(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0039】
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係る積層コネクタ10を、
図1ないし
図28を参照しつつ説明する。本実施形態に係る積層コネクタ10は、嵌合方向Aに沿って相手側コネクタ11と嵌合する。相手側コネクタ11は蓄電モジュール12に配設されている。なお、図面においては、複数の同一部材のうち一の部材にのみ符号を付し、他の同一部材については符号を省略する場合がある。
【0040】
(蓄電モジュール12)
図1及び
図2に示すように、蓄電モジュール12は、嵌合方向Aと交差する積層方向Bについて複数(本実施形態では、10個)の蓄電素子13が積層された蓄電素子群14を備える。本実施形態においては、嵌合方向Aと積層方向Bとは実質的に直交している。なお、実質的に直交しているとは、嵌合方向Aと積層方向Bとが直交する場合を含むと共に、嵌合方向Aと積層方向Bとが直交していない場合であっても、実質的に直交すると認められる場合も含む。
【0041】
本実施形態においては、蓄電素子13は、二次電池、キャパシタ、コンデンサ等、必要に応じて任意の蓄電素子13を用いることができる。本実施形態に係る蓄電素子13としては、二次電池が用いられている。
【0042】
蓄電素子13は、上方から見て略長方形状をなしている。蓄電素子13は、略長方形状をなす一対のラミネートフィルムの側縁を溶着してなる本体15と、本体15の内部に収容された図示しない蓄電要素と、本体15の内部において蓄電要素に接続されると共に、上方から見て略長方形状をなす本体15の短辺から外部に導出されるリード端子16と、を備える。本体15の一方の短辺から導出されるリード端子16の極性は、他方の短辺から導出されるリード端子16の極性と異なっている。
【0043】
図3に示すように、積層方向Bに重ねられた蓄電素子13同士は、それぞれの蓄電素子13のリード端子16同士が、金属製のバスバー17を介して接続されることにより、直列に、又は並列に接続される。本実施形態においては、積層方向Bに重ねられた蓄電素子13同士は、異なる極性のリード端子16同士がバスバー17を介して接続されることにより、直列に接続されている。バスバー17とリード端子16とは、溶接、ハンダ付け、ロウ付け等、公知の手法により接続することができる。
【0044】
バスバー17には、蓄電素子13の電圧を検知するための金属製の電圧検知バスバー18が、溶接、ハンダ付け、ロウ付け等、公知の手法により接続されている。電圧検知バスバー18は、オフセットされた形状に形成された部分が直角に曲げられると共に、その端部が更に直角に曲げられている。電圧検知バスバー18の端部には、相手側コネクタ11内に導入される、細長い板状をなすタブ19が形成されている。このタブ19は、嵌合方向Aに突出している。
【0045】
(相手側コネクタ11)
図3に示すように、相手側コネクタ11は、合成樹脂製であって、積層方向Bに細長い形状をなしている。相手側コネクタ11には、積層方向Bの上端部に、上方に突出する上側ロック受け部20が形成されており、積層方向Bの下端部に、下方に突出する下側ロック受け部21が形成されている。
【0046】
相手側コネクタ11には、タブ19が収容される複数(本実施形態では5個)のキャビティ22が嵌合方向Aに延びて形成されている。キャビティ22は積層方向Bに並んで形成されている。
図4に示すように、タブ19は、キャビティ22の奥壁を貫通してキャビティ22内に配されている。
【0047】
相手側コネクタ11には、嵌合方向Aの前端縁部が面取りされて、相手側コネクタ11の端縁に向かうに従って縮径するテーパ面23が形成されている。
【0048】
(積層コネクタ10)
図5に示すように、積層コネクタ10は、相手側コネクタ11との嵌合方向Aに交差する積層方向Bに重ねられた複数(本実施形態では3個)の第1サブハウジング24を備える。複数の第1サブハウジング24は、積層方向Bに並べられることにより第1サブハウジング群25を構成している。本実施形態に係る積層方向Bは、嵌合方向Aに対して直交する方向に設定されている。
【0049】
第1サブハウジング群25の一方の端部(
図5における下端部)には、第2サブハウジング26が積層方向Bの下方に重ねられている。また、第1サブハウジング群25の他方の端部(
図5における上端部)には、第3サブハウジング27が積層方向Bの上方に重ねられている。
【0050】
(第1サブハウジング24)
図6及び
図7に示すように、第1サブハウジング24は合成樹脂製であって、端子28、及び中継端子29が収容されるキャビティ30が嵌合方向Aに延びて形成されている。中継端子29が収容されるキャビティ30の嵌合方向Aの前側の口縁部には、外方に向かうに従って拡径するテーパ面31が形成されている。
【0051】
第1サブハウジング24には、相手側コネクタ11と嵌合する端部と反対側の位置に、ヒューズ32(過電流保護素子の一例)が装着されるヒューズ装着部33が形成されている。第1サブハウジング24には、ヒューズ装着部33に装着されたヒューズ32を覆うヒューズカバー34が取り付けられる。ヒューズ32に過電流が流れた場合、ヒューズ32が溶断することにより、過電流が遮断される。
【0052】
端子28は、キャビティ30の内壁に形成されたランス(図示せず)が端子28に係止することにより、キャビティ30内に抜け止め状態で保持されるようになっている。端子28は金属板材を所定の形状をプレス加工してなる。端子28は電線35の端部に接続されている。端子28は、電線35に接続された部分と反対側の位置に、ヒューズ32のリード端子36と接続される筒状の接続部37を備える。接続部37の内部には、リード端子36と弾性的に接触する弾性接触片38が配されている。ヒューズ32のリード端子36と弾性接触片38とが弾性的に接触することにより、ヒューズ32と端子28とが電気的に接続されるようになっている。
【0053】
中継端子29は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。中継端子29は、ヒューズ32のリード端子36と接続される一対のヒューズ側アーム部39と、相手側コネクタ11のタブ19と接続される一対の蓄電素子側アーム部40と、を備える。
【0054】
中継端子29には係合孔41が形成されている。キャビティ30の内壁には、中継端子29がキャビティ30内の正規位置に配された状態で、係合孔41に対応する位置に、係合孔41の孔縁部に係止する係合凸部42が形成されている。係合凸部42が係合孔41の孔縁部に係合することにより、中継端子29がキャビティ30内に抜け止め状態で保持される。
【0055】
(積層係合部43と、積層係合受け部44)
図8及び
図9に示すように、第1サブハウジング24には、嵌合方向Aに沿って延びる一対の側壁のそれぞれに、積層方向B(
図9における下方)に突出する積層係合部43が形成されている。積層係合部43は概ね門形状をなしており、積層方向Bに延びる一対の弾性片45と、一対の弾性片45の端部同士を連結する連結部46と、を備える。
【0056】
第1サブハウジング24には、嵌合方向Aに沿って延びる一対の側壁のそれぞれに、外方に突出すると共に積層係合部43と係合する積層係合受け部44が形成されている。
【0057】
一の第1サブハウジング24と、他の第1サブハウジング24とを、積層方向Bから接近させると、積層係合部43の連結部46が、積層係合受け部44に当接する。すると、弾性片45が外方に弾性変形する。更に、一の第1サブハウジング24を他の第1サブハウジング24に接近させると、弾性片45が弾性変形することにより、連結部46が積層係合受け部44の上に乗り上げる。更に、一の第1サブハウジング24を他の第1サブハウジング24に接近させると、連結部46が積層係合受け部44を乗り越えて弾性片45が復帰変形することにより、積層係合部43の連結部46と積層係合受け部44とが係合する。これにより、積層方向Bに重ねられた一の第1サブハウジング24と他の第1サブハウジング24とが、積層された状態で保持される。
【0058】
図5に示すように、積層係合部43と積層係合受け部44とが係合した状態では、積層係合部43の連結部46と積層係合受け部44との間には、積層方向Bについて積層クリアランスRが形成されている。この積層クリアランスRは、積層係合部43と積層係合受け部44とが係合するために必要な最小限のクリアランスよりも大きく設定されている。この積層クリアランスRは、積層された蓄電素子13の積層方向Bの公差と同じか、やや大きく設定されている。
【0059】
(移動抑制係合部47と、移動抑制係合受け部48)
図10及び
図11に示すように、第1サブハウジング24の上壁には、積層方向B(
図10における上方)に突出するリブ状をなす移動抑制係合部47が、嵌合方向Aに公差する方向に延びて形成されている。本実施形態では、移動抑制係合部47は、嵌合方向Aに直交する方向に延びて形成されている。本実施形態では、2つの移動抑制係合部47が、嵌合方向Aに間隔を空けて並んで形成されている。
【0060】
図9及び
図12に示すように、第1サブハウジング24の下壁には、移動抑制係合部47に対応する位置に、移動抑制係合部47と係合する
移動抑制係合受け部48が形成されている。本実施形態においては、移動抑制係合受け部48は、リブ状をなす移動抑制係合部47を収容する溝状に形成されている。
【0061】
移動抑制係合部47の嵌合方向Aについての幅寸法Lは、移動抑制係合受け部48の内壁間の間隔Mよりもわずかに小さく設定されている。幅寸法Lと間隔Mとの差は、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とが係合するために必要最小限の係合クリアランスSに設定されている。
【0062】
係合クリアランスSは、積層方向Bに重ねられた複数の第1サブハウジング24が製造公差、組み付け公差等の公差の範囲内で製造、及び組み立て等された場合において、移動抑制係合部47が移動抑制係合受け部48に収容されることができる最小限の寸法に設定されている。
【0063】
(リブ49)
図8に示すように、第1サブハウジング24には、積層係合部43、及び積層係合受け部44が形成された側壁に、積層係合部43、及び積層係合受け部44を嵌合方向Aの前後両側から挟む位置に、間隔を空けて2つのリブ49が形成されている。リブ49は、積層方向Bに延びて形成されている。
【0064】
図11に示すように、リブ49の、第1サブハウジング24の側壁からの突出高さ寸法は、積層係合部43、及び積層係合受け部44の、第1サブハウジング24の側壁から外方への突出高さ寸法よりも高く設定されている。
【0065】
(第2サブハウジング26)
図13及び
図14に示すように、第2サブハウジング26の下壁には、相手側コネクタ11の下側ロック受け部21に弾性的に係合する下側ロック部50が形成されている。
【0066】
(積層係合受け部44)
図15及び
図16に示すように、第2サブハウジング26には、嵌合方向Aに沿って延びる一対の側壁のそれぞれに、外方に突出すると共に、積層方向Bの上方に重ねられた第1サブハウジング24の積層係合部43と係合する積層係合受け部44が形成されている。
【0067】
第1サブハウジング24を、第2サブハウジング26に対して、積層方向Bの上方から接近させると、積層係合部43の連結部46が、積層係合受け部44に当接する。すると、弾性片45が外方に弾性変形する。更に、第1サブハウジング24を第2サブハウジング26に接近させると、弾性片45が弾性変形することにより、連結部46が積層係合受け部44の上に乗り上げる。更に、第1サブハウジング24を第2サブハウジング26に接近させると、連結部46が積層係合受け部44を乗り越えて弾性片45が復帰変形することにより、積層係合部43の連結部46と積層係合受け部44とが係合する。これにより、積層方向Bに重ねられた第1サブハウジング24と第2サブハウジング26とが、積層された状態で保持される。
【0068】
図5に示すように、積層係合部43と積層係合受け部44とが係合した状態では、積層係合部43の連結部46と積層係合受け部44との間には、積層方向Bについて積層クリアランスRが形成されている。この積層クリアランスRは、積層係合部43と積層係合受け部44とが係合するために必要な最小限のクリアランスよりも大きく設定されている。この積層クリアランスRは、積層された蓄電素子13の積層方向Bの公差と同じか、やや大きく設定されている。
【0069】
(移動抑制係合部47)
図17に示すように、第2サブハウジング26には、積層方向Bの上壁に、積層方向B(
図17における上方)に突出するリブ状をなす移動抑制係合部47が、嵌合方向Aに公差する方向に延びて形成されている。本実施形態では、移動抑制係合部47は、嵌合方向Aに直交する方向に延びて形成されている。
図16に示すように、本実施形態では、2つの移動抑制係合部47が、嵌合方向Aに間隔を空けて並んで形成されている。移動抑制係合部47は、積層方向Bについて上方に重ねられた第1サブハウジング24の移動抑制係合受け部48に収容されるようになっている。
【0070】
第2サブハウジング26の移動抑制係合部47の嵌合方向Aについての幅寸法Lは、第2サブハウジング26に対して嵌合方向Aの上方に重ねられる第1サブハウジング24の移動抑制係合受け部48の内壁間の間隔Mよりもわずかに小さく設定されている。幅寸法Lと間隔Mとの差は、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とが係合するために必要最小限の係合クリアランスSに設定されている。
【0071】
係合クリアランスSは、積層方向Bに重ねられた第1サブハウジング24と、第2サブハウジング26とが、製造公差、組み付け公差等の公差の範囲内で製造、及び組み立て等された場合において、移動抑制係合部47が移動抑制係合受け部48に収容されることができる最小限の寸法に設定されている。
【0072】
上記以外の構成については、第1サブハウジング24と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0073】
(第3サブハウジング27)
図18及び
図19に示すように、第3サブハウジング27の上壁には、相手側コネクタ11の上側ロック受け部20に弾性的に係合する上側ロック部51が形成されている。
【0074】
(積層係合部43)
図20及び
図21に示すように、第3サブハウジング27には、嵌合方向Aに沿って延びる一対の側壁のそれぞれに、積層方向B(
図20における下方)に突出する積層係合部43が形成されている。積層係合部43は概ね門形状をなしており、積層方向Bに延びる一対の弾性片45と、一対の弾性片45の端部同士を連結する連結部46と、を備える。
【0075】
第3サブハウジング27を、第1サブハウジング24に対して、積層方向Bの上方から接近させると、積層係合部43の連結部46が、積層係合受け部44に当接する。すると、弾性片45が外方に弾性変形する。更に、第3サブハウジング27を第1サブハウジング24に接近させると、弾性片45が弾性変形することにより、連結部46が積層係合受け部44の上に乗り上げる。更に、第3サブハウジング27を第1サブハウジング24に接近させると、連結部46が積層係合受け部44を乗り越えて弾性片45が復帰変形することにより、積層係合部43の連結部46と積層係合受け部44とが係合する。これにより、積層方向Bに重ねられた第3サブハウジング27と第1サブハウジング24とが、積層された状態で保持される。
【0076】
図5に示すように、積層係合部43と積層係合受け部44とが係合した状態では、積層係合部43の連結部46と積層係合受け部44との間には、積層方向Bについて積層クリアランスRが形成されている。この積層クリアランスRは、積層係合部43と積層係合受け部44とが係合するために必要な最小限のクリアランスよりも大きく設定されている。この積層クリアランスRは、積層された蓄電素子13の積層方向Bの公差と同じか、やや大きく設定されている。
【0077】
(移動抑制係合受け部48)
図21及び
図22に示すように、第3サブハウジング27の下壁には、積層方向Bの下方に重ねられた第1サブハウジング24の移動抑制係合部47に対応する位置に、移動抑制係合部47と係合する移動抑制係合受け部48が形成されている。本実施形態においては、移動抑制係合受け部48は、リブ状をなす移動抑制係合部47を収容する溝状に形成されている。
【0078】
第3サブハウジング27の積層方向Bの下方に重ねられた第1サブハウジング24の移動抑制係合部47の嵌合方向Aについての幅寸法Lは、第3サブハウジング27の移動抑制係合受け部48の内壁間の間隔Mよりもわずかに小さく設定されている。幅寸法Lと間隔Mとの差は、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とが係合するために必要最小限の係合クリアランスSに設定されている。
【0079】
係合クリアランスSは、積層方向Bに重ねられた第3サブハウジング27と第1サブハウジング24とが、製造公差、組み付け公差等の公差の範囲内で製造、及び組み立て等された場合において、移動抑制係合部47が移動抑制係合受け部48に収容されることができる最小限の寸法に設定されている。
【0080】
上記以外の構成については、第1サブハウジング24と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0081】
(組み立て工程)
以下に、本実施形態に係る積層コネクタ10の組み立て工程の一例について説明する。なお、積層コネクタ10の組み立て工程は、以下の記載に限定されない。まず、第1サブハウジング24、第2サブハウジング26、及び第3サブハウジング27のキャビティ30内に、中継端子29と、電線35の端末に接続された端子28と、を収容する。次いで、ヒューズ装着部33にヒューズ32を装着し、ヒューズカバー34を取り付ける。
【0082】
第2サブハウジング26の上に、第1サブハウジング24を重ねて、積層係合部43と積層係合受け部44とを係合させると共に、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とを係合させる。これにより、第2サブハウジング26と第1サブハウジング24とを、積層方向Bに重ねた状態に保持する。
【0083】
次に、第1サブハウジング24の上に、更に、所定の個数(本実施形態では2つ)の第1サブハウジング24を、上記と同様の手法により積層する。これにより、複数(本実施形態では3つ)の第1サブハウジング24を積層方向Bに重ねた状態に保持する。
【0084】
続いて、最上段に位置する第1サブハウジング24の上に、第3サブハウジング27を重ねて、積層係合部43と積層係合受け部44とを係合させると共に、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とを係合させる。これにより、第1サブハウジング24と第3サブハウジング27とを、積層方向Bに重ねた状態に保持する。上記のようにして、積層コネクタ10が完成される。
【0085】
(実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、積層係合部43と積層係合受け部44とを係合させると共に、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とを係合させることにより、任意の個数の第1サブハウジング24を積層方向Bに重ねることができる。これにより、仕様の変更等により蓄電素子13の積層数が変更され、これに対応するために積層コネクタ10の積層数が変更された場合でも、容易に対応することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、複数の第1サブハウジング24が重ねられてなる第1サブハウジング24群の積層方向Bの下端部には、第1サブハウジング群25の下端部に配された第1サブハウジング24の積層係合部43に係合した積層係合受け部44を備えた第2サブハウジング26が積層方向Bについて下方に重ねられており、第1サブハウジング群25の積層方向Bの上端部には、第1サブハウジング群25の上端部に配された第1サブハウジング24の積層係合受け部44に係合した積層係合部43を備えた第3サブハウジング27が積層方向Bについて上方に重ねられている。
【0087】
本実施形態によれば、第2サブハウジング26と第3サブハウジング27との間に配された第1サブハウジング24の個数を増加させ、又は減少させることにより、蓄電素子13の積層数の変更に対応することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、
図5に示すように、積層方向Bについては、積層係合部43と積層係合受け部44との間に積層クリアランスRが設定されているので、相手側コネクタ11に接続された複数の蓄電素子13が積層される場合における、複数の蓄電素子13間の積層方向Bにおける積層公差を吸収することができる。積層公差には、蓄電素子13の製造公差、積層する際の組み付け公差、及び、蓄電素子13が充放電する際に膨張、収縮することに起因する蓄電素子13の積層方向Bの厚さ寸法の変化が含まれる。
【0089】
詳細に説明すると、
図5には、全ての積層係合部43と積層係合受け部44とが、積層クリアランスRを空けて係合している状態を示す。この状態では、積層コネクタ10の、積層方向Bの長さ寸法は最小になっている。一方、
図23には、全ての積層係合部43と積層係合受け部44とが、積層クリアランスRがない状態で係合している状態を示す。この状態では、積層コネクタ10の、積層方向Bの長さ寸法は最大となっている。積層コネクタ10は、
図5に示された状態と、
図23に示された状態との間で、積層方向Bにつき、任意の長さ寸法を取り得るようになっている。これにより、積層方向Bにおける、相手側コネクタ11の積層公差を吸収することができる。
【0090】
積層公差が吸収される構成につき、
図24〜
図28を参照して、詳細に説明する。まず、
図24に示すように、積層コネクタ10と相手側コネクタ11との嵌合初期段階においては、相手側コネクタ11のテーパ面23と、第1〜第3サブハウジング24,26,27のテーパ面31とが当接する。すると、第1サブハウジング24、第2サブハウジング26、及び第3サブハウジング27は、積層クリアランスRの範囲内で積層方向Bに独立に移動する。これにより、複数の蓄電素子13の積層方向Bにおける積層公差が吸収される。
【0091】
図25に示すように、積層コネクタ10と相手側コネクタ11との嵌合が進行した状態では、相手側コネクタ11は、第1〜第3サブハウジング24,26,27のキャビティ30内に進入する。
【0092】
図26及び
図27に示すように、積層コネクタ10と相手側コネクタ11との嵌合が完了した状態では、積層コネクタ10の上側ロック部51と、相手側コネクタ11の上側ロック受け部20とが係合すると共に、積層コネクタ10の下側ロック部50と、相手側コネクタ11の下側ロック受け部21とが係合することにより、積層コネクタ10が抜止状態で相手側コネクタ11に係合する。これにより、
図28に示すように、相手側コネクタ11と積層コネクタ10とが電気的に接続される。
【0093】
また、本実施形態においては、嵌合方向Aについて、移動抑制係合部47と、移動抑制係合受け部48との間には、移動抑制係合部47と、移動抑制係合受け部48とが係合するために必要とされる最小限の係合クリアランスSが設定されている。これにより、第1サブハウジング24が嵌合方向Aについて移動することを抑制することができる。この結果、相手側コネクタ11と、積層コネクタ10との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0094】
上記の作用、効果を詳細に説明する。上記した
図25に示す状態においては、相手側コネクタ11のテーパ面23と、第1〜第3サブハウジング24,26,27のテーパ面31とが嵌合方向Aから当接している。このため、第1〜第3サブハウジング24,26,27に対しては、嵌合方向Aについて相手側コネクタ11から押される方向の力が加えられる。すると、第1〜第3サブハウジング24,26,27が嵌合方向Aに移動してしまうことが懸念される。
【0095】
本実施形態においては、移動抑制係合部47が嵌合方向Aから移動抑制係合受け部48に係合することにより、第1〜第3サブハウジング24,26,27が嵌合方向Aに移動することが抑制されるようになっている。そして、移動抑制係合部47と、移動抑制係合受け部48との間には、移動抑制係合部47と、移動抑制係合受け部48とが係合するために必要とされる最小限の係合クリアランスSが設定されているので、第1〜第3サブハウジング24,26,27の嵌合方向Aの移動量を最小限に抑制することができる。この結果、相手側コネクタ11と、積層コネクタ10との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0096】
また、移動抑制係合部47が移動抑制係合受け部48の内部に収容されることにより、移動抑制係合受け部48が、積層方向Bについて第1〜第3サブハウジング24,26,27が移動する際のガイドの役割を果たすようになっている。
【0097】
なお、嵌合方向Aについて、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48との間に係合クリアランスSを設けない設計とすると、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とが係合できない場合が発生する虞がある。これは、複数の第1サブハウジング24が公差(製造公差や、組み付け公差等)の範囲内で製造、又は組み付けされた場合であっても、例えば、各第1サブハウジング24が公差の上限値で製造、又は組み付けされると、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とが干渉して、係合できない問題が発生することが懸念されるからである。
【0098】
上記の問題に対応するため、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48との間には、嵌合方向Aについて、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とが係合するために必要とされる最小限の係合クリアランスSが、公差を考慮して設定されている。これにより、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とを確実に係合させることができる。
【0099】
本実施形態においては、積層コネクタ10は、積層係合部43と、積層係合部43とは異なる部材である移動抑制係合部47と、を備えると共に、積層係合部43に積層方向Bから係合する積層係合受け部44と、積層係合受け部44とは異なる部材であって移動抑制係合部47に嵌合方向Aから係合する移動抑制係合受け部48と、を備える。
【0100】
上記の構成によれば、積層係合部43と積層係合受け部44とが積層方向Bから係合することにより、積層方向Bについて複数の第1サブハウジング24を積層状態に保持することができる。また、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とが嵌合方向Aから係合することにより、嵌合方向Aについて複数の第1サブハウジング24が移動することを抑制することができる。
【0101】
このように、上記の態様によれば、積層方向Bについて複数の第1サブハウジング24を積層状態に保持する機能と、嵌合方向Aについて複数の第1サブハウジング24が移動することを抑制する機能とを、異なる部材に担当させることができる。これにより、複数の第1サブハウジング24を確実に積層状態に保持することができると共に、嵌合方向Aについて第1サブハウジング24が移動することを確実に抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態によれば、移動抑制係合部47は、積層方向Bに突出すると共に嵌合方向Aに交差する方向に延びるリブ状をなしており、移動抑制係合受け部48は、移動抑制係合部47に対応する位置に形成されて、移動抑制係合部47を収容する溝状をなしている。
【0103】
上記のように移動抑制係合部47をリブ状とすることにより、移動抑制係合部47と移動抑制係合受け部48とが嵌合方向Aに当接した際に、移動抑制係合部47が変形することを抑制することができる。これにより、嵌合方向Aについて第1サブハウジング24が移動することを確実に抑制することができる。
【0104】
また、本実施形態においては、第2サブハウジング26、及び第3サブハウジング27には、相手側コネクタ11に形成されたロック受け部に係止するロック部が形成されている。
【0105】
上記の構成によれば、第1サブハウジング群25の一方の端部に配された第2サブハウジング26と、他方の端部に配された第3サブハウジング27にロック部が形成されているので、相手側コネクタ11と積層コネクタ10とを確実に嵌合状態に保持することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、第1サブハウジング24、第2サブハウジング26、及び第3サブハウジング27には、ヒューズ32が配設されている。これにより、相手側コネクタ11に対して、第1サブハウジング24、第2サブハウジング26、及び第3サブハウジング27よりも下流側の導電路に、過電流が流れることを抑制することができる。
【0107】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係る積層コネクタ60を、
図29ないし
図48を参照しつつ説明する。
【0108】
(蓄電モジュール61)
図29に示すように、蓄電モジュール61は、嵌合方向Aと交差する積層方向Bについて複数(本実施形態では、18個)の蓄電素子62が積層された蓄電素子群63を備える。各蓄電素子62は、ホルダ64によって、積層された状態に保持されている。本実施形態においては、嵌合方向Aと積層方向Bとは実質的に直交している。なお、実質的に直交しているとは、嵌合方向Aと積層方向Bとが直交する場合を含むと共に、嵌合方向Aと積層方向Bとが直交していない場合であっても、実質的に直交すると認められる場合も含む。
【0109】
蓄電素子62は、上方から見て略長方形状をなしている。蓄電素子62は、略長方形状をなす一対のラミネートフィルムの側縁を溶着してなる本体65と、本体65の内部に収容された図示しない蓄電要素と、本体65の内部において蓄電要素に接続されると共に、上方から見て略長方形状をなす本体65の短辺から外部に導出されるリード端子66と、を備える。本体65の一方の短辺から導出されるリード端子66の極性は、他方の短辺から導出されるリード端子66の極性と異なっている。
【0110】
図30に示すように、積層方向Bに重ねられた蓄電素子62同士は、それぞれの蓄電素子62のリード端子66同士が、金属製のバスバー67を介して接続されることにより、直列に、又は並列に接続される。本実施形態においては、積層方向Bに重ねられた蓄電素子62同士は、異なる極性のリード端子66同士がバスバー67を介して接続されることにより、直列に接続されている。バスバー67とリード端子66とは、溶接、ハンダ付け、ロウ付け等、公知の手法により接続することができる。
【0111】
積層方向Bの最上段に位置するバスバー67の端部には、蓄電モジュール61と図示しない外部機器とを接続する電力線(図示せず)が接続される電力端子68が形成されている。
【0112】
また、積層方向Bの最下段に位置するバスバー67の端部にも、蓄電モジュール61と図示しない外部機器とを接続する電力線(図示せず)が接続される電力端子68が形成されている。
【0113】
バスバー67には、蓄電素子62の電圧を検知するための金属製の電圧検知バスバー69が、溶接、ハンダ付け、ロウ付け等、公知の手法により接続されている。電圧検知バスバー69は、オフセットされた形状に形成された部分が直角に曲げられると共に、その端部が更に直角に曲げられている。電圧検知バスバー69の端部には、相手側コネクタ70内に導入される、細長い板状をなすタブ71が形成されている。このタブ71は、嵌合方向Aに突出している。
【0114】
(相手側コネクタ70)
図30及び
図31に示すように、相手側コネクタ70は、合成樹脂製であって、積層方向Bに細長い形状をなしている。相手側コネクタ70には、積層方向Bの上端部に、上方に突出する上側ロック受け部72が形成されており、積層方向Bの下端部に、下方に突出する下側ロック受け部(図示せず)が形成されている。
【0115】
相手側コネクタ70には、積層方向Bに間隔を空けて配された複数のバスバー67を覆う絶縁カバー73が一体に形成されている。
【0116】
相手側コネクタ70には、タブ71が収容される複数(本実施形態では10個)のキャビティ74が嵌合方向Aに延びて形成されている。キャビティ74は積層方向Bに並んで形成されている。キャビティ74の内部には、タブ71が配されている。また、キャビティ74の内部には、タブ71と、後述するヒューズ75のリード端子76とを電気的に接続する雌―雌中継端子77が配されている。
【0117】
相手側コネクタ70には、嵌合方向Aの前端縁部が面取りされて、相手側コネクタ70の端縁に向かうに従って拡径するテーパ面78が形成されている。
【0118】
(積層コネクタ60)
図32に示すように、積層コネクタ60は、相手側コネクタ70との嵌合方向Aに交差する積層方向Bに重ねられた複数(本実施形態では8個)の第1サブハウジング79を備える。複数の第1サブハウジング79は、積層方向Bに並べられることにより第1サブハウジング群80を構成している。本実施形態に係る積層方向Bは、嵌合方向Aに対して直交する方向に設定されている。
【0119】
第1サブハウジング群80の一方の端部(
図32における下端部)には、第2サブハウジング81が積層方向Bの下方に重ねられている。また、第1サブハウジング群80の他方の端部(
図32における上端部)には、第3サブハウジング82が積層方向Bの上方に重ねられている。
【0120】
(第1サブハウジング79)
図33〜
図35に示すように、第1サブハウジング79は合成樹脂製であって、端子83、及び中継端子84が収容されるキャビティ85が嵌合方向Aに延びて形成されている。また、第1サブハウジング79には、相手側コネクタ70と嵌合する端部と反対側の位置に、ヒューズ75(過電流保護素子の一例)が装着されるヒューズ装着部86が形成されている。第1サブハウジング79には、ヒューズ装着部86に装着されたヒューズ75を覆うヒューズカバー87が取り付けられる。ヒューズ75に過電流が流れた場合、ヒューズ75が溶断することにより、過電流が遮断される。
【0121】
端子83は、キャビティ85の内壁に形成されたランス(図示せず)が端子83に係止することにより、キャビティ85内に抜け止め状態で保持されるようになっている。端子83は金属板材を所定の形状をプレス加工してなる。端子83は電線88の端部に接続されている。端子83は、電線88に接続された部分と反対側の位置に、中継端子84の板状をなす雄端子部89と接続される筒状の接続部90を備える。接続部90の内部には、雄端子部89と弾性的に接触する弾性接触片91が配されている。中継端子84の雄端子部89と弾性接触片91とが弾性的に接触することにより、中継端子84と端子83とが電気的に接続されるようになっている。
【0122】
中継端子84は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。中継端子84は、ヒューズ75のリード端子76と接続される一対のヒューズ側アーム部92と、端子83の接続部90内に挿入されて端子83と接続される雄端子部89と、を備える。
【0123】
中継端子84には係合孔93が形成されている。キャビティ85の内壁には、中継端子84がキャビティ85内の正規位置に配された状態で、係合孔93に対応する位置に、係合孔93の孔縁部に係止する係合凸部94が形成されている。係合凸部94が係合孔93の孔縁部に係合することにより、中継端子84がキャビティ85内に抜け止め状態で保持される。
【0124】
(積層係合部95と、積層係合受け部96)
図33及び
図36に示すように、第1サブハウジング79には、嵌合方向Aに沿って延びる一対の側壁のそれぞれに、積層方向B(
図33における下方)に突出する積層係合部95が形成されている。積層係合部95は、積層方向Bに延びる板状をなす弾性片97と、弾性片97の端部から内方に突出する係止爪98と、を備える。
【0125】
第1サブハウジング79には、嵌合方向Aに沿って延びる一対の側壁のそれぞれに、外方に突出すると共に積層係合部95と嵌合方向Aから係合する積層係合受け部96が形成されている。
【0126】
一の第1サブハウジング79と、他の第1サブハウジング79とを、積層方向Bから接近させると、積層係合部95の係止爪98が、積層係合受け部96に当接する。すると、弾性片97が外方に弾性変形する。更に、一の第1サブハウジング79を他の第1サブハウジング79に接近させると、弾性片97が弾性変形することにより、係止爪98が積層係合受け部96の上に乗り上げる。更に、一の第1サブハウジング79を他の第1サブハウジング79に接近させると、係止爪98が積層係合受け部96を乗り越えて弾性片97が復帰変形することにより、積層係合部95の係止爪98と積層係合受け部96とが係合する。これにより、積層方向Bに重ねられた一の第1サブハウジング79と他の第1サブハウジング79とが、積層された状態で保持される。
【0127】
図38に示すように、積層係合部95と積層係合受け部96とが係合した状態では、積層係合部95の係止爪98と積層係合受け部96との間には、積層方向Bについて積層クリアランスTが形成されている。この積層クリアランスTは、積層係合部95と積層係合受け部96とが係合するために必要な最小限のクリアランスよりも大きく設定されている。この積層クリアランスTは、積層された蓄電素子62の積層方向Bの公差と同じか、やや大きく設定されている。
【0128】
(移動抑制係合部と、移動抑制係合受け部)
図33及び
図36に示すように、第1サブハウジング79の上壁には、積層方向B(
図33における上方)に突出すると共にリブ状に形成されたリブ状係合部99(移動抑制係合部の一例)が、嵌合方向Aに交差する方向に延びて形成されている。本実施形態では、リブ状係合部99は、嵌合方向Aに直交する方向に延びて形成されている。本実施形態に係るリブ状係合部99は、嵌合方向Aに直交する方向についての中央付近が嵌合方向Aの前方に凸形状に膨出されており、上方から見て屈曲して形成されている。
【0129】
図37に示すように、第1サブハウジング79の下壁には、リブ状係合部99に対応する位置に、リブ状係合部99と係合するリブ状係合受け部100(移動抑制係合受け部の一例)が形成されている。本実施形態においては、リブ状係合受け部100は、リブ状係合部99のうち嵌合方向Aに直交する方向に延びる部分に対応する位置に、嵌合方向Aに直交する方向に延びるリブ状に形成されている。
【0130】
また、第1サブハウジング79の上壁には、積層方向B(
図33における上方)に突出す柱状をなす3つの柱状係合部101(移動抑制係合部の一例)が形成されている。
【0131】
また、第1サブハウジング79の下壁には、柱状係合部101に対応する位置に、柱状係合部101が収容される孔状係合受け部102(移動抑制係合受け部の一例)が形成されている。本実施形態においては、孔状係合受け部102は、柱状係合部101に対応する位置に、嵌合方向Aに陥没して形成されている。
【0132】
図39に示すように、リブ状係合部99とリブ状係合受け部100とが係合した状態における、リブ状係合部99とリブ状係合受け部100との間の係合クリアランスUは、リブ状係合部99とリブ状係合受け部100とが係合するために必要最小限の寸法に設定されている。
【0133】
詳細には、係合クリアランスUは、積層方向Bに重ねられた複数の第1サブハウジング79が製造公差、組み付け公差等の公差の範囲内で製造、及び組み立て等された場合において、リブ状係合部99とリブ状係合受け部100とが嵌合方向Aに係合できる最小限の寸法に設定されている。
【0134】
なお、詳細には図示しないが、柱状係合部101と孔状係合受け部102とが係合した状態における、柱状係合部101と孔状係合受け部102との間の係合クリアランスUも上記したリブ状係合部99とリブ状係合受け部100との間の係合クリアランスUと同様に設定されている。
【0135】
(第2サブハウジング81)
図40に示すように、第2サブハウジング81の下壁には、相手側コネクタ70の下側ロック受け部に弾性的に係合する下側ロック部103が形成されている。
【0136】
(積層係合受け部96)
図40及び
図41に示すように、第2サブハウジング81には、嵌合方向Aに沿って延びる一対の側壁のそれぞれに、外方に突出すると共に、積層方向Bの上方に重ねられた第1サブハウジング79の積層係合部95と係合する積層係合受け部96が形成されている。
【0137】
(移動抑制係合部)
図41及び
図42に示すように、第2サブハウジング81の上壁には、積層方向B(
図41における上方)に突出すると共にリブ状に形成されたリブ状係合部99(移動抑制係合部の一例)が、嵌合方向Aに交差する方向に延びて形成されている。本実施形態では、リブ状係合部99は、嵌合方向Aに直交する方向に延びて形成されている。本実施形態に係るリブ状係合部99は、嵌合方向Aに直交する方向についての中央付近が嵌合方向Aの前方に凸形状に膨出されており、上方から見て屈曲して形成されている。第2サブハウジング81のリブ状係合部99は、第2サブハウジング81に対して積層方向Bの上方に重ねられた第1サブハウジング79のリブ状係合受け部100に嵌合方向Aから係合するようになっている。
【0138】
また、第2サブハウジング81の上壁には、積層方向B(
図41における上方)に突出す柱状をなす3つの柱状係合部101(移動抑制係合部の一例)が形成されている。第2サブハウジング81の柱状係合部101は、第2サブハウジング81に対して積層方向Bの上方に重ねられた第1サブハウジング79の孔状係合受け部102の内部に収容されるようになっている。
【0139】
上記以外の構成については、第1サブハウジング79と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0140】
(第3サブハウジング82)
図43及び
図44に示すように、第3サブハウジング82の上壁には、相手側コネクタ70の上側ロック受け部72に弾性的に係合する上側ロック部104が形成されている。
(積層係合部95)
第3サブハウジング82には、嵌合方向Aに沿って延びる一対の側壁のそれぞれに、積層方向B(
図43における下方)に突出する積層係合部95が形成されている。積層係合部95は、積層方向Bに延びる板状をなす弾性片97と、弾性片97の端部から内方に突出する係止爪98と、を備える。
【0141】
第3サブハウジング82を、第1サブハウジング79に対して、積層方向Bの上方から接近させると、第3サブハウジング82の積層係合部95の係止爪98が、第1サブハウジング79の積層係合受け部96に当接する。すると、弾性片97が外方に弾性変形する。更に、第3サブハウジング82を第1サブハウジング79に接近させると、弾性片97が弾性変形することにより、係止爪98が積層係合受け部96の上に乗り上げる。更に、第3サブハウジング82を第1サブハウジング79に接近させると、係止爪98が積層係合受け部96を乗り越えて弾性片97が復帰変形することにより、積層係合部95の係止爪98と積層係合受け部96とが係合する。これにより、積層方向Bに重ねられた第3サブハウジング82と第1サブハウジング79とが、積層された状態で保持される。
【0143】
図45に示すように、第3サブハウジング82の下壁には、第3サブハウジング82の積層方向Bについて下方に重ねられた第1サブハウジング79のリブ状係合部99に対応する位置に、リブ状係合部99と係合するリブ状係合受け部100(移動抑制係合受け部の一例)が形成されている。本実施形態においては、リブ状係合受け部100は、リブ状係合部99のうち嵌合方向Aに直交する方向に延びる部分に対応する位置に、嵌合方向Aに直交する方向に延びるリブ状に形成されている。
【0144】
また、第3サブハウジング82の下壁には、第3サブハウジング82の積層方向Bについて下方に重ねられた第1サブハウジング79の柱状係合部101に対応する位置に、柱状係合部101が収容される孔状係合受け部102(移動抑制係合受け部の一例)が形成されている。本実施形態においては、孔状係合受け部102は、柱状係合部101に対応する位置に、嵌合方向Aに陥没して形成されている。
【0145】
リブ状係合部99とリブ状係合受け部100とが係合した状態における、リブ状係合部99とリブ状係合受け部100との間の係合クリアランスUは、リブ状係合部99とリブ状係合受け部100とが係合するために必要最小限の寸法に設定されている。
【0146】
詳細には、係合クリアランスUは、積層方向Bに重ねられた複数の第1サブハウジング79が製造公差、組み付け公差等の公差の範囲内で製造、及び組み立て等された場合において、リブ状係合部99とリブ状係合受け部100とが嵌合方向Aに係合できる最小限の寸法に設定されている。
【0147】
なお、詳細には図示しないが、柱状係合部101と孔状係合受け部102とが係合した状態における、柱状係合部101と孔状係合受け部102との間の係合クリアランスUも上記したリブ状係合部99とリブ状係合受け部100との間の係合クリアランスUと同様に設定されている。
【0148】
上記以外の構成については、第1サブハウジング79と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0149】
(実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。まず、積層公差が吸収される構成につき、
図46〜
図48を参照して、詳細に説明する。
【0150】
図46に示すように、積層コネクタ60と相手側コネクタ70との嵌合初期段階においては、相手側コネクタ70のテーパ面78と、第1〜第3サブハウジング79,81,82とが当接する。すると、相手側コネクタ70のテーパ面78に案内されることにより、第1サブハウジング79、第2サブハウジング81、及び第3サブハウジング82は、積層クリアランスTの範囲内で積層方向Bに独立に移動する。これにより、複数の蓄電素子62の積層方向Bにおける積層公差が吸収される。
【0151】
図47に示すように、積層コネクタ60と相手側コネクタ70との嵌合が進行した状態では、相手側コネクタ70は、第1〜第3サブハウジング79,81,82のキャビティ85内に進入する。
【0152】
図48に示すように、積層コネクタ60と相手側コネクタ70との嵌合が完了した状態では、積層コネクタ60の上側ロック部104と、相手側コネクタ70の上側ロック受け部72とが係合すると共に、積層コネクタ60の下側ロック部103と、相手側コネクタ70の下側ロック受け部とが係合することにより、積層コネクタ60が抜止状態で相手側コネクタ70に係合する。これにより、積層コネクタ60と、相手側コネクタ70とが電気的に接続される。
【0153】
本実施形態においては、移動抑制係合部は、積層方向Bに突出すると共に嵌合方向Aに交差する方向に延びるリブ状をなすリブ状係合部99とされる。また、移動抑制係合受け部は、移動抑制係合部に対応する位置に形成されて、積層方向Bに突出すると共に嵌合方向Aに交差する方向に延びるリブ状をなしており、且つ、移動抑制係合部と嵌合方向Aから当接するリブ状係合受け部100とされる。
【0154】
移動抑制係合部と移動抑制係合受け部の双方をリブ状とすることにより、移動抑制係合部と移動抑制係合受け部とが当接した際に、移動抑制係合部及び移動抑制係合受け部が変形することを抑制することができる。これにより、嵌合方向Aについて第1サブハウジング79が移動することを確実に抑制することができる。
【0155】
また、本実施形態によれば、移動抑制係合部は、積層方向Bに突出する柱状をなす柱状係合部101とされる。また、移動抑制係合受け部は、移動抑制係合部に対応する位置に形成されて、移動抑制係合部が収容される孔である、孔状係合受け部102とされる。
【0156】
移動抑制係合部を柱状とすることにより、移動抑制係合部が変形することを抑制することができる。これにより、嵌合方向Aについて第1サブハウジング79が移動することを確実に抑制することができる。
【0157】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3に係る積層コネクタ210を、
図49ないし
図67を参照しつつ説明する。本実施形態に係る積層コネクタ210は、嵌合方向Aに沿って相手側コネクタ211と嵌合する。相手側コネクタ211は蓄電モジュール212に配設されている。なお、図面においては、複数の同一部材のうち一の部材にのみ符号を付し、他の同一部材については符号を省略する場合がある。
【0158】
(蓄電モジュール212)
図49に示すように、蓄電モジュール212は、嵌合方向Aと交差する積層方向Bについて複数(本実施形態では、6個)の蓄電素子213が積層された蓄電素子群214を備える。本実施形態においては、嵌合方向Aと積層方向Bとは実質的に直交している。なお、実質的に直交しているとは、嵌合方向Aと積層方向Bとが直交する場合を含むと共に、嵌合方向Aと積層方向Bとが直交していない場合であっても、実質的に直交すると認められる場合も含む。
【0159】
本実施形態においては、蓄電素子213は、二次電池、キャパシタ、コンデンサ等、必要に応じて任意の蓄電素子213を用いることができる。本実施形態に係る蓄電素子213としては、二次電池が用いられている。
【0160】
図50に示すように、蓄電素子213は、上方から見て略長方形状をなしている。蓄電素子213は、略長方形状をなす一対のラミネートフィルムの側縁を溶着してなる本体215と、本体215の内部に収容された図示しない蓄電要素と、本体215の内部において蓄電要素に接続されると共に、上方から見て略長方形状をなす本体215の短辺から外部に導出されるリード端子216と、を備える。本体215の一方の短辺から導出されるリード端子216の極性は、他方の短辺から導出されるリード端子216の極性と異なっている。
【0161】
図51に示すように、積層方向Bに重ねられた蓄電素子213同士は、それぞれの蓄電素子213のリード端子216同士が、金属製のバスバー217を介して接続されることにより、直列に、又は並列に接続される。本実施形態においては、積層方向Bに重ねられた蓄電素子213同士は、異なる極性のリード端子216同士がバスバー217を介して接続されることにより、直列に接続されている。バスバー217とリード端子216とは、溶接、ハンダ付け、ロウ付け等、公知の手法により接続することができる。
【0162】
バスバー217には、蓄電素子213の電圧を検知するための金属製の電圧検知バスバー218が、溶接、ハンダ付け、ロウ付け等、公知の手法により接続されている。電圧検知バスバー218は、その端部が更に直角に曲げられている。電圧検知バスバー218のうち直角に曲げられた端部には、相手側コネクタ211内に導入される、一対のバスバー側アーム部219が形成されている。このバスバー側アーム部219は、嵌合方向Aに突出している。バスバー側アーム部219は、後述するヒューズ232のリード端子236を挟持するようになっている。
【0163】
(相手側コネクタ211)
図51に示すように、バスバー217及び電圧検知バスバー218は、合成樹脂製のバスバー保持部材250に保持されている。バスバー保持部材250は扁平な板状をなしている。バスバー保持部材250は、嵌合方向Aとは異なる方向であって、且つ積層方向Bと交差する交差方向Cに沿って細長く延びた形状をなしている。本実施形態においては、嵌合方向Aと、積層方向Bと、交差方向Cとは互いに垂直である。
【0164】
それぞれのバスバー保持部材250には、交差方向Cの一方の端部寄りの位置に、相手側コネクタ211が形成されている。それぞれの相手側コネクタ211には、バスバー側アーム部219が収容されるキャビティ222が嵌合方向Aに延びて形成されている。複数(本実施形態では4つ)のバスバー保持部材250が積層された状態において、各バスバー保持部材250に形成されたキャビティ222は積層方向Bに並んで配されている。バスバー側アーム部219は、キャビティ222の奥壁を貫通してキャビティ222内に配されている。
【0165】
(積層コネクタ210)
図52に示すように、積層コネクタ210は、相手側コネクタ211との嵌合方向Aに交差する積層方向Bに重ねられた複数(本実施形態では3個)の第1サブハウジング224を備える。複数の第1サブハウジング224は、積層方向Bに並べられることにより第1サブハウジング群225を構成している。本実施形態に係る積層方向Bは、嵌合方向Aに対して直交する方向に設定されている。
【0166】
第1サブハウジング群225の一方の端部(
図52における上端部)には、第2サブハウジング227が積層方向Bの上方に重ねられている。
【0167】
(第1サブハウジング224)
図53ないし
図59に示すように、第1サブハウジング224は合成樹脂製であって、端子228、及び中継端子229が収容されるキャビティ230が嵌合方向Aに延びて形成されている。
【0168】
第1サブハウジング224には、相手側コネクタ211と嵌合する端部と反対側の位置に、ヒューズ232(過電流保護素子の一例)が装着されるヒューズ装着部233が形成されている。第1サブハウジング224には、ヒューズ装着部233に装着されたヒューズ232を覆うヒューズカバー234が取り付けられている。ヒューズ232に過電流が流れた場合、ヒューズ232が溶断することにより、過電流が遮断される。
【0169】
端子228は、キャビティ230の内壁に形成されたランス231が端子228に係止することにより、キャビティ230内に抜け止め状態で保持されるようになっている。端子228は金属板材を所定の形状をプレス加工してなる。端子228は電線235の端部に接続されている。端子228は、電線235に接続された部分と反対側の位置に、中継端子229の端子側タブ240と接続される筒状の接続部237を備える。接続部237の内部には、端子側タブ240と弾性的に接触する弾性接触片238が配されている。中継端子229の端子側タブ240と弾性接触片238とが弾性的に接触することにより、中継端子229と端子228とが電気的に接続されるようになっている。
【0170】
第1サブハウジング224のキャビティ230内には中継端子229が収容されている。中継端子229は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。中継端子229は、端子228と接続される端子側タブ240と、ヒューズ232のリード端子236と接続される一対のヒューズ側アーム部239と、を備える。
【0171】
(積層係合部243と、積層係合受け部244)
図54ないし
図58に示すように、第1サブハウジング224の上壁には、嵌合方向Aの前端部寄りの位置に、積層方向Bに突出する積層係合部243が形成されている。積層係合部243は積層方向Bに延びる弾性変形する弾性片245と、弾性片245の先端部から嵌合方向Aに突出した係止爪246と、を備える。
【0172】
第1サブハウジング224には、嵌合方向Aの前端部に位置する側壁に、係合孔241が形成されている。係合孔241の孔縁部は、積層係合部243の係止爪246が係合する積層係合受け部244とされる。
【0173】
図60及び
図61に示すように、積層係合部243と積層係合受け部244とが係合した状態では、積層係合部243の係止爪246と積層係合受け部244との間には、積層方向Bについて積層クリアランスWが形成されている。この積層クリアランスWは、積層係合部243と積層係合受け部244とが係合するために必要な最小限のクリアランスよりも大きく設定されている。この積層クリアランスWは、積層された蓄電素子213の積層方向Bの公差と同じか、やや大きく設定されている。
【0174】
図60及び
図61に示すように、第1サブハウジング224の嵌合方向Aの前端部のうち、係合孔241よりも積層方向Bの下方の領域は、積層係合部243と積層係合受け部244とが係合した状態で、積層係合部243の少なくとも一部(本実施形態では弾性片245の一部)を覆う保護部242とされる。係止爪246は、係合孔241の孔縁部から、嵌合方向Aの前方に突出しないようになっている。
【0175】
図62及び
図63に示すように、積層クリアランスWの範囲内で、各第1サブハウジング224が積層方向Bについて移動することにより、積層された蓄電素子213の、積層方向Bの公差を吸収することができるようになっている。
【0176】
(移動抑制係合部247と曲がり抑制係合部251)
図54ないし
図58に示すように、第1サブハウジング224の上壁には、積層方向Bに突出するリブ状をなす曲がり抑制係合部251が、嵌合方向Aに沿う方向に延びて形成されている。本実施形態では、2つの曲がり抑制係合部251が、交差方向Cに間隔を空けて並んで形成されている。
【0177】
図58に示すように、2つの曲がり抑制係合部251の、嵌合方向Aの前端部同士は、移動抑制係合部247によって連結されている。
図56及び
図57に示すように、移動抑制係合部247は、積層係合部243の上方の位置に形成されている。
図58に示すように、係止爪246は、移動抑制係合部247よりも、嵌合方向Aの前方に突出している。
【0178】
図59に示すように、第1サブハウジング224の下壁には、曲がり抑制係合部251に対応する位置に、曲がり抑制係合部251と係合する曲がり抑制係合受け部252が形成されており、また、移動抑制係合部247に対応する位置に、移動抑制係合部247と係合する移動抑制係合部247が形成されている。本実施形態においては、曲がり抑制係合受け部252は、曲がり抑制係合部251を収容する溝状に形成されており、また、移動抑制係合受け部248は、移動抑制係合部247を収容する溝状に形成されている。また、本実施形態においては、2つの曲がり抑制係合受け部252の嵌合方向の前端部が、移動抑制係合受け部248によって連結されている。
【0179】
図64に示すように、溝状をなす曲がり抑制係合受け部252の内壁は、曲がり抑制係合部251に対して、交差方向Cから当接するようになっている。
【0180】
(第2サブハウジング227)
図65に示すように、第2サブハウジング227の下壁には、曲がり抑制係合部251に対応する位置に、曲がり抑制係合部251と係合する曲がり抑制係合受け部252が形成されており、また、移動抑制係合部247に対応する位置に、移動抑制係合部247と係合する移動抑制係合部247が形成されている。本実施形態においては、曲がり抑制係合受け部252は、曲がり抑制係合部251を収容する溝状に形成されており、また、移動抑制係合受け部248は、移動抑制係合部247を収容する溝状に形成されている。また、本実施形態においては、2つの曲がり抑制係合受け部252の嵌合方向の前端部が、移動抑制係合受け部248によって連結されている。
【0181】
なお、
図66に示すように、第2サブハウジング227の上壁には、第1サブハウジング224と異なり、曲がり抑制係合部251、移動抑制係合部247、及び積層係合部243は形成されていない。
【0182】
上記以外の構成については、第1サブハウジング224と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0183】
(組み立て工程)
以下に、本実施形態に係る積層コネクタ210の組み立て工程の一例について説明する。なお、積層コネクタ210の組み立て工程は、以下の記載に限定されない。まず、第1サブハウジング224、及び第2サブハウジング227のキャビティ230内に、中継端子229と、電線235の端末に接続された端子228と、を収容する。次いで、ヒューズ装着部233にヒューズ232を装着し、ヒューズカバー234を取り付ける。
【0184】
次に、
図67に示すように、第1サブハウジング224の上に、更に、所定の個数(本実施形態では2つ)の第1サブハウジング224を重ねて、積層係合部243と積層係合受け部244とを係合させると共に、移動抑制係合部247と移動抑制係合受け部248とを係合させ、更に、曲がり係合部と曲がり係合受け部とを係合させる。これにより、複数の第1サブハウジング224を、積層方向Bに重ねた状態に保持する。
【0185】
続いて、最上段に位置する第1サブハウジング224の上に、第2サブハウジング227を重ねて、積層係合部243と積層係合受け部244とを係合させると共に、移動抑制係合部247と移動抑制係合受け部248とを係合させ、更に、更に、曲がり係合部と曲がり係合受け部とを係合させる。これにより、第1サブハウジング224と第2サブハウジング227とを、積層方向Bに重ねた状態に保持する。上記のようにして、積層コネクタ210が完成される。
【0186】
(実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、複数の第1サブハウジング224は、積層係合部243と積層係合受け部244とが係合した状態において、積層係合部243の少なくとも一部を外方から覆う保護部242を有する。これにより、積層係合部243に対して異物が接触することを抑制することができる。この結果、積層係合部243に異物が接触することによって、積層係合部243と積層係合受け部244との係合が解除されてしまうことを抑制することができる。
【0187】
また、
図64に示すように、本実施形態によれば、複数の第1サブハウジング224のそれぞれは、積層方向Bに突出する曲がり抑制係合部251と、曲がり抑制係合部251に、嵌合方向Aとは異なる方向であって且つ積層方向と交差する交差方向Cから係合する曲がり抑制係合受け部252と、を備える。これにより、積層された第1サブハウジング224同士は、移動抑制係合部247と移動抑制係合受け部248とが嵌合方向Aから係合すると共に、曲がり抑制係合部251と曲がり抑制係合受け部252とが交差方向Cから係合する。このように、積層された第1サブハウジング224同士が少なくとも2つの方向から係合することにより、積層された第1サブハウジング224同士が積層クリアランスWの範囲内で積層方向Bに移動した場合において、積層された第1サブハウジング224同士が積層方向Bについて曲がった姿勢で積層されることが抑制される。
【0188】
上記の作用、効果について詳細に説明する。本実施形態に係る積層コネクタ210においては、積層係合部243と積層係合受け部244とが、積層クリアランスWを有して係合している。これにより、積層方向Bの公差を吸収することができるようになっている。
【0189】
図62及び
図63には、積層コネクタ210が、積層方向Bについての長さ寸法が最も長くなっている状態が示されている。
図62においては、積層コネクタ210について、交差方向C(
図62における左右方向)の両端部は、積層方向Bについて均等に長く伸びている。
【0190】
しかし、交差方向Cの両端部が、積層方向Bについて不均等な長さ寸法になる場合が考えられる。すると、積層コネクタ210が、積層方向Bについて、前後左右に曲がった姿勢になることが懸念される。例えば、
図62の左端部における第1サブハウジング224同士の積層方向Bについての間隔が、
図62の右端部における第1サブハウジング224同士の積層方向Bについての間隔よりも短くなる場合が考えられる。この場合、積層コネクタ210は、積層方向Bについて、
図62における左方に曲がった姿勢になることが懸念される。
【0191】
そこで、本実施形態においては、積層された第1サブハウジング224同士が、移動抑制係合部247と移動抑制係合受け部248とが嵌合方向から係合すると共に、曲がり抑制係合部251と曲がり抑制係合受け部252とが交差方向から係合する構成とした。このように、積層された第1サブハウジング224同士が少なくとも2つの方向から係合することにより、積層された第1サブハウジング224同士が積層クリアランスWの範囲内で積層方向に移動した場合において、積層された第1サブハウジング224同士が積層方向Bについて曲がった姿勢で積層されることが抑制されるのである。
【0192】
また、本実施形態によれば、曲がり抑制係合部251は、積層方向Bに突出すると共に交差方向Cに交差する方向に延びるリブ状をなしており、曲がり抑制係合受け部252は、曲がり抑制係合部251に対応する位置に形成されて、曲がり抑制係合部251を収容する溝状をなしている。上記の構成によれば、曲がり抑制係合部251をリブ状とすることにより、曲がり抑制係合部251が変形することを抑制することができる。これにより、複数の第1サブハウジング224が積層方向Bについて曲がった姿勢で積層されることを確実に抑制することができる。
【0193】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0194】
(1)本実施形態においては、過電流保護素子としてヒューズを用いたが、これに限られず、PTC素子、サーミスタ等、必要に応じて任意の過電流保護素子を用いることができる。
【0195】
(2)実施形態1及び2においては、第1サブハウジング群の両端部に、第2サブハウジングと、第3サブハウジングを重ねる構成としたが、第2サブハウジング及び第3サブハウジングの双方又は一方を省略してもよい。
【0196】
(3)本実施形態においては、積層係合部と、移動抑制係合部とは異なる部材としたが、
参考例として、一つの部材である係合部が、積層係合部と、移動抑制係合部と、を備える構成とし、一つの部材である係合受け部が、積層係合受け部と、移動抑制係合受け部と、を備える構成としてもよい。
【0197】
(4)積層係合部は、第1サブハウジング及び第3サブハウジングのそれぞれに、1つ、又は3つ以上設けられる構成としてもよい。
【0198】
(5)移動抑制係合部は、第1サブハウジング及び第2サブハウジングのそれぞれに、1つ、又は3つ以上設けられる構成としてもよい。
【0199】
(6)複数の蓄電素子は、並列に接続されてもよく、また、複数の蓄電素子が並列接続された複数の蓄電素子群が、直列接続される構成としてもよい。