【実施例】
【0023】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車のデッキカバー支持構造を示し、
図1は当該デッキカバー支持構造を備えた自動車を開閉ルーフの閉鎖状態にて示す側面図、
図2はその平面図、
図3は開閉ルーフを閉鎖状態から開放状態に移行する時の側面図、
図4は開閉ルーフの開放状態を示す側面図である。
この実施例では2シーター構造のオープンカーを示している。
【0024】
図1〜
図4に示すように、車体後部構造は、開閉ルーフ1と、ルーフ格納室2と、リヤデッキカバー3と、トランクルーム4と、トランクリッド5と、リヤデッキカバー3を開閉する平行リンク構造のリンク機構6(
図3参照)と、開閉ルーフ1および後述するバックウインド9を開閉するルーフ開閉リンク機構(図示せず)とを備えている。
【0025】
開閉ルーフ1は、乗員室7(つまり車室)を覆うルーフ閉鎖状態(
図1,2参照)と、ルーフ格納室2に格納されて乗員室7を開放するルーフ開放状態(
図4参照)との間で変位可能に車体に支持されている。
【0026】
開閉ルーフ1は、ハードトップタイプの可動ルーフである。開閉ルーフ1は、フロントルーフ1Aと、ミドルルーフ1Bとを備えている。
【0027】
図1に示すように、フロントルーフ1Aは、乗員室7の上方を覆うルーフであり、またミドルルーフ1Bは、ルーフ閉鎖状態において、フロントルーフ1Aの後側に連設されるルーフである。
【0028】
図1,
図2に示すルーフ閉鎖状態において、ミドルルーフ1Bの後側には、リヤデッキカバー3の構成要素である板状のリヤヘッダ8が連設され、さらに、リヤヘッダ8の下方にはバックウィンド9(
図2参照)が連設されている。
【0029】
図1,
図2に示すように、フロントルーフ1Aと、ミドルルーフ1Bと、リヤヘッダ8と、バックウィンド9は、ルーフ閉鎖状態においては、図示しないシール部材を介して互いに密着している。一方、フロントルーフ1Aと、ミドルルーフ1Bと、リヤヘッダ8と、バックウィンド9は、ルーフ開放状態においては、
図4に示すように、互いに分離された状態になる。
【0030】
フロントルーフ1Aと、ミドルルーフ1Bと、バックウィンド9は、車幅方向左右両側において、ルーフ開閉リンク機構を介して相互に連結されると共に、当該ルーフ開閉リンク機構を介して車体に連結されている。但し、上述のリヤヘッダ8は、ルーフ開閉リンク機構には連結されていない。
【0031】
ルーフ格納室2(
図1参照)は、乗員室7と、乗員室7の後方に設けられたトランクルーム4の間に設けられる。ルーフ格納室2は、開閉ルーフ1(フロントルーフ1Aおよびミドルルーフ1B)と、バックウィンド9とを格納する区画である。フロントルーフ1Aと、ミドルルーフ1Bと、バックウィンド9は、
図3,
図4に点線で示すように、上下方向に重なった状態で格納される。
【0032】
リヤデッキカバー3は、ルーフ格納室2の開口部2a(
図1参照)を開閉可能に覆う。リヤデッキカバー3は、ベース部3Aと、左右の隆起部3B,3Bと、リヤヘッダ8と、ハイマウントストップランプ10とを備えている(
図2参照)。
【0033】
ベース部3Aは、平面視で台形状を成す板状部分であり、前部が後部よりも車幅方向の長さが短くなっている(
図2参照)。ベース部3Aの車幅方向中央部の上面には、ハイマウントストップランプ10が設けられている。
【0034】
隆起部3Bは、ベース部3Aの左端(車幅方向の一端)および右端(車幅方向の他端)に一体に設けられている。隆起部3Bは、ベース部3Aに対して上方に突出すると共に前後方向に延びている。
【0035】
隆起部3Bは、車両側面視で略三角形状に形成されている。すなわち、隆起部3Bの上縁部3aが前部から後部にかけて斜め下向きに傾斜し、隆起部3Bの下端部3bが略水平方向に延びることにより、隆起部3Bが側面視で三角形状に形成されている。上縁部3aおよび下端部3bは、それぞれ、上側に凸の若干の丸みを帯びている。その三角形の前側部分には、後側に向かって切り欠かれた切欠部3cが形成されており、この切欠部3cにクォータウィンド11が設けられている。
【0036】
切欠部3cは、
図1に示すように、ルーフ閉鎖状態およびルーフ開放状態において、車両側面視で前上がりに傾斜するバックウィンド9の上端部よりも後方へ延在している。ルーフ閉鎖状態において、隆起部3Bの上縁部3aの傾斜の方が、バックウィンド9の傾斜よりも緩い。これにより、バックウィンド9の側辺部の後方に、隆起部3Bの車幅方向内側の側面を構成する側面視で三角形状の壁部としての車幅方向内側壁3Dが形成される(
図2参照)。この車幅方向内側壁3Dは、
図2に示すように、ハイマウントストップランプ10と切欠部3cの間に介在している。
【0037】
隆起部3Bの後端部は、ベース部3Aの後端部よりも後方へ突出している(
図2参照)。この後方への突出部分は、その車幅方向および上下方向の寸法(幅と高さ)が共に後方側ほど小さくなるように後ろ窄まり状に形成されている。
【0038】
車幅方向左側の隆起部3Bの上端部3aと、車幅方向右端側の隆起部3Bの上端部3aは、リヤヘッダ8を介して車幅方向に連結されている。左側の隆起部3B、リヤヘッダ8、および右側の隆起部3Bは一体、または一体的に形成されている。
【0039】
左側の隆起部3Bは、左側のリヤピラーとしての機能を有し、また、右側の隆起部3Bは、右側のリヤピラーとしての機能を有している。
なお、リヤヘッダ8は、隆起部3Bの下端部より上側の何れかの位置に連結されていればよく、必ずしも上端部に連結されていなくてもよい。
【0040】
左側の隆起部3B、右側の隆起部3B、リヤヘッダ8、およびベース部3Aによって囲まれる四角形状の領域が、バックウィンド9が臨む開口部3dを形成する(
図2,4参照)。
【0041】
左側の隆起部3Bおよび右側の隆起部3Bは、開口部3dおよび切欠部3cに近づくにつれて平面視で車幅方向内側へ次第に拡張する形状を有する(
図2参照)。
【0042】
リヤデッキカバー3を開閉する上述のリンク機構6(
図3参照)は、ルーフ格納室2内の車幅方向両端部(左端部および右端部)にそれぞれ設けられている。該リンク機構6は、リヤデッキカバー3の底部とルーフ格納室2の側部とを連結する。また、該リンク機構6は、隆起部3Bの前部寄りの箇所を支持している。
【0043】
図1に示すルーフ閉鎖状態の開閉ルーフ1を、
図4に示すようにルーフ格納室2に折畳んで格納する際には、まずリンク機構6(
図3参照)でリヤデッキカバー3をリフトアップし、このリヤデッキカバー3がリフトアップされた状態下において、図示しないルーフ開閉リンク機構によりフロントルーフ1A、ミドルルーフ1Bおよびバックウィンド9を上下方向に折畳んでルーフ格納室2に格納し(
図3参照)、次に、リンク機構6でリヤデッキカバー3をリフトダウンさせると、
図4に示すように、開閉ルーフ1をルーフ格納室2内に格納すると共に、その上部をリヤデッキカバー3で覆うことができる。
【0044】
図2に平面図で示すように、上述のリヤデッキカバー3の隆起部3B下端はその後部が後方に向けて先鋭となる車両デザインに形成されている。換言すれば、左右の各隆起部3B,3B下端の車両前方側の車幅方向の幅が広く、左右の各隆起部3B,3B下端の車両後方側の車幅方向の幅が狭く、左右の各隆起部3B,3Bの下端は何れも平面視で略直線状に前後方向へ延びるように形成されている。
【0045】
図5は開閉ルーフ1およびリヤデッキカバー3を取外した状態で示す車両後部の平面図、
図6は
図5の要部斜視図、
図7は第1ブラケットを単品にて示す斜視図、
図8は第1および第2の各ブラケットとリンク機構との関連構造を示す斜視図、
図9は
図5のA−A線矢視断面図、
図10は
図5のB−B線矢視断面図、
図11は
図5のC−C線矢視断面図、
図12はリヤアッパメンバの給油口カップ部側の構成を示す車両左側の斜視図である。
【0046】
図9に示すように、リヤフロアパネル12の車幅方向外側下部には、リヤサイドフレーム13を接合固定して、このリヤサイドフレーム13とリヤフロアパネル12との間には、車両の前後方向に延びるリヤサイド閉断面14を形成して、下部車体剛性の向上を図っている。
【0047】
図9に示すように、上述のリヤフロアパネル12の車幅方向外側には、ホイールハウスインナ15とホイールハウスアウタ16とを接合固定して、ホイールハウス17を構成している。同図に示すように、ホイールハウスアウタ16のさらに外側にはリヤフェンダアウタ18とリヤフェンダインナ19とから成るリヤフェンダ20を接合固定している。
【0048】
図9に示すように、リヤフェンダインナ19の下端と、ホイールハウスインナ15上端と、ホイールハウスアウタ16上端と、の接合部21に対して、リヤフェンダ20の上縁20aが車幅方向内側に位置するように形成されていて、後部車体剛性の向上を図っている。
【0049】
図5に示すように、前側のルーフ格納室2と、後側のトランクルーム4との間において、左右の車体側壁相互間を、複数の部材から成るリヤアッパメンバ30(リヤデッキメンバと同意)で車幅方向に連結している。
このリヤアッパメンバ30は、車幅方向中央側に位置するロアパネル31、フロントパネル32、リヤパネル33と、車幅方向の左右両側部に位置するサイドパネル34,35とを有している。
【0050】
一方で、
図6,
図12に示すように、ホイールハウスインナ15の車幅方向内側後寄りの部位には、切り株状に隆起する左右のダンパ支持部22を、当該ホイールハウスインナ15と一体的に形成している。
【0051】
そして、リヤアッパメンバ30のサイドパネル34,35と、上述の各ダンパ支持部22,22との間を、上部取付けブラケット23、ダイヤゴナルブラケット24、下部取付けブラケット25を介して連結している。
【0052】
図6,
図8,
図9に示すように、上述のリヤデッキカバー3を開閉するリンク機構6は、ホイールハウスインナ15に第1ブラケット41と第2ブラケット42とを介して取付けられている。これら各要素6,41,42の構成は左右略対称であるので、以下の説明においては、主として、車両右側の構成について説明する。
【0053】
リンク機構6は、
図8に示すように、下部リンクに相当し、下部に略水平な取付け座6aを有するベース部6Bと、前側リンク6Fと、後側リンク6Rと、上端に略水平なリヤデッキカバー取付け部6bを有する上側リンク6Uとを備えた平行リンクで構成されており、
図9に示すように、リヤデッキカバー取付け部6bに上述のリヤデッキカバー3を取付けている。
【0054】
第1ブラケット41は、
図6,
図7に示すように、ホイールハウスインナ15の頂部に取付けられる前後の外側取付け部41a,41bが設けられており、これら前後の外側取付け部41a,41bと上述のホイールハウスインナ15との間には前後の閉断面43,44がそれぞれ形成されると共に、これら前後の各閉断面43,44を車両前後方向に繋ぐ連結閉断面部45が設けられている。
【0055】
また、
図7に示すように、上述の第1ブラケット41の車幅方向内側には前後の内側取付け部41c,41d(ホイールハウス車幅方向内側接合部)が一体形成されると共に、車幅方向外側端部にはホイールハウスインナ15の上端フランジ部と接合される複数のフランジ部41e,41f,41gが一体形成されている。
【0056】
図7に×印で示すように、第1ブラケット41は複数のスポット溶接箇所SW1〜SW11によりホイールハウスインナ15の対応部に接合固定されている。
特に、第1ブラケット41のフランジ部41fにおけるスポット溶接箇所SW8,SW9は、
図10に示すように、ホイールハウスアウタ16とホイールハウスインナ15とフランジ部41fとの3枚溶接にて接合されている。
【0057】
そして、上述の連結閉断面部45と当該第1ブラケット41の車幅方向外側の接合部であるフランジ部41fとの間には、前後方向に延びる凹部41hが形成されていて、この凹部41hの形成により車両前後方向に延びる複数の稜線X1,X2,X3を形成して、これにより第1ブラケット41それ自体の剛性向上を図っている。
【0058】
図10に示すように、第1ブラケット41の凹部41hはホイールハウスインナ15の上面に、複数のスポット溶接箇所SW12(但し、
図10では一箇所のみを示す)にて連結されている。
上述の前後の閉断面43,44を連結閉断面部45で車両前後方向に繋ぐことで、リヤデッキカバー3から入力される荷重を前後方向に分散して、第1ブラケット41の強度を高めるように構成している。
【0059】
また、上述の凹部41hの形成により稜線を増やして、第1ブラケット41それ自体の剛性を高めるように構成すると共に、当該凹部41hをホイールハウスインナ15の上面に連結することで、上記入力荷重をホイールハウス17にも荷重分散すべく構成している。
【0060】
さらに、第1ブラケット41の前後の外側取付け部41a,41b相互間には、車幅方向に比較的広い連結閉断面部45が形成されることで、当該第1ブラケット41の車幅方向剛性も確保するように構成している。
【0061】
図6,
図8,
図9,
図11に示すように、第1ブラケット41に連結される第2ブラケット42は、第1ブラケット41よりも厚肉高剛性に形成されており、この第2ブラケット42には、ホイールハウスインナ15の頂部に対して車幅方向内側に位置して上述のリンク機構6を支持する略水平な取付け座42aと、この取付け座42aの前後から下方に延びる脚部42b,42cを介して形成された下側取付け部42d,42eと、上述の取付け座42aよりも車幅方向外側に位置する前後の外側取付け部42f,42gとが設けられている。
【0062】
そして、上述の下側取付け部42d,42eは、
図9,
図11に示すように、ウエルドボルト46およびナット47などの取付け部材を用いて、第1ブラケット41の内側取付け部41c,41dに斜めに締結固定されている。
【0063】
図9,
図11に示すように、上述の第2ブラケット42の下側取付け部42d,42eは、上下方向に延びる仮想垂直線に対して鋭角となるよう斜めに取付けられている。
【0064】
また、
図6,
図9,
図11に示すように、第2ブラケット42の外側取付け部42f,42gは、第1ブラケット41の外側取付け部41a,41b(
図7参照)に、ボルト、ナットなどの取付け部材48を用いて、斜めに連結固定されている。
【0065】
図9に示すように、上述の第2ブラケット42の外側取付け部42f,42gは、左右横方向に延びる仮想水平線に対して鋭角となるよう斜めに取付けられている。
【0066】
図8に矢印αで示すように、車両走行時の開閉ルーフ1のルーフ格納および展開時に、加減速や路面凹凸の振動を受けてリンク機構6の取付け座6aには、前後方向に荷重がかかり、また、
図8に矢印βで示すように、リンク機構6の取付け座6aがホイールハウスインナ15の内側に張り出すことで、車幅方向および上下方向の振動荷重がかかるが、リヤデッキカバー3から入力される上下方向の荷重を第2ブラケット42の下側取付け部42d,42eで斜め方向に受止め、上下方向の荷重に対してせん断方向の荷重割合を増やし、ホイールハウスインナ15と第1ブラケット41との接合部が剥離する方向の荷重を低減して、第1ブラケット41がホイールハウスインナ15から剥離することを抑制して、デッキカバー支持構造の剛性を高めるように構成している。
【0067】
また、車幅方向の荷重に対しては、第2ブラケット42の外側取付け部42f,42gで斜め方向に受止め、車幅方向の荷重に対してせん断方向の荷重割合を増やし、ホイールハウスインナ15と第1ブラケット41との接合部が剥離する方向の荷重を低減して、第1ブラケット41がホイールハウスインナ15から剥離することを抑制して、デッキカバー支持構造の剛性を高めるように構成している。
【0068】
図6,
図8に示すように、第2ブラケット42の取付け座42aには、ボルト、ナットなどの取付け部材49を用いてリンク機構6におけるベース部6Bの取付け座6aが締結固定されている。
【0069】
図9,
図11に示すように、上述の第1ブラケット41の内側取付け部41c,41dの延長線上に、該第1ブラケット41と上述の第2ブラケット42とのそれぞれの外側取付け部41a,41b,42f,42gが設けられており、リヤデッキカバー3から入力される荷重でホイールハウスインナ15を押し下げることなく、当該ホイールハウスインナ15の面方向に沿って荷重を伝えるように構成している。
【0070】
さらに、
図10,
図11に示すように、車両走行時にサスペンションからの荷重が入力される荷重入力点である上述のダンパ支持部22から延びるホイールハウスインナ15の車幅方向内側の側面の延長線上に、第2ブラケット42の支持部(各取付け部42d,42e,42f,42g参照)を水平方向に対して斜めに設けており、これにより第1ブラケット41、第2ブラケット42の両ブラケットにおいて、剥離荷重を低減し、せん断荷重として多くの荷重を受止めて、接合強度に関して有利となるように構成している。
【0071】
ところで、
図1〜
図4に示すように、車両左側の車体側部であるリヤフェンダアウタ18には給油口50が設けられている。この給油口50は
図5,
図12に示すように、カップ部51を備えている。このカップ部51はリヤフェンダ20から車幅方向内側へ突出するように設けられている。
【0072】
図12に示すように、上述の給油口50およびそのカップ部51が配設される側において、上述のリヤアッパメンバ30の端部であるサイドパネル34には、上記カップ部51を避けるよう下方に折曲げられた下方屈曲部34Aが形成されている。
【0073】
一方、
図6,
図8,
図10に示すように、上述のリヤアッパメンバ30において下方屈曲部34Aが形成された側と車幅方向反対側の端部である車両右側のサイドパネル35には、トランクルーム4内から補機としてのジャッキ60をキャビン側へ挿通可能な開口部35aが形成されており、この開口部35aの口縁には車両前方へ突出するフランジ部35bが一体に形成されている。
なお、図中、61は、車両前後方向に延びるリヤフェンダインナ19と車幅方向に延びるリヤアッパメンバ30の端部とを連結するブレースサイドパネルである。
【0074】
また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0075】
このように、上記実施例の自動車のデッキカバー支持構造は、ホイールハウス17上方にオープンカーのリヤデッキカバー3が開閉可能に支持される自動車のデッキカバー支持構造であって、上記リヤデッキカバー3を開閉するリンク機構6が、上記ホイールハウス17(詳しくは、ホイールハウスインナ15)に第1ブラケット41と第2ブラケット42とを介して取付けられ、上記第1ブラケット41は上記ホイールハウス17に連結され、上記第2ブラケット42は上記第1ブラケット41に連結されており、上記第2ブラケット42には、上記ホイールハウス17の頂部(詳しくは、ホイールハウスインナ15の頂部)に対して車幅方向内側に位置して上記リンク機構6を支持する略水平な取付け座42aと、該取付け座42aから下方に延びる下側取付け部42d,42eと、上記取付け座42aより車幅方向外側に位置する外側取付け部42f,42gとが設けられており、上記下側取付け部42d,42eが上記第1ブラケット41に上下方向に対し斜めに取付けられており、上記外側取付け部42f,42gが上記第1ブラケット41に車幅方向に対し斜めに連結されたものである(
図6,
図9,
図11参照)。
【0076】
この構成によれば、リヤデッキカバー3から入力される上下方向の荷重を第2ブラケット42の下側取付け部42d,42eで斜め方向に受止め、上下方向の荷重に対してせん断方向の荷重割合を増やし、接合部が剥離する方向の荷重を低減するので、第1ブラケット41がホイールハウス17から剥離することを抑制して、デッキカバー支持構造の剛性を高めることができる。
【0077】
また、車幅方向の荷重に対しては、第2ブラケット42の外側取付け部42f,42gで斜め方向に受止め、車幅方向の荷重に対してせん断方向の荷重割合を増やし、接合部が剥離する方向の荷重を低減するので、第1ブラケット41がホイールハウス17から剥離することを抑制して、デッキカバー支持構造の剛性を高めることができる。
要するに、車体重量の増加を抑えつつ、リヤデッキカバー3を開閉するリンク機構6の支持強度の向上を図ることができる。
【0078】
この発明の一実施形態においては、上記第1ブラケット41には上記ホイールハウス17に取付けられる前後の外側取付け部41a,41bが設けられており、これら前後の外側取付け部41a,41bと上記ホイールハウス17(詳しくは、ホイールハウスインナ15)との間には前後の閉断面43,44がそれぞれ形成され、これら前後の閉断面43,44を車両前後方向に繋ぐ連結閉断面部45が設けられ、該連結閉断面部45と上記第1ブラケット41の車幅方向外側の接合部(フランジ部41f参照)との間に、前後方向に延びる凹部41hが形成され、該凹部41hが上記ホイールハウス17上面(詳しくは、ホイールハウスインナ15の上面)に連結されたものである(
図6,
図7参照)。
【0079】
この構成によれば、前後の閉断面43,44を連結閉断面部45で車両前後方向に繋いだので、荷重を前後方向に分散して、第1ブラケット41の強度を高めることができる。
また、上記凹部41hの形成により稜線を増やしたので、第1ブラケット41それ自体の剛性を高めることができる。
【0080】
さらに、上記凹部41hをホイールハウス17上面と連結するので、入力荷重をホイールハウス17にも荷重分散することができる。
加えて、第1ブラケット41の前後の外側取付け部41a,41b相互間には、車幅方向に比較的広い連結閉断面部45が形成されるので、第1ブラケット41の車幅方向剛性も確保することができる。
【0081】
この発明の一実施形態においては、上記第1ブラケット41のホイールハウス17車幅方向内側接合部(内側取付け部41c,41d参照)の延長線上に、該第1ブラケット41と上記第2ブラケット42との外側取付け部41a,41b,42f,42gが設けられたものである(
図9,
図11参照)。
【0082】
この構成によれば、ホイールハウス17を押下げる方向ではなく、ホイールハウス17(詳しくは、ホイールハウスインナ15)の面方向(面が延びる方向)に沿って荷重を伝えるので、有利である。
【0083】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の第1ブラケットが連結されるホイールハウスは、実施例のホイールハウスインナ15に対応し、
以下同様に、
ホイールハウス車幅方向内側接合部は、内側取付け部41c,41dに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。