(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置において、定着装置の蓄熱状態、記録材温度等の時間経過によって変化する因子、記録材の厚み等の熱量に関する因子によって、加熱部材を狙いの温度へ上昇させるのに必要な消費電力量は変化する。
【0006】
その結果、各印字モードにおいて、一定範囲の定着性を確保しながらユーザーが望む消費電力量以下に保つ必要がある。そのため、指定された時間あたりの積算消費電力量を超えない制御を定着装置の蓄熱温度、記録材の厚み、記録材の温度等を考慮して行なう必要がある。
【0007】
特許文献1は、瞬間の消費電力を一定上限以下に制御することの開示はある。しかし、モード毎に実行期間中の消費電力量を一定上限以下に制御することの開示はない。
【0008】
特許文献1において、具体的には、画像形成時に消費可能な消費電力条件および、温度検出素子の検出結果に基づいて定着ローラの温度を制御しているが、制御系統における消費電力(W)を全体のW1%、駆動系統における消費電力(W)が全体のW2%、定着系統における消費電力(W)が全体のW3%での場合、W3=100−(W1+W2)によって算出されるW3に基づいて、使用可能な電力(W)の総和から定着系統における消費電力(W)を割り当て、画像形成時の定着ローラ温度を制御している。しかし、印字枚数等の印字モードの条件によって時間(h)が変化するため消費電力(W)×使用時間(h)である消費電力量(Wh)を制御することはできない。
【0009】
また、特許文献2は、消費電力量に関する技術を開示している。特許文献2では、所定期間(例えば、一か月)ごとに設定された消費電力量の上限を超えないように、印字時の動作モードを選択することが開示されている。
【0010】
しかし、モード毎に消費電力量の上限が設定されるものではなく、設定された消費電力量の上限を超えないように、個別モードの定着時の通電割合を制御することの開示もない。
【0011】
特許文献2では、具体的には、実行された個別モードの電力消費量を記憶し、これまでの累積の電力消費量と所定期間(例えば、1か月)の電力消費量上限を比較し、差が小さい場合には、電力消費量の小さい動作モードを選択し、次のモードを印字するものである。
【0012】
特許文献2の段落0018に記載されるように、同じ動作モードであってもプリント条件によって消費電力が変わるものであり、モード毎に画像形成プロセス条件を変更することができず、本件発明が解決しようとする課題である「各印字モードにおいて、一定範囲の定着性を確保しながらユーザーが望む消費電力量以下に保つこと」を解決することはできない。
【0013】
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり画像形成装置において、制御装置が、各印字モードにおいて、一定範囲の定着性を確保しながらユーザーが望む消費電力量以下に保つことが可能な画像形成プロセスを変更する制御を行なう画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の画像形成装置においては、表面上にトナー画像により形成された未定着画像を有する記録材を搬送しながら、上記記録材上に上記未定着画像を定着させる定着装置を備える、画像形成装置であって、上記定着装置は、加熱装置によって加熱された加熱部材と、上記加熱部材とともに表面上に未定着画像が形成された上記記録材を挟み込み、上記加熱部材との間を通過させながら上記記録材上に上記未定着画像を定着させる加圧部材と、上記加熱装置を含む当該画像形成装置の画像形成プロセス制御を行なう制御装置と、を含み、上記制御装置は、上記加熱装置の消費電力と上記記録材への印字モードに必要な時間(h)とから時間当たりの積算消費電力を算出し、上記印字モードに必要な当該画像形成装置全体の消費電力量が、上記積算消費電力量を上回らないように、上記画像形成プロセスを変更する制御を行なう。
【0015】
他の形態においては、上記制御装置は、上記印字モードに必要な時間のうち、印字モードを受付けてから、1枚目の上記記録材が上記定着装置へ通紙可能となるまでの、上記加熱装置の温度を上昇させるために必要な時間を、上記定着装置の蓄熱状態によって決定する。
【0016】
他の形態においては、上記制御装置は、上記印字モードに必要な時間を、上記記録材の搬送速度、搬送方向サイズ、および、搬送間隔と、上記加熱装置の温度を上昇させるために必要な上記時間とから算出する。
【0017】
他の形態においては、複数の省エネモードを予め選択する操作を受付ける操作部をさらに含み、上記制御装置は、上記操作部で受付けた選択操作に基づいて制御し、上記制御装置は、上記操作部で受付けた省エネモードの種類によって、予め省エネモード別に設定された時間あたりの積算消費電力量、および、時間あたりの通電割合を上回らないように、上記制御部を制御する。
【0018】
他の形態においては、上記制御装置は、上記画像形成プロセスを変更する際に、上記加熱装置への時間あたりの通電割合を制御する。
【0019】
他の形態においては、上記加熱装置への時間あたりの通電割合の制御は、予め任意に設定された上記記録材への上記トナー画像の定着状態を保つように制御する。
【0020】
他の形態においては、上記加熱装置への時間あたりの通電割合の制御は、上記加熱部材と上記加圧部材とによって形成されるニップ部分の周方向の幅の変更により制御する。
【0021】
他の形態においては、上記加熱装置への時間あたりの通電割合の制御は、上記記録材の表面上の上記未定着画像を形成する上記トナー画像の付着量の増減により制御する。
【0022】
他の形態においては、上記加熱装置への時間あたりの通電割合の制御は、上記記録材の表面上の未定着画像を形成するトナー画像のスクリーン線数の変更により制御する。
【0023】
他の形態においては、上記加熱装置への時間あたりの通電割合の制御は、上記加熱部材と上記加圧部材との間に形成されたニップ部分を通過する上記記録材の搬送速度の変更により制御する。
【0024】
他の形態においては、上記加熱装置への時間あたりの通電割合の制御は、上記記録材の出力間隔の変更により制御する。
【0025】
他の形態においては、当該画像形成装置は、記録材湿温度検出装置をさらに含み、上記制御装置は、上記画像形成プロセスを変更する際に、上記加熱装置への時間あたりの通電割合と、上記記録材湿温度検出装置によって検出された温度および/または湿度と、によって得られた情報に基づいて行なう。
【0026】
他の形態においては、当該画像形成装置は、記録材種類認識装置をさらに含み、上記制御装置は、上記画像形成プロセスを変更する際に、上記加熱装置への時間あたりの通電割合と、上記記録材種類認識装置によって得られた記録材種類情報、によって得られた情報に基づいて行なう。
【発明の効果】
【0027】
この画像形成装置は、最適な画像品質を確保しつつ、画像形成装置全体の消費電力量を設定した範囲内に抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に基づいた実施の形態における画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。また、各実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
【0030】
また、以下に示す記録材は、一般的には用紙(薄紙、厚紙等)を用いるいているが、必ずしも用紙に限定されることはなく、フィルム等、画像形成装置100に用いることのできるすべての記録材を意味する。
【0031】
(画像形成装置100の概略構成)
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置100の概略構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の内部構成を示す図である。
【0032】
図1には、カラープリンターとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンターとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンターに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンターであってもよいし、モノクロプリンター、カラープリンターおよびFAXの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
【0033】
画像形成装置100は、画像形成ユニット1A〜1Dと、中間転写ベルト11と、一次転写ローラー12と、二次転写ローラー13と、クリーニング部15と、排紙トレー16と、カセット17と、制御装置18と、露光制御部19と、定着装置30と、ファン40とを備える。
【0034】
画像形成ユニット1Aは、ブラック(BK)のトナー画像を形成する。画像形成ユニット1Bは、イエロー(Y)のトナー画像を形成する。画像形成ユニット1Cは、マゼンタ(M)のトナー画像を形成する。画像形成ユニット1Dは、シアン(C)のトナー画像を形成する。中間転写ベルト11は、矢印21の方向に回転し、画像形成ユニット1A〜1Dは、それぞれ、中間転写ベルト11の回転方向に沿って順に配置されている。
【0035】
画像形成ユニット1A〜1Dは、それぞれ、感光体2と、帯電部3と、現像部4と、クリーニング部5と、露光部9とを備える。感光体2は、トナー画像を担持する像担持体である。一例として、感光体2には、その表面に感光層が形成された感光体ドラムが用いられる。感光体2は、中間転写ベルト11の回転方向に対応する方向に回転する。
【0036】
帯電部3は、感光体2の表面を一様に帯電する。露光部9は、露光制御部19からの制御信号に応じて感光体2にレーザーを照射し、指定された画像パターンに従って感光体2の表面を露光する。これにより、入力画像に応じた静電潜像が感光体2上に形成される。
【0037】
現像部4は、感光体2上に形成された静電潜像をトナー画像として現像する。一例として、現像部4は、トナーおよびキャリアからなる二成分系の現像剤を用いて静電潜像を現像する。
【0038】
感光体2の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ローラー12によって中間転写ベルト11に転写される。このとき、ブラック(BK)のトナー画像、イエロー(Y)のトナー画像、マゼンタ(M)のトナー画像、およびシアン(C)のトナー画像が順に重ねられて中間転写ベルト11に転写される。これにより、カラーのトナー画像が中間転写ベルト11上に形成される。
【0039】
クリーニング部5は、クリーニングブレードを備える。クリーニングブレードは、感光体2に圧接され、トナー画像の転写後に感光体2上に残留するトナーを回収する。
【0040】
一次転写ローラー12は、感光体2上に現像されたトナー画像を中間転写ベルト11に転写する。感光体2と中間転写ベルト11とは、一次転写ローラー12を設けている部分で接触している。この接触部分に所定の転写バイアスが印加され、この転写バイアスによって、感光体2上のトナー画像が中間転写ベルト11に転写される。
【0041】
カセット17は、画像形成装置100の下部に設けられている。カセット17には、紙等の記録材14がセットされる。記録材14は、カセット17から1枚ずつ二次転写ローラー13に送られる。記録材14の送り出しおよび搬送のタイミングと、中間転写ベルト11上のトナー画像の位置とを同期させることで、記録材14の適切な位置にトナー画像が転写される。その後、記録材14は、定着装置30に送られる。
【0042】
定着装置30は、記録材14に転写されているトナー画像を熱で融解し、記録材14にトナー画像を定着させる。その後、記録材14は、排紙トレー16に排紙される。定着装置30は、加熱装置としての加熱ヒーター32hによって加熱される加熱部材としての加熱ローラー31と、加熱ローラー31とともに表面上に未定着画像が形成された記録材14を挟み込み、加熱ローラー31との間を通過させながら記録材14上に未定着画像を定着させる加圧部材としての加圧ローラー32とを含む。
【0043】
クリーニング部15は、クリーニングブレードを備える。クリーニングブレードは、中間転写ベルト11に圧接され、トナー画像の転写後に中間転写ベルト11上に残留するトナー粒子を回収する。このトナー粒子は、搬送スクリュー(図示しない)で搬送され、廃トナー容器(図示しない)に回収される。
【0044】
制御装置18は、画像形成装置100の画像形成プロセスを制御する。制御装置18は、定着装置30(加熱ヒーター32hの温度制御、加熱ローラー31の回転速度等)、露光制御部19、ファン40等を制御する。また、制御装置18は、操作部50からの各種運転モード(省エネモード等)の指示信号が入力される。さらに、制御装置18には、記録材湿温度検出センサー60、および、記録材種類認識センサー70からの情報が入力される。制御装置18による画像形成装置100の画像形成プロセス制御については、以下、詳細に説明する。
【0045】
[画像形成装置100の画像形成プロセス制御]
図2を参照して、本実施の形態における画像形成装置100の画像形成プロセス制御について説明する。
図2は、画像形成プロセス制御を示すフロー図である。
【0046】
まず、
図2を参照して、この画像形成プロセス制御における基本的なフローについて説明する。制御装置18は、印字モードの受付を行なう(S10)。次に、加熱装置の消費電力(W)と記録材14への印字モードに必要な時間(h)とから、時間あたりの時間積算消費電力(Wh)を算出する(S20)。
【0047】
次に、制御装置18は、印字モードに必要な画像形成装置100の全体の消費電力量(Wh)が、積算消費電力量(Wh)を上回らないように、画像形成プロセスを変更する制御を行なう(S30)。その後、画像を出力することで(S40)、制御装置18による画像形成プロセスが終了する。
【0048】
以上の制御装置18による画像形成プロセスを変更する制御は、時間あたりの積算消費電力量(Wh)を前提とした制御を行なうことで、確実に指定された時間あたりの積算消費電力量(Wh)以下で、画像形成プロセスの制御を行なうことを可能とする。
【0049】
たとえば、後述するように、定着装置30における加熱ローラー31への時間あたりの通電割合を制御し、かつ、時間あたりの通電割合によって定着装置30におけるニップ幅、記録材上の未定着画像の画像濃度、画像パターン、記録材の搬送速度等のプロセス条件の変更、または、記録材上の未定着画像の定着(加熱)において、定着装置30の蓄熱状態、周囲の温湿度、記録材の情報をもとに変化させる等のプロセス条件の変更によって、最適な画像品質を確保しつつ、画像形成装置100の全体の消費電力量を設定した範囲内に抑制することが可能となる。
【0050】
次に、
図3を参照して、以降の実施例において示す、上記実施の形態に基づいた画像形成プロセスを変更する制御フローについて説明する。
図3は、画像形成プロセスを変更する制御フローを示す図である。
【0051】
制御装置18は、印字モードの受付を行なう(S10)。次に、加熱装置の消費電力(W)と記録材14への印字モードに必要な時間(h)とから、時間あたりの時間積算消費電力(Wh)を算出する(S20)。
【0052】
次に、制御装置18は、印字モードに必要な画像形成装置100の全体の消費電力量(Wh)が、積算消費電力量(Wh)を上回らないように、以下のS31〜S35に示すステップを実行する。
【0053】
まず、「省エネモード」が選択されているか否かの判別を行なう(S31)。「省エネモード」が選択されている場合には、選択された省エネモードの種類別に設定された「時間あたりの積算消費電力量(Wh)」から「時間あたりの通電割合」を設定する(S32)。
【0054】
一方、S31において、「省エネモード」が選択されていない場合には、「時間あたりの積算消費電力量(Wh)」と「時間あたりの通電割合」とを通常モードに設定する(S33)。
【0055】
制御装置18は、記録材湿温度検出センサー60、および、記録材種類認識センサー70から得られた情報に基づき、「定着蓄熱状態」、「記録材温度」および/または「記録材湿度」、「記録材種類」等の「環境検出値」を求める(S34)。
【0056】
具体的には、制御装置18は、「定着蓄熱状態」として、定着装置30の設けられた温度センサー33の情報に基づき、定着装置30の温度情報を得る。制御装置18は、印字モードに必要な時間(h)のうち、印字モードを受付けてから、1枚目の記録材14が定着装置へ通紙可能となるまでの、加熱ヒーター32hの温度を上昇させるために必要な時間(h)を、定着装置30の蓄熱状態によって決定するとよい。蓄熱状態の情報を考慮することで、適切な通電時間(h)情報を得ることができるからである。
【0057】
制御装置18は、「記録材温度」および/または「記録材湿度」として、記録材湿温度検出センサー60から得られた情報に基づき、定着装置30の温度情報および/または記録材湿度を得る。また、制御装置18は、記録材種類認識センサー70から得られた情報に基づき、記録材種類の情報を得る。
【0058】
制御装置18は、印字モードに必要な時間(h)を、記録材14の搬送速度、搬送方向サイズ、および、搬送間隔と、上記で得られた加熱ヒーター32hの温度を上昇させるために必要な時間(h)とから算出するとよい。印字モードに必要な時間(h)を算出することで、積算消費電力量(Wh)を予測をすることができる。
【0059】
次に、「時間あたりの通電割合」と「環境検出値」とに応じた、「定着ニップ幅」、「トナー粒子付着量」、「画像スクリーン線数」、「記録材搬送速度」、「記録材出力間隔」等のパラメータを適宜に決定する(S35)。その後、画像を出力することで(S36)、制御装置18による画像形成プロセスが終了する。
【0060】
なお、各パラメータの制御において、「定着ニップ幅」を広げることは、定着ニップ時間が長くなり、かつ、加圧力も増加し、定着性は強くなる方向へ動くことを意味する。「定着ニップ幅」を狭くすることは、その逆を意味を意味する。
【0061】
「トナー付着量」を減らすことは、トナー画像に与えられる質量あたりの熱量が増加し、定着性は強くなる方向へ動くことを意味する。「トナー付着量」を増加することは、その逆を意味を意味する。
【0062】
「画像スクリーン線数」を減らすことは、エッジ効果によるエッジ部分のトナー付着量が減り、トナー画像に与えられる質量あたりの熱量が増加し、定着性は強くなる方向へ動くことを意味する。「画像スクリーン線数」を増加させることは、その逆を意味する。
【0063】
「記録材搬送速度」を遅くすることは、トナー画像がニップ部分を通過する時間が増加し、トナー画像に与えられる質量あたりの熱量が増加し、定着性は強くなる方向へ動くことを意味する。「記録材搬送速度」を速くすることは、その逆を意味する。
【0064】
「記録材出力間隔」を長くすることは、間隔が短いときと比較して、2枚目以降の記録材が突入する時点でのニップ温度が高くなり、トナー画像に与えられる質量あたりの熱量が増加し、定着性は強くなる方向へ動くことを意味する。「記録材出力間隔」を速くすることは、その逆を意味する。
【0065】
なお、複数の省エネモードを予め選択する操作を受付ける操作部50をさらに含み、制御装置18は、この操作部50で受け付けた操作に基づいて制御するとよい。制御装置18は、操作部50で受付けた省エネモードの種類によって、予め省エネモード別に設定された時間あたりの積算消費電力量、および、時間あたりの通電割合を上回らないように、制御するとよい。操作部50で選択するようにすることで、目標とする時間あたりの積算消費電力量(Wh)を変更することができるからである。
【0066】
また、制御装置18は、画像形成プロセスを変更する際に、加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合を制御するとよい。加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合を制御することで、時間あたりの積算消費電力(Wh)を制御できるからである。
【0067】
また、制御装置18は、加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合の制御は、予め任意に設定された記録材14へのトナー画像の定着状態を保つように制御するとよい。パラメータの変更により、予め任意に設定された記録材14へのトナー画像の定着状態を保つことができるからである。
【0068】
また、制御装置18は、加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合の制御は、加熱ローラー31と加圧ローラー32とによって形成されるニップ部分の周方向の幅の変更により制御するとよい。ニップ幅の変更により、記録材14への未定着画像の定着性を変化させることができるからである。
【0069】
また、制御装置18は、加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合の制御は、記録材14の表面上の未定着画像を形成するトナー画像の付着量の増減により制御するとよい。付着量の変更により、記録材14への未定着画像の定着性を変化させることができるからである。
【0070】
また、制御装置18は、加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合の制御は、記録材14の表面上の未定着画像を形成するトナー画像のスクリーン線数の変更により制御するとよい。スクリーン線数の変更により、記録材14への未定着画像の定着性を変化させることができる。
【0071】
また、制御装置18は、加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合の制御は、加熱ローラー31と加圧ローラー32との間に形成されたニップ部分を通過する記録材14の搬送速度の変更により制御するとよい。記録材14の搬送速度の変更により、記録材14への未定着画像の定着性を変化させることができるからである。
【0072】
また、制御装置18は、加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合の制御は、記録材14の出力間隔の変更により制御するとよい。出力間隔の変更により、蓄熱状態を変化させ、記録材14への未定着画像の定着性を変化させることができるからである。
【0073】
また、画像形成装置100は、記録材湿温度検出センサー60をさらに含み、制御装置18は、画像形成プロセスの変更を、加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合と、記録材湿温度検出センサー60によって検出された温度および/または湿度と、によって得られた情報に基づいて行なうとよい。記録材温度および/または記録材湿度の情報を制御装置18にフィードバックすることで、最適な通電時間の算出が可能となるからである。
【0074】
また、画像形成装置100は、記録材種類認識センサー70をさらに含み、制御装置18は、画像形成プロセスの変更を、加熱ヒーター32hへの時間あたりの通電割合と、記録材種類認識センサー70よって得られた記録材種類情報と、によって得られた情報に基づいて行なうとよい。記録材種類の情報を制御装置18にフィードバックすることで、最適な通電時間の算出が可能となるからである。
【0075】
(実施例1)
次に、
図4から
図6を参照して、
図3に示したフローに従った具体的な実施例1における、画像形成プロセスを変更する制御フローについて説明する。
図4は、動作モード、時間あたりの積算消費電力量、および、時間あたりの通電割合の関係(設定値)を示す図、
図5は、補正係数、定着蓄熱状態、記録材温度、および、記録材種類の関係(設定値)を示す図、
図6は、時間あたりの通電割合、定着ニップ幅、トナー付着量、画像スクリーン線数、記録材搬送速度、および、記録材出力間隔を示す図である。
【0076】
この画像形成プロセス制御においては、印字モードとして、モノクロ画像を記録材である記録材の片面に所定の画像を印字する。記録材の枚数は30枚である。
【0077】
次に、
図4を参照して、操作部50において、予め「省エネモード1」が選択されており、受付けた印字モードに対して予め用意された積算消費電力量(Wh)計算テーブルを参照すると、通常の動作モードの制御では時間あたりの積算消費電力量(Wh)が1600(Wh)を超えると予測される。その場合には、時間あたりの積算消費電力量(Wh)が予め選択された「省エネモード1」の1200(Wh)以下になるように、時間当たりの通電割合(%)が、30%≦40%で行なわれることを決定する。
【0078】
次に、
図5を参照して、記録材湿温度検出センサー60、および、記録材種類認識センサー70から得られた情報と、操作部50への入力で得られた「環境検出値」はそれぞれ、定着蓄熱状態(℃)が「30≦60(℃)」、記録材温度(℃)が「23≦30」、記録材サイズがA4、記録材坪量(g/m
2)が「52≦60」であったため、パラメータに反映される補正係数は、「×1.0」となる。
【0079】
次に、
図6を参照して、上記の決定のように、時間当たりの通電割合(%)が、30%≦40%で行なわれ、かつ、補正係数が「×1.0」であることから、「定着ニップ幅」、「トナー粒子付着量」、「画像スクリーン線数」、「記録材搬送速度」、および、「記録材出力間隔」のパラメータはそれぞれ、「定着ニップ幅」=10mm、「トナー粒子付着量」=6g/m
2、「画像スクリーン線数」=120lpi、「記録材搬送速度」=120mm/s、および、「記録材出力間隔」=6sに決定される。
【0080】
デフォルト状態では時間あたりの通電割合(%)によって、上記「定着ニップ幅」、「トナー粒子付着量」、「画像スクリーン線数」、「記録材搬送速度」、および、「記録材出力間隔」の各パラメータは、それぞれ該当する値が全項目反映されるが、予めユーザーによって「画像優先」、「生産性優先」が選択されている場合には、それぞれ「定着ニップ幅」を第1優先として変更し、「画像優先」選択時には生産性に寄与の高い「記録材搬送速度」および「記録材出力間隔」をそれぞれ優先して変更する。また、「生産性優先」選択時には、画像品質に寄与の高い、「トナー付着量」および「画像スクリーン線数」とをそれぞれ優先して変更する。また、パラメータの値も時間あたりの通電割合で指定されているパラメータ値の範囲外においても選択するものとし、最終的に、選択されている時間あたりの通電割合内で出力を行なうとよい。
【0081】
(実施例2)
次に、
図3に示したフローに従った具体的な実施例2における、画像形成プロセスを変更する制御フローについて説明する。この画像形成プロセス制御においては、印字モードとして、モノクロ画像を記録材である記録材の片面に所定の画像を印字する。記録材の枚数は30枚である。
【0082】
本実施例においても、予め「省エネモード1」が選択されており、受付けた印字モードに対して予め用意された積算消費電力量(Wh)計算テーブルを参照すると、通常の制御では時間あたりの積算消費電力量(Wh)が1600(Wh)を超えると予測されるため、時間あたりの積算消費電力量(Wh)が予め選択された「省エネモード1」の1200(Wh)以下になるように(
図4参照)、加熱部材への時間あたりの通電割合、ニップ幅、トナー付着量、画像スクリーン線数、記録材の搬送速度、記録材の出力間隔等の画像形成プロセス条件を、予め任意に設定された記録材へのトナー画像の定着状態を保つ範囲で、時間あたりの積算消費電力(Wh)が最も低くなるように、定着装置の蓄熱状態、記録材の種類、記録材の温度の情報をもとに補正されたそれぞれの画像形成プロセス条件のパラメータが組み合わされる。
【0083】
ここで、予め任意に設定された記録材へのトナー画像の定着状態を保つ範囲とは、「擦り試験」および/または「折り強度試験」によるランクが、予め任意に設定されたランクを下回らない範囲で、上記各パラメータの制御を行なう。「擦り試験」とは、定着後の画像を擦り、擦り前後の温度差のランクを規定する試験である。「折り強度試験」とは、定着後の画像を折り曲げ、折り曲げ前後の温度差のランクを規定する試験である。
【0084】
本実施例では、「省エネモード1」の1200(Wh)以下が選択されているため、時間あたりの通電割合(%)は30≦40となり、各パラメータは、
図6より時間あたりの通電割合(%)が30≦40の列が適用される。また、各検出センサ(記録材湿温度検出センサー60、および、記録材種類認識センサー70から得られる情報)の値によって補正係数は、
図5に基づき適用されることとなる。
【0085】
(実施例3)
次に、
図3に示したフローに従った具体的な実施例3における、画像形成プロセスを変更する制御フローについて説明する。この画像形成プロセス制御においては、印字モードとして、モノクロ画像を記録材である記録材の片面に所定の画像を印字する。記録材の枚数は30枚である。
【0086】
本実施例においても、予め「省エネモード1」が選択されており、受付けた印字モードに対して予め用意された積算消費電力量(Wh)計算テーブルを参照すると、通常の制御では時間あたりの積算消費電力量(Wh)が1600(Wh)を超えると予測されるため、時間あたりの積算消費電力量(Wh)が予め選択された「省エネモード1」の1200(Wh)以下になるように(
図4参照)、画像形成プロセス条件と合わせて、両面印刷、画像集約等の出力枚数を変化させる手段や、出力する記録材の坪量を小さくする等の画像出力モードの変更を行なう。
【0087】
また、画像出力モードの選択は、ユーザーによって予め選択されており、サイズ優先では両面印刷に、出力枚数削減優先では画像集約に、サイズと出力枚数削減との両方が選択されている場合は両面での画像集約モードが選択される。また、自動記録材厚選択になっている場合は、給紙トレイで給紙可能になっている記録材のうち、もっとも記録材坪量の小さい紙が選択される。
【0088】
(他の実施例)
画像形成プロセス条件の変更方法としては、これまで説明した以外に、以下の方法が考えられる。たとえば、画像形成装置に取付けられているファンによる気流を調整する変更方法、未定着画像を付着させない状態で定着装置のニップ部分を通過させ、または、その近傍の熱によって記録材を予熱しておくこと方法、通常時に排熱のために画像形成装置の外へ排出していた暖かい空気を定着装置や記録材へ再供給することでの予熱や保温を行なう方法、未定着画像を定着装置で定着する過程でニップ部分に記録材がある状態で記録材搬送を停止させる方法、等が挙げられる。
【0089】
また、
図7に示すように、記録材14への未定着画像の付着時の、二次転写ローラー13へのAC電圧やDC電圧、押圧の増加等によってトナー画像Tの記録材14への物理的な付着力、付着面積を増加させることにより、トナー画像T内に隙間の減少、空気層の減少させることによる画像形成プロセス条件の変更方法が挙げられる。さらに、
図8に示すように、微粒トナー粒子Pの割合を増加させることにより、トナー画像Tの隙間の減少を図るようにしてもよい。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態および各実施例における画像形成装置は、受付けた印字モードに必要な画像形成装置全体の消費電力量を加熱部材への時間あたりの通電割合に基づいて算出し、指定された時間あたりの積算消費電力量を超えると判断した場合、指定された時間あたりの積算消費電力量以下になるように、画像形成プロセス条件を変更することを可能とする。
【0091】
たとえば、定着装置における加熱部材への時間あたりの通電割合を制御し、かつ、時間あたりの通電割合によって定着装置におけるニップ幅、記録材上未定着画像の画像濃度、画像パターン、記録材搬送速度、生産性を、定着装置の蓄熱状態、周囲の温湿度、記録材情報をもとに変化させる等のプロセス条件の変更によって、最適な画像品質を確保しつつ、装置全体の消費電力量を設定した範囲内に抑制することができる。
【0092】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および、範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。