(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えばコンビニエンスストア等の店舗のカウンタ上に設置され、かつ商品を外部から視認可能に載置するショーケースが特許文献1に提案されている。
【0003】
かかるショーケースは、ケース本体を備えている。ケース本体は、箱状の形態を成しており、内部が収納室と機械室とに区画されている。このケース本体は、収納室を構成する前面が接客面を構成し、かつ該収納室を構成する後面に開口が形成されている。
【0004】
上記ケース本体の収納室には、商品載置棚が上下方向に沿って複数段設けられている。商品載置棚は、収納対象となる商品を載置するものである。また、ケース本体の後面に形成された開口は、複数のガラス扉が左右にスライド移動することで開閉される。
【0005】
このようなショーケースは、ケース本体における収納室を構成する前面(接客面)等が透明な樹脂材等で形成されており、これにより接客面を通じて商品載置棚に載置された商品を視認させるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1に提案されているショーケースは、各商品載置棚の下面等にヒータを設けることにより、該商品載置棚に載置された商品を加熱する加温専用のショーケースであり、収納対象となる商品を冷却することは考えられていなかった。
【0008】
そこで、特許文献1に提案されているショーケースにおいて、商品載置棚に載置された商品を冷却する場合には、ケース本体の内部に冷却器を配設して、該冷却器により収納室の内部空気を冷却することが考えられる。
【0009】
しかしながら、ケース本体に冷却器を配設する場合には、該冷却器により凝縮水等のドレン水が生ずるのが一般的であり、かかるドレン水を処理する必要がある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品載置棚に載置された商品を冷却するとともに、ケース本体の内部で生じたドレン水を良好に処理することができるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るショーケースは、内部が収納室と機械室とに区画され、かつ前記収納室が少なくとも前面から視認可能な箱状のケース本体と、前記収納室に上下方向に沿って複数段設けられ、かつ収納対象となる商品を載置する商品載置棚とを備え、前記前面を通じて前記商品載置棚に載置された商品を視認させるショーケースにおいて、前記収納室の内部の空気を該収納室と前記機械室との間で循環させる循環手段と、前記機械室に配設され、かつ前記循環手段により循環させられる空気を冷却する冷却器と、前記機械室に配設され、かつ前記冷却器が前記空気を冷却することにより生ずる高温排熱を周囲に放出する放熱器と、
駆動することにより、前記ケース本体
の底面に設けられた吸込口から吸い込んだ外気を前記放熱器の周囲を通過させてから
該底面における前記吸込口の後方側に設けられた吹出口より外部に吹き出させる送風手段と、
前記ケース本体の底面における前記吹出口の後方側に形成されたドレン水排出口の下方域において、該底面より下方に突出する態様で形成された左右一対のドレン支持部材に支持され、かつ前記ドレン水排出口を通じて排出されたドレン水を貯留する上面が開口したドレン皿と、前記ケース本体の底面における前記吸込口と前記吹出口との間において、該底面より下方に突出する態様で形成され、かつ前記吹出口より吹き出された空気を、前記吸込口に向けて通過することを規制しつつ前記ドレン皿の上方域を通過するよう案内するガイド部材とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記冷却器は、ペルチェ素子の冷温部分に熱的に接続されており、前記放熱器は、前記ペルチェ素子の高温部分に熱的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、循環手段が、収納室の内部の空気を収納室と機械室との間で循環させ、機械室に配設された冷却器が循環手段により循環させられる空気を冷却するので、収納室の内部空気を冷却して商品載置棚に載置された商品を良好に冷却することができる。また、機械室に配設された放熱器が、冷却器が空気を冷却することにより生ずる高温排熱を周囲に放出し、送風手段が、ケース本体に設けられた吸込口から吸い込んだ外気を放熱器の周囲を通過させてからケース本体に設けられた吹出口より外部に吹き出させ、ケース本体に配設されたガイド部材が、吹出口より吹き出された空気が吸込口に向けて通過することを規制するとともに、空気がケース本体の内部で生じたドレン水を貯留するドレン皿の周囲を通過するよう案内するので、ケース本体の内部に生じたドレン水を蒸発させることができる。よって、商品載置棚に載置された商品を冷却するとともに、ケース本体の内部で生じたドレン水を良好に処理することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るショーケースの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態であるショーケースの内部構造を左側から見た場合を模式的に示す断面側面図である。ここで例示するショーケースは、例えばコンビニエンスストア等の店舗のカウンタ上に設置されてドーナツ等の商品を陳列するものであり、ケース本体10、扉体30及び冷却ユニット50を備えて構成してある。
【0018】
ケース本体10は、箱状の形態を成しており、内部が収納室11と機械室12とに上下に区画されている。このケース本体10は、収納室11を構成する前面13が接客面を構成し、かつ該収納室11を構成する後面14に開口(以下、後面開口ともいう)15が形成されている。かかるケース本体10では、収納室11を構成する前面13及び左右両側面は、断熱構造を有する透明なガラス材や樹脂材により構成されており、収納室11の内部が外部から視認可能である。
【0019】
上記ケース本体10における収納室11には、複数(図示の例では4つ)の商品載置棚16が上下方向に沿って複数段並べて配設されている。各商品載置棚16は、棚板17を有している。
【0020】
棚板17は、平板状の形態を成すものであり、その上面が商品を載置するための商品載置面を構成している。この棚板17は、左右一対のブラケット部材18に、レール部材19を介して支持されている。ここでブラケット部材18は、収納室11の後方側において左右一対となる態様で立設された支柱20に取り付けられている。尚、
図1では、左右一対のブラケット部材18のうち右側のブラケット部材18のみを図示し、左右一対の支柱20のうち右側の支柱20のみを図示している。
【0021】
レール部材19は、自身の内部にブラケット部材18に配設されたブラケットローラ(図示せず)が進入して転動することで、ブラケット部材18に対して前後方向に沿ってスライド移動可能なものである。棚板17は、自身に配設された棚板ローラ(図示せず)がレール部材19に進入して転動することで、レール部材19に対して前後方向に対してスライド移動可能なものである。
【0022】
よって、上記棚板17は、引出操作された場合には、後面開口15を通じて後方に向けてスライド移動することが可能であり、押出操作された場合には、後面開口15を通じて前方に向けてスライド移動することが可能である。そして、このような棚板17の上面には、商品ガイド21に支持された状態でドーナツ等の商品が前後方向及び左右方向に並ぶよう載置されている。
【0023】
扉体30は、後面開口15を開閉するためのものであり、後面開口15を閉塞するのに十分な大きさを有した平板状部材である。この扉体30の前面の周縁部、すなわち後面開口15を閉塞する場合に該後面開口15の周縁部を形成するケース本体10の金属製フレームに対向する部分にガスケット部材31が配設してある。かかるガスケット部材31としては、扉体30が後面開口15を閉塞する際に、磁力の作用により後面開口15の周縁部に吸着することが可能なマグネットガスケットであることが好ましい。
【0024】
このような扉体30は、
図2に示すように、扉体支持部材40により支持されている。扉体支持部材40は、上下に例えば2つ設けてある。これら扉体支持部材40は、それぞれケース本体10の後面14を構成する後面開口15の右側縁部(金属製フレーム)に配設してあり、取付部41と軸保持部42とを備えている。
【0025】
取付部41は、上方から見た場合にL字状を成す板状部材であり、上記右側縁部にビス等で取り付けられる取付基部411と、この取付基部411の右端部より後方側に向けて延在する取付後延部412とを有している。
【0026】
軸保持部42は、前端部が上記取付後延部412にビス等で取り付けられるとともに、上下方向に沿って所定間隔毎に形成された舌片状の後端部が上下方向に沿って延在する軸部32を貫通させる中空孔421を形成するようカール状に形成されて構成されている。この軸保持部42は、基端部が扉体30の後面に取り付けられるとともに先端部が該軸部32を巻回する扉体用軸保持部33と蝶番を構成している。つまり、軸保持部42は、扉体用軸保持部33との間では、互いに軸部32の中心軸回りに回転可能となっている。これにより、扉体30は軸部32の中心軸回りに揺動する態様で開閉移動するものである。
【0027】
従って、扉体支持部材40は、軸保持部42を通じて保持する軸部32の中心軸回りに揺動する態様で扉体30を開閉可能に支持するものである。また扉体支持部材40は、軸部32をケース本体10の後面14から後方側に離隔させつつ後面開口15の右側縁部よりも右方側で保持している。
【0028】
このような扉体支持部材40は、
図3に示すように、扉体30が開操作された場合には、
図3中の二点鎖線で示すように、棚板17の後方へのスライド移動可能な領域Sからガスケット部材31だけでなく該扉体30の前面に取り付けられた部材が退避するように扉体30が開移動することを許容するものである。
【0029】
冷却ユニット50は、ケース本体10における機械室12に配設してある。この冷却ユニット50は、冷却器51、放熱器52、循環ファン(循環手段)53及び放熱ファン(送風手段)54を備えて構成してある。
【0030】
冷却器51は、収納室11と機械室12とを区画する収納室11の底面に形成された吸引口61の下方側に配設してあり、ペルチェ素子55の冷温部分に熱的に接続してある。ここで、ペルチェ素子55は、従来公知のものであり、p型半導体とn型半導体とを電極板によって交互に直列に接続し、これら半導体の表裏に絶縁板を配設したものである。このようなペルチェ素子55は、直流電流が電極板に与えられることにより、一方の絶縁板は吸熱し(冷温部分となり)、他方の絶縁板が発熱する(高温部分となる)ものである。
【0031】
上記冷却器51は、熱伝導性に優れた材料により構成されており、図には明示していないが、複数のフィンが設けられ、これらフィン間が空気が通過するための空気通路を構成している。かかる冷却器51は、ペルチェ素子55から与えられる冷熱により、空気通路を通過する空気を冷却するものである。
【0032】
放熱器52は、冷却器51の前方側に配設してあり、ペルチェ素子55の高温部分に熱的に接続してある。この放熱器52は、熱伝導性に優れた材料により構成されており、図には明示していないが、複数のフィンが設けられ、これらフィン間が空気が通過するための空気通路を構成している。かかる放熱器52は、ペルチェ素子55から与えられる高温排熱により、空気通路を通過する空気を加熱して放熱するものである。
【0033】
循環ファン53は、上記吸引口61と、収納室11の底面における吸引口61の後方側に形成された吐出口62とに連通するよう形成された風洞56の内部において、冷却器51の後方側に配設してある。この循環ファン53は、駆動することにより上記吸引口61を通じて収納室11の内部の空気を吸引し、冷却器51の空気通路に吸引した空気を通過させる。
【0034】
そして、循環ファン53は、冷却器51の空気通路を通過した空気を、吐出口62を通じて収納室11に吐出することで、収納室11の内部の空気を収納室11と機械室12との間で循環させるものである。
【0035】
放熱ファン54は、上記放熱器52の前方側に配設してある。この放熱ファン54は、駆動することにより機械室12の底面に形成された吸込口63を通じて外気を吸い込んで放熱器52の空気通路を通過させる。そして、放熱ファン54は、放熱器52の空気通路を通過した外気を、機械室12の底面に形成された吹出口64を通じて外部に吹き出させるものである。
【0036】
このような機械室12の底面、すなわちケース本体10の底面には、上記吸引口61及び上記吹出口64の他、ドレン水排出口65が形成されるとともに、ドレン皿71及びガイド部材75が設けてある。
【0037】
ドレン水排出口65は、吹出口64よりも後方側に形成されており、ケース本体10の内部(例えば冷却器51等)で発生して樋部材66を通じて移動したドレン水を外部に排出するための開口である。
【0038】
ドレン皿71は、ドレン水排出口65の下方域に配設されており、ドレン水排出口65を通じて排出されたドレン水を貯留するためのものである。このドレン皿71は、
図4に示すように、上部に形成された鍔部分72が機械室12の底面より下方に突出する態様で形成された左右一対のドレン支持部材73に支持されている。
【0039】
ガイド部材75は、平板状部材を屈曲して形成したものであり、吸込口63と吹出口64との間において機械室12の底面より下方に突出する態様で配設してある。このガイド部材75は、基部751と、下延部752と、後延部753とを有している。
【0040】
基部751は、機械室12の底面に取り付けられる部位である。下延部752は、基部751の後端縁部より下方に向けて延在する部位である。後延部753は、下延部752の延在端部である下端部より後方に向けて延在する部位である。
【0041】
上記ガイド部材75は、左右方向の長さは、吸込口63や吹出口64よりも大きく形成してあり、吹出口64から吹き出された空気が前方側の吸込口63に向けて通過することを規制しつつ、後方側のドレン皿71の周囲を通過するよう案内するものである。尚、
図1中の符号22は、ケース本体10の脚部であり、符号34は、扉体30の後面14に設けられた把手部である。
【0042】
以上のような構成を有するショーケースにおいては、扉体30が後面開口15を閉塞した状態で循環ファン53が駆動することにより、収納室11の内部空気が吸引口61を通じて冷却器51の空気通路を通過して冷却されてその後に吐出口62を通じて収納室11に吐出されることで、収納室11の内部空気が冷却され、これにより商品載置棚16に載置された商品が冷却される。
【0043】
その一方、放熱ファン54が駆動することにより、外気が吸込口63を通じて放熱器52の空気通路を通過して加熱されてその後に吹出口64より外部に吹き出される。外部に吹き出された空気は、ガイド部材75によって、後方に向けて移動し、ドレン皿71の周囲を通過して排出される。
【0044】
またショーケースは、商品載置棚16に載置された商品の取り出し作業を行う場合には、扉体30が開操作されて開移動することで後面開口15を開放させる。その後に所望の商品を載置する商品載置棚16の棚板17が後方に向けて引き出される引出操作が行われることで、該棚板17が後方に向けてスライド移動して、商品の取り出し作業が行われる。
【0045】
商品の取り出しが行われた後、引出操作された棚板17が前方に向けて押し込まれる押出操作が行われることで、該棚板17が前方に向けてスライド移動する。その後に扉体30が閉操作されて閉移動することでガスケット部材31がケース本体10の後面14における後面開口15の周縁部に吸着して該後面開口15が閉塞される。
【0046】
以上説明したような本実施の形態であるショーケースによれば、扉体30が開操作されて開移動することで後面開口15を開放し、所望の商品載置棚16の棚板17が引出操作されて該後面開口15を通じて棚板17をケース本体10の外部にスライド移動させることで、従来のようにケース本体の内部に店舗の従業員の手指を進入させなくても、ケース本体10の外部にスライド移動させた棚板17に対して商品の取り出し等の作業を行うことができる。よって、商品の取り出し等の作業を簡単に行うことができる。
【0047】
特に扉体支持部材40が、扉体30が開操作された場合には、棚板17の後方へのスライド移動可能な領域Sからガスケット部材31だけでなく該扉体30の前面に取り付けられた部材が退避するように扉体30が開移動することを許容するので、ガスケット部材31と棚板17とが干渉することがなく、ガスケット部材31が破損等してしまうことを防止できる。このようにガスケット部材31が破損等してしまうことを防止できるので、結果的に扉体30が後面開口15を閉塞する場合に収納室11の密閉性を長期間に亘って維持することができるとともに、使用寿命の長大化を図ることができる。
【0048】
また、扉体支持部材40がケース本体10の後面14よりも後方側に離隔した個所に軸部32を保持するので、扉体30が後面開口15を閉塞する際に、ガスケット部材31の前面をケース本体10の後面14における後面開口15の周縁部に当接させることができる。つまり、扉体30が後面開口15を閉塞する際に、軸部32に最も近接する扉体30の前面の右側に配設されたガスケット部材31のみが他のガスケット部材31よりも先に弾性変形してしまうことを防止することができ、該ガスケット部材31が他のガスケット部材31よりも先に破損等してしまうことを抑制できる。よって、これによっても使用寿命の長大化を図ることができる。
【0049】
更に、ガスケット部材31がマグネットガスケットであることにより、閉移動する扉体30がケース本体10にある程度近接すると、磁力の作用によりガスケット部材31がケース本体10の後面開口15の周縁部に吸着するので、収納室11の密閉性を向上させることができるとともに、扉体30が後面開口15を確実に閉塞することができる。
【0050】
上記ショーケースによれば、冷却器51及び循環ファン53により収納室11の内部空気を冷却して商品載置棚16に載置された商品を良好に冷却することができるとともに、放熱器52で加熱された外気をガイド部材75がドレン皿71に向けて通過させるので、ケース本体10の内部に生じたドレン水を良好に蒸発させて処理することができる。
【0051】
特に放熱器52で加熱された外気をドレン皿71に向けて通過させることで、ドレン皿71の小型化を図ることができる。このようにドレン皿71の小型化を図ることで、冷却器51で冷却された空気が通過する風洞56を相対的に大型化させることができる。よって、冷却器51による商品の冷却効率の向上を図ることができる。
【0052】
また、ガイド部材75が加熱された外気をドレン皿71に向けて通過させることで、ドレン皿71に貯留されたドレン水を蒸発させるための蒸発シート等を必要とせず、製造コストの増大化を抑制することもできる。
【0053】
更に、ガイド部材75が加熱された外気をドレン皿71に向けて通過させることで、該外気は後方に向けて通過することとなり、前面13が接客面となるショーケースにおいては、商品の購入を希望する者に対してドレン水の蒸発に供した外気を吹き出してしまうことがない。
【0054】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0055】
上述した実施の形態では、扉体支持部材40は、ケース本体10の後面14における後面開口15の右側縁部に配設されていたが、本発明においては、後面の開口の一側縁部であれば配設個所は特に限定されるものではない。