(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板本体の表面に対して垂直方向に視て前記基板本体の内層における前記絶縁領域に重なる領域において、前記第2接続ラインは、前記第1接続ライン及び前記第3接続ラインよりも、前記電源制御回路が実装される側の前記基板本体の表面に近い層に形成される、請求項1に記載の電力変換装置の制御基板。
前記基板本体の表面に対して垂直方向に視て前記基板本体の内層における前記絶縁領域に重なる領域において、前記第1接続ライン及び前記第2接続ラインは、前記基板本体の表面に対して垂直方向に視て前記第3接続ラインと重なる部位を有する、請求項1又は2に記載の電力変換装置の制御基板。
少なくとも一部が、前記基板本体の表面に対して垂直方向に視て前記基板本体の内層における前記絶縁領域に重なる領域に延在し、前記スイッチング素子の状態の検出結果を示す検出信号が伝送される信号ラインを更に含む、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の電力変換装置の制御基板。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0010】
図1は、インバータ4を含む電気回路1の一例を示す図である。電気回路1は、例えばモータ駆動用である。
【0011】
電気回路1は、バッテリ2と、インバータ(電力変換装置の一例)4と、平滑コンデンサC1とを含む。インバータ4には、モータ5が電気的に接続される。モータ5は、ハイブリッド車又は電気自動車で使用される走行用モータであってよい。本例では、モータ5は、3相交流モータである。平滑コンデンサC1は、バッテリ2の正極側と負極側との間に電気的に接続される。
【0012】
インバータ4は、複数のスイッチング素子Q1〜Q6を備える。スイッチング素子Q1〜Q6は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。但し、IGBTに代えて、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)のような他のスイッチング素子であってもよい。インバータ4は、スイッチング素子Q1〜Q6のそれぞれに対して並列にフリーホイールダイオードD1〜D6を備えてよい。
【0013】
尚、
図1に示す例において、平滑コンデンサC1とバッテリ2との間には、DC−DCコンバータ(電力変換装置の他の一例)が設けられてもよい。
【0014】
図2は、一例によるインバータ4の制御基板400の概略構成を示す上面図である。以下では、説明の都合上、上下方向に関して、
図2は、上方から視た平面図であるとする。但し、インバータ4の制御基板400の実装状態の向きは任意である。また、X方向及びY方向を
図2に示すように定義する。
【0015】
インバータ4の制御基板400は、基板本体410と、複数の駆動回路420と、1つの電源制御回路430と、複数の絶縁トランス440と、接続ライン500と、マイクロコンピューター(以下、「マイコン」)600とを含む。
【0016】
基板本体410は、多層基板である。基板本体410は、好ましくは、4層以上の内層を有する。
【0017】
複数の駆動回路420は、基板本体410の上側の表面(A面)に実装される。駆動回路420のそれぞれは、電力変換装置の各アームに対して設けられる。駆動回路420のそれぞれは、対応するアームが有するスイッチング素子を駆動する。例えば、
図2に示す例では、3相分の上下アームを形成するために、6つの駆動回路420が設けられる。複数の駆動回路420は、モータ5の駆動時に発生する平滑コンデンサC1の両端電圧のような高電圧を扱う。従って、基板本体410の上側の表面における複数の駆動回路420が実装される領域は、高電圧領域を形成する。
【0018】
駆動回路420のそれぞれには、絶縁型の駆動IC(Integrated Circuit)422が電気的に接続される。駆動IC422は、マイコン600と複数の駆動回路420との間に設けられる。
【0019】
電源制御回路430は、基板本体410の上側の表面に実装される。電源制御回路430は、基板本体410の上側の表面における低電圧領域R2内に設けられる。低電圧領域R2とは、モータ5の駆動時に発生する平滑コンデンサC1の両端電圧のような高電圧を扱わない電子部品が配置される領域である。電源制御回路430は、接続ライン500を介して、複数の駆動回路420に電力を供給する。電源制御回路430は、複数の絶縁トランス440を駆動するトランジスタ(図示せず)を含む。電源制御回路430は、複数の駆動回路420に対して共通である。電源制御回路430は、複数の駆動回路420に供給する電力を一括的に制御する。
【0020】
電源制御回路430は、複数の駆動回路420に対して絶縁領域R1を介して隣接する。即ち、絶縁領域R1は、基板本体410の上側の表面に形成され、電源制御回路430と複数の駆動回路420との間を絶縁する。絶縁領域R1は、導体部を有しない領域であってよい。或いは、絶縁領域R1は、基板本体410の材料よりも高いCTI(Comparative Tracking Index)を持つ材料により形成されてもよい。絶縁領域R1は、低電圧領域R2と高電圧領域(複数の駆動回路420)との間に、例えばJIS等で規定される最小沿面距離が確保されるように形成される。
【0021】
複数の絶縁トランス440は、複数の駆動回路420のそれぞれに対応して設けられる。絶縁トランス440のそれぞれは、基板本体410の上側の表面に絶縁領域R1を跨いで配置される。即ち、絶縁トランス440のそれぞれは、一次側が低電圧領域R2に位置し、2次側が高電圧領域に位置する。絶縁トランス440のそれぞれは、電源制御回路430と、対応する駆動回路420との間を絶縁状態で結合する。
【0022】
接続ライン500は、複数の絶縁トランス440と電源制御回路430とを電気的に接続する。接続ライン500は、少なくとも一部が基板本体410の内層に形成される。この構成については後述する。
【0023】
マイコン600は、基板本体410の上側の表面に実装される。マイコン600は、低電圧領域R2内に配置される。マイコン600は、複数の駆動回路420のそれぞれに電気的に接続される。
図2に示す例では、マイコン600は、信号ライン602及び610により複数の駆動回路420のそれぞれに電気的に接続される。
【0024】
図3は、絶縁トランス440に関連する接続ライン500を含む回路の一部を示す図である。
図3では、1つの絶縁トランス440に関する回路部分が示されるが、他の絶縁トランス440に関する回路部分についても同様である。
図3に示す例では、電源制御回路430は、ハーフブリッジ方式の回路構成をとる。
【0025】
接続ライン500は、例えば導体パターンにより形成される。接続ライン500は、電源の正極側(電源電圧)に電気的に接続される第1接続ライン(以下、「電源接続ライン」と称する)502と、グランドに電気的に接続される第2接続ライン(以下、「グランド接続ライン」と称する)504と、第3接続ライン(以下、「駆動接続ライン」と称する)506と、コンデンサC2,C3の間と一次側トランスのセンタータップとを電気的に接続するセンタータップ接続ライン508とを含む。駆動接続ライン506には、電源制御回路430で制御されるトランジスタのオン/オフ駆動により生成されるパルス信号が伝播される。
【0026】
次に、
図4乃至
図6を参照して、接続ライン500の一例について説明する。
【0027】
図4は、
図2のP部分を示す透視図である。
図5は、断面図であり、(A)は、
図4のラインB−Bに沿った断面図であり、(B)は、
図4のラインA−Aに沿った断面図である。
図6は、断面図であり、(A)は、
図4のラインC−Cに沿った断面図であり、(B)は、
図4のラインD−Dに沿った断面図である。尚、
図4乃至
図6に示す構成は、
図2のP部分以外の駆動IC422及び絶縁トランス440に係る部分に対しても実質的に同様であってよい。尚、
図5、
図6(後述の
図8)に示す断面図は、概略であり、層間(例えば、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506間)は絶縁されているものとする。
【0028】
図4及び
図5に示すように、接続ライン500は、少なくとも一部が基板本体410の内層に形成される。
図4及び
図5に示すP部分では、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506は、それぞれの少なくとも一部が、基板本体410の表面に対して垂直方向(以下、単に「面直方向」とも称する)に視て絶縁領域R1に重なる領域において、基板本体410の内層に形成されている。以下では、面直方向に視て基板本体410の内層における絶縁領域R1に重なる領域は、絶縁領域R1直下の内層という。
【0029】
図5に示す例では、基板本体410は、6層の多層基板である。
図5に示す例では、基板本体410は、絶縁領域R1直下の内層において、第2層に、グランドに電気的に接続されるベタパターン620を有し、第3層にグランド接続ライン504を有し、第4層に駆動接続ライン506を有し、第5層に電源接続ライン502を有する。このようにして、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506は、面直方向でグランド接続ライン504及び電源接続ライン502との間に駆動接続ライン506が挟まる関係で、それぞれ異なる層に形成される。
【0030】
電源接続ライン502及びグランド接続ライン504は、好ましくは、絶縁領域R1直下の内層において、面直方向に視たときに駆動接続ライン506と重なる部位を有する。
図4及び
図5に示す例では、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506は、絶縁領域R1直下の内層において、同一のY方向の位置に形成される。また、
図4及び
図5に示す例では、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506は、同一の線幅で形成される。従って、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506は、絶縁領域R1直下の内層において、面直方向に視たとき、重なり合う(即ち、X方向及びY方向の座標が同じとなる)。但し、
図4及び
図5に示す例では、絶縁トランス440における端子位置等の関係上、絶縁領域R1直下の内層において、グランド接続ライン504は、X方向で駆動接続ライン506よりも長く形成され、電源接続ライン502は、X方向でグランド接続ライン504よりも長く形成されるので、一部は重ならない。具体的には、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506は、絶縁トランス440における端子位置の関係上、絶縁領域R1直下の内層において、それぞれ、対応するビア(スルーホール)S2,S4及びS6のX方向位置までX方向に延在し、その後、絶縁領域R1直下の内層よりも低電圧領域側の領域へとY方向に延在して、対応するビア(スルーホール)S2,S4及びS6に電気的に接続する。
【0031】
絶縁領域R1直下の内層よりも低電圧領域側の領域では、電源接続ライン502は、
図6(B)に示すように、基板本体410の下側の裏面(B面)において、ビアS2からコンデンサC2に電気的に接続する。また、絶縁領域R1直下の内層よりも低電圧領域側の領域では、グランド接続ライン504は、
図6(A)に示すように、基板本体410の下側の裏面(B面)において、ビアS4からコンデンサC1に電気的に接続する。また、絶縁領域R1直下の内層よりも低電圧領域側の領域では、駆動接続ライン506は、
図4に示すように、基板本体410の上側の表面において、ビアS6から絶縁トランス440の各端子(一次側トランスの両端)T1,T2に電気的に接続する。また、センタータップ接続ライン508は、
図4及び
図6に示すように、ビアS8を介して接続される、基板本体410の両面に形成される各パターンにより実現される。
【0032】
図4乃至
図6に示す例によれば、上述の如く、接続ライン500は、少なくとも一部が基板本体410の内層に形成される。これにより、駆動接続ライン506から発生するノイズが基板本体410内から外部に放出されることを抑制できる。また、上述の如く、接続ライン500は、少なくとも一部が絶縁領域R1直下の内層に形成される。絶縁領域R1直下の内層は、通常的に配線に利用されない領域(いわゆるデッドスペース)であるので、かかる領域を利用して効率的に接続ライン500を実現できる。この結果、基板本体410の両面において、接続ライン500の占有部分を低減し、基板本体410の小型化を図ることができる。
【0033】
図4乃至
図6に示す例では、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506は、絶縁領域R1直下の内層において、低電圧領域直下の内層に隣接して形成され、対応するビアS2,S4及びS6までのX方向の範囲では、低電圧領域直下の内層には形成されていない。これにより、低電圧領域直下の内層に、他の信号やノイズ対策用のビア等を形成できる。
図4乃至
図6に示す例では、低電圧領域直下の内層には、
図5に示すように、ベタパターン630と、ノイズ対策用のビア70が形成されている。これにより、駆動接続ライン506から発生するノイズがY方向でシールドされ、外部に放出されることを抑制できる。尚、ベタパターン630は、各層において、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506に対して絶縁されてもよい。ベタパターン630のうちの第2層の部分は、ベタパターン620と一体に形成されてよい。
【0034】
また、
図4乃至
図6に示す例によれば、上述の如く、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506は、面直方向でグランド接続ライン504及び電源接続ライン502との間に駆動接続ライン506が挟まる関係で、それぞれ異なる層に形成される。これにより、駆動接続ライン506から発生するノイズが上下方向でグランド接続ライン504及び電源接続ライン502によりシールドされ、外部に放出されることを抑制できる。
【0035】
また、
図4乃至
図6に示す例によれば、上述の如く、シールド作用が大きいグランド接続ライン504が基板本体410の上側の表面に近いので、基板本体410の上側の表面に実装される電子部品(例えば、マイコン600等)へのノイズの影響を効果的に低減できる。また、
図4乃至
図6に示す例によれば、上述の如く、シールド作用が大きいベタパターン620が、更に、駆動接続ライン506よりも基板本体410の上側の表面に近い内層に形成されているので、基板本体410の上側の表面に実装される電子部品へのノイズの影響を更に効果的に低減できる。尚、ノイズの影響を受けやすい電子部品が基板本体410の下側の表面に実装されている場合は、上下逆の配置としてもよい。また、基板本体410の下側においてノイズの影響を考慮する必要が無い場合は、電源接続ライン502は、駆動接続ライン506よりも基板本体410の上側の表面に近い内層に形成されてもよい。
【0036】
尚、
図4乃至
図6に示す例では、基板本体410は、6層基板であるが、8層以上であってもよいし、4層であってもよい。例えば、4層の場合は、絶縁領域R1直下の内層において、第2層にグランド接続ライン504を形成し、第3層に駆動接続ライン506を形成し、第4層に電源接続ライン502を形成することで、同様の効果を得ることができる。
【0037】
次に、
図7及び
図8を参照して、絶縁領域R1直下の内層が信号ライン610の配線に利用される例について説明する。
【0038】
図7は、
図2のQ部分を示す透視図である。
図8は、断面図であり、(A)は、
図7のラインE−Eに沿った断面図であり、(B)は、
図7のラインF−Fに沿った断面図である。尚、
図7では、見易さの都合上、接続ライン500及びコンデンサC2、C3の図示は省略されている。
【0039】
信号ライン610は、例えば導体パターンにより形成される。信号ライン610は、駆動IC422とマイコン600との間を電気的に接続する。尚、
図7には、信号ライン610は、1つの駆動IC422(左下の駆動IC422)に対してのみ示されているが、他の駆動IC422についても同様に設けられてよい。
【0040】
信号ライン610には、インバータ4のスイッチング素子の状態の検出結果を示す検出信号が伝送される。検出信号は、駆動IC422において生成される。状態の検出対象のスイッチング素子は、スイッチング素子Q1〜Q6のうちの、信号ライン610に係る駆動IC422が制御するスイッチング素子である。
図7及び
図8に示す例では、信号ライン610は、スイッチング素子の異常状態の検出結果を表す異常検出信号(弱電流信号)が伝送される第1信号ライン611と、スイッチング素子の温度の検出結果を表す温度信号(アナログ信号)が伝送される第2信号ライン612とを含む。
【0041】
図7及び
図8に示すように、信号ライン610は、少なくとも一部が基板本体410の内層に形成される。
図7及び
図8に示すQ部分では、第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、少なくとも一部が、面直方向に視て基板本体410の内層における絶縁領域R1に重なる領域(絶縁領域R1直下の内層)に形成されている。
【0042】
図7及び
図8に示す例では、基板本体410は、絶縁領域R1直下の内層において、第2層に、グランドに電気的に接続されるベタパターン620を有し、第3層に第1信号ライン611を有し、第4層にベタパターン622を有し、第5層に第2信号ライン612を有する。このようにして、第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、それぞれ異なる層に形成される。尚、第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、それぞれビア(図示せず)を介して、駆動IC422に接続される。
【0043】
第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、好ましくは、絶縁領域R1直下の内層において、面直方向に視たとき、ベタパターン620,622と重なる部位を有する。
図7及び
図8に示す例では、第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、絶縁領域R1直下の内層において、面直方向に視たとき、ベタパターン620,622と略全長に亘って重なる。
【0044】
図7及び
図8に示す例によれば、上述の如く、第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、少なくとも一部が基板本体410内層に形成される。これにより、基板本体410の外部で発生するノイズによる第1信号ライン611及び第2信号ライン612への影響を低減できる。また、上述の如く、第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、少なくとも一部が絶縁領域R1直下の内層に形成される。絶縁領域R1直下の内層は、通常的に配線に利用されない領域(いわゆるデッドスペース)であるので、かかる領域を利用して効率的に信号ライン610を実現できる。この結果、基板本体410の両面において、信号ライン610の占有部分を低減し、基板本体410の小型化を図ることができる。
【0045】
尚、
図7及び
図8に示す例では、第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、
図7(B)に示すように、駆動接続ライン506とは異なる層に形成される。また、第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、
図7(B)に示すように、駆動接続ライン506に対してY方向で離れて配置される。即ち、第1信号ライン611及び第2信号ライン612は、絶縁領域R1直下の内層において、高電圧領域直下の内層に隣接して形成される。これにより、駆動接続ライン506から発生するノイズによる第1信号ライン611及び第2信号ライン612への影響を低減できる。
【0046】
尚、
図7及び
図8に示す例では、信号ライン610は、信号ライン602とは別の信号ラインであるが、信号ライン602についても、信号ライン610と同様に形成してもよい。このように、絶縁領域R1直下の内層は、上述の接続ライン500の配線のみに利用されてもよいが、他の配線にも利用できる。
【0047】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0048】
例えば、
図4乃至
図6に示す例では、好ましい実施例として、グランド接続ライン504が駆動接続ライン506よりも基板本体410の上側の表面に近い内層に形成されているが、グランド接続ライン504及び電源接続ライン502は上下逆に形成されてもよい。即ち、グランド接続ライン504は、第5層に形成され、電源接続ライン502は、第3層に形成されてもよい。また、ベタパターン620及び/又はベタパターン630及び/又はビア70は省略されてもよい。
【0049】
また、
図4乃至
図6に示す例では、好ましい実施例として、電源接続ライン502、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506は、それぞれ異なる内層に形成されているが、一部が同一の内層に形成されてもよい。例えば、ベタパターン620が存在する場合は、グランド接続ライン504及び駆動接続ライン506が同一の内層にY方向に離間して形成されてもよい。
【0050】
また、上述した実施例では、電源制御回路430は、ハーフブリッジ方式の回路構成であるが、他の方式(例えばプッシュ−プル方式)であってもよい。例えば、プッシュ−プル方式の場合は、電源接続ライン502が、2つのトランジスタに対応した2本の駆動接続ラインよりも基板本体410の上側の表面に近い内層に形成されてよい。
【0051】
また、上述した実施例では、接続ライン500は、低電圧領域R2の直下の内層を利用せずに形成されているが、接続ライン500の一部は、低電圧領域R2の直下の内層に形成されてもよい。例えば、接続ライン500のうちの電源制御回路430に向かってY方向に延在する部分90(
図1参照)は、低電圧領域R2の直下の内層に形成されてもよい。また、例えば、
図5(B)に示す断面において、接続ライン500(電源接続ライン502等)は、ベタパターン630の一部(低電圧領域R2の直下の内層に隣接する部分)を代替えする態様(低電圧領域R2の直下の内層まで延長する態様)で形成されてもよい。
【0052】
また、上述した実施例では、接続ライン500は、絶縁領域R1直下の内層において、低電圧領域直下の内層に隣接して形成されているが、絶縁領域R1直下の内層において、高電圧領域直下の内層に隣接して形成されてもよい。
【0053】
また、上述した実施例では、制御基板400は、インバータ4を制御する部品が実装されているが、これに限られない。例えば、平滑コンデンサC1とバッテリ2との間には、DC−DCコンバータ(電力変換装置の他の一例)が設けられる場合は、制御基板400は、インバータ4を制御する部品に代えて又は加えて、DC−DCコンバータを制御する部品が実装されてもよい。
【0054】
また、上述した実施例では、電源制御回路430は、6つの駆動回路420に対して共通に1つだけ設けられているが、2つ以上の駆動回路420に対して共通の1つの電源制御回路430が存在する限り、電源制御回路430は、複数個設けられてもよい。例えば、電源制御回路430は、Y方向の一方側の3つの駆動回路420に対して1つ、Y方向の他方側の3つの駆動回路420に対して1つといった具合に、合計2つ設けられてもよい。
【0055】
なお、以上の実施例に関し、さらに以下を開示する。
【0056】
(1)
多層基板である基板本体410と、
基板本体410の表面に実装され、電力変換装置(4)の各アームに対してそれぞれ設けられ、対応するアームが有するスイッチング素子を駆動する複数の駆動回路420と、
基板本体410の表面に実装される電源制御回路430と、
基板本体410の表面に形成され、電源制御回路430と複数の駆動回路420との間を絶縁する絶縁領域R1と、
複数の駆動回路420のそれぞれに対応して設けられ、基板本体410の表面に絶縁領域R1を跨いで配置され、電源制御回路430と、対応する駆動回路420との間を絶縁状態でそれぞれ結合する複数の絶縁トランス440と、
複数の絶縁トランス440と電源制御回路430とを電気的に接続する接続ライン500であって、少なくとも一部が、基板本体410の表面に対して垂直方向に視て基板本体410の内層における絶縁領域R1に重なる領域に延在する、接続ライン500とを含む、電力変換装置(4)の制御基板400。
【0057】
(1)に記載の構成によれば、接続ライン500は、少なくとも一部が基板本体410の内層に形成される。これにより、接続ライン500から発生するノイズが基板本体410内から外部に放出されることを抑制できる。また、接続ライン500は、少なくとも一部が、基板本体410の表面に対して垂直方向に視て基板本体410の内層における絶縁領域R1に重なる領域(絶縁領域R1直下の内層)に形成される。絶縁領域R1直下の内層は、通常的に配線に利用されない領域(いわゆるデッドスペース)であるので、かかる領域を利用して効率的に接続ライン500を実現できる。この結果、基板本体410の両面において、接続ライン500の占有部分を低減し、基板本体410の小型化を図ることができる。
【0058】
(2)
接続ライン500は、電源の正極側に電気的に接続される第1接続ライン(502)と、グランドに電気的に接続される第2接続ライン(504)と、電源制御回路430が有するトランジスタに電気的に接続される第3接続ライン(506)と含み、
基板本体410の表面に対して垂直方向に視て基板本体410の内層における絶縁領域R1に重なる領域において、第1接続ライン(502)、第2接続ライン(504)及び第3接続ライン(506)は、基板本体410の表面に対して垂直方向で第1接続ライン(502)と第2接続ライン(504)との間に第3接続ライン(506)が挟まれる関係で、それぞれ異なる層に形成される、(1)に記載の電力変換装置(4)の制御基板400。
【0059】
(2)に記載の構成によれば、トランジスタの駆動信号(パルス信号)が伝送される第3接続ライン(506)から発生するノイズが基板本体410内から外部に放出されることを抑制できる。また、第3接続ライン(506)が基板本体410の表面に対して垂直方向で第1接続ライン(502)と第2接続ライン(504)との間に第3接続ライン(506)が挟まれるので、第3接続ライン(506)から発生するノイズを第1接続ライン(502)及び第2接続ライン(504)によりシールドすることが可能となり、第3接続ライン(506)から発生するノイズが基板本体410内から外部に放出されることを更に抑制できる。
【0060】
(3)
基板本体410の表面に対して垂直方向に視て基板本体410の内層における絶縁領域R1に重なる領域において、第2接続ライン(504)は、第1接続ライン(502)及び第3接続ライン(506)よりも、電源制御回路430が実装される側の基板本体410の表面に近い層に形成される、(2)に記載の電力変換装置(4)の制御基板400。
【0061】
(3)に記載の構成によれば、グランドに電気的に接続されるが故にシールド効果の高い第2接続ライン(504)が、電源制御回路430が実装される側の基板本体410の表面に近い層に形成されるので、第3接続ライン(506)から発生するノイズによる電源制御回路430への影響を低減できる。
【0062】
(4)
基板本体410の表面に対して垂直方向に視て基板本体410の内層における絶縁領域R1に重なる領域において、第1接続ライン(502)及び第2接続ライン(504)は、基板本体410の表面に対して垂直方向に視て第3接続ライン(506)と重なる部位を有する、(2)又は(3)に記載の電力変換装置(4)の制御基板400。
【0063】
(4)に記載の構成によれば、第3接続ライン(506)から発生するノイズを、基板本体410の表面に対して垂直方向で第1接続ライン(502)及び第2接続ライン(504)によりシールドすることが可能となり、第3接続ライン(506)から発生するノイズが基板本体410内から外部に放出されることを更に抑制できる。
【0064】
(5)
少なくとも一部が、基板本体410の表面に対して垂直方向に視て基板本体410の内層における絶縁領域R1に重なる領域に延在し、スイッチング素子の状態の検出結果を示す検出信号が伝送される信号ライン610を更に含む、(1)〜(4)のうちのいずれか1項に記載の電力変換装置(4)の制御基板400。
【0065】
(5)に記載の構成によれば、信号ライン610の少なくとも一部が基板本体410内層に形成される。これにより、基板本体410の外部で発生するノイズによる信号ライン610への影響を低減できる。また、信号ライン610は、少なくとも一部が絶縁領域R1直下の内層に形成される。絶縁領域R1直下の内層は、通常的に配線に利用されない領域(いわゆるデッドスペース)であるので、かかる領域を利用して効率的に信号ライン610を実現できる。この結果、基板本体410の両面において、信号ライン610の占有部分を低減し、基板本体410の小型化を図ることができる。