特許第6237735号(P6237735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237735
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】建設機械のフロントガード構造
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20171120BHJP
   B60R 3/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   E02F9/16 E
   B60R3/00
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-179863(P2015-179863)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-53192(P2017-53192A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2016年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧谷 隼一郎
(72)【発明者】
【氏名】松島 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】浜野 行伸
(72)【発明者】
【氏名】米田 昌史
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−090116(JP,A)
【文献】 特開2009−299396(JP,A)
【文献】 特開2006−316622(JP,A)
【文献】 米国特許第06079938(US,A)
【文献】 実開平01−075170(JP,U)
【文献】 特開平07−268907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、該上部旋回体の運転スペースの車両前方がフロントガードで覆われた建設機械のフロントガード構造であって、
前記フロントガードは、ガード枠と、該ガード枠に一体に設けられて該ガード枠の枠内を車幅方向に横切る横梁部と、該ガード枠の枠内に設けられたガード部材とを有し、
前記横梁部には、前記運転スペースのフロア面から上方に離れた位置で該運転スペース側に突出した踏み面を有する足置部材が設けられていることを特徴とする建設機械のフロントガード構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記踏み面は、前記フロントガードから前記運転スペースに向かって斜め下方に傾斜していることを特徴とする建設機械のフロントガード構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記運転スペースの車両前方に立設され、前記フロントガードを取り付ける取付座が設けられた支柱と、
前記フロントガードを前記取付座に締結させる締結部材とを備え、
前記ガード枠における前記横梁部の端部との接続位置には、前記締結部材を差し込み可能な貫通孔が形成され、
前記取付座は、前記貫通孔に対応した位置に設けられ、
前記フロントガードは、前記締結部材を前記貫通孔に差し込んで前記取付座に締結させることで、前記支柱に取り付けられていることを特徴とする建設機械のフロントガード構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち何れか1つにおいて、
前記運転スペースのフロア面における車両前方に配設された操作ペダルを備え、
前記足置部材は、前記操作ペダルよりも上方に配設されていることを特徴とする建設機械のフロントガード構造。
【請求項5】
下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、該上部旋回体の運転スペースの車両前方がフロントガードで覆われた建設機械のフロントガード構造であって、
前記フロントガードは、ガード枠と、該ガード枠に一体に設けられて該ガード枠の枠内を車幅方向に横切る横梁部と、該ガード枠の枠内に設けられたガード部材とを有し、
前記横梁部には、前記運転スペース側に突出した踏み面を有する足置部材が設けられ、
前記足置部材は、車幅方向に間隔をあけて立設された一対の側壁板と、前記フロントガードから前記運転スペースに向かって斜め下方に傾斜した姿勢で該一対の側壁板同士を連結する踏面板とを有し、
前記踏面板の上縁部は、前記横梁部の上縁部よりも上方で且つ該横梁部から前記運転スペース側に離間した位置に配設されていることを特徴とする建設機械のフロントガード構造。
【請求項6】
請求項1乃至4のうち何れか1つにおいて、
前記足置部材は、車幅方向に間隔をあけて立設された一対の側壁板と、前記運転スペースから前記フロントガードに向かって斜め下方に傾斜した姿勢で該一対の側壁板同士を連結する複数のスリット板とを有することを特徴とする建設機械のフロントガード構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のフロントガード構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、運転席のフロント面にフロントガードが配置された作業機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、フロントガードの取付けにあたって、取付用フレーム体のうち上部側を天井部に取り付けた後、網体を残りの取付用フレーム体に組み付けたサブ組付け体を上部側に固着させるようにした構成が開示されている。
【0004】
ところで、下り傾斜の作業現場で作業をする際には、車体が前傾姿勢となる。ここで、運転席の前方にハンドレール等が配設されている場合には、作業者は、ハンドレールに足を置いて踏ん張ることで、体勢を維持することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明では、フロントガードを取り付けるために、運転席の前方にハンドレールが配設されていない構成となっているため、下り傾斜の作業現場では、作業者が足を踏ん張ることができないという問題がある。なお、フロントガードの網体に足を置いて踏ん張ると、網体が変形してしまうおそれがあり、好ましくない。
【0006】
これに対し、特許文献2には、運転室に座着した状態で前後方向に回動可能な操作レバーを備え、操作レバーのレバー部の途中位置に足踏ペダルを折り畳み可能に設けた構成が開示されている。これにより、作業者が足踏ペダルに足を置くことで、作業者が前傾姿勢を強いられる等の無理な姿勢を保ち続ける必要が無く、楽な姿勢で作業をすることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−154477号公報
【特許文献2】実開昭59−121068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2の発明では、操作レバーに足踏ペダルを設けた構成であるため、車体が前傾姿勢のときに足踏ペダルに足を置いて踏ん張ると、操作レバーの誤操作を引き起こすおそれがあるという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両が前傾姿勢となった場合でも、作業者が体勢を維持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、該上部旋回体の運転スペースの車両前方がフロントガードで覆われた建設機械のフロントガード構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第1の発明は、前記フロントガードは、ガード枠と、該ガード枠に一体に設けられて該ガード枠の枠内を車幅方向に横切る横梁部と、該ガード枠の枠内に設けられたガード部材とを有し、
前記横梁部には、前記運転スペースのフロア面から上方に離れた位置で該運転スペース側に突出した踏み面を有する足置部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
第1の発明では、フロントガードのガイド枠には、枠内を車幅方向に横切るように横梁部が設けられる。横梁部の運転スペース側には、運転スペースのフロア面から上方に離れた位置に、踏み面を有する足置部材が設けられる。これにより、下り傾斜の作業現場において車両が前傾姿勢となった場合でも、作業者が足置部材に足を置いて踏ん張ることで、体勢を維持することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記踏み面は、前記フロントガードから前記運転スペースに向かって斜め下方に傾斜していることを特徴とするものである。
【0014】
第2の発明では、足置部材の踏み面がフロントガードから運転スペースに向かって斜め下方に傾斜している。これにより、下り傾斜の作業現場において踏み面が略水平状態となることで、作業者が足を置いて踏ん張り易くなる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記運転スペースの車両前方に立設され、前記フロントガードを取り付ける取付座が設けられた支柱と、
前記フロントガードを前記取付座に締結させる締結部材とを備え、
前記ガード枠における前記横梁部の端部との接続位置には、前記締結部材を差し込み可能な貫通孔が形成され、
前記取付座は、前記貫通孔に対応した位置に設けられ、
前記フロントガードは、前記締結部材を前記貫通孔に差し込んで前記取付座に締結させることで、前記支柱に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0016】
第3の発明では、ガード枠における横梁部の端部との接続位置を、締結部材によって取付座に締結している。これにより、足置部材に足を置いたときに横梁部に加わる荷重が取付座を介して支柱側にも分散されるので、横梁部の変形を抑えることができる。
【0017】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のうち何れか1つにおいて、
前記運転スペースのフロア面における車両前方に配設された操作ペダルを備え、
前記足置部材は、前記操作ペダルよりも上方に配設されていることを特徴とするものである。
【0018】
第4の発明では、足置部材を操作ペダルよりも上方に配設したから、通常の平地作業において、操作ペダルを操作する際に足置部材が邪魔になることは無い。
【0019】
第5の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、該上部旋回体の運転スペースの車両前方がフロントガードで覆われた建設機械のフロントガード構造であって、
前記フロントガードは、ガード枠と、該ガード枠に一体に設けられて該ガード枠の枠内を車幅方向に横切る横梁部と、該ガード枠の枠内に設けられたガード部材とを有し、
前記横梁部には、前記運転スペース側に突出した踏み面を有する足置部材が設けられ、
前記足置部材は、車幅方向に間隔をあけて立設された一対の側壁板と、前記フロントガードから前記運転スペースに向かって斜め下方に傾斜した姿勢で該一対の側壁板同士を連結する踏面板とを有し、
前記踏面板の上縁部は、前記横梁部の上縁部よりも上方で且つ該横梁部から前記運転スペース側に離間した位置に配設されていることを特徴とするものである。
【0020】
第5の発明では、足置部材の踏面板の上縁部が、横梁部の上縁部よりも上方で且つ横梁部から運転スペース側に離間した位置に配設される。これにより、作業者が足置部材を視認したときに、踏面板の上縁部と横梁部との隙間から車両前方を確認することができる。
【0021】
第6の発明は、第1乃至第4の発明のうち何れか1つにおいて、
前記足置部材は、車幅方向に間隔をあけて立設された一対の側壁板と、前記運転スペースから前記フロントガードに向かって斜め下方に傾斜した姿勢で該一対の側壁板同士を連結する複数のスリット板とを有することを特徴とするものである。
【0022】
第6の発明では、足置部材のスリット板が運転スペースからフロントガードに向かって斜め下方に傾斜している。これにより、作業者が足置部材を視認したときに、複数のスリット板の隙間から車両前方を確認することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、下り傾斜の作業現場において車両が前傾姿勢となった場合でも、作業者が足置部材に足を置いて踏ん張ることで、体勢を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態1に係る建設機械の構成を示す側面図である。
図2】フロントガードを取り外した状態の上部旋回体の構成を示す斜視図である。
図3】フロントガードを取り付けた状態の上部旋回体の構成を示す斜視図である。
図4】フロントガード構造を示す正面図である。
図5】フロントガード構造を示す背面図である。
図6】下側フロントガードの構成を示す背面図である。
図7】足置部材の構成を示す側面断面図である。
図8】本実施形態2に係る足置部材の構成を示す斜視図である。
図9】足置部材の構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。各図には、上下や前後左右の方向を矢印で示してある。特に言及しない限り、上下等の方向についてはこれら矢印で示す方向に従って説明する。
【0026】
《実施形態1》
図1に示すように、建設機械10は、クローラ式の下部走行体11と、下部走行体11上に旋回自在に搭載された上部旋回体12とを備えている。なお、本実施形態の建設機械10は小旋回型であり、旋回半径が小さくなるように、上部旋回体12は相対的に小さく構成され、上部旋回体12の後部の外郭線は、平面視で円弧状に形成されている。
【0027】
上部旋回体12の前側には、アタッチメント13が設置されている。アタッチメント13は、ブーム14、アーム15、及びバケット16等で構成されている。ブーム14等のそれぞれは、油圧制御された油圧シリンダ17の伸縮に連動して動作し、掘削等の作業を行う。
【0028】
ブーム14は、リアブーム14aと、フロントブーム14bと、アッパーブーム14cとを有する。フロントブーム14bは、図示しないオフセットシリンダを伸縮させることによって左右方向に回動する。これにより、アッパーブーム14cは、リアブーム14aに対して左右方向にオフセットした位置に移動する。
【0029】
図2にも示すように、上部旋回体12には、運転シート21や操作レバー22等を配置するための運転スペースSが設けられている。運転シート21の右方には、図示しない油圧機器やタンク類を収納するための機械室が設けられ、機械室カバー25によって覆われている。また、運転シート21の後方には、図示しないエンジンを収納するためのエンジン室が設けられ、エンジンカバー26によって覆われている。運転スペースSの左側前方は、作業者が運転シート21に乗降するための乗降口として開放されている。
【0030】
運転シート21の左右両側には、操作レバー22が設けられている。操作レバー22を操作することにより、油圧シリンダ17を伸縮動作させてアタッチメント13を駆動させることができる。
【0031】
運転シート21の前方には、上部旋回体12のフロア面Fから上方に延びる走行レバー23が設けられている。走行レバー23を操作することにより、下部走行体11を前進又は後退させることができる。
【0032】
運転シート21の前方の足元には、オフセットペダル24が設けられている。ここで、作業者がオフセットペダル24を左右に傾けるように踏み込むと、図示しないオフセットシリンダが伸縮して、フロントブーム14bが左右方向に回動する。これにより、バケット16を左右方向にオフセットした位置に移動させることができる。
【0033】
運転シート21の前方には、運転スペースSのフロア面Fから上方に延びる左右一対の前側支柱31が設けられている。運転シート21の後方には、エンジンカバー26の上面から上方に延びる左右一対の後側支柱35が設けられている。
【0034】
右側の前側支柱31の上端部と、右側の後側支柱35の上端部とは、ルーフ梁36によって連結されている。ルーフ梁36は、運転スペースSの上方を囲むように左方に張り出している。ルーフ梁36には、運転スペースSの上方を覆うルーフパネル37が取り付けられている。
【0035】
左側の前側支柱31は、ルーフ梁36の左側前部を支持している。左側の後側支柱35は、ルーフ梁36の左側後部を支持している。
【0036】
前側支柱31には、上下方向に間隔をあけて複数の取付座33が設けられている。取付座33は、後述するフロントガード40を取り付けるためのものであり、締結ボルト55を締結させるネジ孔が形成されている。
【0037】
以下、運転スペースSの前側を覆うフロントガード構造について説明する。図3図5に示すように、運転シート21の前方には、走行レバー23の可動範囲よりも前側にフロントガード40が配設されている。
【0038】
フロントガード40は、運転スペースSの上部位置を覆う上側フロントガード41と、上側フロントガード41よりも下方に配設されて運転スペースSの下部位置を覆う下側フロントガード45とに分割されている。
【0039】
上側フロントガード41は、上側ガード枠42と、上側ガード枠42の枠内に張られた上側網体43とを有する。上側網体43は、例えば、金網等で形成されており、作業者が上側網体43の網目を通して前方を視認可能となっている。上側網体43の外周縁部は、上側ガード枠42の内周縁部に接合されている。
【0040】
上側ガード枠42には、取付座33のネジ孔に対応して貫通孔42aが形成されている。具体的に、上側ガード枠42の左側縁部には、上下方向に間隔をあけて3つの貫通孔42aが形成されている。上側ガード枠42の右側縁部には、上下方向に間隔をあけて3つの貫通孔42aが形成されている。
【0041】
上側フロントガード41は、締結ボルト55を貫通孔42aに差し込んで取付座33にネジ止めすることで、前側支柱31に取り付けられている。
【0042】
下側フロントガード45は、下側ガード枠46と、下側ガード枠46の枠内に張られた下側網体47(ガード部材)とを有する。下側網体47は、例えば、金網等で形成されており、作業者が下側網体47の網目を通して前方を視認可能となっている。下側網体47の外周縁部は、下側ガード枠46の内周縁部に接合されている。
【0043】
下側ガード枠46には、その枠内を左右方向に横切って延びる横梁部48が一体形成されている。横梁部48の運転スペースS側の面には、走行レバー23を挟んで左右に配設された一対の足置部材60が設けられている。足置部材60は、オフセットペダル24よりも上方に配設されている。なお、足置部材60の詳細については後述する。
【0044】
下側ガード枠46には、取付座33のネジ孔に対応して貫通孔46aが形成されている。具体的に、下側ガード枠46の左側縁部には、上下方向に間隔をあけて3つの貫通孔46aが形成されている。ここで、左側の前側支柱31は、下端部が右方に折り曲げられた形状となっているため、下側ガード枠46の左側縁部の一番下の貫通孔46aは、前側支柱31の折り曲げ形状に対応して、他の貫通孔46aよりも右側にシフトした位置に形成されている。
【0045】
下側ガード枠46の右側縁部には、上下方向に間隔をあけて2つの貫通孔46aが形成されている。ここで、下側の貫通孔46aは、下側ガード枠46における横梁部48の左端部との接続位置に形成されている。このように、横梁部48の端部の近傍を締結ボルト55で締結可能な構成とすれば、足置部材60に足を置いたときに横梁部48に加わる荷重が取付座33を介して前側支柱31側にも分散されるので、横梁部48の変形を抑えることができる。
【0046】
下側フロントガード45は、締結ボルト55を貫通孔46aに差し込んで取付座33にネジ止めすることで、前側支柱31に取り付けられている。
【0047】
上側フロントガード41の下端部と下側フロントガード45の上端部とは、連結部材50によって連結されている。具体的に、連結部材50は、左右方向に延びて上側フロントガード41と下側フロントガード45との隙間を覆う補強部材としての補強プレート51と、補強プレート51を上側フロントガード41及び下側フロントガード45に締結する締結部材としての締結ボルト55及び締結ナット56とを有する。
【0048】
補強プレート51は、上側ガード枠42の下縁部及び下側ガード枠46の上縁部に沿って左右方向に延び、その両端部には、下側ガード枠46の側縁部に沿って下方に延びる延長部52が設けられている。
【0049】
補強プレート51の上端側には、左右方向に間隔をあけて3つの貫通孔51aが形成されている。補強プレート51の下端側には、左右方向の中央位置に貫通孔51aが形成されている。延長部52には、下方に開口する切欠き孔52aが形成されている。
【0050】
上側ガード枠42の下縁部及び下側ガード枠46の上縁部における運転スペースS側の面には、補強プレート51の貫通孔51a及び延長部52の切欠き孔52aに対応する位置に締結ナット56が溶接されている。
【0051】
補強プレート51は、貫通孔51a及び切欠き孔52aに締結ボルト55を差し込んで締結ナット56にネジ止めすることで、上側フロントガード41及び下側フロントガード45に取り付けられている。
【0052】
上側フロントガード41及び下側フロントガード45における運転スペースSの乗降側の側縁部には、正面視で前側支柱31の一部が露出するように窪んだ窪み部42b,46bが設けられている。
【0053】
具体的に、上側ガード枠42には、左下の角部を窪ませることで窪み部42bが設けられている。下側ガード枠46には、左上の角部を窪ませることで窪み部46bが形成されている。これにより、作業者が運転スペースSに乗降する際の手摺りとして、前側支柱31の露出部分を利用することができる。
【0054】
図6及び図7に示すように、足置部材60は、左右方向に間隔をあけて立設された一対の側壁板61と、一対の側壁板61同士を連結する踏面板62とを有する。
【0055】
側壁板61は、下側網体47の網目の間に配設されている。側壁板61の前縁部における下側寄りの部分は、横梁部48に溶接されている。側壁板61の上縁部は、横梁部48の上縁部よりも上方に位置しており、後方に向かって延びる途中で斜め下方に傾斜するように切り欠かれている。
【0056】
踏面板62は、側壁板61の上縁部の傾斜部分に載置されて側壁板61に溶接されている。これにより、踏面板62の上縁部は、横梁部48の上縁部よりも上方で且つ横梁部48から運転スペースS側に離間した位置に配設される。そして、踏面板62の上面が、運転スペースS側に突出して作業者が足を置くための踏み面となる。踏面板62の踏み面は、下側フロントガード45から運転スペースSに向かって斜め下方に傾斜している。
【0057】
このような構成とすれば、下り傾斜の作業現場において車両が前傾姿勢となった場合でも、作業者が足置部材60に足を置いて踏ん張ることで、体勢を維持することができる。さらに、足置部材60の踏み面が後方に向かって斜め下方に傾斜しているから、下り傾斜の作業現場において踏み面が略水平状態となることで、作業者が足を置いて踏ん張り易くなる。
【0058】
また、運転シート21に着座した作業者の視点位置Pから足置部材60を視認したときに、踏面板62の上縁部と横梁部48との隙間から車両前方を確認することができる。これにより、作業者の視界が良好となり、作業状況を適切に確認することができる。
【0059】
《実施形態2》
図8は、本実施形態2に係る足置部材の構成を示す斜視図、図9は側面断面図である。以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0060】
図8及び図9に示すように、足置部材60は、左右方向に間隔をあけて立設された一対の側壁板61と、一対の側壁板61同士を連結する複数のスリット板65とを有する。
【0061】
側壁板61の前縁部における下側寄りの部分は、横梁部48に溶接されている。側壁板61の上縁部は、後方に向かって延びる途中で斜め下方に傾斜するように切り欠かれている。
【0062】
スリット板65は、一対の側壁板61の間に配設され、その両端部が側壁板61に溶接されている。ここで、スリット板65は、運転スペースSから下側フロントガード45に向かって斜め下方に傾斜した姿勢で、一対の側壁板61同士を連結している。スリット板65は、その厚み方向に間隔をあけて3枚配設されている。
【0063】
このような構成とすれば、運転シート21に着座した作業者の視点位置Pから足置部材60を視認したときに、複数のスリット板65の隙間から下側網体47の網目を介して車両前方を確認することができる。これにより、作業者の視界が良好となり、作業状況を適切に確認することができる。
【0064】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0065】
本実施形態では、下側ガード枠46における横梁部48の左端部との接続位置に貫通孔46aを形成して、横梁部48の左端部の近傍を締結ボルト55で締結するようにしたが、この形態に限定するものではない。例えば、下側ガード枠46における横梁部48の右端部との接続位置にも貫通孔46aを形成して、横梁部48の両端部の近傍を締結ボルト55で締結するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、足置部材60を、一対の側壁板61と、側壁板61同士を連結する踏面板62とを有する構成としたが、この形態に限定するものではない。例えば、一対の側壁板61と、一対の側壁板61に跨がって丸パイプ等の棒状部材を架設した構成として、作業者が丸パイプに足を置くようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、操作ペダルとして、ブーム14のフロントブーム14bを左右方向に回動させるオフセットシリンダを操作するオフセットペダル24について説明したが、この形態に限定するものではない。例えば、ブーム14を左右方向に回動させるスイングシリンダを備えた建設機械では、このスイングシリンダを操作するスイングペダルであってもよい。また、その他の特殊なアタッチメントの操作に用いるペダルであってもよい。
【0068】
また、本実施形態では、下側ガード枠46の枠内に張られた下側網体47によってガード部材を構成するようにしたが、視認性を確保しつつ運転スペースSを保護できればよいので、例えば、透明な樹脂製のパネル材等を用いてガード部材を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明したように、本発明は、車両が前傾姿勢となった場合でも、作業者が体勢を維持できるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0070】
10 建設機械
11 下部走行体
12 上部旋回体
24 オフセットペダル(操作ペダル)
31 前側支柱
33 取付座
45 下側フロントガード
46 下側ガード枠
46a 貫通孔
47 ガード部材(下側網体)
48 横梁部
55 締結ボルト(締結部材)
60 足置部材
61 側壁板
65 スリット板
S 運転スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9