(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記定電圧生成回路は、前記複数のスイッチ素子の各々に対応して設けられ、スイッチ素子がオン状態のときに印加される電源電圧を用いて前記検出用電圧を生成する複数のツェナーダイオードを備えることを特徴とする請求項1記載の過電流検出回路。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機、複合機等の画像形成装置は、印刷用紙等の記録媒体に画像を形成する動作を行うために、記録媒体を搬送する搬送装置、感光体ドラムを露光して静電潜像を形成する露光装置、感光体ドラムに形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置、トナー像を記録媒体上に転写する転写装置、転写後の感光体ドラムに残存する電荷を除去する除電装置、転写されたトナー像を記録媒体上に定着させる定着装置等を備えている。
【0003】
このため、画像形成装置は、記録媒体を搬送するためのモーター、トナーを補給するためのモーター、感光体ドラムを回転駆動するためのモーター、定着装置を駆動するためのモーター等の各種モーターや、露光に用いる光を照射する露光LED、電荷を除去するための除電光を照射する除電LED等の各種LEDを備えている。
【0004】
このような画像形成装置において、記録媒体の詰まり(紙詰まり:ジャム)に起因して画像形成動作が予期せず停止された場合等に、モーターやLEDに過電流が流れる虞がある。その結果、モーターやLEDの焼損や故障を招く虞がある。このため、画像形成装置は、従来からモーターやLEDに流れる過電流を検出する過電流検出回路を備え、過電流を検出した場合に、モーターやLEDの動作を停止する制御を行っている。
【0005】
下記特許文献1乃至4には、ソレノイドやモーター等の負荷の状態を監視(検出)する技術が開示されている。具体的には、下記特許文献1には、ソレノイド負荷の両端の電位差を計測する差動増幅回路と、この差動増幅回路の出力電圧と基準電圧とを比較する比較器と、をソレノイド負荷毎に設けてソレノイド負荷の正常・異常を監視する技術が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、ステッピングモーターのコイルの断線を示す信号と短絡を示す信号とを排他的論理和回路を用いてまとめ、コイルの断線と短絡とを1つのポートで検出可能にする技術が開示されている。下記特許文献3には、3相(U相、V相、W相)の合成電流を1本の過電流検出用抵抗によって検出し、マイコン内演算によって磁極位置を推定する技術が開示されている。下記特許文献4には、マイクロプロセッサーの1つのポートを通して複数箇所の温度情報を取り込む技術が開示されている。
【0007】
ところで、過電流を検出するには、基本的には上述の特許文献1に開示された技術のように、過電流を検出する過電流検出回路を負荷毎に設け、各々の過電流検出回路の検出結果をコンピュータに取り込む必要がある。しかし、少なくとも十個程度、或いはそれ以上のモーターやLED等の負荷を備える画像形成装置においては、過電流検出回路の検出結果を取り込むために必要となるポート数が多くなる。このため、画像形成装置の構成が複雑になるとともに高価になるという問題がある。
【0008】
ここで、上述の特許文献2乃至4に開示された技術を用いれば、使用するポートの数を削減することができると考えられる。しかし、上述の特許文献2に開示された技術では、使用するポートの数を削減するために排他的論理回路が必要になる。このため、コストが上昇するという問題がある。また、上述の特許文献3及び4に開示された技術では、負荷の状態(駆動中か否か等)を意識する必要があるため、制御が複雑化するという問題がある。
【0009】
これらの問題を回避するため、下記特許文献5には、複数の負荷の状態を意識することなく、簡易且つ安価に負荷に流れる過電流を検出可能な過電流検出回路が開示されている。具体的には、この過電流検出回路には、互いに同じ電源電圧が供給される複数の負荷の各々に対応して、負荷に過電流が流れたときにオン状態になる複数のスイッチ素子が設けられている。
【0010】
更に、この過電流検出回路には、オン状態になったスイッチ素子を介して負荷に供給される電源電圧が印加され、当該印加された電源電圧を分圧して出力端に出力する抵抗分圧回路が設けられている。この抵抗分圧回路は、オン状態になったスイッチ素子の組み合わせに応じて互いに異なる電圧が出力端に現れるように電源電圧を分圧する。これにより、出力端に現れる電圧を参照するだけで、オン状態になったスイッチ素子の組み合わせ、つまり、過電流が流れた負荷を判定可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、互いに異なる電源電圧が供給される複数の負荷に流れる過電流を検出する場合にも、上述の特許文献5に開示された過電流検出回路を採用するとする。しかし、この場合、複数の負荷に同時に過電流が流れると、オン状態になった複数のスイッチ素子を介して、それぞれ異なる電源電圧が抵抗分圧回路に印加される。これにより、高い電源電圧が供給される負荷に対応するスイッチ素子から、低い電源電圧が供給される負荷に対応するスイッチ素子に向けて電流が流れ込む虞がある。その結果、出力端に、オン状態になった複数のスイッチ素子の組み合わせに応じて想定していた電圧が適切に現れず、過電流が流れた負荷を適切に判定できない虞がある。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、互いに異なる電源電圧が供給される複数の負荷に流れる過電流を、負荷の状態を意識することなく簡易且つ適切に検出することができる過電流検出回路、及び当該過電流検出回路を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る過電流検出回路は、互いに異なる電源電圧が供給される複数の負荷に流れる過電流を検出する過電流検出回路において、前記複数の負荷の各々に対応して設けられ、対応する負荷に流れる過電流によってオン状態になる複数のスイッチ素子と、前記複数のスイッチ素子のうちのオン状態になったスイッチ素子を介して当該スイッチ素子に対応する負荷に供給される電源電圧が印加され、当該印加された電源電圧を用いて予め定められた一定レベルの検出用電圧を生成する定電圧生成回路と、前記定電圧生成回路によって生成された前記検出用電圧を分圧して出力端に出力する抵抗分圧回路であって、オン状態になったスイッチ素子の組み合わせに応じて互いに異なる電圧が前記出力端に現れるようにされた抵抗分圧回路とを備え
、前記抵抗分圧回路は、一端が前記複数のスイッチ素子の各々に接続されるとともに他端が前記出力端に接続された複数の第1抵抗と、一端が前記出力端に接続されるとともに他端が接地された第2抵抗と、を備え、前記定電圧生成回路は、一端が前記複数のスイッチ素子の各々に接続されるとともに他端が接地されることで、前記抵抗分圧回路と並列に設けられていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、過電流が流れた負荷の組み合わせに応じて、つまり、オン状態になったスイッチ素子の組み合わせに応じて、異なる電源電圧が定電圧生成回路に印加されたとしても、定電圧生成回路によって一定レベルの検出用電圧が生成される。これにより、抵抗分圧回路は、定電圧生成回路によって生成された一定レベルの検出用電圧を、オン状態になったスイッチ素子の組み合わせに応じて互いに異なる電圧を出力端に出力するように適切に分圧することができる。その結果、出力端に出力された電圧を参照するだけで、互いに異なる電源電圧が供給される複数の負荷に流れる過電流を、負荷の状態を意識することなく簡易且つ適切に検出することができる。
この構成によれば、過電流が流れた負荷の組み合わせに応じて、つまり、オン状態になったスイッチ素子の組み合わせに応じて、異なる電源電圧が定電圧生成回路に印加されたとしても、定電圧生成回路が抵抗分圧回路と並列に接続されているので、オン状態になったスイッチ素子に接続された第1抵抗の一端には、一定レベルの検出用電圧が印加される。これにより、抵抗分圧回路は、オン状態のスイッチ素子の組み合わせに応じて異なる第1抵抗の組み合わせ及び第2抵抗の抵抗値によって定まる、オン状態のスイッチ素子の組み合わせに応じて異なる分圧比で、検出用電圧を適切に分圧することができる。その結果、抵抗分圧回路は、オン状態のスイッチ素子の組み合わせに応じて異なる電圧を適切に出力端に出力することができる。
【0016】
また、前記定電圧生成回路は、前記複数のスイッチ素子の各々に対応して設けられ、スイッチ素子がオン状態のときに印加される電源電圧を用いて前記検出用電圧を生成する複数のツェナーダイオードを備えることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、スイッチ素子の数、つまり、負荷の数と同じ数のツェナーダイオードを用いて、簡易に且つ安価に定電圧生成回路を構成することができる。
【0018】
または、前記検出用電圧は、前記複数の負荷に供給される電源電圧のうちの最小の電源電圧に定められ、前記定電圧生成回路は、前記複数のスイッチ素子のうちの前記最小の電源電圧が供給される負荷に対応する基準スイッチ素子を除くスイッチ素子の各々に対応して設けられ、スイッチ素子がオン状態のときに印加される電源電圧を用いて前記検出用電圧を生成する1以上のツェナーダイオードを備えることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、スイッチ素子の数よりも一つ少ない数、つまり、負荷の数よりも一つ少ない数のツェナーダイオードを用いて、より簡易に且つより安価に定電圧生成回路を構成することができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置は、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、前記過電流検出回路と、前記負荷の駆動を制御するとともに、前記過電流検出回路の前記出力端に現れる電圧を参照して過電流が流れた負荷を判定する制御部とを備えることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、制御部は、過電流検出回路の出力端に現れる電圧を参照して、負荷の状態を意識することなく簡易に、過電流が流れた負荷を判定することができる。これにより、制御部は、過電流が流れた負荷を判定した場合に、当該負荷の駆動を停止させる等の制御を行うことができる。その結果、過電流が流れた影響で負荷が損傷する虞を抑制することができる。
【0024】
また、前記制御部は、前記負荷の駆動を制御する駆動信号を出力する出力ポートと、前記過電流検出回路の前記出力端が接続される入力ポートとを備えることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、負荷の駆動を制御するとともに過電流が流れた負荷を判定可能な制御部を、負荷の駆動を制御する駆動信号を出力するために必要な出力ポートの数よりも1つだけ多い数のポートを備えるようにして、簡易且つ安価に構成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、互いに異なる電源電圧が供給される複数の負荷に流れる過電流を、負荷の状態を意識することなく簡易且つ適切に検出することができる過電流検出回路、及び当該過電流検出回路を備える画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。尚、本実施形態では、画像形成装置として複合機を例に説明するが、これに限定する趣旨ではなく、画像形成装置は、例えば、複写機、プリンター、又はファクシミリ装置であってもよい。
【0029】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態に係る複合機の正面図である。
図1に示すように、複合機1は、本体部1a、スキャナー部1b、及び操作表示パネル1cを備え、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ送信/受信機能を実行可能である。また、複合機1は、ネットワークを介して端末装置から送信されてきた原稿画像データの印刷、スキャナー部1bで読み取った原稿画像データの端末装置に向けた送信等も実行可能である。
【0030】
図2は、複合機1の要部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、複合機1は、CPU(Central Processing Unit)11(制御部)、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、各種センサー群14、用紙搬送部15、画像読取部16、データ格納部17、画像形成部18、通信I/F部19、及び操作表示部20を備えている。
【0031】
CPU11は、ROM12に記憶されている制御プログラムに基づき、各種センサー群14から出力される各種検出信号を参照しつつ、操作表示部20から入力される操作指示又は通信I/F部19を介して入力される端末装置等からの各種指示に応じて複合機1の動作を制御する。例えば、CPU11は、画像読取部16による画像データの読み取り制御、或いは、データ格納部17に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データ、及びファクシミリ画像データ等の各種画像データのプリント制御や送信制御を行う。また、CPU11は、各種センサー群14の一種である後述の過電流検出回路の検出結果を参照して、過電流が流れた部位の判定も行う。
【0032】
ROM12は、CPU11で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶するEEPROM等の不揮発性メモリーである。RAM13は、CPU11が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリーである。
【0033】
各種センサー群14は、用紙切れ検出センサー、用紙詰まり検出センサー、用紙位置検出センサー、温度センサー等の画像形成動作に必要な各種センサーを含む。各センサーは、検出した各種情報を検出信号としてCPU11に出力する。尚、後述の過電流検出回路も各種センサー群14に含まれる。
【0034】
用紙搬送部15は、搬送ローラーや、当該搬送ローラーの駆動用モーター等を備えている。用紙搬送部15は、用紙トレイに収納されている印刷用紙(記録媒体)を画像形成部18に搬送する。また、用紙搬送部15は、画像形成部18で画像形成処理が行われた印刷用紙を図示しない排紙トレイに搬送する。
【0035】
画像読取部16は、ADF(自動原稿送り装置)及びCCD(Charge Coupled Device)等を備えている。画像読取部16は、ADFによって順次搬送される原稿の画像をCCDに読み取らせ、原稿画像に基づく原稿画像データを出力する。尚、画像読取部16から出力された原稿画像データはCPU11を介してデータ格納部17に記憶される。
【0036】
データ格納部17は、例えばハードディスクドライブによって構成されている。データ格納部17には、CPU11の制御の下、各種データが記憶される。例えば、データ格納部17には、原稿画像データ、通信I/F部19が端末装置から受信するプリント画像データ、及び通信I/F部19が公衆網から受信するファクシミリ画像データ等の各種データが記憶される。
【0037】
画像形成部18は、CPU11の制御の下、データ格納部17に格納されている原稿画像データ、プリント画像データ、又はファクシミリ画像データを用いて画像形成処理を行う。具体的には、画像形成部18は、画像形成処理において、感光体ドラム(図略)を回転させながら、感光体ドラムの周面を露光することにより、上記の各種画像データが示す画像の静電潜像を感光体ドラムの周面に形成する。そして、画像形成部18は、トナーカートリッジ(図略)に収容されたトナーを当該形成された静電潜像に供給することにより、感光体ドラムの周面にトナー像を形成する。そして、画像形成部18は、用紙搬送部15によって搬送された印刷用紙にトナー像を転写し、転写された画像を定着ローラーによって印刷用紙に定着させる。その後、画像形成部18は、除電用の光を感光体ドラムの周面に照射することにより、感光体ドラムの周面に残存した電荷を除去する。
【0038】
画像形成部18は、上記画像形成処理を行うために、感光体ドラムを回転駆動するためのモーター、トナーを供給するためのモーター、定着ローラーを駆動するためのモーター等の各種モーターや、露光に用いる光を照射する露光LED、電荷を除去するための除電光を照射する除電LED等の各種LEDを備えている。
【0039】
通信I/F部19は、クライアントコンピュータ(図略)や公衆網(図略)に接続され、クライアントコンピュータや公衆網との間で各種信号の送受信を行う。
【0040】
操作表示部20は、操作表示パネル1cとしてのタッチパネル20a及び各種操作キーを備えている。操作表示部20は、操作キーの操作内容をCPU11に出力するとともに、CPU11の制御の下でタッチパネル20aへ種々の情報を表示する。操作表示部20が備える各種操作キーは、例えばコピー機能切替キー、プリント機能切替キー、スキャン機能切替キー、ファクシミリ機能切替キー、スタートキー、ストップ/クリアキー、電源キー、テンキーが挙げられる。尚、コピー機能切替キー、プリント機能切替キー、スキャン機能切替キー、及びファクシミリ機能切替キーは、各機能をユーザーが使用する場合に、各機能の動作モードへ複合機1を切り替える為のキーである。また、タッチパネル20aに各種ボタンを表示することによって、以上の各種操作キー以外のソフトキーの利用も可能である。
【0041】
〔過電流検出回路〕
図3は、本発明の過電流検出回路の一実施形態に係る過電流検出回路30の回路図である。以下、過電流検出回路30の詳細について説明する。
【0042】
図3に示すように、過電流検出回路30は、CPU11及び駆動回路D1、D2に接続されている。
【0043】
CPU11には、負荷の駆動を制御する駆動信号を出力する複数の出力ポートP11、P12と、負荷に流れる過電流の検出に用いられる入力ポートP21とが設けられている。本実施形態では、出力ポートP11は、除電LED181(負荷)の駆動を制御する駆動信号が出力されるポートであるとする。また、出力ポートP12は、ドラムモーター182(負荷)の駆動を制御する駆動信号が出力されるポートであるとする。
【0044】
尚、除電LED181は、電荷を除去するための除電光を照射するLEDであり、画像形成部18に設けられている。ドラムモーター182は、感光体ドラムを回転駆動するためのモーターであり、画像形成部18に設けられている。
【0045】
出力ポートP11には、駆動回路D1が接続され、出力ポートP12には、駆動回路D2が接続されている。駆動回路D1は、出力ポートP11から出力された駆動信号に応じて、除電LED181を駆動又は停止させる。駆動回路D2は、出力ポートP12から出力された駆動信号に応じて、ドラムモーター182を駆動又は停止させる。
【0046】
具体的には、駆動回路D1、D2には、それぞれ、NPNトランジスターQ1、PNPトランジスターQ2、ダイオードd、及び抵抗R1〜R7が設けられている。
【0047】
駆動回路D1において、NPNトランジスターQ1のベースは、抵抗R6を介して出力ポートP11に接続されている。NPNトランジスターQ1のエミッターは、接地されている。NPNトランジスターQ1のコレクターは、抵抗R1を介してPNPトランジスターQ2のベースに接続されている。PNPトランジスターQ2のエミッターは、除電LED181の駆動に用いる電源電圧VS1(例えば、24V)の給電線(図略)に接続されている。PNPトランジスターQ2のコレクターは、後述のPNPトランジスター31aのエミッター及び抵抗R3に接続されている。
【0048】
次に駆動回路D1の動作について説明する。例えば、出力ポートP11から除電LED181の駆動を示すハイレベルの駆動信号が出力されたとする。この場合、ハイレベルの駆動信号がNPNトランジスターQ1のベースに入力されたことによって、NPNトランジスターQ1のコレクターからエミッターに向けて電流が流れる。これにより、PNPトランジスターQ2のベース電圧が下降し、PNPトランジスターQ2のベース電圧がPNPトランジスターQ2のエミッター電圧よりも低くなると、PNPトランジスターQ2のエミッターからコレクターに向けて電流が流れる。その結果、電源電圧VS1が抵抗R3、R5を介して除電LED181に供給され、除電LED181が駆動する。
【0049】
一方、出力ポートP11から除電LED181の停止を示すローレベルの駆動信号が出力されたとする。この場合、駆動回路D1では、ローレベルの駆動信号がNPNトランジスターQ1のベースに入力されたことによって、NPNトランジスターQ1のコレクターからエミッタに向けて流れていた電流が遮断される。これにより、PNPトランジスターQ2のベース電圧が復帰し、PNPトランジスターQ2のエミッターからコレクターに向けて流れていた電流が遮断される。その結果、除電LED181への電源電圧VS1の供給が遮断され、除電LED181が停止する。
【0050】
駆動回路D2においては、NPNトランジスターQ1のベースは、抵抗R6を介して出力ポートP12に接続されている。また、PNPトランジスターQ2のエミッターは、ドラムモーター182の駆動に用いる電源電圧VS2(例えば、12V)の給電線(図略)に接続されている。PNPトランジスターQ2のコレクターは、後述のPNPトランジスター31bのエミッターに接続されている。その他は、駆動回路D1と同様の構成である。尚、電源電圧VS1と電源電圧VS2は、互いに電圧レベルが異なっている。
【0051】
駆動回路D2の動作は、上述した駆動回路D1の動作と同様である。つまり、出力ポートP12からドラムモーター182の駆動を示すハイレベルの駆動信号が出力された場合、駆動回路D2は、電源電圧VS2を抵抗R3、R5を介してドラムモーター182に供給し、ドラムモーター182を駆動させる。一方、出力ポートP12からドラムモーター182の停止を示すローレベルの駆動信号が出力された場合、駆動回路D2は、ドラムモーター182への電源電圧VS2の供給を遮断し、ドラムモーター182を停止させる。
【0052】
過電流検出回路30は、PNPトランジスター31a、31b(スイッチ素子)と、定電圧生成回路33と、抵抗分圧回路32と、を備え、除電LED181及びドラムモーター182に流れる過電流を検出する。過電流検出回路30の出力端は、CPU11の入力ポートP21に接続されている。
【0053】
PNPトランジスター31aは、除電LED181に流れる過電流を検出するために設けられている。つまり、PNPトランジスター31aは、除電LED181に対応して設けられている。PNPトランジスター31aは、除電LED181に過電流が流れた場合に、エミッターからコレクターに電流が流れる状態(以下、オン状態と示す)になる。
【0054】
具体的には、PNPトランジスター31aのエミッターは、駆動回路D1に設けられたトランジスターQ2のコレクターに接続されている。PNPトランジスター31aのベースは、駆動回路D1に設けられた抵抗R3、R4を介してトランジスターQ2のコレクターに接続されている。
【0055】
つまり、除電LED181に過電流が流れた場合、駆動回路D1に設けられた抵抗R3、R4による電圧降下が大きくなり、PNPトランジスター31aのベース電圧が下降する。これにより、PNPトランジスター31aのベース電圧がPNPトランジスター31aのエミッタ電圧よりも低くなると、PNPトランジスター31aのエミッターからコレクターに向けて電流が流れ、PNPトランジスター31aがオン状態になる。
【0056】
PNPトランジスター31bは、ドラムモーター182に流れる過電流を検出するために設けられている。つまり、PNPトランジスター31bは、ドラムモーター182に対応して設けられている。PNPトランジスター31bは、ドラムモーター182に過電流が流れた場合にオン状態になる。
【0057】
具体的には、PNPトランジスター31bのエミッターは、駆動回路D2に設けられたトランジスターQ2のコレクターに接続されている。PNPトランジスター31bのベースは、駆動回路D2に設けられた抵抗R3、R4を介してトランジスターQ2のコレクターに接続されている。
【0058】
つまり、ドラムモーター182に過電流が流れた場合、駆動回路D2に設けられた抵抗R3、R4による電圧降下が大きくなり、PNPトランジスター31bのベース電圧が下降する。これにより、PNPトランジスター31bのベース電圧がPNPトランジスター31bのエミッタ電圧よりも低くなると、PNPトランジスター31bのエミッターからコレクターに向けて電流が流れ、PNPトランジスター31bがオン状態になる。
【0059】
図4は、過電流検出回路30の等価回路を示す回路図である。
図3及び
図4に示すように、定電圧生成回路33は、抵抗分圧回路32と並列に接続されている。定電圧生成回路33は、オン状態になったPNPトランジスター31a、31bを介して印加される電源電圧VS1、VS2を用いて、一定レベルの検出用電圧を生成する。
【0060】
具体的には、定電圧生成回路33には、PNPトランジスター31a、31bの各々に対応する2つのツェナーダイオード33a、33bが設けられている。ツェナーダイオード33aのカソードは、PNPトランジスター31aに接続され、アノードは接地されている。同様に、ツェナーダイオード33bのカソードは、PNPトランジスター31aに接続され、アノードは接地されている。ツェナーダイオード33a、33bのツェナー電圧VSは、互いに同じ電圧レベルに設定されている。また、ツェナー電圧VSは、電源電圧VS1、VS2のうちの最小の電源電圧VS2以下の電圧レベル(例えば10V)に定められている。
【0061】
次に定電圧生成回路33の動作について説明する。例えば、除電LED181に過電流が流れ、PNPトランジスター31aがオン状態になったとする。この場合、ツェナー電圧VSよりも大きい電源電圧VS1が、ツェナーダイオード33aに印加される。これにより、ツェナーダイオード33aに電流が流れ、ツェナーダイオード33aは、PNPトランジスター31aとの接続点にツェナー電圧VSを印加する。その結果、PNPトランジスター31aがオン状態になった場合に分圧抵抗32aに印加される電圧が、ツェナー電圧VSに抑制される。
【0062】
これと同様に、ドラムモーター182に過電流が流れ、PNPトランジスター31bがオン状態になったとする。この場合、ツェナー電圧VSよりも大きい電源電圧VS2がツェナーダイオード33bに印加される。これにより、ツェナーダイオード33bに電流が流れ、ツェナーダイオード33bは、PNPトランジスター31bとの接続点にツェナー電圧VSを印加する。その結果、PNPトランジスター31bがオン状態になった場合に分圧抵抗32bに印加される電圧が、ツェナー電圧VSに抑制される。
【0063】
このようにして、定電圧生成回路33は、オン状態になったPNPトランジスター31a、31bを介して印加される電源電圧VS1、VS2を用いて、ツェナー電圧VSと同じ一定レベルの検出用電圧を生成する。また、当該生成された検出用電圧は、定電圧生成回路33と並列に接続された抵抗分圧回路32に印加される。
【0064】
尚、検出用電圧はツェナー電圧VSと同じ電圧レベルであるので、以下、検出用電圧を検出用電圧VSと示す。また、ツェナーダイオード33a、33bに代えて、印加された電圧を検出用電圧VSに抑制する他の定電圧素子を定電圧生成回路33に備えてもよい。
【0065】
抵抗分圧回路32には、定電圧生成回路33により生成された検出用電圧VSが印加される。抵抗分圧回路32は、当該印加された検出用電圧VSを分圧して出力端32dに出力する。抵抗分圧回路32の出力端32dは、過電流検出回路30の出力端として、CPU11の入力ポートP21に接続されている。
【0066】
具体的には、抵抗分圧回路32は、分圧抵抗32a、32b(第1抵抗)と分圧抵抗32c(第2抵抗)とを備えている。分圧抵抗32aは、一端がPNPトランジスター31aのコレクターに接続され、他端が接続点Xに接続されている。分圧抵抗32bは、一端がPNPトランジスター31bのコレクターに接続され、他端が接続点Xに接続されている。分圧抵抗32cは、一端が接続点Xに接続され、他端が接地されている。抵抗分圧回路32の出力端32dは、分圧抵抗32a、32bと分圧抵抗32cとの接続点Xに接続されている。
【0067】
分圧抵抗32a〜32cの抵抗値は、オン状態になったPNPトランジスター31a、31bの組み合わせに応じて互いに異なる電圧が出力端32dに現れるように設定されている。これは、除電LED181に過電流が流れたのか、ドラムモーター182に過電流が流れたのか、或いは除電LED181とドラムモーター182との双方に過電流が流れたのかを判別可能にするためである。
図4では、分圧抵抗32a、32b、32cの抵抗値を、それぞれ、R11、R12、R20と示している。
【0068】
図5は、抵抗分圧回路32の等価回路を示す回路図である。除電LED181のみに過電流が流れた場合、PNPトランジスター31aのみがオン状態になる。この場合、抵抗分圧回路32は、
図5(a)に示す等価回路で表される。この場合、出力端32dに現れる電圧Vは、以下の式で表される。
V=VS×R20/(R20+R11)
【0069】
一方、ドラムモーター182のみに過電流が流れた場合、PNPトランジスター31bのみがオン状態になる。この場合、抵抗分圧回路32は、
図5(a)に示す等価回路の分圧抵抗32aを分圧抵抗32bに置き換えた等価回路で表される。この場合、出力端32dに現れる電圧Vは、以下の式で表される。
V=VS×R20/(R20+R12)
【0070】
これに対し、除電LED181とドラムモーター182の双方に過電流が流れた場合、PNPトランジスター31a、31bの双方がオン状態になる。この場合、抵抗分圧回路32は、
図5(b)に示す等価回路で表され、出力端32dに現れる電圧Vは、以下の式で表される。
V=VS×R20/(R20+(R11×R12)/(R11+R12))
【0071】
このように、過電流検出回路30の出力端である出力端32dには、除電LED181に過電流が流れたのか、ドラムモーター182に過電流が流れたのか、或いは除電LED181とドラムモーター182との双方に過電流が流れたのかに応じて、互いに異なる電圧Vが現れる。
【0072】
上記実施形態の構成によれば、過電流が流れた負荷(除電LED181、ドラムモーター182)の組み合わせに応じて、つまり、オン状態になったPNPトランジスター31a、31bの組み合わせに応じて、異なる電源電圧が定電圧生成回路33に印加されたとしても、定電圧生成回路33によって一定レベルの検出用電圧VSが生成される。また、定電圧生成回路33が抵抗分圧回路32と並列に接続されているので、オン状態になったPNPトランジスター31a、31bに接続された分圧抵抗32a、32bの一端には、一定レベルの検出用電圧VSが印加される。
【0073】
これにより、抵抗分圧回路32は、オン状態のPNPトランジスター31a、31bの組み合わせに応じて異なる分圧抵抗32a、32bの組み合わせ及び分圧抵抗32cの抵抗値(R11、R12の組み合わせ及びR20)によって定まる、オン状態のPNPトランジスター31a、31bの組み合わせに応じて異なる分圧比で、検出用電圧VSを適切に分圧することができる。その結果、抵抗分圧回路32は、オン状態のPNPトランジスター31a、31bの組み合わせに応じて異なる電圧を適切に出力端32dに出力することができる。つまり、抵抗分圧回路32は、定電圧生成回路33によって生成された一定レベルの検出用電圧VSを、オン状態になったPNPトランジスター31a、31bの組み合わせに応じて互いに異なる電圧を出力端32dに出力するように適切に分圧することができる。
【0074】
また、PNPトランジスター31a、31bの数、つまり、負荷の数と同じ数のツェナーダイオード33a、33bを用いて、簡易に且つ安価に定電圧生成回路33を構成することができる。
【0075】
また、CPU11は、過電流検出回路30の出力端に現れる電圧を参照して、負荷の状態を意識することなく簡易に、過電流が流れた負荷を判定することができる。これにより、CPU11は、過電流が流れた負荷を判定した場合に、当該負荷の駆動を停止させる等の制御を行うことができる。その結果、過電流が流れた影響で負荷が損傷する虞を抑制することができる。
【0076】
また、負荷の駆動を制御するとともに過電流が流れた負荷を判定可能なCPU11を、負荷の駆動を制御する駆動信号を出力するために必要な出力ポートの数よりも1つだけ多い数のポートを備えるようにして、簡易且つ安価に構成することができる。
【0077】
尚、
図1乃至
図5に示した構成等は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
【0078】
例えば、ツェナーダイオード33bを備えないように簡素化し、ツェナーダイオード33aのツェナー電圧を電源電圧VS2と同じ電圧レベルに設定してもよい。
【0079】
つまり、複数のPNPトランジスター31a、31bのうちの最小の電源電圧VS2が供給される負荷に対応するPNPトランジスター31b(基準スイッチ素子)を除くPNPトランジスター31aの各々に対応する、1以上のツェナーダイオード33aを定電圧生成回路33に備えるようにしてもよい。これに合わせて、当該1以上のツェナーダイオード33aのツェナー電圧を、前記最小の電源電圧VS2と同じ電圧レベルに設定してもよい。即ち、当該1以上のツェナーダイオード33aが、それぞれ、トランジスターがオン状態のときに印加される電源電圧を用いて、前記最小の電源電圧VS2と同じ電圧レベルの検出用電圧VSを生成するようにしてもよい。
【0080】
この場合、PNPトランジスターの数よりも一つ少ない数、つまり、負荷の数よりも一つ少ない数のツェナーダイオードを用いて、より簡易に且つより安価に定電圧生成回路33を構成することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、本発明に係る過電流検出回路を複合機1に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明に係る過電流検出回路は、複合機1に限らず、プリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置にも適用可能である。