(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ラックキャビネットにおいて、搭載される電子装置を構成するユニット毎に設けられ、前記ユニットのケーブル接続面に対して法線方向に離間する位置に設置されたブラケットと、
前記ブラケットにおいて、対応する前記ユニットに接続される各ケーブルを前記ケーブル接続面に対して法線方向に保持する位置に取り付けられたクランプと、
を備えたケーブル保持構造。
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のケーブル保持構造と、前記ケーブル保持構造によって保持されるケーブルに接続する電子装置とを備えたラックキャビネット。
ラックキャビネットにおいて、搭載される電子装置を構成するユニット毎に設けられ、前記ユニットのケーブル接続面に対して法線方向に離間する位置に設置されたブラケットに、対応する前記ユニットに接続される各ケーブルを前記ケーブル接続面に対して法線方向に保持する位置に取り付けられたクランプを用いて、ケーブルを保持する方法。
【背景技術】
【0002】
1つ以上の電子装置を搭載可能なラックキャビネットが知られている。このようなラックキャビネットでは、電子装置がその小型化に伴い大量に搭載されるようになってきた。このため、ラックキャビネット内では、各電子装置に接続される電源ケーブルや信号ケーブルの本数が増加している。ケーブル本数の増加とともに、ラックキャビネット内で如何にケーブル接続作業を容易に行うか、ケーブルを収納するか、また、多量のケーブルをどのように処理するかが大きな課題となってきている。
【0003】
また、近年、電子装置の処理能力向上に比例して、各機器における消費電力も増大しており、各電子装置から発生する熱を如何に効率よく排出するかが課題となってきている。ラックキャビネット内においては、各電子装置の冷却方法を、前面より外気を取り込み背面へ排気する方式に統一することで、冷却の効率が高められている。
【0004】
その一方で、ラックキャビネット内においては、電力供給および通信用のケーブルのコネクタが各電子装置の背面に集中する形となるため、多数のケーブルがラックマウントの背面側に配線されている。一般的に、信号等のケーブル処理は、電子装置よりすだれ式にケーブルを落としキャビネット内にて処理する場合が多い。そのため、キャビネット内で上部の電子装置からケーブルを接続していくと、下部の電子装置を搭載する際に、上部から垂れ下がったすだれ状のケーブルが邪魔をして、搭載作業が困難になるという問題がある。さらに電子装置が稼動中に障害を起こした場合、すだれ式にケーブルが落とされているため、コネクタ付近に設置された障害検知用LED(light emitting diode)が非常に見づらいという問題がある。また、個々の電子装置は、電子装置内に整列して配置される1つ以上のユニットから構成されることが多い。このため、各ユニットに接続されるケーブルが、隣接するユニットの保守作業空間を侵食し、ケーブルやユニットの保守交換時に他のユニットのケーブルに接触すると、他のユニットに障害が発生するという問題がある。また各電子装置の排気側に多数のケーブルが入り乱れてルーティングされているため、各電子装置の背面からの排気による放熱効率を妨げてしまうという問題がある。
【0005】
これらの問題に関連する技術の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された関連技術は、ラックキャビネットの左右の支柱に搭載した熊手形のケーブルサポートを用いて、電子装置に接続される信号ケーブルを左右に整理・整頓して保持する。
【0006】
また、このような問題に関連する技術の他の一例が、特許文献2に記載されている。特許文献2に記載された関連技術は、ラックキャビネットの前後方向に補助レールを組み付け、補助レールに、左右壁面を有する断面略コの字型ケーブル案内部を設ける。前後方向に配設されるケーブルは、ケーブル案内部に載置される。また、この関連技術は、ケーブル案内部の底面に複数の開口部を設ける。上下方向に配設されるケーブルは、この開口部に挿通される。
【0007】
また、このような問題に関連する技術のさらに他の一例が、特許文献3に記載されている。特許文献3に記載された関連技術は、複数のコネクタが接続されるパッチパネルフレームから後方に延びる一対のブラケットに取り付けられたケーブルバーに、ケーブルガイドを持つクランプを設ける。クランプは、ラッチ部材を解放位置から閉鎖位置に枢動させることにより、コネクタから伸びるケーブルを固定し保持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した各関連技術には、以下の課題がある。
【0010】
特許文献1に記載された関連技術は、信号ケーブルを左右に振り分けて整理・整頓するものの、電子装置に搭載される各ユニットのケーブル接続面付近では依然としてケーブルが整理されていない状態となる。また、特許文献2に記載された関連技術は、信号ケーブルを前後方向または上下方向に束ねることはできるものの、電子装置に搭載される各ユニットのケーブル接続面付近では依然としてケーブルが整理されていない状態となる。
【0011】
このため、これらの関連技術は、ユニットの背面付近での大量のケーブルの混在による放熱効率の低下や、障害検知用LEDの見にくさを解消するには不十分である。また、これらの関連技術は、あるユニットに接続されるケーブルが、他のユニットの保守作業空間を侵食することを防止できない。このため、これらの関連技術は、ユニットやそのケーブルの保守作業時における接触により他のユニットに障害を発生させる問題を解決できない。
【0012】
また、特許文献3に記載された関連技術は、コネクタから伸びるケーブルを後方に保持することにより、コネクタ付近でのケーブルをある程度整理するものの、電子装置に搭載されるユニット単位でのケーブル処理については考慮していない。このため、この関連技術では、あるユニットに接続されるケーブルが、他のユニットの保守作業空間を侵食することを防止できない。
【0013】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、ラックキャビネットに搭載される電子装置を構成するユニット単位での保守作業をより容易にし、且つ、保守対象外のユニットへの影響をより低減するように、各ユニットに接続されるケーブルを保持する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のケーブル保持構造は、ラックキャビネットにおいて、搭載される電子装置を構成するユニット毎に設けられ、前記ユニットのケーブル接続面に対して法線方向に離間する位置に設置されたブラケットと、前記ブラケットにおいて、対応する前記ユニットに接続される各ケーブルを前記ケーブル接続面に対して法線方向に保持する位置に取り付けられたクランプと、を備える。
【0015】
また、本発明のラックキャビネットは、上述のケーブル保持構造を備える。
【0016】
また、本発明の方法は、ラックキャビネットにおいて、搭載される電子装置を構成するユニット毎に設けられ、前記ユニットのケーブル接続面に対して法線方向に離間する位置に設置されたブラケットに、対応する前記ユニットに接続される各ケーブルを前記ケーブル接続面に対して法線方向に保持する位置に取り付けられたクランプを用いて、ケーブルを保持する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、ラックキャビネットに搭載される電子装置を構成するユニット単位での保守作業をより容易にし、且つ、保守対象外のユニットへの影響をより低減するように、各ユニットに接続されるケーブルを保持する技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本発明の実施の形態としてのラックキャビネット1の構成を
図1に示す。
図1において、ラックキャビネット1は、ケーブル保持構造10を有する。ケーブル保持構造10は、ブラケット11と、クランプ12とを有する。
【0021】
ラックキャビネット1は、1つ以上の電子装置9を収容する。例えば、ラックキャビネット1には、各電子装置9が、ラックキャビネット1の高さ方向または鉛直方向である上下方向に搭載される。
図1の例では、各電子装置9は、ラックキャビネット1の両側面に前後方向に設けられた1対の搭載用部材104に載置されている。また、電子装置9は、1つ以上のユニット90を有する。電子装置9において、各ユニット90は、1列または複数列に整列して配置される。例えば、各ユニット90は、ラックキャビネット1の幅方向である左右方向に整列して配置される。また、整列した各ユニット90のケーブル接続面91は、電子装置9の同一の面に露出している。ケーブル接続面91には、ケーブル92が接続されるコネクタ901が配置されている。ここでは、ケーブル接続面91が露出する電子装置9の面を、電子装置9の背面と呼ぶことにする。また、電子装置9の背面が面するラックキャビネット1の面を、ラックキャビネット1の背面と呼ぶことにする。
【0022】
なお、
図1には、1つの電子装置9を示しているが、本発明のラックキャビネットに搭載される電子装置の数を限定するものではない。また、
図1には、3つのユニット90を示しているが、本発明における電子装置を構成するユニットの数を限定するものではない。また、
図1には、3つのケーブル保持構造10を示しているが、本発明のラックキャビネットが備えるケーブル保持構造の数を限定するものではない。また、
図1には、1つのケーブル保持構造10に取り付けられた4つのクランプ12を示しているが、本発明のケーブル保持構造が有するクランプ12の数を限定するものではない。また、
図1には、1つのユニット90のケーブル接続面91に配置された4つのコネクタ901を示しているが、本発明のユニットに接続可能なケーブルの数を限定するものではない。
【0023】
ブラケット11は、ラックキャビネット1において、搭載される電子装置9に含まれるユニット90毎に設けられる。ただし、ブラケット11の数は、ユニット90の数と必ずしも同一でなくてもよいが、少なくともユニット90の数だけ設けられていることが望ましい。また、ブラケット11は、対応するユニット90のケーブル接続面91に対して法線方向に離間する位置(ケーブル接続面91からその法線方向に離れた位置)に設置される。各ブラケット11は、各ユニット90に接続されるケーブル92をケーブル接続面91に対して法線方向に離れた位置で保持できる後述の複数のクランプ12を、ブラケット11の長さ方向に取り付けている。
【0024】
例えば、
図1では、ラックキャビネット1は、その背面において左右方向に設置されたケーブルバー101を有する。この場合、ブラケット11は、ケーブルバー101に取り付けられていてもよい。なお、この場合、ケーブルバー101は、ラックキャビネット1においてユニット90の保守作業空間を侵食しない位置に取り付けられているものとする。また、この場合、電子装置9は、その背面がケーブルバー101に対して離間するよう設置されるものとする。
【0025】
また、ブラケット11は、ラックキャビネット1に対して着脱可能であることが望ましい。もし、ブラケット11が前述のケーブルバー101に取り付けられている場合、ブラケット11は、ケーブルバー101に対して着脱可能であることが望ましい。
【0026】
クランプ12は、ブラケット11に取り付けられる。前述のように、クランプ12の取り付け位置は、対応するユニット90に接続される各ケーブル92を、ケーブル接続面91に対して法線方向に保持可能な位置である。また、クランプ12の形状は、例えば、一辺が開口した矩形枠(コの字状)であってもよい。あるいは、クランプ12の形状は、フック状であってもよい。これらに限らず、クランプ12の形状は、ケーブル92を個別に保持することが可能な形状であればよい。なお、1つのブラケット11には、対応するユニット90に接続されうるケーブル92の本数以上の個数のクランプ12が取り付けられていることが望ましい。
【0027】
以上のように構成されたケーブル保持構造10を用いて、電子装置9の各ユニット90に接続されたケーブル92をルーティングした状態を
図2に示す。
図2に示すように、クランプ12は、電子装置9の各ユニット90に接続される各ケーブル92を、電子装置9の背面(ユニット90のケーブル接続面91)に対して法線方向に直線的に保持する。このように、ブラケット11は、ユニット90毎に設けられているので、複数のユニット90のケーブル92を混在させず整頓している。なお、
図2には、コネクタ901からクランプ12で保持されるまでのケーブル92を示し、その先のケーブル92については図示を省略している。その先のケーブル92については、公知の技術を用いて左右に振り分ける等により処理可能である。
【0028】
次に、ラックキャビネット1およびケーブル保持構造10の実装例について、
図3〜
図5を参照して説明する。
【0029】
図3は、ラックキャビネット1に搭載される電子装置9の一例を背面から見た図である。この例では、電子装置9には、18個のユニット90が上下方向に2ユニット、左右方向に9ユニット、すなわち、左右方向に2列に整列して配置される。各ユニット90は、そのケーブル接続面91が電子装置9の背面に露出するよう電子装置9内に配置されている。また、各ユニット90は、前後方向に挿抜可能となっている。また、ユニット90のケーブル接続面91には、4本のケーブル92が接続されうる4個のコネクタ901、排気口902および障害検知用LED903が配置されている。
【0030】
図4は、
図3に示した電子装置9が搭載されたラックキャビネット1およびケーブル92を保持する前のケーブル保持構造10を背面側から見た一部を分解した斜視図である。この実装例では、ラックキャビネット1は、ケーブルクランプ102を有するケーブルバー101と、マウントアングル103とを備えている。また、ケーブル保持構造10は、ケーブルバー101に取り付けられている。
図4では、ケーブル保持構造10が取り付けられたケーブルバー101がラックキャビネット1に取り付けられていない状態であるため、各ユニット90に接続されたケーブル92は、電子装置9からすだれ状に落とされている。
【0031】
マウントアングル103は、ラックキャビネット1内側の少なくとも背面の左右に一対立設される。マウントアングル103は、電子装置9、電子装置9の支持部材、または、その他各種部材を取り付けるための取付穴を有する。
【0032】
ケーブルバー101は、ラックキャビネット1の背面において左右方向に設置されるよう、マウントアングル103の取付穴に取り付け可能となっている。また、ケーブルバー101は、対象の電子装置9に搭載されたユニット90の配列の数だけ設置される。また、ケーブルバー101は、電子装置9に対するユニット90の挿抜等の保守作業空間を侵食しない位置に設置される。この例では、前述のように、電子装置9には、ユニット90が左右方向に2列に整列して搭載されている。このため、ケーブルバー101は、この電子装置9に対して2本設置される。
【0033】
また、ケーブルバー101は、その左右方向の端部付近にそれぞれケーブルクランプ102を有する。ケーブルクランプ102は、複数のケーブル92を保持する。
【0034】
ブラケット11は、対象の電子装置9に含まれるユニット90の個数分少なくとも用意され、ケーブルバー101にねじ止めにて固定される。また、ブラケット11は、ねじの取り外しにより、ケーブルバー101から取り外し可能である。つまり、ブラケット11は、ケーブルバー101に対して着脱可能に構成されている。なお、前述したように、ブラケット11は、ケーブルバー101に対して容易に着脱可能であることが望ましい。この例では、前述のように、電子装置9には、18個のユニット90が2列に9個ずつ整列して搭載されている。このため、各ケーブルバー101には、9個ずつのブラケット11が固定される。また、各ブラケット11は、対応するユニット90のケーブル接続面91に対して法線方向に離間したケーブルバー101上の位置に取り付けられる。
【0035】
クランプ12は、各ブラケット11について、対応するユニット90に接続可能なケーブル92の本数分少なくとも用意され、該ブラケット11に固定される。この例では、前述のように、各ユニット90には、ケーブル92が4本ずつ接続されうる。このため、各ブラケット11には、クランプ12が4個ずつ取り付けられている。各クランプ12は、対応するケーブル92を、ケーブル接続面91に対して法線方向に保持するブラケット11上の位置に取り付けられる。
【0036】
次に、このようなケーブル保持構造10が取り付けられたケーブルバー101を、ラックキャビネット1に取り付け、ケーブル92を保持した状態を、
図5に示す。
【0037】
図5は、ラックキャビネット1を背面から見た図である。電子装置9の各ユニット90に対応するブラケット11は、自身に取り付けられた4個ずつのクランプ12により、対応するユニット90に接続された4本のケーブル92を、電子装置9の背面に対して法線方向に直線的に保持している。また、クランプ12付きのブラケット11により保持されたケーブル92は、ケーブルバー101の左右端部付近のいずれかのケーブルクランプ102により、左右の方向に振り分けられている。これにより、各ユニット90に接続された4本のケーブル92は、他のユニット90の保守作業空間を侵食せずに左右の方向に振り分けられ、接続先へルーティングされる。
【0038】
このように、ケーブル保持構造10は、ユニット90の単位でケーブル92を個別に保持することにより、電子装置9、ユニット90またはケーブル92の搭載や交換等、保守作業用の作業空間を大きく確保している。これにより、ケーブル保持構造10は、電子装置9、ユニット90またはそのケーブル92の保守作業時に、保守対象外のユニット90のケーブル92に接触することにより保守対象外に及ぼす障害を防止できる。その結果、ケーブル保持構造10は、電子装置9、ユニット90またはケーブル92の保守作業をより安全でより容易にする。また、ケーブル保持構造10は、大量のケーブル92がユニット90の排気口902を塞ぐことにより生じる放熱効率の低下と、障害検知用LED903の見にくさとを解消している。
【0039】
次に、ケーブル保持構造10を用いてケーブル92をルーティングしたラックキャビネット1において、電子装置9を構成するユニット90単位での保守作業を行う際の状態を
図6に示す。
図6では、最も左側に示したユニット90に対する保守作業として、ユニット交換が行われることを想定している。
図6に示すように、ユニット90の保守作業時には、そのユニット90に接続された各ケーブル92が、そのユニット90に対応するブラケット11のクランプ12から取り外される。そして、そのユニット90に対応するクランプ12付のブラケット11が、ラックキャビネット1(ケーブルバー101)から取り外される。これにより、対象のユニット90の保守作業空間が確実に確保される。
【0040】
次に、本発明の実施の形態の効果について述べる。
【0041】
本発明の実施の形態は、ラックキャビネットに搭載される電子装置を構成するユニット単位での保守作業をより容易にし、且つ、保守対象外のユニットへの影響をより低減するように、各ユニットに接続されるケーブルを保持することができる。
【0042】
その理由について説明する。本実施の形態では、ブラケットが、ラックキャビネットに搭載される電子装置を構成する各ユニットに対して設けられる。また、ラックキャビネットにおいて、各ブラケットは、対応するユニットのケーブル接続面に対して法線方向に離間する位置に設置される。そして、各ブラケットには、対応するユニットに接続される各ケーブルをケーブル接続面に対して法線方向に保持する位置に、クランプが取り付けられるからである。
【0043】
これにより、本実施の形態は、ラックキャビネットに搭載される電子装置を構成する各ユニットに接続されるケーブルを、ユニット単位で各ユニットのケーブル接続面に対して法線方向に直線的に保持する。また、本実施の形態は、当該クランプ付ブラケットが保持するケーブルが他のユニットの保守作業空間を侵食しない。その結果、本実施の形態は、あるユニットやそれに接続されるケーブルの保守作業時に、他のユニットに接続されるケーブルに接触することを防止する。また、万が一接触があったとしても、本実施の形態は、他のユニットに接続されるケーブルをそのケーブル接続面に対して個別に直線的に保持し固定している。したがって、本実施の形態は、あるユニットやそれに接続されるケーブルの保守作業時に、他のユニットに発生する障害を防止することができる。
【0044】
さらに、上述のクランプ付ブラケットをラックキャビネットから着脱可能に構成する場合、本実施の形態は、ユニット単位での保守交換作業をより容易にするというさらなる効果を奏する。
【0045】
その理由は、ケーブルを保持するクランプ付ブラケットがユニット単位で用意され、それぞれが着脱可能に構成されているためである。これにより、本実施の形態では、保守対象のユニットに対応するクランプ付ブラケットをラックキャビネットから取り外すことにより、そのユニットの保守作業空間を大きくとることができる。また、本実施の形態では、保守作業対象外のユニットに接続されているケーブルは、そのユニットに対応するクランプ付ブラケットにより法線方向に直線的に保持されている。このため、本実施の形態では、保守作業対象のユニットの保守作業空間が他のユニットのケーブルに侵食されることがないからである。
【0046】
このように、本実施の形態は、ラックキャビネットに搭載された電子装置を構成するユニットへのケーブル接続作業、接続確認作業、障害検知用LEDの視認、リカバリー配線・処理作業をより容易にする。また、本実施の形態は、現地での接続・敷設作業、確認作業、保守時の作業をより容易にするので、大幅な作業工数の低減を図ることが可能となる。
【0047】
また、本実施の形態は、クランプ付ブラケットが、ラックキャビネットに搭載された多数の電子装置を構成する各ユニットに接続される大量のケーブルをケーブル接続面に対して法線方向に整然と直線的に保持する。その結果、本実施の形態は、ケーブル接続面付近の電子装置の排気口を塞ぐことがなく、熱だまりを原因とする各電子装置の背面からの排気による放熱効率の低下を防止する。さらに、本実施の形態は、ケーブルによりケーブル接続面付近の障害検知用LEDを塞ぐことがなく、その見にくさを解消する。
【0048】
なお、本実施の形態において、ブラケットが、ラックキャビネットに対して着脱可能に構成される例を中心に説明した。これに限らず、ブラケットは、対応するユニットの保守作業空間内および保守作業空間外の間で変位可能にラックキャビネットに取り付けられていてもよい。例えば、
図4に示した実装例において、各ブラケットは、ケーブルバーに取り付けられている端点を支点としてケーブル接続面に対して法線方向に回転して倒れるよう構成されていてもよい。回転する角度は例えば90度程度であってもよい。この場合、各ブラケットは、ヒンジによりケーブルバーに取り付けられていればよい。また、ケーブルバーには、各ブラケットをケーブル保持位置に固定するストッパが取り付けられていればよい。このような構成により、本実施の形態は、上述と同様の効果を奏しながら、さらに、保守作業時のブラケットの着脱作業を不要として、さらなる作業工数・時間を削減することができる。
【0049】
また、本実施の形態において、ブラケットが、ケーブルバーにとりつけられる例を中心に説明した。これに限らず、ブラケットは、対応するユニットのケーブル接続面に対して離間した位置であれば、ラックキャビネットを構成する他の部品に取り付けられていてもよい。
【0050】
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、様々な態様で実施されることが可能である。