(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー部材において前記貫通孔の大きさまたは個数は、定着動作時において前記熱源体の表面温度が前記熱源体の表面限界温度以下を維持するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベルト方式の定着装置において、定着ベルトの内側には、例えばハロゲンヒーター等の熱源体が設けられ、熱源体から放射される輻射熱により定着ベルトが加熱される。また、定着ベルトの軸方向の長さは、定着ベルトと加圧ローラとの間のニップ部を通過する用紙の最大幅よりも長く設定され、熱源体の軸方向の長さもこれとほぼ同等の長さに設定されている。
【0005】
画像形成装置において長時間連続して印刷動作を行う場合、熱源体により定着ベルトが長時間連続して加熱される。この場合、ニップ部において用紙が通過する領域である通紙領域においては、ニップ部を通過する用紙に熱が吸収されるが、ニップ部において通紙領域の軸方向外側の非通紙領域においては、用紙に熱が吸収されることがない。このため、非通紙領域において定着ベルトが過昇温な状態となることがある。
【0006】
このような非通紙領域における定着ベルトの過昇温を防止するために、非通紙領域内に位置する熱源体の端部をカバーで覆ったベルト方式の定着装置が開発されている。しかしながら、このカバーには次のような問題がある。すなわち、カバーは単なる無孔の金属板であるため、熱源体の端部において熱源体から放射される輻射熱がカバーの内面に多量に反射し、その結果、熱源体の端部(例えばハロゲンヒーターの封止部またはバルブの端部等)の表面温度が過大となって熱源体の端部の表面限界温度を超えるおそれがある。
【0007】
また、ベルト方式の定着装置において、定着ベルトの温度を制御するために、定着ベルトの外周側に例えばサーミスターを用いた温度センサーが設けられている。温度センサーは複数設けられ、例えば定着ベルトの軸方向中央部および端部にそれぞれ配置されている。これらの温度センサーのうち、定着ベルトの端部に配置された温度センサーについて次のような問題がある。すなわち、長時間の連続印刷動作により非通紙領域において定着ベルトが過昇温な状態になると、非通紙領域内に位置する定着ベルトの端部の温度が、温度センサーの有する温度の検知可能範囲の上限を超えてしまい、定着ベルトの端部の温度を正確に検知することができなくなるおそれがある。
【0008】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、記録媒体がニップ部を通過しない非通過領域における定着ベルトの過昇温を防止することができると共に、熱源体の端部の表面温度が過大となるのを防止することができる定着装置および画像形成装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の課題は、定着ベルトの端部における温度検知を正確に行うことができる定着装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、記録媒体に像を定着させる定着装置であって、第1の回転軸周りを回転可能に設けられた無端状の定着ベルトと、前記第1の回転軸と平行な第2の回転軸周りを回転可能に設けられ、前記定着ベルトとの間に前記記録媒体を加圧しつつ通過させるニップ部を形成する加圧ローラーと、前記定着ベルトの内側に設けられ、前記第1の回転軸と略平行に伸長する長尺な形状を有し、輻射熱を放射して前記定着ベルトを加熱する熱源体と、前記定着ベルトと前記熱源体との間に設けられ、前記熱源体を覆うカバー部材とを備え、前記ニップ部において前記記録媒体が通過する領域を通過領域といい、前記ニップ部において前記通過領域の軸方向外側の領域を非通過領域というとすると、前記カバー部材は前記熱源体において前記非通過領域に対応する部分を覆い、前記カバー部材には前記熱源体の表面温度を調整するための複数の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明による定着装置によれば、定着ベルトの内側において、カバー部材により、熱源体において非通過領域に対応する部分を覆うことによって、定着ベルトにおいて非通過領域に対応する部分が過昇温の状態となるのを防止することができる。また、カバー部材に貫通孔を形成することにより、定着ベルトにおいて非通過領域に対応する部分が過昇温の状態となることを防止しつつ、熱源体におけて非通過領域に対応する部分の表面温度がその限界温度を超えることを防止することができる。
【0012】
また、上述した本発明の定着装置のカバー部材において、前記貫通孔の大きさまたは個数は、定着動作時において前記熱源体の表面温度が前記熱源体の表面限界温度以下を維持するように設定されていることが望ましい。
【0013】
これにより、定着ベルトにおいて非通過領域に対応する部分が過昇温の状態となることを防止する効果と、熱源体におけて非通過領域に対応する部分の表面温度がその限界温度を超えることを防止する効果とを容易に両立させることができると共に、これら双方の効果を高めることができる。
【0014】
また、上述した本発明の定着装置のカバー部材において、前記定着ベルトの軸方向中央に近い側の端部は前記通過領域と前記非通過領域との境界線と略一致する位置に配置されていることが望ましい。
【0015】
これにより、定着ベルトにおいて非通過領域に対応する部分の過昇温を防止する効果を高めることができる。
【0016】
また、上述した本発明の定着装置において、前記ニップ部において最大幅の前記記録媒体が通過する領域を最大通過領域といい、前記ニップ部において前記最大通過領域の軸方向外側の領域を最小非通過領域というとすると、前記カバー部材において前記定着ベルトの軸方向中央に近い側の端部は前記最大通過領域と前記最小非通過領域との境界線と略一致する位置に配置されていることが望ましい。
【0017】
これにより、定着ベルトにおいて最小非通過領域に対応する部分の過昇温を防止する効果を高めることができる。
【0018】
また、上述した本発明の定着装置において、前記定着ベルトの軸方向端側の外周側に配置され、前記定着ベルトの温度を検知する温度検知部を備え、前記カバー部材は前記熱源体において前記温度検知部と径方向に対向する部分を覆っていることが望ましい。
【0019】
これにより、熱源体から、定着ベルトの軸方向端側に配置された温度検知部に伝わる熱量が過大となることを防止することができ、当該温度検知部の周囲の温度が、当該温度検知部の有する温度の検知可能範囲の上限を超えることを防止することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、上述した本発明の定着装置を備えている。
【0021】
本発明の画像形成装置によれば、定着装置において、定着ベルトの非通過領域に対応する部分が過昇温の状態となることを防止することができると共に、熱源体の非通過領域に対応する部分の表面温度がその限界温度を超えることを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、記録媒体がニップ部を通過しない非通過領域における定着ベルトの過昇温を防止することができると共に、熱源体の端部の表面温度が過大となるのを防止することができる。また、本発明によれば、定着ベルトの端部における温度検知を正確に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(画像形成装置)
図1は本発明の実施形態による画像形成装置を示している。
図1において、本発明の実施形態による画像形成装置1は電子写真方式の画像形成装置であり、例えばプリンターである。画像形成装置1は略箱型の筐体2を備え、筐体2の下部には給紙カセット3が設けられている。給紙カセット3には記録媒体としての用紙が収容される。また、筐体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。さらに、筐体2の上部にはトナーコンテナ5を収容する収容部が設けられ、筐体2にはこの収容部を開閉する蓋部6が設けられている。
【0026】
筐体2内には、給紙カセット3に収容された用紙を排紙トレイ4に向けて搬送する搬送経路7が形成されている。搬送経路7の上流側には給紙ローラー8が設けられ、その下流側には搬送ローラー9が設けられている。搬送ローラー9の下流側には画像形成部10が設けられている。画像形成部10は、感光体ドラム11、帯電器12、現像器13、転写ローラー14およびクリーニング装置15を有している。また、画像形成部10の上方には露光器16が設けられている。また、搬送経路7において、画像形成部10の下流側には、本発明の実施形態による定着装置21が設けられている。定着装置21は、後述するように、定着ベルト25、加圧ローラー32、および定着ベルト25を加熱する熱源体としてのハロゲンヒーター28等を備えている。また、定着装置21の下流側には搬送ローラー18が設けられ、搬送ローラー18の下流側であって排紙トレイ4の近傍には排紙ローラー19が設けられている。
【0027】
また、図示しないが、画像形成装置1には、半導体記憶素子を有し、例えばパーソナルコンピュータ等の外部装置から受け取った画像データを一時的に記憶する記憶部と、演算処理装置を有し、露光器16、画像形成部10、定着装置21等を制御する制御部と、画像形成装置1を稼働させるための電力の供給を制御する電源回路とが設けられている。
【0028】
このような構成を有する画像形成装置1の印刷動作は次の通りである。すなわち、用紙に印刷すべき画像のデータが画像形成装置1に入力されると、帯電器12により感光体ドラム11の表面が帯電され、画像データに対応したレーザー光Lが露光器16から感光体ドラム11へ照射され、感光体ドラム11の表面に静電潜像が形成される。さらに、現像器13により静電潜像に対応したトナー像が感光体ドラム11の表面に形成される。一方、給紙カセット3に収容された用紙が給紙ローラー8および搬送ローラー9により搬送され、感光体ドラム11と転写ローラー14との間を通過する。このとき、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が用紙の表面に転写される。トナー像が転写された後、感光体ドラム11の表面に残留したトナーはクリーニング装置15により回収される。続いて、トナー像が転写された用紙は、定着装置21の定着ベルト25と加圧ローラー32との間を通過する。このとき、ハロゲンヒーター28により加熱された定着ベルト25の熱により、トナー像が溶融して用紙に定着される。トナー像が定着された用紙は、搬送ローラー18および排紙ローラー19により搬送され、排紙トレイ4に排出される。
【0029】
(定着装置)
図2は
図1中の矢示II−II方向から見た定着装置21を示している。
図3は
図2中の矢示III−III方向から見た定着ベルトユニット23および加圧ローラー32等の断面を示している。
図4は
図2中の定着ベルトユニット23の一方の端部を示している。
図2において、定着装置21は、その外枠を構成する、例えば金属板により形成されたフレーム部22を備えており、フレーム部22の内側には、定着ベルトユニット23と加圧ローラー32とが取り付けられている。定着ベルトユニット23には、ステー24、定着ベルト25、一対の取付部材26、一対の規制リング27、ハロゲンヒーター28、ニップ形成部材29、一対のカバー部材41等が設けられている。なお、ニップ形成部材29およびカバー部材41は、
図3および
図4に示し、
図2においては図示を省略している。
【0030】
定着ベルトユニット23には、
図2に示すように、用紙の搬送方向に対して直交する方向に伸長する回転軸A−Aが設定されている。ステー24は、回転軸A−Aに平行な方向(軸方向)に伸長する長尺な棒状または筒状の部材であり、定着ベルトユニット23の骨格を構成する。
【0031】
定着ベルト25はステー24の周囲に設けられている。定着ベルト25は無端状のベルトであり、軸方向に長い筒状に形成されている。また、定着ベルト25は薄肉であり、可撓性を有している。定着ベルト25は、基材層を離型層で被覆することにより形成されている。基材層は、例えばステンレス鋼等の金属またはポリイミド等の樹脂等により形成され、離型層は、例えばペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などの樹脂により形成されている。定着ベルト25は回転軸A−Aの周りを回転することができる。なお、定着ベルト25の基材層および離型層からなる構造については図示を省略している。
【0032】
取付部材26は、ステー24をフレーム部22の内側に不動に固定し、定着ベルト25をフレーム部22に対して回転可能に支持し、また、ハロゲンヒーター28およびニップ形成部材29等をフレーム部22に不動に固定する部材である。取付部材26は定着ベルト25の両端側にそれぞれ設けられている。例えば、各取付部材26にはステー24の端部を固定するためのステー取付孔(図示せず)が形成されている。ステー24は、その各端部に形成された係合部を取付部材26の当該ステー取付孔に係合することにより、取付部材26に固定されている。
【0033】
また、各取付部材26には、
図4に示すように、その軸方向中央に向いた面から軸方向中央に向けて突出する円弧状の突条部26Aが形成されている。定着ベルト25の各端部は、突条部26Aの外周側に装着されている。定着ベルト25は、
図2に示すように、その両端部が一対の取付部材26に狭持されることにより、その軸方向の移動が規制されている。一方、定着ベルト25の各端部は取付部材26の突条部26Aの外周面上を移動することができる。これにより、定着ベルト25は回転軸A−Aを中心に回転することができる。
【0034】
規制リング27は、
図2に示すように、定着ベルト25の両端側にそれぞれ設けられている。規制リング27は、
図4に示すように、環状の部材であり、定着ベルト25の端部と取付部材26との間に位置し、取付部材26の突条部26Aに回転可能に取り付けられている。規制リング27は、定着ベルト25の回転時の蛇行を抑制して定着ベルト25の回転を安定させる機能を有している。
【0035】
ハロゲンヒーター28は、輻射熱を放射して定着ベルト25を加熱する熱源体であり、
図2に示すように、定着ベルト25の内側に設けられている。ハロゲンヒーター28は、回転軸A−Aと略平行に伸長する長尺な形状を有し、定着ベルト25の軸方向における長さとほぼ同じ長さを有している。また、ハロゲンヒーター28は、
図4に示すように、輻射熱を放射するバルブ部28Aと、バルブ部28Aの両端側にそれぞれ設けられた封止部28Bとを備えている。ハロゲンヒーター28はその両端部が取付部材26にそれぞれ固定されている。
【0036】
また、ハロゲンヒーター28は、
図3に示すように、定着ベルト25の内側において、ステー24と定着ベルト25との間に位置し、また、回転軸A−Aよりも上方に位置している。この結果、ハロゲンヒーター28は、回転軸A−Aを中心とした定着ベルト25の回転軌道のうち、その上部の領域に最も接近している。それゆえ、ハロゲンヒーター28はこの領域を通過する定着ベルト25の各部分を主に加熱する。なお、印刷動作中、定着ベルト25は回転軸A−Aの周りを回転し続けるので、定着ベルト25はその全周に亘ってハロゲンヒーター28により加熱されることとなる。ここで、
図5は定着ベルト25の回転軌道Tにおいてハロゲンヒーター28により加熱される領域(加熱領域)Rを示している。すなわち、
図5においてハッチングを付した部分が加熱領域Rである。
【0037】
ニップ形成部材29は、
図3に示すように、定着ベルト25の内側に設けられ、ステー24の下方であって、加圧ローラー32と対向する位置に配置されている。ニップ形成部材29は、軸方向に伸長する長尺な部材であり、定着ベルト25の軸方向長さとほぼ同じ長さを有している。また、ニップ形成部材29は、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂により形成され、ステー24または各取付部材26に固定されている。ニップ形成部材29は、定着ベルト25を間に挟んで加圧ローラー32と互いに押し合い、定着ベルト25と加圧ローラー32との間にニップ部31を形成する。
【0038】
定着ベルトユニット23には、以上説明した部品ないし部材に加え、ハロゲンヒーター28から放射される輻射熱を加熱領域Rに向けて反射する反射部材等が設けられているが、これについては図示および説明を省略する。また、定着ベルトユニット23には、
図4に示すように、ハロゲンヒーター28の両端側を覆う一対のカバー部材41が設けられているが、これについては後述する。
【0039】
一方、定着装置21において、加圧ローラー32は、
図2に示すように、定着ベルト25の下方において定着ベルト25と隣接している。加圧ローラー32は、軸方向に長尺な円柱状のローラであり、
図3に示すように、芯材33と、その周囲に設けられた弾性層34と、弾性層34の外周面を被覆する離型層(図示せず)とを備えている。また、加圧ローラー32の両端部はフレーム部22に回転可能に取り付けられている。加圧ローラー32は、
図2に示すように、動力伝達機構35を介してモーター(図示せず)に接続されており、モーターの駆動により、回転軸A−Aと平行な回転軸B−B周りを回転する。加圧ローラー32の外周面は、定着ベルト25を介してニップ形成部材29に押し付けられており、これにより、加圧ローラー32と定着ベルト25との間には、用紙を加圧しつつ通過させるニップ部31が形成されている。また、加圧ローラー32の外周面が定着ベルト25を介してニップ形成部材29に押し付けられているため、モーターの駆動により加圧ローラー32が回転すると、定着ベルト25が回転する。
【0040】
また、定着装置21には、
図2に示すように、例えば2つの温度センサー36、37が設けられている。一方の温度センサ36は、定着ベルト25の軸方向中央部に配置され、他方の温度センサー37は定着ベルト25の軸方向端側に配置されている。各温度センサ36、37は例えばサーミスタを備えている。また、各温度センサ36、37は、サーミスタが配置された先端側が定着ベルト25の外周面に接触し、基端側がフレーム部22に固定されている。これら温度センサ36、37は、定着ベルト25の軸方向中央部および端側の温度をそれぞれ検知し、これらの検知結果を示す検知信号を制御部へ出力する。制御部は、定着ベルト25の温度を例えば所定の設定温度に維持するように、温度センサ36、37から出力された検知信号に基づいてハロゲンヒーター28を制御する。なお、温度センサー37は温度検知部の具体例である。
【0041】
また、定着装置21のフレーム部22にはサーモスタット38が設けられている。サーモスタット38は、定着ベルト25の外周面から所定距離離れた位置(外周面に接触していないが外周面にかなり接近した位置)に配置され、定着ベルト25の外周面に臨むようにフレーム部22に固定されている。上述した温度センサ36、37は正常稼働時にハロゲンヒーター28を制御して定着ベルト25の温度制御を行うための温度検知手段であるのに対し、サーモスタット38は、例えばハロゲンヒーター28の熱暴走等により定着ベルト25の温度が異常な高温となるおそれがあるときに、ハロゲンヒーター28を強制的に消灯させ、事故や定着装置21の損傷を未然に防ぐための温度検知手段である。サーモスタット38の電気的構成について説明すると、サーモスタット38は、ハロゲンヒーター28を点灯させるための電力を供給する電気経路の途中に接続され、定着ベルト25の温度が、異常な温度上昇を検出するために設定された所定の閾値以下である間は当該電気経路を接続しているが、定着ベルト25の温度が当該閾値を超えたときには当該電気経路を遮断する。
【0042】
(カバー部材)
図6はカバー部材41を示している。カバー部材41は、
図4に示すように、ハロゲンヒーター28の端側を覆う部材である。
図4は、ハロゲンヒーター28の一方の端側を覆うカバー部材41のみを示しているが、定着ベルトユニット23には、一対のカバー部材41が設けられ、これら一対のカバー部材41はハロゲンヒーター28の両端側をそれぞれ覆っている。これら一対のカバー部材41は、左右対称であり、同等の構成を有するので、以下、
図4に示す一方のカバー部材41についてのみ説明する。
【0043】
カバー部材41は、
図4に示すように、定着ベルト25の内側に配置され、ハロゲンヒーター28の端部の外周側を覆っている。この結果、定着ベルト25の端部とハロゲンヒーター28の端部との間にはカバー部材41が介在している。
【0044】
また、カバー部材41は、ハロゲンヒーター28において最小非通紙領域に対応する部分を覆っている。すなわち、カバー部材41が覆っているハロゲンヒーター28の端部とは、最小非通紙領域に対応する部分である。定着ベルト25と加圧ローラー32との間に形成されたニップ部31において、幅寸法(定着ベルト25の軸方向の長さに対応する長さ寸法)が最大の用紙が通過する領域を「最大通紙領域」といい、ニップ部31において最大通紙領域の軸方向外側において最大通紙領域と隣接する領域を「最小非通紙領域」という。カバー部材41は、この最小非通紙領域に対応する領域に配置され、ハロゲンヒーター28において最小非通紙領域に対応する部分を覆っている。別言すると、カバー部材41は、ハロゲンヒーター28において最大通紙領域に対応する部分は覆っていない。
【0045】
カバー部材41は、
図6に示すように、例えばステンレス鋼等の金属板を、略コ字状に折り曲げることにより形成され、上側の上板部41Aおよびその両側の横板部41Bを備えている。
図3に示すように、上板部41Aはハロゲンヒーター28において最小非通紙領域に対応する部分を上方から覆い、各横板部41Bはハロゲンヒーター28において最小非通紙領域に対応する部分を側方から覆っている。また、カバー部材41は、
図3に示すように、例えばビス42を用いて、ステー24に固定されている。
【0046】
また、
図4に示すように、カバー部材41において、定着ベルト25の軸方向中央に近い側の端部は、最大通過領域と最小非通過領域との境界線と略一致する位置に配置されている。また、カバー部材41において、定着ベルト25の軸方向中央から遠い側の端部は、ハロゲンヒーター28の軸方向末端部と略一致する位置に配置されている。すなわち、カバー部材41は、最大通過領域と最小非通過領域との境界線と略一致する位置からハロゲンヒーター28の末端部までの間において、ハロゲンヒーター28を覆っている。
【0047】
また、カバー部材41の上板部41Aには、ハロゲンヒーター28の表面温度を調整するための複数の貫通孔43が形成されている。
図6に示すカバー部材41においては、各貫通孔43の形状は軸方向に伸長するスリット状であり、貫通孔43は上板部41Aに5つ形成されている。
【0048】
ここで、貫通孔43の形状、大きさおよび個数は、定着動作時においてハロゲンヒーター28の表面温度がハロゲンヒーター28の表面限界温度以下を維持するように設定されている。すなわち、
図6に示すカバー部材41において頂点P1、P2、P3およびP4に囲まれた部分が上板部41Aの範囲である。このような範囲を有する上板部41Aの表面において、貫通孔43が形成されていない部分を被覆面といい、上板部41Aの表面全体の面積に対する被覆面の割合を、カバー部材41の被覆率という。カバー部材41の被覆率は、定着動作時においてハロゲンヒーター28の表面温度がハロゲンヒーター28の表面限界温度以下を維持するように設定されている。なお、ハロゲンヒーター28の表面限界温度は、ハロゲンヒーターの種類や個々の製品ごとに異なるが、一例をあげれば、バルブ部28Aについては800度、封止部28Bについては350度である。
【0049】
また、ハロゲンヒーター28の表面温度は、ハロゲンヒーター28の稼働状態や稼働環境、例えば、画像形成装置1における単位時間当たりの印刷枚数、または画像形成装置1の消費電力等に応じて異なるので、カバー部材41の被覆率は、このようなハロゲンヒーター28の稼働状態や稼働環境を考慮して設定されている。
【0050】
図7は、カバー部材の上板部に形成する貫通孔の様々な態様を示している。
図7(1)に示す第1の態様のカバー部材41は、
図6に示すものと同じであり、各貫通孔43の形状は軸方向に長いスリット状であり、各貫通孔43の大きさは大きく、貫通孔43の個数は5つである。
図7(2)に示す第2の態様のカバー部材51においては、各貫通孔53の形状および大きさは
図7(1)に示すものと同じであるが、貫通孔53の個数が
図7(1)に示すものよりも少ない。
図7(2)に示すカバー部材51の方が、
図7(1)に示すカバー部材41よりも被覆率が高い。
図7(3)に示す第3の態様のカバー部材61においては、各貫通孔63の形状が軸方向と直交する方向に長いスリット状であり、各貫通孔63の大きさが比較的小さいが、各貫通孔63の個数が比較的多い。
図7(4)に示す第4の態様のカバー部材71においては、各貫通孔73の形状が斜め方向に伸長するスリット状であり、各貫通孔73の大きさが比較的小さいが、各貫通孔73の個数が比較的多い。
図7(3)および(4)に示すカバー部材61および71はいずれも、
図7(2)に示すカバー部材51と比較して被覆率が低い。
図7(5)に示す第5の態様のカバー部材81においては、各貫通孔83の形状が円形であり、各貫通孔83の大きさが比較的小さく、貫通孔83の個数が多くない。
図7(5)に示すカバー部材81は被覆率が比較的高い。
【0051】
一方、上述したように、定着ベルト25の軸方向端側には温度センサー37が配置されているが、厳密には、この温度センサー37は、
図4に示すように、最小非通紙領域に対応する部分に配置されている。カバー部材41は、ハロゲンヒーター28において当該端側の温度センサー37と径方向に対向する部分を覆っている。すなわち、当該端側の温度センサー37とハロゲンヒーター28との間には、カバー部材41の上板部41Aが介在している。また、本実施形態においては、カバー部材41の上板部41Aにおいて温度センサー37と径方向に対向する部分には貫通孔43が形成されている。そして、貫通孔43の形状、大きさおよび個数、すなわち、カバー部材41の被覆率は、定着動作時においてハロゲンヒーター28の表面温度がハロゲンヒーター28の限界温度以下を維持するだけでなく、温度センサー37の実際の検知温度が、当該温度センサー37の有する温度の検知可能範囲の上限を超えないように設定されている。
【0052】
以上説明したように、本実施形態による定着装置21によれば、定着ベルト25の内側において、カバー部材41により、ハロゲンヒーター28において最小非通紙領域に対応する部分を覆うことによって、定着ベルト25の端部、すなわち最小非通紙領域に対応する部分が過昇温の状態となるのを防止することができる。すなわち、画像形成装置1において長時間連続して印刷動作を行う場合、ハロゲンヒーター28により定着ベルト25が長時間連続して加熱される。この場合、最大通紙領域においては、ニップ部31を通過する用紙に熱が吸収されるが、最小非通紙領域においては、用紙に熱が吸収されることがないため、最大通紙領域と比較して最小非通紙領域においては定着ベルト25の温度が上昇し易い。なお、最大幅ではない用紙がニップ部31を通過する場合には、非通紙領域が、最小非通紙領域よりも軸方向中央寄りの領域を含む、より広い領域となり、その広い非通紙領域において定着ベルト25の温度が上昇し易くなる。しかしながら、本実施形態における画像形成装置1においては、最大幅の用紙(例えばA4サイズの用紙)に対する長時間の連続印刷が行われる頻度が高いため、最小非通紙領域において定着ベルト25の温度上昇が問題となる場合が多く、それゆえ、最小非通紙領域における定着ベルト25の過昇温の防止措置が重要である。
【0053】
また、カバー部材41において軸方向中央に近い側の端部を最大通紙領域と最小非通紙領域との境界線とほぼ一致する位置に配置し、最大通過領域と最小非通過領域との境界線と略一致する位置からハロゲンヒーター28の末端部に至るまでの間においてハロゲンヒーター28を覆うことにより、定着ベルト25において最小非通紙領域に対応する部分の過昇温を防止する効果を高めることができる。
【0054】
また、カバー部材41に貫通孔43を形成し、貫通孔43の形状、大きさ、または個数を適宜設定して、カバー部材41の被覆率を適切に調整することにより、定着ベルト25において最小非通紙領域に対応する部分が過昇温の状態となることを防止しつつ、ハロゲンヒーター28において最小非通紙領域に対応する部分の表面温度がその限界温度にかなり接近し、またはその限界温度を超えることを防止することができる。
【0055】
ここで、
図8は、長時間連続印刷時における定着ベルト25の軸方向の位置(軸方向中央からの距離)(横軸)と定着ベルト25の温度(縦軸)との関係を示している。
図8において、実線の特性線はカバー部材の被覆率が0%の場合における定着ベルト25の位置と温度との関係を示している。被覆率0%とは、カバー部材を設けていないことを意味する。この実線の特性線を見るとわかる通り、カバー部材を設けない場合には、最小非通紙領域における定着ベルト25の温度が、最大通紙領域における温度と比較して大きく上昇している。また、二点鎖線の特性線はカバー部材の被覆率が50%の場合における定着ベルト25の位置と温度との関係を示している。被覆率50%は、カバー部材の貫通孔の形状、大きさおよび個数により設定されている。この二点鎖線の特性線と実線の特性線とを比較するとわかる通り、被覆率50%のカバー部材を設けることで、カバー部材を設けない場合よりも、最小非通紙領域における定着ベルト25の温度の上昇が抑制されている。また、点線の特性線はカバー部材の被覆率が100%の場合における定着ベルト25の位置と温度との関係を示している。被覆率100%とは、貫通孔が全く形成されていない無孔のカバー部材を設けたことを意味する。この点線の特性線と二点鎖線の特性線とを比較するとわかる通り、無孔のカバー部材を設けることで、被覆率50%のカバー部材を設けた場合よりも、最小非通紙領域における定着ベルト25の温度の上昇が一層抑制されている。このように、
図8から、被覆率の高いカバー部材を設けるほど、最小非通紙領域における定着ベルト25の温度上昇の抑制効果を高めることができることがわかる。
【0056】
一方、
図9は、定着ベルト25の回転速度が30PPM(1分間当たりの印刷枚数)であり、電力消費量が800Wである場合において、カバー部材の被覆率(横軸)とハロゲンヒーター28のバルブ部28Aの表面温度(縦軸)との関係、およびカバー部材の被覆率(横軸)とハロゲンヒーター28の封止部28Bの表面温度(縦軸)との関係を示している。
図9において、破線はハロゲンヒーター28のバルブ部28Aの限界温度を示し、二点鎖線はハロゲンヒーター28の封止部28Bの限界温度を示している。
図9を見るとわかる通り、カバー部材の被覆率が100%の場合(無孔のカバー部材を設けた場合)には、バルブ部28Aの表面温度がその限界温度にかなり接近しており、かつ封止部28Bの表面温度がその限界温度を超えている。このように、
図9から、被覆率が高く、100%に近いカバー部材を設けるとハロゲンヒーター28のバルブ部28Aまたは封止部28Bの表面温度がその限界温度にかなり接近し、またはその限界温度を超える場合があることがわかる。
【0057】
図8および
図9を合わせて検討すると、カバー部材41の被覆率は、定着ベルトの過昇温を防止するためには高く設定した方がよいが、ハロゲンヒーター28の表面温度をその限界温度以下に維持するためには100%未満、例えば約70%以下に設定することがよいと考えられる。したがって、カバー部材41に形成する貫通孔43の形状、大きさ、および個数を調整し、カバー部材41の被覆率が例えば30%以上70%以下となるように設定することにより、最小非通紙領域における定着ベルト25の過昇温を防止することと、ハロゲンヒーター28における最小非通紙領域に対応する部分の表面温度をその限界温度以下に維持することとを同時に実現することができる。これにより、定着ベルト25の劣化ないし消耗を抑制することができると共に、ハロゲンヒーター28の故障を防止することができる。
【0058】
また、本実施形態による定着装置21によれば、ハロゲンヒーター28において温度センサー37と径方向に対向する部分をカバー部材41で覆うことにより、長時間連続印刷時に、最小非通紙領域に対応する領域において、ハロゲンヒーター28から温度センサー37へ伝わる熱量が過大となることを防止することができる。これにより、温度センサー37の周囲の温度が、温度センサー37の有する温度の検知可能範囲の上限を超えることを防止することができる。したがって、長時間の連続印刷時においても、温度センサー37により、定着ベルト25の端部の温度を正確に検知することができ、ハロゲンヒーター28の制御を確実かつ高精度に行うことができる。
【0059】
ここで、
図10は定着ベルトユニットの比較例を示している。
図10に示す定着ベルトユニット101は、ハロゲンヒーター28において温度センサー37と径方向に対向する部分がカバー部材102で覆われていない構成を有している。このような構成では、長時間の連続印刷時に、温度センサー37の周囲の温度が、温度センサー37の有する温度の検知可能範囲の上限を超えてしまうおそれがある。
図4に示す本発明の実施形態による定着ベルトユニット23では、カバー部材41が、ハロゲンヒーター28において温度センサー37と径方向に対向する部分を覆っているので、長時間の連続印刷時に、温度センサー37の周囲の温度を、温度センサー37の有する温度の検知可能範囲内に止めることができる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、ハロゲンヒーター28において最小非通紙領域に対応する部分をカバー部材41で覆う場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、画像形成装置において、印刷頻度の高い用紙の幅が、当該画像形成装置が取り扱う用紙の最大幅でない場合、長時間連続印刷時において、その印刷頻度の高い用紙の幅に対応する通紙領域の軸方向外側に位置する非通紙領域(最小非通紙領域よりも広い領域)が過昇温となるおそれがある。この場合には、ハロゲンヒーター28において当該非通紙領域に対応する部分をカバー部材で覆ってもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、カバー部材41において定着ベルト25の軸方向中央に近い側の端部を、最大通過領域と最小非通過領域との境界線と略一致する位置に配置する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。このカバー部材41の端部の位置は、長時間連続印刷時に定着ベルトにおいて実際に過昇温となる領域に応じて適宜調整することができる。もっとも、
図8によれば、最大通過領域と最小非通過領域との境界で定着ベルトの温度が急激に上昇することが確認されている。このような場合には、カバー部材41において定着ベルト25の軸方向中央に近い側の端部を、最大通過領域と最小非通過領域との境界線と略一致する位置に配置することにより、定着ベルト25の端部の過昇温を効果的に防止することができる。
【0062】
また、上述した実施形態では、カバー部材41に形成する貫通孔43のいくつかの態様を
図7に示して説明したが、貫通孔43の態様はこれらに限定されない。例えば、上板部41Aの端部に凹状の切り欠きを設けて径方向に貫通する空間を形成した場合、その切り欠きも貫通孔の一態様に含まれる。
【0063】
また、上述した実施形態では、熱源体としてハロゲンヒーター28を例にあげたが、熱源体はこれに限らず、例えばセラミックヒーター等の他の熱源体でもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例にあげたが、本発明はこれに限らず、複写機、ファクシミリ、複合機等にも適用することができる。
【0065】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う定着装置および画像形成装置もまた本発明の技術思想に含まれる。