(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インク色境界画像作成手段は、前記インク色対応画像を水平方向及び垂直方向に走査して、前記インク色が互いに異なり且つ隣接する画素を検出して、当該隣接する画素のうちの、走査順において後に走査した画素をインク色境界画素と特定し、特定した当該インク色境界画素に基づいて前記インク色境界画像を作成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスタンプ製版システム。
前記インク色境界画素は複数の画素であり、前記インク色境界画素の画素数は、画像サイズ、同じインク色が割り当てられている画素エリアの大きさ、同じインク色が割り当てられている走査ライン上の画素数、に応じて決定される、
ことを特徴とする請求項3に記載のスタンプ製版システム。
スタンプ用の印面材に印面を製版するスタンプ製版装置と、当該印面を製版するために用いるスタンプ製版用画像に対応するデータを当該スタンプ製版装置に供給する画像処理装置と、を含むスタンプ製版システムの画像処理方法であって、
元画像の各画素の色情報に基づいて、前記スタンプに使用される複数のインク色のいずれかを各画素に割り当てたインク色対応画像の画素において、前記インク色が互いに異なり且つ隣接する画素を検出し、検出した画素を抽出したインク色境界画像を作成するインク色境界画像作成ステップと、
前記インク色対応画像と前記インク色境界画像とを結合させて前記スタンプ製版用画像を作成するスタンプ製版用画像作成ステップと、
を含む、
ことを特徴とする画像処理方法。
スタンプ用の印面材に印面を製版するスタンプ製版装置に、当該印面を製版するために用いるスタンプ製版用画像に対応するデータを供給する画像処理装置のプログラムであって、
コンピュータに、
元画像の各画素の色情報に基づいて、前記スタンプに使用される複数のインク色のいずれかを各画素に割り当てたインク色対応画像の画素において、前記インク色が互いに異なり且つ隣接する画素を検出し、検出した画素を抽出したインク色境界画像を作成するインク色境界画像作成処理と、
前記インク色対応画像と前記インク色境界画像とを結合させて前記スタンプ製版用画像を作成するスタンプ製版用画像作成処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係るスタンプ製版システムについて、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態1に係るスタンプ製版システムは、ユーザ所望の元画像からスタンプ製版用画像を作成し、これに基づいてスタンプの印面を製版するシステムである。
【0012】
スタンプ製版システム1000は、
図1に示すように、スタンプ製版装置100と画像処理装置200とを備える。スタンプ製版装置100は、スタンプの印面材にユーザ所望のパターンを形成して製版する装置である。また、画像処理装置200は、スタンプの印面材を製版するためのスタンプ製版用画像を作成し、作成したスタンプ製版用画像データをスタンプ製版装置100に供給する装置である。
【0013】
図1に示すように、スタンプ製版装置100は、画像処理装置200から無線通信によりスタンプ製版用画像データを取得し、取得したスタンプ製版用画像データに基づいて、印面材にパターン(文字、数字、記号、図形、画像等を含む)を製版する。
【0014】
次に、
図2を参照して、スタンプ製版装置100及び画像処理装置200がそれぞれ実現する機能について説明する。スタンプ製版装置100は、
図2(A)に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read-Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、製版部104、通信部105、入力制御部106、電源制御部107、モータ制御部108、を備える。
【0015】
CPU101は、ROM102等に格納されている動作プログラムを実行し、スタンプ製版装置100全体の動作を制御する。CPU101は、各構成要素と接続され、制御信号やデータをやり取りする。
【0016】
ROM102は、CPU101が実行する動作プログラムを記憶する不揮発性メモリである。RAM103は、CPU101が各種の処理を実行する際に生成した情報や、その情報を生成するために必要なデータを一時的に格納する揮発性メモリである。
【0017】
製版部104は、例えば、サーマルヘッドから構成され、画像処理装置200から取得したスタンプ製版用画像データに従って、サーマルヘッドが備える複数の発熱素子を発熱駆動させて印面材にパターン(文字、数字、記号、図形、画像等を含む)を製版する。
【0018】
通信部105は、例えば、RFID(Radio Frequency IDentifier)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)(IEEE802.15.4)等の無線LAN(Local Area Network)通信用または近距離通信用のインタフェースを備え、画像処理装置200からスタンプ製版用画像データを取得する。
【0019】
入力制御部106は、ユーザからの各種の操作、指示を受け付け、受け付けた入力信号をCPU101等に供給する。
【0020】
電源制御部107は、スタンプ製版装置100の構成要素への電源供給を制御する。
【0021】
モータ制御部108は、CPU101から出力される信号を受け取り、駆動用のパルス信号及び電力をスタンプ製版装置100が備えるステッピングモータに供給する。
【0022】
続いて、
図2(B)を参照して、画像処理装置200が実現する機能について説明する。画像処理装置200は、
図2(B)に示すように、CPU201、ROM202、RAM203、撮影部204、通信部205、入力制御部206、表示部207、電源制御部208、を備える。
【0023】
CPU201は、ROM202等に格納されている動作プログラムを実行し、画像処理装置200全体の動作を制御する。CPU201は、各構成要素と接続され、制御信号やデータをやり取りする。
【0024】
ROM202は、CPU201が実行する動作プログラムを記憶する不揮発性メモリである。RAM203は、CPU201が各種の処理を実行する際に生成した情報や、その情報を生成するために必要なデータを一時的に格納する揮発性メモリである。RAM203は、スタンプ製版用画像データを生成するための画像処理を実行する際のワークエリアとして用いられる。
【0025】
撮影部204は、例えば、撮影レンズ、CCD(Charge Coupled Device)等から構成され、ユーザの撮影指示に従って画像を撮影し、撮影された画像を表示部207に表示させる。
【0026】
通信部205は、例えば、RFID、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)(IEEE802.15.4)等の無線LAN通信用または近距離通信用のインタフェースを備え、プリンタ製版装置100にスタンプ製版用画像データを供給する。
【0027】
入力制御部206は、ユーザからの各種の操作、指示を受け付け、受け付けた入力信号をCPU101等に供給する。
【0028】
表示部207は、撮影部204により撮影された画像データや画像処理された画像データを受け取り、所定の同期タイミングで画像信号に変換して表示する。表示部207は、入力制御部206が有する入力機能と表示機能とが組み合わされたタッチパネルで構成されてもよい。
【0029】
電源制御部208は、画像処理装置200の各構成要素への電源供給を制御する。
【0030】
次に、
図3を参照して、元画像に二値化処理を施して得られる従来のスタンプ製版用画像について説明する。ここで、便宜上、二値化処理を含む画像処理前後の異なる画像であっても、各画像内の同一対象物(同一座標の画素領域により構成される画像)に対しては同じ符号を付すものとする。
【0031】
元画像10は、RGBの各成分がそれぞれ8ビット(256階調)の情報を含む画素データにより構成される。また、元画像10は、
図3(A)に示すように、カエルを模したキャラクタ画像(以下、単に「キャラクタ画像」ともいう)11と、傘を模したオブジェクト画像(以下、単に「オブジェクト画像」ともいう)12と、アーチ状の7つの層14〜20で構成される虹を模したアート画像(以下、単に「アート画像」ともいう)13と、白地の背景画像と、から構成される。
図3(A)に示すように、キャラクタ画像11に含まれる画素は、おもに、緑を表すRGB値を有し、オブジェクト画像12に含まれる画素は、おもに、青を表すRGB値を有している。また、アート画像13を構成する各層14〜20に含まれる各画素は、順に、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫を表すRGB値を有している。
【0032】
図3(A)に示す元画像10に二値化処理を施した場合、RGB各値から算出される輝度値が所定の閾値を超えない画素は白に変換されるため、
図3(B)に示すように、元画像10に二値化処理を施した二値画像25は、アート画像13のうちの層14〜17に相当する領域が欠落した画像となる。この二値画像25に基づいて製版した場合、印面材の層14〜17に相当する部分は溶融固化するため、インクを浸透させることができず、ユーザ所望のスタンプを作成することができない。
【0033】
そこで、次に、上記の不具合を解消するため、スタンプ製版システム1000の画像処理装置200において実行されるスタンプ製版用画像作成処理について説明する。画像処理装置200のCPU201は、ユーザによりスタンプ製版用のアプリケーションソフトが起動されたことに応答してスタンプ製版用画像作成処理を実行する。
【0034】
スタンプ製版用画像作成処理を開始すると、CPU201は、例えば、ワークメモリとして用いられるRAM203内のスタンプ製版用画像作成処理用に使用されるワークエリアを初期化する(ステップS101)。以下のスタンプ製版用画像作成処理の各処理において、随時取得するデータや処理結果としてのデータ等がこのワークエリアに格納される。
【0035】
続いて、CPU201は、メインメニュー画像を画像処理装置200の表示部207に表示させる(ステップS102)。
【0036】
次に、CPU201は、スタンプ製版用画像(以下、単に「製版用画像」ともいう)のベースとなる元画像10が選択されたか否かを判定する(ステップS103)。CPU201は、元画像10をユーザに選択させるためのGUI(Graphical User Interface)を表示部207に表示させ、ユーザによる元画像10の選択を受け付ける。なお、本実施の形態1において、元画像10は、RGBの各成分がそれぞれ8ビット(256階調)の情報を含む画素データにより構成される。
【0037】
元画像10が選択されていないと判定した場合(ステップS103;NO)、CPU201は、処理をステップS103に戻し、元画像10が選択されるまでステップS103の処理を繰り返す。一方、元画像10が選択されたと判定した場合(ステップS103;YES)、CPU201は、元画像10の有効領域が変更されたか否かを判定する(ステップS104)。CPU201は、例えば、タッチパネル機能を有する表示部207におけるストレッチ操作等により、元画像10に対してトリミング領域を指定する入力信号を受信したか否かに応じて、元画像の有効領域が変更されたか否かを判定する。
【0038】
元画像の有効領域が変更されたと判定した場合(ステップS104;YES)、CPU201は、元画像10の有効領域が確定されたか否かを判定する(ステップS105)。CPU201は、例えば、表示部207に表示された確定ボタンがユーザによりタップ操作等されたことに伴い、トリミング領域の確定を指示する入力信号を受信したか否かに応じて、元画像10の有効領域が確定されたか否かを判定する。元画像10の有効領域が確定されていないと判定した場合(ステップS105;NO)、CPU201は、処理をステップS104に戻し、再度、元画像の有効領域が変更されたか否かを判定する。
【0039】
元画像10の有効領域が確定されたと判定した場合(ステップS105;YES)、または、ステップS104の処理において元画像10の有効領域が変更されていないと判定した場合(ステップS104;NO)、CPU201は、予めROM202に格納されているインク色対応テーブルを読み出す(ステップS106)。
【0040】
ここで、元画素10の各画素のRGB値に基づいて、
図6に示すインク色対応画像30を作成するために用いられるインク色対応テーブルについて説明する。
図5に示すように、インク色対応テーブルには、画素のRGB各値の上位4ビット、計12ビットで構成されるテーブルアドレスと、その画素に割り当てられるインク色データと、を対応付けて格納されている。
【0041】
インク色対応テーブルは、8ビットで表現されるRGB各値のそれぞれ上位4ビットを組み合わせて12ビットで表現される階調をテーブルアドレスとし、これらに「0xFF(インク無)」(白)を含む9色のインク色データを対応付けることにより、元画像10をインク色対応画像30に変換するためのテーブルといえる。
【0042】
スタンプの印面に注入して浸透させるインクは、その色により区分され、「黒インク」(黒)、「赤インク」(赤)、「青インク」(青)、「緑インク」(緑)、「黄インク」(黄)、「桃インク」(桃)、「紫インク」(紫)、「茶インク」(茶)の計8種類であるものとする。また、これらの各インクには、
図5に示すように、その種類を識別するためのインク色データ「0x00」〜「0x07」が割り当てられている。また、インクを浸透させないことを示す「インク無」(白)には、インク色データ「0xFF」が割り当てられている。
【0043】
例えば、画素のRGB値が、R=0x64、G=0xF3、B=0x0Cである場合、これらの各値の上位4ビットから導出されるテーブルアドレス0x6F0には、0x03(緑インク)が対応付けられている。したがって、元画像10においてRGB各値が上記の値である全画素は、インク色対応画像30において緑を示すRGB値を有することとなる。なお、上記のとおり、インク色データは、インクの色ごとに任意にデータ値を割り当てているに過ぎないため、インク色対応画像30を表示部207に表示する際には、各インク色データに対応するRGB値が各画素に割り当てられることとなる。
【0044】
図4に示すフローチャートの説明に戻り、ステップS106の処理においてインク色対応テーブルを読み出した後、CPU201は、読み出したインク色対応テーブルを用いてインク色対応画像を作成する(ステップS107)。CPU201は、インク色対応画像作成手段として機能する。
【0045】
図6に示すように、元画像10の各画素のRGB値に基づいて、インク色対応テーブルを用いて作成されたインク色対応画像30は、元画像10の配色イメージをほぼ踏襲している。
【0046】
図3(A)に示す元画像10と
図6に示すインク色対応画像30とを比較すると、元画像10では「藍」で表現されていたアート画像13の層19が、インク色対応画像30では「黒」で表現されている。これは、「藍」に対応するインク色データは設定されておらず、インク色対応テーブルにおいて、層19を構成する画素のRGB値から導出されるテーブルアドレスには、「0x00(黒インク)」が対応付けられているためである。
【0047】
また、
図6に示すように、インク色対応画像30のアート画像13の層14の一部を含む画素ブロック41は、X軸(水平)方向に並ぶ複数の画素の集合体であって、それらの画素には、「0x00(インク無)」と「0x01(赤インク)」とのインク色データが割り当てられている。このように、インク色対応画像30を構成する全画素には、「0xFF(インク無)」(白)を含む9色のインク色データのうちのいずれかが割り当てられている。
【0048】
図4に示すフローチャートの説明に戻り、ステップS107の処理においてインク色対応画像30を作成した後、CPU201は、インク色対応画像30をX軸(水平)方向及びY軸(垂直)方向に走査してインク色境界を検出する(ステップS108)。CPU201は、検出したインク色境界に基づいてインク色境界画像を作成する(ステップS109)。CPU201は、インク色境界画像作成手段として機能する。ここで、インク色境界とは、隣接する画素間で割り当てられたインク色データが互いに異なる箇所をいう。ただし、このインク色データには、「0xFF(インク無)」(白)は含まれず、「0x00(黒インク)」〜「0x07(茶インク)」の8色とする。
【0049】
CPU201は、インク色対応画像30を走査する際、
図7(A)に示すように、インク色データとして「0x01(赤インク)」が割り当てられた画素がX軸(水平)方向に連続した後、インク色データとして「0x07(茶インク)」が割り当てられた画素を検出した場合、この「0x01(赤インク)」が割り当てられた画素と「0x07(茶インク)」が割り当てられた画素とが隣接する箇所をインク色境界であると判定する。CPU201は、X軸(水平)方向とY軸(垂直)方向との双方でインク色対応画像30を走査し、インク色対応画像30内の全インク色境界を検出する。
【0050】
CPU201は、インク色境界の検出結果に基づいて、インク色境界画像を作成する。CPU201は、
図7(B)に示すように、異なるインク色データが割り当てられた隣接する画素を検出した場合には、例えば、その隣接する画素のうちの、走査順において後に走査した画素をインク色境界画素と特定し、このインク色境界画素に対して「0xFF(インク無)」(白)を割り当てる。また、インク色境界画素以外の画素に対しては、「0x00(黒インク)」を割り当てる。これにより、インク色境界画像35は、
図7(C)に示すように、黒背景に、キャラクタ画像11の目と口の輪郭やアート画像13の各層間の境界などが白抜きされ、インク色境界画素が抽出された画像となっている。
【0051】
続いて、CPU201は、インク色対応画像30を二値化して二値画像を作成する(ステップS110)。CPU201は、インク色対応画像30を二値化する際、「0xFF(インク無)」(白)以外のインク色データが割り当てられた画素がすべて黒に変換されるように閾値を設定することにより、
図8(A)に示すような二値画像40を作成する。
【0052】
ステップS109、S110の処理を実行後、CPU201は、二値画像40とインク色境界画像35とをマージして、スタンプ製版用画像を作成する(ステップS111)。具体的には、CPU201は、二値画像40とインク色境界画像35の対応する画素値をOR演算し、その結果に基づいて、
図8(C)に示すインク色境界を結合させた新たな二値画像であるスタンプ製版用画像50を作成する。CPU201は、スタンプ製版用画像作成手段として機能する。
【0053】
図8(C)に示すように、スタンプ製版用画像50では、特定されたインク色境界画素が境界線を形成し、この境界線が同じインク色データが割り当てられた画素により形成される領域を区分している。
【0054】
ステップS111の処理を終了後、CPU201は、スタンプ製版用画像作成処理を終了する。
【0055】
スタンプ製版用画像作成処理を終了後、CPU201は、作成したスタンプ製版用画像50を通信部205を介してスタンプ製版装置100に送信する。
【0056】
スタンプ製版装置100は、画像処理装置200からスタンプ製版用画像50を受信すると、スタンプ製版用画像50を表現するドットパターンに応じてサーマルヘッドの発熱体を選択的に加熱して印面材に印面を形成する。印面として完成した多孔質の熱可塑性樹脂にインクを含浸させる際、印面の異なる位置に異なる色のインクを浸透させることにより、複数色を用いたカラーのスタンプを作製することができる。
【0057】
以上で説明したように、実施形態1に係るスタンプ製版システム1000は、元画像10をスタンプに使用されるインクに対応する色への近似処理等を施して作成されたスタンプ製版用画像50に基づいて印面を製版することにより、より細分化された良質の印面を形成することができる。また、従来では溶融固化されてインクを浸透させることができなかった部分にインクを浸透させることが可能となる。
【0058】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1においては、トリミング領域の指定以外はユーザの意向が介入することなく、一律に元画像10からスタンプ製版用画像50を作成した。しかし、スタンプ製版用画像50の作成に際して、ユーザの意向を適切に反映させることも可能である。具体的には、インク色対応画像30の作成後、割り当てられたインク色データを無効にして「0xFF(インク無)」(白)に変更する画素(エリア)を指定可能とすることにより、スタンプの印面にインクを浸透させない部分を別途設定することができる。以下、
図9及び
図10を参照して、実施の形態2に係るスタンプ製版システム1000について説明する。
【0059】
実施の形態2に係るスタンプ製版システム1000について説明するにあたり、実施の形態1において説明したものと同様の説明は省略する。
【0060】
図9は、実施の形態2に係るスタンプ製版システム1000の画像処理装置200が実行するスタンプ製版用画像作成処理を示すフローチャートである。
図9に示すスタンプ製版用画像作成処理のフローチャート中、ステップS201〜S207の処理は、
図4に示すフローチャート中のステップS101〜S107の処理とそれぞれ同様であるため、説明は省略する。
【0061】
図9に示すスタンプ製版用画像作成処理のフローチャート中、ステップS207の処理において、インク色対応画像30を作成した後、CPU201は、インク色対応画像30内のインク色の無効が指定されたか否かを判定する(ステップS208)。CPU201は、インク色対応画像30内のインク色の無効をユーザに指定させるためのGUIを表示部207に表示させ、ユーザによるインク色を無効としてインク色データ「0xFF(インク無)」を割り当てる画素(エリア)の指定を受け付ける。タッチパネル機能を有する表示部207におけるタップ操作等により、インク色対応画像30に対してインク色の無効を指定する入力信号を受信したか否かに応じて、インク色の無効が指定されたか否かを判定する。CPU201及び表示部207は、インク色変更指示受付手段として機能する。
【0062】
インク色の無効が指定されたと判定した場合(ステップS208;YES)、CPU201は、無効を指定された画素がインク無エリア、つまり、既に「0xFF(インク無)」が割り当てられた画素(エリア)であるか否かを判定する(ステップS209)。無効を指定された画素がインク無エリアではないと判定した場合(ステップS209;NO)、CPU201は、無効インク色対応画像を作成する(ステップS210)。CPU201は、インク色変更画像作成手段として機能する。
【0063】
図10(A)は、インク色を無効とする画素(エリア)としてインク色対応画像30内のオブジェクト画像12(傘を構成する画像)が指定された状態を示すインク色無効画像55である。
図10(A)に示すように、インク色の無効を指定されたオブジェクト画像12が青から白に変換されている。オブジェクト画像12がインク色の無効を指定された場合、
図10(B)に示すように、インク色対応画像30において「0x02(青インク)」が割り当てられていた画素には、
図10(C)に示すように、「0xFF(インク無)」が割り当てられる。また、
図10(D)に示すように、無効インク色対応画像60には、インク色の無効を指定された画素(エリア)には「0xFF(インク無)」が割り当てられ、それ以外の画素には「0xFF(黒インク)」が割り当てられ、強制的に二値画像が作成される。
【0064】
ステップS208の処理においてNOと判定した場合、ステップS209の処理においてYESと判定した場合、または、ステップS210の処理が終了した場合には、CPU201は、インク色対応画像30を走査してインク色境界を検出し(ステップS211)、その後、インク色境界画像35を作成する(ステップS212)。また、CPU201は、インク色対応画像30を二値化して二値画像40を作成する(ステップS214)。
【0065】
CPU201は、二値画像40とインク色境界画像35と無効インク色対応画像60とをマージして、スタンプ製版用画像を作成する(ステップS215)。具体的には、CPU201は、二値画像40とインク色境界画像35と無効インク色対応画像60との対応する画素値をOR演算し、その結果に基づいて、インク色境界を結合させた新たな二値画像であるスタンプ製版用画像を作成する。
【0066】
以上で説明したように、実施形態2に係るスタンプ製版システム1000は、インク色対応画像30において割り当てられたインク色データを無効にして「0xFF(インク無)」(白)に変更する画素(エリア)を指定することが可能である。これにより、スタンプの印面にインクを浸透させない部分を別途設定することができ、よりユーザの意向を反映した印面の形成を実現することができる。
【0067】
(変形例)
上記の実施の形態1及び実施の形態2において、インク色対応画像30を走査してインク色境界が検出された場合、
図7(B)に示すように、インク色境界画素を1画素に特定した。しかし、サーマルヘッドの加熱によるドット潰れ等を考慮して、インク色境界画素を複数画素に特定してもよい。これにより、インク色境界画素により形成される境界線を太くすることができ、印面材の内部のインクの滲みを抑制することもできる。
【0068】
インク色境界画素として特定する画素数は、例えば、画像サイズに応じて固定値としてもよいし、同じインク色データが割り当てられている画素エリアの大きさや同じインク色データが割り当てられている走査ライン上の画素数等に応じて適宜決定してもよい。
【0069】
上記の実施の形態2では、インク色対応画像30において割り当てられたインク色データを無効にして「0xFF(インク無)」(白)に変更する画素(エリア)を指定した。しかし、インク色対応画像30の画素に割り当てられたインク色を別のインク色に変更し、変更後の別のインク色に基づいてインク色変更画像を作成するようにしてもよい。
【0070】
上記の実施の形態1及び実施の形態2で例示したスタンプ製版システム1000による各機能構成を実現させるためのプログラムの適用方法は、任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネット等の通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0072】
(付記1)
スタンプ用の印面材に印面を製版するスタンプ製版装置と、
前記印面を製版するために用いるスタンプ製版用画像に対応するデータを前記スタンプ製版装置に供給する画像処理装置と、
を有し、
前記画像処理装置は、
元画像の各画素の色情報に基づいて、前記スタンプに使用される複数のインク色のいずれかを各画素に割り当てたインク色対応画像の画素において、前記インク色が互いに異なり且つ隣接する画素を検出し、検出した画素を抽出したインク色境界画像を作成するインク色境界画像作成手段と、
前記インク色対応画像と前記インク色境界画像とを結合させて前記スタンプ製版用画像を作成するスタンプ製版用画像作成手段と、
を備える、
ことを特徴とするスタンプ製版システム。
【0073】
(付記2)
前記画像処理装置は、
前記インク色対応画像の画素に割り当てられた前記インク色を変更する指示を受け付けるインク色変更指示受付手段と、
前記インク色変更指示受付手段が受け付けた指示に従って前記インク色対応画像の画素に割り当てられた前記インク色を別のインク色に変更し、変更後の当該別のインク色に基づいてインク色変更画像を作成するインク色変更画像作成手段と、
を更に備え、
前記スタンプ製版用画像作成手段は、前記インク色変更画像を更に結合させて前記スタンプ製版用画像を作成する、
ことを特徴とする付記1に記載のスタンプ製版システム。
【0074】
(付記3)
前記インク色境界画像作成手段は、前記インク色対応画像を水平方向及び垂直方向に走査して、前記インク色が互いに異なり且つ隣接する画素を検出して、当該隣接する画素のうちの、走査順において後に走査した画素をインク色境界画素と特定し、特定した当該インク色境界画素に基づいて前記インク色境界画像を作成する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のスタンプ製版システム。
【0075】
(付記4)
前記インク色境界画素は複数の画素であり、前記インク色境界画素の画素数は、画像サイズ、同じインク色が割り当てられている画素エリアの大きさ、同じインク色が割り当てられている走査ライン上の画素数、に応じて決定される、
ことを特徴とする付記3に記載のスタンプ製版システム。
【0076】
(付記5)
前記スタンプ製版用画像作成手段は、結合する各画像を予め二値化し、得られた各二値画像を結合して前記スタンプ製版用画像を作成する、
ことを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載のスタンプ製版システム。
【0077】
(付記6)
スタンプ用の印面材に印面を製版するスタンプ製版装置と、当該印面を製版するために用いるスタンプ製版用画像に対応するデータを当該スタンプ製版装置に供給する画像処理装置と、を含むスタンプ製版システムの画像処理方法であって、
元画像の各画素の色情報に基づいて、前記スタンプに使用される複数のインク色のいずれかを各画素に割り当てたインク色対応画像の画素において、前記インク色が互いに異なり且つ隣接する画素を検出し、検出した画素を抽出したインク色境界画像を作成するインク色境界画像作成ステップと、
前記インク色対応画像と前記インク色境界画像とを結合させて前記スタンプ製版用画像を作成するスタンプ製版用画像作成ステップと、
を含む、
ことを特徴とする画像処理方法。
【0078】
(付記7)
スタンプ用の印面材に印面を製版するスタンプ製版装置に、当該印面を製版するために用いるスタンプ製版用画像に対応するデータを供給する画像処理装置のプログラムであって、
コンピュータに、
元画像の各画素の色情報に基づいて、前記スタンプに使用される複数のインク色のいずれかを各画素に割り当てたインク色対応画像の画素において、前記インク色が互いに異なり且つ隣接する画素を検出し、検出した画素を抽出したインク色境界画像を作成するインク色境界画像作成処理と、
前記インク色対応画像と前記インク色境界画像とを結合させて前記スタンプ製版用画像を作成するスタンプ製版用画像作成処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。