(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑み、簡素な構成でデフレクタを安定して支持できる
開閉ルーフ車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、車両の上部を開閉自在に覆う開閉ルーフと、該開閉ルーフの前端が当接するとともに、フロントウインドウガラスを支持するウインドウ枠材と、該ウインドウ枠材の上部に配置したデフレクタと、該デフレクタを昇降する昇降手段とを備え、前記開閉ルーフが開いた際、前記昇降手段によって前記デフレクタが上昇する
開閉ルーフ車であって、前記昇降手段を、前記ウインドウ枠材側に配設した枠材側基部と、弾性を有する線状体で形成するとともに、前記デフレクタ、及び前記枠材側基部を連結支持する連結部材とで構成し、前記枠材側基部に、車両前後方向に開口形成した正面視略円形状の円形孔と、該円形孔に対して車幅方向に所定間隔を隔てて車両前後方向に開口形成した正面視略長楕円形状の長楕円孔とを備え、前記連結部材を、前記デフレクタの下部に開口形成した連結孔に挿通する連結孔挿通部と、前記連結孔挿通部の一端から延設するとともに、先端に前記円形孔に挿通する円形孔挿通部分を有する第1連結支持部と、前記連結孔挿通部の他端から延設するとともに、先端に前記長楕円孔に挿通する長楕円孔挿通部分を有する第2連結支持部とで一体形成したことを特徴とする。
【0013】
上記開閉ルーフは、車両後方へ折り畳むように格納される開閉ルーフ、あるいはルーフ部分を取り外し可能な開閉ルーフであって、幌布や幌骨で構成したソフトトップ、あるいは金属製ルーフで構成したハードトップとすることができる。
【0014】
上記ウインドウ枠材は、鋼板で構成した枠材、あるいは鋼板で構成した枠材にトリムやガーニッシュを装着した枠材などとすることができる。
上記開閉ルーフが開いた際とは、例えば車両後部に折り畳むように格納される開閉ルーフにおいて、ウインドウ枠材から開閉ルーフの前端が離間開始した状態をいう。
【0015】
この発明により、簡素な構成でデフレクタを安定して支持することができる。
具体的には、例えば、開閉ルーフが閉じた状態におけるデフレクタの位置である格納位置にデフレクタが移動する際、連結部材の連結孔挿通部は、デフレクタによって車両下方に押圧されることになる。
【0016】
このため、第1連結支持部が、円形孔挿通部分の軸方向を回転中心とした所定の回転方向に回転を開始する。一方、第2連結支持部は、長楕円孔挿通部分と長楕円孔の周面とが所定の回転方向で当接することで、第1連結支持部の回動に連動した回転を規制される。
【0017】
これにより、第2連結支持部は、第1連結支持部の回動に伴い、所定の回転方向とは逆方向に捩じるように連結孔挿通部を弾性変形させる。つまり、デフレクタは、連結孔挿通部の捩れによる付勢力に抗して、格納位置に移動することになる。
【0018】
そして、開閉ルーフが開いた際、連結部材の付勢力が作用することで、デフレクタは、開閉ルーフが開いた状態におけるデフレクタの位置である展開位置に移動することができる。つまり、連結部材は、所謂、トーションバーバネ(ねじり棒ばねとも呼ぶ)として機能することができる。
【0019】
さらに、円形孔に第1連結支持部が連結され、長楕円孔に第2連結支持部が連結されるため、連結部材は、車両前後方向に所定長さを有するとともに、枠材側基部とで正面視略三角形状をなすことができる。
【0020】
これにより、
開閉ルーフ車は、デフレクタと枠材側基部とを連結支持する部材と、デフレクタに対して付勢力を作用させる部材とを、弾性を有する1つの連結部材によって構成できるとともに、車両前後方向、及び車幅方向におけるデフレクタの安定性を向上することができる。
【0021】
加えて、デフレクタを連結支持する部材と、デフレクタに対して付勢力を作用させる部材とを別体で構成した場合に比べて、
開閉ルーフ車は、部品点数の低減することができる。
従って、
開閉ルーフ車は、線状体で形成した連結部材と、枠材側基部とで構成した昇降手段によって、デフレクタを安定して支持することができる。
【0022】
この発明の態様として、前記枠材側基部の前記円形孔を、前記長楕円孔に対して車幅方向内側に開口形成し、前記開閉ルーフが開いた状態における前記デフレクタの位置を展開位置として、前記デフレクタが展開位置に位置する状態において、前記デフレクタにおける前記連結孔を、前記枠材側基部における前記円形孔の車幅方向の位置よりも車幅方向内側に開口形成し、前記連結部材を、前記デフレクタが展開位置に位置する状態において、前記長楕円孔における車幅方向外側の周面と、前記第2連結支持部の前記長楕円孔挿通部分とが当接する形状に形成することができる。
【0023】
この発明により、
開閉ルーフ車は、デフレクタを安定して支持するとともに、デフレクタを車両上方、かつ車幅方向外側に向けて上昇させることができ、ウインドウ枠材の上部における車幅方向外側を流れる走行風を整流することができる。
【0024】
具体的には、例えば、ウインドウ枠材と開閉ルーフとの固定部や位置決め部を、ウインドウ枠材の上部における車幅方向外側に配設した車両において、固定部や位置決め部の上方を流れる走行風を、デフレクタで整流したいという要求がある。
【0025】
このような要求に対して、略鉛直に昇降するデフレクタの場合、格納位置に移動したデフレクタが、固定部や位置決め部を覆ってしまうという問題があった。あるいは、車両上方、かつ車幅方向内側に向けて上昇するデフレクタの場合、固定部や位置決め部の上方を流れる走行風を整流できないという問題があった。
【0026】
そこで、デフレクタが展開位置に位置する状態において、枠材側基部の円形孔よりも車幅方向内側にデフレクタの連結孔が位置する構成としたことにより、例えば、開閉ルーフの前端がデフレクタを押圧しながら閉じる場合、第1連結支持部は、円形孔挿通部分の軸方向を回転中心として、車両下方、かつ車幅方向内側に向けて回転することができる。
【0027】
この際、車幅方向内側へ向けて長楕円孔を長楕円孔挿通部分がスライド移動しながら、第2連結支持部は、車両下方、かつ車幅方向内側に向けて傾動することができる。
このため、格納位置に移動する際、デフレクタは、車両下方、かつ車幅方向内側に向けてスムーズに移動することができる。換言すると、開閉ルーフが開いた際、連結部材の付勢力によって、デフレクタは、車両上方、かつ車幅方向外側に向けてスムーズに移動することができる。
【0028】
これにより、ウインドウ枠材の上部における車幅方向外側に配設した固定部や位置決め部に対して、車幅方向内側に昇降手段を配設した場合であっても、昇降手段は、固定部や位置決め部を回避するようにしてデフレクタを昇降させることができる。
【0029】
従って、
開閉ルーフ車は、デフレクタを安定して支持するとともに、デフレクタを車両上方、かつ車幅方向外側に向けて上昇させることができ、ウインドウ枠材の上部における車幅方向外側を流れる走行風を整流することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記昇降手段を、車幅方向に沿って複数備えることができる。
この発明により、
開閉ルーフ車は、複数箇所でデフレクタを連結支持することができるとともに、デフレクタに作用する付勢力を増加することができる。
【0031】
これにより、
開閉ルーフ車は、格納位置から展開位置に移動する際、所望する展開位置にデフレクタを確実に移動させることができる。さらに、
開閉ルーフ車は、展開位置におけるデフレクタが複数の連結部材の付勢力に抗してグラつくことを防止できる。
従って、
開閉ルーフ車は、複数の昇降手段を備えたことにより、デフレクタをより安定して支持することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記ウインドウ枠材に対して所定間隔を隔てた車両後方の位置に、前記ウインドウ枠材の上部における車幅方向外側近傍と略対向するとともに、車両上方へ向けて突出した対向突出部を配置することができる。
【0033】
上記対向突起部としては、例えば、車両後部に格納した開閉ルーフを覆うデッキバーにおいて、車両上方に突出するとともに、乗員の頭部を保護するような突出部、ドライバーシート後方に配設されたロールバー、車両後部に配置したアンテナ、クォータガラス、センターピラー、ドライバーシート、パッセンジャーシート、あるいはドライバーなどとすることができる。
【0034】
この発明により、
開閉ルーフ車は、車両後方へ流れる走行風による騒音の発生をより抑制することができる。
具体的には、開閉ルーフが閉じた状態では、走行風が車両表面に沿って車両後方へ流動するが、開閉ルーフが開いた状態では、車両上部の開口や車室内との圧力差によって走行風が車両後方へスムーズに案内されず、開閉ルーフが閉じた場合に比べて走行風の流れが乱れ易い。
【0035】
このため、例えば、車両後方に配設したデッキカバーが乗員の頭部を保護するように車両上方に突出するとともに、ウインドウ枠材と略対向する略門型形状の場合、開閉ルーフが開いた状態では、車両上部の開口を飛び越えるように車両後方へ流動した走行風が、デッキカバーの車幅方向外側部分と衝突して、風切り音などの騒音が発生することがある。
【0036】
そこで、開閉ルーフが開いた状態において、ウインドウ枠材の上部に突出するデフレクタを備えたことにより、
開閉ルーフ車は、走行風を偏向してより車両後方へ流動させることができる。
【0037】
これにより、
開閉ルーフ車は、車両上部の開口を超えて車両後方へ流動する走行風が、対向突出部に衝突することを防止できる。このため、
開閉ルーフ車は、車両後方において、乗員を保護する形状のデッキカバーやロールバーなどを容易に配設することができ、デザイン性の向上や安全性の向上を図ることができる。
【0038】
従って、
開閉ルーフ車は、ウインドウ枠材と略対向する対向突出部が車両後方に配設された場合であっても、車両後方へ流れる走行風による騒音の発生をより抑制することができる。
【0039】
またこの発明の態様として、前記デフレクタに、前記連結孔を有するとともに、前記連結部材の装着を許容する連結部材装着部を備え、該連結部材装着部を、車両上方へ向けて凹設した正面視略半円状の上部溝を有するとともに、前記デフレクタに一体形成した上部装着部と、車両下方へ向けて凹設した正面視略半円状の下部溝を有するとともに、前記上部装着部に対して凹凸嵌合する下部装着部とで構成し、前記連結孔を、前記上部溝と前記下部溝とで構成することができる。
【0040】
この発明により、
開閉ルーフ車は、デフレクタに対する連結部材の取付けを容易にすることができる。
【0041】
具体的には、例えば、デフレクタの連結孔に挿通した線状体を折り曲げながら連結部材を形成して、デフレクタと枠材側基部とを連結する場合、連結部材の形成が容易ではないうえ、多大な組付け工数が必要になるという問題がある。
【0042】
そこで、上部装着部と下部装着部とで連結部材装着部を構成したことにより、
開閉ルーフ車は、予め所望する形状に形成した連結部材を、連結孔に容易に挿通することができる。これにより、
開閉ルーフ車は、デフレクタ、連結部材、及び枠材側基部の組付けをより容易にすることができ、組付け工数の低減を図ることができる。
【0043】
従って、
開閉ルーフ車は、上部装着部と下部装着部とで連結部材装着部を構成したことにより、デフレクタに対する連結部材の取付けを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明により、簡素な構成でデフレクタを安定して支持できる
開閉ルーフ車を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
まず、本実施形態における車両1について、
図1から
図5を用いて詳しく説明する。
【0047】
なお、
図1は開閉ルーフ20を閉じた状態における車両1の外観斜視図を示し、
図2は開閉ルーフ20を開いた状態における車両1の外観斜視図を示し、
図3は開閉ルーフ20を格納開始した状態における車両1の左側面図を示し、
図4は開閉ルーフ20における車両左側前端の外観斜視図を示し、
図5はウインドウ枠材10における上部を車両後方から見た外観斜視図を示している。
【0048】
また、
図3中において図示を簡略化するために開閉ルーフ20の格納リンク機構の図示を省略している。
また、図中において、矢印Fr及びRrは車両前後方向を示しており、矢印Frは車両前方を示し、矢印Rrは車両後方を示している。さらに、矢印Rh及びLhは車幅方向を示しており、矢印Rhは車両右方向を示し、矢印Lhは車両左方向を示している。加えて、図中の上方を車両上方とし、図中の下方を車両下方とする。
【0049】
本実施形態における車両1は、
図1及び
図2に示すように、前輪2やボンネット3が配設された車両前部4と、後輪5やトランクリッド6が配設された車両後部7と、車両前部4及び車両後部7との間に位置するとともに、乗員が乗り込む車室部8とで構成している。そして、車両1は、車室部8の車両上方を覆うルーフ部分が開閉自在に構成された、所謂、オープンカーである。
【0050】
車両1における開閉ルーフ20は、
図1及び
図2に示すように、車室部8の上部において、フロントウインドウガラス9を支持するウインドウ枠材10の上部に着脱自在に連結されるルーフ前部21と、ルーフ前部21の後方に位置するルーフ後部22とで構成している。
【0051】
この開閉ルーフ20は、車室部8の後方に位置するデッキカバー23の下方に設けた格納空間(図示省略)に折り畳むようにして格納される構成とする。より詳しくは、開閉ルーフ20は、
図3に示すように、乗員の操作によって、車両後方上方へデッキカバー23が移動したのち、車両前後方向に分離したルーフ前部21、及びルーフ後部22が、リアウインドウガラス24とともに折り畳まれるようにして車両後方の格納空間に格納される構成である。
【0052】
なお、本実施形態におけるデッキカバー23は、
図1及び
図2に示すように、車室部8の後方において、乗員の頭部を保護するように車両上方へ突出した形状に形成している。より詳しくは、デッキカバー23は、側面視において、開閉ルーフ20におけるルーフ後部22の上面とトランクリッド6の上面とが車両前後方向で連続するように車両上方へ突出するとともに、正面視において、ウインドウ枠材10と車両前後方向で略対向する正面視略門型形状に形成している。
【0053】
さらに、開閉ルーフ20におけるルーフ前部21には、
図4に示すように、車幅方向外側の両端に車両前方へ突出する位置決め部材25を備えるとともに、車幅方向略中央にロック機構(図示省略)を備えている。
【0054】
位置決め部材25は、詳細な図示を省略するが、ルーフ前部21に装着固定されるベースプレートと、ベースプレートの先端を覆うように形成したアルミダイキャスト製の先端部分とで構成している。この位置決め部材25は、開閉ルーフ20を閉じる際、ウインドウ枠材10の上部における車幅方向外側に設けた位置決め台座142(
図5参照)に挿入することで、開閉ルーフ20の車幅方向への移動を規制するものである。
【0055】
ロック機構は、開閉ルーフ20の車幅方向への移動が規制された状態において、ウインドウ枠材10に設けたロック受け部141(
図5参照)に係合する、あるいはロック受け部141との係合を解放する機能を有している。これにより、ロック機構は、ウインドウ枠材10と開閉ルーフ20とを連結する、あるは連結を解除することができる。
【0056】
ウインドウ枠材10は、
図1及び
図5に示すように、左右一対のフロントピラー110と、フロントピラー110の上部を車幅方向で連結するフロントヘッダ120とで構成している。
フロントピラー110は、図示を省略したピラーパネルと、車両の意匠面を構成するピラーガーニッシュ111と、車室部8側の意匠部分であるピラートリム112とで構成している。なお、ピラーガーニッシュ111がピラーパネルの車幅方向外側に装着され、ピラートリム112がピラーパネルの車幅方向内側に装着されている。
【0057】
フロントヘッダ120は、車両上方に位置するヘッダアウタパネル121(
図7参照)、及び車両下方に位置するヘッダインナパネル122(
図7参照)を一体的に接合したヘッダパネル123(
図7参照)と、車両の意匠面を構成するヘッダガーニッシュ124と、車室部8側の意匠部分であるヘッダトリム125とで構成している。なお、ヘッダガーニッシュ124が、ヘッダアウタパネル121の車両上方側に装着され、ヘッダトリム125がヘッダインナパネル122の車両下方側に装着される。
【0058】
加えて、ウインドウ枠材10のピラーパネルにおける後端には、
図5に示すように、ドアガラス11(
図1参照)との隙間を閉塞するウェザストリップゴム131を装着している。さらに、ウインドウ枠材10のヘッダパネル123における後端には、
図5に示すように、開閉ルーフ20の前端との隙間を閉塞するウェザストリップゴム132を装着している。
【0059】
このようなウインドウ枠材10の上部(ヘッダパネル123)には、
図5に示すように、開閉ルーフ20のロック機構が係止するロック受け部141が車幅方向略中央に配設され、位置決め台座142が車幅方向外側の両端に装着されている。
【0060】
位置決め台座142は、アルミダイキャスト製であって、開閉ルーフ20の位置決め部材25の挿入を許容する凹部(図示省略)が形成されている。この位置決め台座142は、ヘッダインナパネル122の下面に対してボルト止めによって固定されている。
【0061】
さらに、車両1には、車両前方からの走行風を整流して、デッキカバー23の車幅方向外側部分と走行風との衝突を回避するデフレクタ装置30を、ウインドウ枠材10の上部における車幅方向両端に備えている。具体的には、デフレクタ装置30は、ウインドウ枠材10に装着した位置決め台座142よりも車幅方向内側で、乗員の略正面に位置する部分に配置している。
【0062】
引き続き、デフレクタ装置30について、
図6から
図14を用いて詳しく説明する。なお、車両左側に配設されるデフレクタ装置30と、車両右側に配設されるデフレクタ装置30とは左右対称構造であるため、本実施形態では車両左側に配設されるデフレクタ装置30について説明する。
【0063】
図6は開閉ルーフ20が開いた状態におけるデフレクタ装置30の背面図を示し、
図7は
図6中のA−A矢視断面図を示し、
図8は開閉ルーフ20が閉じた状態におけるデフレクタ装置30の背面図を示し、
図9は
図8中のA−A矢視断面図を示している。
【0064】
さらに、
図10はデフレクタ装置30の要部を拡大した要部拡大図を示し、
図11はデフレクタ装置30の要部を分解した分解斜視図を示し、
図12は分解した状態における連結部材装着部34の背面図を示し、
図13は開閉ルーフ20を閉じる過程におけるA−A矢視断面図を示し、
図14は展開位置、及び格納位置におけるデフレクタ装置30の要部の状態を説明する説明図を示している。
【0065】
加えて、
図14(a)は展開位置におけるデフレクタ装置30の要部の背面図を示し、
図14(b)は格納位置におけるデフレクタ装置30の要部の背面図を示している。
なお、
図8中において、展開位置におけるデフレクタ31を二点鎖線で示している。加えて、
図8、及び
図10において図示を明確にするため、開閉ルーフ20の図示を省略している。
【0066】
デフレクタ装置30は、
図6及び
図7に示すように、開閉ルーフ20が開いた状態において、ウェザストリップゴム132の上部よりも車両上方にデフレクタ31の上端が位置する展開位置と、
図8及び
図9に示すように、開閉ルーフ20が閉じた状態において、ウェザストリップゴム132の上部よりも車両下方にデフレクタ31の上端が位置する格納位置とに、デフレクタ31を昇降させる機構を有している。
【0067】
より詳しくは、デフレクタ装置30は、
図6及び
図7に示すように、ウェザストリップゴム132よりも車両後方において、ヘッダトリム125の下部を車両後方に延設したトリム延設部126に固定されている。
【0068】
なお、トリム延設部126は、車幅方向に所定長さを有するとともに、車両前後方向の断面形状が断面視略L字状であって、ヘッダトリム125の下部から車両後方に延設した延設底部126aと、延設底部126aの後端から車両上方に立設した後方壁部126bとで一体形成している。
【0069】
延設底部126aは、ヘッダトリム125の下部後端からデフレクタ31に至る前後方向の長さを有する略平板状に形成している。なお、延設底部126aには、デフレクタ装置30(後述するベース部材32)に螺合するネジ127の挿通を許容するネジ挿通孔(図示省略)を、車幅方向に所定間隔を隔てて4つ開口形成している。
【0070】
後方壁部126bは、
図9に示すように、開閉ルーフ20が閉じた状態において、開閉ルーフ20における内装部材であるルーフトリム26と、デフレクタ31との間で、延設底部126aの後端から車両上方に向けて立設している。
【0071】
デフレクタ装置30は、
図6及び
図7に示すように、ウェザストリップゴム132の車両後方側に位置するデフレクタ31と、トリム延設部126の延設底部126aに固定される2つのベース部材32と、デフレクタ31、及びベース部材32を連結する2つの連結部材33とで構成している。なお、ベース部材32、及び連結部材33は、デフレクタ31を昇降させる昇降手段として機能する。
【0072】
デフレクタ31は、
図6及び
図7に示すように、開閉ルーフ20が開いた状態において、ウェザストリップゴム132よりも車両上方へ突出するデフレクタ本体部311と、デフレクタ本体部311の下端から車両後方に延設したデフレクタ基部312とを一体形成して構成している。
【0073】
デフレクタ本体部311は、
図6に示すように、車両上下方向の長さに対して、車幅方向の長さが長い背面視略矩形に形成している。なお、デフレクタ本体部311における車幅方向の長さは、開閉ルーフ20が開いた状態において、位置決め台座142の車幅方向外側端部よりも車幅方向外側から、ウインドウ枠材10における車幅方向略中央近傍に至る長さに形成している。
【0074】
さらに、デフレクタ本体部311は、
図7に示すように、車両前後方向に沿った断面において、下端に対して上端が車両後方側に位置するとともに、車両斜め後方下方に凸するように僅かに湾曲した断面形状に形成している。
【0075】
デフレクタ基部312は、デフレクタ本体部311における車幅方向の長さと略同等の車幅方向の長さを有するとともに、デフレクタ本体部311における前後方向の長さよりも短い前後方向の長さを有する略平板状に形成している。
【0076】
なお、デフレクタ31における上下方向の長さは、
図9に示すように、開閉ルーフ20が閉じた状態において、開閉ルーフ20の前端下面と、トリム延設部126の延設底部126aとの上下方向間隔よりも短い長さで形成している。
【0077】
このデフレクタ31には、
図6に示すように、連結部材33の挿通を許容する連結孔313を有する背面視略台形状の連結部材装着部34を、車幅方向に所定間隔を隔てた位置に2つ一体形成している。
なお、デフレクタ31の連結孔313は、展開位置にデフレクタ31が位置する状態において、後述するベース部材32の円形孔322に対して車幅方向内側に位置するように開口形成している。
【0078】
連結部材装着部34は、
図10から
図12に示すように、デフレクタ本体部311、及びデフレクタ基部312と一体に形成された上部装着部341と、上部装着部341とは別体で形成した下部装着部342とで構成している。
【0079】
上部装着部341は、デフレクタ基部312から立ち上がるとともに、車幅方向で対向する2つの傾斜部分343と、傾斜部分343の上端を連結する天板部分344と、傾斜部分343の下端から車幅方向で内向するように突出するとともに、車両前後方向に延びる突起部分345とで、背面視略台形門型形状に一体形成している。
【0080】
なお、上部装着部341は、デフレクタ基部312における車両前後方向の長さに対して、傾斜部分343、及び突起部分345における車両前後方向の長さが短くなるように、車両前方側、及び車両後方側を切欠いた形状に形成している。
さらに、天板部分344の下面には、連結部材装着部34における車幅方向略中央に、車両前後方向に延びる略半円状の上部溝313aを、車両上方に向けて凹設している。
【0081】
下部装着部342は、上部装着部341における車両前方側、及び車両後方側の切欠き部分に対応する大きさに形成した前壁部分346、及び後壁部分347と、前壁部分346、及び後壁部分347を車両前後方向で連結する中央部分348とで一体形成している。
中央部分348は、上部装着部341における傾斜部分343の間に嵌合可能な形状に形成するとともに、上部装着部341の突起部分345が凹凸嵌合する嵌合部分348aを下端に凹設している。
【0082】
さらに、下部装着部342には、上部装着部341の上部溝313aと車両上下方向で対向するとともに、車両前後方向に延びる略半円状の下部溝313bを、車両下方へ向けて凹設している。
そして、上述した上部装着部341の上部溝313aと下部装着部342の下部溝313bとで、連結部材33の挿通を許容する連結孔313を構成している。
【0083】
ベース部材32は、
図10及び
図11に示すように、車両上下方向に所定の厚みを有するとともに、車幅方向に長い平面視略長楕円形状の車幅方向外側を、平面視略矩形にした平面視略T字状に形成している。
【0084】
このベース部材32には、車両上下方向に開口するとともに、トリム延設部126のネジ挿通孔を介してネジ127の螺合を許容するネジ孔321を、車幅方向の両端近傍に形成している。さらに、ベース部材32には、車幅方向に所定間隔を隔てた位置に、連結部材33の挿通を許容する円形孔322、及び長楕円孔323を、車両前後方向に開口形成している。
【0085】
円形孔322は、ベース部材32における車幅方向内側において、後述する連結部材33の円形孔挿通部分332aの挿通を許容する正面視略円形状に開口形成している。
長楕円孔323は、円形孔322に対して車幅方向外側の位置において、後述する連結部材の長楕円孔挿通部分333aの挿通を許容するとともに、車幅方向に所定の長さを有する略長楕円形状に開口形成している。
【0086】
加えて、ベース部材32の長楕円孔323よりも車幅方向外側には、車両前方、及び車両後方へ膨出するとともに、連結部材33(後述する連結部材33の後方連結支持部333)と当接するストッパ部324を形成している。
【0087】
ストッパ部324は、
図10、
図11、及び
図14に示すように、下端に対して上端が車幅方向内側に位置するように傾斜した平面部分を、長楕円孔323に近接するように形成している。より詳しくは、ストッパ部324は、格納位置に位置するデフレクタ31が展開位置に移動する際、車幅方向外側へスライド移動しながら背面視反時計回りに立ち上がる後方連結支持部333を、デフレクタ31の展開位置で規制可能に平面部分を形成している。
【0088】
連結部材33は、
図10及び
図11に示すように、弾性を有する1本の金属製丸棒材を折り曲げて形成した、所謂、トーションバーバネである。
より詳しくは、連結部材33は、連結部材装着部34の連結孔313に挿通される連結孔挿通部331と、連結孔挿通部331の前端から車幅方向外側下方に向けて延びる前方連結支持部332と、連結孔挿通部331の後端から前方連結支持部332よりも車幅方向外側下方に向けて延びる後方連結支持部333とで一体形成している。
【0089】
つまり、連結部材33は、前方連結支持部332における軸方向の長さに対して、後方連結支持部333における軸方向の長さが長くなるように、前方連結支持部332と後方連結支持部333とを形成している。
前方連結支持部332は、車両後方に向けて延びるとともに、ベース部材32の円形孔322に挿通する円形孔挿通部分332aを、先端に有する形状に形成している。
【0090】
後方連結支持部333は、車両前方に向けて延びるとともに、ベース部材32の長楕円孔323に挿通する長楕円孔挿通部分333aを、先端に有する形状に形成している。
この円形孔挿通部分332a、及び長楕円孔挿通部分333aにおける車両前後方向の長さは、ベース部材32における車両前後方向の長さよりも長く形成している。
【0091】
このような構成の連結部材33は、展開位置にデフレクタ31が位置する状態において、長楕円孔323の車幅方向外側と長楕円孔挿通部分333aとが当接し、格納位置にデフレクタ31が位置する状態において、長楕円孔323の車幅方向内側と長楕円孔挿通部分333aとが当接するように、前方連結支持部332、及び後方連結支持部333を折り曲げ形成している。
【0092】
次に、上述したデフレクタ31、ベース部材32、及び連結部材33を組付けて、デフレクタ装置30を構成する方法について説明する。
まず、ベース部材32の円形孔322、及び長楕円孔323に対して、連結部材33の円形孔挿通部分332a、及び長楕円孔挿通部分333aをそれぞれ挿通する。この際、連結部材33が塑性変形しない程度に撓ませながら挿通する。その後、円形孔322、及び長楕円孔323から露出した円形孔挿通部分332a、及び長楕円孔挿通部分333aを、略直角に屈曲させることで、ベース部材32に連結部材33を組付ける。
【0093】
そして、連結部材装着部34の上部装着部341と下部装着部342とで、連結部材33の連結孔挿通部331を挟持するように、上部装着部341に対して下部装着部342を凹凸嵌合して、デフレクタ装置30を構成する。その後、トリム延設部126にベース部材32を載置したのち、ネジ挿通孔を介してネジ127をベース部材32のネジ孔321に螺合して、デフレクタ装置30をトリム延設部126に組み付ける。
【0094】
次に、上述した構成のデフレクタ装置30において、展開位置から格納位置にデフレクタ31が移動する際の動作、及び格納位置から展開位置にデフレクタ31が移動する際の動作について説明する。
まず、開閉ルーフ20が開いた状態において、乗員の操作によって開閉ルーフ20が閉じられると、開閉ルーフ20は、折り畳まれていたルーフ前部21、及びルーフ後部22を展開しながら、車室部8の上方へ移動する。
【0095】
その後、車室部8の上方において、開閉ルーフ20は、
図13に示すように、その前端がウインドウ枠材10と車両前後方向で対向する位置まで、車両上方から車両下方に向けて移動しながら、デフレクタ31の上端と当接してデフレクタ31を車両下方に押圧する。
【0096】
この際、
図14(a)、及び
図14(b)に示すように、円形孔挿通部分332aの軸中心を回転中心として、前方連結支持部332が、背面視時計回りに回転開始する。一方、後方連結支持部333は、前方連結支持部332の回動に連動して背面視時計回りに回転しようとするが、長楕円孔挿通部分333aと長楕円孔323との当接によって回転規制される。このため、前方連結支持部332の回動に伴い、後方連結支持部333が、連結孔挿通部331を背面視反時計回りに捩じるように弾性変形させる。
【0097】
このように後方連結支持部333は、連結孔挿通部331を背面視反時計回りに捩じりながら、車幅方向内側へ向けて長楕円孔323をスライド移動することで、背面視時計回りに傾動する。
【0098】
このため、デフレクタ31は、展開位置から車両下方、かつ車幅方向内側に向けて略平行移動する。そして、ベース部材32の長楕円孔323における車幅方向内側の周面に後方連結支持部333の長楕円孔挿通部分333aが当接するとともに、ウインドウ枠材10と車両前後方向で対向する位置まで開閉ルーフ20が移動すると、デフレクタ31が格納位置に移動完了する。
【0099】
一方、開閉ルーフ20が開くと、開閉ルーフ20による押圧が解放されるため、連結孔挿通部331の捩れによる連結部材33の付勢力によって、デフレクタ31は、
図6及び
図8に示すように、格納位置から車両上方、かつ車幅方向外側に向けて略平行移動する。
【0100】
この際、円形孔挿通部分332aの軸中心を回転中心として、背面視反時計回りに前方連結支持部332が回転するとともに、後方連結支持部333が車幅方向外側に向けてスライド移動しながら起立する。そして、ベース部材32の長楕円孔323における車幅方向外側の周面に後方連結支持部333の長楕円孔挿通部分333aが当接するとともに、ストッパ部324の平面部分に後方連結支持部333が当接すると、デフレクタ31が所望する展開位置に移動完了する。
【0101】
以上のような動作を実現する車両1の整流構造は、簡素な構成でデフレクタ31を安定して支持することができる。
具体的には、格納位置にデフレクタ31が移動する際、円形孔挿通部分332aの軸方向を回転中心として、背面視時計回りに前方連結支持部332が回転するとともに、背面視反時計回りに捩じるように連結孔挿通部331を後方連結支持部333が弾性変形させる。
【0102】
つまり、デフレクタ31は、連結孔挿通部331の捩れによる付勢力に抗して、格納位置に移動することになる。そして、開閉ルーフ20が開いた際、連結部材33の付勢力が作用することで、デフレクタ31は、展開位置に移動することができる。
【0103】
さらに、円形孔322に前方連結支持部332が連結され、長楕円孔323に後方連結支持部333が連結されるため、連結部材33は、車両前後方向に所定長さを有するとともに、ベース部材32とで正面視略三角形状をなすことができる。
【0104】
これにより、車両1の整流構造は、デフレクタ31とベース部材32とを連結支持する部材と、デフレクタ31に対して付勢力を作用させる部材とを、弾性を有する1つの連結部材33によって構成できるとともに、車両前後方向、及び車幅方向におけるデフレクタ31の安定性を向上することができる。
【0105】
加えて、デフレクタ31を連結支持する部材と、デフレクタ31に対して付勢力を作用させる部材とを別体で構成した場合に比べて、車両1の整流構造は、部品点数の低減することができる。
従って、車両1の整流構造は、弾性を有する連結部材33とベース部材32とで構成した昇降手段により、簡素な構成でデフレクタ31を安定して支持することができる。
【0106】
また、デフレクタ31が展開位置に位置する状態において、ベース部材32における円形孔322の車幅方向の位置よりも車幅方向内側にデフレクタ31の連結孔313を開口形成するとともに、長楕円孔323における車幅方向外側の周面と後方連結支持部333の長楕円孔挿通部分333aとが当接する形状に、連結部材33を形成したことにより、車両1の整流構造は、デフレクタ31を安定して支持するとともに、デフレクタ31を車両上方、かつ車幅方向外側に向けて上昇させることができ、ウインドウ枠材10の上部における車幅方向外側を流れる走行風を整流することができる。
【0107】
具体的には、ウインドウ枠材10の上部における車幅方向外側に配設した位置決め台座142の上方を流れる走行風を、デフレクタ31で整流したいという要求がある。
このような要求に対して、デフレクタ31が展開位置に位置する状態において、ベース部材32の円形孔322よりも車幅方向内側にデフレクタ31の連結孔313が位置する構成としたことにより、前方連結支持部332は、円形孔挿通部分332aの軸方向を回転中心として、車両下方、かつ車幅方向内側に向けて回転することができる。
【0108】
この際、車幅方向内側へ向けて長楕円孔323を長楕円孔挿通部分333aがスライド移動しながら、後方連結支持部333は、車両下方、かつ車幅方向内側に向けて傾動することができる。
このため、格納位置に移動する際、デフレクタ31は、車両下方、かつ車幅方向内側に向けてスムーズに移動することができる。換言すると、開閉ルーフ20が開いた際、連結部材33の付勢力によって、デフレクタ31は、車両上方、かつ車幅方向外側に向けてスムーズに移動することができる。
【0109】
これにより、ウインドウ枠材10の上部における車幅方向外側に配設した位置決め台座142に対して、車幅方向内側にベース部材32及び連結部材33で構成した昇降手段を配設した場合であっても、ベース部材32及び連結部材33で構成した昇降手段は、位置決め台座142を回避するようにしてデフレクタ31を昇降させることができる。
【0110】
従って、車両1の整流構造は、デフレクタ31を安定して支持するとともに、デフレクタ31を車両上方、かつ車幅方向外側に向けて上昇させることができ、ウインドウ枠材10の上部における車幅方向外側を流れる走行風を整流することができる。
【0111】
また、ベース部材32及び連結部材33で構成した昇降手段を、車幅方向に沿って複数備えたことにより、車両1の整流構造は、複数箇所でデフレクタ31を連結支持することができるとともに、デフレクタ31に作用する付勢力を増加することができる。
【0112】
これにより、車両1の整流構造は、格納位置から展開位置に移動する際、所望する展開位置にデフレクタ31を確実に移動させることができる。さらに、車両1の整流構造は、展開位置におけるデフレクタ31が複数の連結部材33の付勢力に抗してグラつくことを防止できる。
従って、車両1の整流構造は、ベース部材32及び連結部材33で構成した昇降手段を複数備えたことにより、デフレクタ31をより安定して支持することができる。
【0113】
また、ウインドウ枠材10と略対向する形状のデッキカバー23を配置した場合であっても、車両1の整流構造は、車両後方へ流れる走行風による騒音の発生をより抑制することができる。
具体的には、開閉ルーフ20が閉じた状態では、走行風が車両表面に沿って車両後方へ流動するが、開閉ルーフ20が開いた状態では、車両上部の開口や車室内との圧力差によって走行風が車両後方へスムーズに案内されず、開閉ルーフ20が閉じた場合に比べて走行風の流れが乱れ易い。
【0114】
このため、開閉ルーフ20が開いた状態では、車両上部の開口を飛び越えるように車両後方へ流動した走行風が、デッキカバー23の車幅方向外側部分と衝突して、風切り音などの騒音が発生することがある。
【0115】
そこで、開閉ルーフ20が開いた状態において、ウインドウ枠材10の上部に突出するデフレクタ31を備えたことにより、車両1の整流構造は、走行風を偏向してより車両後方へ流動させることができる。
【0116】
これにより、車両1の整流構造は、車両上部の開口を超えて車両後方へ流動する走行風が、デッキカバー23に衝突することを防止できる。このため、車両1の整流構造は、車両後方において、乗員を保護する形状のデッキカバー23を容易に配設することができ、デザイン性の向上や安全性の向上を図ることができる。
【0117】
従って、車両1の整流構造は、ウインドウ枠材10と略対向するデッキカバー23が車両後方に配設された場合であっても、車両後方へ流れる走行風による騒音の発生をより抑制することができる。
【0118】
また、デフレクタ31に一体形成した上部装着部341と、上部装着部341に対して凹凸嵌合する下部装着部342とで、連結部材33の装着を許容する連結部材装着部34を構成したことにより、車両1の整流構造は、デフレクタ31に対する連結部材33の取付けを容易にすることができる。
【0119】
具体的には、例えば、デフレクタ31の連結孔313に挿通した金属製丸棒材を折り曲げながら連結部材33を形成して、デフレクタ31とベース部材32とを連結する場合、連結部材33の形成が容易ではないうえ、多大な組付け工数が必要になるという問題がある。
【0120】
そこで、上部装着部341と下部装着部342とで連結部材装着部34を構成したことにより、車両1の整流構造は、予め所望する形状に形成した連結部材33を、連結孔313に容易に挿通することができる。これにより、車両1の整流構造は、デフレクタ31、連結部材33、及びベース部材32の組付けをより容易にすることができ、組付け工数の低減を図ることができる。
【0121】
従って、車両1の整流構造は、上部装着部341と下部装着部342とで連結部材装着部34を構成したことにより、デフレクタ31に対する連結部材33の取付けを容易にすることができる。
【0122】
なお、上述の実施形態において、ルーフ前部21とルーフ後部22とで構成したハードトップ型の車両1を用いて説明したが、これに限定せず、幌布や幌骨で構成したソフトトップ型の車両1であってもよい。
また、車両後方への格納空間に向けて折り畳むように格納される開閉ルーフ20としたが、これに限定せず、車両上部のルーフ部分が取り外し可能な開閉ルーフであってもよい。
【0123】
また、車両上方へ突出したデッキカバー23への走行風の衝突を回避するデフレクタ31としたが、これに限定せず、ドライバーシート後方に配設されたロールバー、車両後部7に配置したアンテナ、クォータガラス、センターピラー、ドライバーシート、あるいはドライバーなどへの走行風の衝突を回避するデフレクタ31としてもよい。この際、車両前後方向におけるデフレクタ本体部311の断面形状は、所望する走行風の偏向方向に応じて適宜の形状に形成してもよい。
【0124】
また、トリム延設部126にデフレクタ装置30を配置する構成としたが、これに限定せず、ウインドウ枠材10に配設される構成であれば、適宜の構成としてもよい。例えば、ヘッダパネル123とは別体で構成した取付け部材を、ヘッダパネル123に装着するとともに、取付け部材にベース部材32を装着する構成としてもよい。あるいは、ヘッダトリム125とベース部材32とを一体形成してもよい。
【0125】
また、車両前後方向における断面形状が車両後方下方に突出するように湾曲した形状のデフレクタ31としたが、これに限定せず、適宜の形状のデフレクタとしてもよい。例えば、下端に対して上端が車両後方に位置する略平板状のデフレクタとしてもよい。
【0126】
また、車両上方、かつ車幅方向外側に向けて上昇するデフレクタ31としたが、これに限定せず、車両上方、かつ車幅方向内側に向けて上昇するデフレクタとしてもよい。あるいは、車両斜め上方後方、かつ車幅方向外側へ向けて上昇するデフレクタとしてもよい。
【0127】
また、車幅方向において、ベース部材32の円形孔322よりも車幅方向外側の位置にデフレクタ31の連結孔313を開口形成した構成としたが、これに限定せず、デフレクタ31が展開位置に位置する状態において、円形孔322と長楕円孔323との間に位置するように、デフレクタ31の連結孔313を開口形成してもよい。
【0128】
また、ベース部材32及び連結部材33で構成した昇降手段を車幅方向に2つ備えたデフレクタ装置30としたが、これに限定せず、制限速度などに応じて適宜の数の昇降手段を配置してもよい。
また、ベース部材32の円形孔322に前方連結支持部332を挿通し、長楕円孔323に後方連結支持部333を挿通したが、これに限定せず、円形孔322に後方連結支持部333を挿通し、長楕円孔323に前方連結支持部332を挿通する構成としてもよい。
【0129】
また、ベース部材32の長楕円孔323、及び円形孔322を、車幅方向外側からこの順番で開口形成したが、これに限定せず、車幅方向外側から円形孔322、及び長楕円孔323の順に開口形成してもよい。
デフレクタ31に一体形成した連結部材装着部34に連結部材33を連結する構成としたが、これに限定せず、デフレクタ31に直接的に開口形成した連結孔313に対して連結部材33を連結する構成としてもよい。
また、ストッパ部324を設けたベース部材32としたが、これに限定せず、ストッパ部324を設けていないベース部材32としてもよい。あるいは、ヘッダトリム125やトリム延設部126などにストッパ部324を設けてもよい。
【0130】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の昇降手段は、実施形態のベース部材32、及び連結部材33に対応し、
以下同様に、
開閉ルーフ車は、車両1に対応し、
枠材側基部は、ベース部材32に対応し、
弾性を有する線状体は、金属製丸棒材に対応し、
第1連結支持部は、前方連結支持部332に対応し、
第2連結支持部は、後方連結支持部333に対応し、
対向突出部は、デッキカバー23に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。