特許第6237691号(P6237691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237691
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】光モジュール及び光ファイバアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/30 20060101AFI20171120BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G02B6/30
   G02F1/01 F
   G02F1/01 C
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-87887(P2015-87887)
(22)【出願日】2015年4月22日
(65)【公開番号】特開2016-206415(P2016-206415A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】土居 正治
(72)【発明者】
【氏名】石井 晃
(72)【発明者】
【氏名】久保 輝洋
(72)【発明者】
【氏名】久保田 嘉伸
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−277701(JP,A)
【文献】 特開昭63−168632(JP,A)
【文献】 特開2004−271681(JP,A)
【文献】 特開2008−015224(JP,A)
【文献】 特開2013−007797(JP,A)
【文献】 特開2003−241008(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0153881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26−6/27
6/30−6/34
6/42−6/43
G02F 1/00−1/125
1/21−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路が形成された基板と、
光ファイバと、前記基板の前記光導波路の端部側の端面に接合される接合面を有し、前記光ファイバの先端に取り付けられる透光性部材と、前記透光性部材に形成され、前記光ファイバの先端から出射される光を当該光の進行方向とは異なる方向に反射するとともに、反射された光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光するミラー部とを有する光ファイバアセンブリと
を有し、
前記透光性部材は、前記光ファイバの先端に取り付けられる第1の透光性部材と、前記接合面を有し、前記ミラー部が形成された第2の透光性部材とに分離可能に形成され、
前記第2の透光性部材の位置に対する第1の透光性部材の位置が調整される際に、前記第1の透光性部材の分離面と前記第2の透光性部材の分離面とが互いに摺動自在に接触し、且つ、前記第2の透光性部材の位置に対する第1の透光性部材の位置が調整された後に前記第1の透光性部材の分離面と前記第2の透光性部材の分離面とが接着されており、
前記第2の透光性部材の分離面は、前記第1の透光性部材の分離面よりも広いことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記光の進行方向とは異なる方向は、前記光導波路の端部の方向であることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記透光性部材は、前記光ファイバの先端から出射される光の進行方向に対して傾斜する傾斜面をさらに有し、
前記ミラー部は、前記傾斜面に前記透光性部材と同一の材料により形成された突起部と、前記突起部に形成された曲面部とを有し、前記曲面部における全反射を用いて、前記光ファイバの先端から出射される光を当該光の進行方向とは異なる方向に反射し、かつ、反射された光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光することを特徴とする請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記透光性部材は、前記光ファイバの先端から出射される光の進行方向に対して傾斜する傾斜面をさらに有し、
前記ミラー部は、前記傾斜面に前記透光性部材と同一の材料により形成された突起部と、前記突起部に形成され、鏡面加工が施された曲面部とを有し、前記曲面部における鏡面反射を用いて、前記光ファイバの先端からの光を当該光の進行方向とは異なる方向に反射し、かつ、反射された光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光することを特徴とする請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記ミラー部は、反射された光が、前記接合面において、前記光導波路のモードフィールド径に近接又は一致するように、当該光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項6】
前記ミラー部は、前記第1の透光性部材の分離面と前記第2の透光性部材の分離面とが接触した状態で、前記第2の透光性部材の位置に対する前記第1の透光性部材の位置が所定の位置に調整された場合に、反射された光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項7】
前記第1の透光性部材の分離面及び前記第2の透光性部材の分離面は、前記光ファイバの光軸に直交しないように、傾斜することを特徴とする請求項6に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記基板の前記光導波路の端部側の端面及び前記第2の透光性部材の前記接合面は、前記光導波路の光軸に直交しないように、傾斜することを特徴とする請求項6又は7に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記基板の前記光導波路の端部側の端面と、前記透光性部材の前記接合面とは、緩衝部材を介して、接合され、
前記緩衝部材の熱膨張係数は、前記基板の熱膨張係数と、前記透光性部材の熱膨張係数とで挟まれる数値範囲に属することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項10】
光ファイバと、
基板の光導波路の端部側の端面に接合される接合面を有し、前記光ファイバの先端に取り付けられる透光性部材と、
前記透光性部材に形成され、前記光ファイバの先端から出射される光を当該光の進行方向とは異なる方向に反射し、かつ、反射された光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光するミラー部と
を有し、
前記透光性部材は、前記光ファイバの先端に取り付けられる第1の透光性部材と、前記接合面を有し、前記ミラー部が形成された第2の透光性部材とに分離可能に形成され、
前記第2の透光性部材の位置に対する第1の透光性部材の位置が調整される際に、前記第1の透光性部材の分離面と前記第2の透光性部材の分離面とが互いに摺動自在に接触し、且つ、前記第2の透光性部材の位置に対する第1の透光性部材の位置が調整された後に前記第1の透光性部材の分離面と前記第2の透光性部材の分離面とが接着されており、
前記第2の透光性部材の分離面は、前記第1の透光性部材の分離面よりも広いことを特徴とする光ファイバアセンブリ。
【請求項11】
前記光の進行方向とは異なる方向は、前記光導波路の端部の方向であることを特徴とする請求項10に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項12】
前記透光性部材は、前記光ファイバの先端から出射される光の進行方向に対して傾斜する傾斜面をさらに有し、
前記ミラー部は、前記傾斜面に前記透光性部材と同一の材料により形成された突起部と、前記突起部に形成された曲面部とを有し、前記曲面部における全反射を用いて、前記光ファイバの先端から出射される光を当該光の進行方向とは異なる方向に反射し、かつ、反射された光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光することを特徴とする請求項10又は11に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項13】
前記透光性部材は、前記光ファイバの先端から出射される光の進行方向に対して傾斜する傾斜面をさらに有し、
前記ミラー部は、前記傾斜面に前記透光性部材と同一の材料により形成された突起部と、前記突起部に形成され、鏡面加工が施された曲面部とを有し、前記曲面部における鏡面反射を用いて、前記光ファイバの先端からの光を当該光の進行方向とは異なる方向に反射し、かつ、反射された光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光することを特徴とする請求項10又は11に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項14】
前記ミラー部は、反射された光が、前記接合面において、前記光導波路のモードフィールド径に近接又は一致するように、当該光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光することを特徴とする請求項10〜13のいずれか一つに記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項15】
前記ミラー部は、前記第1の透光性部材の分離面と前記第2の透光性部材の分離面とが接触した状態で、前記第2の透光性部材の位置に対する前記第1の透光性部材の位置が所定の位置に調整された場合に、反射された光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一つに記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項16】
前記第1の透光性部材の分離面及び前記第2の透光性部材の分離面は、前記光ファイバの光軸に直交しないように、傾斜することを特徴とする請求項15に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項17】
前記基板の前記光導波路の端部側の端面及び前記第2の透光性部材の前記接合面は、前記光導波路の光軸に直交しないように、傾斜することを特徴とする請求項15又は16に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項18】
前記基板の前記光導波路の端部側の端面と、前記透光性部材の前記接合面とは、緩衝部材を介して、接合され、
前記緩衝部材の熱膨張係数は、前記基板の熱膨張係数と、前記透光性部材の熱膨張係数とで挟まれる数値範囲に属することを特徴とする請求項10〜17のいずれか一つに記載の光ファイバアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール及び光ファイバアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムの変調器として、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)等を使用したマッハツェンダ型変調器(以下「LN変調器」という)が知られている。LN変調器は、高速特性やチャープ特性が優れているため、特に10GHz以上の高速光伝送システムに広く用いられている。LN変調器を搭載する光送受信機では、LN変調器以外の他の部品が搭載されるため、高密度実装を実現する観点から、LN変調器の小型化を図ることが望ましい。
【0003】
LN変調器では、例えば、基板上に形成された光導波路と、光導波路に接続される入出力用の光ファイバとが、互いに同一の方向に延びるように、配置される。このため、光導波路の延伸方向に沿って光ファイバを配置するためのスペースが発生し、これに伴って、LN変調器は、光導波路の延伸方向に沿って大型化してしまう。
【0004】
このようなLN変調器の大型化を抑えるため、光導波路と、光ファイバとを、互いに異なる方向に延びるように、配置したLN変調器が提案されている。このLN変調器では、基板の光導波路の端部側の端面に傾斜面を形成し、光導波路と交差する方向に沿って配置された光ファイバから出射される光を基板の傾斜面によって反射して光導波路へ入射させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−125854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光ファイバから出射される光を基板の傾斜面によって反射して光導波路へ入射させる従来構造では、装置の小型化を図ることができるものの、互いに異なる方向に延びる光導波路と光ファイバとを接続することが困難であるという問題があった。
【0007】
具体的には、従来構造では、光ファイバから出射される光を基板の傾斜面によって反射するため、基板の傾斜面と光ファイバとの位置関係を調整する作業が煩雑となる。このため、従来構造では、互いに異なる方向に延びる光導波路と光ファイバとを接続することが困難である。
【0008】
これに対して、上述した基板の傾斜面に対する光ファイバの位置調整を省略するため、基板に傾斜面を形成することなく、光ファイバから出射される光を反射部材によって反射して光導波路へ入射させるLN変調器が開発されている。このようなLN変調器では、基板から離間した位置に反射部材が配置されるため、光ファイバの先端から光導波路へ至る光路が、基板の光導波路の端部側の端面に傾斜面を形成する構造と比較して、長くなる。光ファイバの先端から光導波路へ至る光路が長くなると、光の損失が発生してしまう。このような光損失を抑えるために、反射部材と光導波路との間に、コリメートレンズ等の集光レンズを配置する構造が考えられる。この構造では、反射部材によって反射された光を集光レンズへ入射させ、集光レンズによって光導波路の端部へ集光する。
【0009】
ところが、反射部材と光導波路との間に集光レンズを配置する構造では、反射部材に加えて集光レンズを配置するためのスペースが発生し、その結果、装置の小型化が阻害されてしまう。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、互いに異なる方向に延びる光導波路と光ファイバとを容易に接続し、かつ、装置の小型化を図ることができる光モジュール及び光ファイバアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示する光モジュールは、一つの態様において、光導波路が形成された基板と、光ファイバアセンブリとを有する。前記光ファイバアセンブリは、光ファイバと、透光性部材と、ミラー部とを有する。前記透光性部材は、前記基板の前記光導波路の端部側の端面に接合される接合面を有し、前記光ファイバの先端に取り付けられる。前記ミラー部は、前記透光性部材に形成され、前記光ファイバの先端から出射される光を当該光の進行方向とは異なる方向に反射するとともに、反射された光を前記接合面を介して前記光導波路の端部に集光する。
【発明の効果】
【0012】
本願の開示する光モジュールの一つの態様によれば、互いに異なる方向に延びる光導波路と光ファイバとを容易に接続し、かつ、装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施例に係る光モジュールの構成を示す上面図である。
図2図2は、本実施例に係る光ファイバアセンブリと光導波路との接続部の一例を示す拡大上面図である。
図3図3は、本実施例に係る光モジュールの光送受信機への収納態様を説明するための説明図である。
図4図4は、変形例1に係る光ファイバアセンブリと光導波路との接続部の一例を示す拡大上面図である。
図5図5は、変形例2に係る光ファイバアセンブリと光導波路との接続部の一例を示す拡大上面図である。
図6図6は、変形例3に係る光ファイバアセンブリと光導波路との接続部の一例を示す拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示する光モジュール及び光ファイバアセンブリの実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する光モジュール及び光ファイバアセンブリが限定されるものではない。
【0015】
まず、本願の開示する一実施例に係る光モジュールの構成を説明する。図1は、本実施例に係る光モジュールの構成を示す上面図である。図1に示すように、光モジュール10は、基板11上に形成された光導波路12近傍に、電極13が設けられることで形成される。基板11は、LiNbOにより形成されており、LN基板とも呼ばれる。また、光導波路12は、Ti等の金属膜を形成して熱拡散させる、あるいは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換する、ことにより形成される。光導波路12は、マッハツェンダ型干渉計を形成し、電極13は、マッハツェンダの平行導波路上に設けられている。
【0016】
また、電極13は、z軸方向の電界による屈折率変化を利用するため、光導波路12の真上に配置される。電極13は、例えば、光導波路12上に、信号電極と接地電極とがパターニングされることにより形成されるコプレーナ電極である。光モジュール10は、光導波路12中を伝搬する光が上記信号電極と接地電極とにより吸収されるのを防ぐため、基板11と電極13との間にバッファ層を有する。バッファ層は、例えば、SiO等により形成される。
【0017】
光モジュール10では、基板11等の部品を収容するパッケージ14に、中継基板15を介して、コネクタ16が設けられている。コネクタ16は、光導波路12を伝搬する光を変調するための電気信号を電極13へ入力させる。
【0018】
また、光モジュール10は、図1に示すように、光源から光の入力を受ける光ファイバ101を基板11上の光導波路12に接続するための光ファイバアセンブリ100を基板11の前段側に有する。光ファイバアセンブリ100の構成については、後述する。
【0019】
また、光モジュール10では、図1に示すように、基板11の後段側に、コリメートレンズ17、反射部材18、偏波合成器19、集光レンズ20、レンズホルダ21、フェルール22及び光ファイバ23が配置されている。コリメートレンズ17は、基板11上の光導波路12から出力された複数の出力光をコリメートする。
【0020】
反射部材18は、コリメートレンズ17によってコリメートされた複数の出力光を当該複数の出力光の進行方向とは異なる方向に反射する。反射部材18は、例えば、複数の出力光を光導波路12の延伸方向と交差する方向に反射する。
【0021】
偏波合成器19は、反射部材18によって反射された複数の出力光を偏波合成する。
【0022】
集光レンズ20は、偏波合成器19によって複数の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光を光ファイバ23に集光する。レンズホルダ21は、集光レンズ20をパッケージ14に固定する。フェルール22は、光ファイバ23をレンズホルダ21に固定する。
【0023】
光ファイバ23は、集光レンズ20によって集光される偏波多重光を後段側のデバイスに伝送する。
【0024】
光モジュール10は、光源からの光を光ファイバアセンブリ100へ入力する。光ファイバアセンブリ100に入力された光は、マッハツェンダ干渉計を形成する光導波路12に入力される。一方、光モジュール10は、入力側からRF信号等の電気信号をコネクタ16へ入力する。コネクタ16に入力された電気信号は、中継基板15を伝播し、電極13に入力される。このとき、電界によって、マッハツェンダ干渉計を形成する一対の光導波路12の屈折率が変化し、これに伴い、光導波路12間の位相差が変化する。その結果、マッハツェンダ干渉によって、位相変調された光が、出力光として光導波路12から複数出力される。光導波路12から出力された複数の出力光は、コリメートレンズ17及び反射部材18を経由して、偏波合成器19に入力され、偏波合成器19によって偏波合成される。偏波合成器19によって複数の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光は、集光レンズ20によって光ファイバ23に集光される。
【0025】
次に、図2を参照して、図1に示した光ファイバアセンブリ100の構成を説明する。図2は、本実施例に係る光ファイバアセンブリと光導波路との接続部の一例を示す拡大上面図である。
【0026】
図2に示すように、光ファイバアセンブリ100は、光ファイバ101と、フェルール102と、ミラー部103とを有する。
【0027】
光ファイバ101は、基板11上の光導波路12の延在方向と交差する方向に沿って配置される。例えば、光ファイバ101は、基板11上の光導波路12の延在方向に直交する方向に沿って配置される。光ファイバ101は、図示しない光源から光の入力を受け付けると、当該光を先端から出射する。
【0028】
フェルール102は、光ファイバ101の先端に取り付けられる。フェルール102は、透光性を有する材料により形成され、光ファイバ101の先端から出射される光を透過させる。また、フェルール102は、基板11の光導波路12の端部12a側の端面11aに接合される接合面102aを有する。また、フェルール102は、光ファイバ101の先端から出射される光の進行方向に対して傾斜する傾斜面102bを有する。このフェルール102は、透光性部材の一例に相当する。
【0029】
ミラー部103は、フェルール102に形成され、光ファイバ101の先端から出射される光を光導波路12の端部12aの方向に反射するとともに、反射された光を接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光する。具体的には、ミラー部103は、フェルール102の傾斜面102bにフェルール102と同一の透光性材料により形成された突起部103aと、突起部103aに形成された曲面部103bとを有する。そして、ミラー部103は、曲面部103bにおける全反射を用いて、光ファイバ101の先端から出射される光を光導波路12の端部12aの方向に反射するとともに、反射された光を接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光する。
【0030】
また、ミラー部103は、反射された光が、接合面102aにおいて、光導波路12のモードフィールド径に近接又は一致するように、当該光を接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光する。具体的には、ミラー部103の曲面部103bは、反射された光が、接合面102aにおいて、光導波路12のモードフィールド径に近接又は一致するように、当該光を接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光する曲率を有している。
【0031】
次に、図3を参照して、光モジュール10の光送受信機Mへの収納態様を説明する。図3は、本実施例に係る光モジュールの光送受信機への収納態様を説明するための説明図である。
【0032】
図3に示す光モジュール10では、光ファイバアセンブリ100が、光ファイバ101の先端から出射される光を光導波路12の端部12aの方向に反射するとともに、反射された光をフェルール102の接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光する。すなわち、従来の光モジュールでは、光ファイバ101の先端12aから出射される光をミラー等の反射部材によって反射し、反射された光をコリメートレンズ等の集光レンズによって光導波路12の端部12aに集光した。このため、従来の光モジュールでは、光ファイバ101と、光導波路12との間に、光導波路12の延伸方向に沿って反射部材及び集光レンズを配置するためのスペースが発生し、このスペースによって光モジュールが大型化することがあった。その結果、光モジュールが光送受信機Mの内部空間Sに収納されない恐れがあった。
【0033】
そこで、本実施例の光モジュール10では、光ファイバアセンブリ100が、光ファイバ101の先端からの光を光導波路12の端部12aの方向に反射するとともに、反射された光をフェルール102の接合面102aを介して光導波路12の端部に集光する。これにより、光導波路12の延伸方向に沿って反射部材及び集光レンズを配置するためのスペースが削減されるので、光導波路12の延伸方向に沿って光モジュール10が大型化することが回避される。その結果、光モジュール10は、図3に示すように、光送受信機Mの内部空間Sに収納される。
【0034】
以上説明したように、光モジュール10では、光ファイバアセンブリ100が、光ファイバ101の先端からの光を光導波路12の端部の方向に反射するとともに、反射された光をフェルール102の接合面102aを介して光導波路12の端部に集光する。このため、光導波路12の延伸方向に沿って光モジュール10が大型化することが回避される。さらに、光モジュール10の使用者は、フェルール102の接合面102aを基板11の端面11aに接合した状態で、互いに異なる方向に延びる光導波路12と光ファイバ101との位置関係を調整することができる。その結果、互いに異なる方向に延びる光導波路12と光ファイバ101とを容易に接続し、かつ、装置の小型化を図ることができる。
【0035】
また、光モジュール10では、ミラー部103は、反射された光が、フェルール102の接合面102aにおいて、光導波路12のモードフィールド径に近接又は一致するように、当該光を接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光する。このため、光導波路12へ入射される光の漏れが抑制される。その結果、光導波路12での光の損失を抑制しつつ、互いに異なる方向に延びる光導波路12と光ファイバ101とを容易に接続することができる。
【0036】
(変形例1)
次に、変形例1について説明する。変形例1に係る光モジュールは、フェルール102が分離可能に形成される点を除き、上記実施例に係る光モジュール10と同様の構成を有する。したがって、変形例1では、上記実施例と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いるとともに、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図4は、変形例1に係る光ファイバアセンブリと光導波路との接続部の一例を示す拡大上面図である。図4に示す光ファイバアセンブリ100では、フェルール102は、光ファイバ101の先端に取り付けられる第1のフェルール112と、接合面102aを有し、ミラー部103が形成された第2のフェルール122とに分離可能に形成される。第1のフェルール112の分離面112aと、第2のフェルール122の分離面122aとは、互いに摺動自在に接触する。そして、第1のフェルール112の分離面112aが、第2のフェルール122の分離面122aに対して摺動することによって、第2のフェルール122の位置に対する第1のフェルール112の位置が調整される。第1のフェルール112及び第2のフェルール122は、それぞれ、第1の透光性部材及び第2の透光性部材の一例に相当する。
【0038】
ミラー部103は、分離面112aと分離面122aとが接触した状態で、第2のフェルール122の位置に対する第1のフェルール112の位置が所定の位置に調整された場合に、反射された光を接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光する。ここで、所定の位置とは、例えば、ミラー部103が光ファイバ101の先端から出射される光を光導波路12の端部12aの方向に反射する位置である。
【0039】
以上説明したように、変形例1に係る光モジュール10では、フェルール102は、光ファイバ101の先端に取り付けられる第1のフェルール112と、接合面102aを有し、ミラー部103が形成された第2のフェルール122とに分離可能に形成される。ミラー部103は、分離面112aと分離面122aとが接触した状態で、第2のフェルール122の位置に対する第1のフェルール112の位置が所定の位置に調整された場合に、反射された光を接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光する。このため、フェルール102の製造誤差に起因して、接合面102aの集光位置と、光導波路12の端部12aとの位置関係がずれている場合であっても、接合面102aの集光位置を光導波路12の端部12aの位置に一致させることができる。その結果、光導波路12での光の損失を抑制しつつ、互いに異なる方向に延びる光導波路12と光ファイバ101とを容易に接続することができる。
【0040】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。変形例2に係る光モジュールは、フェルール102の分離面等が傾斜する点を除き、上記変形例1に係る光モジュール10と同様の構成を有する。したがって、変形例2では、上記変形例1と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いるとともに、その詳細な説明は省略する。
【0041】
図5は、変形例2に係る光ファイバアセンブリと光導波路との接続部の一例を示す拡大上面図である。図5に示す光ファイバアセンブリ100では、第1のフェルール112の分離面112a及び第2のフェルール122の分離面122aは、光ファイバ101の光軸に直交しないように、傾斜する。また、基板11の光導波路12の端部12a側の端面11a及び第2のフェルール122の接合面102aは、光導波路12の光軸に直交しないように、傾斜する。
【0042】
なお、光ファイバ101の光軸と分離面112aの法線との成す角度と、分離面122aから第2のフェルール122へ入射される光の入射角度とは、スネルの法則が成立するように、選択される。具体的には、光ファイバ101の光軸と分離面112aの法線との成す角度をθ、分離面122aから第2のフェルール122へ入射される光の入射角度をθとする。光ファイバ101の屈折率をn、第2フェルール122の屈折率をnとする。この場合、θ及びθは、以下の式(1)が成立するように、選択される。
【0043】
・sinθ=n・sinθ ・・・ (1)
【0044】
また、接合面102aから光導波路12へ入射される光の入射角度と、光導波路12の光軸と基板11の端面11aの法線との成す角度とは、スネルの法則が成立するように、選択される。具体的には、接合面102aから光導波路12へ入射される光の入射角度をθ、光導波路12の光軸と基板11の端面11aの法線との成す角度をθとする。第2フェルール122の屈折率をn、光導波路12の屈折率をnとする。この場合、θ及びθは、以下の式(2)が成立するように、選択される。
【0045】
・sinθ=n・sinθ ・・・ (2)
【0046】
以上説明したように、変形例2に係る光モジュール10では、フェルール102の分離面112a,122a及び接合面102aが傾斜する。このため、フェルール102の分離面112a,122a及び接合面102aにおいて反射される光が光ファイバ101へ入射することが回避される。その結果、互いに異なる方向に延びる光導波路12と光ファイバ101との接続部において、反射に起因した光の減衰を抑制することができる。
【0047】
(変形例3)
次に、変形例3について説明する。変形例3に係る光モジュールは、基板11の端面11aと、フェルール102の接合面102aとが緩衝部材を介して接合される点を除き、上記変形例2に係る光モジュール10と同様の構成を有する。したがって、変形例3では、上記変形例2と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いるとともに、その詳細な説明は省略する。
【0048】
フェルール102は、成形の容易性の観点から、例えばプラスチック等により形成される。このため、フェルール102の熱膨張係数は、基板11の熱膨張係数と比較して、大きい。フェルール102の接合面102aは、基板11の光導波路12の端部12a側の端面11aと接合される。このため、周囲の温度が変化した場合に、フェルール102の接合面102aにストレスが発生し、発生したストレスにより接合面102aが基板11の端面11aから剥離する恐れがある。
【0049】
そこで、基板11の端面11aからフェルール102の接合面102aが剥離することを防ぐため、変形例3では、基板11の端面11aと、フェルール102の接合面102aとは、緩衝部材を介して、接合される。
【0050】
図6は、変形例3に係る光ファイバアセンブリと光導波路との接続部の一例を示す拡大上面図である。図6に示す光ファイバアセンブリ100では、基板11の光導波路12の端部12a側の端面11aと、フェルール102の接合面102aとは、緩衝部材150を介して、接合される。そして、緩衝部材150の熱膨張係数は、基板11の熱膨張係数と、フェルール102の熱膨張係数とで挟まれる数値範囲に属する。例えば、フェルール102の熱膨張係数が、基板11の熱膨張係数と比較して、大きい場合を想定する。この場合、緩衝部材150の熱膨張係数は、基板11の熱膨張係数よりも大きく、かつ、フェルール102の熱膨張係数よりも小さい数値範囲から選択される。これにより、熱膨張係数の差に起因したストレスが緩和され、フェルール102の接合面102aの剥離が抑制される。
【0051】
なお、上記説明では、ミラー部103は、曲面部103bにおける全反射を用いて、光を光導波路12の端部12aの方向に反射するとともに、反射された光を接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光するものとした。しかしながら、曲面部103bには鏡面加工が施されても良い。この場合、ミラー部103は、曲面部103bにおける鏡面反射を用いて、光を光導波路12の端部12aの方向に反射するとともに、反射された光を接合面102aを介して光導波路12の端部12aに集光する。
【0052】
また、上記説明では、個々の実施例及び変形例毎に個別の構成、及び動作を説明した。しかしながら、上記実施例の及び各変形例に係る光モジュール10は、他の変形例に特有の構成要素を併せて有するものとしてもよい。また、実施例、変形例毎の組合せについても、2つに限らず、3つ以上の組合せ等、任意の形態を採ることが可能である。例えば、実施例に係る光モジュール10において、基板11の光導波路12の端部12a側の端面11aと、フェルール102の接合面102aとが、緩衝部材150を介して接合されても良い。さらに、1つの光モジュールが、両立可能な範囲内で、上記実施例及び変形例1〜3において説明した全ての構成要素を併有するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 光モジュール
11 基板
11a 端面
12 光導波路
12a 端部
13 電極
14 パッケージ
15 中継基板
16 コネクタ
17 コリメートレンズ
18 反射部材
19 偏波合成器
20 集光レンズ
21 レンズホルダ
22 フェルール
23 光ファイバ
100 光ファイバアセンブリ
101 光ファイバ
102 フェルール
102a 接合面
102b 傾斜面
103 ミラー部
103a 突起部
103b 曲面部
112 第1のフェルール
112a 分離面
122 第2のフェルール
122a 分離面
150 緩衝部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6