(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
金属フッ化物の例として、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、錫(Sn)、タングステン(W)、カリウム(K)、バリウム(Ba)、又はストロンチウム(Sr)のフッ化物が挙げられる。中でもリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)又はジルコニウム(Zr)のフッ化物であることが好ましく、LiF、NaF、MgF
2、CaF
2、ZrF
4
がさらに好ましい。
【0009】
リチウム含有遷移金属酸化物の総質量に対する金属フッ化物の割合は、0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上4.0質量%以下がより好ましく、1.1質量%以上3.4質量%以下がさらに好ましい。上記割合が0.1質量%未満では熱安定性の向上効果が小さくなることがある。また、上記割合が5.0質量%を超えるとその分だけ正極活物質の量が減るため、正極容量が低下する。
【0010】
希土類化合物は、希土類の水酸化物、オキシ水酸化物又は酸化物であることが好ましく、特に、希土類の水酸化物又はオキシ水酸化物であることが好ましい。これらを用いると、熱安定性の向上効果が一層発揮されるからである。尚、希土類化合物には、これらの他に希土類の炭酸化合物又は燐酸化合物等が一部含まれていてもよい。
【0011】
希土類化合物に含まれる希土類元素の例として、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられる。中でも、ネオジム、サマリウム、エルビウムが好ましい。ネオジム、サマリウム又はエルビウムの化合物は、他の希土類化合物に比べて平均粒径が小さく、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面により均一に析出し易いからである。
【0012】
希土類化合物の具体例としては、水酸化ネオジム、オキシ水酸化ネオジム、水酸化サマリウム、オキシ水酸化サマリウム、水酸化エルビウム、オキシ水酸化エルビウム等が挙げられる。また、希土類化合物として、水酸化ランタン又はオキシ水酸化ランタンを用いた場合には、ランタンは安価であるということから、正極の製造コストを低減することができる。
【0013】
希土類化合物の平均粒径は1nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。希土類化合物の平均粒子径が100nmを超えると、希土類化合物の粒径が大きくなり、希土類化合物の粒数が減少する。その結果、熱安定性の向上効果が小さくなることがある。一方、希土類の化合物の平均粒子径が1nm未満になると、リチウム含有遷移金属酸化物の粒子表面が希土類の化合物によって緻密に覆われ、リチウム含有遷移金属酸化物の粒子表面におけるリチウムイオンの吸蔵又は放出性能が低下して、充放電特性が低下することがある。
【0014】
希土類化合物をリチウム含有遷移金属酸化物の粒子表面に付着させるには、リチウム含有遷移金属酸化物粒子を分散した溶液に、希土類元素の塩を溶解した水溶液を混合し、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面に希土類元素の塩を析出させ付着させた後、熱処理する方法が挙げられる。当該方法では、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面に、希土類化合物をより均一に分散して付着させることができる。リチウム含有遷移金属酸化物を分散した溶液のpHは一定にすることが好ましく、特に1〜100nmの微粒子を、リチウム含有遷移金属酸化物の表面に均一に分散させて析出させるには、pHを6〜10に規
制することが好ましい。pHが6未満になると、リチウム含有遷移金属酸化物の遷移金属が溶出する恐れがある一方、pHが10を超えると、希土類化合物が偏析してしまうおそれがある。また、熱処理温度は希土類元素の種類によるが、例えばエルビウムの場合、120℃以上700℃以下であることが好ましく、さらには250℃以上500℃以下であることが好ましい。120℃未満の場合、活物質に吸着した水分が十分に除去されないために、電池内に水分が混入する恐れがある。
一方、700℃を超える場合には、表面に付着した希土類化合物の一部が内部に拡散し、熱安定性の向上効果が小さくなることがある。
【0015】
また別の方法としては、リチウム含有遷移金属酸化物を混合しながら、希土類元素の塩を溶解した水溶液を噴霧した後に、乾燥するという方法がある。さらに別の方法としては、リチウム含有遷移金属酸化物と、希土類化合物とを、混合処理機を用いて混合し、リチウム含有遷移金属酸化物の表面に希土類化合物を機械的に付着させる方法もある。上記の別の方法については、さらに熱処理を行っても良い。この場合の熱処理温度は、上記の水溶液を混合する方法の場合の熱処理温度と同様である。
【0016】
リチウム含有遷移金属酸化物における遷移金属の総モル量に対し、希土類元素の存在割合は、0.003モル%以上0.25モル%以下が好ましく、0.01モル%以上0.20モル%以下がより好ましく、0.05モル%以上0.15モル%以下がさらに好ましい。上記割合が0.003モル%未満になると、熱安定性の向上効果が小さくなることがある。一方、上記割合が0.25モル%を超えると、リチウム含有遷移金属酸化物の粒子表面における反応性が低くなって、大電流放電でのサイクル特性が低下することがある。
【0017】
リチウム含有遷移金属酸化物中の遷移金属元素はニッケル及びマンガンを含むことが好ましい。リチウム含有遷移金属酸化物がニッケル及びマンガンを含む場合、LiNiO
2に比べて酸化物自体の熱安定性が高くなる。このため、高温時におけるリチウム含有遷移金属酸化物からの酸素脱離による非水電解質の酸化の影響よりも、リチウム含有遷移金属酸化物中の遷移金属の触媒作用に起因する非水電解質の酸化の影響の方が大きくなる。本発明は、遷移金属の触媒作用に起因する非水電解質の酸化を抑制するのに適しており、ニッケル及びマンガンを含むリチウム含有遷移金属酸化物を用いた場合に本発明効果がより得られることになる。
【0018】
また、リチウム含有遷移金属酸化物がニッケル及びマンガンを含む場合、LiCoO
2に比べて遷移金属の触媒作用に起因する非水電解質の酸化の影響が大きい。したがって、ニッケル及びマンガンを含むリチウム含有遷移金属酸化物を用いた場合に本発明効果がより得られることになる。
【0019】
リチウム含有遷移金属酸化物は、Li
1+xNi
aMn
bCo
cO
2+d(式中、x、
a、b、c、dは、x+a+b+c=1.0、0≦x≦0.3、0<a、0<b、0≦c、−0.1≦d≦0.1)で表されることがより好ましく、Li
1+xNi
aMn
bCo
cO
2+d(式中、x、a、b、c、dはx+a+b+c=1.0、0≦x≦0.3、0≦c/(a+b)<0.85、0.7≦a/b≦4.0、−0.1≦d≦0.1)で表されることがさらに好ましい。
【0020】
材料コストが低くなるため、0≦c/(a+b)<0.85の条件を満たす場合がより好ましく、0≦c/(a+b)<0.65の条件を満たす場合がさらに好ましい。また、リチウム含有遷移金属酸化物自体の熱安定性が高くなるため、0.7≦a/b≦4.0の条件を満たす場合がより好ましく、0.7≦a/b≦3.0の条件を満たす場合がさらに好ましい。また、上記リチウム含有遷移金属酸化物は層状構造を有することがより好ましい。
【0021】
なお、上記リチウム含有遷移金属酸化物は、熱安定性の向上効果が妨げられない程度で他の添加元素を含んでいても良い。添加元素の例としては、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、タングステン(W)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)が挙げられる。
【0022】
本発明における負極に用いる負極活物質としては、リチウムを可逆的に吸蔵、放出できるものであれば特に限定されず、例えば、炭素材料や、リチウムと合金化する金属或いは合金材料や、金属酸化物等を用いることができる。
【0023】
本発明の非水電解質二次電池に用いる非水電解液は、従来から使用されている、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートを用いることができる。特に、低粘度、低融点でリチウムイオン伝導度の高い非水系溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒を用いることが好ましい。また、この混合溶媒における環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比は、2:8〜5:5の範囲に規制することが好ましい。
【0024】
本発明の非水電解質二次電池に用いるリチウム塩は、従来から使用されているフッ素含有リチウム塩、例えばLiPF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(FSO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)、LiC(C
2F
5SO
2)
3、及びLiAsF
6などを用いることができる。更にフッ素含有リチウム塩に、フッ素含有リチウム塩以外のリチウム塩〔P、B、O、S、N、Clの中の一種類以上の元素を含むリチウム塩(例えば、LiClO
4等)〕を加えたものを用いても良い。特に、高温環境下においても負極の表面に安定な被膜を形成する点から、フッ素含有リチウム塩とオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩とを含むことが好ましい。
【0025】
上記のオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の例として、LiBOB〔リチウム−ビスオキサレートボレート〕、Li[B(C
2O
4)F
2]、Li[P(C
2O
4)F
4]、Li[P(C
2O
4)
2F
2]が挙げられる。中でも安定な被膜を形成させるLiBOBを用いることが好ましい。
【0026】
本発明の非水電解質二次電池に用いるセパレータとしては、従来から使用されている、ポリプロピレン製やポリエチレン製のセパレータ、ポリプロピレン−ポリエチレンの多層セパレータ等を用いることができる。
<実験例>
以下、本発明を実験例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実験例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0027】
(実験例1)
[正極活物質の作製]
共沈法により作製した[Ni
0.35Mn
0.30Co
0.35](OH)
2とLi
2
CO
3とを混合した後、空気中にて900℃で10時間焼成することで、正極活物質としてLi
1.06[Ni
0.33Mn
0.28Co
0.33]O
2で表されるリチウム含有遷移金属酸化物を作製した。上記リチウム含有遷移金属酸化物の平均粒子径は約12μmであった。
【0028】
上記方法で作製されたリチウム含有遷移金属酸化物の粒子1000gを3リットルの純水に投入し攪拌した後、これに硝酸エルビウム5水和物4.58gを溶解した溶液を加えた。この際、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を適宜加え、リチウム含有遷移金属酸化物を含む溶液のpHが9となるように調整した。次いで、吸引濾過、水洗した後、400℃にて焼成して得られた粉末を乾燥し、リチウム含有遷移金属酸化物の表面にオキシ水酸化エルビウムが均一に付着した正極活物質を得た。尚、上記オキシ水酸化エルビウムの付着量は、エルビウム元素換算で、上記リチウム含有遷移金属酸化物及び上記オキシ水酸
化エルビウム中の遷移金属の総モル量に対して0.1モル%であった。
【0029】
[正極の作製]
上記正極活物質と、フッ化リチウムと、導電剤としてのカーボンブラックと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを溶解させたN−メチル−2−ピロリドン溶液とを、正極活物質とフッ化リチウムと導電剤と結着剤との質量比が91:1:5:3となるように秤量し、これらを混練して正極合剤スラリーを調製した。このように、正極活物質に対するフッ化リチウムの割合は、1.1質量%となっている。次いで、上記正極合剤スラリーを、アルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、これを乾燥させた後、圧延ローラーにより圧延し、更にアルミニウム製の集電タブを取り付けることにより正極を作製した。
【0030】
作用極として上記の正極を、対極及び参照極としてそれぞれ金属リチウムを用いて三電極式試験用セルを作製した。なお、非水電解質として、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジメチルカーボネートとを3:3:4の体積比で混合させた混合溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度になるように溶解させ、さらにLiBOBを0.1mol/Lとなるように溶解させ、ビニレンカーボネートを上記混合溶媒に対して1質量%溶解させた非水電解液を用いた。このようにして作製した三電極式試験用セルを、以下、電池A1と称する。
【0031】
(実験例2)
正極を作製する際に、正極活物質とフッ化リチウムと導電剤と結着剤との質量比が89:3:5:3となるように秤量し、これらを混練して正極活物質に対するフッ化リチウムの割合が3.4質量%となっている正極合剤スラリーを調製したこと以外は、上記実験例1と同様にして三電極式試験用セルを作製した。このようにして作製した三電極式試験用セルを、以下、電池A2と称する。
【0032】
(実験例3)
正極活物質を作製する際に、表面にオキシ水酸化エルビウムを付着させず、正極を作製する際に、フッ化リチウムを添加しなかったこと以外は、上記実験例1と同様にして三電極式試験用セルを作製した。 このようにして作製した三電極式試験用セルを、以下、電池Z1と称する。
【0033】
(実験例4)
正極活物質を作製する際に、表面にオキシ水酸化エルビウムを付着させなかったこと以外は、上記実験例1と同様にして三電極式試験用セルを作製した。このようにして作製した三電極式試験用セルを、以下、電池Z2と称する。
(実験例5)
正極を作製する際に、フッ化リチウムを添加しなかったこと以外は、上記実験例1と同様にして三電極式試験用セルを作製した。このようにして作製した三電極式試験用セルを、以下、電池Z3と称する。
(熱安定性試験)
上記電池A1〜A2、Z1〜Z3を下記条件で充電した後、各電池を解体し正極を取り出した。取り出した正極をそれぞれ非水電解液と一緒にSUS製のセル内に入れて密閉し、5℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させた。この際、160〜240℃の発熱量を、示差走査熱量計(DSC)を用いて調べた。その結果を表1に示す。尚、各電池の発熱量は、電池Z1の発熱量を100としたときの指数で表している。
【0034】
・充電条件
25℃の温度条件下において、0.2mA/cm
2の電流密度で4.3V(vs.Li/Li
+)まで定電流充電を行い、4.3V(vs.Li/Li
+)の定電圧で電流密度が0.04mA/cm
2になるまで定電圧充電を行った。
【0036】
表1から分かるように、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面にオキシ水酸化エルビウムを付着させ、正極にフッ化リチウムが添加された電池A1、A2は、電池Z1〜Z3と比較して大幅に発熱量が減少しており、熱安定性が大きく向上していることが認められた。この理由は定かではないが、以下のように考えられる。正極と電解液が共存する系が高温になると、リチウム含有遷移金属酸化物中の遷移金属の触媒作用によりリチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面において非水電解質が酸化分解され、これにより正極と電解液の温度がさらに上昇する。ここで、正極がリチウム含有遷移金属酸化物粒子と金属フッ化
物とを含み、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面の少なくとも一部に希土類化合物が付着し、非水電解質がフッ素含有リチウム塩を含む場合、高温になった非水電解質中のフッ素含有リチウム塩が熱分解して、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面がその分解物であるフッ化リチウムで被覆される。この結果、リチウム含有遷移金属酸化物中の遷移金属と非水電解質との接触面積が減少し、非水電解質の酸化が抑制されるため、発熱量が減少する。このとき、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面に希土類化合物がより均一に近い形態で付着していると、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面がフッ化リチウムで
より均一に被覆され、リチウム含有遷移金属酸化物中の遷移金属と非水電解質との接触面積を効率的に減少させることができる。
【0037】
なお、正極が金属フッ化物を含むことで、フッ化リチウムがリチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面で析出することを容易にし、さらに、リチウム含有遷移金属酸化物の粒子表面に、電気陰性度が遷移金属と比較して小さい希土類元素を含む化合物が存在することで、電気陰性度の大きいフッ素原子を有するフッ化リチウムをリチウム含有遷移金属酸化物の粒子表面に引き付け易くなる。その結果、フッ化リチウムの析出を加速させることができる。
【0038】
正極にフッ化リチウムが添加された電池Z2は、フッ化リチウムが添加されていない電池Z1と比較して発熱量が減少しており、熱安定性が向上していることが認められた。一方、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面にオキシ水酸化エルビウムを付着させている電池Z3は、オキシ水酸化エルビウムを付着させていないZ1と比較して、発熱量が減少しておらず、オキシ水酸化エルビウムは熱安定性に寄与していないことが認められた。ところが、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面にオキシ水酸化エルビウムが付着し、正極にフッ化リチウムが添加された電池A1では、リチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面
にオキシ水酸化エルビウムが付着していないが、正極にフッ化リチウムが添加された電池Z2より、さらに熱安定性が向上していることが認められた。このことから、単にリチウム含有遷移金属酸化物粒子の表面にオキシ水酸化エルビウムを付着させただけでは熱安定性は向上しないが、正極に含まれる金属フッ化物との相互作用によって、オキシ水酸化エルビウムは電池の熱安定性を向上させることが分かる。なお、他の希土類元素を含む希土類化合物を用いた場合でも、同様の効果が得られると考えられる。