(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シート破損確認部によりシート欠損部分があると判断された場合、前記停止解除部は、前記シート欠損部分が前記原稿台に載置されて前記画像読取部により画像が取得されたときに、画像形成の実行を許可する、請求項1記載の画像形成装置。
前記シート破損確認部によりシート欠損部分があると判断された場合、前記停止解除部は、前記搬送路において1枚のシートを搬送させる確認搬送動作により、当該シートが正常に搬送されたときに画像形成の実行を許可する、請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
前記シート詰まりが検知された位置が画像形成を実施する作像部より下流側である場合、前記シート破損確認部は、シート上に形成された画像に基づいてシート欠損部分の有無を判断する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記シート破損確認部は、前記搬送路におけるシートの位置に基づいて、前記原稿台への載置を要求するシートを選択する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複合機において用紙詰まりが発生した場合、ジャム解消のためには搬送路中に残留している全ての用紙を取り除く必要がある。用紙が除去されたか否かの検知は、搬送路に配置された用紙検知センサーにより行うことができる。しかしながら、用紙検知センサーが検知できない位置に残留した用紙は検知することができない。したがって、用紙除去時に用紙が破れ、その紙片が用紙検知センサーにより検知できない位置に残留した場合等は、用紙が除去されたと判断されてしまう。当該状況下で印刷を再開すると、再度、用紙詰まりが発生することになる。この場合、先の用紙詰まりにより除去された用紙に加えて、再度の用紙詰まり発生時に搬送路に滞留している用紙も無駄になってしまう。上述のように、搬送路に複数枚の用紙を待機させる複合機では多くの用紙が無駄になってしまうことになる。
【0007】
本発明は、このような従来の実情を鑑みてなされたものであり、不完全なシート除去に起因するシート詰まりの再発を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。すなわち、本発明に係る画像形成装置は、シート検知センサー、ジャム検知部、印刷停止部、解消操作検知部、画像読取部、シート破損確認部、及び停止解除部を備える。シート検知センサーは、印刷用のシートの搬送路に複数配置される。ジャム検知部は、シート検知センサーの検知結果に基づいて搬送路におけるシート詰まりを検知する。印刷停止部は、ジャム検知部によりシート詰まりが検知された際に、画像形成動作を停止する。解消操作検知部は、ユーザーによるシート詰まりの解消操作完了を検知する。画像読取部は、原稿台に載置されたシートの画像を取得して画像データを生成する。シート破損確認部は、解消操作検知部により解消操作完了が検知された際に、原稿台への、シート詰まりの解消操作においてユーザーにより搬送路から取り出されたシートの載置を要求する。また、シート破損確認部は、原稿台に載置されたシートについて、画像読取部により生成された画像データに基づいてシートの欠損部分の有無を判断する。停止解除部は、シート破損確認部によりシート欠損部分がないと判断された場合、画像形成の実行を許可する。
【0009】
この画像形成装置では、ユーザーによるシート詰まり解消操作の完了後、ユーザーにより搬送路から取り出されたシートに欠損部分がない場合に、画像形成の再開が許可される。すなわち、破れに起因するシート片が搬送路に残留していない場合に、画像形成の再開が許可される。したがって、不完全なシート除去に起因するシート詰まりの再発を抑制することができる。
【0010】
この画像形成装置において、停止解除部は、シート破損確認部によりシート欠損部分があると判断された場合、シート欠損部分が原稿台に載置されて画像読取部により画像が取得されたときに画像形成の実行を許可する構成を採用することができる。
【0011】
また、以上の画像形成装置において、停止解除部は、シート破損確認部によりシート欠損部分があると判断された場合、搬送路において1枚のシートを搬送させる確認搬送動作により、当該シートが正常に搬送されたときに画像形成の実行を許可する構成を採用することができる。
【0012】
この構成では、ユーザーが搬送路中にシート片を発見できない状況下であっても画像形成を再開することができる。また、この構成では、搬送路において1枚のシートを搬送する確認搬送動作が実施される。そのため、仮に、シート片が残留していた場合でも、再度シート詰まりが発生したときに無駄になるシートは、確認搬送動作において搬送された1枚のシートのみである。したがって、再度シート詰まりが発生した場合でも、無駄になるシートを最小限にすることができる。なお、この場合、停止解除部は、確認搬送動作において、通常搬送動作におけるシート搬送速度よりも低速でシートを搬送することが好ましい。
【0013】
また、以上の画像形成装置において、シート破損確認部は、シート詰まりが検知された位置が画像形成を実施する作像部より下流側である場合、シート上に形成された画像に基づいてシート欠損部分の有無を判断する構成を採用することもできる。
【0014】
さらに、上記シート破損確認部は、搬送路におけるシートの位置に基づいて、原稿台への載置を要求するシートを選択する構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、不完全なシート除去に起因するシート詰まりの再発を抑制することができる。また、シート除去が不完全でシート詰まりが再度発生した場合でも、無駄になるシートを最小限にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、デジタル複合機として本発明を具体化する。
【0018】
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、複合機100は、画像読取部120及び画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面にはコンタクトガラス等の透明板からなる原稿台103が設けられており、原稿台103は原稿搬送装置110の底面により構成されるプラテンカバー102によって開閉されるようになっている。また、複合機100の前面には、ユーザーが複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる操作パネル181が設けられている。
【0019】
本体101の上部には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、走査光学系121により原稿の画像を読み取り、その画像のデジタルデータ(画像データ)を生成する。生成された画像データは、画像形成部140において被転写体である用紙等のシートに印刷することができる。また、生成された画像データは、図示しないネットワークインターフェイス等を介して、ネットワークを通じて他の機器へ送信することもできる。
【0020】
画像形成部140は、画像読取部120が生成した画像データや、ネットワークに接続された他の機器から受信した画像データをシートに印刷する。画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154、155、156等から、トナー像を転写する転写部(作像部)160へシートを給紙する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154、155、156には、様々なサイズのシートを載置又は収容することができる。画像形成部140は、ユーザーの指定したシートや、自動検知した原稿のサイズに応じたシートを選択し、選択したシートを給送ローラー157により手差しトレイ151や給紙カセット152、153、154、155、156から給紙する。給紙されたシートは搬送路145を通じて搬送され、搬送路145に設けられた搬送ローラー158やレジストローラー159で転写部160に搬送される。トナー像が転写されたシートは、定着器148に搬送される。定着器148は、熱と押圧力によってトナー像をシートに定着する。定着器148を通過したシートは排紙トレイ149へ排紙される。
【0021】
また、画像形成部140は、両面印刷のためにシートを反転する反転部171を備える。反転部171は、分岐部172、反転シート搬送路173、中間トレイ174(シート保持部)、スイッチバック機構175、シート反転機構176を備える。分岐部172は、定着部148のシート排出側に配置され、シートを反転部171の反転用シート搬送路173に案内する。中間トレイ174は、反転用シート搬送路173の途中に配置され、分岐部172により案内された一方面の印刷を完了したシートが一時的に排出される。スイッチバック機構175は、中間トレイ174に排出されたシートの搬送方向を反転させ、シートを反転用シート搬送路173に導入する。シート反転機構176は、スイッチバック機構175により反転用シート搬送路173に再度導入されたシートの面を反転させ、このシートをレジストローラー159へ給紙する。この反転部171により、シートの表面及び裏面のそれぞれに印刷を行う両面印刷が可能になる。反転部171を構成するシートの搬送路も上述の搬送路145に含まれる。なお、反転部171には両面印刷に係る周知の構成を用いることができる。
【0022】
搬送路145において、搬送ローラー158やレジストローラー159の近傍(ここでは、上流側近傍)等の特定位置には、シート検知センサー161が配置されている。シート検知センサー161は、搬送路145の対応位置にシートが存在するか否かを検知する。なお、シート検知センサー161は、発光部及び受光部が一方面に配置された反射型フォトセンサー(フォトリフレクター)や発光部と受光部とが対向して配置された透過型フォトセンサー(フォトインターラプター)等の非接触型センサーにより構成することができる。また、アクチュエーターを備えるマイクロスイッチ等の接触型センサーを使用して構成することもできる。
【0023】
複合機100は、連続印刷時に、搬送路145において、複数枚のシートを連続的に搬送する。例えば、最下段の給紙カセット156に収容されたシートを使用して片面印刷を複数頁連続して実施する場合、1枚目のシートが給紙ローラー157の下流側の近傍に配置されたセンサー161を通過すると、所定のタイミングで2枚目のシートが給紙カセット156から引き出される。1枚目のシートがレジストローラー159に到達すると、この2枚目のシートは、先に給紙されたシートの後端よりも上流側の搬送路145に配置された搬送ローラー158(例えば、給紙カセット152〜156からレジストローラー159へ向かう搬送路145と反転部171からレジストローラー159へ向かう搬送路145との合流部の上流側で、当該合流部に最も近い搬送ローラー158)に挟持された状態で保持される。この場合、搬送路145において、2枚のシートが滞留していることになる。
【0024】
また、1枚目のシートがレジストローラー159から転写部160に向けて送り出されると、上記2枚目のシートがレジストローラー159にシート先端が到達した状態で保持される。また、このとき、3枚目のシートがすでに給紙カセット156から搬送路145に引き出されている。この3枚目のシートは、2枚目のシートが保持されていた搬送ローラー158に挟持された状態で保持される。この場合、搬送路145において、3枚のシートが滞留していることになる。
【0025】
また、最下段の給紙カセット156に収容されたシートを使用して両面印刷を複数頁連続して実施する場合、1枚目のシートが給紙ローラー157の下流側の近傍に配置されたセンサー161を通過すると、2枚目のシートが給紙カセット156から引き出される。1枚目のシートがレジストローラー159に到達すると、この2枚目のシートは、片面印刷の場合と同様、反転部171との合流部の上流側で、当該合流部に最も近い搬送ローラー158に保持される。
【0026】
1枚目のシートがレジストローラー159から転写部160に向けて送り出されると、上記2枚目のシートがレジストローラー159にシート先端が到達した状態で保持される。また、このとき、3枚目のシートがすでに給紙カセット156から搬送路145に引き出されている。この3枚目のシートは、2枚目のシートが保持されていた搬送ローラー158に挟持された状態で保持される。1枚目のシートは、転写部160において1頁目の画像が転写された後、反転シート搬送路173に導入されて中間トレイ174に保持される。
【0027】
2枚目のシートがレジストローラー159から転写部160に向けて送り出されると、中間トレイ174に保持されている1枚目のシートは、シート反転機構176のスイッチバック機構175により反転用シート搬送路173に搬送されて保持される。並行して、上記3枚目のシートがレジストローラー159に挟持された状態で保持される。また、このとき、4枚目のシートがすでに給紙カセット156から搬送路145に引き出されている。この4枚目のシートは、3枚目のシートが保持されていた搬送ローラー158に挟持された状態で保持される。2枚目のシートは、転写部160において3頁目の画像が転写された後、反転シート搬送路173に導入されて中間トレイ174に排出される。
【0028】
3枚目のシートがレジストローラー159から転写部160に向けて送り出されると、次のシート(ここでは、4枚目のシート)は、搬送ローラー158に挟持された状態での保持が継続される。このとき、1枚目のシートが反転用シート搬送路173からレジストローラー159に送られる。当該1枚目のシートは、転写部160において2頁目の画像(1頁目の反対面に印刷されるべき画像)が転写された後、排紙トレイ149に排出される。1枚目のシートがレジストローラー159から転写部160に向けて送り出されるとき、中間トレイ174に保持されている2枚目のシートは、シート反転機構176のスイッチバック機構175により反転用シート搬送路173に搬送されて保持される。並行して、上記4枚目のシートがレジストローラー159に挟持された状態で保持される。また、このとき、5枚目のシートがすでに給紙カセット156から搬送路145に引き出されている。この5枚目のシートは、4枚目のシートが保持されていた搬送ローラー158に挟持された状態で保持される。このように、1枚目のシートの裏面に画像を形成する処理中では、搬送路145において、4枚のシートが滞留していることになる。
【0029】
図2は、複合機100における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)204及び画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバー205が内部バス206を介して接続されている。ROM203やHDD204等はプログラムを格納しており、CPU201はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU201はRAM202を作業領域として利用し、ドライバー205とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD204は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークを通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
【0030】
内部バス206には、操作パネル181や各種のセンサー207も接続されている。操作パネル181は、ユーザーの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU201に供給する。また、操作パネル181は、CPU201からの制御信号にしたがって自身が備えるディスプレイに操作画面を表示する。センサー207は、プラテンカバー102の開閉検知センサーや原稿台103上の原稿検知センサー、定着器148の温度センサー、上述のシート検知センサー161など各種のセンサーを含む。
【0031】
CPU201は、例えばROM203に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサーからの信号に応じて各手段の動作を制御する。
【0032】
図3は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の複合機100は、ジャム検知部301、印刷停止部302、解消操作検知部303、シート破損確認部304、停止解除部305及び印刷制御部311を備える。
【0033】
印刷制御部311は、複合機100(画像形成部140)における画像形成処理の実行を制御する。すなわち、印刷制御部311は、操作パネル181を通じたユーザーによる画像形成指示、ネットワークを通じて入力された画像形成指示、公衆通信回線を通じて入力されたファクシミリ受信指示等に基づいて画像形成部140における画像データの印刷を実行する。
【0034】
ジャム検知部301は、搬送路145に配置された複数のシート検知センサー161の検知結果に基づいて搬送路145におけるシート詰まりを検知する。例えば、ジャム検知部301は、シート検知センサー161が検知状態(シートあり)になってから、シート検知センサー161ごとに予め設定された指定時間が経過した後に非検知状態(シートなし)にならない場合、そのシート検知センサー161の検知位置でシート詰まりが発生したと判断する。なお、指定時間は、搬送路145を搬送されるシートのサイズごとに異なる値を設定することができる。
【0035】
印刷停止部302は、ジャム検知部301によりシート詰まりが検知された際に、画像形成動作を停止する。上述のように、本実施形態では、印刷制御部311が画像形成部140における画像形成処理を制御する構成である。そのため、本実施形態では、印刷停止部302は、印刷制御部311に対して印刷停止指示を入力することで画像形成部140の画像形成動作を停止させる。
【0036】
解消操作検知部303は、ユーザーによるシート詰まりの解消操作完了を検知する。特に限定されないが、本実施形態では、解消操作検知部303は、シート詰まり検知の原因になったシート検知センサー161が非検知状態になったこと、及び搬送路145において、当該シート検知センサー161に対応する位置に滞留したシート等、画像形成部140に滞留したシートを取り除くために開放が必要となる本体101の開閉扉が開状態から閉状態になったこと、が検知された場合、ユーザーによるシート詰まりの解消操作が完了したと判断する。なお、本体101の開閉扉の開閉状態は、接触型センサー等により容易に検知することができる。
【0037】
シート破損確認部304は、解消操作検知部303により解消操作完了が検知された際に、原稿台103への、シート詰まりの解消操作においてユーザーにより搬送路145から取り出されたシートの載置を要求する。本実施形態では、シート破損確認部304は、操作パネル181が備えるディスプレイにメッセージを表示することでユーザーに対して原稿台103へのシートの載置を要求する。
【0038】
また、シート破損確認部304は、原稿台103に載置されたシートについて、画像読取部120により生成された画像データに基づいてシートの欠損部分の有無を判断する。シート破損確認部304は、例えば、シート(あるいは、シート片)のエッジ検出により、予め指定された面積以上の欠損部分が存在するか否かにより、欠損部分の有無を判断する。なお、シート詰まりが検知された位置が画像形成を実施する転写部160より下流側である場合、シート上には画像が形成されている。特に、定着器148を通過したシート(例えば、反転部171に存在するシート)では、画像はシート上に定着されている。この場合、シート破損確認部304は、画像形成部140においてシート上への印刷に使用した画像データと、画像読取部120により取得された画像データとを比較することで、予め指定された面積以上の欠損部分が存在するか否かにより、欠損部分の有無を判断してもよい。
【0039】
停止解除部305は、シート破損確認部304によりシート欠損部分がないと判断された場合、画像形成の実行を許可する。本実施形態では、停止解除部305は、印刷制御部311に対して印刷の再開指示を入力することで画像形成の実行を許可する。
【0040】
特に限定されないが、本実施形態では、停止解除部305は、シート破損確認部304によりシート欠損部分があると判断された場合、当該シート欠損部分が原稿台103に載置されて画像読取部120により画像が取得されたときにも画像形成の実行を許可する。停止解除部305は、例えば、シート欠損部分の輪郭と、原稿台103に載置され、画像読取部120に画像を読み取られたシート片の輪郭とが一致する場合、シート欠損部分が原稿台103に載置されたと判断することができる。
【0041】
また、停止解除部305は、シート破損確認部304によりシート欠損部分があると判断された場合、当該シート欠損部分が原稿台103に載置されないときでも、搬送路145において1枚のシートを搬送させる確認搬送動作により、当該シートが正常に搬送されたときに画像形成の実行を許可する。上述のように、本実施形態では、印刷制御部311が画像形成部140における画像形成処理を制御する構成である。そのため、本実施形態では、停止解除部305は、印刷制御部311に対して1枚のシートのみの搬送指示を入力することで確認搬送動作を実現する。なお、特に限定されないが、本実施形態では、停止解除部305は、確認搬送動作において、通常搬送動作におけるシート搬送速度よりも低速でシートを搬送する。
【0042】
シートが正常に搬送されるか否かは、例えば、確認搬送動作において、1枚のシートが排紙トレイ149まで搬送された場合、正常に搬送されると判断することができる。また、確認搬送動作において、ジャム検知部301によるシート詰まり検知の原因になったシート検知センサー161の検知位置をシートが通過した場合、正常に搬送されると判断する構成を採用することもできる。
【0043】
特に限定されないが、本実施形態では、停止解除部305は、確認搬送動作において、印刷停止部302により停止された印刷ジョブに係る画像をシート上に形成する構成になっている。例えば、複合機100において全20頁の画像データからなる印刷ジョブが実行され、10頁目までは正常に印刷が完了していた場合、確認搬送動作において、11頁目の画像データが印刷される。この場合、その後に印刷許可がされた場合、12頁目から20頁目までが続いて印刷されることになる。なお、正常に印刷が完了した画像データは、シート詰まりが発生した時点の各シートの位置により容易に特定可能である。
【0044】
図4は、複合機100が実行するシート詰まり発生後の画像形成再開手順の一例を示すフロー図である。当該手順は、例えば、ジャム検知部301が搬送路145におけるシート詰まりを検知したことをトリガーとして開始する。
【0045】
搬送路145でのシート詰まりを検知したジャム検知部301は、その旨を印刷停止部302に通知する。当該通知に応じて印刷停止部302は、上述の手法により画像形成部140における画像形成動作を停止する(ステップS401)。また、このとき、印刷停止部302は、画像形成動作を停止した旨を解消操作検知部303に通知する。
【0046】
当該通知に応じて、解消操作検知部303は、シート詰まりを起こしたシートの他、搬送路145に滞留している全てのシートの除去をユーザーに要求する。特に限定されないが、本実施形態では、このとき、解消操作検知部303が、操作パネル181が備えるディスプレイに、シート詰まりを起こしたシートの位置及び除去方法を示すガイダンス画面と、他のシートの位置及び除去方法を示すガイダンス画面とを順に表示する構成になっている(ステップS402No)。その後、解消操作検知部303は、上述のようにして、ユーザーによるシート詰まりの解消操作完了を検知すると、その旨をシート破損確認部304に通知する(ステップS402Yes)。
【0047】
シート破損確認部304は、当該通知に応じて、シート詰まりの解消操作においてユーザーにより搬送路145から取り出されたシートを原稿台103に載置するようにユーザーに要求する(ステップS403)。当該要求に応じてユーザーが原稿台103に搬送路から取り出したシートを載置し、操作パネル181が備える画像読取開始ボタンを押下すると、原稿台103に載置されたシートの画像データが画像読取部120により生成される。シート破損確認部304は、当該画像データを画像読取部120から取得し、欠損部分の有無を判断する(ステップS404)。なお、本実施形態では、シート破損確認部304は、搬送路145に滞留していたシートの全てについて、順に、原稿台103への載置を要求する。
【0048】
搬送路145から取り出されたシートがいずれも破損していない場合、シート破損確認部304は、欠損部分はないと判断する(ステップS404No)。このとき、シート破損確認部304は判断結果を停止解除部305に通知する。当該通知に応じて停止解除部305は、画像形成部140における画像形成の実行を許可する(ステップS410)。これにより、停止されていた印刷ジョブの印刷が再開される。
【0049】
搬送路145から取り出されたシートが破損していた場合、ユーザーは、破損したシートを、例えば、原形を再現する状態で原稿台103に載置する。
図5は、破損したシートの画像読み取りの一例を示す図である。
図5は、原稿台103を上方から見た図であり、説明のため、プラテンカバー102の図示を省略している。
【0050】
図5の例では、3つのシート片501、502、503がシートの原形を再現する状態で原稿台103上に載置されており、シート片502とシート片503との間にシート片か欠落した部分504が存在している。当該状態でユーザーが画像読取開始ボタンを押下すると、シート破損確認部304は、欠損部分があると判断する(ステップS404Yes)。なお、
図5の例において、シート片欠落部分504に対応するシート片が該当部分に載置されている場合、各シート片間に隙間(シートが存在しない領域)が存在しているとしても、予め指定された面積以上の大きな面積ではないため、シート破損確認部304は、欠損部分はないと判断することになる(ステップS404No)。
【0051】
シート破損確認部304は、欠損部分があると判断した場合、ユーザーに対し、原稿台103への欠損部分の載置を要求する(ステップS405)。当該要求は、例えば、操作パネル181が備えるディスプレイにメッセージを表示することで実行される。なお、このメッセージ画面には、上述の確認搬送動作を実行する際に使用するための操作ボタンが併せて表示される。
【0052】
当該要求に応じてユーザーが複合機100内から対応するシート片を発見して原稿台103上に載置し、ユーザーが画像読取開始ボタンを押下すると、欠損部分であることを確認したシート破損確認部304は、欠損部分はないと判断する。このとき、シート破損確認部304は判断結果を停止解除部305に通知する。当該通知に応じて停止解除部305は、画像形成部140における画像形成の実行を許可する(ステップS406Yes、S410)。これにより、停止されていた印刷ジョブの印刷が再開される。なお、原稿台103上への当該シート片の載置は、上述のように単独でなされてもよい。また、他のシート片と併せて、シートの原形を再現する状態で原稿台103上に載置されてもよい。
【0053】
一方、対応するシート片を発見できない場合、ユーザーは、ディスプレイに表示された確認搬送動作実行ボタンを選択することもできる。ユーザーが確認搬送動作実行ボタンを選択しない場合、原稿台103への欠損部分の載置が要求され続けることになる(ステップS406No、S407No)。
【0054】
ユーザーが確認搬送動作実行ボタンを選択した場合、シート破損確認部304は、確認搬送動作を実行する(ステップS406No、S407Yes)。なお、停止された印刷ジョブが両面印刷である場合、確認搬送動作では、中間トレイ174に搬入されたシートは直ちに搬出され、一方面の印刷に続いて他方面の印刷が実行される。
【0055】
確認搬送動作において正常な搬送が確認できた場合、シート破損確認部304は、その旨を停止解除部305に通知する。当該通知に応じて、停止解除部305は、画像形成部140における画像形成の実行を許可する(ステップS409Yes、S410)。なお、確認搬送動作において正常な搬送は、上述のように、1枚のシートが排紙トレイ149に排出されたことや、1枚のシートがジャム検知部301によるシート詰まり検知の原因になったシート検知センサー161の検知位置を通過したことにより判定することが可能である。
【0056】
確認搬送動作において正常に搬送ができなかった場合は、ジャム検知部301により再度シート詰まりが検知される。この場合、印刷停止部302による画像形成動作の停止から再度手順が進行することになる(ステップS409No、S401)。
【0057】
なお、以上の構成において、シート破損確認部304が、シート上に形成された画像に基づいてシート欠損部分の有無を判断する場合、シート破損確認部304は、欠損部分がシート搬送方向の上流側及び下流側のいずれであるかを認識することができる。この場合、シート破損確認部304は、シートにおける欠損部分の位置及びシート詰まりを検知したシート検知センサー161の位置に基づいて、搬送路145におけるシート欠損部分の残存位置を推定し、当該位置を操作パネル181のディスプレイ等を通じてユーザーに案内してもよい。
【0058】
また、上述の例では、シート破損確認部304が、搬送路145に残留した全てのシートについて原稿台103上への載置を要求する構成とした。しかしながら、シート破損確認部304は、搬送路145におけるシートの位置に基づいて、原稿台103への載置を要求するシートを選択する構成であってもよい。例えば、ユーザーによるシート詰まりの解消操作において、シートが破損する可能性が極めて低い位置にあったシートについては原稿台103への載置を要求しない構成等を採用することも可能である。
【0059】
さらに、上述の例では、シート破損確認部304は、常に、シート詰まりの解消操作においてユーザーにより搬送路145から取り出されたシートの載置を要求する構成とした。しかしながら、シート破損確認部304は、管理者が設定した場合、ユーザーが要求した場合、ジャムが連続して発生した場合等、特定の条件下でのみ、シート詰まりの解消操作においてユーザーにより搬送路145から取り出されたシートの載置を要求する構成であってもよい。
【0060】
以上説明したように、この複合機100では、ユーザーによるシート詰まり解消操作の完了後、ユーザーにより搬送路145から取り出されたシートに欠損部分がない場合に、画像形成の再開が許可される。すなわち、搬送路145に破れに起因するシート片が残留していない場合に、画像形成の再開が許可される。したがって、不完全なシート除去に起因するシート詰まりの再発を抑制することができる。また、ユーザーが搬送路145にシート片が残留した状態で印刷を再開することを禁止することができる。
【0061】
また、複合機100では、ユーザーが搬送路145中のシート片を発見できない状況下であっても確認搬送動作を実施することで画像形成を再開することができる。確認搬送動作では、搬送路145において1枚のシートしか搬送されないため、仮に、シート片が残留していた場合でも、再度シート詰まりが発生したときに無駄になるシートは1枚のシートのみである。したがって、再度シート詰まりが発生した場合でも、無駄になるシートを最小限にすることができる。また、確認搬送動作はより遅い搬送速度で実施されるため、再度シート詰まりが発生した場合でも、ダメージを小さくすることができる。
【0062】
なお、上述した各実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、電子写真方式を採用した画像形成装置を例示したが、本発明は、インクジェット方式を採用した画像形成装置にも適用可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、特に好ましい形態として、確認搬送動作によっても画像形成を再開できる構成を例示したが、ユーザーにより搬送路145から取り出されたシートに欠損部分がない場合にのみ画像形成を再開できる構成であってもよい。
【0064】
さらに、上記実施形態では、確認搬送動作においても、停止された印刷ジョブに係る画像の印刷を実施する構成としたが、確認搬送動作では、印刷を実施することなくシートの搬送のみが実施される構成であってもよい。この場合、停止された印刷ジョブが両面印刷である場合は、反転部171内においてもシートのみの搬送が実施される構成を採用することができる。また、ジャム検知部301によるシート詰まり検知の原因になったシート検知センサー161の検知位置が反転部171に属さない場合は、両面印刷が指定された印刷ジョブであっても、確認搬送動作において、1枚のシートを反転部171を通過させない構成を採用することも可能である。
【0065】
加えて、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、当該装置に限らず、複写機等の画像読取機能を有する任意の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。