【実施例1】
【0042】
まず、実施例1における車両1について、
図1から
図11を用いて詳しく説明する。
なお、
図1は開閉ルーフ20を閉じた状態における車両1の外観斜視図を示し、
図2は開閉ルーフ20を開いた状態における車両1の外観斜視図を示し、
図3は開閉ルーフ20の格納を開始した状態における車両1の左側面図を示し、
図4は開閉ルーフ20が開いた状態におけるデフレクタ装置30の背面図を示し、
図5は
図4中のA−A矢視断面図を示している。
【0043】
さらに、
図6は格納位置におけるデフレクタ装置30の分解斜視図を示し、
図7は車両後方側からの前方保持部材32の外観斜視図を示し、
図8は展開位置における
図4中のB−B矢視断面図を示し、
図9は格納位置における
図4中のB−B矢視断面図を示し、
図10はデフレクタ装置30の動作を説明する説明図を示し、
図11は車両前方側からのデフレクタ33の外観斜視図を示している。
【0044】
また、
図10(a)はデフレクタ33が展開位置に位置する状態のデフレクタ装置30を示し、
図10(b)はデフレクタ33が格納位置に位置する状態のデフレクタ装置30を示している。
【0045】
また、
図3中において図示を簡略化するために開閉ルーフ20の格納リンク機構の図示を省略し、
図4及び
図5中において格納位置におけるデフレクタ33を二点鎖線で示している。さらに、図示を明確にするため、
図9中において開閉ルーフ20の図示を省略するとともに、
図10中において後方保持部材34の図示を省略している。
【0046】
また、図中において、矢印Fr及びRrは車両前後方向を示しており、矢印Frは車両前方を示し、矢印Rrは車両後方を示している。さらに、矢印Rh及びLhは車幅方向を示しており、矢印Rhは車両右方向を示し、矢印Lhは車両左方向を示している。加えて、図中の上方を車両上方とし、図中の下方を車両下方とする。
【0047】
車両1は、
図1及び
図2に示すように、前輪2やボンネット3が配設された車両前部4と、後輪5やトランクリッド6が配設された車両後部7と、車両前部4及び車両後部7との間に位置するとともに、乗員が乗り込む車室部8とで構成している。そして、車両1は、車室部8の車両上方を覆うルーフ部分が開閉自在の開閉ルーフ20で構成された、所謂、オープンカーである。
【0048】
車両1の開閉ルーフ20は、
図1及び
図2に示すように、車室部8の上部において、フロントウインドウガラス9を支持するウインドウ枠材10の上部に着脱自在に連結されるルーフ前部21と、ルーフ前部21の後方に位置するルーフ後部22とで構成している。なお、ルーフ前部21及びルーフ後部22は、詳細な図示を省略するが、複数の金属製パネルを一体的に接合して構成している。
【0049】
この開閉ルーフ20は、車室部8の後方に位置する正面視略門型形状のデッキカバー23の下方に設けた格納空間(図示省略)に折り畳むようにして格納される構成とする。
より詳しくは、開閉ルーフ20は、
図3に示すように、乗員の操作によって、車両後方上方へデッキカバー23が移動したのち、車両前後方向に分離したルーフ前部21、及びルーフ後部22が、リヤウインドウガラス24とともに折り畳まれるようにして車両後方の格納空間に格納される構成である。
【0050】
ウインドウ枠材10は、
図1に示すように、フロントウインドウガラス9の車幅方向両端を支持する左右一対のフロントピラー11と、フロントピラー11の上部を車幅方向で連結するとともに、フロントウインドウガラス9の上端を支持するフロントヘッダ12とで構成している。
【0051】
さらに、フロントヘッダ12には、
図4に示すように、車幅方向外側の両端に配置した位置決め台座13と、車幅方向略中央に配置したロック受け部(図示省略)を備えている。
加えて、フロントヘッダ12には、
図2及び
図4に示すように、車両前方からの走行風を整流するデフレクタ33を出没可能にする左右一対のデフレクタ装置30を、ロック受け部と位置決め台座13との間に配置している。
【0052】
フロントピラー11は、詳細な説明を省略するが、車両上方後方へ延びる閉断面形状のピラーパネルに、車両の外観意匠面であるピラーガーニッシュと、車室部8側の意匠面であるピラートリムを装着して構成している。
【0053】
フロントヘッダ12は、
図5に示すように、フロントピラー11のピラーパネルに接合されるとともに、車幅方向に延びる閉断面形状のヘッダパネル14と、車両の外観意匠面であるヘッダガーニッシュ15と、車室内側の意匠面であるヘッダトリム16とで構成している。
【0054】
ヘッダパネル14は、
図5に示すように、車両上方に位置するヘッダアッパパネル14aと、車両下方に位置するヘッダロアパネル14bとを一体的に接合して、車幅方向に延びる閉断面形状を構成している。
ヘッダアッパパネル14aは、車幅方向に延びるとともに、車両上方に凸した断面ハット状に形成している。このヘッダアッパパネル14aの前端上面には、シール材17を介して、フロントウインドウガラス9の上端を装着固定している。
【0055】
さらに、ヘッダアッパパネル14aの後端は、断面ハット状の後端を車両上方に向けて立設した立設部分(図示省略)によって、車幅方向に延びる凹溝状に形成している。この立設部分には、開閉ルーフ20の前端との隙間、及びヘッダガーニッシュ15の後端との隙間を一体的に閉塞するウェザストリップゴム18を装着している。
【0056】
一方、ヘッダロアパネル14bは、車幅方向に延びるととともに、車両下方に凸した断面ハット状に形成している。
ヘッダガーニッシュ15は、
図5に示すように、合成樹脂製の外観意匠パネルであって、樹脂クリップ19によって、ヘッダパネル14の上面に着脱自在に装着されている。
【0057】
ヘッダトリム16は、
図5に示すように、車両前後方向において、フロントウインドウガラス9の上端近傍からデフレクタ装置30の車両後方に至る範囲を、車両下方から一体的に覆うように形成している。なお、ヘッダトリム16は、詳細な図示を省略するが、樹脂クリップ等によって、ヘッダパネル14に着脱自在に装着されている。
【0058】
より詳しくは、ヘッダトリム16は、ヘッダパネル14の下面、及びデフレクタ装置30と車両下方で対向する底部16aと、底部16aの後端から車両上方へ延設した後壁部16bとで一体形成している。
【0059】
この後壁部16bは、ウェザストリップゴム18の上端より車両下方で、かつ後述するデフレクタ装置30における後方保持部材34の上端よりも車両上方に、上端が位置する車両上下方向長さで延設している。
【0060】
また、位置決め台座13は、開閉ルーフ20におけるルーフ前部21の車幅方向両端に配置された位置決め部材(図示省略)の挿入を許容する形状に形成している。この位置決め台座13は、開閉ルーフ20が閉じる際、開閉ルーフ20の位置決め部材が挿入されることで、開閉ルーフ20の車幅方向への移動を規制する。
【0061】
また、ロック受け部は、開閉ルーフ20の車幅方向への移動が規制された状態において、開閉ルーフ20の前端における車幅方向略中央に配置されたロック機構(図示省略)が係合することで、フロントヘッダ12と開閉ルーフ20とを連結する。
なお、位置決め台座13、及びロック受け部は、ヘッダパネル14に対してボルトなどの適宜の方法で装着固定しているものとする。
【0062】
次に、デフレクタ装置30について、
図4から
図11を用いて詳しく説明する。なお、車両左側に配設されるデフレクタ装置30と、車両右側に配設されるデフレクタ装置30とは左右対称の構成であるため、本実施形態では車両右側に配設されるデフレクタ装置30について説明する。
【0063】
デフレクタ装置30は、
図4及び
図5中の実線で示すように、開閉ルーフ20が開いた状態において、ウェザストリップゴム18の上端よりも車両上方にデフレクタ33の上端が位置する展開位置と、
図4及び
図5中の二点鎖線で示すように、開閉ルーフ20が閉じた状態において、ウェザストリップゴム18の上端よりも車両下方にデフレクタ33の上端が位置する格納位置とに、デフレクタ33を昇降させる機能を有している。
【0064】
このデフレクタ装置30は、
図4に示すように、開閉ルーフ20が開いた際、車幅方向内側かつ車両上方へ向けてデフレクタ33が上昇し、開閉ルーフ20が閉じる際、車幅方向外側かつ車両下方へ向けてデフレクタ33が下降するよう構成している。なお、デフレクタ装置30は、
図5に示すように、開閉ルーフ20が開いた際、側面視において、車両斜め後方へデフレクタ33が上昇可能に構成している。
【0065】
より詳しくは、デフレクタ装置30は、
図5及び
図6に示すように、ヘッダパネル14に溶着されるデフレクタブラケット31と、デフレクタブラケット31に装着固定される前方保持部材32と、前方保持部材32の車両後方に配置されるデフレクタ33と、デフレクタ33を挟持するように前方保持部材32に装着される後方保持部材34と、前方保持部材32及びデフレクタ33の間に介在して、デフレクタ33を車両上方へ付勢する内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36とで構成している。
【0066】
デフレクタブラケット31は、
図5及び
図6に示すように、剛性の高い金属製平板を略直角に折り曲げて、車幅方向に延びる断面略L字状に形成している。
具体的には、デフレクタブラケット31は、ヘッダロアパネル14bの後端下面に溶着される略平板状の溶着部分31aと、溶着部分31aの後端から車両下方へ向けて垂設した垂設部分31bとで、断面略L字状に一体形成している。
【0067】
この垂設部分31bには、
図6に示すように、車両前後方向で前方保持部材32に当接する第1装着部311を車幅方向内側の端部に形成するとともに、車両前後方向で前方保持部材32に当接する第2装着部312を車幅方向の略中央に形成している。
【0068】
さらに、垂設部分31bには、車幅方向外側の端部を車両後方へ延設するとともに、車幅方向外側へ屈曲させて第3装着部313を形成している。なお、第3装着部313は、車両前後方向で前方保持部材32に当接可能に形成している。
【0069】
第1装着部311には、固定ネジ37が挿通する略円形状の第1ブラケット挿通孔311aを、車両前後方向に沿って開口形成している。さらに、第1装着部311の前面には、固定ネジ37が螺合するウェルドナット(図示省略)を溶着固定している。
【0070】
第2装着部312には、固定ネジ37が挿通する略円形状の第2ブラケット挿通孔312aを、車両前後方向に沿って開口形成している。さらに、第2装着部312の前面には、固定ネジ37が螺合するウェルドナット312bを溶着固定している。
【0071】
第3装着部313には、固定ネジ37が挿通する略円形状の第3ブラケット挿通孔313aを、車両前後方向に沿って開口形成している。さらに、第3装着部313の前面には、固定ネジ37が螺合するウェルドナット(図示省略)を溶着固定している。
【0072】
また、前方保持部材32は、
図5及び
図6に示すように、合成樹脂製であって、車両前後方向に所定の厚みを有するとともに、車幅方向に長い背面視略矩形に形成している。この前方保持部材32における車幅方向の長さは、デフレクタブラケット31における車幅方向の長さと略同等の長さに形成している。
【0073】
さらに、前方保持部材32は、デフレクタブラケット31に装着した状態において、ウェザストリップゴム18の上端よりも車両下方、かつヘッダトリム16における後壁部16bの上端よりも車両下方に、その上端が位置する車両上下方向の長さを有する形状に形成している。
【0074】
具体的には、前方保持部材32は、
図6及び
図7に示すように、車両前後方向に所定の厚みを有する略平板状の平板部32aと、平板部32aよりも肉厚で、車両前後方向でデフレクタブラケット31に当接する第1膨出部32b、第2膨出部32c、及び第3膨出部32dとで一体形成している。
【0075】
なお、前方保持部材32は、
図5に示すように、デフレクタブラケット31に装着した状態において、車両上下方向に沿った仮想線(図示省略)に対して、平板部32aが車両後方へ傾斜するように形成するとともに、後方保持部材34とでデフレクタ33を挟持可能に形成している。
【0076】
第1膨出部32bは、前方保持部材32の下部における車幅方向の内側近傍を車両前後方向へ膨出して形成するとともに、デフレクタブラケット31の第1装着部311に当接可能に形成している。この第1膨出部32bには、固定ネジ37が挿通する第1前方挿通孔321を、車両前後方向に沿って開口形成している。
【0077】
第2膨出部32cは、前方保持部材32の下部における車幅方向の略中央近傍を車両前後方向へ膨出して形成するとともに、デフレクタブラケット31の第2装着部312に当接可能に形成している。この第2膨出部32cには、固定ネジ37が挿通する第2前方挿通孔322を、車両前後方向に沿って開口形成している。
【0078】
第3膨出部32dは、前方保持部材32の下部における車幅方向の外側近傍を車両前後方向へ膨出して形成するとともに、デフレクタブラケット31の第3装着部313に当接可能に形成している。この第3膨出部32dには、固定ネジ37が挿通する第3前方挿通孔323を、車両前後方向に沿って開口形成している。
【0079】
上述した第1前方挿通孔321、第2前方挿通孔322、及び第3前方挿通孔323は、それぞれデフレクタブラケット31の第1ブラケット挿通孔311a、第2ブラケット挿通孔312a、及び第3ブラケット挿通孔313aよりも大径の略円形状に開口形成している。
【0080】
前方保持部材32における平板部32aの後面には、
図6及び
図7に示すように、車幅方向における第2膨出部32cよりも内側の位置、並びに車幅方向における第3膨出部32dよりも内側の位置に、車両後方へ向けて形成した2つのボス部32eを設けている。この2つのボス部32eは、後述する後方保持部材34のネジ挿通孔341を介して、締結ネジ38が螺合するように形成している。
【0081】
さらに、平板部32aの後面には、
図7に示すように、第1膨出部32bと第2膨出部32cとの間において、内側トーションスプリング35の一端が係止される内側係止孔324と、内側トーションスプリング35を回転自在に軸支する内側スプリング軸部325と、後述するデフレクタ33の内側ガイドピン333が遊嵌する内側ガイド溝部326とを車幅方向内側からこの順番で備えている。
【0082】
加えて、平板部32aの後面には、
図7に示すように、第2膨出部32cと第3膨出部32dとの間において、外側トーションスプリング36の一端が係止される外側係止孔327と、外側トーションスプリング36を回転自在に軸支する外側スプリング軸部328と、後述するデフレクタ33の外側ガイドピン337が遊嵌する外側ガイド溝部329とを車幅方向内側からこの順番で備えている。
【0083】
内側係止孔324は、車幅方向における第1膨出部32bの外側に近接するとともに、内側トーションスプリング35の一端が挿通可能な大きさで車両前後方向に開口形成している。
内側スプリング軸部325は、内側係止孔324よりも僅かに車幅方向外側の位置において、車両後方へ突出した略円柱状に形成している。
【0084】
内側ガイド溝部326は、内側スプリング軸部325から車幅方向外側へ所定間隔を隔てた位置において、内側スプリング軸部325の中心とする背面視略円弧状に凹設した凹溝形状に形成している。
【0085】
この内側ガイド溝部326は、展開位置にデフレクタ33が位置する状態において、デフレクタ33の内側ガイドピン333と上端とが車両上下方向で当接する位置に形成している(
図10参照)。
【0086】
外側係止孔327は、車幅方向における第2膨出部32cの外側に近接するとともに、外側トーションスプリング36の一端が挿通可能な大きさで車両前後方向に開口形成している。
外側スプリング軸部328は、外側係止孔327よりも僅かに車幅方向外側の位置において、車両後方へ突出した略円柱状に形成している。
【0087】
外側ガイド溝部329は、外側スプリング軸部328から車幅方向外側へ所定間隔を隔てた位置において、外側スプリング軸部328の中心とする背面視略円弧状に凹設した凹溝形状に形成している。
【0088】
この外側ガイド溝部329は、前方保持部材32の下端から車両上方へ向けて形成するとともに、展開位置にデフレクタ33が位置する状態において、デフレクタ33の外側ガイドピン337と上端とが車両上下方向で当接する位置に形成している(
図10参照)。
【0089】
また、デフレクタ33は、
図5及び
図6に示すように、合成樹脂製であって、車両前後方向に厚みを有するとともに、車幅方向に長い形状に形成している。なお、デフレクタ33における車幅方向の長さは、前方保持部材32における車幅方向の長さよりも長く形成している。
【0090】
具体的には、デフレクタ33は、
図4から
図6、及び
図8に示すように、展開位置において、車両前方からの走行風を受風するデフレクタ上部33aと、デフレクタ上部33aにおける車幅方向の所定範囲から車両下方へ延設した内側デフレクタ下部33b、及び外側デフレクタ下部33cとで一体形成している。
【0091】
デフレクタ上部33aは、
図4及び
図6に示すように、車幅方向に長い背面視略矩形であって、前方保持部材32における車幅方向の長さと略同等の車幅方向の長さを有する略平板状の平板部分(図示省略)と、平板部分の車幅方向外側端部から車両後方へ向けてオフセットするように延設した略平板状のオフセット部分(図示省略)とで一体形成している。
【0092】
さらに、デフレクタ上部33aには、
図5、
図6、及び
図8に示すように、平板部分の上端から車両後方へ向けて僅かに延設するとともに、開閉ルーフ20が閉じる際、開閉ルーフ20の前端と当接する縁部分33dを一体形成している。
【0093】
デフレクタ上部33aの平板部分は、
図5に示すように、格納位置において、前方保持部材32と後方保持部材34との間に位置し、展開位置において、前方保持部材32及び後方保持部材34よりも車両上方に位置するように形成している。
【0094】
内側デフレクタ下部33bは、
図4及び
図6に示すように、車幅方向において、デフレクタ上部33aの平板部分における略中央よりも車幅方向内側の位置から車両下方へ延設した背面視略矩形に形成している。
【0095】
この内側デフレクタ下部33bは、
図6及び
図10に示すように、展開位置、及び格納位置において、前方保持部材32と後方保持部材34との間に位置するとともに、前方保持部材32における内側スプリング軸部325と第2膨出部32cとの間の部分と、車両前後方向で対面可能に形成している。
【0096】
換言すると、デフレクタ33は、前方保持部材32の第1膨出部32b、内側係止孔324、及び内側スプリング軸部325を含む背面視略矩形の範囲と対向する部分と、前方保持部材32の第2膨出部32c、外側係止孔327、外側スプリング軸部328、及びボス部32eを含む背面視略矩形の範囲と対向する部分とを切り欠いて内側デフレクタ下部33bを形成している。
【0097】
なお、前方保持部材32の第1膨出部32b、内側係止孔324、及び内側スプリング軸部325を含む背面視略矩形の範囲と対向する部分を第1切欠き部分33eとし、前方保持部材32の第2膨出部32c、外側係止孔327、外側スプリング軸部328、及びボス部32eを含む背面視略矩形の範囲と対向する部分を第2切欠き部分33fとする(
図6参照)。
【0098】
この内側デフレクタ下部33bにおける後面下端には、
図6に示すように、車両後方へ向けて突出した正面視略矩形の後面突部331を、車幅方向に所定間隔を隔てて3つ備えている。この後面突部331は、デフレクタ33が展開位置と格納位置とを移動する際、後方保持部材34の前面と摺動可能に形成している。
【0099】
さらに、内側デフレクタ下部33bの前面には、
図10及び
図11に示すように、所定範囲を車両後方へ凹設した凹面部分332と、前方保持部材32の内側ガイド溝部326に遊嵌する内側ガイドピン333とを備えている。
【0100】
凹面部分332は、展開位置と格納位置との間をデフレクタ33が移動する際、後述する内側トーションスプリング35における直線部35dが移動する背面視略扇状の範囲と重合する部分、及び展開位置において内側ガイド溝部326と対向する部分を、内側トーションスプリング35の直径と略同等の車両前後方向の長さで凹設して形成している。
内側ガイドピン333は、凹面部分332から車両前方へ向けて立設した略円柱状であって、展開位置において内側ガイド溝部326の上端と当接可能な位置に立設している。
【0101】
加えて、内側デフレクタ下部33bの前面には、
図11に示すように、車両後方へ向けて突出した正面視略矩形の前面突部334を、凹面部分332よりも車両上方における車幅方向の両端に備えている。この前面突部334は、デフレクタ33が展開位置と格納位置とを移動する際、前方保持部材32の後面と摺動可能に形成している。
【0102】
外側デフレクタ下部33cは、
図4及び
図6に示すように、車幅方向において、デフレクタ上部33aの平板部分における略中央よりも車幅方向外側の位置から車両下方へ延設した背面視略矩形に形成している。
【0103】
この外側デフレクタ下部33cは、
図8から
図10に示すように、展開位置、及び格納位置において、前方保持部材32と後方保持部材34との間に位置するとともに、前方保持部材32における外側スプリング軸部328と第3膨出部32dとの間の部分と、車両前後方向で対面可能に形成している。
【0104】
換言すると、デフレクタ33は、第2切欠き部分33fと、前方保持部材32の第3膨出部32d、及びボス部32eを含む車幅方向外側の範囲と対向する部分とを切欠いて外側デフレクタ下部33cを形成している。なお、前方保持部材32の第3膨出部32d、及びボス部32eを含む車幅方向外側の範囲を第3切欠き部分33gとする(
図6参照)。
【0105】
この外側デフレクタ下部33cにおける後面下端には、
図6に示すように、車両後方へ向けて突出した正面視略矩形の後面突部335を、車幅方向に所定間隔を隔てて3つ備えている。この後面突部335は、デフレクタ33が展開位置と格納位置とを移動する際、後方保持部材34の前面と摺動可能に形成している。
【0106】
さらに、外側デフレクタ下部33cの前面には、
図10及び
図11に示すように、所定範囲を車両後方へ凹設した凹面部分336と、前方保持部材32の外側ガイド溝部329に遊嵌する外側ガイドピン337とを備えている。
【0107】
凹面部分336は、展開位置と格納位置との間をデフレクタ33が移動する際、後述する外側トーションスプリング36における直線部36dが移動する背面視略扇状の範囲と重合する部分、及び展開位置において外側ガイド溝部329と対向する部分を、外側トーションスプリング36の直径と略同等の車両前後方向の長さで凹設して形成している。
外側ガイドピン337は、凹面部分336から車両前方へ向けて立設した略円柱状であって、展開位置において外側ガイド溝部329の上端と当接可能な位置に立設している。
【0108】
加えて、外側デフレクタ下部33cの前面には、
図11に示すように、車両後方へ向けて突出した正面視略矩形の前面突部338を、凹面部分336よりも車両上方における車幅方向の両端に備えている。この前面突部338は、デフレクタ33が展開位置と格納位置とを移動する際、前方保持部材32の後面と摺動可能に形成している。
【0109】
また、後方保持部材34は、
図5及び
図6に示すように、剛性の高い金属製であって、車両前後方向に所定の厚みを有するとともに、車幅方向に長い背面視略矩形に形成している。この後方保持部材34における車幅方向の長さは、デフレクタブラケット31における車幅方向の長さと略同等の長さに形成している。
【0110】
さらに、後方保持部材34は、
図5に示すように、デフレクタブラケット31に装着した状態において、ウェザストリップゴム18の上端よりも車両下方、かつヘッダトリム16における後壁部16bの上端よりも車両下方に、その上端が位置する車両上下方向の長さを有する形状に形成している。
【0111】
具体的には、後方保持部材34は、
図6に示すように、車両前後方向に所定の厚みを有する略平板状の平板部34aと、車両前後方向で前方保持部材32に当接する第1当接部34b、第2当接部34c、及び第3当接部34dとで一体形成している。
なお、後方保持部材34は、前方保持部材32とでデフレクタ33を挟持可能に形成している。
【0112】
後方保持部材34の平板部34aは、
図5に示すように、デフレクタブラケット31に装着した状態において、前方保持部材32の平板部32aと略平行に対面するように、車両上下方向に沿った仮想線(図示省略)に対して車両後方へ傾斜するように形成している。
さらに、平板部34aには、前方保持部材32の2つのボス部32eと車両前後方向で対向する位置に、締結ネジ38が挿通する2つのネジ挿通孔341を開口形成している。
【0113】
第1当接部34bは、後方保持部材34の下部における車幅方向の内側近傍を車両前方へ凸設するとともに、前方保持部材32の第1膨出部32bに当接可能に形成している。この第1当接部34bには、固定ネジ37が挿通する第1後方挿通孔342を、車両前後方向に沿って開口形成している。
第1後方挿通孔342は、デフレクタブラケット31の第1ブラケット挿通孔311aと略同等の直径で、車幅方向に長い背面視略長楕円形状に形成している。
【0114】
第2当接部34cは、後方保持部材34の下部における車幅方向の略中央近傍を車両前方へ凸設するとともに、前方保持部材32の第2膨出部32cに当接可能に形成している。この第2膨出部32cには、固定ネジ37が挿通する第2後方挿通孔343を、車両前後方向に沿って開口形成している。
第2後方挿通孔343は、デフレクタブラケット31の第2ブラケット挿通孔312aよりも大径で、かつ第2膨出部32cの第2前方挿通孔322よりも小径の略円形状に形成している。
【0115】
第3当接部34dは、後方保持部材34の下部における車幅方向の外側近傍を車両後方へ凸設するとともに、前方保持部材32の第3膨出部32dに当接可能に形成している。この第3当接部34dには、固定ネジ37が挿通する第3後方挿通孔344を、車両前後方向に沿って開口形成している。
第3後方挿通孔344は、デフレクタブラケット31の第3ブラケット挿通孔313aと略同径の略円形状に形成している。
【0116】
また、内側トーションスプリング35は、
図7に示すように、弾性を有する金属製線条体を車両前後方向に沿った螺旋状に複数回巻き回して形成している。この内側トーションスプリング35は、デフレクタ33が展開位置に位置する状態において、環状先端部35cが前方保持部材32の内側ガイド溝部326の上端に位置し(
図7、及び
図10(a)参照)、デフレクタ33が格納位置に位置する状態において、後述する環状先端部35cが前方保持部材32の下端近傍に位置するように構成している(
図5、及び
図10(b)参照)。
【0117】
具体的には、内側トーションスプリング35は、
図7に示すように、内側スプリング軸部325の外径よりも僅かに大きい内径で、金属製線条体を巻き回した巻き回し部35aと、巻き回し部35aから車幅方向内側に延びる一端側である係止端部35bと、巻き回し部35aから車幅方向外側に延びる他端側である環状先端部35cとで一体形成している。
【0118】
係止端部35bは、巻き回し部35aの一端から車幅方向内側へ延設するとともに、車両前方へ向け屈曲して、前方保持部材32の内側係止孔324に可能に形成している。
環状先端部35cは、巻き回し部35aの他端から車幅方向外側かつ車両上方へ向けて延設した直線部35dの先端を、デフレクタ33の内側ガイドピン333が挿通可能な直径で1回巻き回して形成している。
【0119】
なお、直線部35dは、内側スプリング軸部325に装着した状態において、内側ガイド溝部326の上端と環状先端部35cとが対向可能な長さで形成している。
このような内側トーションスプリング35は、前方保持部材32の内側スプリング軸部325と、内側係止孔324とでデフレクタ33を昇降させる昇降手段を構成している。
【0120】
外側トーションスプリング36は、
図7に示すように、弾性を有する金属製線条体を用いて、内側トーションスプリング35と同一形状に形成している。
より詳しくは、外側トーションスプリング36は、螺旋状に複数回巻き回して形成した巻き回し部36aと、巻き回し部36aの一端を延設して形成するとともに、前方保持部材の外側係止孔327に係止される係止端部36bと、巻き回し部36aの他端を延設して形成した環状先端部36c、及び直線部36dとで一体形成している。
【0121】
なお、環状先端部36cは、デフレクタ33の外側ガイドピン337が挿通可能な直径で直線部36dの先端を1回巻き回して形成している。
このような外側トーションスプリング36は、前方保持部材32の外側スプリング軸部328と、外側係止孔327とでデフレクタ33を昇降させる昇降手段を構成している。
【0122】
次に、上述したデフレクタブラケット31、前方保持部材32、後方保持部材34、デフレクタ33、内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36を組付けてデフレクタ装置30を構成する工程について説明する。
【0123】
まず、前方保持部材32の内側係止孔324に、内側トーションスプリング35の係止端部35bを差し込んで係止するとともに、内側スプリング軸部325に内側トーションスプリング35の巻き回し部35aを挿入して装着する。
【0124】
同様に、前方保持部材32に外側トーションスプリング36を装着する。この際、内側トーションスプリング35の環状先端部35cが内側ガイド溝部326の上部と対向するとともに、外側トーションスプリング36の環状先端部36cが外側ガイド溝部329の上部と対向する。
内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36を前方保持部材32に装着したのち、前方保持部材32に対してデフレクタ33を装着する。
【0125】
この際、デフレクタ33の内側ガイドピン333が、内側トーションスプリング35の環状先端部35cを介して、前方保持部材32の内側ガイド溝部326に遊嵌するとともに、デフレクタ33の外側ガイドピン337が、外側トーションスプリング36の環状先端部36cを介して、外側ガイド溝部329に遊嵌するように装着する。
【0126】
そして、前方保持部材32とでデフレクタ33を挟持するように、後方保持部材34を重ね合せるとともに、ネジ挿通孔341を介して締結ネジ38をボス部32eに螺合して、前方保持部材32と後方保持部材34とを締結する。
その後、ヘッダパネル14に予め溶着したデフレクタブラケット31に対して、デフレクタ33を挟持した前方保持部材32、及び後方保持部材34を装着する。
【0127】
この際、後方保持部材34の第1後方挿通孔342、第2後方挿通孔343、及び第3後方挿通孔344と、前方保持部材32の第1前方挿通孔321、第2前方挿通孔322、及び第3前方挿通孔323を介して、固定ネジ37をデフレクタブラケット31に螺合して、デフレクタブラケット31に装着固定する。
【0128】
このようにしてヘッダパネル14に装着すると、デフレクタ装置30は、内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36による車両上方への付勢力によって、内側ガイドピン333と内側ガイド溝部326とが当接するとともに、外側ガイドピン337と外側ガイド溝部329とが当接した状態となる。
【0129】
このため、デフレクタ33は、展開位置に位置するとともに、内側デフレクタ下部33b、及び外側デフレクタ下部33cが、前方保持部材32の平板部32a、及び後方保持部材34の平板部34aと車両前後方向で重合した状態となる。
【0130】
引き続き、デフレクタ33が展開位置から格納位置に移動する際のデフレクタ装置30の動作について
図10を用いて説明する。
まず、
図10(a)に示すように、開閉ルーフ20が開いた状態、すなわちデフレクタ33が展開位置に位置する状態において、開閉ルーフ20が閉じると、車両下方へ移動する開閉ルーフ20の前端によって、デフレクタ33が車両下方へ押圧される。
【0131】
このため、デフレクタ33は、内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36の付勢力に抗して車両下方へ移動を開始する。この際、デフレクタ33は、内側ガイド溝部326、及び外側ガイド溝部329に沿って、車幅方向外側、かつ車両下方へ略平行移動するようにして格納位置へ移動する。
【0132】
そして、開閉ルーフ20が完全に閉じると、デフレクタ33は、
図10(b)に示すように、格納位置に移動完了する。この際、デフレクタ33には、内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36の付勢力と、開閉ルーフ20の前端との当接とによって、車両上方への移動、及び車両下方への移動が規制された状態で格納される。
【0133】
一方、開閉ルーフ20が開いた際、内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36の付勢力が作用するため、デフレクタ33は、内側ガイド溝部326、及び外側ガイド溝部329に沿って、車幅方向内側、かつ車両上方へ略平行移動するようにして展開位置に移動する。
【0134】
以上のような動作を実現する車両1の整流構造は、車両前後方向におけるデフレクタ33の支持剛性を向上でき、所望する整流効果を確保することができる。
具体的には、略平板状の前方保持部材32、及び後方保持部材34の間にデフレクタ33が介在するため、デフレクタ装置30は、前方保持部材32、及び後方保持部材34でデフレクタ33を挟持するように支持することができる。
【0135】
つまり、デフレクタ装置30は、車両前後方向における前方保持部材32とデフレクタ33との隙間、及び車両前後方向における後方保持部材34とデフレクタ33との隙間を小さくすることができる。
【0136】
さらに、前方保持部材32、及び後方保持部材34が、展開位置における内側デフレクタ下部33b、及び外側デフレクタ下部33cと車両前後方向で重合するため、デフレクタ装置30は、内側デフレクタ下部33b、及び外側デフレクタ下部33cを、前方保持部材32の平板部32a、及び後方保持部材34の平板部34aでデフレクタ33を支持することができる。
【0137】
これにより、デフレクタ装置30は、リンク部材や付勢バネだけで支持する場合に比べて、展開位置におけるデフレクタ33を安定して支持することができる。さらに、車両上下方向へ昇降する過程においても、デフレクタ装置30は、デフレクタ33を安定して支持することができる。
【0138】
このため、例えば、車両前方からの強風を受風した場合、車両1の整流構造は、車両上方に移動完了したデフレクタ33が揺動することを防止するとともに、デフレクタ33の昇降に不具合が生じることを防止できる。
【0139】
従って、車両1の整流構造は、展開位置において、内側デフレクタ下部33b、及び外側デフレクタ下部33cと、前方保持部材32、及び後方保持部材34とが重合することによって、車両前後方向におけるデフレクタ33の支持剛性を向上でき、所望する整流効果を確保することができる。
【0140】
また、前方保持部材32とデフレクタ33の間に介在する内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36をデフレクタ装置30に備え、車両前後方向において、内側トーションスプリング35と重合する部分を凹設した凹面部分332と、外側トーションスプリング36と重合する部分を凹設した凹面部分336とを備えたことにより、車両1の整流構造は、車両前後方向におけるデフレクタ33の支持剛性のさらなる向上と、デフレクタ装置30の薄型化と両立することができる。
【0141】
さらに、内側トーションスプリング35、内側スプリング軸部325、及び内側係止孔324と重合する部分を切り欠いた第1切欠き部分33e、外側トーションスプリング36、外側スプリング軸部328、及び外側係止孔327と重合する部分を切り欠いた第2切欠き部分33fとをデフレクタ33に備えたことにより、車両1の整流構造は、車両前後方向におけるデフレクタ33の支持剛性のさらなる向上と、デフレクタ装置30の薄型化と両立することができる。
【0142】
具体的には、前方保持部材32とデフレクタ33との間に介在する内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36によって、車両前後方向における前方保持部材32とデフレクタ33との隙間が大きくなる。このため、デフレクタ装置30は、車両前後方向において、デフレクタ33を安定して支持できないおそれがあった。
【0143】
そこで、デフレクタ33に凹面部分332、凹面部分336、第1切欠き部分33e、及び第2切欠き部分33fを設けたことにより、デフレクタ装置30は、内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36が介在する場合であっても、車両前後方向における前方保持部材32とデフレクタ33との隙間、及び車両前後方向における後方保持部材34とデフレクタ33との隙間をより小さくすることができる。これにより、デフレクタ装置30は、車両前後方向において、デフレクタ33をより安定して支持することができる。
【0144】
さらに、車両前後方向における前方保持部材32と後方保持部材34との間隔をより小さくできるため、車両1の整流構造は、車両前後方向におけるデフレクタ装置30の長さをより短くすることができ、デフレクタ装置30の薄型化を図ることができる。
【0145】
従って、車両1の整流構造は、デフレクタ33に設けた凹面部分332、凹面部分336、第1切欠き部分33e、及び第2切欠き部分33fによって、車両前後方向におけるデフレクタ33の支持剛性のさらなる向上と、デフレクタ装置30の薄型化と両立することができる。
【0146】
また、デフレクタ33に内側ガイドピン333を備え、前方保持部材32に内側ガイドピン333が遊嵌する内側ガイド溝部326を備えるとともに、デフレクタ33に外側ガイドピン337を備え、前方保持部材32に内側ガイドピン337が遊嵌する外側ガイド溝部329を備えたことにより、車両1の整流構造は、デフレクタ33の昇降を案内するとともに、デフレクタ33を所望する位置に確実に移動させることができる。
【0147】
具体的には、デフレクタ33と一体的に内側ガイドピン333、及び外側ガイドピン337が昇降するため、デフレクタ装置30は、内側ガイド溝部326、及び外側ガイド溝部329に沿って案内しながらデフレクタ33を昇降させることができる。
【0148】
これにより、デフレクタ装置30は、格納位置と、展開位置とに、デフレクタ33を確実に移動させることができる。このため、デフレクタ装置30は、前方保持部材32、及び後方保持部材34と重合しない位置まで内側デフレクタ下部33b、及び外側デフレクタ下部33cが上昇することを防止でき、展開位置において、デフレクタ33をより安定して支持することができる。
【0149】
さらに、デフレクタ装置30は、デフレクタ33が下降する際、所望する位置にデフレクタ33を確実に移動させることができ、開閉ルーフ20による押圧などによって、デフレクタ33が意図せず変形することを防止できる。
【0150】
従って、車両1の整流構造は、デフレクタ33の内側ガイドピン333、及び外側ガイドピン337と、前方保持部材32の内側ガイド溝部326、及び外側ガイド溝部329とによって、デフレクタ33の昇降を案内するとともに、デフレクタ33を所望する位置に確実に移動させることができる。
また、本構造では、内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36自体が四節リンク機構のような動きをするため、デフレクタ33が車幅方向に傾くことなく安定的に作動させることができる。
【0151】
また、剛性の高い金属製の後方保持部材34としたことにより、車両1の整流構造は、車両前後方向におけるデフレクタ33の支持剛性をさらに向上でき、所望する整流効果をより確実に確保することができる。
【0152】
具体的には、剛性の高い金属で後方保持部材34を形成したことにより、デフレクタ装置30は、デフレクタ33の車両後方側をより確実に支持することができる。このため、例えば、車両前方からの強風を整流する際、デフレクタ装置30は、デフレクタ33の車両後方への倒れ込みを、後方保持部材34とデフレクタ33との当接によって規制することができる。
【0153】
加えて、剛性の高い金属で後方保持部材34を形成したことにより、車両1の整流構造は、後方保持部材34の意図しない変形を抑制して、デフレクタ33の昇降が阻害されることを防止できる。
【0154】
従って、車両1の整流構造は、剛性の高い後方保持部材34により、車両前後方向におけるデフレクタ33の支持剛性をさらに向上でき、所望する整流効果をより確実に確保することができる。
【実施例2】
【0155】
次に上述した実施例1のデフレクタ装置30に対して、デフレクタ33を車両上下方向に昇降させるデフレクタ装置40について、
図12を用いて詳しく説明する。
なお、上述の実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0156】
また、
図12は実施例2におけるデフレクタ装置40を説明する説明図を示し、
図12(a)はデフレクタ33が展開位置に位置する状態のデフレクタ装置40を示し、
図12(b)はデフレクタ33が格納位置に位置する状態のデフレクタ装置40を示している。さらに、図示を明確にするため、
図12中において後方保持部材34の図示を省略している。
【0157】
実施例2におけるデフレクタ装置40は、上述した実施例1のデフレクタ装置30に対して、内側トーションスプリング41、前方保持部材32、及びデフレクタ33の形状が異なる構成である。
【0158】
内側トーションスプリング41は、
図12に示すように、外側トーションスプリング36に対して左右対象形状に形成している点を除いて、同様の構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0159】
前方保持部材32は、上述の実施例1と同様に、車両前後方向に所定の厚みを有する略平板状であって、その下部に第1膨出部32b、第2膨出部32c、及び第3膨出部32dを有する形状に形成している。
【0160】
そして、前方保持部材32の後面には、
図12に示すように、車幅方向における第2膨出部32cの内側に近接して開口形成した第1端部差込孔(図示省略)と、第1端部差込孔よりも僅かに車幅方向内側の位置に形成した内側スプリング軸部401と、内側トーションスプリング41の環状先端部(図示省略)よりも車幅方向内側の位置に形成した内側ガイド溝部402を備えている。
【0161】
さらに、前方保持部材32の後面には、車幅方向における第2膨出部32cの外側に近接して開口形成した第2端部差込孔(図示省略)と、第2端部差込孔よりも僅かに車幅方向内側の位置に形成した外側スプリング軸部328と、外側トーションスプリング36の環状先端部(図示省略)よりも車幅方向内側の位置に形成した外側ガイド溝部403を備えている。
なお、内側ガイド溝部402、及び外側ガイド溝部403は、車両上下方向に長い長楕円形状に形成している。
【0162】
また、デフレクタ33における内側デフレクタ下部33bには、
図12に示すように、内側トーションスプリング41の可動範囲と重合する部分を凹設した凹面部分411と、凹面部分411とは異なる平面部分に形成するとともに、内側ガイド溝部402に遊嵌する内側ガイドピン412とを、車幅方向外側からこの順番で配置している。さらに、凹面部分411には、内側トーションスプリング41の環状先端部が回転自在に支持される軸部413を車両前方へ向けて形成している。
【0163】
一方、外側デフレクタ下部33cには、
図12に示すように、凹面部分336と、凹面部分336とは異なる平面部分に形成するとともに、外側ガイド溝部403に遊嵌する外側ガイドピン414とを、車幅方向内側からこの順番で配置している。さらに、凹面部分336には、外側トーションスプリング36の環状先端部が回転自在に支持される軸部415を車両前方へ向けて形成している。
【0164】
つまり、実施例2におけるデフレクタ装置40は、第2膨出部32cを通る車両上下方向の仮想線(図示省略)に対して、内側トーションスプリング41と、外側トーションスプリング36とを左右対象に配置した昇降手段によって、デフレクタ33を車両上下方向に昇降可能に構成している。
【0165】
これにより、実施例2におけるデフレクタ装置40は、
図12(a)に示した展開位置に位置するデフレクタ33を、開閉ルーフ20が閉じる際、
図12(b)に示すように、内側ガイド溝部402、及び外側ガイド溝部403に沿うとともに、内側トーションスプリング41、及び外側トーションスプリング36の付勢力に抗して車両下方へ移動可能に構成している。
【0166】
この際、内側トーションスプリング41、及び外側トーションスプリング36は、内側スプリング軸部401、及び外側スプリング軸部328を支点として、内側トーションスプリング41の直線部41d、及び外側トーションスプリング36の直線部36dが車両上方へ湾曲するように弾性変形しながら、環状先端部が車両下方へ移動する。
【0167】
一方、開閉ルーフ20が開いた際、デフレクタ装置40は、内側トーションスプリング41、及び外側トーションスプリング36の付勢力によって、デフレクタ33を車両上方へ移動させることができる。この際、デフレクタ33は、内側ガイド溝部402、及び外側ガイド溝部403に沿って、車両上方へ向けて移動することができる。
【0168】
以上のような動作を実現するデフレクタ装置40であっても、上述の実施例1と同様に、車両前後方向におけるデフレクタ33の支持剛性を向上でき、所望する整流効果を確保することができる。
【0169】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のフロントピラー部は、実施形態のフロントピラー11に対応し、
以下同様に、
フロントヘッダ部は、ヘッダパネル14に対応し、
デフレクタ機構部は、デフレクタ装置30,40に対応し、
開閉ルーフ車は、車両1に対応し、
デフレクタの下部は、内側デフレクタ下部33b、及び外側デフレクタ下部33cに対応し、
昇降手段は、内側トーションスプリング35、内側スプリング軸部325、及び内側係止孔324による昇降手段と、外側トーションスプリング36、外側スプリング軸部328、及び外側係止孔327による昇降手段と、内側トーションスプリング41、内側スプリング軸部401、及び内側係止孔による昇降手段と、外側トーションスプリング36、外側スプリング軸部328、及び外側係止孔327による昇降手段とに対応し、
逃げ部は、凹面部分332,336,411、第1切欠き部分33e、及び第2切欠き部分33fに対応し、
突起部は、内側ガイドピン333,412、及び外側ガイドピン337,414に対応し、
案内溝部は、内側ガイド溝部326,402、及び外側ガイド溝部329,403に対応し、
高剛性材料は、剛性の高い金属に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0170】
例えば、上述の実施例1及び実施例2において、金属製の開閉ルーフ20としたが、これに限定せず、合成樹脂製の開閉ルーフとしてもよい。あるいは、幌布や幌骨で構成したソフトトップ式の開閉ルーフとしてもよい。
また、車両後部7の格納区画に折り畳むように格納される開閉ルーフ20としたが、これに限定せず、車体に対して着脱自在の開閉ルーフとしてもよい。
【0171】
また、ヘッダパネル14にデフレクタ装置30を装着する構成としたが、これに限定せず、ヘッダトリム14にデフレクタ装置30を装着する構成としてもよい。
また、開閉ルーフ20の開閉に連動してデフレクタ33を昇降させるデフレクタ装置30としたが、これに限定せず、乗員の手動操作によって、デフレクタ33を展開位置と格納位置とに移動させるデフレクタ装置としてもよい。
【0172】
また、内側トーションスプリング35及び外側トーションスプリング36の付勢力によって、デフレクタ33を上昇させる構成としたが、これに限定せず、デフレクタ33をソレノイドバルブなどで電気的に昇降させる構成としてもよい。
また、車両前方へ凹設した内側ガイド溝部326、及び外側ガイド溝部329としたが、これに限定せず、車両前後方向に開口した開口溝形状の内側ガイド溝部、及び外側ガイド溝部としてもよい。
【0173】
また、車両前方へ突出した内側ガイドピン333、及び外側ガイドピン337を有するデフレクタ33と、車両前方へ凹設した内側ガイド溝部326、及び外側ガイド溝部329を有する前方保持部材32とを備えたデフレクタ装置30としたが、これに限定せず、内側ガイド溝部、及び外側ガイド溝部を後方保持部材34に有する構成としてもよい。
【0174】
より詳しくは、車両後方へ突出した内側ガイドピン、及び外側ガイドピンを有するデフレクタ33と、車両後方へ凹設した内側ガイド溝部、及び外側ガイド溝部を有する後方保持部材34とを備え、内側ガイドピンが内側ガイド溝部に遊嵌し、外側ガイドピンが内側ガイド溝部に遊嵌する構成としてもよい。
あるいは、車両前方へ突出した内側ガイドピン、及び車両後方へ突出した外側ガイドピンを備えたデフレクタ33と、内側ガイドピンが遊嵌する内側ガイド溝部を備えた前方保持部材32と、外側ガイドピンが遊嵌する外側ガイド溝部を備えた後方保持部材34とを備えたデフレクタ装置30としてもよい。
【0175】
このような場合であっても、上述の実施形態と同様に、車両1の整流構造は、デフレクタ33の昇降を案内するとともに、デフレクタ33を所望する位置に確実に移動させることができる。
【0176】
また、前方保持部材32とデフレクタ33との間に内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36が介在する構成としたが、これに限定せず、デフレクタ33と後方保持部材34との間に内側トーションスプリング35、及び外側トーションスプリング36が介在する構成としてもよい。この場合、凹面部分332、及び凹面部分336をデフレクタ33の後面に形成する構成とする。
あるいは、前方保持部材32とデフレクタ33との間に内側トーションスプリング35が介在し、デフレクタ33と後方保持部材34との間に外側トーションスプリング36が介在する構成としてもよい。
【0177】
また、合成樹脂製の前方保持部材32と、剛性の高い金属製の後方保持部材34とを備えたデフレクタ装置30としたが、これに限定せず、剛性の高い金属製の前方保持部材32と、合成樹脂製の後方保持部材34とを備えたデフレクタ装置30としてもよい。
【0178】
これにより、前方保持部材32を高剛性材料で形成した場合、デフレクタ装置30は、デフレクタ33の車両前方側をより確実に支持することができる。このため、例えば、車両前方からの強風を整流する際、デフレクタ装置30は、デフレクタ33の車両後方への倒れ込みを、前方保持部材32とデフレクタ33との当接によって規制することができる。
【0179】
さらに、前方保持部材32がヘッダパネル14に装着されるため、デフレクタ装置30は、ヘッダパネル14に対する取付け剛性を安定して確保することができる。
加えて、車両1の整流構造は、前方保持部材32、及び後方保持部材34の意図しない変形をより抑制でき、デフレクタ33の昇降が阻害されることをより確実に防止できる。
【0180】
従って、車両1の整流構造は、車両前後方向におけるデフレクタ33の支持剛性をさらに向上でき、所望する整流効果をより確実に確保することができる。なお、剛性の高い金属製の前方保持部材32と、剛性の高い金属製の後方保持部材34とを備えたデフレクタ装置30としてもよい。
【0181】
また、後面突部331、及び前面突部334を内側デフレクタ下部33bに備え、後面突部335、及び前面突部338を外側デフレクタ下部33cに備えたデフレクタ33としたがこれに限定せず、後面突部331、前面突部334、後面突部335、及び前面突部338を設けないデフレクタ33としてもよい。
【0182】
また、デフレクタ33を車両上方へ付勢する付勢手段として、内側トーションスプリング35と、外側トーションスプリング36とを備えたデフレクタ装置30としたが、これに限定せず、1つのトーションスプリング、あるいは3つ以上のトーションスプリングを備えたデフレクタ装置であってもよい。
【0183】
また、内側トーションスプリング35の係止端部35bを内側係止孔324に差し込む構成としたが、これに限定せず、前方保持部材32に対して係止可能であれば、適宜の構成としてもよい。
例えば、別のトーションスプリングにおける係止端部を説明する説明図を示す
図13(a)のように、トーションスプリング42の係止端部42bを、巻き回し部42aから車両下方へ延設したのち、前方保持部材32の肉厚相当だけ車両前方へ延設するとともに、延設した先端をさらに車両上方へ屈曲させた形状としてもよい。
【0184】
あるいは、
図13(b)に示すように、トーションスプリング43の係止端部43bを、巻き回し部43aの中心軸に交差するように、巻き回し部43aから車両下方へ延設した形状としてもよい。
この場合、前方保持部材32のスプリング軸部44における先端には、車両前方へ凹設するとともに、車両上下方向に延びる凹溝形状の係止溝部44aを形成する。そして、スプリング軸部44の係止溝部44aに、トーションスプリング43の係止端部43bを係止する構成としてもよい。
【0185】
また、上述した実施例2において、内側トーションスプリング41と外側トーションスプリング36とを別体で構成したが、これに限定せず、内側トーションスプリング41の係止端部側と、外側トーションスプリング36の係止端部側とを連結して一体にするとともに、連結部分を前方保持部材32に装着固定する構成としてもよい。