(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、MHL規格では、シンク機器からのケーパビリティ読み出しが可能なのは、シンク機器がアクティブ(Active)状態のときだけで、シンク機器がスタンバイ(Standby)状態では読み出し不可となる。その結果、ソース機器は、シンク機器がスタンバイ状態では、シンク機器のケーパビリティが不明なことから、MHL各バージョンで定義する最低保証の電流値(0.1A)までしか使用できないという不都合がある。
【0006】
本技術の目的は、外部機器との間で必要な通信を良好に行い得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の概念は、
外部機器に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ取扱部と、
上記外部機器に第2のラインを介して接続される通信部とを備え、
上記通信部は、
上記第1のラインが使用不能な状態で、上記第2のラインを介して、上記外部機器に、問い合わせ信号を送信する
電子機器にある。
【0008】
本技術は、コンテンツデータ取扱部と通信部を備えるものである。コンテンツデータ取扱部は、外部機器に第1のラインを介して接続されている。通信部は、外部機器に第2のラインを介して接続されている。コンテンツデータ取扱部は、例えば、コンテンツデータを外部機器に送信するコンテンツデータ送信部、あるいは、コンテンツデータを外部機器から受信するコンテンツデータ受信部である。
【0009】
そして、通信部により、第1のラインが使用不能な状態で、第2のラインを介して、外部機器に、問い合わせ信号が送信される。例えば、通信部は、第2のラインと、接地ラインとの間の抵抗値に基づいて、第1のラインが使用不能な状態にあることを認識する、ようにされてもよい。ここで、例えば、インタフェース部がスタンバイ状態にあるとき、第1のラインは使用不能な状態におかれ、この第1のラインを介してのコンテンツデータの伝送は不可能とされる。
【0010】
このように本技術においては、第1のラインが使用不能な状態で、第2のラインを介して、外部機器に、問い合わせ信号を送信するものである。そのため、第1のラインが使用不能な状態、例えば、インタフェース部がスタンバイ状態にある場合、その状態を維持したまま、外部機器に必要な事項を問い合わせることが可能となる。この場合、外部機器の消費電力を最大限セーブすることができるため、外部機器の省エネルギー化にも貢献できる。
【0011】
なお、本技術において、例えば、通信部は、第1のラインが使用不能な状態で、第2のラインを介して、外部機器から、問い合わせ信号に対する応答信号を受信する、ようにされてもよい。ここで、問い合わせ信号に対する応答信号を、外部機器から、第2のライン以外のラインを介して受信するようにされてもよい。第2のライン以外のラインとしては、電源ラインなどが考えられる。
【0012】
また、本技術において、例えば、外部機器の電源部に第3のラインを介して接続される充電部と、充電部の充電動作を制御する充電制御部とをさらに備え、問い合わせ信号は外部機器の電流供給能力を問い合わせるための信号であり、充電制御部は、応答信号に応じて充電部が第3のラインから引き込む電流値を制御する、ようにされてもよい。例えば、応答信号には、電流上限値の情報が含まれる、ようにされてもよい。また、例えば、応答信号には、電流上限値の種類を示す情報が含まれる、ようにされてもよい。この場合、例えば、インタフェース部がスタンバイ状態にある場合でも、その状態を維持したまま、外部機器から電流供給能力の情報を含む応答信号を取得でき、外部機器の電流供給能力の上限まで充電に利用でき、高速充電が可能となる。
【0013】
また、本技術において、例えば、外部機器の充電部に第3のラインを介して接続される電源部と、表示部と、この表示部の表示動作を制御する表示制御部とをさらに備え、問い合わせ信号は、外部機器のバッテリ残量を問い合わせるための信号であり、表示制御部は、応答信号に応じて表示部に外部機器のバッテリ残量情報を表示する、ようにされてもよい。この場合、例えば、インタフェース部がスタンバイ状態にある場合でも、その状態を維持したまま、外部機器からバッテリ残量情報を取得でき、表示部にバッテリ残量情報を表示できる。
【0014】
また、本技術の他の概念は、
外部機器のデジタルインタフェース部に伝送路を介して接続されるデジタルインタフェース部を備え、
上記デジタルインタフェース部は、
外部機器のデジタルインタフェース部に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ取扱部と、
上記外部機器のデジタルインタフェース部に第2のラインを介して接続される通信部とを有し、
上記通信部は、
上記外部機器のデジタルインタフェース部がスタンバイ状態で、上記第2のラインを介して、上記外部機器のデジタルインタフェース部に、問い合わせ信号を送信する
電子機器にある。
【0015】
本技術は、外部機器のデジタルインタフェース部に伝送路を介して接続されるデジタルインタフェース部を備えるものである。そして、このデジタルインタフェース部は、コンテンツデータ取扱部と通信部を有するものである。コンテンツデータ取扱部は、外部機器に第1のラインを介して接続されている。通信部は、外部機器に第2のラインを介して接続されている。コンテンツデータ取扱部は、例えば、コンテンツデータを外部機器に送信するコンテンツデータ送信部、あるいは、コンテンツデータを外部機器から受信するコンテンツデータ受信部である。
【0016】
そして、通信部により、デジタルインタフェース部がスタンバイ状態で、第2のラインを介して、外部機器のデジタルインタフェース部に、問い合わせ信号が送信される。ここで、デジタルインタフェース部がスタンバイ状態にあるとき、第1のラインは使用不能な状態におかれ、この第1のラインを介してのコンテンツデータの伝送は不可能とされる。例えば、デジタルインタフェースは、MHL(Mobile High-definition Link)規格のインタフェースである、ようにされてもよい。
【0017】
このように本技術においては、外部機器のデジタルインタフェース部がスタンバイ状態で、第2のラインを介して、外部機器に、問い合わせ信号を送信するものである。そのため、外部機器のデジタルインタフェース部がスタンバイ状態である場合、その状態を維持したまま、外部機器に必要な事項を問い合わせることが可能となる。この場合、外部機器の消費電力を最大限セーブすることができるため、外部機器の省エネルギー化にも貢献できる。
【0018】
なお、本技術において、例えば、通信部は、外部機器のデジタルインタフェース部がスタンバイ状態で、第2のラインを介して、外部機器のデジタルインタフェース部から、問い合わせ信号に対する応答信号を受信する、ようにされてもよい。ここで、問い合わせ信号に対する応答信号を、外部機器から、第2のライン以外のラインを介して受信するようにされてもよい。第2のライン以外のラインとしては、電源ラインなどが考えられる。
【0019】
また、本技術の他の概念は、
シンク機器に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ送信部と、
上記シンク機器に第2のラインを介して接続される通信部と、
上記シンク機器の電源部に第3のラインを介して接続される充電部と、
上記充電部の充電動作を制御する充電制御部とを備え、
上記通信部は、
上記第1のラインが使用不能な状態で、上記第2のラインを介して、上記シンク機器に電流供給能力を問い合わせるための問い合わせ信号を送信すると共に、上記シンク機器から該問い合わせ信号に対する応答信号を受信し、
上記充電制御部は、
上記応答信号に応じて上記充電部が上記第3のラインから引き込む電流値を制御する
ソース機器にある。
【0020】
また、本技術の他の概念は、
ソース機器に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ受信部と、
上記ソース機器に第2のラインを介して接続される通信部と、
上記ソース機器の充電部に第3のラインを介して接続される電源部と、
表示部と、
上記表示部の表示動作を制御する表示制御部とを備え、
上記通信部は、
上記第1のラインが使用不能な状態で、上記第2のラインを介して、上記ソース機器にバッテリ残量を問い合わせるための問い合わせ信号を送信すると共に、上記ソース機器から該問い合わせ信号に対する応答信号を受信し、
上記表示制御部は、
上記応答信号に応じて上記表示部に上記外部機器のバッテリ残量情報を表示する
シンク機器にある。
【発明の効果】
【0021】
本技術によれば、外部機器との間で必要な通信を良好に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0024】
<1.実施の形態>
[画像表示システム]
図1は、実施の形態としての画像表示システム10の構成例を示している。この画像表示システム10は、MHL(Mobile High-definition Link)ソース機器としてのモバイルフォーン(Mobile Phone)100と、MHLシンク機器としてのテレビ受信機200とにより構成されている。これらの機器はMHLケーブル300によって接続されている。
【0025】
MHLの概要を説明する。MHLは、主に、モバイル機器用のAV(Audio Visual)デジタルインタフェース規格である。MHLは、MHLソース機器とMHLシンク機器をMHLケーブルで接続し、MHLソース機器が持っている動画、静止画、音声等のコンテンツをMHLシンク機器で再生する(AVストリーム・単方向)。また、機器間ではEDID読出し、HDCP認証、レジスタリード/ライト、リモコン制御等のコントロールをDDCコマンド、およびMSC(MHL Sideband channel)コマンドを送受信することで行う(リンクコントロール・双方向)。
【0026】
[モバイルフォーンおよびテレビ受信機の構成例]
図2は、モバイルフォーン100およびテレビ受信機200の構成例を示している。最初に、モバイルフォーン100について説明する。モバイルフォーン100は、制御部101、ユーザ操作部102および表示部103を有している。また、モバイルフォーン100は、3G/4Gモデム104、カメラ部105、記録再生部106、送信処理部107、MHL送信部(MHLソース)108およびMHL端子109を有している。さらに、モバイルフォーン100は、充電回路110およびバッテリ111を有している。
【0027】
制御部101は、モバイルフォーン100の各部の動作を制御する。ユーザ操作部102および表示部103は、ユーザインタフェースを構成し、制御部101に接続されている。ユーザ操作部102は、モバイルフォーン100の図示しない筐体に配置されたキー、釦、ダイアル、あるいは表示部103の表示面に配置されたタッチパネル等で構成される。表示部103は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成される。
【0028】
3G/4Gモデム104は、携帯電話通信を行う。カメラ部105は、動画、静止画の撮像を行う。記録再生部106は、例えば、内蔵メモリ(不揮発性メモリ)、あるいはメモリカード等の記録媒体にドライブして記録再生(書き込み読み出し)を行う。この記録再生部106は、モデム104を通じて行われる通話の記録再生を行う。
【0029】
また、この記録再生部106は、モデム104を通じて取得される動画、静止画の画像データ、音声データの記録再生、カメラ部(マイクロホンを含む)105で撮像されて得られる動画、静止画の画像データ、音声データの記録再生等を行う。なお、記録再生部106では、カメラ部105で撮像されて得られた動画、静止画の画像データに対して、データ圧縮のためのコーデック処理も行う。
【0030】
ユーザは、ユーザ操作部102から指示することで、記録再生部106における記録媒体内の記録内容を、コンテンツリストとして表示させることができる。また、このコンテンツリスト中の任意の1つをユーザがユーザ操作部102から指定すると、記録再生部106において記録媒体からその指定されたコンテンツのデータが再生され、送信処理部107に転送される。
【0031】
なお、3G/4Gモデム104で取得された画像データ、音声データ、あるいはカメラ部105で得られた画像データ、音声データを、リアルタイムで送信する場合も考えられる。その場合、それらのコンテンツデータは、図示していないが、直接、送信処理部107に転送される。また、メモリカードを他のデバイスに挿入してコンテンツデータを書き込んだ後、記録再生部106に装着して、送信処理部107に送信する場合も考えられる。
【0032】
送信処理部107は、記録再生部106で再生され、テレビ受信機200に送信するための動画、静止画、音声等のデータを適切な形態となるように処理する。例えば、3D画像データの伝送フォーマットおよびビデオフォーマットを、テレビ受信機200で取り扱い可能となるように変換する。MHL送信部108は、デジタルインタフェース部を構成する。このMHL送信部108は、MHL端子109に接続されている。このMHL送信部108は、MHL規格に準拠した通信により、送信処理部107で処理された画像、音声等のデータを、MHL端子109から、MHLケーブル300を介して、テレビ受信機200に、一方向に送信する。このMHL送信部108の詳細については後述する。
【0033】
充電回路110は、バッテリ111を充電する。この充電回路110は、テレビ受信機200の電源部(定電圧回路)に電源ライン(VBUS)を介して接続されている。この充電回路110は、制御部101により決定された引き出し電流を電源ラインから引き出してバッテリ111を充電する。バッテリ111は、モバイルフォーン100の内部回路に給電する。制御部101における引き出し電流の制御処理の詳細については後述する。
【0034】
次に、テレビ受信機200について説明する。テレビ受信機200は、制御部201、ユーザ操作部202、MHL端子203およびMHL受信部(MHLシンク)204を有している。また、テレビ受信機200は、チューナ205、アンテナ端子206、切り替え部207、表示処理部208、表示パネル209および定電圧回路210を有している。制御部201は、テレビ受信機200の各部の動作を制御する。ユーザ操作部202は、ユーザインタフェースを構成し、制御部201に接続されている。ユーザ操作部202は、テレビ受信機200の図示しない筐体に配置されたキー、釦、ダイアル、あるいはリモコン等で構成される。
【0035】
MHL受信部204は、デジタルインタフェース部を構成している。このMHL受信部204は、MHL端子203に接続されている。このMHL受信部204は、MHL規格に準拠した通信により、MHLケーブル300を介して接続されているモバイルフォーン100のMHL送信部108から一方向に送信されてくる画像、音声等のデータを受信する。MHL受信部204は、受信した画像データを切り替え部207に供給する。なお、MHL受信部204が受信した音声のデータは、図示していない音声データ用の切り替え部に供給される。このMHL受信部204の詳細については後述する。
【0036】
チューナ205は、BS放送、地上波デジタル放送等を受信する。このチューナ205には、アンテナ端子206に接続された図示しないアンテナで捕らえられた放送信号が供給される。このチューナ205は、放送信号に基づいて、所定の番組の画像データ(映像信号)および音声データを取得する。切り替え部207は、MHL受信部204で受信された画像データまたはチューナ205で取得された画像データを選択的に取り出す。
【0037】
表示処理部208は、切り替え部207で取り出された画像データに対して、クローズド・キャプション等の字幕やグラフィクスなどの重畳処理を行う。また、表示処理部208は、切り替え部207で取り出された画像データに対してスケーリング処理、画質向上処理を行って表示用画像データを得る。表示パネル209は、表示処理部208で得られた表示用画像データによる画像を表示する。表示パネル209は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等で構成される。
【0038】
定電圧回路210は、電源部を構成する。この定電圧回路210は、テレビ受信機200の各部に給電する。また、この定電圧回路210は、電源ラインを介して、モバイルフォーン110に電源を供給する。
【0039】
[MHL送信部、MHL受信部の構成例]
図3は、
図2のモバイルフォーン100のMHL送信部108と、テレビ受信機200のMHL受信部204の構成例を示している。MHL送信部108はトランスミッタ(Transmitter)を備え、MHL受信部204はレシーバ(Receiver)を備えている。MHL送信部108およびMHL受信部204は、5本のライン(MHL+、MHL-、CBUS、VBUS、GND)でピンおよびMHLケーブル300を介して接続される。ピンアサインはコネクタによって異なる。
図4は、ピンアサインの一例を示している。
【0040】
“MHL+”と“MHL−”は1対のツイストペアでAVストリーム、および、その同期信号(MHLクロック)を伝送する。CBUSは、DDCコマンドとMSCコマンドを双方向に伝送するために使用する。DDCコマンドは、EDID読出しやHDCPの認証に使用する。また、MSCコマンドは、EDID読出し制御、各種レジスタのリードライト、リモコン制御等に使用する。VBUSは、MHLシンク機器からMHLソース機器に+5Vの電源を供給するために使用する。
【0041】
[MHLシンク機器とMHLソース機器の状態]
MHL受信部(MHLシンク)204とMHL送信部(MNLソース)108が取り得る状態を説明する。ここでは、MHL受信部204を「シンク(SINK)」、MHL送信部108を「ソース(SOURCE)」として説明する。
【0042】
最初に、シンクが取り得る状態を説明する。
図5は、シンクの状態遷移を示している。シンクは、ソースとの接続状態により、図示のように、5つの状態(ステート)を持つ。「SNK1」は、シンクがスタンバイ状態(シンクが省電力モード)で、ソースの接続を認識できない状態(ソース未接続)を示す。「SNK2」は、シンクがスタンバイ状態(シンクが省電力モード)で、ソースが接続されている状態を示す。
【0043】
「SNK3」は、シンクがソース側からアクティブ要求を受信し、移行に必要な処理を行っている過渡的な状態を示す。「SNK4」は、シンクがアクティブ状態になっている事を示す。この状態においてのみ、シンクはCBUS経由のコマンドの伝送が可能である。また、ソースからシンクに対し、MHL+/MHL−ライン経由でビデオ・オーディオ伝送が可能なのも、このステートだけである。「SNK5」は、ソースまたはシンクからの要求により、シンクがスタンバイ状態に戻るときの過渡的な状態を示す。
【0044】
次に、ソースが取り得る状態を説明する。
図6は、ソースの状態遷移を示している。ソースは、シンクとの接続状態により、図示のように、6つの状態(ステート)を持つ。「SRC1」は、ソースが非アクティブ状態で、シンクの接続を認識できない状態(シンク未接続)を示す。「SRC2」は、ソースが非アクティブ状態で、シンクとは電気的な接続だけの状態を示す。このときのシンクの状態は「SNK2」である。
【0045】
「SRC3」は、ソースがシンク側にアクティブ要求を送信し、移行に必要な処理を行っている過渡的な状態を示す。このときのシンクの状態は「SNK3」である。「SRC4」は、ソースがアクティブ状態で、かつ、シンクの電流供給能力取得前で、シンクの電流供給能力が不明なときの状態を示す。このときのシンクの状態は「SNK4」である。「SRC5」は、ソースがアクティブ状態で、かつ、シンクの電流供給能力取得後の状態を示す。このときのシンクの状態は「SNK4」である。
【0046】
「SRC4」および「SRC5」において、ソースはCBUSを経由したコマンドの伝送が可能である。また、ソースからシンクに対し、MHL+/MHL−ライン経由でビデオ・オーディオ伝送、すなわちコンテンツデータの伝送も可能である。「SRC6」は、ソースまたはシンクからの要求により、ソースが非アクティブ状態に戻るときの過渡的な状態を示す。このときのシンクの状態は「SNK5」である。
【0047】
[MHLケーブル接続時のCBUS概念]
図7は、MHL受信部(MHLシンク)204とMHL送信部(MHLソース)108がMHLケーブル300で接続されたときのCBUSの概念を示している。ここでも、MHL受信部204を「シンク(SINK)」、MHL送信部108を「ソース(SOURCE)」として説明する。
【0048】
例えば、シンク側の状態が「SNK2」(スタンバイ状態)のとき、MHL受信部204はCBUS−GND間の抵抗値をR3(S3閉、S4開)としている。また、「SNK2」では、シンクは省電力モードになっている。このとき、シンクは、MHLユニットのスタンバイ回路のみ通電状態とし、MHLユニットのその他の回路は非通電状態とする。スタンバイ回路では、CBUSの電圧変化と数十ミリ秒程度のパルス幅の検出が可能である。
【0049】
ソース側は、初期状態で、電圧V1と抵抗R2(S1開、S2閉)にプルアップしている。そして、ソースは、CBUS−GND間の抵抗値を監視し、CBUS−GND間の電圧がR2とR3の分圧ならば、「SNK2」(スタンバイ状態)のシンクを検出したとして、自身は「SRC2」に遷移する。つまり、ソースは、CBUS−GND間の抵抗値に基づいて、シンクが、「SNK2」(スタンバイ状態)にあることを認識する。また、ソースは、VBUS(
図7には図示していない)から0.1Aを上限として電流引き込みを開始する。
【0050】
ソースがシンクにアクティブ要求を出すとき、CBUS上で、
図8で示すユニークなパルス、つまりアクティブ要求パルスをシンクに伝送し、「SRC3」に遷移する。この
図8において、パルスの伝送方向はソースからシンクへ、また、伝送するパルスのパターンは、左から右方向に順次伝送される。パルス幅は、前半が20mS〜60mSの間で定義される。
【0051】
シンクはスタンバイ回路で前半のパルスを検出すると「SNK3」に遷移し、MHLユニットのスタンバイ回路以外の他の回路も通電状態とする。そして、後半の幅0.1mSの連続したパルス検出で、
図7のCBUS−GND間抵抗値をR4(S3開、S4閉)に切り替えてから「SNK4」(アクティブ状態)に遷移する。MHLユニット全体が通電状態にされると、CBUS上で1Mビット/秒の通信が双方向で可能になり、ソース−シンク間では、上述したDDCコマンド、MSCコマンドのリクエスト、応答コマンドの送受信を行うことができる。
【0052】
ソースはCBUS−GND間の電圧がR2とR4の分圧に変化したことで、シンクが「SNK4」に遷移したことを知り、プルアップ抵抗値をR2からR1(S1閉、S2開)に切り換えた後、自身も「SRC4」に遷移する。詳細は後述するが、この状態で、ソースは、コマンドを使ってシンクから情報を取得し、シンク側の電流供給能力を決定する。そして、その上限値を超えない範囲でVBUSからの電流引き込み量をアップし、「SRC5」に遷移する。
【0053】
[モバイルフォーンにおける充電電流制御]
モバイルフォーン100の制御部101における充電電流制御について説明する。なお、MHL規格では、VBUSを経由してシンク機器からソース機器に対してバッテリ充電用に5Vの電源を供給する。また、そのときにソースが引き込むことの出来る最大電流はMHLのバージョンで異なる。
【0054】
例えば、MHL バージョンAでは0.5A、MHL バージョンBでは0.9Aまたは1.5Aと仮定する。あるシンクの電流供給能力が上述のいずれを持つかは、シンク内部のデバイス・ケーバビリティ・レジスタ(Device Capability Registers)を読みだすことで判断できる。
【0055】
最初に、テレビ受信機200のMHL受信部(MHLシンク)204が「SNK4」(アクティブ状態)(
図5参照)にある場合について説明する。この場合、制御部101はMHL送信部(MHLソース)108を通じて、MHL受信部204側の電流供給能力情報を取得して、以下のように充電電流を決定する。そして、制御部101は、VBUSからその決定された充電電流を引き込むように、充電回路110を制御する。
【0056】
制御部101は、デバイス・ケーパビリティ・レジスタ(Device Capability Registers)内のMHLバージョン(機器自身が対応しているMHLバージョン番号を登録)を読み出し、バージョンAならば充電電流を0.5Aに決定する。また、制御部101は、バージョンBの場合、デバイス・カテゴリ(機器自身が持つ電流供給能力を登録)を参照する。このデバイス・カテゴリは、2ビット値の組み合わせで示されている。制御部101は、「00」ならば0.5A、「01」ならば0.9A、「01」ならば1.5Aにそれぞれ決定する。
【0057】
図9のフローチャートは、制御部101における充電電流の決定処理の手順の一例を示している。制御部101は、ステップST1において、処理を開始し、その後、ステップST2の処理に移る。このステップST2において、制御部101は、MHLバージョンがAであるか否かを判別し、MHLバージョンがAであるとき、制御部101は、ステップST3において、充電電流を0.5Aに決定し、その後、ステップST4において、処理を終了する。
【0058】
ステップST2でMHLバージョンがAでないとき、つまりMHLバージョンがBのとき、制御部101は、ステップST5において、デバイス・カテゴリの2ビット値を確認する。そして、制御部101は、ステップST6において、「00」であるか否かを判別する。「00」であるとき、制御部101は、ステップST7において、充電電流を0.5Aに決定し、その後、ステップST4において、処理を終了する。
【0059】
ステップST6で「00」でないとき、制御部101は、ステップST8において、「01」であるか否かを判別する。「01」であるとき、制御部101は、ステップST9において、充電電流を0.9Aに決定し、その後、ステップST4において、処理を終了する。
【0060】
ステップST8で「01」でないとき、制御部101は、ステップST10において、「10」であるか否かを判別する。「10」であるとき、制御部101は、ステップST11において、充電電流を1.5Aに決定し、その後、ステップST4において、処理を終了する。
【0061】
ステップST10で「10」でないとき、制御部101は、ステップST12において、エラーとし、直ちに、ステップST4において、処理を終了する。このように充電電流の決定処理がエラーで終了する場合には、充電電流は、最低保証電流値0.1Aのままにおかれる。
【0062】
図10は、デバイス・ケーパビリティ・レジスタのフォーマット(一部抜粋)を示している。このデバイス・ケーパビリティ・レジスタは、MHLバージョン(MHL Version)やデバイス・カテゴリ(Device Category)等を含む複数の登録スペースで構成される。「オフセット値」は、デバイス・ケーパビリティ・レジスタの先頭からの位置を示す。例えば、MHLバージョンは、オフセット値が0x01で、これは先頭から2バイト目を示す。
【0063】
図11は、MHLバージョンの設定例を示している。この例は、バージョンA(0x41)の場合の設定例である。
図12は、デバイス・カテゴリの設定例を示している。この例は、0.9Aの場合の設定例であり、第6ビットのビット値が「0」とされ、第5ビットのビット値が「1」とされている。
【0064】
MHL送信部(MHLソース)108は、デバイス・ケーパビリティ・レジスタの読み出しを、CBUS上で定義されたコマンドを使用して行う。
図13は、MHL送信機108が、CBUS上でコマンドを使って、MHL受信機(MHLシンク)204のMHLバージョンを読み出す手順を示している。デバイス・カテゴリの読み出しも、この手順に準ずる。ここでは、MHL送信部108を「ソース(SOURCE)」、MHL受信部204を「シンク(SINK)」として説明する。
【0065】
まず、ソース側からデバイス・ケーパビリティ・レジスタリクエストコマンドとMHLバージョンオフセット値“0x01”をシンクに伝送する。シンクは、これに対して、デバイス・ケーパビリティ・レジスタ応答コマンドとMHLバージョンに登録されている値を返す。
図13では、0x41(バージョンA)を応答していることを示す。なお、デバイス・カテゴリをリクエストする場合は、リクエストコマンドに続き、0x02を伝送する。
【0066】
次に、テレビ受信機200のMHL受信部(MHLシンク)204が「SNK2」(スタンバイ状態)(
図5参照)にある場合について説明する。この場合、MHL送信部(MHLソース)108は、CBUS経由で、上述の
図13に示すコマンドを伝送することができない。そのため、この場合、モバイルフォーン100のMHL送信部(MHLソース)108は、上述のテレビ受信機200のMHL受信部(MHLシンク)204が「SNK4」(アクティブ状態)にある場合と同様の方法ではMHL受信部204側から電流供給能力情報を取得することができない。
【0067】
MHL送信部108がMHL受信部204側の電流供給能力情報を取得できない場合、モバイルフォーン100では、VBUSから引き込む充電電流として、MHL各バージョンで定義する最低保証の電流値(例えば0.1A)までしか、使用できない。
【0068】
また、MHL受信部(MHLシンク)204側では、「SNK2」のスタンバイ状態と、「SNK4」のアクティブ状態では、電流供給能力が異なる場合がある。そのため、MHL送信部108は、「SRC4」のアクティブ状態で読みとったとしても、「SRC5」の状態を経由して「SRC2」の非アクティブ状態に戻ったときは、無効となり、再び最低保証の電流値(0.1A)までの使用となる。
【0069】
このように、モバイルフォーン100、つまりMHL送信部108側では、「SRC2」、「SRC3」、「SRC4」の各状態では最低保証電流値の上限(0.1A)を使用する。また、MHL送信部108側では、「SRC5」の状態では、MHL受信部204側の電流供給能力の上限(例えばバージョンBでは最大1.5A)を使用する。そして、MHL送信部108側では、「SRC6」を経由して「SRC2」に遷移するとき、最低保証値に戻す。
【0070】
バージョンAを例に取ると、MHL受信部(MHLシンク)204側の電流供給能力が1.5Aの場合、SRC2(0.1A)→SRC3(0.1A)→SRC4(0.1A)→SRC5(1.5A)→SRC6(1.5Aから0.1Aに切り替え)→SRC2(0.1A)・・・というサイクルを繰り返す。つまり、MHL受信部(MHLシンク)204が「SRC5」以外の状態では、上限0.1Aまでしか使用できない。
【0071】
使用例として、ユーザが単にバッテリを充電する場合だけを目的として、モバイルフォーン100をテレビ受信機200につなぐ場合を考える。この場合、モバイルフォーン100がVBUSを介して使用できる電流値は上限0.1Aである。これは、モバイルフォーン100のバッテリ111を充電するにはパワー不足で、フル充電までに長時間を要し、ユーザにとっては使いづらい。
【0072】
もともと、MHL受信部(MHLシンク)204側には最大で1.5Aの電流供給能力を備えているので、これを有効活用することが望まれる。また、MHL送信部108側では、MHL受信部204が「SNK4」のアクティブ状態で充電すると電流供給能力の上限まで利用できる。しかし、この場合には、スタンバイ回路のみ電源オンとなる「SNK2」と比較すると、MHL受信部204、つまりテレビ受信機側の消費電力が無駄に増加することになる。
【0073】
そこで、この実施の形態では、テレビ受信機200のMHL受信部(MHLシンク)204が「SNK2」(スタンバイ状態)(
図5参照)にある場合、以下のようにして、MHL受信部204側の電流供給能力情報を取得して、充電電流を決定する。すなわち、MHL送信部(MHLソース)108は、CBUS上に低速で長周期のパルスを発生し、これをデータの通信手段に利用し、MHL受信部204側の電流供給能力情報を取得する。これにより、MHL送信部108側では、MHL受信部204がアクティブ状態だけでなく、MHL受信部204がスタンバイ状態にあっても、MHL受信部204側の電流供給能力上限までバッテリ充電に利用可能となる。
【0074】
MHL送信部(MHLソース)108は、MHL受信部(MHLシンク)204が「SNK2」(スタンバイ状態)にあるとき、問い合わせ信号としての電流上限値要求パルスを、MHL受信部(MHLシンク)204に送信する。この場合、MHL送信部108は、パルスの幅がMHL受信部(MHLシンク)204側のスタンバイ回路で十分に認識可能な、概ね10mS〜60mS程度のパルス長を持つ、
図14に示すような、ユニークなパルス波形を、CBUS経由でMHL受信部204に伝送する。
【0075】
電流上限値要求パルスは、
図14に示すように、例えば、Wake Up、STX、4ビットコマンド、ETXの各パルスにより構成される。MHL送信部108は、各パルスを順次送信する。そして、電流上限値要求を意味する4ビットコマンドとして、例えば、「1001」を割り当てる。
【0076】
MHL受信部204は、この電流上限値要求パルスに応答し、例えば、
図15に示すように、応答信号としての応答パルスを、CBUSを介して、MHL送信部108に送信する。この応答パルスは、
図15に示すように、例えば、STX、4ビット応答、ETXの各パルスにより構成される。MHL受信部204は、各パルスを順次送信する。4ビット応答には、電流上限値の情報が含まれる。例えば、4ビット応答として、0A(電流供給なし)を意味する「0000」、0.5Aを意味する「0101」、0.9Aを意味する「1001」、あるいは1.5Aを意味する「1111」などが割り当てられる。なお、
図15では、4ビット応答値が「0101」(0.5A)であることを示している。
【0077】
なお、
図14と
図15におけるWake Up、STX、ETXのパルス波形は、MHL受信部(MHLシンク)204のスタンバイ回路で識別可能であれば、他の形状にしても構わない。
【0078】
モバイルフォーン100の制御部101は、MHL送信部108で受信される応答パルスの4ビット応答値により、MHL受信部204側、従ってテレビ受信機200の電流供給能力(電流上限値)を把握して、充電電流を決定する。そして、制御部101は、VBUSからその決定された充電電流を引き込むように、充電回路110を制御する。
【0079】
上述したように、
図1に示す画像表示システム10において、モバイルフォーン100のMHL送信部(MHLソース)108は、テレビ受信機200のMHL受信部(MHLシンク)204がスタンバイ状態で、CBUSを介して、このMHL受信部204に、電流上限値要求パルスを送信する。そのため、テレビ受信機200のMHL受信部204がスタンバイ状態である場合、その状態を維持したまま、MHL受信部204に電流上限値を問い合わせることができる。
【0080】
従って、モバイルフォーン100では、MHL受信部(MHLシンク)204側、つまりテレビ受信機200の電流供給能力の上限まで充電に利用でき、高速充電が可能となる。また、テレビ受信機200では、スタンバイ状態を維持したままに置かれるので、消費電力を最大限セーブすることができ、外部機器の省エネルギー化にも貢献できる。
【0081】
[要求パルス、応答パルスのシンプル化]
なお、上述では、テレビ受信機200のMHL受信部(MHLシンク)204が「SNK2」(スタンバイ状態)にあるとき、モバイルフォーン100のMHL送信部(MHLソース)108がMHL受信部204に
図14に示すような電流上限値要求パルスを送信し、それに対して、MHL受信部204がMHL送信部108に
図15に示すような応答パルスを送信するものであった。しかし、MHL受信部(MHLシンク)204がスタンバイ状態での通信を電流上限値取得のみに限定するのであれば、
図14に示す電流上限値要求パルスおよび
図15に示す応答パルスを、さらにシンプル化することが可能となる。
【0082】
図16は、MHL送信部108からMHL受信部204に送る電流上限値要求パルスの一例を示している。この電流上限値要求パルスは、
図14に示す電流上限値要求パルスをシンプル化したものである。この電流上限値要求パルスは、上述の
図8に示すアクティブ要求パルスと区別するために、長いパルスをPa,Pb,Pcを等間隔で連続した構成とされている。
【0083】
また、
図17(a)〜(d)は、MHL受信部204からMHL送信部108に送る応答パルスの一例を示している。この応答パルスは、
図15に示す応答パルスをシンプル化したものである。この応答パルスには、電流上限値の種類を示す情報が含まれる。
図17(a)〜(d)の応答パルスは、MHL受信部204側の電流上限値の種類が0A、0.5A、0.9A、1.5Aの4種類に限定される場合の例である。
【0084】
この応答パルスは、0本から3本までの短いパルスPcの前後を長いパルスPa,Pbで挟んだ構成とされている。MHL受信部204は、最初の長いパルスPaを伝送の開始(STX)、最後の次の長いパルスPbを伝送の終了(ETX)と判断し、その間の短いパルスPcの本数を数えることにより電流上限値を知ることができる。
図17(a),(b),(c),(d)は、それぞれ、電流上限値が0A、0.5A、0.9A、1.5Aであることを示す応答パルスである。
図18は、MHL受信部204側の電流上限値が0.5Aである場合において、MHL送信部108に送る応答パルスの一例を示している。
【0085】
[シンクからソースへの要求(問い合わせ)]
また、上述では、モバイルフォーン100のMHL送信部(MHLソース)108からテレビ受信機200のMHL受信部(MHLシンク)204に問い合わせ信号としての電流上限値要求パルスを送り、それに対して、MHL受信部204からMHL送信部108に応答信号としての応答パルスが戻されるものである。しかし、この逆に、テレビ受信機200のMHL受信部(MHLシンク)204からモバイルフォーン100のMHL送信部(MHLソース)108に問い合わせ信号を送り、それに対して、MHL送信部108からMHL受信部204に応答信号が戻される構成も考えられる。
【0086】
例えば、テレビ受信機200のMHL受信部(MHLシンク)204からモバイルフォーン100のMHL送信部(MHLソース)108に問い合わせ信号としてのバッテリ残量要求パルスを送る。このバッテリ残量要求パルスは、例えば、上述の
図14の電流上限値要求パルスにおいて、4ビットコマンドを、バッテリ残量要求を意味する、例えば、「1010」に置き換えたものとされる。
【0087】
この場合、MHL送信部108は、バッテリ残量を、上述の
図15に示すような応答パルスを使用して、MHL受信部204に応答する。この応答パルスにおいて、4ビット応答は、例えば、バッテリ残量(%)の10の位を指定するものとされる。例えば、4ビット応答は、バッテリ残量が80%の場合には「1000(8)」とされ、バッテリ残量が100%の場合には「1010(10)」とされる。
【0088】
バッテリ残量の応答パルスを受け取ったMHL受信部(MHLシンク)204側、つまりテレビ受信機200では、制御部201は、そのバッテリ残量情報に基づいて、OSD表示データを発生し、表示パネル209の所定部分、例えば画面隅に、モバイルフォーン100のバッテリ残量の表示を行う。これにより、テレビ受信機200を視聴するユーザはモバイルフォーン100のバッテリ残量、従ってその充電進行状況を容易知ることができる。なお、テレビ受信機200からモバイルフォーン100へのバッテリ残量要求パルスの送信は、周期的に自動で行われてもよく、あるいはユーザの意図的な操作に応じて行われてもよい。
【0089】
ここで、MHL受信部(MHLシンク)204とMHL送信部(MNLソース)108との間でCBUSを使用してパルスを伝送するメカニズムについて説明する。ここでは、MHL受信部204を「シンク(SINK)」、MHL送信部108を「ソース(SOURCE)」として説明する。
【0090】
上述したように、シンクが「SNK2」(スタンバイ状態)のとき、ソースは「SRC2」(非アクティブ状態)であり、そのときは、
図19のように、R2とR3が接続している。また、R4の抵抗値はR3より十分に大きい。仮に、R3を1kΩ、R4を100kΩとする。ソースからSINKにパルスを送る場合は、ドライバD1を使用する。また、SINKからSOURCEに送る場合はスイッチS3とS4を開閉する。
【0091】
図19の状態は、S3が閉、S4が開で、このときのCBUS−GND間電圧をロー(Low)状態とする。シンクがパルスを発生させる場合、
図20のようにS3を開、S4を閉にすると、R3(1kΩ)からR4(100kΩ)に切り換わるので、CBUS−GND間の電圧は上昇してハイ(High)状態となる。このとき、ソースはシンクから応答パルスが来たと判断する。シンクは、パルス波形に従って、ハイ(High)状態では
図20に、ロー(Low)状態では
図19に、スイッチ開閉状態を切り替えながら、ソースを伝送する。
【0092】
なお、シンクからソースにパルスを送る場合、上述したスイッチ開閉ではなく、例えば、
図21に示すように、シンク側の回路にドライバD2を追加し、これを使用する方法もある。
【0093】
また、上述では、問い合わせ信号として、電流上限値要求パルスおよびバッテリ残量要求パルスの例を示した。しかし、その他の問い合わせ信号も同様に考えることができる。その場合の要求パルスは、例えば、上述の
図14の電流上限値要求パルスにおいて、4ビットコマンドを、その要求を意味する値に変更した構成とされる。
【0094】
図22は、4ビットコマンドの値とその意味との対応関係の一例を示している。例えば、「1001」が電流上限値要求を意味し、「1010」がバッテリ残量要求を意味することは、上述した通りである。なお、「1011」〜「1111」は、リザーブであり、現在は未使用であることが示されている。
【0095】
<2.変形例>
なお、上述実施の形態においては、例えば、要求パルスをCBUSで送り、それに対する応答パルスもCBUSを通じて受信する例を示した。しかし、応答パルスは、必ずしもCBUSで戻されなくてもよい。例えば、MHL送信部(MHLソース)108からMHL受信部(MHLシンク)204に要求パルスを送る場合、MHL受信部(MHLシンク)204は、それに対応する応答パルスを、電源ラインであるVBUSを介して戻すことが考えられる。
【0096】
また、上述実施の形態において、MHLソース機器がモバイルフォーン100であり、MHLシンク機器がテレビ受信機200である例を示した。しかし、MHLソース機器、MHLシンク機器の組み合わせはこれに限定されるものでないことは勿論である。
【0097】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)外部機器に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ取扱部と、
上記外部機器に第2のラインを介して接続される通信部とを備え、
上記通信部は、
上記第1のラインが使用不能な状態で、上記第2のラインを介して、上記外部機器に、問い合わせ信号を送信する
電子機器。
(2)上記通信部は、
上記第1のラインが使用不能な状態で、上記第2のラインを介して、上記外部機器から、上記問い合わせ信号に対する応答信号を受信する
前記(1)に記載の電子機器。
(3)上記外部機器の電源部に第3のラインを介して接続される充電部と、
上記充電部の充電動作を制御する充電制御部とをさらに備え、
上記問い合わせ信号は上記外部機器の電流供給能力を問い合わせるための信号であり、
上記充電制御部は、
上記応答信号に応じて上記充電部が上記第3のラインから引き込む電流値を制御する
前記(2)に記載の電子機器。
(4)上記応答信号には、電流上限値の情報が含まれる
前記(3)に記載の電子機器。
(5)上記応答信号には、電流上限値の種類を示す情報が含まれる
前記(3)に記載の電子機器。
(6)上記外部機器の充電部に第3のラインを介して接続される電源部と、
表示部と、
上記表示部の表示動作を制御する表示制御部とをさらに備え、
上記問い合わせ信号は、上記外部機器のバッテリ残量を問い合わせるための信号であり、
上記表示制御部は、
上記応答信号に応じて上記表示部に上記外部機器のバッテリ残量情報を表示する
前記(2)に記載の電子機器。
(7)上記通信部は、
上記第2のラインと、接地ラインとの間の抵抗値に基づいて、上記第1のラインが使用不能な状態にあることを認識する
前記(1)から(6)のいずれかに記載の電子機器。
(8)外部機器に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ取扱部と、
上記外部機器に第2のラインを介して接続される通信部と、
上記外部機器の電源部に第3のラインを介して接続される充電部とを備える電子機器の充電制御方法であって、
上記第1のラインが使用不能な状態にあるとき、上記通信部から上記第2のラインを介して上記外部機器に上記外部機器の電流供給能力を問い合わせるための問い合わせ信号を送信し、該問い合わせ信号に対して上記通信部で上記外部機器から上記第2のラインを介して応答信号を受信し、該応答信号に応じて上記充電部が上記第3のラインから引き込む電流値を制御する
電子機器の充電制御方法。
(9)外部機器に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ取扱部と、
上記外部機器に第2のラインを介して接続される通信部と、
上記外部機器の充電部に第3のラインを介して接続される電源部と、
表示部とを備える電子機器のバッテリ残量表示方法であって、
上記第1のラインが使用不能な状態にあるとき、上記通信部から上記第2のラインを介して上記外部機器に上記外部機器のバッテリ残量を問い合わせるための問い合わせ信号を送信し、該問い合わせ信号に対して上記通信部で上記外部機器から上記第2のラインを介して応答信号を受信し、該応答信号に応じて上記表示部に上記外部機器のバッテリ残量情報を表示する
電子機器のバッテリ残量表示方法。
(10)外部機器のデジタルインタフェース部に伝送路を介して接続されるデジタルインタフェース部を備え、
上記デジタルインタフェース部は、
外部機器のデジタルインタフェース部に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ取扱部と、
上記外部機器のデジタルインタフェース部に第2のラインを介して接続される通信部とを有し、
上記通信部は、
上記外部機器のデジタルインタフェース部がスタンバイ状態で、上記第2のラインを介して、上記外部機器のデジタルインタフェース部に、問い合わせ信号を送信する
電子機器。
(11)上記通信部は、
上記外部機器のデジタルインタフェース部がスタンバイ状態で、上記第2のラインを介して、上記外部機器のデジタルインタフェース部から、上記問い合わせ信号に対する応答信号を受信する
前記(10)に記載の電子機器。
(12)上記デジタルインタフェースは、MHL(Mobile High-definition Link)規格のインタフェースである
前記(10)または(11)に記載の電子機器。
(13)シンク機器に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ送信部と、
上記シンク機器に第2のラインを介して接続される通信部と、
上記シンク機器の電源部に第3のラインを介して接続される充電部と、
上記充電部の充電動作を制御する充電制御部とを備え、
上記通信部は、
上記第1のラインが使用不能な状態で、上記第2のラインを介して、上記シンク機器に電流供給能力を問い合わせるための問い合わせ信号を送信すると共に、上記シンク機器から該問い合わせ信号に対する応答信号を受信し、
上記充電制御部は、
上記応答信号に応じて上記充電部が上記第3のラインから引き込む電流値を制御する
ソース機器。
(14)ソース機器に第1のラインを介して接続されるコンテンツデータ受信部と、
上記ソース機器に第2のラインを介して接続される通信部と、
上記ソース機器の充電部に第3のラインを介して接続される電源部と、
表示部と、
上記表示部の表示動作を制御する表示制御部とを備え、
上記通信部は、
上記第1のラインが使用不能な状態で、上記第2のラインを介して、上記ソース機器にバッテリ残量を問い合わせるための問い合わせ信号を送信すると共に、上記ソース機器から該問い合わせ信号に対する応答信号を受信し、
上記表示制御部は、
上記応答信号に応じて上記表示部に上記外部機器のバッテリ残量情報を表示する
シンク機器。