(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面視外形が矩形でかつ表裏主面に励振電極を備え、かつ、前記矩形をなす二組の対向辺のうち、第1組の対向辺の一方の対向辺側に前記両励振電極を個別に引き出す一対の電極を有する圧電振動片と、
上面に前記一対の電極に個別に接続される二つの電極パッドを有するベース部材と、
前記一対の電極を前記二つの電極パッドにそれぞれ電気的に接合する導電接合材からなり、前記圧電振動片の裏面の前記第1組の対向辺の一方の対向辺側を支持する第1、第2支持部と、
を備えた圧電デバイスであって、
前記圧電振動片の裏面側における前記第1の組の対向辺の他方の対向辺側の少なくとも一箇所を所定の接合領域で前記ベース部材の上面に接合する接合材からなり、前記圧電振動片の裏面の前記第1組の対向辺の他方の対向辺側を支持する補助支持部を設け、
前記補助支持部における前記第1組の他方の対向辺から最近の周縁までの距離範囲をHとし、前記距離範囲Hのうち、前記第1組の他方の対向辺から最近の距離をH1(>0)、前記第1組の他方の対向辺から最遠の距離をH2(>H1)、前記第1組の前記両対向辺間の距離をL、前記補助支持部の前記第1組の他方の対向辺から最近の周縁と最遠の周縁との間の前記距離L方向の距離をDとし、H1/Lの値が百分率で3%以上であって、(H2+D)/Lの値が百分率で20%以内を満たす位置に、前記補助支持部の前記第1組の他方の対向辺からの位置を設定した、ことを特徴とする圧電デバイス。
前記矩形をなす二組の第1、第2組の対向辺のうち、第1組の対向辺は短辺であり、第2組の対向片は長辺であり、前記両短辺の中央を結ぶ中心線上に前記補助支持部が位置している、請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
この実施形態では、圧電デバイスとして、圧電振動子である水晶振動子を例に挙げて説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る水晶振動子の断面図であり、
図2は、
図1の水晶振動子において、パッケージの蓋体を外した状態の平面図である。
【0029】
この実施形態の水晶振動子1は、圧電振動片としての水晶片2と、水晶片2を収納する凹部6を有するベース部材3と、ベース部材3の開口部を気密封止する蓋体4とを備えており、ベース部材3と蓋体4とによってパッケージが構成される。ベース部材3は、平面視矩形形状の底部3aと、この底部3aの周囲に枠状に形成された周部3bとにより、前記凹部6が形成される。
【0030】
セラミックからなるベース部材3の枠状周部3bの上面と、金属製の蓋体4の外周部とはシールガラス等の接合材5を介して接合され、蓋体4とベース部材3との接合によって形成される収納空間に水晶片2が収納される。
【0031】
ベース部材3は、平面視外形が大略矩形となっている。このベース部材3の凹部6の一方の短辺寄りの両隅部におけるベース部材3の内部底面3a1上に、金属からなる一対の電極パッド7,8が形成されている。ベース部材3の外部底面3a2には、外部機器等と半田等によって接合される外部端子(図示せず)が形成されている。電極パッド7,8と外部端子とは図示しない内部配線導体によって電気的に接続されている。
【0032】
水晶片2は、平面視外形が矩形のATカット水晶片であり、この矩形の水晶片2は、二組の対向辺2a,2b;2c,2dを有しており、第1の組の対向辺2a,2bは、平行な一対の短辺であり、第2の組の対向辺2c,2dは平行な一対の長辺となっている。
【0033】
水晶片2の表裏両主面には、水晶片2を励振させる一対の励振電極9,10が表裏方向同じ対応位置に各々形成されており、各励振電極9,10からは、一方の短辺2aの両端部まで引出電極11,12がそれぞれ延出形成されている。水晶片2の一対の引出電極11,12とベース部材3の各電極パッド7,8とは、導電接合材としての導電性接着剤13,13でそれぞれ接合されており、この実施形態では、導電性接着剤13,13は、平面視外形が円形となっている。これにより水晶片2の短辺2a側は、電極パッド7,8に導電性接着剤13,13で接合されて支持される。導電性接着剤13,13としては、例えば、金や銀等の導電性フィラーを含有するシリコーン系、ウレタン系、あるいは、変成エポキシ系等のペースト状の接着剤を用いることができる。
【0034】
ベース部材3の短辺2b寄りの中央位置における内部底面3a1上には、台座14が突設されている。台座14に、接合材としての接着剤16が平面視外形が円形に接合されている。これにより水晶片2の他方の短辺2b側の裏面は、台座14上で接着剤16により所定の接合領域で接合されて支持される。接着剤16は、導電性接着剤であってもよいし、非導電性の接着剤であってもよい。台座14の高さは、各電極パッド7,8の上端の高さと等しくなっており、水晶片2を、該水晶片2とベース部材3の凹部6の上面との間に隙間を確保しつつ、水平に支持している。なお、台座14を省略すると共に、各電極パッド7、8の台座部分を省略してもよい。
【0035】
このように水晶片2は、短辺2a側の裏面がベース部材3の電極パッド7,8に導電性接着剤13からなる第1、第2支持部M1,M2で接合支持され、短辺2b側の裏面が台座14上に、接着剤16からなる補助支持部Sで接合支持される。すなわち、水晶片2は、一方の短辺2a側で2つの支持部M1,M2と、他方の短辺2b側で1つの補助支持部Sとの3点で、ベース部材3に支持される。導電性接着剤13及び接着剤16の厚みは、例えば、10μm〜30μmである。この厚みは、ペースト状の接着剤13,16を塗布後、乾燥硬化させた後の接着剤13,16の厚みである。
【0036】
このように水晶片2が2つの第1、第2支持部M1,M2と、1つの補助支持部Sとの3点でベース部材3の凹部6上に支持された実施形態の水晶振動子1では、耐衝撃性を向上させるために、補助支持部Sの位置について説明する。
【0037】
補助支持部Sは、両短辺2a,2bの中点を結ぶ仮想の中心線CL上において、水晶片2の裏面に対して所定の円形接合領域を有する。補助支持部Sの円形接合領域の周縁において、Saは補助支持部Sの短辺2bに対して最近の周縁であり、Sbは補助支持部Sの短辺2bに対して最遠の周縁である。
【0038】
そして、実施形態では、補助支持部Sの短辺2bからの位置を、前記両短辺2a,2b間の距離をL、短辺2bから最遠となる位置にある補助支持部S(
図4(b)の点線円S´´の位置にある補助支持部S)の最近の周縁Saまでの距離をH2、補助支持部Sの直径を2*r(ただし、rは補助支持部Sの半径)、として、(H2+2*r)/Lの値が百分率で20%以内を満たす位置に設定したことを特徴とする。好ましくは、この位置は、(H2+2*r)/Lの値が百分率で19%以内である。より好ましくは、前記位置は、(H2+2*r)/Lの値が百分率で2%〜20%以内である。
【0039】
次に、実施形態では、水晶片2が第1、第2支持部M1,M2および補助支持部Sの3点でベース部材3に支持された水晶振動子の耐遠心加速度性を評価するために、遠心加速度2000Gがかかることを想定した有限要素法を用いた応力シミュレーションを行った。
【0040】
なお、この応力シミュレーションでは、補助支持部Sの平面視外形が半径rの円形であると想定して行うが、補助支持部Sが必ずしも円形で無い場合がある。例えば、補助支持部Sが楕円やその他の非円形である場合、補助支持部Sの前記距離L方向の寸法(補助支持部Sの最近の周縁と最遠の周縁との間の寸法)をDとし、(H2+D)を前記距離Lで除算した値、すなわち、(H2+D)/Lの値が百分率で20%以内となる位置、好ましくは、19%以内、より好ましくは、2%〜20%以内に設定するとよく、補助支持部Sの平面視外形が円形、非円形を問わず、前記補助支持部Sの位置設定は実質、等価である。
【0041】
この応力シミュレーションの評価モデル21として、
図3の斜視図及び
図4の平面図に示すように、板状のセラミック17上に、平面視外形が矩形の水晶片18を、その一方の短辺18aの両端部を導電性の接着剤
19aによってそれぞれ支持した第1,第2支持部M1.M2とし、他方の短辺18b側の中央箇所を同じく導電性の接着剤
19bによって支持した補助支持部Sとしたものであって、この補助支持部Sの位置を両短辺18a,18b間の各中点を結ぶ仮想の中心線CL上に沿って変化させた場合の応力シミュレーションを行った。
【0042】
なお、
図4では、補助支持部Sの位置を明確にするために、実線で示しているが、補助支持部Sの接着剤19は、水晶片18とセラミック17との間に介在している。この評価モデル21における、セラミック17、水晶片18及び接着剤19の物性値であるヤング率(kgf/mm2)及び密度(kgf/mm3)は、下記表1の値を用いた。
【0043】
【表1】
また、この応力シミュレーションでは、下記表2に示すように、平面視外形が矩形の2つの第1、第2水晶片18を用いた。矩形の水晶片18のサイズ(長辺*短辺)、支持部M1,M2の平面視外形が円形の接着剤19aの半径R、および補助支持部Sの平面視外形が円形の接着剤19bの半径rが、それぞれ異なる第1,第2のサイズの2種類の評価モデル21について行った。
【0044】
【表2】
第1のサイズの評価モデル21は、表2及び
図4に示すように、矩形の水晶片18のサイズ(長辺*短辺)、すなわち、
図4の水晶片18の長辺の長さLと短辺の幅Wが、1.8mm*1.1mm、支持部M1,M2の接着剤19aの半径Rが、0.16mm、補助支持部Sの接着剤19bの半径rが、0.12mmである。また、第2のサイズの評価モデル21は、水晶片18のサイズが、2.2mm*1.4mm、支持部M1,M2の接着剤19aの半径Rが、0.20mm、補助支持部Sの接着剤19bの半径rが、0.15mmである。いずれのサイズも支持部M1,M2及び補助支持部Sの接着剤19a,19bの厚みは、0.025mmであり、また、水晶片18の厚みは、0.085mmである。
【0045】
この応力シミュレーションでは、
図4の平面図に示すように、補助支持部Sの位置について、水晶片18の両短辺18a,18bの各中点を結んだ仮想の中心線CL上を補助支持部Sを移動変化させた場合の遠心加速度2000Gに相当する線形静解析を実施した。
図4(a)は、補助支持部Sの短辺
18bに対しての最近の周縁Saと最遠の周縁Sbとを示し、短辺
18bから最近の周縁Saまでの距離をHで示す。また、
図4(b)は、補助支持部Sを移動変化させた場合において、補助支持部Sが短辺
18bから最近となる位置(点線円S´で示す位置)にあるときに最近の周縁Saの短辺
18bからの距離HをH1で示し、補助支持部Sが短辺
18bから最遠となる位置(点線円S´´で示す位置)にあるときに最近の周縁Saの短辺
18bからの距離HをH2で示す。また、補助支持部Sの直径を2rで示す。
【0046】
なお、タイヤの空気圧監視システム(TPMS)のセンサモジュールとして水晶振動子1を搭載する場合、
図5に示すように、矢符A方向へ回転するタイヤ20の回転軸方向をY、遠心方向をZ、走行方向をXとすると、水晶片18の幅方向が回転軸方向Yに沿うように、また、遠心方向Zが、水晶片18の上下面に直交するように搭載される。
【0047】
図4には、応力シミュレーションにおける上記各方向を示しており、タイヤの回転軸方向Yは、水晶片18の短辺18a,18bに沿う幅方向となり、タイヤの走行方向Xは、水晶片18の長辺18c,18dに沿う長さ方向となり、タイヤの回転による遠心方向zは、水晶片18の上下面に対して垂直な方向となる。
【0048】
この応力シミュレーションでは、上述のように、補助支持部Sの位置を変化させた場合の支持部M1,M2及び補助支持部Sの
接着剤の最大引張応力、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力を算出した。
【0049】
なお、中心線CL上で短辺18bから該短辺18bに補助支持部Sの周縁Saまでの距離Hは、補助支持部Sの周縁Saが短辺18bより内側の領域に位置する場合はプラス(+)、外側にはみだす場合はマイナス(−)とした。
【0050】
次に応力シミュレーションの結果について説明する。
【0051】
[第1のサイズの評価モデルについてのシミュレーション結果]
表3ないし表6、および
図6は、第1のサイズについての応力シミュレーションの結果を示すものである。
【0055】
【表6】
表3では、距離Hが0.05〜0.55mmの範囲は、補助支持部Sの短辺18bからの好ましい距離範囲、すなわち、理想塗布位置範囲を示す。塗布位置とは、水晶片18の補助支持部Sとなる接着剤19bの短辺18bからの塗布位置のことである。前記距離Hが0.05〜0.55mmの範囲のうち、理想塗布位置範囲における接着剤19bの最大引張応力が、最小の400(kgf/mm2)となるのは、距離Hが0.4mmであり、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が最小の602(kgf/mm2)となるのは、距離Hが0.35mmである。
【0056】
前記理想塗布位置範囲は、接着剤19bの最大引張応力が、距離H=0.4mmで、最小応力値を0%としたとき、この応力値0%との差である応力差が、70%以内は距離Hが0.05〜0.55mmの範囲であり、80%以内は、距離Hが0.001〜0.55mmの範囲である。この応力差以内は、それぞれ「応力差70%以内」、「応力差80%以内」と称する。なお、表3を目視で理解しやすいように
図6にグラフ化して示す。このグラフの横軸は前記距離Hであり、左縦軸は接着剤引張応力であり、右縦軸は水晶ミーゼス応力である。距離Hが0.4mmを中心にして接着剤19の最大引張応力がいずれの距離においても大きくなり、距離Hが0.35mmを中心にして最大ミーゼス応力がいずれの距離においても大きくなることが判る。
【0057】
表4は、表3に対応して距離Hが0.05〜0.55mmの範囲で、接着剤19bの最大引張応力が距離H=0.4mmで最小の400(kgf/mm2)を0%とし、他の距離Hでの接着剤19bの最大引張応力の割合を百分率で示し、最大ミーゼス応力が距離H=0.35mmで最小の602(kgf/mm2)を0%とし、他の距離Hでの水晶中心の最大ミーゼス応力の割合を百分率で示している。そして、表3、表4で、太枠で囲む部分は、好ましい範囲を示す。
【0058】
表5、表6は、応力シミュレーション結果を示し、表5には、前記応力差70%以内、応力差80%以内で、水晶片の長辺寸法(ブランクL寸)を1.8mm、中心線CL上において短辺18bから補助支持部Sの右側周縁Saまでの距離Hのうち、理想右縁距離をH1とし、この距離H1が応力差70%以内では0.05mm、応力差80%以内では0.001mm、また、距離HをH2とし、これに補助支持部Sの直径2*r(rは補助支持部Sの半径)を加えた値、すなわち、短辺18bから最遠の補助支持部Sの左側周縁Sbまでの距離を理想左縁距離(H2+2*r)とし、この理想左縁距離(H2+2*r)が、応力差70%以内、応力差80%以内で共に0.79mm(但し、2*r=0.24mm、H2=0.55mm)となり、また、両短辺18a,18b間距離をLとし、H1/Lの値が百分率で応力差70%以内で3%、応力差80%以内で0%、(H2+2*r)/Lの値が百分率で応力差70%以内、応力差80%以内で共に44%である。
図4(b)に、補助支持部Sの周縁SaがH1にある場合と,H2にある場合とを示し、そのときの理想左縁距離(H2+2*r)を示す。
【0059】
表6は、水晶片に励振電極が形成された場合を考慮したものであり、表5とは異なって、理想左縁距離(H2+2*r)が、応力差70%以内、応力差80%以内で共に0.35mm、また、(H2+2*r)/Lの値が百分率で応力差70%以内、応力差80%以内で共に19%である。
【0060】
[第2のサイズの評価モデルについてのシミュレーション結果]
表7ないし表10、および
図7は、第2のサイズについての応力シミュレーションの結果を示すものである。
【0064】
【表10】
表7〜表10は、表3〜表6と対応
する。また、サイズが第1のサイズから第2のサイズに変更したことにより、表7〜表10は、表3〜表6とは詳細な数値では相違するが、その説明は略する。
【0065】
第2のサイズでは、特に、表10に示すように、第1のサイズのときの表6とは異なって、理想左縁距離(H2+2*r)が、応力差70%以内、応力差80%以内で共に0.45mm、H1/Lが応力差70%以内、応力差80%以内で各々2%,0%であり、また、(H2+2*r)/Lの値が百分率で応力差70%以内、応力差80%以内で共に20%である。
図7は表3と
図6の関係と同様に、表7のデータをプロットしたものである。それ以外は表3〜表6と同様であるので、特に説明の繰り返しを要しない。
【0066】
第1のサイズでの表6と、第2のサイズでの表10とでは、水晶片18サイズが大きくなると、理想左縁距離(H2+2*r)および(H2+2*r)/Lの百分率の値が増大していることが判る。つまり、補助支持部Sをより短辺18bから遠距離の位置に配置することができることになる。
【0067】
図8Aの(1)から(6)までと、
図8Bの(7)から(12)までに第1のサイズの評価モデルにおいて、表3の距離Hが
−0.12〜0.7までの
12段階において、水晶片18のミーゼス応力の18種類の分布変化を示す。
図8A,
図8Bにおいて、左側列(a)が各支持部の位置を、右側列(b)が水晶片18のミーゼス応力の分布を示している。なお、ミーゼス応力が大きくなるにつれて、紫から赤へとレインボーカラーで段階的に示したものを、濃淡画像に変換して示す。なお、第2のサイズの評価モデルにおいて、表
7の距離Hが−0.15〜0.85の段階で変化したときの水晶片18のミーゼス応力の分布変化の図示を略している。
【0068】
上記実施形態では、水晶片を2つの支持部と1つの補助支持部Sの3点支持であったが、補助支持部をS1,S2の2つとし、水晶片を4点支持してもよい。
【0069】
この4点支持の応力シミュレーションの評価モデル23として、
図9の斜視図、
図10の平面図に示すように、板状のセラミック17上に、平面視外形が矩形の水晶片18を、その一方の短辺18aの両端部を導電性の接着剤19によってそれぞれ支持した第1,第2支持部M1.M2とし、中心線CLに対して他方の短辺18b側の両側で導電性の接着剤19によって支持した第1、第2補助支持部S1,S2としたものであって、これら第1、第2補助支持部S1,S2の位置を中心線CLに沿って両短辺18a,18b間方向に沿って変化させた場合の応力シミュレーションを行った。
【0070】
第1、第2補助支持部S1,S2の接着剤は、水晶片18とセラミック17との間に介在している。この評価モデルにおける、セラミック17、水晶片18及び接着剤19の物性値であるヤング率(Kgf/mm2)及び密度(Kgf/mm3)は、下記表11の値を用いた。
【0071】
【表11】
また、この応力シミュレーションでは、下記表12に示すように、平面視外形が矩形の2つの第1、第2水晶片18を用いた。矩形の水晶片18のサイズ(長辺*短辺)、支持部M1,M2の平面視外形が円形の接着剤19の半径R、および第1、第2補助支持部S1,S2の平面視外形が円形の接着剤19の半径rが、それぞれ異なる第1,第2のサイズの2種類の評価モデル21について行った。
【0072】
【表12】
この評価モデルは、表12及び
図9に示すように、矩形の水晶片18の第1サイズの評価モデル21は、すなわち、水晶片18の長さLと幅Wが、1.8mm*1.1mm、支持部M1,M2の接着剤19の半径Rが、0.16mm、第1、第2補助支持部S1,S2の接着剤19の半径rが、0.12mmである。
【0073】
また、第2のサイズの評価モデル21は、水晶片18のサイズが、2.2mm*1.4mm、支持部M1,M2の接着剤19の半径Rが、0.20mm、第1、第2補助支持部S1,S2の接着剤19の半径rが、0.15mmである。いずれのサイズも支持部M1,M2及び第1、第2補助支持部S1,S2の接着剤19の厚みは、0.025mmであり、また、水晶片18の厚みは、第1、第2のサイズは、共に、0.085mmである。
【0074】
この応力シミュレーションでは、第1、第2補助支持部S1,S2の位置について、水晶片18の両短辺18a,18bの各中点を結んだ中心線CL上を第1、第2補助支持部S1,S2を移動変化させた場合の遠心加速度2000Gに相当する線形静解析を実施した。
【0075】
次に応力シミュレーションの結果について説明する。
【0076】
[第1のサイズの評価モデルについてのシミュレーション結果]
表13ないし表16、および
図11は、
図9の斜視図、
図10の平面図に示す評価モデルにおいて、そのサイズが第1のサイズであるときの応力シミュレーションの結果を示すものである。
【0080】
【表16】
これらの表では水晶片に加わるミーゼス応力は測定していないが、接着剤19に加わる引張応力とは相関があり、最終的には、接着剤19に加わる引張応力により耐衝撃性能を判定評価することができる。
【0081】
表13では、距離Hが0.05〜0.56mmでは第1、第2補助支持部S1,S2が理想位置にあることを示
す。理想位置範囲における接着剤19の最大引張応力が最小の453(kgf/mm2)となるのは、距離Hが0.4mmである。表13を
図11にグラフ化して示す。
図11の横軸、左および右の縦軸はそれぞれ、
図6に対応す
る。
【0082】
表14は、表13に対応するものであり、表3と表4との対応と同様であるので詳細な説明は略する。表13、表14で枠で囲む部分は好ましい範囲を示す。
【0083】
表15、表16は、表5、表6と対応し、詳細な説明は略するが、表16に示すように、H2+2*rが、応力差70%以内、応力差80%以内で共に0.35mm、(H2+2*r)/Lの値が百分率で応力差70%以内、応力差80%以内で共に19%である。
【0084】
[第2のサイズの評価モデルについてのシミュレーション結果]
表17ないし表20、および
図12は、第2のサイズについての応力シミュレーションの結果を示すものである。
【0088】
【表20】
表17〜表20は、表13〜表16にそれぞれ対応するので詳細は略するが、表20に示すように、第1のサイズとは異なって、H2+2*rが、応力差70%以内、応力差80%以内で共に0.45mm、H1/Lが応力差70%以内、応力差80%以内で各々2%,0%であり、(H2+2*r)/Lの値が百分率で応力差70%以内、応力差80%以内共に20%である。
図12は表17のデータをプロットしたものである。
【0089】
図13Aの(1)から(6)、
図13Bの(7)から(13)までは、第1のサイズの評価モデルにおいて、表13の距離Hが−0.12〜0.001〜
0.64までの13段階において、水晶片18のミーゼス応力の分布変化を示す。
図13A,13Bは、
図8と同様に、左側列(a)が各支持部の位置を、右側2列(b)(c)が水晶片18の正面と裏面それぞれのミーゼス応力の分布を示している。
図13水晶片18のミーゼス応力の大小を、
図8と同様に、応力が大きくなるにつれて、紫から赤へとレインボーカラーで段階的に示したものを、濃淡画像に変換したものである。
【0090】
図14Aの(1)から(6)、
図14Bの(7)から(13)までは、第2のサイズの評価モデルにおいて、表17の距離Hが−0.15〜0.8までの13段階において、水晶片18のミーゼス応力の分布変化を示す。
図14A,14Bは、左側列(a)が各支持部の位置を、右側2列(b)(c)が水晶片18の正面と裏面それぞれのミーゼス応力の分布を示している。
【0091】
以上のように、この実施形態の水晶振動子では、少なくとも補助支持部Sを特定の領域内に配置するので、例えば、2000Gという高い遠心加速度がかかっても、各支持部の接着剤の引張応力及び水晶片のミーゼス応力を低減することが可能となり、耐衝撃性を向上させることができる。
【0092】
したがって、耐衝撃性が要求される用途に好適であり、特に、車載用途、例えば、高い遠心加速度がかかる上述のTPMS(タイヤ空気圧監視システム)、あるいは、無線を使って鍵穴にキーを挿入しなくても施錠、開錠が可能なキーレスエントリーシステムのように落下衝撃がかかる用途などに特に好適である。
【0093】
また、本発明の圧電デバイスである圧電発振器、例えば、水晶発振器は、前記ベース部材に水晶片を励振駆動する集積回路を接合し、水晶片と電気的に接続すればよい。
【0094】
図示は省略するが、この水晶発振器では、例えば、水晶片の下方に集積回路を収納する空間を有するベース部材を使用し、該ベース部材の前記空間に、集積回路(IC)を収納すると共に、水晶片を上述のように支持し、蓋体を被せて気密封止すればよい。
【0095】
なお、上述の実施形態では、ベース部材3の底部3aの内部底面3a1は、台座14以外は、平坦であり、その平坦な内部底面3a1上に、電極パッド7,8が形成されていたが、
図15に示すように、内部底面3a1の外周寄りの全周にわたって、該内部底面3a1より高い段差である段差部3cを形成し、この段差部3c上に、電極パッド7,8および第1、第2支持部M1,M2、補助支持部Sを形成してもよい。
【0096】
段差部3cは、電極パッド7,8が形成される一対の段差部3c1,3c2と、補助支持部Sが形成される段差部3c3と、これら段差部3c1〜3c3を連結する段差部3c4〜3c6とから構成される。段差部3c1〜3c3は、幅広であり、段差部3c4〜3c6は、細幅になっている。幅広の段差部3c1と3c2は、細幅の段差部3c6で連結されることで、相互間に内部底面3a1が露出する凹部3dが形成されている。
【0097】
これにより、段差部3c1,3c2に電極パッド7,8が形成され、さらに電極パッド7,8上に第1、第2支持部M1,M2として導電性接着剤13が塗布される際に、硬化前の導電性接着剤13が流出しても、前記凹部3dにより堰き止められる。
【0098】
次に、
図16〜
図17を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る水晶振動子を説明する。
図16は、水晶振動子の断面図であり、
図17は、
図16の水晶振動子において、パッケージの蓋体を外した状態の平面図である。なお、
図1、
図2と対応する部分には、同一の符号を付している。この水晶振動子31は、
図9、
図10の水晶振動子23と同様、2つの第1、第2補助支持部S1,S2を備える。また、ベース部材3は、
図15のベース部材と同様、内部底面3a1上に段差部3c1〜3c6を有する。但し、
図15の段差部3c3とは、異なり、第1、第2補助支持部S1,S2に対応して、段差部3c31,3C32で構成されている。
【0099】
この実施形態の水晶振動子31では、
図9、
図10の水晶振動子23と同様に、第1、第2補助支持部S1,S2に水晶片2の短辺2b側を支持する機能に持たせることに加えて、水晶片2の励振電極9,10を電気的に導通させる機能を持たせていることを特徴とする。
【0100】
すなわち、水晶振動子31は、水晶片2の励振電極9,10を短辺2a側に引き出す引出電極11,12に加えて、短辺2b側に引き出す補助引出電極11a,12aを有する。ベース部材3の段差部3c1,3c2上の引出電極11,12に対応する電極パッド7,8に加えて、段差部3c31,3c32上に補助引出電極11a,12aに対応する補助電極パッド7a,8aが設けられている。
【0101】
また、水晶片2の引出電極11,12と電極パッド7,8とが、第1、第2支持部M1,M2を構成する導電性接着剤13,13で接合されていると共に、補助引出電極11a,12と補助電極パッド7a,8aとが、第1、第2補助支持部S1,S2を構成する導電性接着剤13a,13aで接合されている。
【0102】
以上の構成により、この水晶振動子31では、励振電極9,10は、水晶片2の短辺2a側に引出電極11,12に引き出され、電極パッド7,8により外部に電気的に導通されていると共に、短辺2b側にも、補助引出電極11a,12aにより引き出され、補助電極パッド7a、8aにより外部に電気的に導通されることに加えて、導電性接着剤13,13は、第1、第2支持部M1,M2として、導電性接着剤13a,13aは、第1、第2補助支持部S1,S2として機能することができる。
【0103】
そのため、この水晶振動子31は、第1、第2支持部M1,M2と第1、第2補助支持部S1,S2との4点で支持されることに加えて、その4点で電気的に導通するので、高い遠心加速度が作用して、水晶振動子31が水晶片2の短辺2a側あるいは短辺2b側の一方で、前記電気的導通が無くなっても、他方の電気的導通が維持されて、水晶振動子としての機能を果たすことができ、耐衝撃性が向上する。
【0104】
なお、この水晶振動子31の場合も、水晶片2の短辺2bから第1、第2補助支持部S1,S2の周縁Sa1,Sa2までの距離をH、短辺2a,2b間の距離をL、第1、第2補助支持部S1,S2の直径を2rとして、距離Hの範囲が、第1、第2補助支持部S1,S2に作用する最大引張応力および水晶片2の最大中心ミーゼス応力が所定の応力範囲に入る距離範囲のうち、前記両応力が最大となる距離HをH2として、第1、第2補助支持部S1,S2の位置を、(H2+2*r)/Lの値が百分率で20%以内を満たす位置に設定する。
【0105】
次に、第1、第2補助支持部S1,S2は、耐衝撃性向上のため、上記実施形態とは異なって、水晶片2の長辺2c,2d間の対向距離を100%、各長辺2c,2dそれぞれから中心線CLまでの距離を50%として、中心線CLに対して同じ側に位置する対向
長辺からの距離が43%以下となる領域内にそれぞれ配置してもよく、より好ましくは、5%以上39%以下となる領域内にそれぞれ配置してもよい。
【0106】
図18以降を参照して、かかる第1、第2補助支持部S1,S2の配置について説明する。この水晶振動子41では、耐衝撃性を向上させるために、各支持部M1,M2;S1,S2、特に第1,第2補助支持部S1,S2の位置を、次のように規定している。
【0107】
すなわち、この実施形態では、
図18に示すように、矩形の水晶片2の各長辺2c,2dから中心線CLまでの距離Dを50%として、すなわち、水晶片2の短辺2a,2bの長さである幅寸法を100%としたときに、第1,第2補助支持部S1,S2は、水晶片2の両長辺2c,2dの内、中心線CLに対して同じ側に位置する長辺からの距離、具体的には、第1補助支持部S1は、一方の長辺2cから距離H、第2補助支持部S2は、他方の長辺2dからの距離Hが、いずれも43%以下となる領域内にそれぞれ配置される。
【0108】
ここで、第1,第2補助支持部S1,S2が、前記領域内に配置されるとは、第1,第2補助支持部S1,S2の接合材が、前記領域内に位置することをいう。例えば、接合材としてのペースト状の接着剤を塗布後、乾燥硬化させた後の接着剤の平面視の外形(投影した形状)が、前記領域内に位置することをいう。
【0109】
第1,第2補助支持部S1,S2は、中心線CLに対して同じ側に位置する長辺2c,2dからの各距離Hが5%以上39%以下となる領域内にそれぞれ配置されるのがより好ましい。
【0110】
次に、上記のように水晶片2が主支持部M1,M2及び補助支持部S1,S2よってベース部材3に支持された水晶振動子の耐遠心加速度性を評価するために、遠心加速度2000Gがかかることを想定した有限要素法を用いた応力シミュレーションを行った。
【0111】
この応力シミュレーションの評価モデル51として、
図19の斜視図及び
図20の平面図に示すように、板状のセラミック17上に、平面視外形が矩形の水晶片18を、その一方の短辺18aの両端部を導電性の接着剤19によってそれぞれ支持した第1,第2主支持部M1.M2とし、他方の短辺18b側の二箇所を同じく導電性の接着剤19によってそれぞれ支持した第1,第2補助支持部S1,S2としたものであって、この第1,第2補助支持部S1,S2の位置を短辺18bに沿って変化させた場合の応力シミュレーションを行った。
【0112】
なお、
図20では、第1,第2補助支持部S1,S2の位置を明確にするために、実線で示しているが、第1,第2補助支持部S1,S2の接着剤19は、水晶片18とセラミック17との間に介在している。
【0113】
この評価モデル51における、セラミック17、水晶片18及び接着剤19の物性値であるヤング率(Kgf/mm2)及び密度(Kgf/mm3)は、下記表21の値を用いた。
【0114】
【表21】
また、この応力シミュレーションでは、下記表22に示すように、平面視外形が矩形の水晶片18のサイズ(長辺*短辺)、主支持部M1,M2の平面視外形が円形の接着剤19の半径R、補助支持部S1,S2の平面視外形が円形の接着剤19の半径rが、それぞれ異なる第1,第2のサイズの2種類の評価モデル21について行った。
【0115】
【表22】
第1のサイズの評価モデル51は、表22及び
図20に示すように、矩形の水晶片18のサイズ(長辺*短辺)、すなわち、
図20の水晶片18の長さLと幅Wが、1.8mm*1.1mm、主支持部M1,M2の接着剤19の半径Rが、0.16mm、補助支持部S1,S2の接着剤19の半径rが、0.12mmである。また、第2のサイズの評価モデル21は、水晶片18のサイズが、2.2mm*1.4mm、主支持部M1,M2の接着剤19の半径Rが、0.20mm、補助支持部S1,S2の接着剤19の半径rが、0.15mmである。いずれのサイズも主支持部M1,M2及び補助支持部S1,S2の接着剤19の厚みは、0.025mmであり、また、水晶片18の厚みは、0.085mmである。
【0116】
この応力シミュレーションでは、
図20の平面図に示すように、第1,第2補助支持部S1,S2の位置について、水晶片18の両長辺18c,18dの内、両短辺18a,18bの各中点を結んだ中心線CLに対して補助支持部S1,S2と同じ側に位置する長辺18c,18dから第1,第2補助支持部S1,S2のそれぞれ近接する側の周縁S1a,S2a、すなわち、円形の接着剤19の近接する側の周縁S1a,S2aまでの距離h1(以下「近接側周縁距離」ともいう)を変化させた場合の遠心加速度2000Gに相当する線形静解析を実施した。
【0117】
第1,第2補助支持部S1,S2は、前記中心線CLを対称の軸として線対称としており、したがって、第1,第2補助支持部S1,S2の前記近接側周縁距離h1は等しくなる。また、第1,第2補助支持部S1,S2は、短辺18b側であって、矩形の水晶片18の端縁に配置する。
【0118】
また、近接側周縁距離h1に対して、水晶片18の両長辺18c,18dの内、前記中心線CLに対して各補助支持部S1,S2と同じ側に位置する長辺18c,18dから、第1,第2補助支持部S1,S2のそれぞれ離間する側の周縁S1b,S2b、すなわち、円形の接着剤19の離間する側の周縁S1b,S2bまでの距離h2(以下「離間側周縁距離」ともいう)は、
図20に示すように、近接側周縁距離h1に、補助支持部S1,S2の接着剤19の直径(2・r)、すなわち、第1のサイズでは、0.24(=0.12×2)mmを、第2のサイズでは、0.30(=0.15×2)mmを加算した値となる。
【0119】
なお、タイヤの空気圧監視システム(TPMS)のセンサモジュールとして水晶振動子1を搭載する場合、
図21に示すように、矢符A方向へ回転するタイヤ20の回転軸方向をY、遠心方向をZ、走行方向をXとすると、水晶片18の幅方向が回転軸方向Yに沿うように、また、遠心方向Zが、水晶片18の上下面に直交するように搭載される。
【0120】
図20には、応力シミュレーションにおける上記各方向を示しており、タイヤの回転軸方向Yは、水晶片18の短辺18a,18bに沿う幅方向となり、タイヤの走行方向Xは、水晶片18の長辺18c,18dに沿う長さ方向となり、タイヤの回転による遠心方向zは、水晶片18の上下面に対して垂直な方向となる。
【0121】
この応力シミュレーションでは、上述のように、各補助支持部S1,S2の位置を変化させた場合の主支持部M1,M2及び補助支持部S1,S2の接着剤19の最大引張応力、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力を算出した。水晶片18の中心部は、矩形の水晶片18の中心から半径0.3mmの領域とした。
【0122】
なお、矩形の水晶片18の長辺
18c,18dから各補助支持部S1,S2の近接する側の周縁S1a,S2aまでの距離h1は、矩形の水晶片18の内側の領域に補助支持部S1,S2が位置する場合はプラス(+)、矩形の水晶片18の外側に補助支持部S1,S2の一部が位置する場合、すなわち、補助支持部S1,S2の一部が矩形の水晶片18からはみだす場合はマイナス(−)とした。
【0123】
次に応力シミュレーションの結果について説明する。
【0124】
[第1のサイズの評価モデルについてのシミュレーション結果]
表23は、第1のサイズについての応力シミュレーションの結果を示すものである。
【0125】
【表23】
この表23では、水晶片18の両長辺18c,18dの内、前記中心線CLに対して補助支持部S1,S2と同じ側に位置する長辺18c,18dから第1,第2補助支持部S1,S2のそれぞれ近接する側の周縁S1a,S2aまでの距離、すなわち、上述の近接側周縁距離h1における接着剤19の最大引張応力、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力を示しており、前記近接側周縁距離h1の斜線が施された部分は、好ましい範囲であることを示している。
【0126】
また、
図22は、表23のデータを、近接側周縁距離h1に対して、接着剤19の最大引張応力、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力をそれぞれプロットしたものである。この
図22において、白抜きの点は、最小値を示している。
【0127】
この表23及び
図22に示すように、第1,第2補助支持部S1,S2が、矩形の水晶片18の長辺18c,18dから外側にそれぞれ0.12mmはみだした位置(h1=−0.12)から、各補助支持部S1,S2の位置を徐々に近づけて、矩形の水晶片18の各長辺18c,18dから各補助支持部S1,S2の近接する側の周縁S1a,S2aまでの距離h1をそれぞれ0.3mm(h1=0.3)まで変化させる。
【0128】
このように第1,第2補助支持部S1,S2の位置を互いに近づける方向に変化させると、接着剤19の最大引張応力及び水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力は、徐々に小さくなり、前記近接側周縁距離h1が、0.14mm(h1=0.14)付近でいずれも最小となり、その後、接着剤19の最大引張応力及び水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力は、徐々に大きくなる。
【0129】
接着剤19の最大引張応力が、1124(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、523(kgf/mm2)以下となる、好ましい第1,第2補助支持部S1,S2の位置は、前記近接側周縁距離h1が、h1=0.001mm〜0.26mmの範
囲である。
【0130】
近接側周縁距離h1は、水晶片18の各長辺18c,18dから第1,第2補助支持部S1,S2の近接する側の周縁S1a,S2aまでの距離であり、したがって、水晶片18の各長辺18c,18dから第1,第2補助支持部S1,S2の離間する側の周縁S1b,S2bまでの距離、すなわち、上述の離間側周縁距離h2は、近接側周縁距離h1に、補助支持部S1,S2の接着剤19の直径(2・r)、すなわち、0.24(=0.12×2)mmを加算した値となる。すなわち、h2=0.241mm〜0.50mmとなる。
【0131】
したがって、第1,第2補助支持部S1,S2が存在し得る領域は、前記近接側周縁距離h1の最小値である0.001mmから前記離間側周縁距離h2の最大値である0.50mmまでの領域である。
【0132】
近接側周縁距離h1及び離間側周縁距離h2は、
図20に示すように、いずれも水晶片18の両長辺18c,18dの内、両短辺18a,18bの各中点を結んだ中心線CLに対して補助支持部S1,S2と同じ側に位置する長辺18c,18dからの距離Hである。
【0133】
したがって、この距離Hを用いて第1,第2補助支持部S1,S2が存在し得る領域を表すと、H=0.001mm〜0.50mmとなる。
【0134】
つまり、接着剤19の最大引張応力が、1124(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、523(kgf/mm2)以下となる、より好ましい第1,第2補助支持部S1,S2は、
図20に示す補助支持部S1,S2と同じ側に位置する長辺18c,18dからの距離Hが、H=0.001mm〜0.50mmとなる領域内に配置される。
【0135】
この領域は、矩形の水晶片18の長辺18c,18dから前記中心線CLまでの距離Dを50%として、すなわち、水晶片18の短辺2a,2bの長さである水晶片18の幅W(1.1mm)を100%としたときに、長辺18c,18dからの距離Hが、略0%{=(0.001/1.1)×100}〜46%{=(0.50/1.1)×100}となる領域である。
【0136】
つまり、接着剤19の最大引張応力が、1124(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、523(kgf/mm2)以下となる、好ましい第1,第2補助支持部S1,s2は、長辺18c,18dからの前記距離Hが、0%〜46%となる領域内にそれぞれ配置される。
【0137】
この領域内では、表24に示すように、接着剤19の最大引張応力と最小引張応力の差の前記最小引張応力に対する割合[{(最大引張応力−最小引張応力)/最小引張応力}×100]、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力と最小ミーゼス応力の差の前記最小ミーゼス応力に対する割合[{(最大ミーゼス応力−最小ミーゼス応力)/最小ミーゼス応力}×100]が、いずれも3%以内となる。
【0138】
【表24】
この表24では、第1,第2補助支持部S1,S2は、水晶片18の両長辺18c,18dの内、上記中心線CLに対して同じ側に位置する長辺18c,18dからの距離Hが、最小値Hmin=0.001から最大値Hmax=0.50までの領域内にあって、この領域内は、水晶片18の短辺18a,18bの長さである水晶片18の幅W(1.1mm)を100%としたときに、長辺18c,18dからの距離Hが、0%〜46%となる領域であることを示している。
【0139】
次に、第1,第2補助支持部S1,S2のより好ましい位置、具体的には、接着剤19の最大引張応力が、1108(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、516(kgf/mm2)以下となる第1,第2補助支持部S1,S2は、上記近接側周縁距離h1が、h1=0.06mm〜0.22mmの範
囲である。
【0140】
近接側周縁距離h1が、h1=0.06mm〜0.22mmであるので、水晶片18の各長辺18c,18dから第1,第2補助支持部S1,S2の離間する側の周縁S1b,S2bまでの距離、すなわち、上述の離間側周縁距離h2は、近接側周縁距離h1に、0.24mmを加算した値となる。すなわち、h2=0.30mm〜0.46mmとなる。
【0141】
したがって、第1,第2補助支持部S1,S2が存在し得る領域は、前記近接側周縁距離h1の最小値である0.06mmから前記離間側周縁距離h2の最大値である0.46mmまでの領域である。
【0142】
この領域を、水晶片18の両長辺18c,18dの内、上記中心線CLに対して補助支持部S1,S2と同じ側に位置する長辺18c,18dからの距離Hで表すと、H=0.06mm〜0.46mmとなる。
【0143】
つまり、接着剤19の最大引張応力が、1108(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、516(kgf/mm2)以下となる、より好ましい第1,第2補助支持部S1,S2は、水晶片18の長辺18c,18dから前記中心線CLまでの距離Dを50%として、長辺18c,18dからの距離Hが、5%{=(0.06/1.1)×100}〜42%{=(0.46/1.1)×100}となる領域内である。
【0144】
すなわち、接着剤19の最大引張応力が、1108(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、516(kgf/mm2)以下となる、より好ましい第1,第2補助支持部S1,S2は、長辺18c,18dからの前記距離Hが、5%〜42%となる領域内にそれぞれ配置される。
【0145】
この領域内では、表24に示すように、接着剤19の最大引張応力と最小引張応力の差の前記最小引張応力に対する割合、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力と最小ミーゼス応力の差の前記最小ミーゼス応力に対する割合が、いずれも1.5%以内となる。
【0146】
この表24では、第1,第2補助支持部S1,S2は、水晶片18の両長辺18c,18dの内、上記中心線CLに対して同じ側に位置する長辺18c,18dからの距離Hが、最小値Hmin=0.06から最大値Hmax=0.46までの領域内にあって、この領域内は、水晶片18の幅W(1.1mm)を100%としたときに、長辺18c,18dからの距離Hが、5%〜42%となる領域であることを示している。
【0147】
[第2のサイズの評価モデルについてのシミュレーション結果]
次に、第2のサイズについて、応力シミュレーションの結果を説明する。
【0148】
表25は、第2のサイズについての応力シミュレーションの結果を示すものである。
【0149】
【表25】
この表25では、上記表23と同様に、水晶片18の両長辺18c,18dの内、上記中心線CLに対して補助支持部S1,S2と同じ側に位置する長辺18c,18dから、第1,第2補助支持部S1,S2のそれぞれ近接する側の周縁S1a,S2aまでの距離、すなわち、上述の近接側周縁距離h1における接着剤19の最大引張応力、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力を示しており、前記近接側周縁距離h1の斜線が施された部分は、好ましい範囲であることを示している。
【0150】
また、
図23は、表
25のデータを、近接側周縁距離h1に対して、接着剤19の最大引張応力、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力をそれぞれプロットしたものである。この
図23において、白抜きの点は、最小値を示している。
【0151】
この表25及び
図23に示すように、第1,第2補助支持部S1,S2が、矩形の水晶片18の長辺18c,18dから外側にそれぞれ0.15mmはみだした位置(h1=−0.15)から、各補助支持部S1,S2の位置を徐々に近づけて、矩形の水晶片18の各長辺18c,18dから各補助支持部S1,S2の近接する側の周縁S1a,S2aまでの距離h1をそれぞれ0.35mm(h1=0.35)まで変化させる。
【0152】
このように第1,第2補助支持部S1,S2の位置を互いに近づける方向に変化させると、接着剤19の最大引張応力、及び、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力は、徐々に小さくなり、前記近接側周縁距離h1が、約0.15mmで水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が最小となり、また、約0.2mmで接着剤19の最大引張応力が最小となり、その後、接着剤19の最大引張応力、及び、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力は、徐々に大きくなる。
【0153】
接着剤19の最大引張応力が、1487(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、708(kgf/mm2)以下となる、好ましい第1,第2補助支持部S1,S2の位置は、前記近接側周縁距離h1が、h1=0.001mm〜0.30mmの範囲、すなわち、表25の粗い斜線が施された範囲である。
【0154】
近接側周縁距離h1が、h1=0.001mm〜0.30mmであるので、水晶片18の各長辺18c,18dから第1,第2補助支持部S1,S2の離間する側の周縁S1b,S2bまでの距離、すなわち、上述の離間側周縁距離h2は、近接側周縁距離h1に、補助支持部S1,S2の接着剤19の直径(2・r)、すなわち、0.30(=0.15×2)mmを加算した値、h2=0.301mm〜0.60mmとなる。
【0155】
したがって、第1,第2補助支持部S1,S2が存在し得る領域は、前記近接側周縁距離h1の最小値である0.001mmから前記離間側周縁距離h2の最大値である0.60mmまでの領域内である。
【0156】
この領域を、水晶片18の両長辺18c,18dの内、上記中心線CLに対して補助支持部S1,S2と同じ側に位置する長辺18c,18dからの距離Hで表すと、H=0.001mm〜0.60mmとなる。
【0157】
つまり、接着剤19の最大引張応力が、1487(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、708(kgf/mm2)以下となる、好ましい第1,第2補助支持部S1,S2は、水晶片18の長辺18c,18dから前記中心線CLまでの距離Dを50%として、長辺18c,18dからの距離Hが、略0%{=(0.001/1.4)×100}〜43%{=(0.60/1.4)×100}となる領域内である。
【0158】
すなわち、接着剤19の最大引張応力が、1487(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、708(kgf/mm2)以下となる、好ましい第1,第2補助支持部S1,S2は、長辺18c,18dからの前記距離Hが、0%〜43%となる領域内にそれぞれ配置される。
【0159】
この領域内では、表26に示すように、接着剤19の最大引張応力と最小引張応力の差の前記最小引張応力に対する割合、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力と最小ミーゼス応力の差の前記最小ミーゼス応力に対する割合が、いずれも3%以内となる。
【0160】
【表26】
この表26では、第1,第2補助支持部S1,S2は、水晶片18の両長辺18c,18dの内、上記中心線CLに対して同じ側に位置する長辺18c,18dからの距離Hが、最小値Hmin=0.001から最大値Hmax=0.60までの領域内にあって、この領域は、水晶片18の幅W(1.4mm)を100%としたときに、長辺18c,18dからの距離Hが、0%〜43%となる領域内であることを示している。
【0161】
次に、第1,第2補助支持部S1,S2のより好ましい位置、具体的には、接着剤19の最大引張応力が、1466(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、698(kgf/mm2)以下となる第1,第2補助支持部S1,S2は、上記近接側周縁距離h1が、h1=0.05mm〜0.25mmの範囲、すなわち、表
25の細かい斜線が施された範囲である。
【0162】
近接側周縁距離h1が、h1=0.05mm〜0.25mmであるので、水晶片18の各長辺18c,18dから第1,第2補助支持部S1,S2の離間する側の周縁S1b,S2bまでの距離、すなわち、上述の離間側周縁距離h2は、近接側周縁距離h1に、0.30mmを加算した値となる。すなわち、h2=0.35mm〜0.55mmとなる。
【0163】
したがって、第1,第2補助支持部S1,S2が存在し得る領域は、前記近接側周縁距離h1の最小値である0.05mmから前記離間側周縁距離h2の最大値である0.55mmまでの領域である。
【0164】
この領域を、水晶片18の両長辺18c,18dの内、上記中心線CLに対して補助支持部S1,S2と同じ側に位置する長辺18c,18dからの距離Hで表すと、H=0.05mm〜0.55mmとなる。
【0165】
つまり、接着剤19の最大引張応力が、1466(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、698(kgf/mm2)以下となる、より好ましい第1,第2補助支持部S1,S2は、水晶片18の長辺18c,18dから前記中心線CLまでの距離Dを50%として、長辺18c,18dからの距離Hが、4%{=(0.05/1.4)×100}〜39%{=(0.55/1.4)×100}となる領域である。
【0166】
すなわち、接着剤19の最大引張応力が、1466(kgf/mm2)以下であって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が、698(kgf/mm2)以下となる、より好ましい第1,第2補助支持部S1,S2は、長辺18c,18dからの前記距離Hが、4%〜39%となる領域内にそれぞれ配置される。
【0167】
この領域内では、表26に示すように、接着剤19の最大引張応力と最小引張応力の差の前記最小引張応力に対する割合、及び、水晶片18の中心部における最大ミーゼス応力と最小ミーゼス応力の差の前記最小ミーゼス応力に対する割合が、いずれも1.5%以内となる。
【0168】
この表26では、第1,第2補助支持部S1,S2は、水晶片18の両長辺18c,18dの内、上記中心線CLに対して同じ側に位置する長辺18c,18dからの距離Hが、最小値Hmin=0.05から最大値Hmax=0.55までの領域内にあって、この領域は、水晶片18の幅W(1.4mm)を100%としたときに、長辺18c,18dからの距離Hが、4%〜39%となる領域であることを示している。
【0169】
以上の応力シミュレーションの結果に基づいて、接着剤19の最大引張応力及び水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力を抑制することができる好ましい第1,第2補助支持部S1,S2の位置は、前記距離Hが0%〜43%の領域、より好ましい第1,第2補助支持部S1,S2の位置は、前記距離Hが、5%〜39%の領域である。
【0170】
次にこの第2のサイズの評価モデルにおいて、上述のように、第1,第2補助支持部S1,S2の位置を徐々に近づけたときの各支持部M1,M2,S1,S2の位置、及び、水晶片18のミーゼス応力の分布を、
図24A及び
図24Bに示す。各図において、左側が各支持部の位置を、右側が水晶片18のミーゼス応力の分布を示している。
【0171】
この
図24A及び
図24Bは、水晶片18のミーゼス応力の大小を、応力が大きくなるにつれて、紫(0.0kgf/mm2)から赤(1540kgf/mm2)へとレインボーカラーで段階的に示したものを、濃淡画像に変換したものである。
【0172】
図24Aにおいて、(a)は第1,第2補助支持部S1,S2が結晶片18の長辺18c,18dの外側へ1/2はみだしている位置、すなわち、上述の近接側周縁距離h1がh1=−0.075mm、(b)は第1,第2補助支持部S1,S2が結晶片18の長辺18c,18dの外側へ1/4はみだしている位置、すなわち、上述の近接側周縁距離h1がh1=−0.0375mm、(c)は第1,第2補助支持部S1,S2が結晶片18の長辺18c,18dの外側へ1/8はみだしている位置、すなわち、上述の近接側周縁距離h1がh1=−0.01875mm、(d)は上述の近接側周縁距離h1がh1=0.0mm、(e)は近接側周縁距離h1がh1=0.05mm、(f)は近接側周縁距離h1がh1=0.1mm、(g)は近接側周縁距離h1がh1=0.15mmであって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が最小となる距離である。
【0173】
また、
図24Bにおいて、(g)は
図24Aの(g)と同じであり、h1=0.15mmであって、水晶片18の中心部の最大ミーゼス応力が最小となる距離である。(h)は近接側周縁距離h1がh1=0.2mm、(i)は近接側周縁距離h1がh1=0.25mm、(j)は近接側周縁距離h1がh1=0.3mm、(k)は近接側周縁距離h1がh1=0.35mmである。
【0174】
すなわち、
図24Aにおいては、(a)→(g)に示すように、第1,第2補助支持部S1,S2を互いに近づける方向に移動させ、
図24Bにおいては、(g)→(k)に示すように、第1,第2補助支持部S1,S2を更に近づける方向に移動させた状態を示している。
【0175】
先ず、
図24Aにおいて、水晶片18の中心部の応力に注目すると、(a)では、約700kgf/mm2程度の応力の部分が、上下に連なっている。この状態から(b)→(c)→(d)→(e)に示すように、第1,第2補助支持部S1,S2の位置を互いに近づけると、水晶片18の中心部の上下に連なる前記応力の部分は、徐々に左右がくびれ、その分、約600kgf/mm2程度の応力の低い部分が広がっている。
【0176】
そして、第1,第2補助支持部S1,S2の位置を更に近づけると、(f)→(g)に示すように、上下に連なっていた応力の部分は、上下に分離し、(g)において、水晶片18の中心部のミーゼス応力は、最小となる。
【0177】
この(g)の状態から第1,第2補助支持部S1,S2の位置を更に近づけると、
図24Bの(g)→(h)→(i)に示すように、水晶片18の中心部の上下に分離した応力の部分が広がり、上下の間隔が徐々に狭くなる。
【0178】
そして、第1,第2補助支持部S1,S2の位置を更に近づけると、(j)→(k)に示すように、上下に分離していた応力の部分が再び連なり、水晶片18の中心のミーゼス応力が高くなっていることが分かる。
【0179】
このように第1,第2補助支持部S1,S2の位置を互いに近づける方向に変化させると、水晶片18の中心部のミーゼス応力は、徐々に小さくなり、上述の近接側周縁距離h1が、0.15mmで最小となり、その後、水晶片18の中心部のミーゼス応力は、徐々に大きくなる。
【0180】
以上のように、この実施形態の水晶振動子では、第1,第2補助支持部S1,S2を特定の領域内に配置するので、例えば、2000Gという高い遠心加速度がかかっても、各支持部M1,M2;S1,S2の各接着剤19の引張応力及び水晶片18のミーゼス応力を低減することが可能となり、耐衝撃性を向上させることができる。
【0181】
上述の実施形態では、水晶片は、平面視が長方形であったけれども、本発明は、平面視が正方形の圧電振動片に適用することもできる。
【0182】
接着剤に代えて、ろう材や、金属バンプ等を用いてもよい。
【0183】
上述の実施形態では、第1,第2支持部では、圧電振動片としての水晶片の上面には、接着剤が介在しなかったけれども、ベース部材の電極パッドに接着剤を塗布して水晶片を搭載した後、水晶片の上面に、更に接着剤を上塗りして、接着剤を介在させてもよく、これによって、より確実な電気的機械的接合を行うようにしてもよい。
【0184】
上述の実施形態では、圧電振動片として水晶片を用いた水晶振動子に適用して説明したけれども、本発明は、水晶以外のタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料からなる圧電振動片を用いた圧電振動子に適用できるものである。
【0185】
上述の実施形態では、圧電振動片としてATカット型の水晶片を用いた水晶振動子に適用して説明したけれども、他のカット型の水晶片を用いた水晶振動子に適用してもよい。
【0186】
上述の実施形態では、ベース部材3は凹部を有する構成としたが、ベース部材3を凹部の無い板状とし、蓋体4側に凹部を有する構造としてもよい。