(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通常モードと待機モードとにおいてネットワークからの情報要求データを受信し、前記情報要求データに対する応答データを前記ネットワークに送信可能な応答装置において、
前記通常モードのときに、前記応答データを作成する通常モード応答データ作成手段と、
前記通常モードのときに、前記通常モード応答データ作成手段により作成された前記応答データの情報を前記待機モードのときに読み出し可能な記憶手段に蓄積し、蓄積された前記応答データの情報が変更された場合に当該変更と対応付けられた変更情報を設定する情報蓄積手段と、
前記通常モードから前記待機モードに移行する際に、前記情報蓄積手段により設定された前記変更情報を参照し、変更された前記応答データの情報を前記通常モード応答データ作成手段に作成要求する変更応答データ作成要求手段と、
前記待機モードのときに、前記変更応答データ作成要求手段の前記作成要求に対応して作成された前記応答データの情報と、前記情報蓄積手段により前記記憶手段に蓄積された前記応答データの情報とから、前記応答データを作成する待機モード応答データ作成手段とを備える
ことを特徴とする応答装置。
通常モードと待機モードとにおいてネットワークからの情報要求データを受信し、前記情報要求データに対する応答データを前記ネットワークに送信可能な応答装置により実行されるネットワーク応答方法において、
前記通常モードのときに、前記応答データを作成させ、
前記通常モードのときに、作成された前記応答データの情報を前記待機モードのときに読み出し可能な記憶手段に蓄積させ、蓄積された前記応答データの情報が変更された場合に当該変更と対応付けられた変更情報を設定させ、
前記通常モードから前記待機モードに移行する際に、蓄積された前記変更情報を参照し、変更された前記応答データの情報を作成要求させ、
前記待機モードのときに、前記作成要求に対応して作成された前記応答データの情報と、前記記憶手段に蓄積された前記応答データの情報とから、前記応答データを作成させる
ことを特徴とするネットワーク応答方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態>
〔応答システムXの構成〕
まず、
図1により、本発明の実施の形態に係る応答システムXの構成について、説明する。
応答システムXは、応答装置1と端末2で構成され、応答装置1と端末2は、ネットワーク5で接続されている。
応答装置1は、プリンター、多機能プリンター、多機能周辺装置、又は複合機などのMFPである画像形成装置、又はネットワーク5を経由して情報要求データ131を受信し、情報要求データ131に対する応答データ132を送信するその他の装置である。本実施形態において、応答装置1は、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)エージェントの機能を備えていてもよい。
端末2は、応答装置1に対して情報要求データ131を送信し、情報要求データ131に対する応答データ132を受信するPC(Personal Computer)等のコンピュータである。端末2は、SNMPマネージャーの機能を備えていてもよい。
ネットワーク5は、LAN、無線LAN、WAN、携帯電話網等の外部ネットワークである。ネットワーク5は、例えば、TCP/IPのパケットを送受信可能である。
【0012】
〔応答装置1の制御構成〕
次に、
図2により、応答装置1の制御構成について説明する。
本発明の実施の形態に係る応答装置1は、コントローラー部10、待機応答部20、及び通信インターフェイス部30を備えている。各部は、通信インターフェイス部30を介してネットワーク5へ接続される。
【0013】
(コントローラー部10の構成)
コントローラー部10は、画像形成装置等の各部を制御する主基板とネットワークカード等の機能を備えたホストコントローラーである。コントローラー部10は、コントローラー制御部100、コントローラー入力部110、コントローラー出力部120、記憶部130、及び電源部140を備えている。
コントローラー部10は、応答装置1が通常モードのときに、情報要求データ131を入力し、応答データ132を出力する。このため、コントローラー部10において、コントローラー制御部100は、コントローラー入力部110で受信した受信パケットを処理し、コントローラー出力部120へ応答パケットを送信する。
【0014】
コントローラー制御部100は、GPP(General Purpose Processor)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等の情報処理手段である。また、コントローラー制御部100は、通常モード応答データ作成部101(通常モード応答データ作成手段)を備えている。この通常モード応答データ作成部101の詳細については後述する。
コントローラー制御部100は、記憶部130のROMやHDDに記憶されている制御プログラムを読み出して、この制御プログラムをRAMに展開させて実行することで、後述する機能ブロックの各手段として動作させられる。これにより、コントローラー制御部100は、例えば、SNMPエージェントとして機能させることが可能である。また、コントローラー制御部100は、図示しない外部の端末や操作パネル部から入力された所定の指示情報に応じて、画像形成装置等の装置全体の制御を行う。
【0015】
コントローラー入力部110は、待機応答部20から受信したパケットをコントローラー制御部100へ出力する。言い換えると、コントローラー制御部100は、コントローラー入力部110を介して、待機応答部20から出力される情報要求データ131を入力する。
より詳しく説明すると、コントローラー入力部110は、通信インターフェイス部30の受信部310から入力され待機応答部20から出力された情報要求データ131を入力する。また、コントローラー入力部110は、これに加え、後述する変更応答データ作成要求部202により再帰的に送信され待機応答部20から出力された情報要求データ131も入力する。
【0016】
コントローラー出力部120は、コントローラー制御部100により作成されたパケットを、待機応答部20へ出力する。具体的に説明すると、コントローラー出力部120は、応答データ132を待機応答部20に出力する。
【0017】
記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー等の半導体メモリー、又はHDD(Hard Disk Drive)等の記録媒体を含む記憶手段である。また、記憶部130は、情報要求データ131及び応答データ132を記憶する。
記憶部130のRAMは、待機モードの状態であっても、セルフリフレッシュ等の機能により、記憶内容が保持される。また、記憶部130のROMやHDDには応答装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。これに加えて、記憶部130は、ユーザーのアカウント設定も記憶していてもよい。また、記憶部130には、ユーザー毎の保存フォルダーの領域が含まれていてもよい。
なお、記憶部130は、待機モードのときには、待機応答部20から読み出しや書き込みが不可能であってもよい。
【0018】
電源部140は、コントローラー部10のコントローラー制御部100を含む各部に電源を供給する手段である。また、電源部140は、待機応答部20の電源待機応答制御部200からの入力を受けて、コントローラー制御部100の電源を制御する。電源部140は、待機応答部20からの制御により電源がオンされると各部に電力を供給し、またはオフされると各部への電力の供給を停止する。
【0019】
通常モード応答データ作成部101は、通常モードのときに、応答データ132を作成する。通常モード応答データ作成部101は、コントローラー入力部110から情報要求データ131を取得すると、一時的に記憶部130に保存する。
通常モード応答データ作成部101は、この情報要求データ131を参照して、応答が必要な場合は、応答データ132を作成してコントローラー出力部120に出力する。この際に、機器状態の変化等により、応答データ132を作成する基となる情報が変化してもよい。
また、通常モード応答データ作成部101は、記憶部130に予め設定された条件になった場合、通常モードから待機モードに移行させる。通常モード応答データ作成部101は、この予め設定された条件として、例えばユーザーの指示を検知しなくなってから、図示しないタイマーで設定された時間が経過した場合、通常モードから待機モードに移行させる。このユーザーの指示を検知しなくなる条件としては、例えば、印刷データ等を受信せず、操作パネルにユーザーが最後に触れてから設定された時間が経過した場合等の条件を設定可能である。
【0020】
ここで、応答装置1のコントローラー制御部100は、記憶部130に記憶された制御プログラムを実行することで、通常モード応答データ作成部101として機能する。
【0021】
情報要求データ131は、各種プロトコルにより応答装置1の各種情報を要求するためのデータである。情報要求データ131は、コントローラー入力部110から取得され、通常モード応答データ作成部101により一時的に記憶される。
情報要求データ131は、例えば、ARP(Address Resolution Protocol)リクエスト、RARP(Reverse address resolution protocol)、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)、BOOTP(Bootstrap Protocol)等の各種リクエスト(要求)等のパケットを含むデータであってもよい。
また、情報要求データ131は、例えば、SNMPのOID(Object IDentifier)を含む「SNMP−Getリクエスト」や「SNMP−GetNextリクエスト」等の各種リクエストのパケット等のデータ等を含んでいてもよい。
【0022】
応答データ132は、情報要求データ131に対して、各種プロトコルに従った応答を行うためのデータである。応答データ132は、通常モード応答データ作成部101により作成され、コントローラー出力部120に出力される。
応答データ132は、例えば、情報要求データ131がARPリクエストやRARPリクエストの場合、応答装置1のIPアドレスやMACアドレスであってもよい。
また、応答データ132は、例えば、情報要求データ131がSNMPの各種リクエストであった場合、応答装置1のMIB(Management Information Base)についてOIDを参照して作成された、「SNMP−Getレスポンス」や「TRAP」等の応答のメッセージのデータを含んでいてもよい。
【0023】
(待機応答部20の構成)
待機応答部20は、応答装置1が待機モードのときに、ネットワーク5に対して待機応答を行うASIC等を含んでいる待機応答のための手段である。待機応答部20は、待機応答制御部200、待機応答入力部210、待機応答出力部220、及び記憶部230を備えている。これらの各部は、各種バスで接続されている。
待機応答部20は、待機モードのときに、通信インターフェイス部30から情報要求データ131を入力し、通信インターフェイス部30へ応答データ132を出力する。
【0024】
待機応答制御部200は、GPP、MPU、又はCPU等の制御手段を備えている。また、待機応答制御部200は、待機モード応答データ作成部201(待機モード応答データ作成手段)、変更応答データ作成要求部202(変更応答データ作成要求手段)、情報蓄積部203(情報蓄積手段)、及び電源制御部204(電源制御手段)を備えている。これらの各部の詳細については、後述する。
待機応答制御部200は、待機応答入力部210、待機応答出力部220、及び記憶部230に接続されており、各部の制御を行う。また、待機応答制御部200は、コントローラー部10のコントローラー制御部100よりも消費電力が少なくてもよい。
【0025】
待機応答入力部210は、通信インターフェイス部30又は変更応答データ作成要求部202から入力されたパケットを、コントローラー部10又は待機応答制御部200の待機モード応答データ作成部201へ出力する。また、待機応答入力部210は、通信インターフェイス部30から出力される情報要求データ131を入力する。
【0026】
待機応答出力部220は、コントローラー部10、又は待機応答制御部200の待機モード応答データ作成部201から入力されたパケットを、情報蓄積部203又は通信インターフェイス部30へ出力する。また、待機応答出力部220は、応答データ132を通信インターフェイス部30と待機応答制御部200の情報蓄積部203に出力する。
【0027】
記憶部230は、RAM、ROM、フラッシュメモリー等の記録媒体を含む記憶手段である。記憶部230の記憶容量は、コントローラー部10の記憶部130より少なくてもよい。
なお、記憶部230は、待機応答制御部200に内蔵されていてもよい。また、待機応答制御部200が実行するプログラム及びデータについてのみ、待機応答制御部200に内蔵されたROM等に記憶されていてもよい。
【0028】
待機モード応答データ作成部201は、応答装置1が待機モードのときに、情報蓄積部203により記憶部230に蓄積されたSNMP応答情報232等の情報から、応答データ132を作成する。
待機モード応答データ作成部201は、待機応答入力部210から入力されたパケットの応答を、記憶部230のデータを用いて作成する。
具体的には、待機モード応答データ作成部201は、例えば、受信したARPリクエストやRARPリクエストに対して、記憶部230のアドレス情報231から応答データ132を作成する。
また、待機モード応答データ作成部201は、例えば、受信したSNMP−GETリクエストに対して、SNMP応答情報232から、応答データ132を作成する。
なお、待機モード応答データ作成部201は、記憶部230の記憶容量が不足し、応答データ132が作成できない場合は、コントローラー部10を復帰させる。このため、待機モード応答データ作成部201は、電源制御部204から、復帰命令を電源部140に通知させる。
【0029】
変更応答データ作成要求部202は、通常モードから待機モードに移行する際に、情報蓄積部203により蓄積された変更情報233を参照し、変更されていたSNMP応答情報232があった場合、このSNMP応答情報232を要求する情報要求データ131として通常モード応答データ作成部101に送信する(以下、「作成要求」という。)。このため、変更応答データ作成要求部202は、SNMP−Getリクエストのパケットを含む情報要求データ131を作成し、待機応答入力部210に入力させてもよい。
また、変更応答データ作成要求部202は、外部からの情報要求データ131に対応して、通常モード応答データ作成部101により、予め定められた特定の種類の情報を含む応答データ132が作成された場合、他の応答データ132の情報を要求してもよい。
また、変更応答データ作成要求部202は、情報蓄積部203により、IPアドレス及びMACアドレスがアドレス情報231に記憶されたことを検出して、SNMPのMIBのデータをコントローラー部10から再帰的に送信させてもよい。
【0030】
情報蓄積部203は、コントローラー部10から待機応答出力部220を経由して、通信インターフェイス部30に出力される応答データ132の情報を蓄積する。
また、情報蓄積部203は、通常モードのときに、通常モード応答データ作成部101により作成された応答データ132の情報をアドレス情報231及びSNMP応答情報232として待機モードのときに読み出し可能な記憶部230に蓄積する。
また、情報蓄積部203は、通常モード応答データ作成部101により応答データ132の情報が変更された場合、当該応答データ132の情報によりアドレス情報231及びSNMP応答情報232を変更し、当該アドレス情報231及びSNMP応答情報232と対応付けられた変更情報233を記憶部230に設定する。
また、情報蓄積部203は、通常モードから待機モードへ移行する際に、変更応答データ作成要求部202により再帰的に送信された情報要求データ131に対応して通常モード応答データ作成部101により作成された応答データ132の情報を蓄積する。このため、情報蓄積部203は、待機応答出力部220から出力されるパケットを取得して解析し、必要な情報を記憶部230へ記憶する。
具体的には、情報蓄積部203は、ARPやRARPのパケットが入力された場合に、アドレス情報231に、IPアドレスとMACアドレスとを設定し記憶させる。情報蓄積部203は、同様に、SNMP応答パケットが入力された場合にSNMP応答情報232へOIDと応答データ132とを記憶する。この際に、情報蓄積部203は、変更情報233の当該OIDと対応付けられた情報(以下、「エントリー」という。)を作成し、作成時の状態である「0」等を設定する。また、情報蓄積部203は、通常モード応答データ作成部101により、例えば、出力ページ数の変更やトナーの量の減少等の機器状態の変化に対応して応答データ132の情報の変更があった場合、この変更を検出して、当該応答データ132のOIDと対応付けられた変更情報233のエントリーに、変更ありの状態を示す「1」等を設定する。これにより、情報蓄積部203は、SNMP応答情報232に、応答装置1のSNMPのMIBの少なくとも一部を保存することができる。また、通常モード応答データ作成部101により、機器状態が変化して応答データ132が変化した場合でも、少なくとも一部はSNMP応答情報232に反映させられる。このため、待機モード時でも、通常モードの最新の状況に対応して、適切に応答させることが可能になる。
なお、情報蓄積部203は、特定の種類の情報を取得した場合、その旨を変更応答データ作成要求部に通知してもよい。たとえば、情報蓄積部203は、ARPやRARPパケットが入力され、アドレス情報231へIPアドレスとMACアドレスを初めて記憶した場合は、その旨を待機応答制御部200の変更応答データ作成要求部202へ通知する(以下、この通知を「アドレス記憶通知」という。)。
【0031】
電源制御部204は、コントローラー部10の電源部140をオンまたはオフに制御する。
電源制御部204は、通常モードから待機モードへの移行時に、コントローラー部10の電源部140をオフにし、待機応答部20の待機モードでの処理を開始させる。
また、電源制御部204は、待機モード応答データ作成部201から通常モードへ移行する指示を受信すると、電源部140をオンにする。これにより、電源制御部204は、電源部140を介してコントローラー部10の電源を復帰させ、通常モードの処理を開始させる。
【0032】
ここで、応答装置1の待機応答制御部200は、記憶部230に記憶された制御プログラムを実行することで、待機モード応答データ作成部201、変更応答データ作成要求部202、情報蓄積部203、及び電源制御部204として機能する。
【0033】
記憶部230は、情報要求データ131、応答データ132、アドレス情報231、SNMP応答情報232、及び変更情報233を記憶する。アドレス情報231、SNMP応答情報232、及び変更情報233の構成については、後述する。
なお、SNMP応答情報232は、応答装置1の起動時には、情報が設定されていなくてもよい。また、変更情報233については、通常モード時にのみアクセス可能な記憶手段に記憶されていてもよい。これにより、コストを削減できる。
【0034】
(通信インターフェイス部30の構成)
通信インターフェイス部30は、Ethernet(登録商標)等のインターフェイスにおいて、論理信号を実際の電気的な信号に変換する物理層(Physical Layer)のインターフェイスである。通信インターフェイス部30は、ネットワーク5に対応して接続するための着脱可能なLANインターフェイスであってもよい。
通信インターフェイス部30は、受信部310および送信部320を備えている。
【0035】
受信部310は、ネットワーク5から受信したEthernet(登録商標)フレームやパケット等のデータ(以下、「パケット」と呼ぶ。)を、待機応答部20へ出力する。言い換えると、受信部310は、端末2から送信される情報要求データ131のパケットを受信すると、当該情報要求データ131を待機応答部20に出力する。
【0036】
送信部320は待機応答部20から出力されたパケットをネットワーク5へ送信する。具体的には、送信部320は、待機応答部20から応答データ132を入力すると、応答データ132のパケットを端末2に送信する。
【0037】
ここで、上述の応答装置1の各部は、本発明のネットワーク応答方法を実行するハードウェア資源となる。
【0038】
(アドレス情報231、SNMP応答情報232、及び変更情報233の詳細構成)
次に、
図3により、待機応答部20の記憶部230に記憶されるアドレス情報231及びSNMP応答情報232の構成について説明する。
【0039】
まず、
図3(a)に示すアドレス情報231の構成について説明する。アドレス情報231は、応答装置1のIPアドレスとMACアドレスとを記憶するテーブルである。
具体的に説明すると、アドレス情報231には、「IPアドレス」、及び「MACアドレス(Ethernet(登録商標)アドレス)」の項目が設けられている。
「IPアドレス」には、応答データ132に設定される応答装置1のIPアドレスが、情報蓄積部203により取得され格納される。
「MACアドレス」には、応答データ132に設定される応答装置1のIPアドレスに対応するMACアドレスが、情報蓄積部203により取得され格納される。
【0040】
次に、
図3(b)に示すSNMP応答情報232及び変更情報233の構成について説明する。SNMP応答情報232は、コントローラー部10のSNMPの応答データ132に用いるMIB等を保持するテーブルであり、OIDおよび応答データ132を記憶する。
SNMP応答情報232には、SNMPの情報要求データ131に対する応答データ132の情報が蓄積される。SNMP応答情報232は、「OID」、及び「データ」の項目が設けられている。この「OID」には、SNMPのMIB(Management information base)に格納されている個々の管理情報のオブジェクトを区別するために付される識別子が保存される。「データ」には、応答データ132に設定される「OID」に対するデータが保存される。また「データ」には、「型」と「データ値」の項目が設けられる。この「型」には、「データ値」の型が保存される。例えば、「データ」の型が整数であれば「INTEGER」が保存され、型が文字列であれば「STRING」の値が保存される。「データ値」には、実際のデータ値が保存される。SNMP応答情報232は、ツリー状の構造で記憶されていてもよい。
変更情報233は、SNMP応答情報232のデータの変更(更新)の有無を示す情報である。変更情報233は、例えば、SNMP応答情報232の各OIDに対応したデータが、保存(蓄積)時から変更されていない場合は「0」、変更された場合は「1」のような値が情報蓄積部203により設定される。なお、変更情報233には、アドレス情報231が変更された際の変更(更新)の有無を示す情報も設定されていてもよい。
【0041】
〔応答装置1による通常モード処理〕
次に、
図4を参照して、本発明の実施の形態に係る応答装置1による通常モード時の動作である通常モード処理の説明を行う。
本実施形態の通常モード処理では、通常モードのときに、情報要求データ131に対して、コントローラー部10が応答データ132を作成して応答する。この際、待機応答部20は、送信されるパケットを取得して、待機モード時の応答に必要な情報を抽出し、記憶部230に記憶する。具体的には、コントローラー部10によりIPアドレス及びMACアドレスを含む応答データ132、SNMPのMIBの応答データ132が送信された場合、待機応答部20は、これを取得して蓄積する。また、この際に、待機応答部20はは、応答データ132が変更された場合、これも検出して変更情報233に設定する。
本実施形態の通常モード処理は、主に、コントローラー部10ではコントローラー制御部100が記憶部130に記憶されたプログラムを読み出し、待機応答部20では待機応答制御部200が記憶部230に記憶されたプログラムを呼び出し、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、
図4のフローチャートを参照して、通常モード処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0042】
(ステップS101)
まず、コントローラー入力部110が、受信処理を行う。
ここでは、まず、通信インターフェイス部30の受信部310で、ネットワーク5からのパケットが受信された場合、待機応答部20の待機応答入力部210へ入力される。
また、通信インターフェイス部30の待機応答入力部210に入力されたパケットは、コントローラー部10のコントローラー入力部110へ入力される。
コントローラー入力部110は、入力されたパケットを、コントローラー制御部100へ出力する。
【0043】
(ステップS102)
次に、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、受信されたパケットがあるか否かを判定する。コントローラー制御部100は、受信部310で受信されたパケットを入力している場合には、Yesと判定する。コントローラー制御部100は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS103に進める。
Noの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS101に戻して、パケットを受信するまで待機する。
【0044】
(ステップS103)
受信されたパケットがあった場合、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、受信パケット対応処理を行う。
コントローラー制御部100は、コントローラー入力部110に入力されたパケットの処理を行う。
コントローラー制御部100は、入力されたパケットが画像形成を含む応答装置1の各種制御に必要なパケットであった場合、取得したパケットに対応する各種プロトコルに従って、必要な処理を行う。
また、コントローラー制御部100は、入力されたパケットが情報要求データ131であった場合には、これを記憶部130に一時的に保存する。
【0045】
(ステップS104)
次に、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、応答データ132の作成が必要か否かを判定する。コントローラー制御部100は、受信したパケットが情報要求データ131であり、応答データ132の作成が必要な場合に、Yesと判定する。また、コントローラー制御部100は、再帰応答のパケットであった場合、応答データ132の作成が必要であるとして、Yesと判定する。コントローラー制御部100は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS106に進める。
【0046】
(ステップS105)
応答データ132の作成が必要な場合、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、応答データ作成処理を行う。
コントローラー制御部100は、一時的に保存された情報要求データ131に対応する応答データ132を作成する。
この際に、コントローラー制御部100は、必要に応じて、応答データ132の情報を変更して作成する。コントローラー制御部100は、例えば、ページ出力のカウントの変更、トナー量の変化、用紙カセットの記録用紙の量、カバーの開け閉めの状態、故障状態、ペーパージャム等の機器状態の変化に対応した応答データ132を作成可能である。
【0047】
(ステップS106)
ここで、コントローラー制御部100が。通常モード応答データ作成部101として、送信するパケットがあるか否かを判定する。まず、コントローラー制御部100は、応答データ132が作成された場合に、Yesと判定する。また、コントローラー制御部100は、応答装置1の各種制御に必要なパケットにより必要な処理をして、各種プロトコルに対応した送信用のパケットを作成した場合にも、Yesと判定する。コントローラー制御部100は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS107に進める。
Noの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS108に進める。
【0048】
(ステップS107)
送信が必要なパケットがある場合、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、送信処理を行う。
コントローラー制御部100は、送信するパケットをコントローラー出力部120から出力させる。
コントローラー出力部120は、送信するパケットを、待機応答部20の待機応答出力部220へ出力する。すると、送信するパケットは、待機応答出力部220により、通信インターフェイス部30の送信部320へ出力される。その後、送信するパケットは、送信部320により、ネットワーク5へ出力される。
また、送信するパケットは、待機応答出力部220から、待機応答部20の待機応答制御部200の情報蓄積部203へも出力される(タイミングT101)。
【0049】
(ステップS201)
ここで、応答データ132を送信した後、待機応答部20の待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、送信パケット取得処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答出力部220から送信するパケットを取得して、解析する。
【0050】
(ステップS202)
次に、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、取得したパケットがアドレス情報か否かを判定する。待機応答制御部200は、取得したパケットがARPやRARP等の応答データ132のパケットの場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS203に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS204に進める。
【0051】
(ステップS203)
取得したパケットがARPやRARP等の応答データ132のパケットの場合、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、アドレス情報蓄積処理を行う。
図5によると、待機応答制御部200は、当該パケットの送信元のIPアドレスとMACアドレスとを記憶部230のアドレス情報231に記憶する。つまり、アドレス情報231には、応答装置1のIPアドレスとMACアドレスとが保存される。
【0052】
(ステップS204)
ここで、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、取得したパケットがSNMPのレスポンスであり、このレスポンスが成功していたか否かを判定する。待機応答制御部200は、取得したパケットがSNMP−GetレスポンスやTRAPのレスポンスの応答データ132であり、正常のステータス等であった場合には、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS205に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS206に進める。
【0053】
(ステップS205)
SNMPのレスポンスで成功していた場合、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、SNMP応答情報蓄積処理を行う。
この処理の詳細については、後述する。
その後、待機応答部20の待機応答制御部200は、コントローラー部10が待機モードに移行するまで待機している。
【0054】
(ステップS108)
再び、コントローラー部10の処理について説明する。
ここで、コントローラー部10のコントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、待機モードへ移行するか否かを判定する。コントローラー制御部100は、予め設定された条件になった場合に、Yesと判定する。コントローラー制御部100は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS109に進める。
Noの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS101に戻して、ホストコントローラーの処理を含む各種処理を続ける。
【0055】
(ステップS109)
待機モードに移行する場合、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、待機モード移行処理を行う。
コントローラー制御部100は、この際に、待機応答部20に、待機モード移行通知を送信する(タイミングT102)。
この待機モード移行処理の詳細は後述する。
これにより、通常モード処理のコントローラー部10の処理を終了する。
【0056】
(ステップS206)
再び、待機応答部20の処理について説明する。
待機応答部20の待機応答制御部200は、待機モード移行通知を受信すると、電源制御部204として、待機モード待機応答開始処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答部20における待機モードでの処理を開始する。
この待機モード待機応答開始処理の詳細についても後述する。
その後、待機応答制御部200は、通常モード処理における待機応答部20による処理を終了する。
以上により、本発明の実施の形態に係る通常モード処理を終了する。
【0057】
次に、
図6により、
図4のステップS205のSNMP応答情報蓄積処理の詳細について説明する。
【0058】
(ステップS211)
図4のステップS204でYesの場合、まず、待機応答制御部200が、取得したパケットのデータが記憶部230に既に蓄積されているか否かを判定する。待機応答制御部200は、待機応答出力部220から出力されたパケットのOIDが、記憶部230のSNMP応答情報232に存在するかを判定する。待機応答制御部200は、当該OIDがSNMP応答情報232に、既に存在する場合、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合、つまり当該OIDがSNMP応答情報232に存在しない場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS214に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS212に進める。
【0059】
(ステップS212)
取得したパケットのデータが蓄積されていなかった場合、待機応答制御部200が、SNMP応答情報232を記憶する領域に空きがあるか否かを判定する。待機応答制御部200は、記憶部230のSNMP応答情報232のテーブルに空きがあった場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、SNMP応答情報232のテーブルに空きがなかった場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS213に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、SNMP応答情報蓄積処理を終了する。
【0060】
(ステップS213)
SNMP応答情報232を記憶する領域に空きがあった場合、待機応答制御部200が応答データ書き込み処理を行う。
図5によると、待機応答制御部200は、取得したパケット中のOIDと応答データ132をSNMP応答情報232に記憶する。
また、この際に、待機応答制御部200は、当該OIDと対応する変更情報233のエントリーを作成して、変更なしの状態を示す「0」等の値を初期値として設定する。
その後、待機応答制御部200は、SNMP応答情報蓄積処理を終了し、ステップS206(
図4)へ処理を進める。
【0061】
(ステップS214)
取得したパケットのデータが既に蓄積されていた場合、待機応答制御部200が、SNMP応答情報232に既に蓄積されたデータと異なるか否かを判定する。待機応答制御部200は、取得されたパケットの応答データ132中の型及び/又はデータ値が、SNMP応答情報232中の対応するOIDのデータの型及び/又はデータ値と異なっていることを検出した場合、Yesと判定する。待機応答制御部200は、これらが同一であった場合、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS213に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、SNMP応答情報蓄積処理を終了し、ステップS206へ処理を進める。
【0062】
(ステップS215)
取得されたパケットのデータが既に蓄積されたデータと異なっていたことを検出した場合、待機応答制御部200が、応答データ更新処理を行う。
待機応答制御部200は、SNMP応答情報232のデータの型及び/又はデータ値について、取得されたパケットの応答データ132中の型及び/又はデータ値で上書き更新する。
【0063】
(ステップS216)
次に、待機応答制御部200が、変更情報設定処理を行う。
待機応答制御部200は、取得されたパケットのOIDに対応する変更情報233のエントリーについて、更新されたことを示す「1」等の値に変更する。
このような処理によって、SNMP代理応答するための変更情報233のエントリー中で、変更が検知されたものは「1」,そうでないものは「0」等となる。
以上により、通常モード時におけるSNMP応答情報蓄積処理を終了し、ステップS206へ処理を進める。
【0064】
次に、
図7及び
図8により、
図4のステップS109の待機モード移行処理、及び
図4のステップS206の待機モード待機応答開始処理の詳細について説明する。
【0065】
(ステップS121)
まず、コントローラー制御部100が、待機モード移行通知送信処理を行う。
コントローラー制御部100は、待機応答部20の待機応答制御部200に、待機モードに移行することを伝える待機モード移行通知を送信する(タイミングT102)。
【0066】
(ステップS221)
ここで、待機モード移行通知を受信した待機応答部20の待機応答制御部200が、SNMP応答情報232のデータの変更があったか否かを判定する。待機応答制御部200は、変更情報233を読み出して、更新されたことを示す「1」等の値のエントリーがあった場合、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS222に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS224に進める。
【0067】
(ステップS222)
SNMP応答情報232のデータの変更があった場合、待機応答制御部200が、変更SNMP応答情報作成要求処理を行う。
図8によると、待機応答制御部200は、変更情報233で変更されたことを示す「1」等の値が設定されたエントリーに対応するOIDの最新のデータを、コントローラー部10に作成要求する。具体的には、待機応答制御部200は、例えば、SNMP−Getリクエストのパケットを含む情報要求データ131を作成して、再帰的に待機応答入力部210に入力させる(タイミングT201)。
【0068】
(ステップS122)
ここで、SNMP−Getリクエストのパケットを含む情報要求データ131を受信したコントローラー部10のコントローラー制御部100が、変更SNMP応答情報送信処理を行う。
コントローラー制御部100は、コントローラー入力部110で受信したパケットのOIDに対応する最新の機器状態の応答データ132が含まれるパケットを作成して送信する(タイミングT103)。
コントローラー制御部100は、この処理について、
図4のステップS103〜ステップS107と同様に行う。
【0069】
(ステップS223)
ここで、最新の応答データ132が含まれるパケットを受信した待機応答部20の待機応答制御部200が、変更SNMP応答情報更新処理を行う。
待機応答制御部200は、応答データ132のデータを、SNMP応答情報232の対応するOIDのデータに書き込んで更新する。待機応答制御部200は、この処理について、
図4のステップS215の応答データ更新処理と同様に行う。
これらの処理によって、通常モードから待機モードに移行するタイミングで、SNMP応答データ中で、変更が検知されたものに関して再帰的にSNMPリクエストをし、SNMP応答情報232を更新することができる。このように変更が変更が検知された応答データ132の基となるデータは、その後も機器状態の変化により変化している可能性が高い。このため、コントローラー部10が待機モードになる直前の最新の応答データ132を再帰的に作成要求して、作成された応答データ132SNMP応答情報232を更新することで、待機モードで適切な応答データ132により応答可能となる。つまり、通常モードと待機モードで、応答データ132の整合性を保つことができる。
なお、待機応答制御部200は、直前に取得したSNMPレスポンス中のOIDを使用して、GetNextリクエストの送信を複数回行って、SNMP応答情報232のツリーの枝の下部をすべて更新してもよい。
【0070】
(ステップS122)
ここで、コントローラー部10のコントローラー制御部100が、セルフリフレッシュ適用処理を行う。
コントローラー制御部100は、各種ステート等を記憶部130のHDDやフラッシュメモリー等の記録媒体に保存する。
なお、コントローラー制御部100は、このセルフリフレッシュ適用処理は、待機応答部20による変更SNMP応答情報更新処理が、変更情報233のすべてのエントリーについての処理が完了してから行われるよう制御してもよい。
その後、コントローラー制御部100が所定時間アクセスしないと、記憶部130のRAM等は、セルフリフレッシュの状態になる。
以上により、コントローラー部10の待機モード移行処理を終了する。
【0071】
(ステップS224)
ここで、待機モード移行通知を受信した、待機応答部20の待機応答制御部200が、受信出力切り換え処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答入力部210の出力を待機モード応答データ作成部201へ切り換える。
【0072】
(ステップS225)
次に、待機応答制御部200が、送信出力切り換え処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答出力部220の出力を、通信インターフェイス部30の送信部320と、待機応答制御部200の待機モード応答データ作成部201との両方に切り換える。
【0073】
(ステップS226)
次に、待機応答制御部200が、電源制御処理を行う。
待機応答制御部200は、コントローラー部10の電源部140に待機モード移行命令を送信し、電源供給をオフにさせる。
また、待機応答制御部200は、待機モードで実行するための制御プログラムを記憶部230のHDDやフラッシュメモリー等からRAMへ読み出して、下記で説明する待機モード処理を実行開始する。
以上により、待機応答部20の待機モード待機応答開始処理を終了する。
【0074】
〔応答装置1による待機モード処理〕
次に、
図9〜
図10を参照して、本発明の実施の形態に係る応答装置1による待機モード処理の説明を行う。
本実施形態の待機モード処理は、待機モード時に、待機応答部20が、情報蓄積部203により記憶部230に記憶されたアドレス情報231及びSNMP応答情報232により、応答データ132を作成して応答を行う。この際、待機応答部20が、待機モード移行時に変更応答データ作成要求部202から再帰的に出力された作成要求に対応して作成されたSNMP応答情報232を使用する。これにより、待機モード時でも、通常モードから待機モードに移行する直前のSNMP応答情報232を用いて、整合性のとれた応答を行う。また、待機応答部20は、応答ができないパケットであった場合は、コントローラー部10を通常モードに復帰させて対応させる。
本実施形態の待機モード処理は、主に、待機応答部20の待機応答制御部200が、記憶部230に記憶されたプログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、
図9のフローチャートを参照して、待機モード処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0075】
(ステップS231)
まず、待機応答部20の待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、受信処理を行う。
図10によると、まず、受信部310にて、ネットワーク5からパケットを受信した場合、受信されたパケットが、待機応答入力部210へ入力される。この入力されたパケットは、待機応答制御部200の待機モード応答データ作成部201へ入力される。
【0076】
(ステップS232)
次に、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、受信されたパケットがあったか否かを判定する。待機応答制御部200は、受信されたパケットがあった場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS233に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS231に戻して、パケットを受信するまで待機する。
【0077】
(ステップS233)
受信されたパケットがあった場合、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、受信パケット解釈処理を行う。
待機応答制御部200は、受信されたパケットのプロトコルや送信先の情報等により、応答装置1により応答が必要か、その場合は、待機応答部20で応答可能か、又はコントローラー部10による応答が必要か等について解釈を行う。
また、待機応答制御部200は、受信されたパケットが情報要求データ131であった場合は、記憶部230に一時的に記憶する。
【0078】
(ステップS234)
次に、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、応答データ132の作成が必要か否かを判定する。待機応答制御部200は、応答装置1により応答が必要なパケットであった場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS235に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS231に戻して、パケットの受信を続ける。
【0079】
(ステップS235)
応答が必要なパケットの場合、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、応答データ132の作成が可能か否かを判定する。待機応答制御部200は、記憶部230を参照し、アドレス情報231とSNMP応答情報232から応答データ132を作成可能な場合は、Yesと判定する。待機応答制御部200は、応答データ132を作成できない場合には、Noと判定する。この応答データ132が作成できない場合の具体例として、アドレス情報231にIPアドレス及びMACアドレスが記憶されていない、SNMP応答情報232のデータが不足している、又はARPやSNMPパケットではない等の場合が挙げられる。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS236に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS238に進める。
【0080】
(ステップS236)
応答データ132の作成が可能な場合、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、応答データ作成処理を行う。
図10によると、待機応答制御部200は、アドレス情報231とSNMP応答情報232に蓄積されたデータに基づいて、受信されたパケットに対応する応答用の応答データ132のパケットを作成し、記憶部230に一時的に保存する。
【0081】
(ステップS237)
次に、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、送信処理を行う。
待機応答制御部200は、待機モード応答データ作成部201から入力された応答データ132として送信するパケットを、通信インターフェイス部30の待機応答出力部220に出力する。
この送信するパケットは送信部320から、ネットワーク5へ送信される。
【0082】
(ステップS238)
応答が必要にもかかわらず、応答データ132を作成できない場合、待機応答制御部200が、電源制御部204として、通常モード移行処理を行う。
待機応答制御部200は、コントローラー部10を復帰させて、応答データ132を作成させる。
この通常モード移行処理の詳細については後述する。
以上により、本実施形態の待機モード処理を終了する。
【0083】
次に、
図11により、
図9のステップS238の通常モード移行処理の詳細について説明する。
【0084】
(ステップS241)
図9のステップS235でNoの場合、まず、待機応答制御部200が、電源オン処理を行う。
待機応答制御部200は、電源制御部204を介してコントローラー部10の電源をオンにする。
【0085】
(ステップS242)
次に、待機応答制御部200が、コントローラー制御部復帰処理を行う。
待機応答制御部200は、コントローラー制御部100をリセット等する。
これにより、コントローラー制御部100が記憶部130にアクセスすると、セルフリフレッシュ状態が解除される。
コントローラー制御部100は、
図7のステップS121でHDD等の記録媒体に記憶させた各種ステート等を記憶部のRAM等に書き戻す。
【0086】
(ステップS243)
次に、待機応答制御部200が、受信出力切り換え処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答入力部210の出力を、待機モード応答データ作成部201から、コントローラー部10のコントローラー入力部110へ切り換える。
【0087】
(ステップS244)
次に、待機応答制御部200が、送信出力切り換え処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答出力部220の出力を、通信インターフェイス部30の送信部320と待機応答制御部200の情報蓄積部203との両方とから、送信部320と、情報蓄積部203とになるよう切り換える。
以上により、通常モード移行処理を終了する。
【0088】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来から、メインCPU側の最新の応答データの情報は、機器状態により変化することがあった。このため、特許文献1の技術では、通常モードでサブCPU側で蓄積した応答データの情報と、メインCPU側の最新の応答データの情報とが異なって、通常モード時と待機モード時での応答の整合性がとれなくなることがあるという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る応答装置1は、通常モードと待機モードとにおいてネットワーク5からの情報要求データ131を受信し、情報要求データ131に対する応答データ132をネットワーク5に送信可能であり、通常モードのときに、応答データ132を作成する通常モード応答データ作成部101と、通常モードのときに、通常モード応答データ作成部101により作成された応答データ132の情報をアドレス情報231及びSNMP応答情報232として待機モードのときに読み出し可能な記憶部230に蓄積し、通常モード応答データ作成部101により応答データ132の情報が変更された場合、当該応答データ132の情報によりアドレス情報231及びSNMP応答情報232を変更し、当該アドレス情報231及びSNMP応答情報232と対応付けられた変更情報233を記憶部230に設定する情報蓄積部203と、通常モードから待機モードに移行する際に、情報蓄積部203により蓄積された変更情報233を参照し、変更されたアドレス情報231及びSNMP応答情報232を通常モード応答データ作成部101に作成要求する情報要求データ131を作成する変更応答データ作成要求部202と、待機モードのときに、変更応答データ作成要求部202の作成要求に対応して作成されたアドレス情報231及びSNMP応答情報232と、情報蓄積部により記憶部に蓄積されたアドレス情報231及びSNMP応答情報232とから、応答データ132を作成する待機モード応答データ作成部201とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、通常モード時に待機応答部20側で蓄積された応答データ132の情報であるSNMP応答情報232に関して、コントローラー部10が送信したパケットを監視して、データ更新をチェックする。更新を検知したものに関しては、待機モードへ移行直前のタイミングで待機応答部20からコントローラー部10へSNMP−Getリクエストを送信し、その応答データ132を取得して、データ更新を行う。つまり、通常モードから待機モードに移行する際に、変更情報233に対応した応答データ132を再帰的に作成要求して、SNMP応答情報232に蓄積し直すことができる。これにより、コントローラー部10の応答データ132と待機応答部20の応答データ132の不一致を防ぐことができる。つまり、通常モード時の応答と待機モード時で応答データ132の整合性を保って応答する応答装置を提供することができる。
【0089】
また、このように構成することで、待機モードのときに応答データ132を作成するための情報が通常モードのときに蓄積され、待機モードのときに蓄積された情報を転送することなく、蓄積された情報から応答データ132を作成することができる。
つまり、通常モードのときに、待機モードで応答データ132を作成するための情報を記憶部230に蓄積することができる。このため、通常モードから待機モードへの移行時に、いちいちコントローラー部10から待機応答部20へデータを転送する必要がなくなり、通常モードから待機モードへの移行を従来よりも高速化できる。
また、待機モードへの移行時に、変更情報233を参照することで、変更があったSNMP応答情報232だけ再蓄積させるため、待機モードへの移行を短時間で行うことができる。
【0090】
また、本発明の実施の形態に係る応答装置1は、通常モード時に待機応答部20の側で自身の送信パケットを取得し、待機モード時の応答に必要な情報を抽出し記憶しておき、待機モードのときには蓄積した情報を用いてネットワーク応答を行う。つまり、本実施形態の応答装置1の待機応答部20は、通常時は、通信インターフェイス部30から受信したパケットをコントローラー部10へ、またコントローラー部10が送信するパケットは通信インターフェイス部30へ送信する。その際、送信パケットのチェックを行い、待機時の応答に必要な情報を蓄積する。
このため、待機応答部20に対する特別な応答の設定が不要となり、コントローラー部10の開発工数削減が期待できる。
【0091】
また、本実施形態の応答装置1によれば、待機応答部20がコントローラー部10にパケットを再帰的に送信することで、待機モード時の応答データ132を収集できる。
これにより、待機時に応答するためのデータが自動的に待機応答部20内に蓄積され、また待機モード時の応答データ132も短時間で作成することができる。このため、待機モードへの移行後、SNMP応答情報232から、必要な応答データ132を作成できる可能性を高めることができる。よって、初回の通常モードから待機モードへの移行時に、応答データ132を作成できず、すぐにコントローラー部10を復帰させなければならないというケースが生じる可能性を低くすることができる。このため、消費電力削減が期待できる。
【0092】
また、本発明の実施の形態に係る応答装置1は、変更応答データ作成要求部202が、外部からの情報要求データ131に対応して、通常モード応答データ作成部101により、予め定められた特定の種類の情報を含む応答データ132が作成された場合、他の応答データ132の情報を要求することを特徴とする。
このように構成することで、特定の種類の情報として、例えば、応答装置1のIPアドレスとMACアドレスが確定した際に、すぐに情報要求データ131及び応答データ132を蓄積することができる。これにより、応答装置1のIPアドレスが確定した際に、素早く応答データ132のSNMPの応答用のMIBを蓄積する、といったことが可能となる。このため、コントローラー部10を待機モードから復帰させる頻度を低下させ、省電力効率を高めることができる。
【0093】
また、本発明の実施の形態に係る応答装置1は、情報要求データ131は、ARPまたはSNMPの要求のデータであり、特定の種類の情報は、IPアドレス及びMACアドレスであり、再帰的に送信された情報要求データ131は、SNMPのGetリクエストであることを特徴とする。
これにより、待機モード時にネットワークからの応答が必要である主要な情報を蓄積することができる。よって、省電力効率を高めることができる。
【0094】
なお、本発明の実施の形態においては、SNMPマネージャー等がインストールされている一台の端末2がネットワーク5に接続されている例で説明した。しかしながら、
図1に示したように、ネットワーク5には複数の端末2が接続され、応答装置1は複数の端末2から情報要求データ131のパケットを受信することができる。
【0095】
また、本実施形態では、情報蓄積部203が蓄積する情報をARPとSNMPに対する応答データ132を作成するための例で説明したが、これに限定されず、情報要求に対する応答として返信されるデータであれば各種情報を蓄積することができる。
このように構成することで、ARPやSNMP以外の応答を行うことができる。
【0096】
また、本実施形態では、通常モードにおいて通信インターフェイス部30が出力する情報要求データ131を、待機応答部20を経由してコントローラー部10が入力している例を示した。しかしながら、待機応答部20を経由せずに通信インターフェイス部30が出力する情報要求データ131をコントローラー部10が直接入力することも可能である。
このように構成することで、通常モード時の待機応答部20の処理負担を軽減でき、コストを削減できる。
【0097】
また、上述の実施の形態では、記憶部130と記憶部230とを別々の構成として示したものの、記憶部130と記憶部230とで同一の記憶媒体、共有メモリーのRAM等を用いて構成してもよい。この場合でも、コントローラー制御部100と待機応答制御部200とで別々のメモリー空間で排他的にアクセスされてもよい。
このように構成することで、応答装置1のコストを削減することができる。
【0098】
また、本発明は、画像形成装置以外の情報処理装置にも適用できる。つまり、ネットワークスキャナー、スキャナーをUSB等で別途接続したサーバー等を用いる構成であってもよい。
【0099】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。