(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
肥料を貯留する貯留部材(60L,60R)と、肥料を圃場に送り出す繰出装置(61)と、該貯留部材(60L,60R)から肥料を落下させる流下部(60b)を開閉する開閉部材(81)と、前記繰出装置(61)による肥料の供給量を調節する繰出調節機構(400)と、繰出装置(61)に駆動力を伝動する施肥伝動機構(300)を設けた施肥装置において、
前記流下部(60b)は、機体下側ほど幅狭になるテーパ形状とすると共に、前記貯留部材(60L,60R)の下部に左右間隔を空けて複数設け、前記開閉部材(81)の下方で、且つ前記流下部(60b)同士の間隔部に前記施肥伝動機構(300)と前記繰出調節機構(400)を配置し、
前記繰出調節機構(400)は、前記繰出装置(61)の肥料の繰出量を調節する繰出量調節装置(410)と、該繰出量調節装置(410)により回転する繰出量調節軸(420)を備え、
前記繰出量調節軸(420)の回転による繰出回動支軸(469)の移動量を検出する移動量検出部材(440)を設け、
前記繰出量調節装置(410)の作動量を制御する制御装置(210)を設け、該制御
装置(210)は、該移動量検出部材(440)が検出する繰出回動支軸(469)の移動位置に合わせて繰出量調節装置(410)の作動速度を変化させる構成としたことを特徴とする施肥装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の施肥装置の一実施の形態にかかる施肥装置を搭載した乗用型田植機について説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態の施肥装置を搭載した8条植の乗用型田植機1の側面図であり、
図2は、その平面図である。
なお、本明細書においては、前後、左右の方向基準は、運転席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
【0028】
この田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して植付装置4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置100の本体部分が設けられている。
なお、施肥装置100が、本発明の施肥装置の一例にあたる。
【0029】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10及び左右一対の後輪11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に前輪10がそれぞれ取り付けられている。
【0030】
また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギアケース18がローリング自在に支持され、その後輪ギアケース18から外向きに突出する左右後輪車軸に後輪11がそれぞれ取り付けられている。
【0031】
エンジン20は、メインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST(静油圧式無段階変速機)23を介してミッションケース12に伝達される。
【0032】
ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13に伝達されて左右一対の前輪10、10を駆動すると共に、残りが後輪ギアケース18に伝達されて左右一対の後輪11、11を駆動する。
【0033】
また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって植付装置4へ伝達される。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に運転席31が設置されている。運転席31の前方には各種操作機構を内蔵するボンネット32があり、その上方に前輪10を操向操作する操縦ハンドル34が設けられている。
【0034】
また、ボンネット32で覆われた内部には、施肥装置100により圃場に散布される施肥量を、作業者が設定するための施肥量設定パネル200、及び施肥装置100の動作等を制御するコントローラー210が収納されている。施肥量設定パネル200からの入力信号はコントローラー210に送られる(
図6参照)。
【0035】
エンジンカバー30及びボンネット32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(
図2参照)、フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下する構成となっている。
【0036】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41を備えている。上リンク40及び下リンク41は、それらの基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視で門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、それらの先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に、植付装置4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として植付装置4がローリング自在に連結されている。
【0037】
メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、植付装置4がほぼ一定姿勢を保持したまま昇降する。
【0038】
植付装置4は、8条植の構成で、フレームを兼ねる植付伝動ケース50、マット苗(図示省略)を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a(
図2参照)に供給するとともに、横一列分の苗を全て苗取出口51aに供給すると、苗送りベルト51bにより苗を下方に移送する苗載せ台51、及び、苗取出口51aに供給された苗を苗植付具52aによって圃場に植付ける苗植付部52等を備えている。
【0039】
植付装置4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56がそれぞれ設けられている。これらフロート55、56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55、56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付部52により苗が植付けられる。
【0040】
各フロート55、56は、圃場表土面の凹凸に対応して前端側が上下動する如く回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動がフロートセンサー1141(
図6参照)により検出され、その検出結果に対応して昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブ(図示省略)を切り替えて植付装置4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0041】
施肥装置100は、肥料ホッパに貯留されている粒状の肥料を、各苗植付条毎に設けられている繰出部61によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62でセンターフロート55及びサイドフロート56の左右両側に取り付けた施肥ガイド63まで導き、施肥ガイド63の前側に設けた作溝体64によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む構成となっている。
【0042】
そして、ブロア用電動モータ66で駆動するブロア67で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ68を経由して施肥ホース62に吹き込まれ、施肥ホース62内の肥料を風圧で強制的に搬送する構成となっている。さらに、
図10で示すとおり、前記ブロア67には搬送風になる空気を吸入する吸気ダクト69の端部を接続している。該吸気ダクト69は、前記繰出部61を挟んでエアチャンバ68とは反対側(機体後側)に左右方向に向けて配置すると共に、吸気ダクト69の基部を機体左右方向中央部で、エンジン20の後方に配置している。
【0043】
上記により、ラジエータ(図示省略)が後方に排熱するエンジン20から発生した熱を吸気ダクト69が吸引することにより、肥料の搬送風を高温化することができるので、搬送中の肥料から水分が除去され、肥料同士が塊になったり、エアチャンバ68や施肥ホース62等の搬送経路に張り付いたりして、圃場に供給される量が不足することが防止される。
【0044】
また、繰出部61や肥料ホッパに貯留されている肥料を暖めることにより、貯留中の肥料に含まれる水分も除去することができるので、いっそう肥料が塊になることや張り付くことを防止でき、肥料を設定量ずつ供給可能になり、施肥精度が向上する。
【0045】
また、肥料ホッパは、左側肥料ホッパ60Lと、右側肥料ホッパ60Rとに一定の隙間を空けて分離されて配置されており、該右側の肥料ホッパ60Rの左右方向の中央部付近の下方には、繰出調節機構400が配置されている。また、該繰出調節機構400は、運転席31を載置すると共にエンジン20の周囲を覆うエンジンカバー30の右側後方に、間隔を空けて配置する。
【0046】
該繰出調節機構400は、
図3及び
図5で示すとおり、施肥伝動機構300を介して伝達される駆動力を利用して肥料を設定量ずつ繰り出すための繰出部61から繰り出される施肥量を調節するための機構である。施肥伝動機構300、繰出調節機構400については、更に後述する。
【0047】
該繰出調節機構400を、右側肥料ホッパ60Rの左右方向中央部付近の下方に配置したことにより、繰出調節機構400が左右の肥料ホッパ60L,60Rへの肥料の補給等の作業に干渉しない配置となるので、作業能率が向上する。また、左右の肥料ホッパ60L,60Rの前後方向の回動を規制しないので、肥料の排出時等に左右の肥料ホッパ60L,60Rを後方傾斜させて、残留している肥料を速やかに排出させることが妨げられない。
【0048】
なお、左側肥料ホッパ60Lと右側肥料ホッパ60Rとを含む構成が、本発明の貯留ホッパの一例にあたる。また、繰出調節機構400が、本発明の施肥量調節装置の一例にあたる。
【0049】
植付装置4には整地ローター27(第1整地ローター27aと第2整地ローター27bの組み合わせを単に整地ローター27と言うことがある)が取り付けられている。
また、苗載せ台51は、植付装置4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の上端部においてスライド可能に支持された支持ローラー65aにより左右方向にスライドする構成である。
【0050】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく左右一対の予備苗枠38が設けられている。
そして、操作ハンドル34の近傍には、作業者による施肥量の減量設定を可能にした減肥設定スイッチ500が設けられており、例えば、標準の施肥量から0%減〜100%減までの間の任意の減量を設定できるスイッチである。減肥設定スイッチ500から入力された入力信号は、コントローラー210へ送られる(
図6参照)。
【0051】
また、左右一対の前輪10,10には、前輪10,10間の圃場における肥料濃度を検知するための電極板1100(
図1参照)が配置されており、肥料濃度検知センサー1110(
図6参照)を構成している。肥料濃度検知センサー1110で検知された肥料濃度の信号はコントローラー210へ送られる。電極板1100に関しては、更に後述する。
【0052】
そして、走行車体2の先端中央部には走行車体2の傾斜を検知する傾斜検知センサー1120(
図1参照)が設けられており、傾斜検知センサー1120での検知結果はコントローラー210へ送られる(
図6参照)。
【0053】
さらに、操作ハンドル34の前方であってボンネット32の上方にはGPS(Global Positioning System)機能を備えたGPS受信機1130(
図2参照)が搭載されており、その受信信号はコントローラー210へ送られる(
図6参照)。
【0054】
また、平面視で、左右一対の前輪10,10の先端部より前であって、左右一対の前輪10,10の外側とフロアステップ35の外側のほぼ中間位置に、肥料濃度の検出に利用する圃場の水深を検知するために左右一対の超音波センサー1140が設けられており、超音波センサー1140による検知結果はコントローラー210へ送られる(
図6参照)。超音波センサー1140を上記位置に取り付けたことにより、前輪10により持ち上げられた泥で水深の誤検知を防止出来るとともに、センサーの破損を防止出来る。水深データの検知に関しては、更に後述する。
【0055】
以下、施肥装置100の各部の構成について更に説明する。
図3は、本実施の形態の施肥装置100を田植機1の前方から視た時の概略正面図である。また、
図4は、本実施の形態の施肥装置100の繰出部61の左側面断面図である。
【0056】
右側肥料ホッパ60Rは右側の4条分が共用で、上部に開閉可能な蓋60aが取り付けられている。右側肥料ホッパ60Rの下部は施肥条数分(4条分)に分岐して漏斗状の流下部60bを形成しており、該流下部60bの下部が各繰出部61の上端に接続されている。左側肥料ホッパ60Lについても上記構成と同じである。
【0057】
図4に示す通り、繰出部61は、右側肥料ホッパ60R内(又は、左側肥料ホッパ60L内)の肥料を下方に繰り出す2個の第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bを内蔵している。該第1及び第2繰出ロール73A,73Bは、外周部に溝状の凹部74が形成された回転体で、左右方向に設けた共通の繰出軸75の角軸部75a(図示例は四角軸)にそれぞれ一体回転する構成で嵌合している。なお、繰出軸75の駆動源については、
図3を用いて後述する。
【0058】
また、上記左右の肥料ホッパ60L及び60Rの下部の流下部60bの下方と繰出部61の間には、枠形状のシャッタケース80を各条に設け、該シャッタケース80の前後に形成された左右方向に長く上下方向に短いシャッタ穴80aに、板形状の施肥シャッタ81を摺動自在に設ける。
【0059】
図5及び
図11(a)(b)に示すとおり、該施肥シャッタ81は前後方向に長い、平面視で長方形の板状の部材で構成し、前端側を曲げて摺動操作用の取っ手81aを形成すると共に、該取っ手81aの直後に、前記流下部60bと略同じ形状の肥料落下孔81bを形成する。そして、該肥料落下孔81bよりも後側は、肥料の落下を防止する落下規制部81cとする。
【0060】
なお、該落下規制部81cは、上面に溝や突起等を形成して平坦でない形状としておくと、肥料が載ったときに圧力を分散でき、肥料が自重によって固まり、流下部60bから肥料が落下しなくなることを防止できる。
【0061】
上記の施肥シャッタ81を設けたことにより、施肥シャッタ81を摺動させて流下部60bに落下規制部81cを臨ませておくと、作業圃場への移動時に繰出部61に肥料が溜まることを防止できるので、肥料が繰出部61内で塊になり、第1繰出しロール73Aや第2繰出しロール73Bに設定量の肥料が供給されず、肥料不足による作物の生育不良の発生が防止される。
【0062】
従来は、肥料ホッパに投入された肥料は幅の狭い流下部60bを経由して、同様に幅の狭い繰出部61に落下しており、肥料の自重によって塊になり、落下しないことがあった。特に、流下部60bや繰出部61の内部の壁面に集中的に付着してブリッジ化が生じると、ブリッジ化した箇所に落下した肥料はそのまま積もってしまい、設定量の肥料が供給されなくなる問題があった。
【0063】
また、繰出部61に肥料の詰まり等が生じ、メンテナンス作業の必要が生じたときに、施肥シャッタ81によって肥料の落下を規制することができるので、左右の肥料ホッパ60L,60Rに肥料を残したまま後方回動させることができ、メンテナンス作業が能率よく行える。
【0064】
従来は、メンテナンス作業時には肥料ホッパ内の肥料を一旦取り除く必要があり、メンテナンス作業に要する時間を余分に要していたが、上記構成により、作業時間の短縮が図られる。
【0065】
また、前記第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bが
図4の矢印方向に回転することにより、左側肥料ホッパ60L(又は、右側肥料ホッパ60R)から落下供給される肥料が凹部74に収容されて下方に繰り出される。第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bにより繰り出された肥料は、下端の吐出口61aから吐出される。
【0066】
繰出部61の吐出口61aには、前端部がエアチャンバ68(
図1、
図2参照)の背面部に前後方向に挿入連結されて、後端部が繰出部61の吐出口61aに連通する接続管(図示省略)が接続されている。
【0067】
一方、エアチャンバ68の左端部はエア切替管(図示省略)を介してブロア67(
図1、
図2参照)に接続されており、該ブロア67からのエアがエアチャンバ68を経由し接続管から繰出部61の吐出口61aを通過する際に、肥料を巻き込みながら施肥ホース62側に吹き込まれる構成となっている。
【0068】
また、図示例の第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74の数は6個であり、両者の凹部74の位置が隣り合わない様にするために、その位相は異ならせて配置されている。これにより、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの各凹部74が交互に肥料を繰り出すこととなり、吐出口61aから吐出される肥料の量が時間的に均等化されている。
【0069】
第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの何れかを繰出軸75から外して位相を適当に変更して付け直すことにより、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74の位相を等しくすることも出来る。これで、圃場に点状に肥料を散布するときに適用可能となる。
【0070】
また、繰出部61の内部には、凹部74が下方に移動する側(前側)の第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの外周面に摺接するブラシ76が着脱自在に設けられている。このブラシ76によって第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74に肥料が摺り切り状態で収容され、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bによる肥料繰出量が一定に保たれる。
【0071】
前記繰出軸75を駆動回転させる駆動力の供給経路について説明する。
図3及び
図5に示すとおり、機体右側の後輪ギアケース18の内部で、且つ機体内側に設けられる施肥伝動クラッチ460にクランク形状の施肥伝動出力軸461を設け、該施肥伝動出力軸461に上下方向に往復移動する施肥伝動駆動ロッド462を設ける。
【0072】
そして、該施肥伝動駆動ロッド462から駆動力の伝達方向を機体前後方向に変更する中継ロッド463を左右方向に配置し、前記施肥伝動駆動ロッド462と中継ロッド463の間に、前記施肥伝動駆動ロッド462の上下動に連動して揺動連結支点ピン464aを支点として前後両端部が上下方向に揺動連結プレート464を配置すると共に、中継ロッド463の他端部に駆動力を後述する繰出回動アーム467に伝達するサブ駆動ロッド465を配置することにより、施肥伝動機構300が構成される。
【0073】
該サブ駆動ロッド465は、右側の肥料ホッパ60Rの機体後部側の下方に配置されており、該サブ駆動ロッド465の上端部に、前記繰出軸75を施肥量に合わせて駆動回転させる繰出回動アーム467の後端部を連結する。そして、該繰出回動アーム467の前端部と前記繰出軸75を、施肥駆動アーム468で連結する。
【0074】
図12(a)(b)に示すとおり、前記繰出回動アーム467は細長い略直方体形状の筐体であり、該の左右側面には、左右の側壁部を貫通させて長孔467aを形成している。該長孔467aは前後方向に亘って形成されており、この長孔467a内に繰出回動ピン469を貫通させて配置する。該繰出回動ピン469は、長孔467aの上下端部に接触可能な径とし、該繰出回動ピン469の前後位置を変更することにより、前記繰出回動アーム467の回動支点位置が変更されて前記施肥駆動アーム468の前端部側の回動量の大小、言い換えると往復回動に要する時間を変化させ、所定時間当たりに前記第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bに複数個所形成された凹部74から肥料が落下される回数を増減され、これにより施肥量が変更される。
【0075】
例えば、
図12(b)に示すとおり、前記繰出回動ピン469を機体前側に移動させるほど、前記繰出回動アーム467の前端部側の回動量は小さく、即ち往復回動に要する時間が短くなり、施肥駆動アーム468の回動量が連動して小さくなるので、繰出軸75が回転する頻度が増加する。これにより、所定時間における第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの回転角度が大きくなり、落下位置に到達する凹部74の数を増加させることができるので、圃場に落下する肥料が増加する。
【0076】
一方、
図12(a)に示すとおり、前記繰出回動ピン469を機体前側または後側に移動させるほど、前記繰出回動アーム467の前端部側の回動量は大きく、即ち往復回動に要する時間が長くなり、施肥駆動アーム468の回動量が連動して大きくなるので、繰出軸75が回転する頻度が減少する。これにより、所定時間における第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの回転角度が小さくなり、落下位置に到達する凹部74の数が減少するので、圃場に落下する肥料が減少する。
【0077】
上記のとおり、繰出回動ピン469の前後位置を変更することにより、施肥装置100の施肥量を調節することができる。
この施肥量の調節作業を容易にすると共に、前記肥料濃度センサー1110や超音波センサー1140等の検知に基づき、圃場の肥料含有量や深さ等の条件に合わせて前記コントローラー210が発信する信号に基づいて施肥量の自動調節を行うべく、
図5及び
図10に示すとおり、正逆自在に高速回転する施肥量調節モータ410を、前記繰出回動アーム467よりも機体前側に配置する。そして、該施肥量調節モータ410にボールネジ420を回転可能に設け、該ボールネジ420の表面に形成された螺旋形状の溝に螺合して高速で機体前後方向に移動するボールナット430を設け、該ボールナット430の前後移動量を検知するストロークセンサー440を設けると共に、該ボールナット430に前記繰出回動ピン469を設ける。これにより、繰出調節機構400が構成される。
【0078】
前記施肥量調節モータ410は、モータケース410aに周囲を覆われており、該モータケース410aの上端面を前記施肥シャッタ81よりも機体下側に位置させて、前記右側の肥料ホッパ60Rの左右方向の中央部付近に配置している。具体的には、機体右端から数えて2条目と3条目の繰出部61,61、及び流下部60b,60bの左右間に生じている空間部に配置するものとする。
【0079】
これに加えて、前記施肥量調節モータ410は、肥料を前記施肥ホース62に移動させる搬送風が通過する前記エアチャンバ68の上方で、且つ前記エンジンカバー30の機体右側後端部よりも機体右側で、且つ後方に配置するものとする。これに加えて、前記モータケース410aの前端部は、エアチャンバ68の機体前端部よりも機体前側に突出するものとする。
【0080】
さらに、前記繰出回動ピン469は、前記ボールナット430の上下方向中央部よりも機体上側寄りに配置し、側面視で前記ボールネジ420とオフセットすると共に、該ボールネジ420よりも上方に位置する構成とする。
【0081】
上記により、施肥量調節モータ410が施肥シャッタ81の開閉操作を妨げないので、施肥シャッタ81を作業状態に合わせて操作する際に部品の着脱等の作業を必要としないので、作業能率が向上する。
【0082】
また、繰出回動ピン469よりもボールネジ420が機体下方に位置することにより、重量物である繰出調節機構400を機体下側寄りに配置することができるので、機体の低重心化が図られて走行姿勢が安定し、苗の植付精度や施肥精度が向上する。
【0083】
そして、施肥量調節モータ410がエアチャンバ68の上方で、且つエンジンカバー30の後方で且つ機体右側に設けられることにより、施肥量調節モータ410やボールネジ420のメンテナンス作業を行う作業位置の周辺に空間部を形成することができるので、メンテナンス作業の能率が向上する。
【0084】
さらに、施肥量調節モータ410のモータカバー410aがエアチャンバ68の前端部よりも機体前側に突出していることにより、作業者がエアチャンバ68に近付き過ぎることを防止できるので、作業者の足がエアチャンバ68に接触して踏み潰してしまい、肥料の搬送風が能率よく供給されなくなることが防止され、圃場に調節された施肥量に対応する肥料が供給される。
【0085】
上記により、圃場に供給される肥料が不足し、苗が生育不良を起こすことが防止される。
また、施肥量調節モータ410を固定して設けていることにより、ボールネジ420上をボールナット430がスライドしても振動の発生が防止でき、振動による微細な施肥量の変動の発生が防止され施肥量の適量化が図られる。
【0086】
さらに、ボールネジ420を右側の肥料ホッパ60Rの前後幅内に納めることにより、施肥量調節モータ410の作動によりボールネジ420が回転しても、作業者はこのボールネジ420に触れにくいので、安全性が向上すると共に、接触によりボールネジ420や施肥量調節モータ410が破損することが防止され、作業性の向上が図られる。
【0087】
上記構成では、施肥量調節モータ410はコントローラー210から施肥量を増減させる信号を受けると作動し、変更する施肥量となる位置までボールナット430が前後移動したことをストロークセンサー440が検出すると停止する構成である。このボールナット430の移動、即ち繰出回動ピン469が前後方向に摺動して施肥量を変更するとき、施肥装置100は施肥作業を継続しているので、繰出回動アーム467は定期的に上下回動を繰り返している。
【0088】
このときに、繰出回動アーム467の長孔467a内を前後方向に摺動する繰出回動ピン469の移動速度が速く、且つ移動速度が等速であると、上下回動幅の大きい長孔467aの前側と後側、言い換えれば前後方向中央部付近を除いた箇所では、前後方向に直線的に移動する繰出回動ピン469が、傾斜姿勢になっている繰出回動アーム467の長孔467aの内部に接触するので、繰出回動アーム467に過負荷がかかると、繰出回動アーム467が破損したり、変形して正常な回動ができなくなったりする問題がある。
【0089】
上記の問題の発生を防止すべく、
図13に示すとおり、前記施肥量調節モータ410を、正逆転可能で、且つ可変速のモータとし、ストロークセンサー440が検出する繰出回動ピン469の位置に合わせて該施肥量調節モータ410の回転速度が変更される構成とする。
【0090】
具体的には、前記ストロークセンサー440が検出する繰出回動ピン469の位置が、長孔467aの前後方向中央部、及びその前後の一定(例:2〜3cm)の区間(位置)であるときは、施肥量調節モータ410の回転速度を、他の区間(位置)にあるときよりも速くし、繰出回動ピン469を高速で動かす構成とする。
【0091】
一方、前記ストロークセンサー440が検出する繰出回動ピン469の位置が、長孔467aの機体前側寄りの所定区間、または機体後側寄りの所定区間であるときは、施肥量調節モータ410の回転速度を遅く、言い換えると通常の回転速度にして、繰出回動ピン469を低速で動かす構成とする。
【0092】
長孔467aの前後方向中央部及びその周辺は、繰出回動ピン469を中心とした機体前後方向における繰出回動アーム467の前後回動量が略同じになるので、繰出回動ピン469が高速で移動しても負荷は小さい。一方、それ以外の部分では、繰出回動ピン469を中心とした機体前後方向における繰出回動アーム467の前後回動量が、一方では大きく他方では小さくなるので、繰出回動ピン469が高速で移動すると負荷が大きくかかる。
【0093】
本構成のように、繰出回動ピン469の前後位置に合わせて施肥量調節モータ410の移動速度が変更されることにより、繰出回動ピン469の移動に伴い繰出回動アーム467にかかる負荷を抑えることができるので、施肥伝動機構300及び高速施肥量調節機構400の耐久性が向上する。
【0094】
図6は、施肥量設定パネル200や減肥設定スイッチ500からの入力、或いは肥料濃度検知センサー1110等の各種センサーからの信号を受けるコントローラー210と、制御対象となる施肥量調節モータ410等の制御関係を示す模式図である。
【0095】
次に、以上の構成のもとで、コントローラー210からの指示に基づいて、施肥量調節モータ410の回転が制御されることで、繰出部61からの肥料の供給量が調節されるという動作例について説明する。
【0096】
苗の植付作業を開始する前に、作業者は施肥量設定パネル200を利用して施肥量の設定(ここでは、最大値に設定する)を行うとともに、減肥設定スイッチ500を利用して、施肥量設定パネル200で設定された施肥量を100%とした時の減肥量を例えば、20%として設定する。これらの設定信号は、コントローラー210へ送られて所定のメモリ(図示省略)に格納される。
【0097】
なお、作業開始の時点では、繰出回動ピン469は、常に標準位置、即ち、施肥量が最大値と最小値の中間値となる位置に戻っている構成であるとする。また、苗植付作業が開始されると同時に、右側の後輪ギアケース18からの駆動力が施肥伝動駆動ロッド462を介して繰出回動アーム467に伝達されるものとする。
(例1)
上記の条件のもとで、田植機1で苗の植付作業を開始すると、コントローラー210は、施肥量調節モータ410に対して回転開始の指令を出力して、施肥量設定パネル200から予め設定されてメモリに格納されている施肥量を最大値とするデータに対応して、ボールナット430が後方側に移動すべくボールネジ420を高速で回動させる。
【0098】
一方、ストロークセンサー440は、ボールナット430の移動量を検知して所定のタイミングでコントローラー210へ送る。コントローラー210は、ボールナット430から送られてくる検知信号を随時判定しながら、ボールナット430にボールナット保持プレート431を介して連結された揺動支点ピン360がガイド用長孔356の後端部356aに到達したことを検知すると、施肥量調節モータ410に対して回転停止の指令を出力する。
【0099】
これにより、繰出回動アーム467は、
図5に示す通り、長孔467aの後端部に位置している揺動支点ピン469を揺動支点として、上下方向に揺動するので、施肥駆動アーム460の上下方向への往復移動距離は最大となり、繰出部61からの肥料の供給量は最大に調節される。
(例2)
通常の植付作業時は、上記の動作となるが、GPS受信機1130からの信号を受けているコントローラー210が、田植機1が枕地(圃場端)に移動したと判定すると、枕植えを実施するとともに、予め設定されていた減肥設定量に従って、それまでの施肥量を基準として20%減じた施肥量を散布するべく、施肥量調節モータ410に対して、回動開始指令を出力する。施肥量調節モータ410は、回動開始指令に基づいて、高速回動を開始して、ボールナット430に連結された繰出回動ピン469は、ガイド用長孔356の前端部356b側に向けて移動する。
【0100】
そして、コントローラー210は、ボールナット430から送られてくる検知信号を随時判定しながら、ボールナット430に連結された繰出回動ピン469が、施肥量最大値から20%減肥した量に対応する長孔467aの位置に到達したことを検知すると、施肥量調節モータ410に対して回転停止の指令を出力する。
【0101】
これにより、田植機1が枕地において枕植を行う際には、稲が生育した時の倒伏を防止するための減肥を自動的に実施できる。
なお、上記の構成に限らず例えば、減肥設定スイッチ500を、「通常植付モード」と、「角度変更植付(枕植)モード」を、スイッチ等を設けて手動でも選択可能に構成すると共に、スイッチの操作がGPS受信機1130の枕地座標検知よりも優先される設定とすることにより、例えば、「通常植付モード」を選択しておけば、上述した様に20%減肥が設定されているとして、GPS受信機1130からの受信信号によりコントローラー210が枕地への移動を検知したとしても、枕植は開始されるが、減肥は行わないという制御が実施出来る。
(例3)
また、通常の植付作業時において、例えば、左右一対の前輪10,10に配置された電極板1100(
図1参照)により圃場の泥水の電気抵抗を測定して肥料濃度を検知する肥料濃度検知センサー1110により検知された肥料濃度の検知信号がコントローラー210に送られると、コントローラー210はその検知信号から圃場の肥料濃度が所定基準より高いと判定すれば、繰出部61から供給される施肥量を設定量より減少させるべく、施肥量調節モータ410を高速回転させて、繰出回動ピン469を長孔467aの前端部側に移動させる。
【0102】
これにより、作業者が予め設定した施肥量を、圃場の状況に応じて自動的に変更することが出来る。
(例4)
また、肥料濃度検知センサー1110の検知結果に加えて、超音波センサー1140を用いて泥水の深度も検知することで、それら両方の検知結果に基づいて、圃場の肥料濃度をより精度良く検知して、繰出回動ピン469の位置を制御して、作業者が予め設定した施肥量を、圃場の状況に応じて自動的により精度良く変更する構成としても良い。
(例5)
また、通常、圃場の底に比較的軟らかい泥の層(圃場表土)があるので、超音波センサー1140を用いて泥水の深度を検知する構成では、その軟らかい泥の層の下にある比較的硬い土の層の表面から泥水の水面までの距離を検知することとなり、本来検知したい、圃場表土の表面から泥水の水面までの距離が測定出来ない。尚、前輪10は、比較的硬い土の層の表面を走行する。
【0103】
そこで、超音波センサー1140の検知結果に加えて、センターフロート55に設けられたフロートセンサー1141の検知結果と、植付装置4の昇降位置を検知するリンクセンサー1142の検知結果とを加味すれば、圃場表土の表面から泥水の水面までの距離を得ることが出来る。
【0104】
ここで、
図7は、本実施の形態の超音波センサー1140、フロートセンサー1141、及びリンクセンサー1142の検知結果を用いることにより、圃場表土の表面から泥水の水面までの距離を得ることが出来る理由を説明する模式図である。
【0105】
即ち、
図7に示す通り、リンクセンサー1142の検知結果から、苗植付部52の位置が分かると、センターフロート55におけるフロートセンサー1141による検知の基準となる位置Bは、その苗植付部52に対して予め決まっているので、位置Bが後輪11の下端面から高さhにあることが分かる。
【0106】
また、フロートセンサー1141の検知結果から、圃場表土の表面と位置Bとの距離がmであることが分かる。
このことから、比較的軟らかい泥の層の厚みaは、次式1により算出出来る。
【0107】
(数1)
a=h−m・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式1)
一方、超音波センサー1140の検知結果から、比較的軟らかい泥の層の下にある比較的硬い土の層の表面から泥水の水面までの距離dは、上述した通り検知出来る。
【0108】
よって、これら各種センサーの検知結果から、圃場表土の表面から泥水の水面までの距離bは、次式2により算出出来る。
【0109】
(数2)
b=d−a=d−(h−m)・・・・・・・・・・・(式2)
これにより、作業者が予め設定した施肥量を、圃場の状況に応じて自動的に更により精度良く変更することが出来る。
(例6)
また、上述した植付作業を終了して、田植機1が圃場から退出移動する際に、
傾斜検知センサー1120により、走行車体2が所定角度以上の前上がり傾斜状態にあることを検知すると、コントローラー210は、施肥量調節モータ410を作動させて、繰出回動ピン469の位置を、施肥量が標準量となる位置(標準位置)に移動させる構成としても良い。
【0110】
これにより、走行車体2の前上がり傾斜角度が所定角度以上になると、繰出回動ピン469の位置を標準位置(デフォルト位置)に自動的に移動させることにより、次の圃場で前の圃場の作業終了時の施肥量のまま作業を開始することを防止できるので、施肥量の過不足が生じにくく、作物の生育が安定する。
【0111】
尚、傾斜検知センサー1120により走行車体2の前上がり傾斜角度が所定角度以上であると検知し、更に、植付装置4が上昇したことをも検知した時に、繰出回動ピン469の位置を標準位置(デフォルト位置)に自動的に移動させる構成としても良い。
【0112】
これにより、傾斜検知センサー1120の検知結果のみを利用する構成に比べて、誤検知による制御ミスが防止出来る。
次に、
図8(a)、
図8(b)を用いて、コントローラー210の収納構成について説明する。
【0113】
図8(a)は、田植機1を正面から視た概略図であり、
図8(b)は、田植機1のボンネット32部分を左側面から視た概略図である。尚、便宜上、ボンネット32の表面の一部を破った状態で、内部が視えるように図示した。
【0114】
図8(a)、
図8(b)に示す通り、ボンネット32内にループ状にフレーム220を構成し、上下にコントローラー210を収納し、取り出し可能に固定している。
この構成によって、コントローラー210がコンパクトに収納出来、また、簡単に取り出せるので、メンテナンスの向上が図れる。
【0115】
次に、
図9を用いて、バッテリー230の収納構成について説明する。
図9は、田植機1の運転席部分を中心として左側面から視た概略図である。
ここでは、
図8(a)、
図8(b)で説明したコントローラー210の収納構成に対応して、従来はボンネット32の内部に収納されていたバッテリー230を昇降ステップ240の奥側に収納する構成とした。
【0116】
この構成により、ボンネット32内部の収納スペースが確保出来、その収納スペースを利用してコントローラー210の収納が可能となる。
前記走行車体2の前進走行の際、苗植付具52aが圃場に植え付ける苗の前後間隔は、複数の株間ギア列(図示省略)を備える株間伝動機構600の株間ギア列を、前記ボンネット32の下部側に設ける株間切替レバー601の操作により切り替えることで変更する構成としている。株間切替レバー601の切替操作により、一坪当たりの苗の植付株数を37株、42株、47株…70株、80株、90株と切り替えることができる。
【0117】
しかしながら、株間ギア列の変更でのみ株間を切り替える構成では、圃場の植付面積によっては田植機1で苗の植付が行えない箇所が生じることがある。こうした場所には作業者が手作業で植付作業を行わざるを得ず、作業者が余分な労力を費やす必要がある。
【0118】
また、圃場の深さ等によって株間が変えられれば、根の張りにくい深い箇所では株間を広げておき、速い段階で株が太く成長しやすくすることができるが、場所ごとに株間を変更すると、株間が極端に広く、または狭くなる箇所が生じる。
【0119】
上記の問題を防止すべく、
図14(a)(b)(c)に示すとおり、前記ミッションケース12から苗植付部4に駆動力を伝動する植付駆動軸(PTO軸)602の前端部を設け、該植付駆動軸602の後端部に入力プーリ603aを設ける。そして、該植付駆動軸602から駆動力を受ける植付伝動ケース604の入力軸には、径を変更可能な径可変出力プーリ603bを設け、前記入力プーリ603aと径可変出力プーリ603bに伝動ベルト605を無端状に巻回する。また、径可変出力プーリ603bの径を変更する、径可変モータ606を径可変出力プーリ603bの近傍に設ける。該径可変モータ606の操作は、ボンネット32等に設ける株間変更ダイヤル607によって行う。該株間変更ダイヤル607は、運転席31の側方に設けてもよい。
【0120】
なお、前記株間伝動機構600は、植付伝動ケース604に内装される。
上記の径可変モータ606を作動させると、径可変出力プーリ603bの径が変更される構成となる。例えば、
図14(c)に示すとおり、径可変出力プーリ603bを入力プーリ603aよりも大径にすると、苗植付具52aを植付動作させる駆動力が伝動される速度が低下するので、苗植付具52aが苗を取って植え付ける間隔が広がり、株間が広くなる。
【0121】
一方、
図14(b)に示すとおり、径可変出力プーリ603bを入力プーリ603aよりも小径にすると、苗植付具52aを植付動作させる駆動力が伝動される速度が増加するので、苗植付具52aが苗を取って植え付ける間隔が狭まり、株間が狭くなる。
【0122】
上記の株間の変化を、径可変出力プーリ603bの径の変化によって行うことにより、例えば1〜3株単位での僅かな株間の変更を行うことができるので、圃場全体を田植機1で植付作業することができ、作業能率の向上や作業者の労力の軽減が図られる。
【0123】
また、株間変更ダイヤル607を操作して径可変モータ606を作動させると径可変出力プーリ603bの径が変更されるので、圃場の深度や肥料濃度に合わせて株間を調節することができ、苗の生育が良好になると共に、風等により欠株が生じにくくなる。
【0124】
なお、株間の変更を行う条件の例として、
図15に示すとおり、圃場の深度が深いと判断し得る場所では、株間が広がるよう、径可変出力プーリ603を入力プーリ602よりも大径にする。一方、それ以外の箇所では、径可変出力プーリ603と入力プーリ602を略同径として、株間切替レバー600の操作に対応した株間とする。
【0125】
上記の圃場の深度の検出は、機体左右方向中央部のフロート55に設けるフロートセンサー1141が検出する、該フロート55の上下回動角度の変化に基づき判定される。該フロートセンサー1141が仰角(圃場面と水平状態であるときの角度0に対して、正数の角度)を検出すると、圃場深さが浅くなったと判断し、俯角(角度0に対して、負数の角度)を検出すると、圃場深さが深くなったと判断する。あるいは、超音波センサー1140で検出する。
【0126】
また、
図16に示すとおり、前記左右の肥料濃度検知センサー1110,1110により、肥料濃度が高いと検知される場所では、株間が広がるよう、径可変出力プーリ603を入力プーリ602よりも大径にする。一方、それ以外の箇所では、径可変出力プーリ603と入力プーリ602を略同径として、株間切替レバー600の操作に対応した株間とする。
【0127】
肥料濃度が高いところでは、苗が生育するのが過度に早くなり、他の箇所よりも風の影響を受けて倒れたり、飛ばされたりしやすくなるので、株を太くして風の影響を受けにくくする必要がある。
【0128】
さらに、
図17に示すとおり、圃場から水を排出する排水口の付近とみなし得る位置情報をGPS受信機1130が検出しているときは、株間が広がるよう、径可変出力プーリ603を入力プーリ602よりも大径にする。一方、圃場に水を取り入れる取水口の付近とみなし得る場所では、径可変出力プーリ603を入力プーリ602よりも小径として、株間を狭くする。
【0129】
水の排出口付近は深くなっていることが多く、また排水時の水流の影響を受けやすいので、苗の株間を広くし、株を太くしておく必要がある。
一方、水の取水口付近は浅くなっていることが多く、取水時に土中の肥料成分が流されやすいので、株間を狭くして、肥料の消費量が少なくても育ち得る植付を行っておく。
【0130】
上記において、肥料濃度検知センサー1110や超音波センサー1140等で肥料濃度や深さ等を検出するときは、株間切替ダイヤル607の操作に係らず径可変モータ606を作動させ、株間を自動調節制御してもよい。
【0131】
上記の例は、圃場の場所毎の条件に合わせて、植え付ける株間の変化させ、植付後の苗の株の太さの変化で問題に対応する方法である。一方、苗載せ台51に載置された苗から、苗植付具52aが一度に何本取り出すかを変更して、植え付ける苗の太さを変更することも可能である。
【0132】
図18に示すとおり、苗載せ台51の傾斜角度を変更する苗取量アクチュエータ(油圧シリンダ等)51cを設け、該苗取量アクチュエータ51cを伸縮させて、株間を切り替える構成とするとよい。例えば、苗載せ台51の姿勢を圃場面に対して直交する姿勢に近付けると、苗植付具52aの苗取り軌跡上に位置する苗の数が減少するので、苗一株当たりの苗の本数が減少する。
【0133】
一方、苗載せ台51の姿勢を圃場面に対して平行になる姿勢に近付けると、苗植付具52aの苗取り軌跡上に位置する苗の数が増加するので、苗一株当たりの苗の本数が増加する。
【0134】
圃場の深い場所、及び肥料濃度が高い場所は、苗が成長する際に分訣しやすく、株が太くなりやすいので、苗の本数を減らしておく。苗の本数が多くても問題はそれほど生じにくいが、本数を減らした株と収穫量は大差が生じないので、苗が余分に消費される。
【0135】
一方、取水口や排水口のような水流の影響を受けやすい箇所は、水流で苗が倒れないように、株一つ当たりの苗の本数を増やしておく。特に、ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)が発生しやすい箇所でもあるので、本数を増やして株を太くしておくと、外周の苗は食害で失われるものの、食害を受けにくい段階まで内部の苗を保護できるので、食害による欠株の発生が防止される。
【0136】
前記左右の肥料濃度検知センサー1110,1110は、該左右の肥料濃度検知センサー1110,1110の左右間の通電量に基づき肥料濃度を算出するものであるが、左右の前輪10,10に設けられているので、走行車体2の進行方向を直進方向に修正するとき等には、左右の前輪10,10のステアリング操作に伴い姿勢が変化する。
【0137】
これにより、前記左右の肥料濃度検知センサー1110,1110の機体前側付近と機体後側付近では、一部の電気の流れが伝わらず、実際の肥料濃度よりも低い肥料濃度が算出されてしまい、肥料が余分に供給されることがある。
【0138】
この問題を防止すべく、
図19に示すとおり、前記操縦ハンドル34のステアリング操作時の切角度を検出するハンドルポテンショメーター34aを設け、所定時間内に所定回数以上の信号がハンドルポテンショメーター34aからコントローラー210に発信されると、前記左右の肥料濃度検知センサー1110,1110による肥料濃度の検出に支障が出得る状態であるとして、前記施肥量切替モータ410の作動量の算出時に係数eで補正させると、通電されない場所により肥料濃度が低く算出されることが防止され、施肥量の変更が適正化される。
【0139】
これにより、圃場に肥料が過度に供給されることが防止され、肥料過多により収穫物の品質(味、形状の統一、生育不良の少なさ等)が低下することが防止されると共に、余分な肥料の消費が抑えられ、苗の栽培に要するコストが低減される。
【0140】
なお、前記係数eは、前記ハンドルポテンショメーター34aが所定時間内に検出した操縦ハンドル34の操舵回数に比例して増大させるものとすると、より施肥量の適正化が図られる。
【0141】
また、前記左右の後輪回転センサー11a,11aが検出する走行車体2の走行速度が所定速度以上であるときは、
図20に示すとおり、この係数eを低くして補正してもよい。
【0142】
高速走行時には左右の肥料濃度検知センサー1110,1110に泥土が付着すると落ちにくく、この泥土による電気伝導が検出されてしまうので、係数eを低くして補正を行うことにより、肥料濃度が高いと誤検知して、施肥装置100から供給される肥料が不足することが防止される。
【0143】
これにより、肥料不足により苗の成長が部分的に遅くなる箇所の発生が防止され、苗植付後の作業(追肥、圃場面の溝切り、収穫等)を行う時期にバラつきが生じることが防止され、苗の成長に合わせた最良の時期に最適な作業が行えるので、収穫物の品質が向上する。
【0144】
上記のとおり、左右の肥料濃度検知センサー1110,1110は前輪10,10に設けられているので、前輪10,10の回転やステアリングの影響を受けやすい。また、回転する部品にハーネス等の通電部品や絶縁部品を装着する必要があるので、通電部品や絶縁部品の装着が複雑になる問題がある。
【0145】
この問題を解決すべく、
図21及び
図22で示すとおり、走行車体2の前部で且つ左右両側に、上下方向に伸縮動作する左右の電動シリンダ608,608を設け、該左右の電動シリンダ608,608の下部に、板状の肥料濃度検知センサー1110,1110を各々設ける。
【0146】
該左右の電動シリンダ608,608は、昇降油圧シリンダ46を伸縮させて苗植付部4の上下位置を変更させるべく、前記センターフロート55が圃場の深さの変化や凹凸により回動する際の角度変化を検出する前記フロートセンサー1141の検出値に合わせて伸縮し、該左右の肥料濃度検知センサー1110,1110が圃場内に一定深さで入り込む制御を行なう構成とする。
【0147】
これにより、左右の肥料濃度検知センサー1110,1110を常時土中、あるいは水中に臨ませておくことができるので、圃場の肥料濃度が途切れることなく検出され、場所ごとの肥料濃度の変化に対して適切な量の肥料の供給が可能になり、肥料不足による苗の生育不良や、肥料過多による生育途中での風害や収穫物の品質低下が防止される。
【0148】
また、板状の肥料濃度検知センサー1110,1110が土中、あるいは水中に入り込む量(面積、上下長さ)を電動シリンダ608の伸縮によって略一定に保つ構成により、圃場の肥料濃度の検出構成が簡潔になる。
【0149】
なお、
図23に示すとおり、前記左右の電動シリンダ608,608と肥料濃度検知センサー1110,1110は、正面視で左右の前輪10,10と前輪ファイナルケース13,13の左右間に配置してもよい。このとき、左右の電動シリンダ608,608は、左右の前輪ファイナルケース13,13の下部側に配置する。
【0150】
これにより、左右の前輪10,10が左右の電動シリンダ608,608と肥料濃度検知センサー1110,1110の壁になるので、左右の電動シリンダ608,608と肥料濃度検知センサー1110,1110に走行車体2の移動に伴い生じる泥水流が届きにくくなり、左右の電動シリンダ608,608と肥料濃度検知センサー1110,1110の破損が防止される。
【0151】
また、左右の電動シリンダ608,608を左右の前輪ファイナルケース13,13の下部側に配置したことにより、左右の肥料濃度検知センサー1110,1110と圃場面の距離を狭くすることができるので、左右の電動シリンダ608,608の伸縮範囲や、上下長さが短く抑えられるため、コンパクト化が図られる。
【0152】
上記の構成では、左右の肥料濃度検知センサー1110,1110や超音波センサー1140等の検出値が変動すると、逐次施肥量調節モータ410を作動させて施肥量の変更に対応する構成としている。
【0153】
しかしながら、実際の圃場において、施肥量の変化が必要になるのは主に圃場の深さが大きく変動する場所であり、僅かな深さの変化ではあまり変更の必要は無い。むしろ、頻繁に施肥量調節モータ410を作動させていると、バッテリーの電気消費が増加したり、施肥伝動機構300や繰出調節機構400の耐久性が低下しやすくなる問題がある。
【0154】
これに対応すべく、
図24に示すとおり、フロートセンサー1120または超音波センサー1140が検知する圃場の深さの変化が所定値未満であり、且つ肥料濃度検知センサー1110,1110が検知する通電の変化が所定値未満であるときは、施肥量調節モータ410に作動信号を発信しない構成としてもよい。
【0155】
これにより、施肥量調節モータ410が頻繁に作動することを防止できるので、バッテリーの電力消費が抑えられ、ひいては燃料消費量が抑えられるとともに、施肥伝動機構300や繰出調節機構400の耐久性の低下が防止される。
【0156】
また、上記の構成では、GPS受信機1130を用いて取得した位置情報により、圃場内での移動軌跡を把握することができる。この移動軌跡のうち、直進軌跡の途中で急激に湾曲した移動軌跡が生じていると、走行に適さない何らかの障害を回避したことが読み取れる。
【0157】
これを利用し、例えば、圃場の代掻き作業を行うトラクター等の先行作業機の移動軌跡をGPS受信機1130により取得しておき、代掻き後の圃場に田植機で苗の植付を行うときに異常な軌跡があると、この部分で回避操作を行う必要があることを、ブザー等の報知装置で知らせる構成としてもよい。
【0158】
特に、無人作業の場合は、回避が必要な場所の位置情報がGPS受信機1130から取得されると、自動で回避操作されるものとすると、機体が移動できなくなることが防止され、作業能率が向上する。
【0159】
なお、上記実施の形態では、本発明の施肥装置を田植機に搭載した構成について説明したが、これに限らず例えば、施肥作業が可能な農業機械であればどの様なものにも適用可能であり、上記と同様の効果を発揮する。
【0160】
また、上記実施の形態では、枕地の検知に付いて、GPS受信機1130を用いる構成について説明したが、これに限らず例えば、ハンドルポテンショメーター34aによる走行車体2の90度旋回操作を検知することで、枕地作業位置にあることを検知する構成であっても良い。
【0161】
さらに、上記実施の形態では、ボールナット検知部としてストロークセンサー440を用いた構成について説明したが、これに限らず例えば、ポテンショメーター等、ボールナットの移動量又は位置を検知出来るものであればどの様な構成でも良い。