(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3の電極層を形成する工程は、10nm以上の厚さで前記第3の電極層を形成する工程である、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第2の電極層の厚さAと前記第3の電極層の厚さBとの比A/Bは、0.25以上4.0以下である、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第2の電極層の厚さAと前記第3の電極層の厚さBとの比A/Bは、0.33以上3.3以下である、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記積層工程は、前記半導体層の上から、前記半導体層の上に形成された他の電極の上にわたって、前記電極を形成する工程である、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記積層工程は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る前記半導体層の上に、前記電極を形成する工程である、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記熱処理工程は、450℃以上700℃以下の処理温度で、前記電極に対して前記熱処理を行う工程である、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.第1実施形態
A−1.半導体装置の構成
図1は、第1実施形態における半導体装置100の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置100は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置100は、縦型トレンチMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。本実施形態では、半導体装置100は、電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。
【0022】
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。
図1のXYZ軸のうち、X軸は、
図1の紙面左から紙面右に向かう軸である。+X軸方向は、紙面右に向かう方向であり、−X軸方向は、紙面左に向かう方向である。
図1のXYZ軸のうち、Y軸は、
図1の紙面手前から紙面奥に向かう軸である。+Y軸方向は、紙面奥に向かう方向であり、−Y軸方向は、紙面手前に向かう方向である。
図1のXYZ軸のうち、Z軸は、
図1の紙面下から紙面上に向かう軸である。+Z軸方向は、紙面上に向かう方向であり、−Z軸方向は、紙面下に向かう方向である。
【0023】
半導体装置100は、基板110と、半導体層112と、半導体層114と、半導体層116とを備える。半導体装置100は、これらの半導体層112,114,116に形成された構造として、トレンチ122と、リセス124と、トレンチ128とを有する。半導体装置100は、更に、絶縁膜130と、ソース電極140と、ゲート電極150と、ドレイン電極160と、ボディ電極170とを備える。
【0024】
半導体装置100の基板110は、X軸およびY軸に沿って広がる板状を成す半導体である。本実施形態では、基板110は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本明細書の説明において、「窒化ガリウム(GaN)から主に成る」とは、モル分率において窒化ガリウム(GaN)を90%以上含有することを意味する。本実施形態では、基板110は、ケイ素(Si)をドナー元素として含有するn型半導体である。本実施形態では、基板110に含まれるケイ素(Si)濃度の平均値は、約1×10
18cm
−3である。
【0025】
半導体装置100の半導体層112は、基板110の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がる半導体層である。本実施形態では、半導体層112は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層112は、ケイ素(Si)をドナー元素として含有するn型半導体である。本実施形態では、半導体層112に含まれるケイ素(Si)濃度の平均値は、約1×10
16cm
−3である。本実施形態では、半導体層112の厚さ(Z軸方向の長さ)は、約10μm(マイクロメートル)である。
【0026】
半導体装置100の半導体層114は、半導体層112の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がる半導体層である。本実施形態では、半導体層114は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層114は、マグネシウム(Mg)をアクセプタ元素として含有するp型半導体である。本実施形態では、半導体層114に含まれるマグネシウム(Mg)濃度の平均値は、約4×10
18cm
−3である。本実施形態では、半導体層114の厚さ(Z軸方向の長さ)は、約1.0μmである。
【0027】
半導体装置100の半導体層116は、半導体層114の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がる半導体層である。本実施形態では、半導体層116は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層116は、ケイ素(Si)をドナー元素として含有するn型半導体である。本実施形態では、半導体層116に含まれるケイ素(Si)濃度の平均値は、約3×10
18cm
−3である。本実施形態では、半導体層116の厚さ(Z軸方向の長さ)は、約0.2μmである。
【0028】
半導体装置100のトレンチ122は、半導体層112,114,116に形成され、半導体層112,114,116の厚さ方向(−Z軸方向)に落ち込んだ溝部である。トレンチ122は、半導体層116の+Z軸方向側から半導体層114を貫通し半導体層112に至る。本実施形態では、トレンチ122は、半導体層112,114,116に対するドライエッチングによって形成された構造である。
【0029】
半導体装置100のリセス124は、半導体層116の+Z軸方向側から半導体層114にわたって窪んだ凹部である。本実施形態では、リセス124は、半導体層114,116に対するドライエッチングによって形成された構造である。
【0030】
半導体装置100のトレンチ128は、トレンチ122から離れた位置において半導体層112,114,116に形成され、半導体層112,114,116の厚さ方向(−Z軸方向)に落ち込んだ溝部である。トレンチ128は、半導体層116の+Z軸方向側から半導体層114を貫通し半導体層112に至る。これによって、トレンチ128は、基板110上に形成された他の素子から半導体装置100を分離する。本実施形態では、トレンチ128は、半導体層112,114,116に対するドライエッチングによって形成された構造である。
【0031】
半導体装置100の絶縁膜130は、電気絶縁性を有する膜である。絶縁膜130は、トレンチ122の内側から外側にわたって形成されている。本実施形態では、絶縁膜130は、トレンチ122の内側から外側に加え、半導体層114および半導体層116における+Z軸方向側の界面、並びに、トレンチ128の内側から外側にわたって形成されている。本実施形態では、絶縁膜130は、二酸化ケイ素(SiO
2)から主に成る。本実施形態では、絶縁膜130は、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)によって形成された膜である。
【0032】
絶縁膜130は、コンタクトホール136と、コンタクトホール138とを有する。コンタクトホール136は、絶縁膜130を貫通して半導体層116に至る開口である。コンタクトホール138は、絶縁膜130を貫通して半導体層114に至る開口である。本実施形態では、コンタクトホール136,138は、絶縁膜130に対するウェットエッチングによって形成された構造である。
【0033】
半導体装置100のソース電極140は、コンタクトホール136に形成された電極である。ソース電極140は、n型半導体である半導体層116に対してオーミック接触する。
【0034】
図2は、ソース電極140の詳細構造を示す説明図である。ソース電極140は、複数の電極層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。本実施形態では、ソース電極140は、複数の電極層として、4層の電極層141,142,143,144を備える。本実施形態では、ソース電極140の各電極層は、蒸着によって形成された金属層である。
【0035】
ソース電極140の電極層141は、半導体層116の上に形成された他の電極層である。本実施形態では、電極層141は、チタン(Ti)から主に成る。電極層141の厚さ(Z軸方向の長さ)は、5nm(ナノメートル)以上50nm以下であればよい。ソース電極140の接触抵抗を抑制する観点から、電極層141の厚さは5nm以上であることが好ましく、製造コストを抑制する観点から、電極層141の厚さは50nm以下であることが好ましい。本実施形態では、電極層141の厚さは、約30nmである。
【0036】
ソース電極140の電極層142は、アルミニウム(Al)から主に成る第1の電極層である。本実施形態では、電極層142は、電極層141の上に形成されている。電極層142の厚さ(Z軸方向の長さ)は、100nm以上1000nm以下であればよい。ソース電極140の接触抵抗を抑制する観点から、電極層142の厚さは100nm以上であることが好ましく、製造コストを抑制する観点から、電極層142の厚さは1000nm以下であることが好ましい。本実施形態では、電極層142の厚さは、約200nmである。
【0037】
ソース電極140の電極層143は、電極層142と電極層144との間に挟まれた第2の電極層である。本実施形態では、電極層143は、モリブデン(Mo)から主に成る。モリブデン(Mo)は、アルミニウム(Al)より高い融点を有するとともに、450℃以上でアルミニウム(Al)と反応する導電性材料である。電極層143の材料としては、ソース電極140を熱処理する温度ではアルミニウム(Al)と反応せず、ソース電極140を熱処理する温度より高い温度でアルミニウム(Al)と反応する材料が好ましい。電極層143の厚さA(Z軸方向の長さ)は、10nm以上1000nm以下であればよい。ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制する観点から、電極層143の厚さAは、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、50nm以上であることがいっそう好ましい。製造コストを抑制する観点から、電極層143の厚さAは、電極層143の厚さAは1000nm以下であることが好ましい。本実施形態では、電極層143の厚さAは、約50nmである。
【0038】
ソース電極140の電極層144は、電極層143の上に形成され、パラジウム(Pd)から主に成る第3の電極層である。電極層144は、ソース電極140における複数の電極層のうち半導体層116から最も離れた最外層である。電極層144は、半導体装置100の外部に露出している。電極層144の厚さ
B(Z軸方向の長さ)は、10nm以上1000nm以下であればよい。ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制する観点から、電極層144の厚さB(Z軸方向の長さ)は10nm以上であることが好ましく、製造コストを抑制する観点から、電極層144の厚さBは1000nm以下であることが好ましい。本実施形態では、電極層144の厚さBは、約50nmである。ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制する観点から、電極層143の厚さAと電極層144の厚さBとの比A/Bは、0.25以上4.0以下であることが好ましく、0.33以上3.3以下であることがいっそう好ましい。本実施形態では、比A/Bは1.0である。
【0039】
図1の説明に戻り、半導体装置100のゲート電極150は、絶縁膜130を介してトレンチ122に形成された電極である。本実施形態では、ゲート電極150は、アルミニウム(Al)から主に成る。ゲート電極150に電圧が印加された場合、半導体層114に反転層が形成され、この反転層がチャネルとして機能することによって、ソース電極140とドレイン電極160との間に導通経路が形成される。
【0040】
半導体装置100のドレイン電極160は、基板110の−Z軸方向側の界面に形成された電極である。ドレイン電極160は、基板110に対してオーミック接触する。本実施形態では、ドレイン電極160は、チタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
【0041】
半導体装置100のボディ電極170は、コンタクトホール138に形成された電極である。ボディ電極170は、半導体層114にオーミック接触する。本実施形態では、ボディ電極170は、半導体層114の上にパラジウム(Pd)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
【0042】
A−2.半導体装置の製造方法
図3は、第1実施形態における半導体装置100の製造方法を示す工程図である。まず、製造者は、基板110の上に半導体層112,114,116を結晶成長によって形成する(工程P11
0)。本実施形態では、製造者は、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を用いて半導体層112,114,116を形成する。
【0043】
図4は、製造途中にある半導体装置100aの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態では、製造者は、MOCVDを用いて基板110の上に半導体層112,114,116を順に形成する。これによって、製造者は、基板110の上に半導体層112,114,116が順に形成された半導体装置100aを得る。
【0044】
図3の説明に戻り、半導体層112,114,116を形成した後
(工程P110)、製造者は、ドライエッチングによってトレンチ122,128およびリセス124を形成する(工程P115)。本実施形態では、製造者は、塩素系ガスを用いたドライエッチングによってトレンチ122,128およびリセス124を形成する。
【0045】
図5は、製造途中にある半導体装置100bの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態では、製造者は、ドライエッチングによって半導体装置100aの半導体層112,114,116にトレンチ122,128およびリセス124を形成する。これによって、製造者は、トレンチ122,128およびリセス124が形成された半導体装置100bを得る。
【0046】
図3の説明に戻り、トレンチ122,128およびリセス124を形成した後(工程P115)、製造者は、絶縁膜130を形成する(工程P120)。本実施形態では、製造者は、原子層堆積法(ALD)によって、二酸化ケイ素(SiO
2)から主に成る絶縁膜130を形成する。
【0047】
図6は、製造途中にある半導体装置100cの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態では、製造者は、半導体装置100bの半導体層112,114,116における+Z軸方向側に露出した表面の全域に絶縁膜130を形成する。これによって、製造者は、トレンチ122,128およびリセス124にわたって絶縁膜130が形成された半導体装置100cを得る。
【0048】
図3の説明に戻り、絶縁膜130を形成した後(工程P120)、製造者は、ウェットエッチングによって絶縁膜130にコンタクトホール136,138を形成する(工程P125)。
【0049】
図7は、製造途中にある半導体装置100dの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態では、製造者は、ウェットエッチングによって半導体装置100cの絶縁膜130にコンタクトホール136,138を形成する。これによって、製造者は、コンタクトホール136,138が形成された半導体装置100dを得る。
【0050】
図3の説明に戻り、コンタクトホール136,138を形成した後(工程P125)、製造者は、半導体層116の上に複数の電極層を積層する積層工程を実施することによって、ソース電極140を形成する(工程P132)。本実施形態では、製造者は、コンタクトホール136から露出している半導体層116の上に、複数の電極層141,142,143,144を積層する(
図2を参照)。本実施形態では、製造者は、自己整合を適用し、コンタクトホール136の形成に用いたレジストマスクを、ソース電極140の形成に利用する。
【0051】
積層工程において、製造者は、チタン(Ti)から主に成る電極層141を、蒸着によって半導体層116の上に形成する。電極層141の厚さは、5nm以上50nm以下であればよい。本実施形態では、製造者は、約30nmの厚さで電極層141を形成する。
【0052】
電極層141を形成した後、製造者は、アルミニウム(Al)から主に成る電極層142を、蒸着によって電極層141の上に形成する。電極層142の厚さは、100nm以上1000nm以下であればよい。本実施形態では、製造者は、約200nmの厚さで電極層142を形成する。
【0053】
電極層142を形成した後、製造者は、モリブデン(Mo)から主に成る電極層143を、蒸着によって電極層142の上に形成する。電極層143の厚さは、10nm以上1000nm以下であればよい。本実施形態では、製造者は、約50nmの厚さで電極層143を形成する。
【0054】
電極層143を形成した後、製造者は、パラジウム(Pd)から主に成る電極層144を、蒸着によって電極層143の上に形成する。電極層144の厚さは、10nm以上1000nm以下であればよい。本実施形態では、製造者は、約50nmの厚さで電極層144を形成する。ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制する観点から、電極層143の厚さAと電極層144の厚さBとの比A/Bは、0.25以上4.0以下であることが好ましく、0.33以上3.3以下であることがいっそう好ましい。本実施形態では、比A/Bは1.0である。
【0055】
図3の説明に戻り、ソース電極140を形成した後(工程P132)、製造者は、ボディ電極170を形成する(工程P134)。本実施形態では、製造者は、コンタクトホール138から露出している半導体層114の上に、パラジウム(Pd)から主に成る電極層を
ボディ電極170として蒸着によって形成する。本実施形態では、製造者は、自己整合を適用し、コンタクトホール138の形成に用いたレジストマスクを、ボディ電極170の形成に利用する。他の実施形態では、製造者は、ソース電極140を形成する前に、ボディ電極170を形成してもよい。
【0056】
ソース電極140およびボディ電極170を形成した後(工程P132,P134)、製造者は、ソース電極140およびボディ電極170に対して熱処理(アニール処理)を行う熱処理工程を実施することによって、ソース電極140およびボディ電極170の接触抵抗を低減する(工程P138)。熱処理を実施する時間は、1分から10分の間であればよい。熱処理を実施する処理温度は、500℃以上700℃以下であればよい。熱処理を実施する雰囲気は、窒素(N
2)でもよいし、アルゴン(Ar)でもよく、酸素を含有してもよいし、真空中でもよい。本実施形態では、製造者は、窒素から主に成る気体の中において、550℃の処理温度で5分間の条件で、ソース電極140およびボディ電極170に対して熱処理を行う。他の実施形態では、製造者は、ソース電極140およびボディ電極170の各電極に対する熱処理を別々に実施してもよい。
【0057】
図8は、製造途中にある半導体装置100eの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態では、製造者は、半導体装置100dのコンタクトホール136にソース電極140を形成し、半導体装置100dのコンタクトホール138にボディ電極170を形成する。その後、製造者は、ソース電極140およびボディ電極170に対して熱処理を行う。これによって、製造者は、ソース電極140およびボディ電極170が形成された半導体装置100eを得る。
【0058】
図9は、製造途中にある半導体装置100fの構成を模式的に示す断面図である。熱処理工程を実施した後(工程P138)、製造者は、半導体装置100eの+Z軸方向側に露出する表面に対して、ゲート電極150の元となる電極層180を形成する(工程P140)。本実施形態では、製造者は、アルミニウム(Al)から主に成る電極層180を蒸着によって形成する。本実施形態では、半導体装置100eの+Z軸方向側に露出する表面の全域にわたって電極層180を形成する。これによって、製造者は、+Z軸方向側における表面の全域にわたって電極層180が形成された半導体装置100fを得る。
【0059】
図3の説明に戻り、電極層180を形成した後(工程P140)、製造者は、ドライエッチングによって電極層180からゲート電極150を形成する(工程P145)。本実施形態では、製造者は、電極層180のうちトレンチ122およびその周囲を除く部分をドライエッチングによって除去することによって、電極層180のうちドライエッチングで残された部分としてゲート電極150を形成する。ドライエッチングによってゲート電極150を形成する際、ソース電極140およびボディ電極170は、ドライエッチングに曝される。本実施形態では、製造者は、塩素(Cl
2)、塩化ホウ素(BCl
2)および窒素(N
2)を主成分とする混合ガスを用いて、誘導結合方式(ICP:Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングによってゲート電極150を形成する。
【0060】
図10は、製造途中にある半導体装置100gの構成を模式的に示す断面図である。本実施形態では、製造者は、ドライエッチングによって半導体装置100fにおける電極層180の一部を除去することによって、ゲート電極150を形成する。これによって、製造者は、ゲート電極150が形成された半導体装置100gを得る。
【0061】
図3の説明に戻り、ゲート電極150を形成した後(工程P145)、製造者は、基板110の−Z軸方向側にドレイン電極160を形成する(工程P150)。本実施形態では、製造者は、チタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)を行うことによって、ドレイン電極160を形成する。これらの工程を経て、半導体装置100が完成する。
【0062】
A−3.変形例
図11は、第1実施形態の変形例におけるソース電極140Bの詳細構造を示す説明図である。変形例のソース電極140Bは、電極層142と電極層144との間に挟まれた電極層143として、2層の電極層143a,143bを備える点を除き、
図2のソース電極140と同様である。他の変形例では、ソース電極140Bは、電極層143として3層以上の電極層を備えてもよい。
【0063】
ソース電極140Bの電極層143aは、電極層142の上に形成され、モリブデン(Mo)から主に成る。ソース電極140Bの電極層143bは、電極層143aの上に形成され、バナジウム(V)から主に成る。バナジウム(V)は、モリブデン(Mo)と同様に、アルミニウム(Al)より高い融点を有するとともに、450℃以上の温度でアルミニウム(Al)と反応する導電性材料である。
【0064】
電極層143a,143bを含む電極層143の厚さA(Z軸方向の長さ)は、10nm以上1000nm以下であればよい。ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制する観点から、電極層143の厚さAは20nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、製造コストを抑制する観点から、電極層143の厚さAは1000nm以下であることが好ましい。本変形例では、電極層143の厚さAは約100nmであり、そのうち、電極層143aの厚さは約50nmであり、電極層143bの厚さは約50nmである。変形例においても、ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制する観点から、電極層143の厚さAと電極層144の厚さBとの比A/Bは、0.25以上4.0以下であることが好ましく、0.33以上3.3以下であることがいっそう好ましい。本変形例では、比A/Bは2.0である。
【0065】
A−4.第1評価試験
図12は、第1評価試験におけるオン抵抗に関する評価結果を示すグラフである。第1評価試験では、試験者は、ソース電極の構成が異なる半導体装置として試料A1,A2,A3を作製した。試料A1は、ソース電極における多層構造が異なる点を除き、半導体装置100と同様である。試料A2は、半導体装置100と同様であり、
図2の多層構造を有するソース電極140を備える。試料A3は、ソース電極における多層構造が異なる点を除き、半導体装置100と同様であり、
図11の多層構造を有するソース電極140Bを備える。各試料におけるソース電極の多層構造は、次のとおりである。
【0066】
<試料A1のソース電極>
半導体層116側から順に
1層目:チタン(Ti)から主に成る電極層(厚さ30nm)
2層目:アルミニウム(Al)から主に成る電極層(厚さ200nm)
3層目:パラジウム(Pd)から主に成る電極層(厚さ50nm)
【0067】
<試料A2のソース電極>
半導体層116側から順に
1層目:チタン(Ti)から主に成る電極層(厚さ30nm)
2層目:アルミニウム(Al)から主に成る電極層(厚さ200nm)
3層目:モリブデン(Mo)から主に成る電極層(厚さ50nm)
4層目:パラジウム(Pd)から主に成る電極層(厚さ50nm)
【0068】
<試料A3のソース電極>
半導体層116側から順に
1層目:チタン(Ti)から主に成る電極層(厚さ30nm)
2層目:アルミニウム(Al)から主に成る電極層(厚さ200nm)
3層目:モリブデン(Mo)から主に成る電極層(厚さ50nm)
4層目:バナジウム(V)から主に成る電極層(厚さ50nm)
5層目:パラジウム(Pd)から主に成る電極層(厚さ50nm)
【0069】
試験者は、試料A1,A2,A3のオン抵抗を測定した。試験者は、試料A1,A2,A3の各試料におけるオン抵抗の平均値について、試料A1のオン抵抗の平均値を基準とする比(オン抵抗比)を算出し、
図12の評価結果を得た。試料A2のオン抵抗比は、試料A1のオン抵抗比より小さく、試料A3のオン抵抗比は、試料A2のオン抵抗比より小さい。この結果は、アルミニウム(Al)から主に成る電極層と、パラジウム(Pd)から主に成る電極層との間に、モリブデン(Mo)から主に成る電極層、およびバナジウム(V)から主に成る電極層を形成すること起因して、ソース電極においてドライエッチングによる接触抵抗の増大が抑制されたためと考えられる。試料A2,A3では、モリブデン(Mo)から主に成る電極層、およびバナジウム(V)から主に成る電極層によって、ソース電極に熱処理を行う際にソース電極の表面近傍へのアルミニウム(Al)の拡散が抑制されるため、ドライエッチングによってアルミニウム(Al)が浸食されることによるソース電極の損傷が抑制されると考えられる。
【0070】
A−5.第2評価試験
図13は、第2評価試験における電極に関する評価結果を示す表である。第2評価試験では、試験者は、異なる多層構造を有する電極を有する試料B1〜B10を作製した。
【0071】
図14は、第2評価試験に用いた試料である半導体装置200の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置200は、半導体層216と、電極240とを備える。半導体装置200の半導体層216は、サファイアから主に成る基板にバッファ層およびGaN系真性半導体層を介して形成された点を除き、半導体装置100の半導体層116と同様である。
【0072】
半導体装置200の電極240は、n型半導体である半導体層216の上に形成されている。電極240は、複数の電極層L1,L2,L3,L4を備える。電極層L1は、半導体層216の上に形成されている。電極層L2は、電極層L1の上に形成されている。電極層L3は、電極層L2の上に形成されている。電極層L4は、電極層L3の上に形成されている。試料B1では、電極層L3は形成されておらず、電極層L4は、電極層L2の上に形成されている。試料B9,B10では、電極層L3は2層から成る。試験者は、電極240の各電極層を蒸着によって形成した後、窒素から主に成る気体の中において、550℃の処理温度で5分間の条件で、各試料の電極240に対して熱処理を行った。
【0073】
図15は、第2評価試験において電極240に対してドライエッチングを実施する様子を示す説明図である。試験者は、各試料の電極240に対して熱処理を行った後、電極240の+Z軸方向側の表面を露出させるフォトレジスト290を形成した。その後、試験者は、フォトレジスト290から露出している電極240に対して、塩素(Cl
2)、塩化ホウ素(BCl
2)および窒素(N
2)を主成分とする混合ガスを用いて、1分間、ICPドライエッチングを行った。このドライエッチングの条件は、アルミニウム(Al)、並びに、モル分率において90%以上のAlを含有するアルミニウム−シリコン合金(AlSi)を、800nm/分の割合でドライエッチングする条件である。試験者は、電極240に対するドライエッチングを行った後、半導体装置200からフォトレジスト290を除去した。
【0074】
試験者は、各試料について、電極240に対してドライエッチングを実施する前に電極240の接触抵抗を測定するとともに、電極240に対してドライエッチングを実施した後に電極240の接触抵抗を測定した。その後、試験者は、各試料の電極240の接触抵抗について、ドライエッチング前と比較した増加率を算出した。
【0075】
第2評価試験によれば、アルミニウム(Al)から主に成る電極層L2と、パラジウム(Pd)から主に成る電極層L4との間に、アルミニウム(Al)より高い融点を有するとともに450℃以上の温度でアルミニウム(Al)と反応する材料から主に成る電極層L3を形成することによって、ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制できることが分かる。また、ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制する観点から、電極層L3の厚さAと電極層L4の厚さBとの比A/Bは、0.25以上4.0以下であることが好ましく、0.33以上3.3以下であることがいっそう好ましいと考えられる。接触抵抗の増加率が1より高くても、ドライエッチング後の接触抵抗が低ければ望ましい電極といえる。接触抵抗の増加率およびドライエッチング後の接触抵抗が比較的に低い試料B4,B7,B9,B10の電極は、ソース電極として特に望ましい構造である。
【0076】
A−6.効果
以上説明した第1実施形態によれば、ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制可能なソース電極140を形成できる。その結果、半導体装置100を製造する工程の自由度を向上できる。
【0077】
B.第2実施形態
図16は、第2実施形態における半導体装置300の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置300は、第1実施形態のソース電極140とは異なるソース電極340Cを備える点を除き、第1実施形態の半導体装置100と同様である。半導体装置300のソース電極340Cは、コンタクトホール136における半導体層116の上からボディ電極170の上にわたって形成されている点を除き、第1実施形態のソース電極140と同様である。
【0078】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ドライエッチングによる接触抵抗の増大を抑制可能なソース電極340Cを形成できる。その結果、半導体装置300を製造する工程の自由度を向上できる。また、ソース電極340Cがボディ電極170を覆っているため、ソース電極340Cによってドライエッチングからボディ電極170を保護できる。
【0079】
C.他の実施形態
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0080】
本発明が適用される半導体装置は、上述の実施形態で説明した縦型トレンチMOSFETに限られず、オーミック電極を備える半導体装置であればよく、例えば、横型MOSトランジスタ、接合型トランジスタ、バイポーラトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)およびサイリスタなどであってもよい。第1実施形態において、ボディ電極170が形成されていなくてもよく、リセス124およびコンタクトホール138についても形成されていなくてもよい。
【0081】
上述の実施形態において、基板の材質は、窒化ガリウム(GaN)に限らず、ケイ素(Si)、サファイア(Al
2O
3)および炭化ケイ素(SiC)などのいずれであってもよい。上述の実施形態において、各半導体層の材質は、窒化ガリウム(GaN)に限らず、ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、ヒ化ガリウム(GaAs)およびリン化インジウム(InP)などのいずれであってもよい。
【0082】
上述の実施形態において、n型半導体層に含まれるドナー元素は、ケイ素(Si)に限らず、ゲルマニウム(Ge)、酸素(O)などであってもよい。
【0083】
上述の実施形態において、p型半導体層に含まれるアクセプタ元素は、マグネシウム(Mg)に限らず、亜鉛(Zn)、炭素(C)などであってもよい。
【0084】
上述の実施形態において、絶縁膜の材質は、電気絶縁性を有する材質であればよく、二酸化ケイ素(SiO
2)の他、窒化ケイ素(SiNx)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸窒化ケイ素(SiON)、酸窒化アルミニウム(AlON)、酸窒化ジルコニウム(ZrON)、酸窒化ハフニウム(HfON)などの少なくとも1つであってもよい。絶縁膜は、単層であってもよいし、2層以上であってもよい。絶縁膜を形成する手法は、ALDに限らず、ECRスパッタであってもよいし、ECR−CVDであってもよい。
【0085】
ソース電極140の電極層141は、チタン(Ti)およびバナジウム(V)の少なくとも一方から主に成る電極層であればよい。
【0086】
ソース電極140における電極層141の材質は、モル分率において90%以上のアルミニウム(Al)を含有するアルミニウム合金(例えば、アルミニウム−シリコン合金(AlSi)、アルミニウム−銅合金(AlCu)およびアルミニウム−シリコン−銅合金(AlSiCu)など)であってもよい。
【0087】
ソース電極140における電極層143の材質は、アルミニウム(Al)より高い融点を有するとともに450℃以上の温度でアルミニウム(Al)と反応する材料であればよい。例えば、電極層143の材質は、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、白金(Pt)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)などの少なくとも1つであればよい。電極層143は、単層構造に限られず、多層構造であってもよい。例えば、電極層143は、モリブデン(Mo)から主に成る電極層と、バナジウム(V)から主に成る電極層と、チタン(Ti)から主に成る電極層と、タンタル(Ta)から主に成る電極層と、タングステン(W)から主に成る電極層と、ニオブ(Nb)から主に成る電極層と、白金(Pt)から主に成る電極層と、ジルコニウム(Zr)から主に成る電極層と、ハフニウム(Hf)から主に成る電極層と、のうち少なくとも1つの電極層を含めばよい。
【0088】
ゲート電極150の材質は、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム−シリコン合金(AlSi)、アルミニウム−銅合金(AlCu)およびアルミニウム−シリコン−銅合金(AlSiCu)など)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)およびモリブデン(Mo)などの少なくとも1つであればよい。ゲート電極150は、単層構造に限られず、多層構造であってもよい。例えば、ゲート電極150は、絶縁膜側から順にチタン(Ti)、アルミニウム(Al)を積層した2層構造、絶縁膜側から順に窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)を積層した2層構造、絶縁膜側から順にモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)を積層した2層構造、並びに、絶縁膜側から順に窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、窒化チタン(TiN)を積層した3層構造であってもよい。
【0089】
ドレイン電極160は、半導体層側から順にチタン(Ti)、アルミニウム(Al)を積層した2層構造に限られず、半導体層側から順にバナジウム(V)、アルミニウム(Al)を積層した2層構造、半導体層側から順にチタン(Ti)、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム−シリコン合金(AlSi)、アルミニウム−銅合金(AlCu)およびアルミニウム−シリコン−銅合金(AlSiCu)など)を積層した2層構造、半導体層側から順にバナジウム(V)、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム−シリコン合金(AlSi)、アルミニウム−銅合金(AlCu)およびアルミニウム−シリコン−銅合金(AlSiCu)など)を積層した2層構造であってもよい。ドレイン電極160は、ソース電極140と同じ構造であってもよい。
【0090】
ボディ電極170の材質は、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、コバルト(Co)などの少なくとも1つであればよい。ボディ電極170は、単層構造に限られず、多層構造であってもよい。例えば、ボディ電極170は、半導体層側から順にパラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)を積層した2層構造、並びに、半導体層側から順にパラジウム(Pd)、白金(Pt)を積層した2層構造であってもよい。