(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。説明は以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
<2.第2の実施形態>
<3.応用例>
<4.変形例>
以下に説明する実施形態等は本開示の好適な具体例であり、本開示の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。なお、下記の説明において、説明の便宜を考慮して前後左右等の方向を規定する表現を使用するが、本開示の内容がこれらの方向に限定されるものではない。また、図面における各構成の長さ、厚み等は、説明の便宜を考慮して、適宜、拡大または縮小している。
【0012】
<1.第1の実施形態>
「映像表示装置の構成の一例」
第1の実施形態は、本開示の音声出力装置を映像表示装置に適用した例である。映像表示装置は、例えば、テレビジョン放送に基づく映像を表示する装置である。映像表示装置は、床、棚、台などの水平面に載置される据置型のほか、壁などに掛ける壁掛型として使用することができる。
【0013】
図1は、映像表示装置の一部の構成を説明するための分解斜視図である。映像表示装置1は、表示パネル100と、ベゼル101と、バックシャーシ102と、リアカバー103とを含む。
【0014】
映像表示装置1の最前面に液晶セルを含む表示パネル100が配置される。表示パネル100によりユーザに対して映像が提示される側を前面側と適宜、称し、反対側を背面側と適宜、称する。表示パネル100は、光提供部の一例として機能する。なお、光提供部は、ユーザに対して光を提供するものであり、それ自体が発光するものでもよく、他の光源による光に基づいて発光するものでもよい。
【0015】
表示パネル100の周囲に、枠板状(額縁状)のベゼル101が取り付けられる。ベゼル101は、音響振動板の一例として機能するものである。このため、ベゼル101は、音響特性の優れる部材により構成されることが好ましい。好ましくは、ベゼル101は、アクリル板または難燃性に優れるポリカーボネートにより構成されるが、これに限定されるものではない。
【0016】
さらに、ベゼル101は、例えば、光透過性部材からなり、好ましくは透明とされる。光透過性部材によりベゼル101を構成することにより、デザイン性に優れた映像表示装置1を提供することができる。
【0017】
表示パネル100の背面にバックシャーシ102が取り付けられる。バックシャーシ102は、表示パネル100の背面を覆う略平板状の部材である。バックシャーシ102は、アルミニウム(Al)などの金属板により構成される。
【0018】
映像表示装置1の背面は、リアカバー103により覆われる。リアカバー103は、例えば、鉄(Fe)などの金属よりなる平板状の部材により構成されている。リアカバー103は、ベゼル101の背面側およびバックシャーシ102の背面側を覆うとともに、これらに取り付けられる。
【0019】
なお、
図1における映像表示装置1の各部の形状等は、簡略化して示している。さらに、
図1では、映像表示装置1の各部を固定するための、ビス、ねじ穴等の図示を適宜、省略している。
【0020】
図2を参照して、ベゼル101について詳細に説明する。ベゼル101は、例えば、上辺板部110と、下辺板部111と、右辺板部112と、左辺板部113とを有する枠体として構成される。下辺板部111の内部には、映像表示装置1の構成に対応して、LED(Light Emitting Diode)やインジケータ、各種センサが内蔵される場合がある。なお、
図2における点線は、各板部の境界の一例を示すものであり、特別の意味を有するものではない。
【0021】
各板部は、前面側および背面側にそれぞれ板面を有するとともに、外側側面および内側側面を有する。すなわち、上辺板部110は、外側側面110aおよび内側側面110bを有する。下辺板部111は、外側側面111aおよび内側側面111bを有する。右辺板部112は、外側側面112aおよび内側側面112bを有する。左辺板部113は、外側側面113aおよび内側側面113bを有する。
【0022】
第1の実施形態では、右辺板部112の内側側面112bおよび左辺板部113の内側側面113bが、所定面の一例とされる。ピエゾアクチュエータ等の加振部が、例えば、ベゼル101に取り付けられる。この加振部により、所定面に略直交する方向への振動が提供される。略直交とは、直交のほか、加振部および所定面の構造等に起因する若干の誤差を許容する意味である。
【0023】
ベゼル101の背面側には、1以上の突部が形成される。この例では、ベゼル101の背面側に4の突部が形成される。すなわち、右辺板部112の背面側に突部115および突部116が形成される。さらに、左辺板部113の背面側に突部117および突部118が形成される。各突部は、インサート成形等によりベゼル101と一体的に形成されてもよく、ベゼル101と別個に形成された後に接着剤等によりベゼル101に取り付けられるようにしてもよい。
【0024】
各突部は、例えば、端面を有する三角柱形状とされる。もちろん、各突部は、適宜な形状とすることができる。突部115は、端面115aを有する。この例では、端面115aが内側側面112bと同一平面とされるが、突部115を右辺板部112の中央付近に形成し、端面115aが内側側面112bと略平行な面とされてもよい。
【0025】
突部116は、端面116aを有する。この例では、端面116aが内側側面112bと同一平面とされるが、突部116を右辺板部112の中央付近に形成し、端面116aが内側側面112bと略平行な面とされてもよい。
【0026】
突部117は、端面117aを有する。この例では、端面117aが内側側面113bと同一平面とされるが、突部113を左辺板部113の中央付近に形成し、端面117aが内側側面113bと略平行な面とされてもよい。
【0027】
突部118は、端面118aを有する。この例では、端面118aが内側側面113bと同一平面とされるが、突部118を左辺板部113の中央付近に形成し、端面118aが内側側面113bと略平行な面とされてもよい。
【0028】
図3Aは、ベゼル101を背面側から見た図である。
図3Bは、a−a線でベゼル101を切断し、ベゼル101を矢印の方向から見た図である。
図3Cは、b−b線でベゼル101を切断し、ベゼル101を矢印の方向から見た図である。
【0029】
図3Bに示すように、ベゼル101の右辺板部112の背面側の板面に、突部115および突部116が形成されている。右辺板部112の内側側面112bの幅(短手方向の長さ)W1は、例えば、3mm(ミリメートル)から5mm程度に設定される。
【0030】
突部の端面(突部115の端面115aおよび突部116の端面116a)の幅W2は、例えば、内側側面112bの幅と同程度(例えば、3mmから5mm程度)に設定される。幅W2の大きさが幅W1の大きさと異なるようにしてもよい。詳細は後述するが、各突部の端面に対して、アクチュエータの当接面が当接する。このため、各突部の端面の大きさは、少なくとも、アクチュエータの当接面の大きさより大きくなるように設定される。
【0031】
図3Cに示すように、ベゼル101の右辺板部112の背面側の板面に突部115が形成されている。ベゼル101の左辺板部113の背面側の板面に突部117が形成されている。上述したように、各突部は、例えば、三角柱形状であるが、これに限定されるものではない。この例では、突部115の端面115aと右辺板部112の内側側面112bとが同一平面に設定される。また、突部117の端面117aと左辺板部113の内側側面113bとが同一平面に設定される。
【0032】
ベゼル101に対して、1以上の加振部が取り付けられる。加振部は、例えば、安価かつ小型化が可能はピエゾアクチュエータが使用される。もちろん、磁歪アクチュエータ等の他のものが使用されてもよい。例えば、
図4に示すように、ベゼル101に形成される突部の数に対応して、4のアクチュエータ(アクチュエータ121,122,123,124)がベゼル101に取り付けられる。各アクチュエータは、ネジ等の取付機構を介してベゼル101に取り付けられる。アクチュエータに対応して、4の取付機構(取付機構131,132,133,134)がベゼル101に取り付けられる。
【0033】
例えば、取付機構131は、ベゼル101の突部115付近に取り付けられるとともに、アクチュエータ121を支持する。取付機構131は、アクチュエータ121の当接面が突部115の端面115aに当接するように、アクチュエータ121を支持する。
【0034】
例えば、取付機構132は、ベゼル101の突部116付近に取り付けられるとともに、アクチュエータ122を支持する。取付機構132は、アクチュエータ122の当接面が突部116の端面116aに当接するように、アクチュエータ122を支持する。
【0035】
例えば、取付機構133は、ベゼル101の突部117付近に取り付けられるとともに、アクチュエータ123を支持する。取付機構133は、アクチュエータ123の当接面が突部117の端面117aに当接するように、アクチュエータ123を支持する。
【0036】
例えば、取付機構134は、ベゼル101の突部118付近に取り付けられるとともに、アクチュエータ124を支持する。取付機構134は、アクチュエータ124の当接面が突部118の端面118aに当接するように、アクチュエータ124を支持する。
【0037】
図5における点線は、ベゼル101により支持される表示パネル100の位置の一例を示す。映像表示装置1の前面側から見た場合、表示パネル100の背面側に内側側面112bおよび内側側面113bが位置される。すなわち、映像表示装置1のユーザが視認できない領域(不可視領域)にベゼル101の内側側面112bおよび内側側面113bが位置される。さらに、内側側面112bおよび内側側面113bに略直交する方向への振動を提供するアクチュエータおよびアクチュエータの取付機構が表示パネル100の背面側に位置される。
【0038】
ここで、想定技術(先行技術ではない)として、ベゼル101の背面側の板面にアクチュエータ等の振動素子を取り付け、当該振動素子を振動させることによりベゼル101を振動させることも考えられる。しかしながら、ベゼル101を、例えば、透明な部材により構成した場合に、ベゼル101の板面に取り付けたアクチュエータがユーザに見えてしまうという問題があり、デザイン上、好ましくない。この例では、アクチュエータおよびアクチュエータの取付機構が表示パネル100の背面側に位置されるため、アクチュエータおよびアクチュエータの取付機構がユーザに見えてしまうことを防止できる。すなわち、デザイン性に優れた映像表示装置1を提供できる。
【0039】
上述したように、表示パネル100の背面には、バックシャーシ102が取り付けられる。
図6は、リアカバー103を除く映像表示装置1を背面側から見た場合の構成の一例を示す。バックシャーシ102には、回路基板などが取り付けられる。
図6では、回路基板等の図示を適宜、省略している。
【0040】
バックシャーシ102の背面側(表示パネル100の背面側と同じ側)には、音声出力部の一例であるスピーカが取り付けられる。例えば、Lチャンネル用のスピーカ141およびRチャンネル用のスピーカ142が、バックシャーシ102の背面側にとりつけられる。
【0041】
図7は、映像表示装置1を側面(例えば、左辺板部113の外側側面113a側)から見た場合の構成の一例を示す。映像表示装置1の前面側に表示パネル100が配置される。表示パネル100は、最前面の側から順に、例えば、前面ガラス145と、液晶層(図示は省略している)を有するセル146と、拡散板等の光学シート147と、導光板148と、反射板149とを含む構成とされる。もちろん、これらの構成は、映像表示装置1の構成に応じて異なるものである。
【0042】
表示パネル100の背面側にバックシャーシ102が取り付けられる。バックシャーシ102の背面側に、スピーカ142が取り付けられる。スピーカ142は、例えば、スピーカボックス151とスピーカ本体152とを含む。スピーカボックス151は、例えば、金属製の箱体であり、内部にスピーカ本体152を収納し、スピーカ本体152を所定の状態に支持するものである。スピーカボックス151は、例えば、スピーカ本体152を鉛直に支持する。これにより、映像表示装置1を薄型化することができる。
【0043】
スピーカ本体152は、小型のダイナミックスピーカにより構成され、コーナー付近がカットされた箱体とされる。もちろん、スピーカ本体152の形状等は、適宜、他の形状等を用いることができる。スピーカ本体152の放音孔は、下側を向いている。このため、スピーカ本体152からベゼル101の下辺板部111に向けて、音声が再生される。スピーカ141の構成は、例えば、スピーカ142と同様の構成とされる。なお、音声とは、人の声、音楽など、人の耳によって聴取される種々の「音」が含まれる。バックシャーシ102の背面側にリアカバー103が取り付けられる。
【0044】
映像表示装置1が壁掛式として使用される場合は、リアカバー103の背面側に壁部が配置される。ベゼル101と壁部の壁面との間の距離は、例えば、2mm〜5mmとなるように設定される。
【0045】
「ピエゾアクチュエータの構成の一例」
図8を参照して、アクチュエータ123の構成の一例について説明する。アクチュエータ121等の他のアクチュエータの構成は、アクチュエータ123の構成と同一とされる。アクチュエータ123は、例えば、積層型のピエゾアクチュエータとして構成される。
【0046】
図8Aは、アクチュエータ123の概略的な斜視図である。
図8Bは、アクチュエータ123の概略的な断面図である。
図8Aに示すように、アクチュエータ123は、例えば、2の端面と、4の側面とを有する略直方体の圧電セラミック薄板積層体153を含む。圧電セラミック薄板積層体153の2の端面のうち、1の端面が当接面として機能する。4の側面のうち対向する2の側面に、外部電極155および外部電極156が形成される。
【0047】
圧電セラミック薄板積層体153の端面の大きさは、例えば、2mm×2mm程度にすることができる。また、圧電セラミック薄板積層体153の長さ(側面の長手方向の長さ)は、例えば、18mm程度にすることができる。
【0048】
図8Bに示すように、圧電セラミック薄板積層体153の内部は、内部電極157と内部電極158とが交互に積層されるとともに、多数の圧電セラミック薄板(図示は省略している)が積層された構成とされる。内部電極157は、外部電極155に接続される。内部電極158は、外部電極156に接続される。
【0049】
信号源159から供給される信号電圧Vsを外部電極155、外部電極156間に印加すると、圧電セラミック薄板積層体153内部の多数の圧電セラミック薄板が厚さ方向に変位する。アクチュエータ123は、それぞれの変位の総和分、積層方向に変位して振動する。
【0050】
ピエゾアクチュエータは磁歪アクチュエータとは異なり、磁界バイアスが必要ないため、アクチュエータをよりシンプルに構成することができ、アクチュエータ123の小型化を図ることができる。さらに、ピエゾアクチュエータは、発生応力および応答速度が大きいという利点がある。
【0051】
「アクチュエータの取り付け例」
図9を参照して、アクチュエータ123の取り付けの一例について説明する。なお、アクチュエータ121等の他のアクチュエータの取り付け方法は、アクチュエータ123の取り付け方法と略同様とされる。
【0052】
アクチュエータ123は、取付機構133によりベゼル101に取り付けられる。取付機構133は、ホルダ161を含む。ホルダ161がベゼル101の左辺板部113の取り付け孔に対して、ネジ162およびネジ163等により取り付けられる。ホルダ161は、例えば、ABS樹脂により構成される。
【0053】
なお、
図9では、ホルダ161の内部(断面)を説明するために、ホルダの図示を一部省略している。例えば、ホルダ161と略対称の形状のホルダが取付孔170に取り付けられ、当該ホルダとホルダ161とが一体的な構成とされる。
【0054】
アクチュエータ123は、ホルダ161の内部に収納され、保持される。アクチュエータ123の圧電セラミック薄板積層体153の一方の端面が、突部117の端面117aに当接する。これにより、ピエゾアクチュエータ123の振動が、ベゼル101に伝達される。
【0055】
アクチュエータ123の圧電セラミック薄板積層体153の一方の端面が、係止部材165に当接する。さらに、アクチュエータ123に対して、コイルスプリング166により所定の荷重が与えられている。すなわち、係止部材165とコイルスプリング166により、アクチュエータ123が荷重に応じて縮んだ状態で、ホルダ161内に保持される。
【0056】
なお、係止部材165は、サウンドアースとして機能し、音質および音圧に寄与する部材である。係止部材165として、例えば、比重が大きく響きのよい真鍮が使用される。もちろん、ターゲットする音質等に応じて、真鍮以外の部材を係止部材165として適用することができる。さらに、アクチュエータ123に対して荷重を与えられるものであれば、コイルスプリング以外のものを使用することができる。
【0057】
信号ライン167は、外部電極155および外部電極156に接続される。信号ライン167を介して、所定の音声信号がアクチュエータ123に供給される。供給される音声信号に応じて、アクチュエータ123が振動する。アクチュエータ123が動作することにより、端面117aに略直交する方向への振動が提供される。アクチュエータ123による振動が、端面117aを介して、ベゼル101に伝達され、ベゼル101が振動する。
【0058】
「音声信号の再生」
図10を参照して、映像表示装置1による音声信号の再生の一例について、説明する。なお、
図10では、説明の便宜上、アクチュエータ123等を実線により示しているが、これらの構成は表示パネル100の背面側に位置されるため、実際は見えないものである。
【0059】
この例では、映像表示装置1は、支柱172により台座ボックス173に取り付けられており、映像表示装置1と台座ボックス173とにより音響システムが構築されている。台座ボックス173は、Lチャンネル用のスピーカ173aおよびRチャンネル用のスピーカ173bを内蔵する。スピーカ173aおよびスピーカ173bは、それぞれボイスコイルおよびコーン等を有する通常のスピーカであり、スピーカの前面が略上方に向けられる。
【0060】
DSP(Digital Signal Processor)175に対して、音声信号(例えば、ステレオ音声信号)が供給される。DSP175に対して、光記録媒体や半導体メモリから音声信号が供給されてもよく、ネットワーク等から音声信号が供給されてもよい。DSP175は、供給されるステレオ音声信号に対して、周波数補正等のデジタル音声信号処理を施す。DSP175によるデジタル音声信号処理が施された後に、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換する処理がDSP175により行われる。この処理により、アナログ音声信号である、左チャンネル用の音声信号SLおよび右チャンネル用の音声信号SRが得られる。
【0061】
音声信号SLが音声信号増幅回路176に供給される。音声信号増幅回路176により音声信号SLが増幅された後に、音声信号SLがアナログハイパスフィルタ(HPF)180、アナログバンドパスフィルタ(BPF)181およびアナログローパスフィルタ(LPF)182のそれぞれに供給される。アナログHPF180、アナログBPF181およびアナログLPF182により、音声信号SLが高域成分の音声信号HSL、中域成分の音声信号MSLおよび低域成分の音声信号LSLに分離される。
【0062】
音声信号HSLが、アクチュエータ121およびアクチュエータ122に対して供給される。アクチュエータ121およびアクチュエータ122は、音声信号HSLに応じて振動する。アクチュエータ121およびアクチュエータ122による振動がベゼル101に伝達され、ベゼル101が振動する。
【0063】
音声信号MSLがスピーカ141に供給される。そして、スピーカ141から音声信号MSLに基づく音声が再生される。
【0064】
音声信号LSLがスピーカ173aに対して供給される。そして、スピーカ173aから音声信号LSLに基づく音声が再生される。
【0065】
音声信号SRが音声信号増幅回路177に供給される。音声信号増幅回路177により音声信号SRが増幅された後に、音声信号SRがアナログHPF183、アナログBPF184およびアナログLPF185のそれぞれに供給される。アナログHPF183、アナログBPF184およびアナログLPF185により、音声信号SRが高域成分の音声信号HSR、中域成分の音声信号MSRおよび低域成分の音声信号LSRに分離される。
【0066】
音声信号HSRが、アクチュエータ123およびアクチュエータ124に対して供給される。アクチュエータ123およびアクチュエータ124は、音声信号HSRに応じて振動する。アクチュエータ123およびアクチュエータ124による振動がベゼル101に伝達され、ベゼル101が振動する。
【0067】
音声信号MSRがスピーカ142に供給される。そして、スピーカ142から音声信号MSRに基づく音声が再生される。
【0068】
音声信号LSRがスピーカ173bに対して供給される。そして、スピーカ173bから音声信号LSRに基づく音声が再生される。
【0069】
このように、映像表示装置1は、ベゼル101を振動させることにより、第1の音声信号の一例である、高域の音声を出力する。第2の音声信号の一例である中域の音声は、映像表示装置1に取り付けられたスピーカから出力される。低域の音声は、映像表示装置1とは、別個に設けられたスピーカから出力される。もちろん、映像表示装置1に低域の音声を再生するスピーカが取り付けられてもよい。なお、高域、中域および低域のそれぞれ帯域は、適宜、設定することができる。それぞれの帯域が異なるようにしてもよく、一部、重複する帯域があってもよい。
【0070】
なお、スピーカ141およびスピーカ142から出力される音声は、下側に向かって出力される。しかしながら、
図11Aに模式的に示すように、ベゼル101の下辺板部111を反射板として機能させることにより、スピーカ141およびスピーカ142から出力される音声(音波)が映像表示装置1の背面側に向かうことを防止できる。すなわち、ベゼル101は、スピーカ141およびスピーカ142により再生される音声を表示パネル100の前面側に反射するように構成される。
【0071】
ベゼル101を振動板として機能させることにより、高域の音声信号を再生することができる。ベゼル101全体が比較的、均一に振動することにより音波が発生することから、高域の音声が全体にわたって定位する。
図11Bは、ベゼル101の振動により発生する音波を模式的に示している。なお、スピーカボックス151がスピーカ本体152を下辺板部111に向けて傾けて支持し、スピーカ本体152から下辺板部111に向かって音声を再生するようにしてもよい。
【0072】
ここで、映像表示装置1が壁掛式の場合は、映像表示装置1の背面側には壁部が存在する。また、映像表示装置1が据置側の場合でも、映像表示装置1は、通常、壁際に位置されるため映像表示装置1の背面側に壁部が存在する場合が多く、ベゼル101の背面側が壁部に近接することが通常である。このため、ベゼル101が振動することによりベゼル101の背面側から発生する逆位相の音波は前面側には出てこず、前面側への音波と干渉し音響的な悪影響を及ぼすことはない。
【0073】
図12は、音響システムの外観の一例および再生される音声を模式的に示したものである。映像表示装置1のベゼル101が振動することにより、高域の音声HSが再生される。映像表示装置1のスピーカにより中域の音声MSが再生され、さらに、音声MSがベゼル101の下辺板部111により反射され、音声MSが映像表示装置1の前面側に再生される。台座ボックス173内のスピーカにより低域の音声LSが再生される。例示した構成のほかに、音響システムがサブウーファー等のスピーカを含むようにしてもよい。
【0074】
「加振位置の違いに基づく効果の一例」
本開示では、一例として、加振位置を突部の端面としている。すなわち、突部の端面に対してアクチュエータを当接させ、当該突部の端面にアクチュエータによる振動を与えるようにしている。
【0075】
ここで、振動板として機能するベゼルが平板状の部材である場合には、
図13Aに示すように、平板状のベゼル187の背面側の中心付近(a点)を加振位置とすることが考えられる。すなわち、平板状のベゼル187の背面側の板面の中心付近に、アクチュエータ188を変位方向が板面に垂直な方向となるように当接させ、アクチュエータ188を振動させる。
【0076】
しかしながら、この場合には、矢印189aに示すように、ベゼル187の中心部で振動の振幅が最大となるものの、矢印189bおよび矢印189cにより示すように、加振位置から離れた箇所の振動の振幅が小さくなる。加振位置が点音源になるため、ベゼル187が全体に渡って均一に振動しない、という問題がある。さらに、ベゼル187が透明な部材である場合には、アクチュエータ等がユーザに見えてしまい、デザイン的に好ましくない、という問題もある。
【0077】
一方、
図13Bに示すように、ベゼル101の内側側面(b点)に対してアクチュエータを当接させ、アクチュエータにより内側側面に略直交する方向へ振動を与えることが考えられる。この場合には、加振位置が面音源となり、比較的、ベゼル101を全体に渡って均一に振動させることができ、均一なレベルの音波を放射させることができる。さらに、ベゼル101の背面側にアクチュエータ等の加振源を必要としないため、映像表示装置1をデザイン的に優れたものとすることができる。
【0078】
本開示における実施形態では、一例として、突部の端面(c点)を加振位置としている。加振位置をc点とすることにより、加振位置付近の振動を大きくすることができ、音圧を大きくすることができる。さらに、ベゼル101を全体に渡り振動させることができる。すなわち、加振位置をc点とした場合の振動の傾向は、加振位置をa点とした場合の振動の傾向と、加振位置をb点とした場合の振動の傾向との中間に位置する振動の傾向となる。
【0079】
さらに、突部を設けることにより、アクチュエータの取付機構が振動板面に対してオフセットできる。例えば、アクチュエータを保持するホルダ等が振動板面より前面側にせり出すことを防止できる。
【0080】
<2.第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0081】
「映像表示装置の構成の一例」
図14は、第2の実施形態における映像表示装置2を、背面側から見た構成の一例を示す図である。ベゼルの形状の一部およびアクチュエータが取り付けられる位置を除いては、映像表示装置2の構成は、映像表示装置1の構成と略同様である。
【0082】
映像表示装置2のバックシャーシ202には、映像表示装置1と同様に、Lチャンネル用のスピーカ141およびRチャンネル用のスピーカ142が取り付けられる。
【0083】
映像表示装置2は、映像表示装置1と同様に、額縁状のベゼル201を有する。ベゼル201は、上辺板部210と、下辺板部211と、右辺板部212と、左辺板部213とを含む。
【0084】
右辺板部212は、外側側面212aと、内側側面212bとを有する。右辺板部212の背面側には、突部115が形成されている。突部115の端面115aに対してアクチュエータ121の当接面が当接している。アクチュエータ121は、取付機構131によりベゼル201に取り付けられている。アクチュエータ121が第1の加振部の一例とされる。なお、突部115やアクチュエータ121、取付機構131の詳細は、第1の実施形態で説明しているため、重複した説明を省略する。
【0085】
左辺板部213は、外側側面213aと、内側側面213bとを有する。左辺板部213の背面側には、突部117が形成されている。突部117の端面117aに対してアクチュエータ123の当接面が当接している。アクチュエータ123は、取付機構133によりベゼル201に取り付けられている。アクチュエータ123が第1の加振部の一例とされてもよい。なお、突部117やアクチュエータ123、取付機構133の詳細は、第1の実施形態で説明しているため、重複した説明を省略する。
【0086】
右辺板部212の下端付近に、凹部220が形成されている。凹部220は、内側側面212bと略直交する側面221を有する。側面221が第2の所定面の一例とされる。さらに、右辺板部212の背面側の板面には、突部222が形成されている。突部222は、側面221と同一平面または側面221と平行な面である、端面222aを有する。端面222aに対して、アクチュエータ122の当接面が当接する。アクチュエータ122は、例えば、第1の実施形態と同様にして、取付機構132によりベゼル201に取り付けられる。アクチュエータ122が第2の加振部の一例とされる。
【0087】
左辺板部213の下端付近に、凹部225が形成されている。凹部225は、内側側面213bと略直交する側面226を有する。側面226が第2の所定面の一例とされてもよい。さらに、左辺板部213の背面側の板面には、突部227が形成されている。突部227は、側面226と同一平面または側面226と平行な面である、端面227aを有する。端面227aに対して、アクチュエータ124の当接面が当接される。アクチュエータ124は、例えば、第1の実施形態と同様にして、取付機構134によりベゼル201に取り付けられる。アクチュエータ124が第2の加振部の一例とされてもよい。
【0088】
「映像表示装置による音声の再生」
第2の実施形態では、アクチュエータ122およびアクチュエータ124により、ベゼル201に対して、下方から上方に向かう振動を提供する。ここで、アクチュエータにより振動板を加振する場合には、加振位置(加振点)近傍からは即座に音声が放音されるのに対して、加振位置からもっとも離れた箇所では、加振位置からの振動が伝達されるまでに若干の時間を要する。このため、振動板全体から放射される音波面は、振動板材料の音速(固体中(振動板中)を伝搬する縦波の速度)に依存した角度を持った波面となる。
【0089】
図15を参照して、具体的に説明する。
図15は、映像表示装置2を左辺板部213の外側側面213a側から見た図である。
図15では、図示を一部簡略化している。例えば、アクリル板からなるベゼル201に対して、下部に設けたアクチュエータ124等により、音声信号に応じた振動が提供される。
【0090】
この場合、加振位置近傍のベゼル201の下部付近からは即座に音声が放音されるのに対して、加振位置から離れたベゼル201の上部付近からは若干、遅れて音声が放音されることになる。したがって、
図15に示すように、ベゼル201の前面から放音される音声の音波面Auは、点線で示したベゼル201の前面に平行な面に対して、角度αを有するものになる。角度αをもって上方に向かうように音波面Auが伝搬することにより、ベゼル201の振動により発生する音声がこもらず、リスナーにとって明瞭に再生される。ベゼル201が、例えば、アクリル板により構成される場合には、角度αは12〜13度程度になる。なお、
図15および後述の
図16では、音波の放射方向が矢印により模式的に示されている。
【0091】
図16は、ベゼル201の振動により再生される音声の音波の伝搬を模式的に示した図であり、同図において、ベゼル201の上面および側面から見た音波の放射方向が示されている。上述したように、アクチュエータ122およびアクチュエータ124による振動に応じて、音波の放射方向は下方から上方に向かう。
【0092】
一方、アクチュエータ121およびアクチュエータ123の振動により、右辺板部212付近および左辺板部213付近では即座に音声が放音される。加振位置から離れた箇所(例えば、上辺板部210の中央付近および下辺板部211の中央付近)では遅れて音声が放音される。すなわち、アクチュエータ121の振動およびアクチュエータ123の振動により発生する音波は、左右方向に角度αをもって伝搬する。
【0093】
アクチュエータ121およびアクチュエータ123の振動に基づく音声により、音響的な広がり感をユーザ(リスナー)に提供できる。例えば、映画が映像表示装置2により再生される場合には、臨場感をユーザに提供することができる。さらに、上述した、アクチュエータ122およびアクチュエータ124の振動に基づく明瞭な音声の再生とあいまって、高品位な再生音場を実現できる。さらに、この例では、ベゼル201の振動に基づいて再生される音声は指向性のある高域の音声であるため、ユーザは、指向性の小さい低域の音声に比べて上述した広がり感等をより体感することができる。
【0094】
なお、アクチュエータ122の加振方向に、ベゼル201の右コーナーRCが位置されるように、ベゼル201が構成されてもよい。さらに、アクチュエータ124の加振方向に、ベゼル201の左コーナーLCが位置されるように、ベゼル201が構成されてもよい。
【0095】
例えば、
図17に示すように、アクチュエータ122の加振方向に映像表示装置2の表示パネル200が位置する場合には、アクチュエータ122の振動およびこれに基づく右辺板部212の振動により発生する音声が表示パネル200により遮られる場合がある。アクチュエータの加振方向とは、例えば、加振位置から延伸する直線により規定される方向である。同様に、アクチュエータ124の振動およびこれに基づく左辺板部213の振動により発生する音声が表示パネル200により遮られる場合がある。
【0096】
そこで、
図18に示すように、アクチュエータ122の加振方向にベゼル201の右コーナーRC付近が位置するように、側面221および端面222aを傾斜させ、アクチュエータ122を配置する。さらに、アクチュエータ124の加振方向にベゼル201の左コーナーLC付近が位置するように、側面226および端面227aを傾斜させ、アクチュエータ124を配置する。これにより、アクチュエータの振動およびこれに基づくベゼル201の振動が表示パネル200により遮られることを防止でき、音圧の低下を防止できる。
【0097】
以上、説明したように、第1および第2の実施形態によれば、デザイン性と高品位な音質とを両立し得る音声出力装置および音声出力装置が適用された映像表示装置を提供できる。
【0098】
<3.応用例>
なお、本開示における音声出力装置は、種々の装置に対して応用が可能である。応用例について説明する。なお、本開示の内容が、下記に説明する応用例に限定されるものではない。
【0099】
「応用例1」
応用例1は、音声出力装置を照明装置に適用した例である。
図19は、照明装置の外観の一例を示す図である。照明装置300は、いわゆる電球と同様の外観形状を有し、既存の電灯設備における電球用ソケットに対して、機械的に螺合し電気的に接続可能な形状の口金部301と、この口金部301の基端側に設けられた基体部302と、この基体部302と一体的に設けられた略球状の筐体部303とを備える。また、照明装置300は、筐体部303の一部に形成されたメッシュ状の音声出力口304を備える。
【0100】
口金部301は、例えば、電気的導通可能な金属部材からなる。基体部302は、例えば、樹脂成形部材からなる。筐体部303は、ガラスによって構成されてもよく、樹脂成形部材によって構成されてもよいが、音響に優れた部材より構成されることが好ましい。
【0101】
図20は、照明装置300の内部構成の一例を示す図である。基体部302には、例えば、照明装置300の基板部310が内蔵されている。基板部310には、外部の装置から電力および音声信号が供給可能とされている。また、筐体部303の内部には、光提供部の一例である、複数のランプ311が配設されている。このランプ311としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)、フィラメント、蛍光灯および有機EL(Electroluminescence)などが使用される。ランプ311は、基板部310に対して電気的に接続されており、基板部310を介して供給される電力に応じて発光する。ランプ311が発光する方向が前面側として設定され、口金部301の側が背面側として設定される。
【0102】
筐体部303の音声出力口304の内側には、音声出力をおこなう複数のスピーカ315が配設されている。スピーカ315に対して、基板部310を介して、例えば、中低域の音声信号が供給され、当該音声信号に基づく音声がスピーカ315から再生される。
【0103】
ランプ311に対して背面側における筐体部303の内周面(所定面の一例)に、アクチュエータ320が取り付けられる。アクチュエータ320は、例えば、第1の実施形態と同様に、ピエゾアクチュエータにより構成される。アクチュエータ320は、ランプ311の背面側に位置されるため、ランプ311の光によりアクチュエータ320を目立たなくすることができる。
【0104】
アクチュエータ320に対して、基板部310を介して、例えば、高域の音声信号が供給される。供給される高域の音声信号に応じて、アクチュエータ320が内周面に略垂直な方向に振動する。アクチュエータ320の振動に応じて筐体部303が振動し、高域の音声が再生される。このように、本開示における音声出力装置を照明装置に対して適用することができる。
【0105】
「応用例2」
応用例2は、本開示における音声出力装置を携帯端末に適用した例である。携帯端末は、スマートフォン、携帯電話、タブレット型コンピュータ等である。
図21は、応用例2における携帯端末400の外観の一例を示す図である。携帯端末400は、例えば、光提供部の一例である表示パネル401と、表示パネル401の周囲に取り付けられる筐体部402と、筐体部402に配設される操作入力部403とを含む構成とされる。表示パネル401は、例えば、タッチパネルとして構成され、映像の表示のほか表示パネル401を使用した各種の操作入力が可能とされている。
【0106】
表示パネル401の背面側には、アクチュエータ(図示は省略している)が位置され、当該アクチュエータは、例えば、光透過性部材からなる筐体部402に取り付けられる。アクチュエータの配置等については、第1または第2の実施形態で説明した方法を適用できる。携帯端末400を使用して音声を再生する場合に、例えば、高域の音声信号に基づいてアクチュエータを振動させることにより、筐体部402を振動させる。筐体部402が振動することにより高域の音声が再生される。
【0107】
なお、携帯端末400が鞄や衣服の中に収納された状態で、音楽が再生される場合がある。このような場合には、筐体部402を振動させないようにすることができる。例えば、携帯端末400の表示パネル401とユーザの顔とが略対向した位置にあることが検出され、かつ、携帯端末400を使用して音声が再生される場合に、筐体部402を振動させるようにしてもよい。
【0108】
表示パネル401とユーザの顔とが略対向した位置にあることを検出する方法として、以下の方法が例示される。例えば、携帯端末400に撮像装置を設け、ユーザの顔が撮像装置により検出された場合に、表示パネル401とユーザの顔とが略対向した位置にある、と判別するようにしてもよい。また、筐体部402の所定箇所にセンサを設け、携帯端末400がユーザに把持されたことが当該センサにより検出された場合に、表示パネル401とユーザの顔とが略対向した位置にある、と判別するようにしてもよい。
【0109】
「応用例3」
応用例3は、本開示における音声出力装置を据置型のパーソナルコンピュータに適用した例である。
図22は、応用例3におけるパーソナルコンピュータ500の外観の一例を示す。パーソナルコンピュータ500は、表示パネル501と、表示パネル501の周囲に取り付けられる額縁状の枠体部502と、キーボードや記録媒体のドライブ等を有するベース503を有する。枠体部502は、例えば、光透過性部材からなる。
【0110】
表示パネル501の背面側には、アクチュエータ(図示は省略している)が位置され、当該アクチュエータは、例えば、枠体部502に取り付けられる。アクチュエータの配置等については、第1または第2の実施形態で説明した方法を適用できる。パーソナルコンピュータ500を使用して音声を再生する場合に、例えば、高域の音声信号に基づいてアクチュエータを振動させることにより、枠体部502を振動させる。枠体部502が振動することにより高域の音声が再生される。このように、本開示における音声出力装置は、幅広い応用が可能である。
【0111】
<4.変形例>
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0112】
アクチュエータの数および取付位置は、上述した実施形態等の内容に限定されるものではない。例えば、ベゼルの上辺板部や下辺板部の中央付近にアクチュエータを取り付けてもよい。そして、アクチュエータにより、上辺板部の内側側面や下辺板部の内側側面に略直交する方向に振動が提供されてもよい。これにより、映像表示装置を巨大化した場合でも、センター位置に向かって音声を再生でき、センター位置に音像を定位することができる。
【0113】
音声の属性に応じて、各アクチュエータの振動量や、振動させるアクチュエータを変更してもよい。音声の属性とは、ジャンル、周波数特性、テンポなどである。さらに、映像の属性に応じて、各アクチュエータの振動量や、振動させるアクチュエータを変更してもよい。例えば、第2の実施形態において、表示パネル200にニュースが表示される場合には、アクチュエータ122およびアクチュエータ124のみを振動させることにより、音声をクリアに再生する。表示パネル200に映画が表示される場合には、すべてのアクチュエータを振動させることにより、音声をクリアに再生するとともに、音響的な広がり感を提供し、臨場感ある音場を実現する。
【0114】
上述した実施形態では、ベゼルの背面側に突部を設けているが、所定レベルの音圧を確保でき、アクチュエータの取付機構を小型化できるのであれば、必ずしも突部を設ける必要はない。
【0115】
ベゼルの形状は、一体的に形成された枠体に限定されることはない。例えば、ベゼルが、分離された、右辺板部および左辺板部により構成されてもよい。
【0116】
本開示は、装置に限らず、方法、プログラム、システム等により実現することができる。プログラムは、例えば、ネットワークを介して、若しくは、光ディスクや半導体メモリ等の可搬型のメモリを介してユーザに提供し得る。
【0117】
なお、実施形態および変形例における構成および処理は、技術的な矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることができる。例示した処理の流れにおけるそれぞれの処理の順序は、技術的な矛盾が生じない範囲で適宜、変更できる。
【0118】
本開示は、例示した処理が複数の装置によって分散されて処理される、いわゆるクラウドシステムに対して適用することもできる。実施形態および変形例において例示した処理が実行されるシステムであって、例示した処理の少なくとも一部の処理が実行される装置として、本開示を実現することができる。
【0119】
本開示は、以下の構成もとることができる。
(1)
所定面を有し、光提供部の背面側に前記所定面が位置される振動板と、
前記所定面に略直交する方向への振動を提供する加振部と
を備える音声出力装置。
(2)
前記光提供部は、映像を表示する表示パネルである
(1)に記載の音声出力装置。
(3)
前記振動板の背面側に、前記所定面と同一の平面または前記所定面と略平行な面である、端面を有する突部が形成され、
前記加振部は、前記端面に略直交する方向に対して振動を提供するように構成される
(1)または(2)に記載の音声出力装置。
(4)
前記光提供部の背面側に設けられる音声出力部を備え、
前記振動板は、前記音声出力部により再生される音声を前記光提供部の前面側に反射するように構成される
(1)乃至(3)に記載の音声出力装置。
(5)
前記加振部は、第1の音声信号が供給されるように構成され、
前記音声出力部は、前記第1の音声信号の帯域と一部または全部が異なる帯域を有する第2の音声信号が供給されるように構成される
(4)に記載の音声出力装置。
(6)
前記加振部は、供給される前記第1の音声信号に応じて振動するように構成される
(5)に記載の音声出力装置。
(7)
前記振動板が光透過性部材により構成される
(1)乃至(6)のいずれかに記載の映像表示装置。
(8)
複数の前記加振部を備える
(1)乃至(7)のいずれかに記載の音声出力装置。
(9)
前記加振部が、ピエゾアクチュエータにより構成される
(3)乃至(9)のいずれかに記載の音声出力装置。
(10)
前記ピエゾアクチュエータは、当接面を備え、
前記ピエゾアクチュエータの当接面が前記端面に当接する
(9)に記載の音声出力装置。
(11)
光提供部の背面側に振動板の所定面が配され、加振部により、前記所定面に略直交する方向への振動が提供される
音声出力装置における音声出力方法。
(12)
表示パネルと、
所定面を有し、前記表示パネルの背面側に前記所定面が位置される振動板と、
前記所定面に略直交する方向への振動を提供する加振部と
を備える映像表示装置。
(13)
前記振動板は、前記表示パネルの周囲を囲う枠体である
(12)に記載の映像表示装置。
(14)
前記振動板が光透過性部材により構成される
(12)または(13)に記載の映像表示装置。
(15)
前記所定面は、第1の所定面と、前記第1の所定面に対して略直交する第2の所定面とを含み、
前記加振部は、前記第1の所定面に略直交する方向への振動を提供する第1の加振部と、前記第2の所定面に略直交する方向への振動を提供する第2の加振部とを含む
(12)乃至(14)のいずれかに記載の映像表示装置。
(16)
前記振動板は、複数のコーナー部を有し、
前記複数のコーナー部のうちの少なくとも一のコーナー部が、前記第2の加振部の加振方向に位置されるように、前記振動板が構成される
(15)に記載の映像表示装置。