特許第6237561号(P6237561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237561
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】X線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/10 20060101AFI20171120BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61B6/10 350
   A61B6/00 320Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-203893(P2014-203893)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-73331(P2016-73331A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101753
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 隆司
(72)【発明者】
【氏名】村上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光毅
(72)【発明者】
【氏名】梅田 充
【審査官】 田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−100301(JP,A)
【文献】 特開2010−246696(JP,A)
【文献】 特開2007−082681(JP,A)
【文献】 特開2006−150091(JP,A)
【文献】 米国特許第05654997(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者を載置する検診台と、
前記検診台に対して移動可能に装着された操作部と、
X線管とX線検出器とを互いに対向させた状態で支持するアームと、
前記アームを移動させる移動機構と、
前記X線管または前記X線検出器と前記検診台または前記操作部との干渉を防止するため、前記移動機構による前記アームの移動量を規制する移動量規制部と、
を備えたX線撮影装置において、
前記検診台に対する前記操作部の装着位置を検出する位置検出機構と、
前記位置検出機構により検出した前記操作部の装着位置に基づいて、前記移動量規制部により規制される前記アームの移動量を補正する移動量補正部と、
を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記操作部は、前記検診台に付設されたレールに対してスライド可能に装着されており、
前記位置検出機構は、前記レールに対する前記操作部の位置を検出するスイッチであるX線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検者を載置する検診台と、この検診台に対して移動可能に装着された操作部と、X線管とX線検出器とを互いに対向させた状態で支持するアームとを備えたX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなX線撮影装置においては、例えば、略C字状のC型アームにより支持されたX線管またはX線検出器と、検診台または操作部との衝突を防止する必要がある。このため、このようなX線撮影装置においては、C型アームにより支持されたX線管またはX線検出器と、検診台または操作部との干渉を防止するため、C型アームの移動量を規制する構成が採用されている。
【0003】
特許文献1には、X線照射用のX線管と透過X線検出用のX線検出器が対向状態で支持用のアームの両端に配備されているX線撮像機構の3次元外形形状に対応する3次元モデル外形データと、検診台の外形形状に対応する3次元モデル外形データとを登録する形状データ登録手段と、X線撮像機構の現在位置と3次元モデル外形データおよび検診台の位置と3次元モデル外形データとに基づいてX線撮像機構と検診台の間の相対的位置関係情報をリアルタイムで求出する位置関係求出手段と、位置関係求出手段により求出されたX線撮像機構と検診台の間の相対的位置関係情報を参酌しながらX線撮像系移動機構を制御する撮像系移動制御手段を備えたX線撮影装置が開示されている。このX線撮影装置においては、三次元モデル外形データは、ボクセル形式のデータに基づくツリー構造のデータとなっている。このようなX線撮影装置によれば、X線撮像機構が検診台に接触することを確実に回避することができるという効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4470509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたX線撮影装置は、X線撮像機構が検診台に接触することを確実に回避することが可能となるという優れたものではあるが、X線撮影の各種の操作を行うための操作部を検診台に対して移動可能とした場合には、さらに、改良の余地が存在する。
【0006】
図7は、従来のX線撮影装置において、C型アームの移動量を規制する規制動作を示す説明図である。
【0007】
この図において模式的に示すように、X線管11とX線検出器12とは、C型アーム14に支持されている。また、各種の操作を行うための操作部19が検診台18に対して移動可能に配設されている。従来のX線撮影装置においては、図7(a)に示すように、C型アーム14の移動は、例えば、X線管11が操作部19に衝突する前に停止するように規制される。
【0008】
このような構成において、図7(b)に示すように、操作部19が図7(a)に示す位置から検診台18に沿って側方に移動した場合には、C型アーム14はさらに移動する余裕があるにもかかわらず、図7(a)と同一の位置で移動が規制されてしまうことになる。このため、撮影の自由度が減少し、X線撮影動作に時間を要することになる。
【0009】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、操作部の位置に応じて、アームをX線管またはX線検出器と検診台または操作部との干渉が生ずるぎりぎりの位置まで移動させることが可能なX線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、被検者を載置する検診台と、前記検診台に対して移動可能に装着された操作部と、X線管とX線検出器とを互いに対向させた状態で支持するアームと、前記アームを移動させる移動機構と、前記X線管または前記X線検出器と前記検診台または前記操作部との干渉を防止するため、前記移動機構による前記アームの移動量を規制する移動量規制部と、を備えたX線撮影装置において、前記検診台に対する前記操作部の装着位置を検出する位置検出機構と、前記位置検出機構により検出した前記操作部の装着位置に基づいて、前記移動量規制部により規制される前記アームの移動量を補正する移動量補正部を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記操作部は、前記検診台に付設されたレールに対してスライド可能に装着されており、前記位置検出機構は、前記レールに対する前記操作部の位置を検出するスイッチである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、操作部の位置に応じて、アームをX線管またはX線検出器と検診台または操作部との干渉が生ずるぎりぎりの位置まで移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明に係るX線撮影装置の概要図である。
図2】検診台18の平面図である。
図3】操作部19の斜視図である。
図4】この発明に係るX線撮影装置の制御系を示すブロック図である。
図5】この発明に係るX線撮影装置において、C型アームの移動量を規制する規制動作を示す説明図である。
図6】この発明に係るX線撮影装置の他の実施形態を示す概要図である。
図7】従来のX線撮影装置において、C型アームの移動量を規制する規制動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るX線撮影装置の概要図である。
【0015】
このX線撮影装置は、X線を照射するX線管11と、X線管11から照射されて検診台18上に横たわった被検体を通過したX線を検出するX線検出器12と、これらのX線管11およびX線検出器12を支持するC型アーム14と、このC型アーム14をスライド可能に支持する支持部15と、この支持部15を旋回させる旋回部16と、この旋回部16を床面に対して立設した状態で支持する支持部17と、後述するように、検診台18に対して移動可能に装着された操作部19とを備える。
【0016】
C型アーム14には、円弧状の案内部13が形成されており、支持部15は、この案内部13と係合することにより、C型アーム14をスライド可能に支持している。そして、C型アーム14は、X線管11とX線検出器12とを、X線管11の焦点からX線検出器12に至るX線の軸線が、案内部13を形成する円弧の直径と一致する状態で支持している。また、旋回部16は、支持部15をC型アーム14等とともに、X線管11の焦点からX線検出器12に至るX線の軸線と直交する軸を中心に旋回させる。
【0017】
このような構成を有するX線撮影装置においては、C型アーム14をスライドおよび旋回させることにより、被検者に対して任意の方向から撮影を実行することが可能となる。そして、被検者を通過しX線検出器12で検出されたX線に基づくX線画像は、後述する表示部53に表示される。
【0018】
図2は、検診台18の平面図である。
【0019】
この検診台18の長手方向には、レール42が付設されている。操作部19は、このレール42に沿って、スライド可能に装着されている。そして、検診台18には、レール42に対する操作部19の位置を検出するための位置検出機構としてのスイッチ41が配設されている。
【0020】
図3は、操作部19の斜視図である。
【0021】
この操作部19は、上下および左右の4方向に操作可能な操作レバー31と、第1の操作パネル32および第2の操作パネル33を備える。操作レバー31には、C型アーム14のスライドおよび旋回用のボタン35、37と、C型アーム14の水平移動用のボタン34と、X線検出器12の昇降用のボタン36とが付設されている。
【0022】
図4は、この発明に係るX線撮影装置の制御系を示すブロック図である。
【0023】
このX線撮影装置は、論理演算を実行するCPU、装置の制御に必要な動作プログラムが格納されたROM、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAMを備え、装置全体を制御する制御部50を備える。この制御部50は、上述したX線管11、X線検出器12、操作部19およびスイッチ41と接続されている。また、この制御部50は、X線画像を表示するための表示部53と接続されている。さらに、この制御部50は、C型アーム14をスライドおよび旋回させて移動させるためのモータ等を備えた移動機構54と接続されている。
【0024】
この制御部50は、X線管11またはX線検出器12と検診台18または操作部19との干渉を防止するため、移動機構54によるC型アーム14の移動量を規制する移動量規制部51と、スイッチ41により検出した操作部19の装着位置に基づいて、移動量規制部51により規制されるC型アーム14の移動量を補正する移動量補正部52とを備えている。なお、この移動量規制部51は、上述した特許文献1に記載された構成と同様の構成を有する。
【0025】
図5は、この発明に係るX線撮影装置において、C型アーム14の移動量を規制する規制動作を示す説明図である。
【0026】
図4に示す制御部50における移動量規制部51は、X線管11またはX線検出器12と検診台18または操作部19との干渉を防止するため、移動機構54によるC型アーム14の移動量を演算した上で規制している。このため、図5(a)に示すように、操作部19がC型アーム14に近接した位置に配置されている場合においては、C型アーム14のスライド量は、X線管11と操作部19とが干渉する直前の位置で規制される。これにより、X線管11と操作部19との干渉が防止される。
【0027】
一方、図5(a)に示すように、操作部19がC型アーム14から離隔した位置に配置された場合においては、C型アーム14は、図5(a)に示す位置より、さらに、X線管11が検診台18に近接する位置までスライドすることができる。
【0028】
このため、この発明に係るX線撮影装置においては、スイッチ41が操作部19を検出して操作部19がC型アーム14から離隔する位置に配置されていることを検出した場合においては、移動量補正部52が、移動量規制部51により演算されたC型アーム14の移動量の規制値を補正する。これにより、図5(b)に示すように、C型アーム14は、さらに検診台18に近接する位置まで移動する。従って、C型アーム14を、操作部19の位置に基づいて、X線管11と検診台18との干渉が生ずるぎりぎりの位置まで移動させることが可能となる。
【0029】
なお、図5に示す動作の説明においては、X線管11と操作部19との干渉を防止するためにC型アーム14のスライド量を規制する場合について説明したが、移動量補正部52は、X線管11またはX線検出器12と操作部19との干渉を防止するために、操作部19の位置に基づいて、スライドアームのその他の移動量をも同様に補正する。
【0030】
次に、この発明の他の実施形態について説明する。この発明に係るX線撮影装置の他の実施形態を示す概要図である。なお、図1に示すX線撮影装置と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0031】
このX線撮影装置は、第1実施形態同様のC型アーム14を備えた内側の撮影ユニットと、第2のC型アーム24を備えた外側の撮影ユニットとの一対の撮影ユニットにより、検診台18上の被検者に対してバイプレーン撮影等を可能としたものである。
【0032】
この第2実施形態に係るX線透視撮影装置における内側の撮影ユニットは、第1実施形態と同様のX線管11とX線検出器12を備えたC型アーム14を備える。また、外側の撮影ユニットは、X線管21と、このX線管21から照射され検診台18に横たわった被検者を通過したX線を検出するX線検出器22と、円弧状の案内部23を有しX線管21とX線検出器22とを支持する略C字状の第2のC型アーム24と、この第2のC型アーム24における円弧状の案内部23と係合することにより第2のC型アーム24をスライド可能に支持するとともに、第2のC型アーム24を被検者に対して水平移動させる天井に指示された基部27とを備える。
【0033】
このようなバイプレーン方式のX線撮影装置においても、スイッチ41等の位置検出機構により検出した操作部19の検診台18に対する装着位置に基づいて、移動量補正部52により移動量規制部51により規制されるC型アーム14およびC型アーム24の移動量を補正することにより、操作部19の位置に応じてC型アーム14、24を、X線管11、21またはX線検出器12、22と検診台18または操作部19との干渉が生ずるぎりぎりの位置まで移動させることが可能となる。
【0034】
なお、上述した実施形態においては、レール42に対する操作部19の位置を検出するための位置検出機構として、検診台18に配設された単一のスイッチ41を利用している。しかしながら、このスイッチを複数個設け、操作部19のより細かな配置に対応されて、C型アーム14、24の移動量を規制してもよい。また、スイッチ41を使用するかわりに、ホトセンサやエンコーダ、ポテンショメータを利用して操作部19の位置を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
11 X線管
12 X線検出器
14 C型アーム
18 検診台
19 操作部
21 X線管
22 X線検出器
24 C型アーム
41 スイッチ
42 レール
50 制御部
51 移動量規制部
52 移動量補正部
54 移動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7