特許第6237586号(P6237586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237586
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】誘導機器
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/24 20060101AFI20171120BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01F27/24 H
   H01F37/00 A
   H01F37/00 S
   H01F27/24 P
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-232943(P2014-232943)
(22)【出願日】2014年11月17日
(65)【公開番号】特開2016-96312(P2016-96312A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大野 博史
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 実開平5−20310(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0085035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/24
H01F 37/00
H01F 30/10
H01F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁路を形成する磁性コアと、前記磁性コアに捲回されるコイルとを備え、
前記磁性コアは、前記コイルの捲回中心軸線に沿った方向に延びるとともに周囲に前記コイルが配置される脚部を有する第1コアと、前記脚部の延設方向に対して交差する方向に延びる第2コアとを有し、
前記脚部の延設方向と前記第2コアの延設方向とが交差する位置には、ギャップ形成部が設けられており、前記ギャップ形成部は、前記第2コアに対向する対向面を有しており、前記第2コアは、前記対向面に対向して前記対向面と共にギャップを形成するギャップ形成面を有しており、
前記対向面及び前記ギャップ形成面は、前記脚部における前記コイルと対向する外側面よりも前記脚部の軸線に近い位置に配置されており、
前記第2コアにおけるギャップ形成面側の前記コイル寄りの角部に面取り部が形成されていることを特徴とする誘導機器。
【請求項2】
前記ギャップ形成部は、前記脚部と一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の誘導機器。
【請求項3】
前記第1コアは、前記対向面と前記外側面とを繋ぐ湾曲部を有することを特徴とする請求項に記載の誘導機器。
【請求項4】
前記ギャップ形成部及び前記第2コアは、放熱部材に接する接触部を有することを特徴とする請求項又は請求項に記載の誘導機器。
【請求項5】
前記ギャップ形成部は、前記脚部とは別体であることを特徴とする請求項1に記載の誘導機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性コアと、磁性コアに捲回されたコイルとを有する誘導機器に関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルやトランス等の誘導機器は、磁性コアと、磁性コアに捲回されたコイルとを有する。一般的に、磁性コアに捲回されたコイルに流れる電流が大きくなり、コイルに流れる電流により発生する磁束が、磁性コアをなす磁性体の種類及び磁性コアの形状、大きさ等によって決まるある一定の量を越えると、磁性コアは磁気飽和し、リアクトルやトランスとしての性能が低下してしまう。そのため、磁性コアの磁束経路(磁路)中にギャップを設けることで、磁性コアが磁気飽和してしまうことを抑制している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−206509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図4に示すように、磁性コア100は、第1コア101及び第2コア102を含み、第1コア101は、コイル103が周囲に捲回される脚部101aを有し、第2コア102は、コイル103の捲回中心軸線L100に沿った方向におけるコイル103よりも外側で、脚部101aの延設方向に対して直交する方向に延びているとする。そして、脚部101aにおけるコイル103と対向する外側面101dの端部と、第2コア102の端面102aとの間にギャップ104が形成されているとする。
【0005】
この場合、磁束M100は、磁性コア100に形成される磁路の磁気抵抗が低くなるように、磁性コア100の最短経路を通過しようとすることから、第2コア102における端面102a側のコイル103寄りの角部102eを含む周辺の領域に集中する。すると、角部102eの近傍に位置するコイル103を鎖交する漏れ磁束が発生し、コイル103を鎖交する漏れ磁束によりコイル103中に渦電流が発生するためジュール損が生じ、リアクトルやトランスとしての性能が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コイルに鎖交する漏れ磁束を低減することができる誘導機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する誘導機器は、磁路を形成する磁性コアと、前記磁性コアに捲回されるコイルとを備え、前記磁性コアは、前記コイルの捲回中心軸線に沿った方向に延びるとともに周囲に前記コイルが配置される脚部を有する第1コアと、前記脚部の延設方向に対して交差する方向に延びる第2コアとを有し、前記脚部の延設方向と前記第2コアの延設方向とが交差する位置には、ギャップ形成部が設けられており、前記ギャップ形成部は、前記第2コアに対向する対向面を有しており、前記第2コアは、前記対向面に対向して前記対向面と共にギャップを形成するギャップ形成面を有しており、前記対向面及び前記ギャップ形成面は、前記脚部における前記コイルと対向する外側面よりも前記脚部の軸線に近い位置に配置されており、前記第2コアにおけるギャップ形成面側の前記コイル寄りの角部に面取り部が形成されている
【0008】
磁束は、磁性コアに形成される磁路の磁気抵抗が低くなるように、磁性コアの最短経路を通過しようとするため、第2コアにおけるギャップ形成面側のコイル寄りの角部を含む周辺の領域に集中する。ここで、ギャップを形成する対向面及びギャップ形成面は、脚部におけるコイルと対向する外側面よりも脚部の軸線に近い位置に配置されている。これによれば、第2コアのギャップ形成面が、脚部におけるコイルと対向する外側面よりも脚部の軸線に対して離れた位置に配置されている場合に比べると、第2コアにおけるギャップ形成面側のコイル寄りの角部を、コイルから離間させることができる。その結果、第2コアにおけるギャップ形成面側のコイル寄りの角部の近傍に位置するコイルに鎖交する漏れ磁束を低減することができる。また、第2コアにおけるギャップ形成面側のコイル寄りの角部に面取り部が形成されていない場合に比べると、第2コアにおけるギャップ形成面側のコイル寄りの角部を含む周辺の領域に磁束が集中してしまうことを抑制することができる。その結果、第2コアにおけるギャップ形成面側のコイル寄りの角部の近傍に位置するコイルに鎖交する漏れ磁束をさらに低減させ易くすることができる。
【0010】
上記誘導機器において、前記ギャップ形成部は、前記脚部と一体的に設けられていることが好ましい。
これによれば、ギャップ形成部が脚部とは別体である構成に比べると、磁性コアの組み立て作業を容易なものとすることができるため、誘導機器の製造を簡素化させることができる。
【0011】
上記誘導機器において、前記第1コアは、前記対向面と前記外側面とを繋ぐ湾曲部を有することが好ましい。
例えば、対向面と外側面とが、脚部の軸線に対して直交する方向に延びる直交部によって接続されており、対向面と直交部との間、及び対向面と外側面との間にピン角が形成されている場合、ピン角に磁束が集中し易くなる。そして、ピン角と第2コアとが近接していると、ピン角と第2コアとの間で漏れ磁束が発生し易くなり、この漏れ磁束がコイルに鎖交してしまう虞がある。しかし、湾曲部には、ピン角に比べて磁束が集中し難いため、湾曲部と第2コアとの間で漏れ磁束が生じ難くなり、コイルに鎖交する漏れ磁束を低減することができる。
【0012】
上記誘導機器において、前記ギャップ形成部及び前記第2コアは、放熱部材に接する接触部を有することが好ましい。
これによれば、第1コアから生じる熱はギャップ形成部を介して放熱部材に放熱されるとともに、第2コアから生じる熱は放熱部材によって放熱されるため、磁性コア全体の放熱性能を向上させることができる。
【0013】
上記誘導機器において、前記ギャップ形成部は、前記脚部とは別体であることが好ましい。
これによれば、脚部とギャップ形成部との間でギャップを形成することができるため、磁性コアの磁気飽和をさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、コイルに鎖交する漏れ磁束を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は実施形態における電子機器を示す断面図、(b)はギャップ周辺を拡大して示す誘導機器の模式図。
図2】別の実施形態におけるギャップ周辺を拡大して示す誘導機器の模式図。
図3】別の実施形態における誘導機器を示す断面図。
図4】従来例におけるギャップ周辺を拡大して示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、誘導機器を具体化した一実施形態を図1にしたがって説明する。本実施形態の誘導機器は、車載用の電子機器であるリアクトル装置を構成している。
図1(a)に示すように、リアクトル装置10は、磁路を形成する磁性コア20と、磁性コア20に捲回されるコイル30とを有する誘導機器11を備えている。また、リアクトル装置10は、誘導機器11を収容する放熱部材としてのケース12を備えている。ケース12は金属製(本実施形態ではアルミニウム製)である。
【0017】
磁性コア20は、第1コア21及び第2コア22を有する。第1コア21はU型コアであるとともに、第2コア22はI型コアである。第1コア21及び第2コア22は磁性体であるとともに、圧粉磁芯により形成されている。
【0018】
第1コア21は、略矩形平板状をなす平板部21aと、平板部21aの長手方向の両端から平板部21aに対して直交する方向に延びる円柱状の一対の脚部21bとから形成されている。各脚部21bの周囲には、コイル30を構成するコイル要素31がそれぞれ環状に捲回されている。よって、各脚部21bは、各コイル要素31の捲回中心軸線Lに沿った方向に延びるとともに周囲にコイル要素31が配置されている。なお、本実施形態では、脚部21bの軸線は、コイル要素31の捲回中心軸線Lと一致している。
【0019】
各コイル要素31は、各コイル要素31の捲回中心軸線Lが互いに平行に配置されて隣り合っている。各コイル要素31は、一本の導電板をエッジワイズ曲げして形成されている。そして、各コイル要素31が隣り合って形成される空隙33に設けられる連結部34によって、各コイル要素31同士が連結されている。各コイル要素31の捲回方向はそれぞれ異なっている。
【0020】
第2コア22は、コイル要素31の捲回中心軸線Lに沿った方向において、コイル要素31における平板部21aとは反対側の端部よりも外側で、脚部21bの延設方向に対して直交する方向に延びている。第2コア22は、平板部21aと平行に延びる平板状である。
【0021】
各脚部21bにおける延設方向の長さは、コイル要素31における捲回中心軸線Lに沿った長さよりも長くなっている。そして、各脚部21bにおける平板部21aとは反対側の端部である先端部21eは、捲回中心軸線Lに沿った方向において、コイル要素31における平板部21aとは反対側の端部よりも外側に突出している。
【0022】
各脚部21bの先端部21eにおいて、脚部21bにおけるコイル要素31と対向する外側面21d(外周面)の一部には、凹部23が形成されている。第2コア22の延設方向の両端部は、各凹部23内に入り込んでいる。
【0023】
図1(b)に示すように、凹部23は、第2コア22の延設方向の両端面22aと対向するとともに脚部21bの軸線に沿う方向に延びる対向面23aを有する。対向面23aは、脚部21bの外側面21dよりも脚部21bの軸線に近い位置に配置されている。また、凹部23は、対向面23aと脚部21bの外側面21dとを繋ぐ湾曲部23bを有する。湾曲部23bは、対向面23aに連なるとともに脚部21bの軸線から離間しながら弧状に湾曲する第1湾曲部231bと、第1湾曲部231bに連なるとともに脚部21bの軸線に沿う方向に向けて弧状に湾曲して脚部21bの外側面21dに接続される第2湾曲部232bとから形成されている。
【0024】
第2コア22の両端面22aは、各脚部21bの外側面21dよりも脚部21bの軸線に近い位置に配置されている。そして、対向面23aと第2コア22の両端面22aとの間には、ギャップ25が形成されている。よって、第2コア22の両端面22aは、ギャップ25を形成するギャップ形成面である。さらに、脚部21bの先端部21eは、脚部21bの延設方向と第2コア22の延設方向とが交差する位置に設けられるとともにギャップ25を形成するギャップ形成部として機能している。よって、本実施形態では、ギャップ形成部は、脚部21bと一体的に設けられている。
【0025】
ギャップ25は、脚部21bの外側面21dよりも脚部21bの軸線に近い位置に配置されている。なお、ギャップ25は、空気層であるエアギャップや、非磁性体(例えばセラミック)のギャップ板等である。第2コア22における両端面22a側の外縁全周には、面取り部22rが形成されている。面取り部22rはアール形状である。
【0026】
図1(a)に示すように、誘導機器11は、各脚部21bの先端面21gと、第2コア22におけるコイル30とは反対側の平坦面22gとが、図示しない放熱グリースを介してケース12に面接触して密着した状態で、ケース12に対して配置されている。よって、各脚部21bの先端面21g、及び第2コア22の平坦面22gは、ケース12に接する接触部として機能する。
【0027】
次に、本実施形態の作用を説明する。
図1(b)に示すように、磁束M1は、磁性コア20に形成される磁路の磁気抵抗が低くなるように、磁性コア20の最短経路を通過しようとするため、第2コア22における端面22a側のコイル30寄りの角部22eを含む周辺の領域に集中する。ここで、ギャップ25を形成する対向面23a及び第2コア22の端面22aは、脚部21bの外側面21dよりも脚部21bの軸線に近い位置に配置されている。このため、第2コア22の端面22aが、脚部21bの外側面21dよりも脚部21bの軸線に対して離れた位置に配置されている場合に比べると、第2コア22の角部22eが、コイル30から離間する。その結果、第2コア22の角部22eの近傍に位置するコイル30に鎖交する漏れ磁束が低減される。
【0028】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ギャップ25を形成する対向面23a及び第2コア22の端面22aが、脚部21bにおけるコイル30と対向する外側面21dよりも脚部21bの軸線に近い位置に配置されている。これによれば、第2コア22の端面22aが、脚部21bにおけるコイル30と対向する外側面21dよりも脚部21bの軸線に対して離れた位置に配置されている場合に比べると、第2コア22における端面22a側のコイル30寄りの角部22eを、コイル30から離間させることができる。その結果、第2コア22の角部22eの近傍に位置するコイル30に鎖交する漏れ磁束を低減することができる。
【0029】
(2)第2コア22における端面22a側の外縁全周に面取り部22rが形成されている。これによれば、第2コア22における端面22a側のコイル30寄りの角部22eに面取り部22rが形成されているため、第2コア22の角部22eに面取り部22rが形成されていない場合に比べると、第2コア22の角部22eを含む周辺の領域に磁束M1が集中してしまうことを抑制することができる。その結果、第2コア22の角部22eの近傍に位置するコイル30に鎖交する漏れ磁束をさらに低減させ易くすることができる。
【0030】
(3)脚部21bの先端部21eは、ギャップ25を形成するギャップ形成部として機能している。これによれば、ギャップ形成部が脚部21bと一体的に設けられているため、ギャップ形成部が脚部21bとは別体である構成に比べると、磁性コア20の組み立て作業を容易なものとすることができる。その結果、誘導機器11の製造を簡素化させることができる。
【0031】
(4)例えば、対向面23aと脚部21bの外側面21dとが、脚部21bの軸線に対して直交する方向に延びる直交部によって接続されており、対向面23aと直交部との間、及び対向面23aと脚部21bの外側面21dとの間にピン角が形成されている場合、ピン角に磁束が集中し易くなる。そして、ピン角と第2コア22とが近接していると、ピン角と第2コア22との間で漏れ磁束が発生し易くなり、この漏れ磁束がコイル30に鎖交してしまう虞がある。しかし、第1湾曲部231b及び第2湾曲部232bには、ピン角に比べて磁束が集中し難いため、第1湾曲部231b及び第2湾曲部232bと第2コア22との間で漏れ磁束が生じ難くなり、コイル30に鎖交する漏れ磁束を低減することができる。
【0032】
(5)各脚部21bの先端面21gと、第2コア22の平坦面22gとは、ケース12に接する。これによれば、第1コア21から生じる熱が各脚部21bの先端部21eを介してケース12に放熱されるとともに、第2コア22から生じる熱はケース12によって放熱されるため、磁性コア20全体の放熱性能を向上させることができる。
【0033】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図2に示すように、脚部21bの延設方向と第2コア22の延設方向とが交差する位置に、ギャップ形成部としての第3コア40が設けられていてもよい。第3コア40はI型コアである。第3コア40は磁性体であるとともに、圧粉磁芯により形成されている。第3コア40は、脚部21bとは別体である。そして、脚部21bと第3コア40との間にはギャップ41が形成されている。第3コア40は、第2コア22の端面22aと対向する対向面40aを有する。対向面40aは、脚部21bの外側面21dよりも脚部21bの軸線に近い位置に配置されている。そして、対向面40aと第2コア22の端面22aとの間には、ギャップ25が形成されている。
【0034】
第3コア40が脚部21bとは別体であり、脚部21bと第3コア40との間にギャップ41を形成することができるため、磁性コア20の磁気飽和をさらに抑制することができる。なお、第3コア40と脚部21bとが接していてもよい。
【0035】
図3に示すように、磁性コア20Aは、E型コアである第1コア21Aを有していてもよい。第1コア21Aは、一対の脚部21bに加えて、平板部21aの中央部から平板部21aに対して直交する方向に延びる円柱状の脚部21Bを有する。脚部21Bの周囲には、コイル30Aが環状に捲回されている。脚部21Bの軸線は、コイル30Aの捲回中心軸線Lと一致している。
【0036】
脚部21Bの先端部21Eの外周面には、脚部21Bの周方向に延びる環状の凹部23Aが形成されている。そして、脚部21Bの先端部21Eは、第2コア22の中央部に形成された挿入孔22hに挿入されている。凹部23Aは、第2コア22の挿入孔22hの内周面221hに対向する対向面231Aを有する。対向面231Aは、脚部21Bの外側面21Dよりも脚部21Bの軸線に近い位置に配置されている。
【0037】
第2コア22の挿入孔22hの内周面221hは、脚部21Bの外側面21Dよりも脚部21Bの軸線に近い位置に配置されている。そして、対向面231Aと第2コア22の挿入孔22hの内周面221hとの間には、環状のギャップ25Aが形成されている。よって、第2コア22の挿入孔22hの内周面221hは、ギャップ25Aを形成するギャップ形成面である。さらに、脚部21Bの先端部21Eは、脚部21Bの延設方向と第2コア22の延設方向とが交差する位置に設けられるとともにギャップ25Aを形成するギャップ形成部として機能している。ギャップ25Aは、脚部21Bの外側面21Dよりも脚部21Bの軸線に近い位置に配置されている。
【0038】
○ 実施形態において、第2コア22は、コイル要素31の捲回中心軸線Lに沿った方向において、コイル要素31における平板部21aとは反対側の端部よりも外側で、脚部21bの延設方向に対して交差する方向に延びていればよい。
【0039】
○ 実施形態において、例えば、各脚部21bの先端面21gがケース12に接しておらず、第2コア22の平坦面22gのみがケース12に接していてもよい。
○ 実施形態において、対向面23aと脚部21bの外側面21dとが、脚部21bの軸線に対して直交する方向に延びる直交部によって接続されていてもよい。
【0040】
○ 実施形態において、対向面23aと脚部21bの外側面21dとが、脚部21bの軸線に対して斜交する方向に延びる斜交部によって接続されていてもよい。
○ 実施形態において、第2コア22における両端面22a側のコイル30寄りの角部22eに面取り部が少なくとも形成されていればよい。すなわち、第2コア22における両端面22a側のケース12寄りの角部に面取り部が形成されていなくてもよい。
【0041】
○ 実施形態において、各脚部21bの先端部21eにおけるケース12寄りの角部に面取り部が形成されていなくてもよい。
○ 実施形態において、湾曲部23bの形状は特に限定されるものではない。
【0042】
○ 実施形態において、コアの数は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、誘導機器11は、三つ以上のコイル要素31を有していてもよい。
【0043】
○ 実施形態において、コイル要素31は、丸線を捲回したものであってもよい。
○ 実施形態において、誘導機器11を、リアクトル以外(例えばトランス)に適用してもよい。
【0044】
○ 実施形態において、リアクトル装置10は、車載用以外のものであってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記誘導機器は、電子機器であるリアクトル装置を構成している。
【符号の説明】
【0045】
11…誘導機器、12…放熱部材としてのケース、20,20A…磁性コア、21,21A…第1コア、21b,21B…脚部、21d,21D…外側面、21e,21E…ギャップ形成部として機能する先端部、21g…接触部として機能する先端面、22…第2コア、22a…ギャップ形成面である端面、22e…角部、22g…接触部として機能する平坦面、22r…面取り部、23a,231A…対向面、23b…湾曲部、25,25A…ギャップ、30,30A…コイル、40…ギャップ形成部としての第3コア、221h…ギャップ形成面である内周面。
図1
図2
図3
図4