特許第6237461号(P6237461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237461
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】迂回路情報提供装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20171120BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20171120BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20171120BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   G01C21/26 C
   G09B29/00 Z
   G09B29/10 A
   !G08G1/0969
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-103688(P2014-103688)
(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公開番号】特開2015-219155(P2015-219155A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】下平 誠司
(72)【発明者】
【氏名】藤本 博也
(72)【発明者】
【氏名】笠井 純一
(72)【発明者】
【氏名】貴志 泰久
(72)【発明者】
【氏名】吉川 康雄
(72)【発明者】
【氏名】河合 諭司
【審査官】 武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−223681(JP,A)
【文献】 特開2005−106475(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/128919(WO,A1)
【文献】 特開2013−69135(JP,A)
【文献】 特開平8−313284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
G09B 23/00−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両それぞれから運転状態を表す運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記運転情報取得部で取得した運転情報に基づいて、前記複数の車両それぞれの運転者の運転技量を判定する運転技量判定部と、
前記運転技量判定部で判定した運転技量から、前記複数の車両のうちから選択した対象車両の運転者の相対的な運転技量である相対運転技量を判定する相対運転技量判定部と、
前記対象車両が走行する可能性のある複数の道路区間それぞれに走行の難しさを表す走行難易度を設定する走行難易度設定部と、
前記走行難易度設定部で走行難易度が設定された道路区間のうち、走行難易度が予め定めた設定難易度である道路区間のいずれかを用いて、迂回路を生成する迂回路生成部と、
前記迂回路生成部で生成した前記迂回路の情報を前記対象車両に提供する迂回路情報提供部と、を備え、
前記迂回路生成部は、前記対象車両の運転者の前記運転技量、及び前記相対運転技量を用いて、前記設定難易度を決定することを特徴とする迂回路情報提供装置。
【請求項2】
前記複数の道路区間それぞれの交通情報を取得する交通情報取得部を備え、
前記走行難易度設定部は、前記交通情報取得部で取得した交通情報に基づき、前記複数の道路区間それぞれの走行難易度を逐次設定することを特徴とする請求項1に記載の迂回路情報提供装置。
【請求項3】
前記交通情報取得部で取得した交通情報に基づき、前記複数の道路区間それぞれについて交通量が予め定めた設定値以下であるか否かを判定する交通量判定部を備え、
前記走行難易度設定部は、前記交通量判定部で交通量が設定値以下であると判定した道路区間の走行難易度を低めに設定することを特徴とする請求項2に記載の迂回路情報提供装置。
【請求項4】
前記交通情報取得部で取得した交通情報に基づき、前記複数の道路区間それぞれについて交通障害が発生しているか否かを判定する交通障害判定部を備え、
前記走行難易度設定部は、前記交通障害判定部で交通障害が発生していると判定した道路区間の走行難易度を高めに設定することを特徴とする請求項2または3に記載の迂回路情報提供装置。
【請求項5】
前記対象車両の過去の走行状態を表す走行履歴情報を取得する走行履歴情報取得部と、
前記走行履歴情報取得部で取得した走行履歴情報に基づき、前記対象車両が走行している走行経路の走行頻度を検出する走行頻度検出部と、
前記走行頻度検出部で検出した走行頻度が予め定めた設定値以下であると判定すると、前記相対運転技量判定部で判定した前記対象車両の運転者の相対運転技量を低減する相対運転技量低減部と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の迂回路情報提供装置。
【請求項6】
前記迂回路生成部は、複数回に1回の割合で、前記設定難易度よりも走行難易度が高い道路区間のいずれかを用いて、迂回路を生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の迂回路情報提供装置。
【請求項7】
前記運転情報取得部で取得した現在の運転情報と過去の運転情報とを比較し、前記対象車両の運転者が交代したか否かを判定する運転者交代判定部を備え、
前記運転技量判定部は、前記運転者交代判定部で運転者が交代したと判定した場合、前記過去の運転情報を用いず、前記現在の運転情報に基づき、前記対象車両の運転者の運転技量を判定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の迂回路情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迂回路情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、迂回路情報提供装置の技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1に記載の従来技術では、渋滞や交通規制等の交通障害の発生場所(以下、「障害発生場所」とも呼ぶ)の道路幅の情報と、自車両の車幅の情報とに基づき、発生場所毎に、自車両の通過難易度を判定する。そして、判定した通過難易度が設定レベル以上である障害発生場所が存在する場合に、その障害発生場所を迂回する迂回路の情報を提供する。これにより、運転技量が低い運転者に有益な情報を提供することができます。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−300209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、例えば、運転技量が低い運転者が多数存在し、多数の運転者が提供された情報のとおりに車両を迂回路に向かわせた場合、迂回路に多数の車両が集中し、迂回路に渋滞が発生する可能性があった。
本発明は、上記のような点に着目し、渋滞をより適切に抑制可能な迂回路情報提供装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、複数の車両それぞれの運転者の運転技量を判定する。続いて、判定した運転技量から、対象車両の運転者の相対的な運転技量である相対運転技量を判定する。続いて、対象車両が走行する可能性のある複数の道路区間それぞれに走行の難しさを表す走行難易度を設定する。続いて、走行難易度が設定された道路区間のうち、走行難易度が予め定めた設定難易度である道路区間のいずれかを用いて、迂回路を生成する。続いて、生成した迂回路の情報を対象車両に提供する。その際、対象車両の運転者の運転技量及び相対運転技量を用いて設定難易度を決定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様では、例えば、運転技量に大差がない運転者が多数存在する場合にも、相対運転技量が高い運転者に走行難易度が高い迂回路の情報を提供することができる。それゆえ、車両を複数の迂回路に分散でき、渋滞をより適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る迂回路情報提供システムの概略構成を表す概念図である。
図2】第1運転技量点数及び第2運転技量点数のポイントテーブルを表す図である。
図3】迂回路情報生成処理を表すフローチャートである。
図4】運転技量判定処理を表すフローチャートである。
図5】相対運転技量判定処理を表すフローチャートである。
図6】迂回路生成処理を表すフローチャートである。
図7】走行難易度設定部17の動作を表す図である。
図8】走行難易度設定部17の動作を表す図である。
図9】変形例に係る迂回路情報提供システムの概略構成を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態は、本発明を、迂回路情報提供システムに適用したものである。
【0009】
(構成)
図1に示すように、迂回路情報提供システムは、複数の車両Cが搭載する車載装置1、及びデータセンタDが有する迂回路情報提供装置2を備える。車載装置1と迂回路情報提供装置2とは、通信路を介して情報の送受信を行う。
【0010】
(車載装置1の構成)
車載装置1は、運転情報検出部3と、車両コントローラ4と、ナビゲーション装置5と、送信機6と、を備える。
運転情報検出部3は、予め定めたサンプリング時間(例えば、1[秒])が経過するたびに、自車両Cの運転状態を検出する。運転状態としては、例えば、自車両Cの加速度、ステアリングホイールの操舵角、アクセルストローク量、ブレーキストローク量、及び自車両C前方の道路の画像がある。そして、運転情報検出部3は、検出結果を表す情報(以下、「運転情報」とも呼ぶ)を車両コントローラ4に出力する。
【0011】
具体的には、運転情報検出部3は、加速度検出部3aaと、操舵角検出部3bと、アクセルペダル検出部3cと、ブレーキペダル検出部3dと、車載カメラ3eと、を備える。
加速度検出部3aは、自車両Cの加速度(重心位置の加速度)を検出する。そして、加速度検出部3aは、検出結果を表す情報を車両コントローラ4に出力する。
操舵角検出部3bは、自車両Cのステアリングホイールの操舵角を検出する。そして、操舵角検出部3bは、検出結果を表す情報を車両コントローラ4に出力する。
【0012】
アクセルペダル検出部3cは、アクセルストローク量を検出する。そして、アクセルペダル検出部3cは、検出結果を表す情報を車両コントローラ4に出力する。
ブレーキペダル検出部3dは、ブレーキストローク量を検出する。そして、ブレーキペダル検出部3dは、検出結果を表す情報を車両コントローラ4に出力する。
車載カメラ3eは、自車両C前方の道路を撮像して画像を取得する。そして、車載カメラ3eは、取得した画像を表す画像データを車両コントローラ4に出力する。
【0013】
車両コントローラ4は、運転情報検出部3が出力した運転情報に基づき、運転情報送信処理を実行する。運転情報送信処理では、車両コントローラ4は、運転情報検出部3が運転情報を出力するたびに(予め定めたサンプリング時間(1[秒])が経過するたびに)、出力された運転情報を送信機6を介して迂回路情報提供装置2に逐次送信する。
ナビゲーション装置5は、位置検出部5aと、地図情報記憶部5bと、交通情報受信機5cと、ナビゲーションコントローラ5dと、を備える。
【0014】
位置検出部5aは、予め定めたサンプリング時間(例えば、1[秒])が経過するたびに、自車両Cの現在位置を検出する。そして、位置検出部5aは、検出結果をナビゲーションコントローラ5dに出力する。具体的には、位置検出部5aは、自車両Cの進行方向を検出する地磁気センサ5aaと、自車両Cのヨーレートを検出するジャイロセンサ5abと、自車両Cの車速を検出する車速センサ5acと、を備える。また、位置検出部5aは、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信するGPS受信機5adと、これらセンサ等5aa、5ab、5ac、5adの検出結果や受信結果に基づき自車両Cの現在位置を算出する位置算出実行部5aeと、を更に備える。
【0015】
地図情報記憶部5bは、自車両Cが走行する可能性のある地域の地図情報を記憶している。地図情報としては、道路を区分して設定した複数の小区間(以下、「道路区間」とも呼ぶ)の位置、形状、及び道路種別(カーブ路、狭路、見通しの悪い道)を表す情報がある。また、道路区間としては、例えば、道路交通網を表現するために道路に沿って設定されるリンク(道路網表現上のノードとノードとを連結する線分)がある。
【0016】
交通情報受信機5cは、自車両Cが走行する可能性のある複数の道路区間それぞれの交通情報を取得する。交通情報としては、例えば、交通量、交通障害(渋滞、通行規制、事故)の有無がある。そして、交通情報受信機5cは、取得結果をナビゲーションコントローラ5dに出力する。具体的には、交通情報受信機5cは、VICS(登録商標)の光ビーコンや電波ビーコンからの信号を受信するVICSセンサユニット5caと、FM放送の放送波に多重化された交通情報を受信するFM多重放送受信機5cbと、を備える。
【0017】
ナビゲーションコントローラ5dは、位置検出部5aが出力した自車両Cの現在位置、地図情報記憶部5bが記憶している地図情報、及び運転車が設定した目的地に基づき、自車両Cの現在位置(出発地)から目的地までの走行経路(以下、「案内経路」とも呼ぶ)を設定する。続いて、ナビゲーションコントローラ5dは、地図情報記憶部5bが記憶している地図情報に基づき、設定した案内経路と自車両Cの位置とを地図に重畳してディスプレイ5eに表示させる。これにより、ナビゲーションコントローラ5dは、案内経路のとおりに自車両Cが走行するように自車両C(運転者)を案内する。また、ナビゲーションコントローラ5dは、案内経路を生成するたびに、生成した案内経路を表す情報(以下、「案内経路情報」とも呼ぶ)を送信機6を介して迂回路情報提供装置2に送信する。
【0018】
また、ナビゲーションコントローラ5dは、位置検出部5aが出力した自車両Cの現在位置、及び地図情報記憶部5bが記憶している地図情報に基づき、走行履歴情報送信処理を実行する。走行履歴情報送信処理では、ナビゲーションコントローラ5dは、出力された自車両Cの現在位置、及び地図情報記憶部5bが記憶している地図情報に基づき、自車両Cの走行状態を検出する。自車両Cの走行状態の検出は、自車両Cがそれまでの道路区間から他の道路区間に移動し、自車両Cが走行する道路区間が変わるたびに行う。
【0019】
走行状態としては、例えば、自車両Cが現在走行している道路区間(以下、「現在走行道路区間」とも呼ぶ)、現在走行道路区間の道路種別(カーブ路、狭路、見通しの悪い道)がある。続いて、ナビゲーションコントローラ5dは、自車両Cの走行状態を検出するたびに、それまでに検出した走行状態、つまり、現在及び過去の走行状態を表す情報(以下、「走行履歴情報」とも呼ぶ)を送信機6を介して迂回路情報提供装置2に送信する。走行履歴情報には、例えば、自車両Cの現在位置及び車速の情報も含めてもよい。
【0020】
さらに、ナビゲーションコントローラ5dは、迂回路情報提供装置2から送信された迂回路の情報に基づき、迂回路置換処理を実行する。迂回路としては、例えば、案内経路上の交通障害の発生地点を迂回する経路がある。迂回路置換処理では、ナビゲーションコントローラ5dは、迂回路情報提供装置2から自車両Cの車載装置1に迂回路の情報が送信されるたびに、送信された迂回路の情報を受信する。続いて、ナビゲーションコントローラ5dは、受信した情報が表す迂回路で、設定した案内経路の一部または全部を置換する。続いて、ナビゲーションコントローラ5dは、置換前の案内経路に代えて、置換後の案内経路をディスプレイ5eに表示させる。これにより、ナビゲーションコントローラ5dは、自車両Cが迂回路のとおりに走行するように自車両C(運転者)を案内する。
ディスプレイ5eは、ナビゲーションコントローラ5dからの指令に従って、自車両Cの現在位置から目的地までの案内経路と自車両Cの現在位置とを表示する。
【0021】
送信機6は、運転情報検出部3が検出した運転情報、交通情報受信機5cが取得した交通情報、及びナビゲーションコントローラ5dが生成した走行履歴情報、案内経路情報、を、通信路を介して迂回路情報提供装置2に送信する。交通情報には、例えば、道路区間毎の、路上駐車している車両Cの台数の情報を含める。路上駐車している車両Cの台数は、例えば、車載カメラ3eで取得した運転情報(画像)を基に算出する。
【0022】
(迂回路情報提供装置2の構成)
迂回路情報提供装置2は、複数の車両Cが送信した運転情報、交通情報、走行履歴情報、及び案内経路情報に基づき、迂回路情報送信処理を実行する。迂回路情報送信処理では、迂回路情報提供装置2は、迂回路を生成して、迂回路の情報を車載装置1に送信する。
迂回路情報提供装置2は、運転情報取得部7と、交通情報取得部8と、走行履歴情報取得部9と、地図情報記憶部10と、運転技量判定部11と、相対運転技量判定部12と、走行頻度検出部13と、相対運転技量低減部14と、を備える。また、迂回路情報提供装置2は、交通量判定部15と、交通障害判定部16と、走行難易度設定部17と、迂回路生成部18と、迂回路情報提供部19と、を更に備える。
【0023】
運転情報取得部7は、車載装置1が送信する運転情報を通信路を介して受信する。そして、運転情報取得部7は、受信した運転情報を運転技量判定部11に出力する。これにより、運転情報取得部7は、複数の車両Cの車載装置1から運転情報を逐次取得する。
交通情報取得部8は、車載装置1が送信する交通情報を通信路を介して受信する。そして、交通情報取得部8は、受信した交通情報を交通量判定部15に出力する。これにより、運転情報取得部7は、複数の車両Cの車載装置1から交通情報を逐次取得する。
【0024】
走行履歴情報取得部9は、車載装置1が送信する走行履歴情報を通信路を介して受信する。そして、走行履歴情報取得部9は、受信した走行履歴情報を運転技量判定部11及び走行頻度検出部13に出力する。これにより、走行履歴情報取得部9は、複数の車両Cの車載装置1から走行履歴情報(後述する対象車両Caの走行履歴情報)逐次を取得する。
地図情報記憶部10は、複数の車両Cが走行する可能性のある地域の地図情報を記憶している。地図情報としては、道路を区分して設定した複数の小区間(道路区間)の位置、形状、及び道路種別(カーブ路や直線路、狭路、見通しの悪い道)を表す情報がある。
【0025】
運転技量判定部11は、運転情報取得部7で取得した運転情報、及び走行履歴情報取得部9で取得した走行履歴情報に基づき、複数の車両Cそれぞれの運転者の運転技量を判定する。具体的には、運転技量判定部11は、今回取得した運転情報、及び過去に取得した運転情報から、複数の車両Cの運転者それぞれのアクセルストローク加速度、ブレーキストローク加速度、ステアリング角加速度、及び車両加速度の時系列データを算出する。続いて、運転技量判定部11は、算出結果から各運転者の急な運転操作の頻度[%]を演算する。急な運転操作としては、例えば、急発進、急ブレーキ、急ハンドルがある。
【0026】
続いて、運転技量判定部11は、取得した走行履歴情報、及び車両加速度の時系列データから、道路区間毎に複数の車両Cそれぞれの平均車速(以下、「個別平均車速」とも呼ぶ)を算出する。続いて、運転技量判定部11は、算出した個別平均車速から、道路区間毎にすべての車両Cの平均車速の平均(以下、「全体平均車速」とも呼ぶ)を算出する。続いて、運転技量判定部11は、算出した道路区間それぞれで個別平均車速が全体平均車速よりも予め定めた設定車速(例えば、5[km/h])以上高い車両Cの運転者の平均車速を「高」に区分する。また、運転技量判定部11は、道路区間それぞれで個別平均車速が全体平均車速よりも予め定めた設定車速(5[km/h])以上低い車両Cの運転者の平均車速を「低」に区分し、いずれでもない車両Cの運転者の平均車速を「中」に区分する。
【0027】
続いて、運転技量判定部11は、算出した急な運転操作の頻度[%]、及び平均車速の区分に基づき、図2(a)のポイントテーブルを参照し、複数の車両Cの運転者それぞれの運転技量を判定し、判定結果に応じた点数(以下、「第1運転技量点数」とも呼ぶ)を付与する。図2(a)のポイントテーブルでは、急な運転操作の頻度が低いほど、または平均車速が高い区分であるほど、運転技量が高いと判定し、大きな点数を付与する。
【0028】
具体的には、図2(a)のポイントテーブルは、急な運転操作の頻度「5%未満」で且つ平均車速の区分「高」の場合に6点を付与する。以下同様に、急な運転操作の頻度「5%以上10%未満」で且つ平均車速の区分「高」の場合、または急な運転操作の頻度「5%未満」で且つ平均車速の区分「中」の場合に4点を付与する。また、急な運転操作の頻度「10%以上」で且つ平均車速の区分「高」の場合、急な運転操作の頻度「5%以上10%未満」で且つ平均車速の区分「中」の場合、または急な運転操作の頻度「5%未満」で且つ平均車速の区分「低」の場合に2点を付与する。さらに、急な運転操作の頻度「10%以上」で且つ平均車速の区分「中」の場合、または急な運転操作の頻度「5%以上10%未満」で且つ平均車速の区分「低」の場合に1点を付与する。また、急な運転操作の頻度「10%以上」で且つ平均車速の区分「低」の場合に0点を付与する。
【0029】
続いて、運転技量判定部11は、取得した走行履歴情報から、複数の車両Cの運転者それぞれの狭路の通過頻度[%]を算出する。続いて、運転技量判定部11は、取得した走行履歴情報から、複数の車両Cの運転者それぞれのカーブ路や見通しの悪い道路区間(以下、「カーブ路等」とも呼ぶ)の通過頻度[%]を算出する。
続いて、運転技量判定部11は、算出した狭路の通過頻度[%]、及びカーブ路等の通過頻度[%]に基づき、図2(b)のポイントテーブルを参照し、複数の車両Cの運転者それぞれの運転技量を判定し、判定結果に応じた点数(以下、「第2運転技量点数」とも呼ぶ)を付与する。図2(b)のポイントテーブルでは、狭路の通過頻度が高いほど、またはカーブ路等の通過頻度が高いほど、運転技量が高いと判定し、大きな点数を付与する。
【0030】
具体的には、図2(b)のポイントテーブルは、狭路の通過頻度「10%以上」で且つカーブ路等の通過頻度「10%以上」の場合に6点を付与する。以下同様に、図2(b)のポイントテーブルは、狭路の通過頻度「5%以上10%未満」で且つカーブ路等の通過頻度「10%以上」の場合、または狭路の通過頻度「10%以上」で且つカーブ路等の通過頻度「5%以上10%未満」の場合に4点を付与する。また、狭路の通過頻度「5%未満」で且つカーブ路等の通過頻度「10%以上」の場合、狭路の通過頻度「5%以上10%未満」で且つカーブ路等の通過頻度「5%以上10%未満」の場合、または狭路の通過頻度「10%以上」で且つカーブ路等の通過頻度「5%未満」の場合に2点を付与する。さらに、狭路の通過頻度「5%未満」で且つカーブ路等の通過頻度「5%以上10%未満」の場合、または狭路の通過頻度「5%以上10%未満」で且つカーブ路等の通過頻度「5%未満」の場合に1点を付与する。また、狭路の通過頻度「5%未満」で且つカーブ路等の通過頻度「5%未満」の場合に0点を付与する(点数を付与しない)。
【0031】
続いて、運転技量判定部11は、車両Cの運転者毎に、算出した第1運転技量点数と第2運転技量点数とを加算する。続いて、運転技量判定部11は、加算結果(第1運転技量点数+第2運転技量点数)を複数の車両Cの運転者それぞれの運転技量を表す点数とする。そして、運転技量判定部11は、判定結果を相対運転技量判定部12に出力する。
相対運転技量判定部12は、運転技量判定部11で判定した運転技量のうち、複数の車両Cのうちから選択した車両C(以下、「対象車両Ca」とも呼ぶ)の運転者の運転技量を取得する。続いて、相対運転技量判定部12は、運転技量判定部11で判定した運転技量のうち、対象車両Caが走行している走行経路(以下、「対象車両経路」とも呼ぶ)を現在走行している車両C及び対象車両経路を将来走行すると予想される車両C(以下、「他車両Cb」とも呼ぶ)の運転者の運転技量を取得する。対象車両経路としては、例えば、対象車両Caの車載装置1から送信される案内情報が表す案内経路を採用できる。また、例えば、走行履歴情報(現在位置、車速)に基づき、対象車両Caが実際に走行している走行経路を採用してもよい。他車両Cbは、複数の車両Cの車載装置1から送信される走行履歴情報(現在位置、車速)を基に抽出する。続いて、相対運転技量判定部12は、取得した対象車両Caの運転者の運転技量、及び他車両Cbの運転者の運転技量から、対象車両Caの運転者の相対的な運転技量(以下、「相対運転技量」とも呼ぶ)を判定する。
【0032】
具体的には、相対運転技量判定部12は、対象車両Caの運転者の運転技量、及び他車両Cbの運転者の運転技量から、対象車両Caの運転者の相対運転技量を判定し、判定結果に応じた点数を付与する。具体的には、相対運転技量判定部12は、対象車両Caの運転者の運転技量(点数)の順位が、対象車両Caの運転者と他車両Cbの運転者とからなる集団の上位30%以上、上位30%未満で且つ下位30%以上、及び下位30%未満のいずれであるかを判定する。そして、相対運転技量判定部12は、上位30%以上であると判定した場合には、対象車両Caの運転者の相対運転技量が高いと判定し、対象車両Caの運転者に運転技量が高いことを表す点数(3点)を付与する。一方、相対運転技量判定部12は、下位30%未満であると判定した場合には、対象車両Caの運転者の相対運転技量が低いと判定し、対象車両Caの運転者に運転技量が低いことを表す点数(1点)を付与する。一方、相対運転技量判定部12は、上位30%未満で且つ下位30%以上であると判定した場合には、対象車両Caの運転者の相対運転技量が中程度であると判定し、対象車両Caの運転者に運転技量が中程度であることを表す点数(2点)を付与する。
【0033】
走行頻度検出部13は、走行履歴情報取得部9で取得した走行履歴情報に基づき、対象車両Caが走行している走行経路(対象車両経路)の走行頻度[回/月]を検出する。そして、走行頻度検出部13は、検出結果を相対運転技量低減部14に出力する。
相対運転技量低減部14は、走行頻度検出部13で検出した走行頻度が予め定めた設定値(例えば、4回/月)以下であると判定すると、相対運転技量判定部12で判定した対象車両Caの運転者の相対運転技量を低減し、相対運転技量を表す点数を低減する。具体的には、相対運転技量低減部14は、付与した点数を0.5下げる。
【0034】
交通量判定部15は、交通情報取得部8で取得した交通情報に基づき、複数の道路区間それぞれについて交通量が予め定めた設定値以下であるか否かを判定する。そして、交通量判定部15は、判定結果を走行難易度設定部17に出力する。
交通障害判定部16は、交通情報取得部8で取得した交通情報に基づき、複数の道路区間それぞれについて交通障害が発生しているか否かを判定する。そして、交通障害判定部16は、判定結果を走行難易度設定部17に出力する。
【0035】
走行難易度設定部17は、交通情報取得部8で取得した交通情報(道路区間毎の路上駐車している車両Cの台数)、及び地図情報記憶部10が記憶している地図情報に基づき、対象車両Caが走行する可能性のある複数の道路区間それぞれに走行の難しさを表す走行難易度を逐次設定する。続いて、走行難易度設定部17は、複数の道路区間それぞれの走行難易度を設定するたびに、設定した走行難易度に応じたレベルを付与する。
【0036】
具体的には、走行難易度設定部17は、路上駐車の台数が設定数(例えば、5台)以上である道路区間、狭路の道路区間等、走行に高い運転技量が必要とされる道路区間であると判定した場合には、走行難易度を高いと判定し、走行難易度が高いことを表すレベル(レベル3)を付与する。一方、走行難易度設定部17は、路上駐車の台数が設定数(例えば、2台)未満である道路区間、道幅が広い(狭路でない)道路区間等、走行に高い運転技量が必要とされない道路区間であると判定した場合には、走行難易度を低いと判定し、走行難易度が低いことを表すレベル(レベル1)を付与する。一方、走行難易度設定部17は、いずれでもない道路区間であると判定した場合には、走行難易度が中程度であると判定し、走行難易度が中程度であることを表すレベル(レベル2)を付与する。
【0037】
また、走行難易度設定部17は、設定した走行難易度のうち、交通量判定部15で交通量が設定値以下であると判定した道路区間の走行難易度を低減する。具体的には、走行難易度設定部17は、図7に示すように、付与したレベルを0.5下げる。なお、付与されたレベルが1または3である場合には、レベルの低減を行わない。
さらに、走行難易度設定部17は、設定した走行難易度のうち、交通障害判定部16で交通障害が発生していると判定した道路区間の走行難易度を増大する。具体的には、走行難易度設定部17は、図8に示すように、付与したレベルを0.5上げる。なお、付与されたレベルが1または3である場合には、レベルの増大を行わない。
【0038】
迂回路生成部18は、走行難易度設定部17で走行難易度が設定された道路区間のうち、走行難易度(以下、「設定難易度」とも呼ぶ)の道路区間のいずれかを用いて、迂回路を生成する。なお、迂回路生成部18は、走行難易度設定部17で走行難易度の低減・増大が行われた場合には、低減・増大後の走行難易度を用いる。その際、迂回路生成部18は、運転技量判定部11で判定した対象車両Caの運転者の運転技量、及び相対運転技量判定部12で判定した対象車両Caの運転者の相対運転技量(相対運転技量低減部14で相対運転技量が低減された場合には、低減後の相対運転技量)を用いて、設定難易度を決定する。そして、迂回路生成部18は、検出結果を相対運転技量低減部14に出力する。
迂回路情報提供部19は、迂回路生成部18で生成した迂回路の情報を通信路を介して対象車両Caの車載装置1(ナビゲーション装置5)に送信する。
【0039】
(演算処理)
次に、迂回路情報提供装置2が実行する迂回路情報生成処理について説明する。
図3に示すように、ステップS100では、迂回路情報提供装置2(運転情報取得部7、交通情報取得部8、走行履歴情報取得部9、運転技量判定部11)は、複数の車両Cの車載装置1が送信した運転情報及び走行履歴情報に基づき、複数の車両Cそれぞれの運転者の運転技量(点数)を判定する。運転技量判定処理の詳細については後述する。
続いてステップS200に移行して、迂回路情報提供装置2(相対運転技量判定部12、走行頻度検出部13、相対運転技量低減部14)は、ステップS100で算出した対象車両Caの運転者の運転技量及び他車両Cbの運転者の運転技量から、対象車両Caの運転者の相対運転技量(点数)を判定する。相対運転技量判定処理の詳細については後述する。
【0040】
続いてステップS300に移行して、迂回路情報提供装置2(交通量判定部15、交通障害判定部16、走行難易度設定部17、迂回路生成部18)は、ステップS100で算出した運転技量のうちの、対象車両Caの運転者の運転技量、及びステップS200で算出した対象車両Caの運転者の相対運転技量に基づき、迂回路を生成する。迂回路生成処理の詳細については後述する。
続いてステップS400に移行して、迂回路情報提供装置2(迂回路情報提供部19)は、ステップS300で算出した迂回路の情報を通信路を介して対象車両Caの車載装置1(ナビゲーション装置5)に送信(提供)した後、この演算処理を終了する。
【0041】
次に、迂回路情報提供装置2が実行する運転技量判定処理について説明する。
図4に示すように、ステップS101では、迂回路情報提供装置2(運転情報取得部7)は、複数の車両Cの車載装置1が送信した運転情報を受信(取得)する。
続いてステップS102に移行して、迂回路情報提供装置2(交通情報取得部8)は、複数の車両Cの車載装置1が送信した交通情報を受信(取得)する。
続いてステップS103に移行して、迂回路情報提供装置2(走行履歴情報取得部9)は、対象車両Caの車載装置1が送信した走行履歴情報を受信(取得)する。
続いてステップS104に移行して、迂回路情報提供装置2(運転技量判定部11)は、ステップS101で取得した対象車両Caの運転情報、ステップS103で取得した対象車両Caの走行履歴情報、及び図2(a)(b)のポイントテーブルに基づき、複数の車両Cそれぞれの運転者の運転技量(点数)を判定する。これにより、迂回路情報提供装置2(運転技量判定部11)は、対象車両Caの運転者の運転技量(点数)を判定する。
【0042】
次に、迂回路情報提供装置2が実行する相対運転技量判定処理について説明する。
図5に示すように、ステップS201では、迂回路情報提供装置2は、複数の車両Cのうちから、迂回路の情報を提供する車両Cを選択して対象車両Caとする。続いて、迂回路情報提供装置2(相対運転技量判定部12)は、ステップS100で算出した複数の車両Cの運転者の運転技量のうち、対象車両Caの運転者の運転技量(点数)を取得する。
【0043】
続いてステップS202に移行して、迂回路情報提供装置2(相対運転技量判定部12)は、ステップS100で算出した複数の車両Cの運転者の運転技量(点数)のうち、対象車両Caが走行している対象車両経路を現在走行している車両C及び対象車両経路を将来走行すると予想される車両C(他車両Cb)の運転者の運転技量(点数)を取得する。
【0044】
続いてステップS203に移行して、迂回路情報提供装置2(相対運転技量判定部12)は、ステップS201で取得した対象車両Caの運転者の運転技量(点数)、及びステップS202で取得した他車両Cbの運転者の運転技量(点数)から、対象車両Caの運転者の相対運転技量(点数)を判定する。これにより、迂回路情報提供装置2(相対運転技量判定部12)は、対象車両Caの運転者の相対運転技量に応じた点数を付与する。
【0045】
続いて、迂回路情報提供装置2(走行頻度検出部13)は、ステップS100で取得した走行履歴情報に基づき、対象車両Caが走行している走行経路(対象車両経路)の走行頻度[回/月]を検出する。続いて、迂回路情報提供装置2(相対運転技量低減部14)は、検出した走行頻度が予め定めた設定値(4回/月)以下であると判定すると、相対運転技量判定部12で判定した対象車両Caの運転者の相対運転技量を低減し、相対運転技量を表す点数を低減する。例えば、付与した点数を0.5下げる。
【0046】
このように、本実施形態では、対象車両Caが走行している走行経路(対象車両経路)の走行頻度が予め定めた設定値以下であると判定すると、対象車両Caの運転者の相対運転技量を低減する。それゆえ、対象車両Caの運転者の運転技量が高い場合にも、対象車両Caの運転者が不慣れな走行経路を走行している場合には、走行難易度の高い迂回路の生成を抑制でき、不慣れな道路を走行するときの運転ストレスを低減できる。
【0047】
次に、迂回路情報提供装置2が実行する迂回路生成処理について説明する。
図6に示すように、ステップS301で、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)は、ステップS100で算出した対象車両Caの運転者の運転技量(点数)を取得する。
続いてステップS302に移行して、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)は、ステップS200で算出した対象車両Caの運転者の相対運転技量(点数)を取得する。
【0048】
続いてステップS303に移行して、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)は、ステップS100で取得した交通情報及び走行履歴情報と、地図情報記憶部10が記憶している地図情報とに基づき、対象車両経路に現在存在する車両C及び将来存在する車両Cの総数から、対象車両経路の道路需要率を算出する。道路需要率としては、例えば、単位時間あたりに、道路が処理できる交通量と道路に流入する交通量との比率がある。
【0049】
続いてステップS304に移行して、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)は、ステップS100で取得した交通情報(道路区間毎の路上駐車している車両Cの台数)、及び地図情報記憶部10が記憶している地図情報に基づき、対象車両Caが走行する可能性のある複数の道路区間それぞれに走行の難しさを表す走行難易度を逐次設定する。続いて、走行難易度設定部17は、設定した走行難易度に応じたレベルを付与する。
【0050】
このように、本実施形態では、交通情報に基づき、複数の道路区間それぞれの走行難易度を逐次設定する。これにより、時間帯によって変化する交通情報を考慮して迂回路を生成できる。それゆえ、迂回路の走行に伴う運転者の運転ストレスを軽減できる。
続いて、迂回路情報提供装置2(交通量判定部15)は、ステップS100で取得した交通情報に基づき、複数の道路区間それぞれについて交通量が予め定めた設定値以下であるか否かを判定する。続いて、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)は、設定した走行難易度のうち交通量判定部15で交通量が設定値以下であると判定した道路区間の走行難易度を低減する。例えば、図7に示すように、付与したレベルを0.5下げる。
【0051】
このように、本実施形態では、複数の道路区間それぞれについて交通量が予め定めた設定値以下であるか否かを判定し、交通量が設定値以下であると判定した道路区間の走行難易度を低めに設定する。それゆえ、普段は高い運転技量が要求される道路区間であっても、交通量が少ないために、通過に多少時間がかかっても、渋滞を引き起こすことのない道路区間を、比較的運転技量が低い運転者にも、迂回路として提供できる。そのため、より多くの道路区間を迂回路の生成に利用でき、車両Cを複数の迂回路により分散できる。そのため、交通量が多くなる前に、車両分散が可能となり、渋滞の発生をより適切に抑制できる。
【0052】
続いて、迂回路情報提供装置2(交通障害判定部16)は、ステップS100で取得した交通情報に基づき、複数の道路区間それぞれについて交通障害が発生しているか否かを判定する。続いて、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)は、設定した走行難易度のうち、交通障害が発生していると判定した道路区間の走行難易度を増大する。例えば、図8に示すように、付与したレベルを0.5上げる。
【0053】
このように、本実施形態では、複数の道路区間それぞれについて交通障害が発生しているか否かを判定し、交通障害が発生していると判定した道路区間の走行難易度を高めに設定する。それゆえ、普段は高い運転技量が要求されない道路区間であっても、交通障害が発生しているために、通過が難しい道路区間を、比較的運転技量が低い運転者には、迂回路として提供しない。これにより、渋滞の発生をより適切に抑制できる。
【0054】
続いてステップS305に移行して、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、対象車両Caの運転者の運転技量(点数)を予め定めた複数のランク(以下、「運転ランク」とも呼ぶ)に区分し、区分結果に応じた点数を付与する。具体的には、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、対象車両Caの運転者の運転技量を表す点数が9〜12点である場合には、最上位ランクに区分し、対象車両Caの運転者の運転技量が最上位ランクであることを表す点数(3点)を付与する。一方、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、対象車両Caの運転者の運転技量を表す点数が5〜8点である場合には、中位ランクに区分し、対象車両Caの運転者の運転技量が中位ランクであることを表す点数(2点)を付与する。一方、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、対象車両Caの運転者の運転技量を表す点数が0〜4点である場合には、最下位ランクに区分し、対象車両Caの運転者の運転技量が最下位ランクであることを表す点数(1点)を付与する。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、設定した運転ランクを表す点数(点数)と、ステップS200で判定した相対運転技量を表す点数(点数)とを加算し、加算結果を経路案内指標Sとする。
【0055】
続いてステップS306に移行して、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、ステップS303で算出した交通需要率から、対象車両Caの案内経路の交通量が多いか否かを判定する。具体的には、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、交通需要率が予め定めた設定値(例えば、0.8)以上であるか否かを判定する。そして、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、交通需要率が設定値(0.8)以上であると判定した場合には(Yes)、交通量が多いと判定し、ステップS307に移行する。一方、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、交通需要率が設定値(0.8)未満であると判定した場合には(No)、交通量が少ないと判定し、ステップS308に移行する。
【0056】
ステップS307では、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、ステップS305で算出した経路案内指標Sが第1閾値(例えば、5点)以上であるか否かを判定する。そして、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、経路案内指標Sが第1閾値(5点)以上であると判定した場合には(Yes)、ステップS309に移行する。一方、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、経路案内指標Sが第1閾値(5点)未満であると判定した場合には(No)、ステップS310に移行する。
【0057】
一方、ステップS308では、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、ステップS305で算出した経路案内指標Sが第2閾値(4点)以上であるか否かを判定する。そして、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、経路案内指標Sが第2閾値(4点)以上であると判定した場合には(Yes)、ステップS309に移行する。一方、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、経路案内指標Sが第2閾値(4点)未満であると判定した場合には(No)、ステップS311に移行する。
【0058】
ステップS309では、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、レベル2.5以上を設定難易度として決定する。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、ステップS304で走行難易度が設定された道路区間のうち、決定した設定難易度である道路区間のいずれかを用いて、つまり、レベル2.5以上の道路区間の組み合わせで迂回路(高レベル経路)を生成した後、この迂回路生成処理を終了する。
【0059】
一方、ステップS310では、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、ステップS305で算出した経路案内指標Sが第2閾値(<第1閾値。例えば、4点)以上であるか否かを判定する。そして、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、経路案内指標Sが第2閾値(4点)以上であると判定した場合には(Yes)、ステップS312に移行する。一方、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、経路案内指標Sが第2閾値(4点)未満であると判定した場合には(No)、ステップS313に移行する。
【0060】
ステップS311では、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、ステップS305で算出した経路案内指標Sが第3閾値(<第2閾値。例えば、3点)以上であるか否かを判定する。そして、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、経路案内指標Sが第3閾値(3点)以上であると判定した場合には(Yes)、ステップS312に移行する。一方、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、経路案内指標Sが第3閾値(3点)未満であると判定した場合には(No)、ステップS313に移行する。
【0061】
ステップS312では、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、レベル1.5以上で且つ2.5未満を設定難易度として決定する。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、ステップS304で走行難易度が設定された道路区間のうち、決定した設定難易度である道路区間のいずれかを用いて、つまり、レベル1.5以上で且つ2.5未満の道路区間の組み合わせで迂回路(中レベル経路)を生成した後、この迂回路生成処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS313では、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、レベル1.5未満を設定難易度として決定する。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)は、ステップS304で走行難易度が設定された道路区間のうち、決定した設定難易度である道路区間のいずれかを用いて、つまり、レベル1.5未満の道路区間の組み合わせで迂回路(低レベル経路)を生成した後、この迂回路生成処理を終了する。
【0063】
(動作その他)
次に、迂回路情報提供システムの動作について説明する。
まず、複数の車両Cの車載装置1それぞれが、サンプリング時間が経過するたびに、通信路を介して運転情報、走行履歴情報及び交通情報を迂回路情報提供装置2に送信する。また、迂回路情報提供装置2(運転情報取得部7、交通情報取得部8、走行履歴情報取得部9)が、複数の車両Cの車載装置1が送信した運転情報、交通情報、及び走行履歴情報を逐次受信する(図3のステップS100、図4のステップS101〜S103)。
【0064】
続いて、迂回路情報提供装置2(運転技量判定部11)が、取得した対象車両Caの運転情報、走行履歴情報、及び図2(a)(b)のポイントテーブルに基づき、複数の車両Cそれぞれの運転者の運転技量(点数)を判定する(図4のステップS104)。続いて、迂回路情報提供装置2(相対運転技量判定部12)が、複数の車両Cのうちから、迂回路の情報を提供する車両C(対象車両Ca)を選択する。続いて、迂回路情報提供装置2(相対運転技量判定部12)が、判定した複数の車両Cの運転者の運転技量のうち、対象車両Caの運転者の運転技量(点数)を取得する(図3のステップS200、図5のステップS201)。ここで、対象車両Caの運転者の運転技量が中程度であったとする。すると、対象車両Caの運転者の運転技量を表す点数として、5〜8点が付与される。
【0065】
続いて、迂回路情報提供装置2(相対運転技量判定部12)が、算出した複数の車両Cの運転者の運転技量(点数)のうち、対象車両Caが走行している走行経路(対象車両経路)を現在走行している車両C及びこの対象走行経路を将来走行すると予想される車両C(他車両Cb)の運転者の運転技量(点数)を取得する(図5のステップS202)。続いて、迂回路情報提供装置2(相対運転技量判定部12)が、取得した対象車両Caの運転者の運転技量(点数)、及び取得した他車両Cbの運転者の運転技量(点数)から、対象車両Caの運転者の相対運転技量(点数)を判定する(図5のステップS203)。
【0066】
ここで、多数の他車両Cbの運転者の運転技量も中程度(5〜8点)であるものの、対象車両Caの運転者の運転技量が他車両Cbの運転者の運転技量よりも比較的高く(例えば、8点)、対象車両Caの運転者の運転技量の順位が上位30%以上であったとする。すると、対象車両Caの運転者の相対運転技量を表す点数として、3点が付与される。
続いて、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)が、算出した対象車両Caの運転者の運転技量(点数)を取得する(図2のステップS300、図6のステップS301)。続いて、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)が、算出した対象車両Caの運転者の相対運転技量(点数)を取得する(図6のステップS302)。続いて、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)が、取得した交通情報及び走行履歴情報と、地図情報記憶部10が記憶している地図情報とに基づき、対象車両Caが走行している走行経路(対象車両経路)の道路需要率を算出する(図6のステップS303)。
【0067】
続いて、迂回路情報提供装置2(走行難易度設定部17)が、取得した交通情報、及び地図情報記憶部10が記憶している地図情報に基づき、対象車両Caが走行する可能性のある複数の道路区間それぞれに走行の難しさを表す走行難易度を設定する(図6のステップS304)。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、対象車両Caの運転者の運転技量(点数)を予め定めた複数のランク(運転ランク)に区分する(図6のステップS305)。ここで、上述したように、対象車両Caの運転者の運転技量を表す点数が5〜8点であったとする。すると、中位ランクに区分され、対象車両Caの運転者の運転技量が中位ランクであることを表す点数として、2点が付与される。
【0068】
続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、付与された対象車両Caの運転者の運転ランクを表す点数(2点)と、判定した相対運転技量を表す点数(3点)とを加算し、加算結果(5点)を対象車両Caの経路案内指標Sとする(図6のステップS305)。これにより、対象車両Caの経路案内指標Sとして、5点が設定される。
続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、算出した交通需要率から、対象車両Caの案内経路の交通量が多いか否かを判定する(図6のステップS306)。ここで、交通需要率が予め定めた設定値(0.8)以上であったとする。すると、対象車両Caの案内経路の交通量が多いと判定される(図6のステップS306「Yes」)。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、算出した経路案内指標S(5点)が第1閾値(5点)以上であると判定する(図6のステップS307「Yes」)。
【0069】
続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、レベル2.5以上を設定難易度として決定する。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、走行難易度が設定された道路区間のうち、決定した設定難易度である道路区間のいずれかを用いて、迂回路(高レベル経路)を生成する(図6のステップS309)。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路情報提供部19)が、通信路を介して、算出した迂回路(高レベル経路)の情報を対象車両Caの車載装置1に送信する(図2のステップS400)。
【0070】
続いて、対象車両Caの車載装置1(ナビゲーションコントローラ5d)が、送信された迂回路(高レベル経路)の情報を受信する。続いて、ナビゲーションコントローラ5dが、受信した情報が表す迂回路(高レベル経路)で、設定した案内経路の一部を置換し、置換前の案内経路に代えて、置換後の案内経路をディスプレイ5eに表示させる。これにより、対象車両Caの車載装置1(ナビゲーションコントローラ5d)が、対象車両Caが迂回路(高レベル経路)のとおりに走行するように対象車両Caを案内する。
【0071】
一方、対象車両Caの運転者の運転技量が中程度(5〜8点)にあるものの、対象車両Caの運転者の運転技量が他車両Cbの運転者の運転技量よりも比較的低く(例えば、5点)、対象車両Caの運転者の運転技量の順位が下位位30%未満であったとする。すると、対象車両Caの運転者の相対運転技量を表す点数として、1点が付与される。
それゆえ、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、付与された対象車両Caの運転者の運転ランクを表す点数(2点)と、判定した相対運転技量を表す点数(1点)とを加算し、加算結果(3点)を対象車両Caの経路案内指標Sとする(図6のステップS305)。これにより、対象車両Caの経路案内指標Sとして、3点が設定される。
【0072】
そのため、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、算出した経路案内指標S(3点)が第2閾値(4点)未満であると判定する(図6のステップS310「No」)。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、レベル1.5未満を設定難易度として決定する。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、走行難易度が設定された道路区間のうち、決定した設定難易度である道路区間のいずれかを用いて、迂回路(低レベル経路)を生成する(図6のステップS313)。続いて、迂回路情報提供装置2(迂回路情報提供部19)が、通信路を介して、算出した迂回路(低レベル経路)の情報を対象車両Caの車載装置1に送信する(図2のステップS400)。
【0073】
続いて、対象車両Caの車載装置1(ナビゲーションコントローラ5d)が、送信された迂回路(低レベル経路)の情報を受信する。続いて、ナビゲーションコントローラ5dが、受信した情報が表す迂回路(低レベル経路)で、設定した案内経路の一部を置換し、置換前の案内経路に代えて、置換後の案内経路をディスプレイ5eに表示させる。これにより、対象車両Caの車載装置1(ナビゲーションコントローラ5d)が、対象車両Caが迂回路(低レベル経路)のとおりに走行するように対象車両Caを案内する。
【0074】
このように、本実施形態では、対象車両Caの運転者の運転技量及び相対運転技量を用いて、設定難易度を決定する(ステップS305〜S307、S310、S308、S311)。続いて、走行難易度が設定された道路区間のうち、走行難易度が予め定めた設定難易度である道路区間のいずれかを用いて、迂回路を生成する(ステップS310〜S313)。それゆえ、例えば、運転技量に大差がない運転者が多数存在する場合にも、相対運転技量が高い運転者に走行難易度が高い迂回路の情報を提供することができる。また、相対運転技量が低い運転者に走行難易度が低い迂回路の情報を提供することができる。そのため、車両Cを複数の迂回路に分散でき、渋滞をより適切に抑制できる。
【0075】
本実施形態では、図1の運転情報取得部7が運転情報取得部を構成する。以下同様に、図1の運転技量判定部11が運転技量判定部を構成する。また、図1の相対運転技量判定部12が相対運転技量判定部を構成する。さらに、図1の走行難易度設定部17が走行難易度設定部を構成する。また、図1の迂回路生成部18が迂回路生成部を構成する。さらに、図1の迂回路情報提供部19が迂回路情報提供部を構成する。また、図1の交通情報取得部8が交通情報取得部を構成する。さらに、図1の交通量判定部15が交通量判定部を構成する。また、図1の交通障害判定部16が交通障害判定部を構成する。さらに、図1の走行履歴情報取得部9が走行履歴情報取得部を構成する。また、図1の走行頻度検出部13が走行頻度検出部を構成する。さらに、図1の相対運転技量低減部14が相対運転技量低減部を構成する。
【0076】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る迂回路情報提供装置2は、以下の効果を奏する。
【0077】
(1)本実施形態に係る迂回路情報提供装置2によれば、迂回路情報提供装置2は、複数の車両Cそれぞれの運転者の運転技量を判定する。続いて、迂回路情報提供装置2は、判定した運転技量から、対象車両Caの運転者の相対的な運転技量(相対運転技量)を判定する。続いて、迂回路情報提供装置2は、対象車両Caが走行する可能性のある複数の道路区間それぞれに走行の難しさを表す走行難易度を設定する。続いて、迂回路情報提供装置2は、走行難易度が設定された道路区間のうち、走行難易度が予め定めた設定難易度である道路区間のいずれかを用いて迂回路を生成する。続いて、迂回路情報提供装置2は、生成した迂回路の情報を対象車両Caに提供する。その際、迂回路情報提供装置2は、対象車両Caの運転者の運転技量及び相対運転技量を用いて、設定難易度を決定する。
このような構成によれば、例えば、運転技量に大差がない運転者が多数存在する場合にも、相対運転技量が高い運転者に走行難易度が高い迂回路の情報を提供することができる。それゆえ、車両Cを複数の迂回路に分散でき、渋滞をより適切に抑制できる。
【0078】
(2)本実施形態に係る迂回路情報提供装置2によれば、迂回路情報提供装置2は、交通情報に基づき、複数の道路区間それぞれの走行難易度を逐次設定する。
このような構成によれば、時間帯によって変化する交通情報を考慮して迂回路を生成できる。それゆえ、迂回路の走行に伴う運転者の運転ストレスを軽減できる。
【0079】
(3)本実施形態に係る迂回路情報提供装置2によれば、迂回路情報提供装置2は、複数の道路区間それぞれについて交通量が予め定めた設定値以下であるか否かを判定し、交通量が設定値以下であると判定した道路区間の走行難易度を低めに設定する。
このような構成によれば、普段は高い運転技量が要求される道路区間であっても、交通量が少ないために、通過に多少時間がかかっても、渋滞を引き起こすことのない道路区間を、比較的運転技量が低い運転者にも、迂回路として提供できる。それゆえ、より多くの道路区間を迂回路の生成に利用でき、車両Cを複数の迂回路により分散できる。そのため、交通量が多くなる前に、車両分散が可能となり、渋滞の発生をより適切に抑制できる。
【0080】
(4)本実施形態に係る迂回路情報提供装置2によれば、迂回路情報提供装置2は、複数の道路区間それぞれについて交通障害が発生しているか否かを判定し、交通障害が発生していると判定した道路区間の走行難易度を高めに設定する。
このような構成によれば、普段は高い運転技量が要求されない道路区間であっても、交通障害が発生しているために、通過が難しい道路区間を、比較的運転技量が低い運転者には、迂回路として提供しない。これにより、渋滞の発生をより適切に抑制できる。
【0081】
(5)本実施形態に係る迂回路情報提供装置2によれば、迂回路情報提供装置2は、対象車両Caが走行している走行経路(対象車両経路)の走行頻度が予め定めた設定値以下であると判定すると、対象車両Caの運転者の相対運転技量を低減する。
このような構成によれば、対象車両Caの運転者の運転技量が高い場合にも、対象車両Caの運転者が不慣れな走行経路を走行している場合には、走行難易度の高い迂回路の生成を抑制でき、不慣れな道路を走行するときの運転ストレスを低減できる。
【0082】
(変形例1)
なお、本実施形態では、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、走行難易度が設定された道路区間のうち、走行難易度が予め定めた設定難易度である道路区間のいずれかを用いて、迂回路を生成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、迂回路情報提供装置2(迂回路生成部18)が、複数回に1回の割合で、設定難易度よりも走行難易度が高い道路区間のいずれかを用いて、迂回路を生成する構成としてもよい。これにより、例えば、対象車両Caの運転者の運転技量及び相対運転技量に大きな変化がなく、設定難易度に変化がないために、同一の走行難易度(例えば、レベル2)の道路区間での迂回路の生成が連続している場合にも、複数回(例えば、10回)に1回の割合で、レベル2よりも走行難易度が高い(例えば、レベル2.5、3)の道路区間で迂回路を生成できる。
【0083】
(変形例1の効果)
変形例1に係る迂回路情報提供装置2は、以下の効果を奏する。
(1)変形例1に係る迂回路情報提供装置2によれば、複数回に1回の割合で、設定難易度よりも走行難易度が高い道路区間のいずれかを用いて迂回路を生成する。
このような構成によれば、運転者の運転技量の向上度合いを確認できる。また、常に走行し易い迂回路が提供されることによる、運転者の運転技量の停滞を防止できる。
【0084】
(変形例2)
また、図9に示すように、運転情報取得部7で取得した現在の運転情報と過去の運転情報とを比較し、対象車両Caの運転者が交代したか否かを判定する運転者交代判定部部20を備える構成としてもよい。現在の運転情報としては、例えば、イグニッションスイッチがオン状態となった後、対象車両Caが走行を開始してから設定時間(例えば、5分間)の運転情報がある。運転者交代判定部部20は、現在の運転情報と過去の運転情報との差(例えば、加速度の差、操舵角速度の差、アクセル速度の差、ブレーキ速度の差)が予め定めた閾値以上である場合に、対象車両Caの運転者が交代していると判定する。
【0085】
この場合、運転技量判定部11は、運転者交代判定部部20で運転者が交代したと判定した場合、過去の運転情報を用いず、現在の運転情報に基づき、対象車両Caの運転者の運転技量を判定する。これにより、対象車両Caの運転者が交代した場合に、運転技量の誤算出を防止できる。それゆえ、例えば、対象車両Caが会社の営業車等、一台の車両Cを複数人で使用する車両Cであっても、運転者それぞれの運転情報を基に、対象車両Caの運転者の運転技量を判定できる。また、迂回路情報提供装置2(運転技量判定部11)は、対象車両Caの運転者が交代したと判定した場合、現在運転している運転者を判定し、判定した運転者の過去の走行履歴情報も迂回路の生成に利用するようにしてもよい。
変形例2では、図9の運転者交代判定部部20が運転者交代判定部を構成する。
【0086】
(変形例2の効果)
変形例2に係る迂回路情報提供装置2は、以下の効果を奏する。
(1)変形例2に係る迂回路情報提供装置2によれば、迂回路情報提供装置2は、現在の運転情報と過去の運転情報とを比較し、対象車両Caの運転者が交代したか否かを判定する。続いて、迂回路情報提供装置2は、運転者が交代したと判定した場合、過去の運転情報を用いず、現在の運転情報に基づき、対象車両Caの運転者の運転技量を判定する。
このような構成によれば、運転者が交代した場合に、運転技量の誤算出を防止できる。
【符号の説明】
【0087】
6 運転情報取得部
7 交通情報取得部
8 走行履歴情報取得部
10 運転技量判定部
11 相対運転技量判定部
12 走行頻度検出部
13 相対運転技量低減部
14 相対運転技量低減部
15 交通量判定部
16 交通障害判定部
17 走行難易度設定部
18 迂回路生成部
19 迂回路情報提供部
21 運転者交代判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9