(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の構成を、カラープリンタに適用した場合には、各色に対応した各マルチビームレーザに対して書出用センサをそれぞれ設けなければならないので、構成が複雑化してコストが高くなるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、複数の発光点を有する光源を複数備えた画像形成装置において、構成を簡易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、複数の感光体の表面を露光する露光装置と、記憶部と、前記露光装置を制御する制御装置とを備える。
前記露光装置は、複数の発光点を有し、前記複数の感光体のそれぞれに対応して設けられる複数の光源と、前記複数の光源の各発光点から出射される光を偏向する1つの偏向器と、前記偏向器で偏向された光を前記複数の感光体のそれぞれに結像する複数の光学系と、複数の発光点のうちいずれか1つの発光点から出射される光を検出する1つの書出用センサと、を備える。
前記記憶部には、前記書出用センサで光を検出してから前記発光点が前記感光体の表面を露光する光を出射するまでの書出時間に関連するパラメータが発光点ごとに記憶される。
前記制御装置は、前記書出用センサの検出結果と前記記憶部に記憶した各パラメータに基づいて各発光点が前記感光体の表面を露光する光を出射するタイミングを制御する。
【0007】
この構成によれば、各発光点が感光体の表面を露光する光(以下、「露光用の光」ともいう。)を出射するタイミングを、1つの書出用センサの検出結果だけを用いて制御することができるので、複数の書出用センサが不要となり、構成を簡易化することができる。
【0008】
また、前記した構成において、前記記憶部は、前記パラメータを所定のビット数で記憶しており、前記パラメータの量子化単位に対応する時間が、1画素の走査時間以下であってもよい。
【0009】
これによれば、各発光点からの露光用の光の出射タイミングを、1画素の走査時間以下の単位で制御することができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記記憶部には、前記書出時間の基準値に対するずれ量が、前記パラメータとして記憶されていてもよい。
【0011】
これによれば、例えば書出時間(製造時に測定した時間)を記憶部に記憶させる形態と比べ、記憶に要するビット数を少なくすることができるので、データ量を削減することができる。
【0012】
また、前記記憶部には、1つの光源に設けられる複数の発光点間の書出時間の差が前記パラメータとして記憶されていてもよい。
【0013】
これによれば、例えば複数の発光点に対応する書出時間をそれぞれ記憶させる形態と比べ、記憶に要するビット数を少なくすることができるので、データ量を削減することができる。
【0014】
また、前記した構成において、前記露光装置の熱膨張による露光位置のずれを補正するために、前記複数の発光点のうちいずれか1つの発光点から出射される光を検出する1つの補正用センサを備え、前記制御装置は、前記補正用センサの検出結果に基づいて、1つの光源に設けられる複数の発光点に対応する各パラメータを、同じ補正値で補正するように構成されていてもよい。
【0015】
これによれば、熱膨張に対応してパラメータを補正した場合であっても、同じ色用の複数の発光点からの露光用の光の出射タイミングがずれるのを抑えることができる。
【0016】
また、前記した構成において、前記複数の光学系は、前記偏向器を挟んだ一方側と他方側とに分かれて配置されていてもよい。
【0017】
また、前記した構成において、前記記憶部は、前記露光装置に設けられていてもよい。
【0018】
これによれば、露光装置を交換する際に記憶部も一緒に交換することができるので、例えば露光装置ごとに異なる製造誤差に対応するようにパラメータを設定しておけば、露光装置を交換するだけで、新たなパラメータに基づいて各発光点からの露光用の光の出射タイミングを良好に制御することができる。
【0019】
また、前記した構成において、前記露光装置を保持する本体筐体には、前記書出時間の基準値を記憶する本体側記憶部が設けられていてもよい。
【0020】
これによれば、例えば露光装置の記憶部に基準値を記憶させる形態に比べ、露光装置の記憶部の記憶容量を小さくすることができるので、露光装置の製造コストを低くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の発光点を有する光源を複数備えた画像形成装置において、構成を簡易化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ200の全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0024】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ200の使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、
図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0025】
図1に示すように、カラープリンタ200は、本体筐体210内に、用紙Pを供給する給紙部220と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部230と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部290と、制御装置300とを備えている。
【0026】
給紙部220は、用紙Pを収容する給紙トレイ221と、給紙トレイ221から用紙Pを画像形成部230へ搬送する用紙搬送機構222とを備えている。
【0027】
画像形成部230は、露光装置の一例としてのスキャナユニット1と、4つのプロセスカートリッジ250と、ホルダ260と、転写ユニット270と、定着装置280とを備えている。
【0028】
スキャナユニット1は、複数の感光ドラム251の表面を露光する装置であり、本体筐体210内の上部に設けられている。なお、スキャナユニット1やこのスキャナユニット1を制御する制御装置300については、後で詳述する。
【0029】
プロセスカートリッジ250は、給紙部220の上方で前後方向に配列されており、感光体の一例としての感光ドラム251や、図示しない公知の帯電器、現像ローラ253、トナー収容室などを備えて構成されている。各プロセスカートリッジ250内には、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローの色のトナーが収容されている。なお、本明細書および図面において、トナーの色に対応したプロセスカートリッジ250や感光ドラム251などを特定する場合には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれに対応させて、K、C、M、Yの記号を付することとする。
【0030】
ホルダ260は、4つのプロセスカートリッジ250を一体的に保持しており、本体筐体210の前面に配置されたフロントカバー211を開放することで形成される開口部210Aを通して前後方向に移動可能に構成されている。
【0031】
転写ユニット270は、給紙部220と4つのプロセスカートリッジ250との間に設けられ、駆動ローラ271と、従動ローラ272と、搬送ベルト273と、転写ローラ274とを備えている。
【0032】
駆動ローラ271および従動ローラ272は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる搬送ベルト273が張設されている。また、搬送ベルト273の内側には、各感光ドラム251との間で搬送ベルト273を挟持する転写ローラ274が、各感光ドラム251に対向して4つ配置されている。
【0033】
定着装置280は、4つのプロセスカートリッジ250および転写ユニット270の後側に配置され、加熱ローラ281と、加熱ローラ281と対向配置され加熱ローラ281を押圧する加圧ローラ282とを備えている。
【0034】
このように構成される画像形成部230では、まず、各感光ドラム251の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット1で露光される。これにより、各感光ドラム251上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、現像ローラ253によって、トナー収容室内のトナーが、感光ドラム251上の静電潜像に供給されることで、感光ドラム251上にトナー像が担持される。
【0035】
次に、搬送ベルト273上に供給された用紙Pが各感光ドラム251と各転写ローラ274との間を通過することで、各感光ドラム251上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、定着装置280により用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0036】
排紙部290は、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラ291を主に備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Pは、搬送ローラ291によって搬送され、本体筐体210の外部に排出される。
【0037】
次に、スキャナユニット1の構成について詳細に説明する。なお、以下の説明において、「主走査方向」とは、感光ドラム251の表面でのレーザ光LY,LM,LC,LKの走査方向である。本明細書においては、この走査のためにレーザ光LY,LM,LC,LKを偏向する方向を(空間的に異なる方向であっても)すべて主走査方向とする。また、「副走査方向」とは、主走査方向およびレーザ光LY,LM,LC,LKの進行方向に直交する方向である。
【0038】
図2(a)および
図3に示すように、スキャナユニット1は、光源装置20(20Y,20M,20C,20K)と、第1シリンドリカルレンズ30と、偏向器の一例としての単一のポリゴンミラー40と、fθレンズ50と、第2シリンドリカルレンズ60と、反射鏡71〜75と、書出用センサ80Aと、補正用センサ80Bと、ケーシング100と、記憶部の一例としてのメモリ11(
図1参照)とを主に備えている。
【0039】
光源装置20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ2本のレーザ光LY,LM,LC,LK(
図3参照)を出射する装置であり、スキャナユニット1が走査露光する4つの感光ドラム251Y,251M,251C,251Kに対応して4つ設けられている。光源装置20Mと光源装置20Cは、前後方向に並んで配置されており、光源装置20Yと光源装置20Kは、左右方向において互いに向かい合った状態で、出射するレーザ光LY,LKが、光源装置20M,20Cが出射するレーザ光LM,LCに対して略直交するように配置されている。
【0040】
各光源装置20Y〜20Kは、それぞれ、光源の一例としてのマルチビームレーザLD1〜LD4と、カップリングレンズ21と、フレーム22とを主に備えている。
図2(b)に示すように、マルチビームレーザLD1は、所定の間隔D0を隔てた2つの発光点LD11,LD12を有するレーザアレイである。マルチビームレーザLD1は、各発光点LD11,LD12が、主走査方向で第1間隔D1、副走査方向で第2間隔D2を空けて配置されるように、光源装置20のフレーム22に所定の角度で固定されている。
【0041】
なお、その他のマルチビームレーザLD2(LD3,LD4)も、マルチビームレーザLD1と同様の構造・配置となっている。詳しくは、マルチビームレーザLD2(LD3,LD4)は、それぞれ2つの発光点LD21,LD22(LD31,LD32、LD41,LD42)を有し、2つの発光点LD21,LD22(LD31,LD32、LD41,LD42)が、主走査方向で第1間隔D1、副走査方向で第2間隔D2を空けて配置されている。
【0042】
図2(a)に示すように、カップリングレンズ21は、マルチビームレーザLD1〜LD4の各発光点から発散して出射されるレーザ光LY〜LKを光束に変換するレンズである。なお、本発明において、カップリングレンズ21によって変換されて得られた光束は、平行光、収束光および発散光のいずれであってもよい。
【0043】
反射鏡71は、光源装置20Yからのレーザ光LYまたは光源装置20Kからのレーザ光LKをポリゴンミラー40に向けて反射する部材であり、光源装置20M,20Cとポリゴンミラー40との間に配置されている。なお、光源装置20Mからのレーザ光LMと光源装置20Cからのレーザ光LCは、それぞれ、反射鏡71の上を通過してポリゴンミラー40に入射される。
【0044】
第1シリンドリカルレンズ30は、ポリゴンミラー40の面倒れを補正するため、レーザ光LM,LYまたはレーザ光LC,LKを屈折させて副走査方向に収束し、ポリゴンミラー40の反射面上で主走査方向に長い線状に結像させるレンズである。この第1シリンドリカルレンズ30は、反射鏡71とポリゴンミラー40との間に配置されている。
【0045】
なお、反射鏡71と第1シリンドリカルレンズ30との間に設けられたケーシング100の壁151には、複数の開口(破線参照)が設けられており、この壁151の開口は、通過するレーザ光LY〜LKの主走査方向および副走査方向の幅を規定している。
【0046】
ポリゴンミラー40は、回転軸から等距離に設けられた6つのミラー面(反射面)を有し、ミラー面が回転軸を中心に一定速度で回転することで、第1シリンドリカルレンズ30を通過したレーザ光LY〜LKを反射して主走査方向に偏向する。より詳しくは、ポリゴンミラー40は、各マルチビームレーザLD1〜LD4から出射された各2本のレーザ光LY〜LKをそれぞれ反射して主走査方向に偏向している。このポリゴンミラー40は、ケーシング100のほぼ中央で、左右方向において光源装置20M,20Cと対向して配置されている。
【0047】
fθレンズ50は、ポリゴンミラー40によって等角速度で走査されたレーザ光LY〜LKを感光ドラム251の表面で主走査方向に等速度で走査するように変換するレンズであり、ポリゴンミラー40の前後に1つずつ、合計2つ設けられている。
【0048】
図2(a)および
図3に示すように、第2シリンドリカルレンズ60は、ポリゴンミラー40の面倒れを補正するため、レーザ光LY〜LKを屈折させて副走査方向に収束し、感光ドラム251の表面上に結像させるレンズである。この第2シリンドリカルレンズ60(60Y〜60K)は、4つの光源装置20Y〜20Kに対応して4つ設けられている。
【0049】
図3に示すように、レーザ光LM,LCが通過する第2シリンドリカルレンズ60M,60Cは、fθレンズ50の上方に配置されている。また、レーザ光LY,LKが通過する第2シリンドリカルレンズ60Y,60Kは、fθレンズ50とケーシング100の後述する側壁120との間で、側壁120と対向して配置されている。
【0050】
反射鏡72〜75は、レーザ光LY〜LKを反射する部材であり、例えば、ガラス板の表面(反射面となる面)にアルミニウムなどの反射率が高い材料を蒸着することにより形成されている。
【0051】
反射鏡72(72M,72C)は、fθレンズ50と第2シリンドリカルレンズ60Y,60Kとの間に配置されており、fθレンズ50を通過したレーザ光LM,LCを第2シリンドリカルレンズ60M,60Cに向けて反射する。また、反射鏡73(73M,73C)は、fθレンズ50の上方に配置されており、第2シリンドリカルレンズ60M,60Cを通過したレーザ光LM,LCを感光ドラム251M,251Cの表面(被走査面)に向けて反射する。
【0052】
反射鏡74(74Y,74K)は、第2シリンドリカルレンズ60Y,60Kとケーシング100の側壁120との間で、側壁120に沿うように配置されており、第2シリンドリカルレンズ60Y,60Kを通過したレーザ光LY,LKを反射鏡75に向けて反射する。また、反射鏡75(75Y,75K)は、第2シリンドリカルレンズ60Y,60Kの上方に配置されており、反射鏡74で反射されたレーザ光LY,LKを感光ドラム251Y,251Kの表面に向けて反射する。
【0053】
なお、前述したfθレンズ50、第2シリンドリカルレンズ60および反射鏡72〜75は、ポリゴンミラー40で偏向されたレーザ光を複数の感光ドラム251のそれぞれに結像する複数の光学系であり、ポリゴンミラー40を挟んで前側と後側とに分かれて配置されている。詳しくは、ポリゴンミラー40の前側に配置されるイエロー、マゼンタ用の光学系と、後側に配置されるシアン、ブラック用の光学系は、ポリゴンミラー40の回転中心を通り、かつ、前後方向に直交した面を基準に面対称に配置されている。
【0054】
以上のような構成により、
図2に示すように、光源装置20M,20Cから出射された各2本のレーザ光LM,LYは、第1シリンドリカルレンズ30を通過して、ポリゴンミラー40で主走査方向に偏向される。また、光源装置20Y,20Kから出射された各2本のレーザ光LY,LKは、反射鏡71で反射されて進路をポリゴンミラー40に向けた後、第1シリンドリカルレンズ30を通過して、ポリゴンミラー40で主走査方向に偏向される。
【0055】
そして、
図3に示すように、ポリゴンミラー40で偏向された各2本のレーザ光LM,LCは、fθレンズ50を通過し、反射鏡72で反射され、第2シリンドリカルレンズ60を通過した後、反射鏡73で反射されて感光ドラム251の表面を走査露光する。また、ポリゴンミラー40で偏向された各2本のレーザ光LY,LKは、fθレンズ50および第2シリンドリカルレンズ60を通過し、反射鏡74で反射された後、反射鏡75で反射されて感光ドラム251の表面を走査露光する。
【0056】
言い換えると、イエロー、マゼンタ用の光源装置20Y,20Mから出射された各2本のレーザ光LY,LMは、ポリゴンミラー40の前斜め左側の位置(レーザ光LY,LMに当たる位置)に順次移動してくる1つのミラー面(同一のミラー面)によって前側の光学系に向けて反射される。また、シアン、ブラック用の光源装置20C,20Kから出射された各2本のレーザ光LC,LKは、ポリゴンミラー40の後斜め左側の位置(レーザ光LC,LKに当たる位置)に順次移動してくる1つのミラー面(同一のミラー面)によって後側の光学系に向けて反射される。
【0057】
なお、
図3や
図1においては、便宜上、各色の2本のレーザ光の副走査方向の間隔を誇張して図示している。
【0058】
図4に示すように、書出用センサ80Aは、スキャナユニット1において1つだけ設けられ、主に、1本のレーザ光LYを検出するビームディテクタ81と、ビームディテクタ81が組み付けられる回路基板82とを備えている。詳しくは、ビームディテクタ81は、各マルチビームレーザLD1〜LD4の各発光点LD11,LD12,・・・,LD42のうちの1つの発光点LD11、つまりスキャナユニット1内のすべての発光点LD11,LD12,・・・,LD42のうちの1つの発光点LD11からのレーザ光LYを検出するように構成されている。
【0059】
この書出用センサ80Aは、ケーシング100の側壁120に形成される開口121を塞ぐように、側壁120に対して外側から取り付けられており、これにより、ビームディテクタ81が検出面をケーシング100の内側に向けた状態で配置されている。書出用センサ80Aは、ビームディテクタ81がレーザ光LYを検出したときに走査開始のタイミング(各光源装置20の各発光点LD11,LD12,・・・,LD42から露光用のレーザ光を出射するタイミング)を決定するための書出開始信号を制御装置300に出力する。ここで、露光用のレーザ光とは、画像データに基づいて感光ドラム251の表面を露光するレーザ光をいう。
【0060】
なお、反射鏡74Yは、その長手方向の端部がレーザ光LYを透過可能に構成されている。具体的に、ガラス板の表面に反射率が高い材料を蒸着することにより形成された反射鏡74Yは、書出用センサ80Aに対応した部分に、
図4にドットをつけて示したミラー層MLが形成されていない。これにより、レーザ光LYが反射鏡74Yの端部を通過してビームディテクタ81で検出可能となっている。より詳しくは、書出用センサ80Aは、ミラー層MLに対してレーザ光LYの走査方向における上流側に配置されている。
【0061】
図2(a)に示すように、補正用センサ80Bは、書出用センサ80Aと同様の構造となっており、スキャナユニット1において1つだけ設けられている。また、補正用センサ80Bは、後側の側壁120の適所に、書出用センサ80Aと同様の方法で取り付けられている。
【0062】
詳しくは、補正用センサ80Bは、反射鏡74Kのミラー層ML(図示略)に対してレーザ光LKの走査方向における下流側に配置され、1本のレーザ光LKを検出可能となっている。詳しくは、補正用センサ80Bのビームディテクタ81は、各マルチビームレーザLD1〜LD4の各発光点LD11,LD12,・・・,LD42のうちの1つの発光点LD41からのレーザ光LKを検出するように構成されている。そして、補正用センサ80Bは、レーザ光LKを検出したときにスキャナユニット1の熱膨張による露光位置のずれを補正するため補正信号を制御装置300に出力する。
【0063】
ケーシング100は、光源装置20やポリゴンミラー40、第2シリンドリカルレンズ60、反射鏡71〜75などを収容する部材である。このケーシング100は、支持壁110と、支持壁110の前後方向の両端部から上方に突出する側壁120とを主に有している。
【0064】
支持壁110は、ケーシング100の下側の壁(底壁)であり、光源装置20やポリゴンミラー40、fθレンズ50、第2シリンドリカルレンズ60Y,60K、反射鏡72,74などを支持している。
図3に示すように、この支持壁110には、反射鏡73,75で反射して感光ドラム251の表面に向かうレーザ光LY〜LKをそれぞれ通過させる4つの露光口111〜114が前後方向に並んで形成されている。
【0065】
図1に示すように、制御装置300は、本体筐体210に設けられ、主に、CPUと、RAMおよびROMなどを有する本体側記憶部の一例としての本体側メモリ310と、入出力回路と、を備えている。制御装置300は、スキャナユニット1に接続されており、当該スキャナユニット1の前述した各センサ80A,80Bからの信号を受信したり、スキャナユニット1内のメモリ11の情報を参照することで、スキャナユニット1の各光源装置20の各発光点LD11,LD12,・・・,LD42を制御するように構成されている。なお、以下の説明では、便宜上、末尾が1となる発光点を第1発光点とも称し、末尾が2となる発光点を第2発光点とも称する。
【0066】
図5に示すように、本体側メモリ310には、書出用センサ80Aでレーザ光LYを検出してから各第1発光点LD11〜LD41が露光用のレーザ光LY〜LKを出射するまでの時間である書出時間の基準値T11〜T41が第1発光点LD11〜LD41ごとに記憶されている。ここで、イエロー、マゼンタ用の基準値T11,T21は、例えば14.619μsと設定することができ、シアン、ブラック用の基準値T31,T41は、例えば131.917μsと設定することができる。なお、基準値T11〜T41は、公差を含まない状態の設計値である。
【0067】
なお、イエロー、マゼンタ用の基準値T11,T21を同じ値とすることができるのは、レーザ光LY,LMがポリゴンミラー40の1つのミラー面(同一のミラー面)で走査されるからである。また、シアン、ブラック用の基準値T31,T41も同様に、レーザ光LC,LKがポリゴンミラー40の1つのミラー面(同一のミラー面)で走査されるため、同じ値とすることができる。さらに、シアン、ブラック用の基準値T31,T41の方が、イエロー、マゼンタ用の基準値T11,T21よりも大きいのは、ポリゴンミラー40のミラー面のうちレーザ光LY,LMが当たるミラー面とは異なるミラー面でレーザ光LC,LKが走査されることにより、イエロー、マゼンタ用のレーザ光LY,LMが書出開始位置に到達する時間からシアン、ブラック用のレーザ光LC,LKが書出開始位置に到達する時間までに時間差があるためである。
【0068】
一方、スキャナユニット1のメモリ11には、
図6(a)に示すように、各第1発光点LD11〜LD41の書出時間の基準値に対するずれ量ΔT11〜ΔT41が、書出時間に関連するパラメータとして第1発光点LD11〜LD41ごとに記憶されている。ここで、ずれ量ΔT11〜ΔT41は、例えばカラープリンタ200の製造時において各第1発光点LD11〜LD41の書出時間を測定し、各基準値と各測定値の差として算出される。具体的には、例えば、第1発光点LD11の書出時間の基準値T11が14.619μsで、書出時間の測定値が14.446μsである場合には、ずれ量ΔT11は、−0.173μsに設定される。
【0069】
また、メモリ11には、
図6(b)に示すように、1つのマルチビームレーザ(例えばLD1)に設けられる2つの発光点(例えばLD11,LD12)間の書出時間の時間差(例えばΔT1)が、書出時間に関連するパラメータとして第2発光点LD12〜LD42ごとに記憶されている。ここで、時間差ΔT1〜ΔT4は、第1発光点と第2発光点との主走査方向の間隔(第1間隔D1)に起因した時間差である。
【0070】
なお、時間差ΔT1〜ΔT4は、例えばカラープリンタ200の製造時においてすべての発光点LD11,LD12,・・・,LD42の書出時間を測定し、各第2発光点LD12〜LD42の書出時間の測定値から各第1発光点LD11〜LD41の書出時間の測定値を引くことでそれぞれ算出される。具体的には、例えば第2発光点LD12の書出時間の測定値が14.827μsであり、第1発光点LD11の書出時間の測定値が14.446μsである場合には、時間差ΔT1は、−0.381μsに設定される。
【0071】
そして、前述した各パラメータは、それぞれ所定のビット数でメモリ11や本体側メモリ310に記憶されており、パラメータの量子化単位に対応する時間(つまり、所定のビット数の最下位ビットの差が示す時間)が、1画素の走査時間以下となっている。ここで、走査時間は、感光ドラム251の表面上のある長さを走査するのにかかる時間であり、1画素の走査時間は、1画素を走査するのにかかる時間をいう。
【0072】
具体的には、例えば1画素の走査時間が0.02μsである場合には、パラメータの量子化単位に対応する時間を0.02μs以下(例えば0.001μs)とすることができる。以上のようにパラメータの量子化単位に対応する時間を設定することで、ビット数の最下位ビットが0から1に変わった場合には、パラメータ(時間)が、1画素の走査時間以下の単位時間(例えば0.001μs)だけ増えるようになっている。
【0073】
そして、制御装置300は、書出用センサ80Aおよび補正用センサ80Bの検出結果と、メモリ11および本体側メモリ310に記憶した各パラメータとに基づいて、各発光点LD11,LD12,・・・,LD42からの露光用のレーザ光LY〜LKの出射タイミングを制御するように構成されている。詳しくは、第1発光点LD11〜LD41を制御する場合には、制御装置300は、まず、本体側メモリ310に記憶された基準値T11〜T41に、メモリ11に記憶された、ずれ量ΔT11〜ΔT41を加えることで、第1発光点LD11〜LD41の書出時間T1〜T4を算出する。
【0074】
次に、制御装置300は、書出用センサ80Aでレーザ光LYを検出した時刻と、補正用センサ80Bでレーザ光LKを検出した時刻との差に基づいて、スキャナユニット1の熱膨張による書出時間の変化を補正するための補正値を色ごとに算出する。次いで、制御装置300は、1つのマルチビームレーザ(例えばLD1)に設けられる2つの発光点(例えばLD11,LD12)に対応する各パラメータ(例えば書出時間T1および時間差ΔT1)を、同じ補正値で補正する。
【0075】
そして、制御装置300は、書出用センサ80Aの検出結果と、補正値で補正された書出時間T1〜T4と、補正値で補正された時間差ΔT1〜ΔT4とに基づいて、各発光点LD11,LD12,・・・,LD42からの露光用のレーザ光LY〜LKの出射タイミングを制御するようになっている。
【0076】
以下に、
図7を参照して制御装置300の制御を詳細に説明する。なお、以下の説明では、便宜上、各色の補正値は0であるものとする。
【0077】
図7に示すように、制御装置300は、印刷指令を受けてから、または、露光用のレーザ光LYで1ライン分を走査してから所定のタイミングでイエロー用の第1発光点LD11から露光用ではないレーザ光LYを所定時間だけ出射させる(時刻t1)。その後、書出用センサ80Aがレーザ光LYを検出すると(時刻t2)、制御装置300は、書出用センサ80Aでレーザ光LYを検出してからイエロー用の書出時間T1(=T11+ΔT11)が経過したか否かを判断する。
【0078】
時刻t2から書出時間T1が経過すると(時刻t3)、制御装置300は、イエロー用の第1発光点LD11から露光用のレーザ光LYを出射させる。時刻t3から時間差ΔT1が経過すると(時刻t4)、制御装置300は、イエロー用の第2発光点LD12から露光用のレーザ光LYを出射させる。これにより、イエロー用のマルチビームレーザLD1から出射された2本のレーザ光LYの書出開始位置が揃えられ、感光ドラム251Yが2本のレーザ光LYによって走査される(
図3参照)。
【0079】
時刻t2から書出時間T2(=T21+ΔT21)が経過すると(時刻t5)、制御装置300は、マゼンタ用の第1発光点LD21から露光用のレーザ光LMを出射させる。時刻t5から時間差ΔT2が経過すると(時刻t6)、制御装置300は、マゼンタ用の第2発光点LD22から露光用のレーザ光LMを出射させる。これにより、マゼンタ用のマルチビームレーザLD2から出射された2本のレーザ光LMの書出開始位置が揃えられ、感光ドラム251Mが2本のレーザ光LMによって走査される(
図3参照)。なお、T1とT2の基準値T11,T21は同じであるため、ずれ量ΔT11及びΔT21が同じであれば、t3とt5は同じ時刻となる。
【0080】
時刻t2から書出時間T3(=T31+ΔT31)が経過すると(時刻t7)、制御装置300は、シアン用の第1発光点LD31から露光用のレーザ光LCを出射させる。時刻t7から時間差ΔT3が経過すると(時刻t8)、制御装置300は、シアン用の第2発光点LD32から露光用のレーザ光LCを出射させる。これにより、シアン用のマルチビームレーザLD3から出射された2本のレーザ光LCの書出開始位置が揃えられ、感光ドラム251Cが2本のレーザ光LCによって走査される(
図3参照)。
【0081】
時刻t2から書出時間T4(=T41+ΔT41)が経過すると(時刻t9)、制御装置300は、ブラック用の第1発光点LD41から露光用のレーザ光LKを出射させる。時刻t9から時間差ΔT4が経過すると(時刻t10)、制御装置300は、ブラック用の第2発光点LD42から露光用のレーザ光LKを出射させる。これにより、ブラック用のマルチビームレーザLD4から出射された2本のレーザ光LKの書出開始位置が揃えられ、感光ドラム251Kが2本のレーザ光LKによって走査される(
図3参照)。なお、T3とT4の基準値T31,T41は同じであるため、ずれ量ΔT31及びΔT41が同じであれば、t7とt9は同じ時刻となる。
【0082】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
各発光点LD11,LD12,・・・,LD42から露光用のレーザ光LY〜LKを出射するタイミングを、1つの書出用センサ80Aの検出結果だけを用いて制御することができるので、複数の書出用センサが不要となり、構成を簡易化することができる。
【0083】
パラメータの量子化単位に対応する時間を1画素の走査時間以下としたので、各発光点LD11,LD12,・・・,LD42から露光用のレーザ光LY〜LKを出射するタイミングを1画素の走査時間以下の単位で制御することができる。
【0084】
書出時間の基準値T11〜T41に対するずれ量ΔT11〜ΔT41をメモリ11に記憶させることで、例えば書出時間の測定値をメモリに記憶させる形態と比べ、記憶に要するビット数を少なくすることができるので、データ量を削減することができる。具体的には、前述したように例えば、書出時間の測定値が14.446μsであり、ずれ量ΔT11が−0.173μsである場合には、測定値とずれ量とで桁数が10進数で2桁も違うので、その分、ずれ量のビット数を少なくすることができる。
【0085】
1つのマルチビームレーザ(例えばLD1)に設けられる2つの発光点(例えばLD11,LD12)間の書出時間の時間差(例えばΔT1)をメモリ11に第2発光点LD12〜LD42ごとに記憶させることで、例えば複数の第2発光点LD12〜LD42に対応する書出時間の測定値をそれぞれメモリに記憶させる形態と比べ、記憶に要するビット数を少なくすることができるので、データ量を削減することができる。具体的には、前述したように例えば、第2発光点LD12の書出時間の測定値が14.827μsであり、時間差ΔT1が、−0.381μsである場合には、測定値と時間差とで10進数で桁数が2桁も違うので、その分、時間差のビット数を少なくすることができる。
【0086】
補正用センサ80Bの検出結果に基づいて、1つのマルチビームレーザ(例えばLD1)に設けられる2つの発光点(例えばLD11,LD12)に対応する各パラメータを同じ補正値で補正したので、熱膨張に対応してパラメータを補正した場合であっても、同じ色用の一対の発光点(例えばLD11,LD12)からの露光用のレーザ光の出射タイミングがずれるのを抑えることができる。
【0087】
メモリ11をスキャナユニット1に設けたので、スキャナユニット1を交換する際にメモリ11も一緒に交換することができる。そのため、例えばスキャナユニット1ごとに異なる製造誤差に対応するようにパラメータを設定しておけば、スキャナユニット1を交換するだけで、新たなパラメータに基づいて露光用のレーザ光LY〜LKの出射タイミングを良好に制御することができる。
【0088】
本体筐体210に設けられる本体側メモリ310に、書出時間の基準値T11〜T41を記憶させることで、例えばスキャナユニットのメモリに基準値を記憶させる形態に比べ、スキャナユニット1のメモリ11の記憶容量を小さくすることができるので、スキャナユニット1の製造コストを低くすることができる。
【0089】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0090】
前記実施形態では、メモリ11にずれ量ΔT11〜ΔT41と時間差ΔT1〜ΔT4を記憶させたが、本発明はこれに限定されず、例えば各発光点の書出時間の測定値をメモリに記憶させてもよい。ただし、測定値をメモリに記憶させた場合には、前記実施形態と比べ、メモリの記憶容量を大きくする必要があるので、前記実施形態のように構成するのが望ましい。
【0091】
前記実施形態では、感光体として感光ドラム251を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体であってもよい。
【0092】
前記実施形態では、カラープリンタ200に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。