特許第6237445号(P6237445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許6237445-塗工装置 図000002
  • 特許6237445-塗工装置 図000003
  • 特許6237445-塗工装置 図000004
  • 特許6237445-塗工装置 図000005
  • 特許6237445-塗工装置 図000006
  • 特許6237445-塗工装置 図000007
  • 特許6237445-塗工装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237445
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】塗工装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/08 20060101AFI20171120BHJP
   B05C 11/04 20060101ALI20171120BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20171120BHJP
   H01M 4/04 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   B05C1/08
   B05C11/04
   B05C11/10
   !H01M4/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-91483(P2014-91483)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-208713(P2015-208713A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】小島 昌人
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−136007(JP,A)
【文献】 特開2015−066547(JP,A)
【文献】 特開2015−024351(JP,A)
【文献】 特開2014−229445(JP,A)
【文献】 特開2014−107148(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0101630(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−3/20
7/00−21/00
B05D 1/00−7/26
H01M 4/00−4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に塗工液を塗工する塗工装置であって、
前記塗工液を貯留するダムと、
前記ダムからの前記塗工液の供給を受けながら回転するコーティングロールと、
前記コーティングロールとの間で形成される吐出口から吐出される前記塗工液の厚さを調整するコンマロールと、
前記基材を送りながら前記コーティングロール上の前記塗工液に接触させるバックロールと、を備え、
前記ダムは、前記コーティングロールの周面及び前記コンマロールの周面に対して配置される一対のダム部材を有し、
前記コンマロールには、前記ダム部材における前記塗工液の供給方向の先端部及び上端部を嵌め込み可能な切込部が径方向に形成され、
前記切込部は、前記供給方向に対して前記吐出口よりも手前の位置で前記ダム部材の前記先端部が突き当てられる突当部を有している塗工装置。
【請求項2】
前記ダム部材は、樹脂からなる海綿状又は多孔質の板材によって形成されている請求項1記載の塗工装置。
【請求項3】
前記ダム部材は、前記先端部及び前記上端部によって形成される矩形の角部を有している請求項1又は2記載の塗工装置。
【請求項4】
前記切込部の前記突当部は、前記ダム部材の前記先端部の嵌込位置を調整可能な調整しろを有している請求項1〜3のいずれか一項記載の塗工装置。
【請求項5】
前記切込部は、前記コンマロールの内部側に向かって狭まるテーパ部分を有する断面形状となっている請求項1〜4のいずれか一項記載の塗工装置。
【請求項6】
前記切込部は、前記コンマロールの軸方向に複数形成されている請求項1〜5のいずれか一項記載の塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば蓄電装置に用いる電極を製造する装置として、金属箔などの基材に塗工液を塗工する塗工装置がある。塗工装置は、例えば塗工液である電極ペーストを貯留するダムと、ダムから電極ペーストの供給を受けながら回転するコーティングロールと、コーティングロールとの間で形成される吐出口から吐出される電極ペーストの厚さを調整するコンマロールと、基材を送りながらコーティングロール上の電極ペーストに接触させるバックロールと、を備えて構成される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような塗工装置において、基材への電極ペーストの塗工幅は、例えばコーティングロール及びコンマロールに対する一対の板状のダム部材の設置位置によって調整される。しかしながら、コーティングロール及びコンマロールに対するダム部材の位置決めの精度が不十分である場合、基材への電極ペーストの塗工幅にばらつきが生じてしまうことが考えられる。また、ダム部材の位置決め精度を調整によって高めようとすれば、ダム部材の設置作業が煩雑化してしまうおそれもある。これに対し、例えば特許文献2に記載のラミネータでは、接着剤を供給する糊付けロールの周面とドクターロールの周面とに取付溝を形成し、この取付溝に左右一対の規制板を嵌め込んだ構成が記載されている(特許文献2の図8等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−99269号公報
【特許文献2】特開平10−231457号公報
【特許文献3】特開2002−96007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような形式の塗工装置では、ダム部材が例えばスポンジのような剛性の比較的低い材料によって形成される場合がある(例えば特許文献3に記載のサイドダムスポンジ等)。このような材料からなるダム部材は、回転するコーティングロールに対しても良好なシール性が得られる。しかしながら、上述した特許文献2では、ダム部材に相当する規制板が取付溝に嵌め込まれており、規制板の位置決めは簡単であるものの、規制板の先端側がロール間に突出した構成となっている。この先端側がロール間に突出した構成となる点は、一般的なコーティングロール及びコンマロールを用いる塗工装置と同様である。そのため、当該構成を単純に塗工装置に適用した場合、コーティングロールの回転に伴ってダム部材の先端側が伸びて変形し、結果として基材への電極ペーストの塗工幅にばらつきが生じてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、ダム部材を簡単かつ精度良く位置決めできると共に、塗工幅のばらつきを抑えることができる塗工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決のため、本発明に係る塗工装置は、基材に塗工液を塗工する塗工装置であって、塗工液を貯留するダムと、ダムからの塗工液の供給を受けながら回転するコーティングロールと、コーティングロールとの間で形成される吐出口から吐出される塗工液の厚さを調整するコンマロールと、基材を送りながらコーティングロール上の塗工液に接触させるバックロールと、を備え、ダムは、コーティングロールの周面及びコンマロールの周面に対して配置される一対のダム部材を有し、コンマロールには、ダム部材における塗工液の供給方向の先端部及び上端部を嵌め込み可能な切込部が径方向に形成され、切込部は、供給方向に対して吐出口よりも手前の位置でダム部材の先端部が突き当てられる突当部を有している。
【0008】
この塗工装置では、コンマロールの径方向に切込部が形成されている。これにより、ダム部材を切込部に嵌め込み、ダム部材の先端部を切込部の突当部に突き当てるだけでダム部材を簡単かつ精度良く位置決めできる。また、この塗工装置では、ダム部材の先端部が突き当てられる突当部の位置が供給方向に対して吐出口よりも手前の位置となっているので、ダム部材の先端部が過剰に突出する構成となることを回避できる。したがって、コーティングロールの回転に伴ってダム部材の先端側が伸びて変形してしまうことを抑制でき、基材への塗工液の塗工幅のばらつきを抑えることができる。
【0009】
また、ダム部材は、樹脂からなる海綿状又は多孔質の板材によって形成されていてもよい。この場合、ダム部材の表面が、回転するコーティングロールにも密着し、良好なシール性が得られる。
【0010】
また、ダム部材は、先端部及び上端部によって形成される矩形の角部を有していてもよい。この場合、ダム部材の先端部が先細りとなることを回避できるので、コーティングロールの回転に伴ってダム部材の先端側が伸びて変形してしまうことを一層確実に抑制できる。また、形状の簡単化により、ダム部材を作製する際の加工容易性も確保できる。
【0011】
また、切込部の突当部は、ダム部材の先端部の嵌込位置を調整可能な調整しろを有していてもよい。この場合、ダム部材を変更せずに、コーティングロールに対するコンマロールの位置を調整して吐出口から吐出される塗工液の厚さを変更することができる。
【0012】
また、切込部は、コンマロールの内部側に向かって狭まるテーパ部分を有する断面形状となっていてもよい。この場合、切込部に対するダム部材の嵌め込み易さを高めることができる。
【0013】
また、切込部は、コンマロールの軸方向に複数形成されていてもよい。この場合、ダム部材を嵌め込む切込部の選択によって簡便に塗工幅を変更することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る塗工装置によれば、ダム部材を簡単かつ精度良く位置決めできると共に、塗工幅のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る塗工装置の一実施形態を示す概略側面図である。
図2図1に示した塗工装置の概略平面図である。
図3図1に示した塗工装置に適用されるダム部材の構成を示す側面図である。
図4図1に示した塗工装置に適用されるコンマロールの構成を示す斜視図である。
図5】(a)は、コンマロールに形成された切込部の断面形状の一例を示す断面図であり、(b)は、コンマロールに形成された切込部の断面形状の他の例を示す断面図である。
図6】比較例に係るダム部材の構成を示す側面図である。
図7】変形例に係るコンマロールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る塗工装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る塗工装置の一実施形態を示す概略側面図である。また、図2は、その概略平面図である。図1及び図2に示すように、塗工装置1は、例えばダム2と、コーティングロール3と、バックロール4と、コンマロール5とを備えて構成されている。この塗工装置1は、例えばリチウムイオン二次電池といった非水電解質二次電池などの蓄電装置に用いられる電極の製造装置ラインの一部をなす装置である。塗工装置1は、例えばリバース型のコンマロール方式により、金属箔(基材)6の一面側に電極ペースト(塗工液)Pを所定の塗工幅W(図2参照)で塗工する。塗工方式は、連続塗工であっても、間欠塗工であってもよい。
【0018】
ダム2は、電極ペーストPを貯留する部分である。ダム2には、不図示の供給管及びポンプ等が接続されており、外部からの電極ペーストPの供給を受け得るようになっている。ダム2は、例えば図2に示すように、一対のダム部材11,11を含んで形成されている。ダム部材11は、コーティングロール3の周面3a及びコンマロール5の周面5aに対して配置される部材であり、例えばスポンジのように樹脂からなる海綿状又は多孔質の材料によって板状に形成されている。このような材料を用いることにより、ダム部材11の表面が変形し、コーティングロール3の周面3a及びコンマロール5の周面5aに密着するため、良好なシール性を維持することができる。この材料は、例えばウレタン又は発泡ポリエチレンである。
【0019】
ダム部材11は、例えば図3に示すように、電極ペーストPの供給方向に対する先端部11a及び後端部11bと、塗工装置1の上下方向に対する上端部11c及び下端部11dとを有している。先端部11aと上端部11cとは、略直角の角部11eを形成しており、先端部11aと下端部11dとは、コーティングロール3の周面3aの形状に対応して湾曲する凹状部11fによって連結されている。また、上端部11cの後端側は、下端部11dの後端側よりも後方に延び、後端部11bは、先端部11aに対して傾斜した状態となっている。ダム部材11において、先端部11aの上端側、上端部11cの先端側、及び角部を含む略円弧状部分は、後述するコンマロール5の切込部21に嵌め込まれる嵌込領域Rとなっている。
【0020】
ダム2に貯留される電極ペーストPは、例えば活物質、バインダ、及び溶剤を含むスラリー状のペーストである。電極ペーストPには、例えばアセチレンブラック等の導電助剤が更に含まれていてもよい。活物質は、正極活物質及び負極活物質のいずれであってもよい。
【0021】
正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物は、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとを含んで構成される。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0022】
コーティングロール3は、ダム2から電極ペーストPの供給を受けながら回転するロールである。コーティングロール3の回転により、ダム2から供給された電極ペーストPが、ダム部材11,11の間隔で規定される塗工幅Wで吐出口Kから吐出される。また、バックロール4は、コーティングロール3に隣接して配置され、金属箔6を所定の方向に送りながらコーティングロール3上の電極ペーストPに接触させるロールである。
【0023】
コーティングロール3の駆動及びバックロール4の駆動は、不図示の制御手段によって制御される。制御手段により、バックロール4は、金属箔6をコーティングロール3の周面3aに接触させる進出位置と、金属箔6をコーティングロール3の周面3aから離間させる退避位置との間で駆動する。かかるコーティングロール3及びバックロール4の協働により、吐出口Kから吐出された電極ペーストPが金属箔6に塗工幅Wで転写される。なお、バックロール4が退避位置にあるとき、コーティングロール3に付着した電極ペーストPは、図示しないドクターブレードにより掻き落され、回収される。
【0024】
コンマロール5は、吐出口Kから吐出される電極ペーストPの厚さを調整するロールである。コンマロール5の周面5aには、軸方向に沿って段差部5bが形成されている。コンマロール5は、段差部5bの先端側がコーティングロール3側を向くようにコーティングロール3の上方に配置され、段差部5bとコーティングロール3の周面3aとによって電極ペーストPの吐出口Kが形成される。コーティングロールに対するコンマロール5の上下位置を変え、段差部5bの先端とコーティングロール3の周面3aとの間隔を変更することで、吐出口Kから吐出される電極ペーストPの厚さ(すなわち、金属箔6に転写される電極ペーストPの厚さ)が調整される。
【0025】
続いて、上述したコンマロール5の構成について更に詳細に説明する。
【0026】
コンマロール5には、例えば図4に示すように、ダム部材11における電極ペーストPの供給方向の先端部11a及び上端部11cを着脱自在に嵌め込み可能な一対の切込部21が径方向に形成されている。切込部21は、コンマロール5の軸方向から見て略円弧状をなしており、ダム部材11が嵌め込まれたときに先端部11aが突き当てられる突当部21aと、ダム部材11が嵌め込まれたときに上端部11cと対向する対向部21bとを有している。
【0027】
突当部21aは、図1及び図4に示すように、供給方向に対して吐出口Kよりも手前の位置でコンマロール5の段差部5bの突出方向(ここでは鉛直方向)に延在している。突当部21aの上下方向の長さは、例えばコンマロール5における段差部5bの先端とコーティングロール3の周面3aとの間隔の設定が最小となったときに上端部11cと対向部21bとが接するような長さとなっている。これにより、図1に示すように、突当部21aには、ダム部材11の先端部11aの嵌込位置を調整可能な調整しろMが形成されている。
【0028】
また、切込部21の断面形状は、コンマロール5の内部側に向かって狭まるテーパ部分Tを有する断面形状となっている。テーパ部分Tは、例えば図5(a)に示すように、切込部21の内側壁21c,21cの全体がコンマロール5の内部側に向かって狭まることによって形成されていてもよく、例えば図5(b)に示すように、切込部21の内側壁21c,21cの一部(例えば周面5a側)がコンマロール5の内部側に向かって狭まることによって形成されていてもよい。
【0029】
また、切込部21の幅は、ダム部材11の幅よりもわずかに小さいことが好適である。例えばダム部材11の幅が10mmである場合には、切込部21の幅を9.5mm程度となっていることが好ましい。切込部21にテーパ部分Tを形成する場合には、テーパ部分Tを含めた切込部21の最大幅が9.5mm程度となっていればよい。この場合、切込部21に嵌め込んだダム部材11をしっかりと固定することができる。
【0030】
以上説明したように、塗工装置1では、コンマロール5の径方向に切込部21が形成されており、ダム部材11を切込部21に嵌め込み、ダム部材11の先端部11aを切込部21の突当部21aに突き当てるだけでダム部材11を簡単かつ精度良く位置決めできる。
【0031】
従来のように、コンマロール5に切込部21を設けない構成においては、ダム部材101は、例えば図6に示すように、後端部101b、下端部101d、及び凹状部101fについては、ダム部材11と同様の形状となっているが、先端部101aと上端部101cとがコンマロール5の周面5aの形状に対応して湾曲する凹状部101gによって連結された構成となっていた。このような従来のダム部材101では、凹状部101f及び凹状部101gが形成されることにより、先端部101aが先細りに突出する形状となっており、コーティングロール3の回転に伴ってダム部材101の先端側が伸びて変形してしまった場合に、金属箔6への電極ペーストPの塗工幅Wのばらつきが生じるという問題があった。
【0032】
これに対し、塗工装置1では、ダム部材11の先端部11aが突き当てられる突当部21aの位置が供給方向に対して吐出口Kよりも手前の位置となっているので、ダム部材11の先端部11aが過剰に突出する構成となることを回避できる。したがって、コーティングロール3の回転に伴ってダム部材11の先端側が伸びて変形してしまうことを抑制でき、金属箔6への電極ペーストPの塗工幅Wのばらつきを抑えることができる。
【0033】
また、塗工装置1では、ダム部材11は、先端部11a及び上端部11cによって形成される矩形の角部11eを有している。したがって、従来のダム部材101と比較して、ダム部材11の先端部11aが先細りとなることを回避できるので、コーティングロール3の回転に伴ってダム部材11の先端側が伸びて変形してしまうことを一層確実に抑制できる。また、形状の簡単化により、ダム部材11を作製する際の加工容易性も確保できる。
【0034】
また、塗工装置1では、切込部21の突当部21aにダム部材11の先端部11aの嵌込位置を調整可能な調整しろMが形成されている。これにより、ダム部材11を変更せずに、コーティングロール3に対するコンマロール5の上下位置を調整して吐出口Kから吐出される電極ペーストPの厚さを変更することができる。また、塗工装置1では、切込部21がコンマロール5の内部側に向かって狭まるテーパ部分Tを有する断面形状となっている。これにより、切込部21に対するダム部材11の嵌め込み易さを高めることができる。
【0035】
また、塗工装置1は、コンマロール5に切込部21を形成してダム部材11を位置決めするものであるため、例えば上述した特許文献2のように回転駆動されるロールに溝を設ける構造と比較して、切込部21の配置の異なるコンマロール5に交換するのみで塗工幅Wの変更にも容易に対応できる。
【0036】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、コンマロール5の周面5aに一対の切込部21,21を形成しているが、例えば図7に示すように、複数(例えば一対以上)の切込部21を形成してもよい。この場合、ダム部材11を嵌め込む切込部21の選択によって簡便に塗工幅Wを変更することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…塗工装置、2…ダム、3…コーティングロール、3a…周面、4…バックロール、5…コンマロール、5a…周面、6…金属箔(基材)、11…ダム部材、11a…先端部、11c…上端部、11e…角部、21…切込部、21a…突当部、K…吐出口、M…調整しろ、P…電極ペースト(塗工液)、T…テーパ部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7