また、GMAホモポリマーを高分子量化することで、樹脂の熱安定性や機械的強度の向上、エポキシ基導入量の向上などが期待でき、材料の高機能化が可能となる。
【0003】
ポリマーを高分子量化する方法として、温和な条件で長時間重合することが有効であるが、その場合、モノマーの転化率が低下して未反応モノマーが多量に残存する。未反応モノマーやオリゴマーは、ポリマーを粘着剤や接着剤に用いた場合に被着体を汚染する原因となり、また、ポリマーを樹脂に添加する場合には樹脂表面にブリードアウトして表面を汚染したり、経時変化により黄変したり、あるいは臭気の原因となり、さらに、ポリマーを繊維の改質剤やレジスト材料に用いた場合、排水の汚染源になるといった問題を引き起こす。
【0004】
未反応モノマーを低減する方法として、重合工程の途中で重合開始剤を追加添加し、モノマーの転化率を向上させる方法や、重合後に未反応モノマーを減圧留去する方法が採られる。
しかしながら、前者では未反応モノマーの重合により生成する低分子量のオリゴマーが増加するという課題があり、また、後者ではポリマーの流動性を確保するために加熱を要し、ポリマーの構造によっては解重合を伴うという課題がある。特にGMAを含むメタクリレートを主体とする重合体においては、この解重合が顕著であるので、モノマーの留去と解重合が同時に起こり、未反応モノマーの低減が困難である。
【0005】
ポリマーを高分子量化する方法として、例えば特許文献1には、ラジカル重合開始剤の分解温度よりも低温で重合反応を行う方法が開示されており、重量平均分子量(Mw)が80万以上の高分子量のスチレン系ポリマーが得られることが記載されている。
しかしながら、転化率は90%以下であり、生成するポリマー中に未反応のモノマーが多量に残存する。したがって特許文献1の方法では、ポリマーを添加剤として使用した場合に、ブリードアウトや接触表面を汚染するという問題が生じる。
【0006】
また、特許文献2には、GMAの溶液重合において半減期10時間を得るための分解温度(T
10)が60℃以下である有機過酸化物を使用して、T
10より10〜50℃高温で重合し、かつ有機過酸化物を2回以上に分割添加する方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、未反応モノマーは低減されるものの、得られるポリマーのMwが4万〜5万程度であり、Mwが10万〜30万のポリマーは得られず、Mwが1万以下のオリゴマーが15%以上生成する。したがって特許文献2の方法では、耐熱性や機械的強度が十分に付与されたポリマーが得られないという問題が生じる。
【0007】
特許文献3には、GMAの懸濁重合により高分子量化を図り、かつ架橋剤を2.5〜10重量%添加することでポリマーを得る方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、架橋体の生成により高分子量化はできるものの、架橋密度が高すぎてポリマーが溶媒に不溶化する。また、エポキシ基の一部が水により開環するので、GMAの重合には適さない面があった。
【0008】
溶液重合においてモノマーの転化率を向上させる方法として、例えば特許文献4には、レドックス重合開始剤や光重合開始剤の併用が開示されている。
しかしながら、前者は重金属を使用する必要があるので、繊維の改質剤やレジスト材料に用いる場合には排水の汚染源となる問題がある。また、後者は紫外線を透過する反応槽を使用する必要があることや、ランベルト・ベールの法則に従い紫外線が重合溶液を透過する際に減衰することを考慮すると、大量生産には不向きである。
【0009】
以上のとおり、従来の技術では、高分子量であり、かつ、モノマー転化率が高く、未反応モノマーおよびオリゴマーが低減されたGMA重合体を製造することは困難であった。すなわち、高分子量化するために温和な条件で重合反応を行うと、転化率が低下して未反応モノマーが多量に残存する。未反応モノマーを低減するために重合工程で開始剤を追加添加するのみでは、低分子量のオリゴマーが多量に生成する。また、架橋剤を使用するのみでは、ポリマーが溶媒に不溶化する。したがって、このようなポリマーを粘着剤に用いた場合には被着体を汚染することが問題となり、繊維の改質剤やレジスト材料に用いた場合には排水を汚染することが問題となった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。
なお、本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを表す。また本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜5」は2以上5以下を表す。
【0018】
本発明のグリシジルメタクリレート重合体の製造方法においては、グリシジルメタクリレート(GMA)を多段階的に溶液重合する。
本発明における溶液重合には、攪拌器、温度センサ、コンデンサ、窒素導入管などを備えた反応槽が通常は用いられる。溶液重合を行なう前に、好ましくは窒素ガスなどの不活性ガスで反応槽内の雰囲気を置換した後、溶媒およびGMAを反応槽内に仕込み、攪拌下で不活性ガスによるバブリングを行いながら溶媒およびGMAの溶存酸素を低減する。
【0019】
本発明における溶液重合で用いられる溶媒としては、GMAのモノマーおよびポリマーの双方を溶解するものが用いられ、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤などが好ましく、特にアセトンが好ましい。なお、2種類以上の溶媒を用いてもよい。
重合溶液におけるGMA濃度は、通常、20〜50質量%であり、好ましくは30〜40質量%である。GMA濃度が20質量%よりも低いと、モノマーの転化率が低下して生成するポリマー中の未反応モノマー濃度が高くなるおそれがある。また、GMA濃度が50質量%よりも高いと、生成するポリマーの重量平均分子量が低下したり、重合の進行に伴い重合溶液が高粘度化して均一な攪拌が困難になるおそれがある。
【0020】
反応槽から排出されるガス中の酸素濃度が例えば1体積%以下となるまでバブリングを継続した後、所定温度に昇温して重合工程に移行する。重合工程は二段以上の複数の段階により構成される。
【0021】
〔第一段目の重合工程〕
第一段目の重合工程では、窒素ガスなどの不活性ガス気流下、重合開始剤を添加した後、攪拌しながら重合を行い、GMAの転化率が40〜60%になるまで重合を続ける。なお、窒素ガスなどの不活性ガス気流は全ての重合工程が終了するまで継続することが好ましい。
【0022】
第一段目の重合工程において用いられる重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物および有機過酸化物が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2, 2’−アゾビスイソブチロニトリル(T
10=65℃)、2, 2’−アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)(T
10=51℃)、2, 2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(T
10=67℃)などが挙げられる。
なお、T
10とは10時間半減期温度のことであり、10時間半減期温度とは重合開始剤の濃度が初期値の半分に減少するのに要する時間が10時間となる温度である。
【0023】
有機過酸化物としては、例えば、式3または式4で示される化合物が好ましい。
式3におけるR
5およびR
6は、炭素数3〜10、好ましくは3〜8の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、それぞれが同一でもよく、異なっていてもよい。
式3で示される化合物としては、例えば、R
5およびR
6が2−エチルヘキシル基であるジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(T
10=44℃)、R
5およびR
6がイソプロピル基であるジイソプロピルパーオキシジカーボネート(T
10=41℃)、R
5およびR
6が1−プロピル基であるジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(T
10=40℃)などの過酸化物が挙げられる。
【0024】
また、式4におけるR
7は炭素数3〜10、好ましくは3〜8の分岐状のアルキル基である。R
8は炭素数3〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基であり、好ましくは炭素数3〜8の直鎖状または分岐状のアルキル基である。炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。R
7とR
8はそれぞれが同一でもよく、異なっていてもよい。
式4で示される化合物としては、例えば、R
7が1, 1, 3, 3−テトラメチルブチル基、R
8がネオデシル基である1, 1, 3, 3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(T
10=65℃)、R
7がt−ブチル基、R
8がネオデシル基であるt−ブチルパーオキシネオデカノエート(T
10=46℃)、R
7がt−ブチル基、R
8がピバロイル基であるt−ブチルパーオキシピバレート(T
10=55℃)、R
7がt−ブチル基、R
8がフェニル基であるt−ブチルパーオキシベンゾエート(T
10=104℃)などの過酸化物が挙げられる。
【0025】
本発明では、重合温度を重合開始剤のT
10以上に設定するので、使用する溶媒の沸点よりもT
10が低い重合開始剤を選定することが望ましい。例えば、アセトン(沸点56℃)を用いる場合は、ジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(T
10=44℃)などが好ましく、メチルエチルケトン(沸点80℃)を用いる場合は、t−ブチルパーオキシピバレート(T
10=55℃)などが好ましい。
重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0026】
第一段目の重合工程における重合開始剤の添加量は、GMAに対して0.05〜0.15質量%、好ましくは0.08〜0.12質量%である。添加量が0.05質量%よりも少ないと、モノマーの転化率が低下して生成するポリマー中の未反応モノマー濃度が高くなるおそれがある。また、0.15質量%よりも多いと、生成するポリマーの重量平均分子量が低下するおそれがある。
【0027】
第一段目の重合工程における重合温度は、重合開始剤の10時間半減期温度(T
10)〜(T
10+10)℃であり、好ましくは(T
10)〜(T
10+5)℃である。例えば重合開始剤のT
10が44℃の場合、重合温度は44〜54℃であり、好ましくは44〜49℃である。重合温度がT
10℃よりも低いと、モノマーの転化率が低下して、生成するポリマー中の未反応モノマー濃度が高くなるおそれがあり、(T
10+10)℃よりも高いと、生成するポリマーの重量平均分子量が低下するおそれがある。
【0028】
本発明においてGMAの転化率は、重合溶液中のGMAモノマーをガスクロマトグラフィーで定量し、GMAの初期濃度との差をGMAの初期濃度で除することにより求めることができる。ガスクロマトグラフィーに供するサンプルは、重合溶液にメタノールやヘキサンなどの貧溶媒を加えてポリマーを沈降させ、上澄みをろ過して調製することができる。
第一段目の重合工程においてGMAの転化率が40%よりも低いと、生成するポリマーの重量平均分子量が低下するおそれがあり、また、60%よりも高いと、重合に長時間を要するので非効率となるおそれがある。
【0029】
〔第二段目の重合工程〕
第二段目の重合工程では、攪拌下の重合溶液に架橋剤および重合開始剤を混合して、溶液重合を継続する。通常は、攪拌下で架橋剤を添加して均一にした後、重合開始剤を追加添加し、GMAの転化率が97%以上となるまで溶液重合を継続する。
なお、GMAの転化率を向上させるために、第二段目の重合工程は複数回繰り返してもよい。その場合は工程時間が長くなるので、工程時間と生産性とのバランスを考慮して実施することが好ましい。架橋剤は溶媒に希釈してから重合溶液に添加してもよい。
【0030】
第二段目の重合工程においては、分子中にラジカル重合性の二重結合を2つ有する架橋剤が用いられる。かかる架橋剤としては、例えば、アリルエーテル、ビニルエーテル、(メタ)アクリレートなどが挙げられる。分子中のラジカル重合性の二重結合が3つ以上の架橋剤を使用すると、生成するポリマーの架橋密度が高くなりゲル化するおそれがある。
【0031】
アリルエーテルとしては、例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテルなどが挙げられる。
ビニルエーテルとしては、例えば、1, 4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどが挙げられる。
【0032】
(メタ)アクリレートとしては、例えば、式1または式2で示される化合物が好ましい。
式1におけるR
1およびR
2は、水素原子またはメチル基であり、それぞれが同一でもよく、異なっていてもよい。また、式1におけるnは1〜4の整数である。
式1で示される化合物としては、例えば、R
1およびR
2がメチル基であり、nが1であるエチレングリコールジメタクリレート、R
1およびR
2がメチル基であり、nが2であるジエチレングリコールジメタクリレート、R
1およびR
2がメチル基であり、nが3であるトリエチレングリコールジメタクリレート、R
1およびR
2がメチル基であり、nが4であるテトラエチレングリコールジメタクリレート、R
1およびR
2が水素原子であり、nが1であるエチレングリコールジアクリレート、R
1およびR
2が水素原子であり、nが2であるジエチレングリコールジアクリレート、R
1およびR
2が水素原子であり、nが3であるトリエチレングリコールジアクリレート、R
1およびR
2が水素原子であり、nが4であるテトラエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。
【0033】
式2におけるR
3およびR
4は、水素原子またはメチル基であり、それぞれが同一でもよく、異なっていてもよい。
式2で示される化合物としては、例えば、R
3およびR
4がメチル基であるグリセリンジメタクリレート、R
3がメチル基、R
4が水素であるグリセリンモノアクリレートモノメタクリレート、R
3およびR
4が水素原子であるグリセリンジアクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0034】
架橋剤の添加量は、GMAに対して0.1〜2.5質量%、好ましくは0.3〜2質量%である。添加量が0.1質量%よりも少ないと、モノマーの転化率が低下して生成するポリマー中の未反応モノマー濃度が高くなるおそれがある。また、2.5質量%よりも多いと、生成するポリマーの架橋密度が高くなりゲル化するおそれがある。
なお、第二段目の重合工程を複数回繰り返す場合においては、添加する架橋剤の合計が上記の範囲となるように調整する。
【0035】
第二段目の重合工程において用いられる重合開始剤は、第一段目の重合工程において用いられる重合開始剤と同様であり、第一段目の重合工程において用いられた重合開始剤と同じまたは異なる重合開始剤を用いることができる。
第二段目の重合工程における重合開始剤の添加量は、GMAに対して0.15〜0.8質量%、好ましくは0.2〜0.5質量%であり、第一段目よりも多いことが好ましい。添加量が0.15質量%よりも少ないと、モノマーの転化率が低下して生成するポリマー中の未反応モノマー濃度が高くなるおそれがある。また、0.8質量%よりも多いと、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの生成量が増加するおそれがある。
第二段目の重合工程を複数回繰り返す場合においては、第一段目の重合工程において用いた重合開始剤の添加量を合わせた重合開始剤の添加量の合計が0.95質量%以下となる範囲で重合開始剤を追加的に添加することが好ましい。重合開始剤の添加量の合計が0.95質量%を超えると、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの生成量が増加するおそれがある。
【0036】
第二段目の重合工程における重合温度は、重合開始剤の(T
10+5)〜(T
10+10)℃であり、例えば使用する重合開始剤のT
10が44℃の場合、49〜54℃である。重合温度が(T
10+5)℃よりも低いと、モノマーの転化率が低下して、生成するポリマー中の未反応モノマー濃度が高くなるおそれがあり、(T
10+10)℃よりも高いと、生成するポリマーの重量平均分子量が低下したり、重量平均分子量1万以下のオリゴマーが増加するおそれがある。
【0037】
以上の第一段目および第二段目の各重合工程を順次経ることによって、モノマー転化率が97%以上、好ましくは99%以上であり、重量平均分子量1万以下のオリゴマー含有量が10%以下、好ましくは7%以下であり、重量平均分子量が10万〜30万、好ましくは15万〜25万のGMA重合体を製造することができる。
なお、GMAポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、標準ポリスチレンに対する相対値として求めることができる。さらに、ここで得られたチャートから重量平均分子量1万以下に相当するピーク面積を算出して、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量を求めることができる。
このようにして製造されたGMA重合体は、被着体を汚染し難い粘着剤、表面硬度の高い塗料、環境にやさしい材料として、建材用の合成樹脂や合成繊維などに利用することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0039】
〔実施例1〕
攪拌器、温度センサ、コンデンサおよび窒素導入管を備えた1kL容のステンレス製反応槽に窒素ガスを通じ、反応槽内部を置換した後、アセトン204kg、GMA(日油(株)製、ブレンマーGH)109kgを仕込み、攪拌下で窒素ガスによるバブリングを行った。反応槽から排出されるガスを酸素濃度計に通じ、酸素濃度が1体積%以下となるまでバブリングを継続した。
第一段目の重合工程として、窒素気流下、45〜47℃に昇温してジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(T
10=44℃、70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)0.16kgを添加し、15時間反応を行なった。この時に採取したサンプルを用い、ガスクロマトグラフィーにより未反応GMAを定量して転化率を求めたところ、56.5%であった。
次いで、第二段目の重合工程に移行し、攪拌下、ジエチレングリコールジメタクリレート(日油(株)製、ブレンマーPDE−100)1kgを添加して均一にした後、ジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)0.47kgを追加添加し、50℃に昇温して反応を行った。反応熟成中に反応液を適宜サンプリングし、ガスクロマトグラフィーにより未反応のGMAモノマーを定量して転化率を求め、1時間あたりの転化率の変化量が1%を下回った時点を反応終点とした。30時間反応を行なった際に採取したサンプルを用い、ガスクロマトグラフィーにより未反応GMAを定量して転化率を求めたところ、97.4%であった。
また、重合平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、標準ポリスチレンに対する相対値として求めたところ、17.4万であった。さらに、ここで得たチャートから重量平均分子量1万以下に相当するピーク面積を算出してオリゴマーの含有量を求めたところ、2.9%であった。
なお、実施例1に記載したGMAの転化率、生成したポリマーの重量平均分子量、重量平均分子量1万以下のオリゴマー含有率の求め方を、これ以降に記載する実施例および比較例においても踏襲した。
【0040】
〔実施例2〕
攪拌器、温度計、コンデンサおよび窒素導入管を備えた1L容のフラスコに窒素ガスを通じ、フラスコ内部を置換した後、アセトン390g、GMA208gを仕込み、攪拌下で窒素ガスによるバブリングを行った。フラスコから排出されるガスを酸素濃度計に通じ、酸素濃度が1体積%以下となるまでバブリングを継続した。
第一段目の重合工程として、窒素気流下、45〜47℃に昇温してジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)0.3gを添加し、15時間反応を行なった。
次いで、第二段目の重合工程に移行し、攪拌下、ジエチレングリコールジメタクリレート(日油(株)製、ブレンマーPDE−100)2gを添加して均一にした後、ジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)0.75gを追加添加し、50℃に昇温して15時間反応を行なった。
さらに、第三段目の重合工程として、ジエチレングリコールジメタクリレート(日油(株)製、ブレンマーPDE−100)2gを添加して均一にした後、ジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)0.75g を追加添加し、50℃にて30時間反応を行なった。
GMAの転化率は第一段目の重合工程終了時に49.6%、第二段目の重合工程終了時に80.0%、第三段目の重合工程終了時(終点)に99.4%であった。また、生成したポリマーの重合平均分子量は18.8万、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量は5.2%であった。
【0041】
〔実施例3〕
実施例2で使用したフラスコを5L容のフラスコに変更し、アセトン1950g、GMA1029gを仕込み、攪拌下で窒素ガスによるバブリングを行った。フラスコから排出されるガスを酸素濃度計に通じ、酸素濃度が1体積%以下となるまでバブリングを継続した。
第一段目の重合工程として、窒素気流下、45〜47℃に昇温してジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)1.5gを添加し、15時間反応を行なった。
次いで、第二段目の重合工程に移行し、攪拌下、ジエチレングリコールジメタクリレート(日油(株)製、ブレンマーPDE−100)10g、テトラエチレングリコールジメタクリレート(日油(株)製、ブレンマーPDE−200)10gを添加して均一にした後、ジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)7.5gを追加添加し、50℃に昇温して30時間反応を行なった。
GMAの転化率は第一段目の重合工程終了時に48.5%、第二段目の重合工程終了時(終点)に99.0%であった。また、生成したポリマーの重合平均分子量は17.5万、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量は5.3%であった。
【0042】
〔実施例4〕
実施例3で使用したフラスコと同じ容量のフラスコを使用し、重合開始剤をt−ブチルパーオキシネオデカノエート(T
10=46℃、70質量%希釈品、日油(株)製、パーブチルND)1.5gに、架橋剤をグリセリンジメタクリレート(日油(株)製、ブレンマーGMR−H)3gに変更し、さらに重合温度を第一段目は47〜49℃、第二段目は51〜53℃に変更した以外は実施例3に従い重合を行った。
GMAの転化率は第一段目の重合工程終了時に42.0%、第二段目の重合工程終了時(終点)に99.1%であった。また、生成したポリマーの重合平均分子量は15.4万、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量は5.9%であった。
【0043】
〔実施例5〕
実施例3で使用したフラスコと同じ容量のフラスコを使用し、第二段目の重合工程で使用する架橋剤をエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルEG)5gに変更した以外は実施例3に従い重合を行った。
GMAの転化率は第一段目の重合工程終了時に40.5%、第二段目の重合工程終了時(終点)に99.1%であった。また、生成したポリマーの重合平均分子量は17.9万、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量は5.5%であった。
【0044】
〔実施例6〕
実施例3で使用したフラスコと同じ容量のフラスコを使用し、溶媒をアセトン1950gからメチルエチルケトン1950gに変更し、第一段目は重合開始剤をt−ブチルパーオキシピバレート(T
10=55℃、70質量%希釈品、日油(株)製、パーブチルPV)1.5gに、重合温度を57〜59℃に変更し、第二段目は重合開始剤をt−ブチルパーオキシピバレート(T
10=55℃、70質量%希釈品、日油(株)製、パーブチルPV)6gに、架橋剤をエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルEG)3gに変更し、さらに重合温度を62〜64℃に変更した以外は実施例3に従い重合を行った。
GMAの転化率は第一段目の重合工程終了時に57.0%、第二段目の重合工程終了時(終点)に98.1%であった。また、生成したポリマーの重合平均分子量は15.7万、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量は6.0%であった。
【0045】
〔比較例1〕
実施例3で使用したフラスコと同じ容量のフラスコを使用し、第二段目の重合工程での架橋剤の添加を中止し、第二段目の重合工程で追加添加する重合開始剤をジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)3gに変更した以外は実施例3に従い重合を行った。
GMAの転化率は第一段目の重合工程終了時に41.2%、第二段目の重合工程終了時(終点)に93.7%であった。また、生成したポリマーの重合平均分子量は10.6万、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量は0.9%であり、重量平均分子量および転化率が実施例3よりも低下した。したがって、本例で得られたポリマーは、実施例3のものよりも材料の高機能化の点で不十分であり、添加剤として使用した場合に、ブリードアウトや接触表面を汚染するおそれがある。
【0046】
〔比較例2〕
実施例3で使用したフラスコと同じ容量のフラスコを使用し、第二段目の重合工程で使用する架橋剤をトリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルTMPT)10gに変更した以外は実施例3に従い重合を行った。
GMAの転化率は第一段目の重合工程終了時に43.2%であった。第二段目の重合工程では1時間経過時にゲル化し、ワイゼンベルク現象が確認された。
【0047】
〔比較例3〕
実施例3で使用したフラスコと同じ容量のフラスコを使用し、第一段目の重合工程で添加する重合開始剤をt−ブチルパーオキシピバレート(T
10=55℃、70質量%希釈品、日油(株)製、パーブチルPV)2.3gに変更し、39〜41℃で44時間反応し、さらに第二段目の重合工程(架橋剤の添加、および開始剤の追加添加)を中止した以外は実施例3に従い重合を行った。
GMAの転化率は50.7%であった。また、生成したポリマーの重合平均分子量は28.2万、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量は0.1%であり、重量平均分子量の増大とオリゴマー含有量の低下が認められたが、GMAの転化率が大幅に低下した。したがって、本例で得られたポリマーは、添加剤として使用した場合に、ブリードアウトや接触表面を汚染するおそれがある。
【0048】
〔比較例4〕
実施例3で使用したフラスコと同じ容量のフラスコを使用し、第二段目の重合工程での架橋剤の添加を中止し、第二段目の重合工程で追加添加する重合開始剤をジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)15gに変更し、46℃で20時間反応を行なった以外は実施例3に従い重合を行った。
GMAの転化率は第一段目の重合工程終了時に45.3%、第二段目の重合工程終了時(終点)に98.0%であった。また、生成したポリマーの重合平均分子量は12.2万、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量は15.9%であり、重量平均分子量の低下とオリゴマー含有量の増加が認められた。したがって、本例で得られたポリマーは、実施例3のものよりも材料の高機能化の点で不十分であり、粘着剤や接着剤に用いた場合に被着体を汚染するおそれなどがある。
【0049】
〔比較例5〕
実施例3で使用したフラスコと同じ容量のフラスコを使用し、第一段目の重合工程で添加する重合開始剤をジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)15gとし、58〜60℃に昇温して還流下で2時間反応を行い、第二段目の重合工程での架橋剤の添加を中止し、第二段目の重合工程で追加添加する重合開始剤をジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)10.5gとし、還流下2時間反応を行なった。さらに第三段目の重合工程としてジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)4.5gを追加添加して還流下で10時間反応を行なって重合体を得た。
GMAの転化率(終点)は98.6%であった。また、生成したポリマーの重合平均分子量は4.3万、重量平均分子量1万以下のオリゴマーの含有量は19.2%であり、重量平均分子量の低下とオリゴマー含有量の増加が認められた。したがって、本例で得られたポリマーは、耐熱性や機械的強度が不十分であり、粘着剤や接着剤に用いた場合に被着体を汚染するおそれなどがある。
【0050】
〔比較例6〕
実施例3で使用したフラスコと同じ容量のフラスコを使用し、第二段目の重合工程で使用する架橋剤をエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルEG)30gに、第二段目の重合工程で追加添加する重合開始剤をジ(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート(70質量%希釈品、日油(株)製、パーロイルOPP)0.6gに変更した以外は実施例3に従い重合を行った。
GMAの転化率は第一段目の重合工程終了時に41.2%であった。第二段目の重合工程では0.5時間経過時にゲル化し、ワイゼンベルク現象が確認された。
【0051】
【表1】