(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
本実施形態に係る画像形成装置1は、例えば、プリンターやデジタル複写機等として用いられ、
図1及び
図2に示すように、自動原稿搬送部100、スキャナー部30、画像形成部40、給紙部50、制御部10、ページメモリー20等を備えて構成される。
【0020】
自動原稿搬送部(原稿搬送部)100は、原稿を搬送しながらその画像を読み取るシートスルー方式の画像読み取りを実行するADFユニットである。
自動原稿搬送部100は、ピックアップローラー101と、分離部102と、第1レジストローラー103と、第2レジストローラー104と、第1搬送ローラー105と、第2搬送ローラー106と、排紙ローラー107と、を備えて構成されている。
【0021】
ピックアップローラー101は、原稿トレイT1の上方に昇降可能に設けられ、原稿トレイT1上に表面を上に向けて積載された原稿Dと接離可能に構成されている。ピックアップローラー101により送り出された原稿Dは分離部102へ送られ、この分離部102で1枚ずつ分離されるようになっている。
【0022】
ここで、このピックアップローラー101は、ピックアップ上下モーターM1の正転、逆転に伴い上下方向に回動するピックアップアーム101aの回動端に回転自在に取り付けられている。そして、ピックアップ上下モーターM1の正転、逆転に伴い、ピックアップアーム101aと一体に上下方向に回動するようになっている。
【0023】
分離部102は、分離ローラー102aと、この分離ローラー102aに下方より圧接する分離パッド102bと、を備えて構成され、ピックアップローラー101により送り出された原稿のうち最上の原稿のみを分離する。なお、ピックアップローラー101及び分離ローラー102aは、ピックアップモーター(図示省略)によって駆動される。
【0024】
分離部102により分離された原稿Dは、第1レジストローラー103にて斜行補正された後、第2レジストローラー104、第1搬送ローラー105により読取位置Rに搬送される。そして、この読取位置Rを通過する間に画像が読み取られる。なお、このように画像が読み取られた後は、第2搬送ローラー106及び排紙ローラー107により、排紙トレイT2上に順番に排出される。
【0025】
また、自動原稿搬送部100の原稿トレイT1には、載置された原稿Dの原稿サイズを検出するための原稿サイズ検出部108が設けられている。ここで、原稿サイズとは、例えば、折り無し原稿にZ折り原稿が含まれたZ折り混載原稿の場合、原稿束全体の原稿サイズ、即ち、折り無し原稿の原稿サイズのことである。
原稿サイズ検出部108は、
図3に示すように、原稿トレイT1上に載置された原稿Dの搬送方向の長さを判別する二つの原稿検出センサー108a、108bと、原稿トレイT1上に搬送方向と直交する幅方向にスライド自在に配置された一対の幅方向規制板108cと、を備えて構成されている。
【0026】
原稿検出センサー108a、108bは、搬送方向に直列に配置された光学センサーであり、上方に原稿Dが存在する場合に、原稿Dを検出したことを示す検出情報を制御部10へと出力する。具体的には、原稿トレイT1上に搬送方向が短手方向である原稿Dが載置された場合、搬送方向下流側の原稿検出センサー108aのみが、原稿Dの検出情報を制御部10へと出力する。一方、原稿トレイT1上に搬送方向が長手方向である原稿Dが載置された場合、二つの原稿検出センサー108a、108bの双方が、原稿Dの検出情報を制御部10へと出力する。
【0027】
一対の幅方向規制板108cは、原稿トレイT1に載置される原稿Dの幅方向を規制することで、原稿D給送時の安定性を確保している。一対の幅方向規制板108cにはスライドギア(図示省略)が設けられており、幅方向規制板108cが移動すると、スライドギアと連動したスライド抵抗(図示省略)が変化する。
ここで、このスライド抵抗の大きさは原稿Dの幅方向のサイズ(主走査方向サイズ)に相当するものである。このスライド抵抗をA/D変換した値は、制御部10へと出力される。そして、制御部10は、このA/D値と、原稿検出センサー108a、108bの検出情報と、に基づいて、原稿Dの原稿サイズを取得する。なお、本実施形態では、定型原稿サイズ(AB系列、レター/ステートメント・ハーフ・レターサイズ等の米国でのメジャー原稿サイズ)の検出ができるようになっている。
【0028】
また、自動原稿搬送部100の原稿トレイT1上方には、ピックアップアーム101aの位置を検出することにより、ピックアップローラー101が、
図5(A)に示す最も高い位置であるHP位置(待機位置)に位置することを検出するHPセンサー109が設けられている。ピックアップローラー101は、Z折り原稿の分離搬送動作が開始される前(例えば、電源投入時及びJOB開始前)、HP位置に位置している。
【0029】
また、自動原稿搬送部100のピックアップローラー101には、最上位の原稿の上方に突出した部分(Z折り部分)の有無、即ち、最上位の原稿がZ折り原稿であるか否かを検出するためのZ折り原稿検出センサー110が装着されている。Z折り原稿検出センサー110は、発光部及び受光部が一体となった光学式の測距センサーである。このZ折り原稿検出センサー110により、開かずに或いは十分に開かずに原稿トレイT1上にセットされたZ折り原稿のZ折り部分を検出することができる。Z折り原稿検出センサー110は、Z折り部分を検出した場合、Z折り部分を検出したことを示す検出情報を制御部10へと出力する。
制御部10は、Z折り原稿検出センサー110の検出情報に基づいて、Z折り原稿であるか否かを判定する。即ち、制御部10は、本発明のZ折検出部として機能する。そして、制御部10は、Z折り原稿であると判定した場合、Z折り原稿を展開する処理を行う。即ち、制御部10は、本発明のZ折展開部として機能する。
【0030】
ここで、Z折り原稿検知センサー110を備えた自動原稿搬送部100におけるZ折り原稿展開処理について、
図4〜
図6を参照して説明する。この処理は、Z折り原稿検知センサー110により、原稿トレイT1上に載置された最上位の原稿D1のZ折り部分Daが検出されたことを契機として開始される。
なお、
図5及び
図6において、原稿トレイT1上には
図1に示す原稿束Dが載置されているが、説明の便宜上、最上位の原稿(ここではZ折り原稿)D1のみを記載するようにしている。ここで、Z折り原稿D1の搬送方向先端から搬送方向長さの1/4の位置をP1、Z折り部分Daの最初の折り部(第1折り部)の位置をP2、次の折り部(第2折り部)の位置をP3とする。
【0031】
まず、制御部10は、
図4に示すように、ピックアップ上下モーターM1を正転方向に回転駆動して、ピックアップアーム101aとともにピックアップローラー101をHP位置(
図5(A)参照)から下降させ、
図5(B)に示すように、最上位の原稿D1上に着地させる(ステップS101)。
【0032】
次に、制御部10は、ピックアップモーター(図示省略)を回転させ、ピックアップローラー101及び分離ローラー102aを回転させる(ステップS102)。これにより、原稿束Dの最上位の原稿D1が分離部102へと搬送され、この分離部102により最上位のZ折り原稿D1だけが分離されて搬送される(
図5(C)参照)。そして、分離されたZ折り原稿D1は、第1レジストローラー103に向けて搬送される。
【0033】
次に、制御部10は、原稿の搬送方向長さの1/4の位置P1がピックアップローラー101の位置に到達したか否か、即ち、Z折り部分Daの第2折り部の位置P3がピックアップローラー101の位置に到達したか否かを判定する(ステップS103)。
制御部10は、
図6(A)に示すように、位置P1がピックアップローラー101の位置に到達したと判定した場合(ステップS103:YES)、次のステップS104へと移行する。
一方、制御部10は、位置P1がピックアップローラー101の位置に到達していないと判定した場合(ステップS103:NO)、到達したと判定するまで処理を繰り返す。
【0034】
次に、制御部10は、
図6(B)に示すように、ピックアップ上下モーターM1を逆転方向に回転させ、ピックアップローラー101を第1退避位置まで上昇させる(ステップS104)。このピックアップローラー101の上昇に伴い、第2折り部の位置P3が上昇する。ピックアップローラー101と接した状態で第2折り部の位置P3が上昇したZ折り原稿D1は、第2折り部の位置P3がピックアップローラー101に当接した状態で分離ローラー102aにより搬送される。この結果、Z折り原稿D1が伸ばされながら搬送される(
図6(C)参照)。
【0035】
次に、制御部10は、Z折り原稿D1の第1折り部の位置P2がピックアップローラー101の位置に到達したか否かを判定する(ステップS105)。
制御部10は、位置P2がピックアップローラー101の位置に到達したと判定した場合(ステップS105:YES)、次のステップS106へと移行する。
一方、制御部10は、位置P2がピックアップローラー101の位置に到達していないと判定した場合(ステップS105:NO)、到達したと判定するまで処理を繰り返す。
【0036】
次に、制御部10は、ピックアップ上下モーターM1を正転方向に回転させ、ピックアップローラー101を第1退避位置(
図6(C)参照)から第2退避位置(
図6(D)参照)まで下降させる(ステップS106)。このように、ピックアップローラー101を第2退避位置まで下降させると、Z折り原稿D1を上方より押さえることができる。これにより、Z折り原稿D1が開かずにセットされた場合でも、Z折り原稿D1のZ折り部分Daを展開して搬送することができる。
【0037】
スキャナー部30は、光源や反射鏡等の光学系を備えて構成され、所定の搬送路を介して読取位置Rへと搬送された原稿D又はプラテンガラスに載置された原稿Dに光源を照射し、反射光を受光する。また、スキャナー部30は、受光した反射光を電気信号に変換して制御部10に出力する。即ち、スキャナー部30は、本発明の画像読取部として機能する。
【0038】
画像形成部40は、イエロー作像部Y、マゼンタ作像部M、シアン作像部C、ブラック作像部K、中間転写ベルトB、定着装置F等を備えて構成される。
各作像部YMCKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を感光体ドラム41に形成し、感光体ドラム41に形成されたYMCK各色のトナー像を中間転写ベルトBに一次転写する。
なお、各作像部YMCKの構成及び動作は何れも同様であるため、以下、イエロー作像部Yを例に挙げて、画像形成部40が行う一連の画像形成動作について説明する。
【0039】
イエロー作像部Yは、感光体ドラム41、帯電装置42、露光装置43、現像装置44、一次転写ローラー45、二次転写ローラー46、クリーニング装置47等を備えて構成される。
【0040】
感光体ドラム41は、表面がフタロシアニン顔料をポリカーボネイトに分散させた有機半導体層及び電荷輸送層により構成される感光体層により構成される。
帯電装置42は、感光体ドラム41を一様に帯電する。
露光装置43は、制御部10からの画像データDyに基づいて感光体ドラム41の画像情報を露光して露光した部分の電荷を除去し、感光体ドラム41の画像領域に静電潜像を形成する。
現像装置44は、感光体ドラム41に形成された静電潜像上に現像プロセスとしてトナー供給を行い、感光体ドラム41にイエローのトナー像を形成する。
【0041】
一次転写ローラー45は、感光体ドラム41に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルトBに一次転写する。
なお、他の作像部MCKも同様に、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を中間転写ベルトBに一次転写する。これにより、中間転写ベルトB上にYMCK各色のカラーのトナー像が形成される。
二次転写ローラー46は、中間転写ベルトBに転写されて形成されたYMCK各色のトナー像を給紙部50から搬送されてきた用紙Pに二次転写する。
【0042】
画像形成部40は、YMCK各色のトナー像が二次転写された用紙Pを定着装置Fにより加熱及び加圧し、その後所定の搬送路に通して機外に排出する。
以上が画像形成部40による一連の画像形成動作である。
【0043】
クリーニング装置47は、一次転写後の感光体ドラム41表面に残留する残留トナーや紙紛等の残留物を除去する。また、クリーニング装置48は、二次転写後の中間転写ベルトBに残留する残留物を除去する。
クリーニング装置47及びクリーニング装置48は、何れも感光体ドラム41又は中間転写ベルトBに残留する残留物を除去する点で同一であり、同様の構成及び動作を行う。
【0044】
給紙部50は、複数のトレイを備えて構成され、各トレイに種類の異なる複数の用紙Pを収容する。給紙部50は、所定の搬送路により収容される用紙Pを画像形成部40に給紙する。
【0045】
制御部10は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、CPUはROMに記憶されている各種プログラムをRAMに展開し、展開された各種プログラムと協働して、自動原稿搬送部100、スキャナー部30、画像形成部40、給紙部50等の画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する(
図2参照)。例えば、制御部10は、スキャナー部30からの電気信号を入力して各種画像処理を行い、画像処理により生成されたYMCK各色の画像データDy、Dm、Dc、Dkを画像形成部40に出力する。また、制御部10は、画像形成部40の動作を制御して用紙Pに画像を形成する。
【0046】
ページメモリー20は、スキャナー部30から出力された画像データを原稿ページ毎に一時的に記憶するためのメモリーである。ページメモリー20としては、例えば、DRAM(Dynamic RAM)等を用いることができる。
【0047】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の動作について、
図7のフローチャートを参照して説明する。この動作は、自動原稿搬送部100の原稿トレイT1に原稿束Dがセットされたことを契機として開始される。
【0048】
まず、制御部10は、原稿サイズ検出部108により検出された検出情報に基づいて、原稿トレイT1上に載置された原稿の原稿サイズを取得する(ステップS201)。
次に、制御部10は、ステップS1で原稿サイズを取得した原稿の搬送を開始する(ステップS202)。
【0049】
次に、制御部10は、Z折り原稿検出センサー110により検出された検出情報に基づいて、最上位の原稿D1がZ折り原稿であるか否かを判定する(ステップS203)。
制御部10は、最上位の原稿D1がZ折り原稿であると判定した場合(ステップS203:YES)、最上位の原稿D1に対してZ折り原稿展開処理を行った後(ステップS204)、ステップS205へと移行する。
一方、制御部10は、最上位の原稿D1がZ折り原稿でないと判定した場合(ステップS203:NO)、Z折りなしの原稿であると判定し、ステップS205へと移行する。
【0050】
次に、制御部10は、スキャナー部30により、Z折りなしの原稿又はZ折り部分が展開された原稿の画像を読み取らせる(ステップS205)。
【0051】
次に、制御部10は、ステップS201で取得した原稿サイズと、ステップS203で判定されたZ折りの有無と、に基づいて、ステップS205で読み取られた原稿の画像データをページメモリー20に割り付ける(ステップS206)。即ち、制御部10は、本発明の画像制御部として機能する。具体的には、制御部10は、ステップS201で取得した原稿サイズ、即ち、Z折り無し原稿の原稿サイズをメモリー管理の基準サイズに設定し、ステップS203でZ折り原稿であると判定した場合は、当該Z折り原稿の画像データのヘッダー情報にZ折り原稿であることを示すフラグ情報(フラグ1)を付与するとともに、当該Z折り原稿の画像データの管理サイズを基準サイズの2倍に設定する。
【0052】
例えば、3枚目がZ折り原稿(A3)である計4枚の原稿束(基準サイズA4)の画像読み取りを行う場合、3枚目のZ折り原稿にフラグ情報を付与するとともに、3枚目のZ折り原稿の管理サイズを基準サイズの2倍に設定する。
具体的には、
図8に示すように、1枚目の原稿はA4サイズのZ折り無し原稿であるので、基準サイズ(A4サイズ)の1ページ分が割り付けられ、ヘッダー情報としてページ情報(P1)のみが設定される。2枚目の原稿はA4サイズのZ折り無し原稿であるので、A4サイズの1ページ分が割り付けられ、ヘッダー情報としてページ情報(P2)のみが設定される。3枚目の原稿はA3サイズのZ折り原稿であるので、A4サイズの2ページ分が割り付けられ、その最初のページに対しヘッダー情報としてページ情報(P3)及びフラグ情報(フラグ1)が設定され、次のページに対しヘッダー情報としてページ情報(P4)及びフラグ情報(フラグ1)が設定される。4枚目の原稿はA4サイズのZ折り無し原稿であるので、A4サイズの1ページ分が割り付けられ、ヘッダー情報としてページ情報(P5)のみが設定される。
従って、各画像データのヘッダー情報を参照してフラグ情報の有無を判定することで、画像読み取り後に行われる画像編集処理や画像出力処理の際、容易にZ折り原稿の画像データであるか否かを判定することができる。
【0053】
次に、制御部10は、次の原稿が存在するか、即ち、原稿トレイT1上に原稿が載置されているか否かを判定する(ステップS207)。
制御部10は、次の原稿が存在すると判定した場合(ステップS207:YES)、ステップS202へと移行して、次の原稿の搬送を開始する。
一方、制御部10は、次の原稿が存在しないと判定した場合(ステップS207:NO)、処理を終了する。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1は、原稿の原稿サイズを検出する原稿サイズ検出部108と、原稿サイズ検出部108により原稿サイズが検出された原稿のZ折りの有無を検出するZ折検出部(制御部10)と、Z折検出部によりZ折りが検出されたZ折り原稿のZ折り部分を展開するZ折展開部(制御部10)と、原稿サイズ検出部108により検出された原稿サイズと、Z折検出部により検出されたZ折りの有無と、に基づいて、画像読取部(スキャナー部30)により読み取られた画像の画像データをページメモリー20に割り付ける画像制御部(制御部10)と、を備える。
従って、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、ページメモリー20内に無駄な空間を生じさせることなく且つ画像データの管理サイズを変更することなく、原稿ページの管理を行うことができるので、Z折り混載原稿の画像読み取りを行う場合であっても、効率的なメモリー管理を実現しつつ、読み取りに係る生産性の低下を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、画像制御部は、Z折り原稿の画像データの管理サイズをZ折り無し原稿の画像データの管理サイズの2倍に設定し、Z折り原稿の画像データのヘッダー情報にZ折り原稿であることを示すフラグ情報を付与する。
従って、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、フラグ情報を参照するだけで容易にZ折り原稿の画像データであるか否かを判定することができるので、画像読み取り後に行われる画像編集処理や画像出力処理の際、効率的且つ正確に処理を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、画像制御部は、原稿サイズ検出部108により検出された原稿サイズを基準サイズとして設定する。
従って、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、一般にZ折り原稿よりも多数であるZ折り無し原稿の原稿サイズを基準サイズとして設定するので、ページメモリー20におけるメモリー管理を容易且つ効率的に実現することができ、読み取りに係る生産性の低下をより確実に抑制することができる。
【0057】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0058】
例えば、スキャナー部30で読み取られたZ折り原稿の画像データに対して、画像補正処理を行うようにしてもよい。
Z折り原稿の画像データは、Z折りで生じる2カ所の折り目に起因して画像が劣化する。Z折り原稿は、折り目が谷折り、山折りの順番でスキャナー部30上を通過する。通常、折り目が無い状態を想定して原稿面の焦点が合わせてあるため、物体面の焦点位置が谷折りの場合は遠点方向、山折りの場合は近点方向にずれ、所謂ピントずれによる画質低下が生じる。加えて、折り目による画像の劣化(例えば、表の罫線ずれや文字ずれ等)が生じ、情報の欠落が顕著となる。レンズコストを投資して十分な被写界深度を確保した読み取り光学系を採用すれば、折り目による画質の劣化は回避することができる。しかしながら、近年の低コストスキャナーの場合、CIS(Contact Image Sensor)を用いた光学系が採用されているため、被写界深度に余裕がないものもある。
上記のような被写界深度に余裕がないスキャナーを採用した場合でも、画像補正処理を行うことで、画質の劣化を改善して高画質の画像を読み取ることができる。
【0059】
Z折り原稿の画像データは、
図9に示すように、フラグ情報が付与された最初のページ(第1のページX1)の後端部から次のページ(第2のページX2)の先端部にかけての領域E1と、次のページの中央部の領域E2と、にそれぞれ折り目が形成されている。従って、制御部10は、Z折り原稿の画像を読み取った場合、ページ情報及びフラグ情報を参照して、上記領域E1及び領域E2を画像補正領域と設定して、画像補正処理を行う。このとき、制御部10、各領域における折り目のタイプ(山折り、谷折り)に応じて画像補正処理を行う。なお、Z折り原稿検出センサー110の挙動により、折り目のタイプ及び折り目位置を検出し、当該検出した折り目タイプ及び折り目位置に基づいて画像補正処理を行うようにしてもよい。
なお、画像補正処理としては、シャープネス・フィルタ処理等の従来公知の方法を採用することができる。
【0060】
上記のように、制御部10が、フラグ情報に基づいて、Z折り原稿に対して画像補正処理を行うことで、Z折り原稿の折り目に起因する画質劣化を改善して高画質の画像を読み取ることができ、画像の読み取り性能を向上させることができる。
【0061】
特に、制御部10が、Z折り原稿の折り目のタイプに応じた画像補正処理を行うことで、補正処理を精度よく行うことができ、優れた画質改善効果を得ることができる。
【0062】
また、上記実施形態では、原稿サイズ検出部108により検出された原稿サイズを基準サイズとして設定するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、原稿サイズ検出部108により検出された原稿サイズを基準サイズとして設定する代わりに、Z折り原稿検出センサー110の検出情報に基づいて検出されたZ折り無し原稿の原稿サイズを基準サイズとして設定するようにしてもよい。
この場合、一般にZ折り原稿よりも多数であるZ折り無し原稿の原稿サイズを基準サイズとして設定するので、ページメモリー20におけるメモリー管理を容易且つ効率的に実現することができ、読み取りに係る生産性の低下をより確実に抑制することができる。
勿論、原稿サイズ検出部108により検出された原稿サイズを基準サイズとして設定する構成と、Z折り原稿検出センサー110の検出情報に基づいて検出されたZ折り無し原稿の原稿サイズを基準サイズとして設定する構成と、を両方備えることも可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、Z折り原稿の画像データのヘッダー情報にフラグ情報を付与するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、ヘッダー情報にフラグ情報を付与する代わりに、Z折り原稿に割り当てられた2ページ(第1のページX1、第2のページX2)を互いに連結するための連結情報を付与するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、Z折り原稿検出センサー110として光学式の測距センサーを例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、光学式の測距センサーの代わりに、物理的な接触型の検出センサーや、原稿面からの原稿の高さ方向の変位を検出するセンサーなどを使用することも可能である。
【0065】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。