特許第6237779号(P6237779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237779
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】サイトメガロウイルスの阻害薬
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20171120BHJP
   C07D 403/06 20060101ALI20171120BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20171120BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20171120BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20171120BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20171120BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/4155 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   C07D403/06
   C07D403/14
   C07D413/14
   C07D471/04 104Z
   C07D471/10 101
   C07D491/107
   A61K31/4045
   A61K31/4155
   A61K31/4178
   A61K31/4196
   A61K31/422
   A61K31/437
   A61K31/438
   A61K31/4439
   A61K31/497
   A61K31/501
   A61K31/506
   A61K31/5377
   A61P31/22ZNA
【請求項の数】15
【全頁数】91
(21)【出願番号】特願2015-540762(P2015-540762)
(86)(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公表番号】特表2016-500703(P2016-500703A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】US2013067670
(87)【国際公開番号】WO2014070976
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年10月26日
(31)【優先権主張番号】61/722,154
(32)【優先日】2012年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】ティボー カール
(72)【発明者】
【氏名】ランクール ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ボーリュー ピエール エル
(72)【発明者】
【氏名】デコール アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】グラン−メートル シャンタル
(72)【発明者】
【氏名】クーン シリル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルミュル エリシア
(72)【発明者】
【氏名】フッケ オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】スルプルナン シモン
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ラコステ ジャン−エリック
(72)【発明者】
【氏名】モロー ベノワ
(72)【発明者】
【氏名】ジョリクール エリック
【審査官】 安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/011850(WO,A2)
【文献】 特開昭57−203086(JP,A)
【文献】 特表2002−534416(JP,A)
【文献】 特表2005−521652(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/106345(WO,A2)
【文献】 特表2004−520424(JP,A)
【文献】 特表2003−528087(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/42043(WO,A1)
【文献】 特表2002−506858(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/064096(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】
(I)
(式中
R1及びR2は、H、ハロ及び-CNから成る群よりそれぞれ独立に選択され;
R3A及びR3Bは、H、(C1-6)アルキル及び(C3-7)シクロアルキルから成る群よりそれぞれ独立に選択され、前記アルキル及びシクロアルキルはそれぞれR32で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
或いはR3AとR3Bが、それらが結合しているCと一緒に連結して(C3-7)ヘテロシクリル又は(C3-7)シクロアルキルを形成し;前記ヘテロシクリル及びシクロアルキルはそれぞれR32で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
R32は、ハロ、-CN、OH、-O-(C1-6)アルキル、-C(=O)-(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)ハロアルキル及び(C1-6)アルキル(OH、CN、-O-(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル又は-N((C1-6)アルキル)2で一置換又は二置換されていてもよい)から成る群よりそれぞれ独立に選択され;
Z1はC(R4)又はNであり;
R4はH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルであり;
Yは-(C1-6)アルキル-R5、-(C1-6)アルキル-O-R5、-(C1-6)アルキル-N(R51)-(C1-6)アルキル-R5又は-(C1-6)アルキル-N(R51)-R5であり;
R51はH又は(C1-6)アルキルであり;
R5はアリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり;前記アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールはそれぞれR52で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;R52は、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、-CN、-OH、-O(C1-6)アルキル、ハロ、-C(=O)OH、-O-(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、-O-(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)ハロアルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル、-N((C1-6)アルキル)2、-(C1-6)アルキル-C(=O)OH、-(C2-6)アルケニル-C(=O)OH、-C(=O)-O-(C1-6)アルキル及び-C(=O)-NH2から成る群よりそれぞれ独立に選択され;
Z2はC(R6)又はNであり;
R6はH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルである)
の化合物又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー若しくは互変異性体、
又はその塩。
【請求項2】
R1及びR2の一方がハロ又は-CNであり、R1及びR2の他方がHである、
請求項1に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項3】
R1及びR2の一方がCl又は-CNであり、R1及びR2の他方がHである、
請求項2に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項4】
R3A及びR3Bが、H又は(C1-6)アルキル(OH若しくは-O-(C1-6)アルキルで一置換若しくは二置換されていてもよい)から成る群よりそれぞれ独立に選択され;
或いはR3AとR3Bが、それらが結合しているCと一緒に連結して、(C3-7)シクロアルキル(ハロ、-CN、OH、-O-(C1-6)アルキル、-C(=O)-(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル及び(C1-6)アルキルで一置換又は二置換されていてもよい)を形成している、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項5】
R3A及びR3Bが、H及び(C1-6)アルキルから成る群よりそれぞれ独立に選択される、
請求項4に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項6】
Z1がC(R4)であり;R4がH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルである、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項7】
Z1がCHである、
請求項6に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項8】
Yが-(C1-6)アルキル-R5又は-(C1-6)アルキル-N(R51)-R5であり、R51がH又は(C1-6)アルキルである、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項9】
Yが(C1-6)アルキル-R5である、
請求項8に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項10】
R5がヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、前記ヘテロシクリル及びヘテロアリールはそれぞれR52で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
R52が、(C1-6)アルキル、-CN、-OH、-O(C1-6)アルキル、ハロ、-C(=O)OH、-O-(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル、-N((C1-6)アルキル)2、-(C1-6)アルキル-C(=O)OH、(C2-6)アルケニル及び-(C2-6)アルケニル-C(=O)OHから成る群よりそれぞれ独立に選択される、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項11】
R5が、R52で一置換、二置換、又は三置換されていてもよい5員又は6員ヘテロアリールであり;
R52が、(C1-6)アルキル、-CN、-OH、-O(C1-6)アルキル、ハロ、-C(=O)OH、-O-(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル及び-N((C1-6)アルキル)2から成る群よりそれぞれ独立に選択される、
請求項10に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項12】
Z2がC(R6)であり;R6がH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルである、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項13】
Z2がCHである、
請求項12に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項14】
求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩を含む、医薬組成物
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容できる塩を含む、CMV疾患及び/又は感染症の治療又は予防用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式でEFS-Webを介して提出した配列表を含み、参照によってその全体をここに援用する。2013年10月15日に作成した前記ASCIIコピーは13-0180_SL.txtと称し、サイズは728バイトである。
発明の分野
本発明は、γ-ラクタム類似体及びそれらのサイトメガロウイルス(CMV)DNAポリメラーゼの阻害薬としての使用、該類似体を含有する医薬組成物、並びにCMV疾患及び/又は感染症の治療及び予防におけるこれらの類似体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
CMV、β-ヘルペスウイルスは、世界中で、正常又は易感染性免疫系を有する成人及び子供を含め、全ての集団に影響を及ぼす、分布が密で遍在性のウイルスである。CMVの処置のために認可されている現在の治療法としては、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、シドホビル及びホスカルネットが挙げられる。これらの各治療法は、ウイルス複製に不可欠な酵素である、UL54遺伝子によってコードされるタンパク質、CMV DNAポリメラーゼを阻害する(PNAS 2003, 100(24), 14223-14228及びWO 2005/012545)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の概要
本発明はCMV DNAポリメラーゼに対して阻害活性を有する新系列の化合物を提供する。
当業者には下記説明及び実施例から本発明のさらなる目的が明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、下記式(I):
【0005】
【化1】
(I)
【0006】
(式中
R1及びR2は、H、ハロ及び-CNから成る群よりそれぞれ独立に選択され;
R3A及びR3Bは、H、(C1-6)アルキル及び(C3-7)シクロアルキルから成る群よりそれぞれ独立に選択され、前記アルキル及びシクロアルキルはそれぞれ任意にR32で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
或いはR3AとR3Bが、それらが結合しているCと一緒に連結して(C3-7)ヘテロシクリル又は(C3-7)シクロアルキルを形成し;前記ヘテロシクリル及びシクロアルキルはそれぞれ任意にR32で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
R32は、ハロ、-CN、OH、-O-(C1-6)アルキル、-C(=O)-(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)ハロアルキル及び任意にOH、CN、-O-(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル又は-N((C1-6)アルキル)2で一置換又は二置換されていてもよい(C1-6)アルキルから成る群よりそれぞれ独立に選択され;
Z1はC(R4)又はNであり;
R4はH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルであり;
Yは-(C1-6)アルキル-R5、-(C1-6)アルキル-O-R5、-(C1-6)アルキル-N(R51)-(C1-6)アルキル-R5又は-(C1-6)アルキル-N(R51)-R5であり;
R51はH又は(C1-6)アルキルであり;
R5はアリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり;前記アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールはそれぞれ任意にR52で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
R52は、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、-CN、-OH、-O(C1-6)アルキル、ハロ、-C(=O)OH、-O-(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、-O-(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)ハロアルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル、-N((C1-6)アルキル)2、-(C1-6)アルキル-C(=O)OH、-(C2-6)アルケニル-C(=O)OH、-C(=O)-O-(C1-6)アルキル及び-C(=O)-NH2から成る群よりそれぞれ独立に選択され;
Z2はC(R6)又はNであり;
R6はH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルである)
の化合物又はそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー若しくは互変異性体、
又はその塩を提供する。
【0007】
本発明の別の実施形態は、薬物としての式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩を提供する。
また本発明の範囲内には、ヒトのCMV疾患及び/又は感染症の治療又は予防用薬物製造のための、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩の使用がある。
本発明の範囲内には、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩と、医薬的に許容できる担体とを含んでなる医薬組成物が含まれる。
この実施形態のさらなる態様によれば、本発明の医薬組成物は、治療的に有効な少なくとも1種の他の抗ウイルス薬をさらに含む。
本発明は、CMVに感染しているか又は感染のリスクがあるヒトのCMV感染症の治療のための上記医薬組成物の使用をも提供する。
本発明は、CMV疾患を有するか又は該疾患にかかるリスクがあるヒトのCMV疾患の治療のための上記医薬組成物の使用をも提供する。
本発明の別の態様は、ヒトのCMV疾患及び/又は感染症の治療又は予防方法であって、該ヒトに抗CMVウイルス的に有効な量の本発明の化合物、その医薬的に許容できる塩、又は上記組成物を単独で又は一緒若しくは別々に投与される少なくとも1種の他の抗ウイルス薬と併用して投与することによる方法に関わる。
本発明のさらなる態様は、CMV疾患及び/又は感染症を治療するのに有効な組成物と、この組成物を用いてCMVによる疾患及び/又は感染症を治療できることを示すラベルを含む包装材料とを含んでなる製品であって、該組成物が本発明の式(I)の化合物又はその医薬的に許容できる塩を含む、製品に言及する。
本発明のさらに別の態様は、CMVの複製の阻害方法であって、CMVの複製が阻害される条件下で、該ウイルスを有効量の式(I)の化合物、又はその塩にさらす工程を含む方法に関する。
さらに、CMVの複製を阻害するための、式(I)の化合物、又はその塩の使用が本発明の範囲内に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましい実施形態の詳細な説明
定義
ここで具体的に定義しない用語には、本開示及び文脈に照らして当業者がそれらに与えるであろう意味を与えるものとする。しかしながら、本明細書で使用する場合、特に反対に指定していない限り、下記用語は示した意味を有し、下記慣例を順守する。以下に定義する基(group)、基(radical)、又は部分では、多くの場合、該基に先行して炭素原子数を指定する。例えば、C1-6-アルキルは、1〜6炭素原子を有するアルキル基を意味する。一般に、2つ以上のサブ基を含む基では、最初に命名されたサブ基が該基の付着点であり、例えば、置換基「-C1-3-アルキル-アリール」は、C1-3-アルキル基に結合しているアリール基を意味し、このC1-3-アルキル基がコアに結合している。別に具体的に述べていない限り、2つ以上のサブ基を含む基では、置換基はいずれのサブ基にも付着され得る。
本発明の化合物を化学名の形及び式として表す場合、いずれの矛盾がある場合にも式が優先するものとする。サブ式においてアスタリスク又は下記表示
【0009】
【化2】
【0010】
を用いて、定義どおりのコア分子に結び付けられる結合を表すことができる。
具体的に示さない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて、所与の化学式又は化学名は、その互変異性体並びに全ての立体異性体、光学異性体及び幾何異性体(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体、アトロプ異性体)及びラセミ体のみならず、別々のエナンチオマーの異なる比率の混合物、ジアステレオマーの混合物、又は該異性体及びエナンチオマーが存在する前述の形のいずれかの混合物、並びにその医薬的に許容できる塩及びその例えば水和物等の溶媒和物(遊離化合物の溶媒和物又は化合物の塩の溶媒和物を含めて)を包含するものとする。
当業者は、本発明の化合物のエナンチオマーを分離、濃縮、又は選択的に調製する方法を知っているだろう。純粋な立体異性体、例えばエナンチオマー及びジアステレオマー、又は所望のエナンチオマー過剰(ee)若しくはエナンチオマー純度の混合物の調製は、(a)エナンチオマーの分離若しくは分割、又は(b)当業者に既知のエナンチオ選択的合成、又はその組合せの多くの方法の1つ以上で達成される。これらの分割方法は一般的にキラル認識に依存し、限定するものではないが、固定相を用いるクロマトグラフィー、エナンチオ選択的ホスト-ゲスト複合体形成、キラル補助を用いる分割若しくは合成、エナンチオ選択的合成、酵素及び非酵素速度論的分割、又は自発的エナンチオ選択的結晶化が挙げられる。該方法は一般的にChiral Separation Techniques: A Practical Approach (2nd Ed.), G.Subramanian (ed.), Wiley-VCH, 2000;T.E.Beesley and R.P.W.Scott, Chiral Chromatography, John Wiley & Sons, 1999;及びSatinder Ahuja, Chiral Separations by Chromatography, Am. Chem. Soc., 2000に開示されている。さらに、同様に周知のエナンチオマー過剰又は純度の定量方法があり、限定するものではないが、GC、HPLC、CE、又はNMRが挙げられ、並びに限定するものではないが、CD、ORD、X線結晶構造解析、又はNMRを含めた絶対配置及び絶対配座の割当がある。
【0011】
用語「ハロ」は、一般的にフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を表す。
単独又は別の基と組み合わせた用語「C1-n-アルキル」(nは2〜nの整数である)は、1〜n個のC原子を有する非環式飽和分岐若しくは直鎖炭化水素基を表す。例えば用語C1-3-アルキルは、基H3C-、H3C-CH2-、H3C-CH2-CH2-及びH3C-CH(CH3)-を包含する。
少なくとも2個の炭素原子を有する「C1-n-アルキル」の定義で規定される基では、前記基の当該炭素原子の少なくとも2個が互いに二重結合で結合している場合、用語「C2-n-アルケニル」を用いる。
単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する用語「カルボシクリル」又は「炭素環」は、3〜14個の炭素原子から成る単環式、二環式又は三環式環構造を意味する。用語「カルボシクリル」又は「炭素環」は、完全に飽和した環系及び芳香族環系及び部分的に飽和した環系を表す。用語「カルボシクリル」又は「炭素環」は、縮合、架橋及びスピロ環系を包含する。
単独又は別の基と組み合わせた用語「C3-n-シクロアルキル」(nは4〜nの整数である)は、3〜n個のC原子を有する環式飽和非分岐炭化水素基を表す。例えば用語C3-7-シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが含まれる。
単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する用語「アリール」は、6個の炭素原子を含有する炭素環式芳香族単環式基を表し、さらに、芳香族、飽和又は不飽和であり得る少なくとも1つの他の5員又は6員炭素環式基に縮合していてもよい。アリールとして、限定するものではないが、フェニル、インダニル、インデニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、テトラヒドロナフチル及びジヒドロナフチルが挙げられる。
用語「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環」は、N、O又はS(O)r(r=0、1又は2)から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、3〜14個の環原子から成る飽和又は不飽和単環式又は多環式環系(芳香族環系を含めて)を意味し、どのヘテロ原子も芳香環の一部でない。用語「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環」には、全ての可能な異性形並びに全てのスピロ、架橋及び縮合系が含まれるものとする。従って、用語「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクリル」には下記例示構造が含まれる。なお、各形態は適切な原子価が維持される限りいずれの原子にも共有結合を介して付着され得るので、これらの構造をラジカルとしては描画していない。
【0012】
【化3】
【0013】
用語「ヘテロアリール」は、N、O又はS(O)r(r=0、1又は2)から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、5〜14個の環原子から成り、ヘテロ原子の少なくとも1個が芳香環の一部である、単環式又は多環式環系を意味する。用語「ヘテロアリール」には、全ての可能な異性形並びに全てのスピロ、架橋及び縮合系が含まれるものとする。従って、用語「ヘテロアリール」には下記例示構造が含まれる。なお、各形態は適切な原子価が維持される限りいずれの原子にも共有結合を介して付着され得るので、これらの構造をラジカルとしては描画していない。
【0014】
【化4】
【0015】
上述した用語の多くは、式又は基の定義で繰り返し使用されることがあり、いずれの場合も互いに独立に上記意味の1つを有する。
本明細書では「医薬的に許容できる」という表現を用いて、理にかなった医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしでヒト及び動物の組織と接触して用いるの適し、かつ妥当な利益/危険比で釣り合っている当該化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を表す。
本明細書で使用する場合、「医薬的に許容できる塩」は、親化合物がその酸塩又は塩基塩を作ることによって修飾されている、開示化合物の誘導体を表す。医薬的に許容できる塩の例としては、限定するものではないが、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩等が挙げられる。例えば、該塩として、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、酒石酸水素塩、臭化物/臭化水素酸塩、エデト酸Ca/エデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物/塩酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エタンジスルホン酸塩、エストラート(estolate)、エシラート(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニラート(glycollylarsnilate)、ヘキシルレゾルシナート(resorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、ヒドロキシマレアート(hydroxymaleate)、ヒドロキシナフトアート(hydroxynaphthoate)、ヨウ化物、イソチオナート(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩(mucate)、ナプシラート(napsylate)、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、スルファミド、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリエチオジド(triethiodide)、アンモニウム塩、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン及びプロカンが挙げられる。アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等のような金属由来のカチオンを用いてさらなる医薬的に許容できる塩を形成することができる。(Pharmaceutical salts, Birge, S.M.et al., J.Pharm.Sci., (1977), 66, 1-19をも参照されたい)。
塩基性又は酸性部分を含む親化合物から従来の化学的方法で本発明の医薬的に許容できる塩を合成することができる。一般的に、水中或いはエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、若しくはアセトニトリル、又はその混合物等の有機希釈剤中でこれらの化合物の遊離酸又は塩基形を十分な量の適切な塩基又は酸と反応させることによって該塩を調製することができる。
例えば本発明の化合物を精製又は単離するのに有用である、上述したもの以外の他の酸の塩も本発明の一部を構成する。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「治療」は、CMV疾患の症状を軽減若しくは排除するため及び/又は患者のウイルス負荷を低減するための本発明の化合物又は組成物の投与を意味する。
本明細書で使用する場合、用語「予防」は、個体の該ウイルスへの曝露後であるが疾患の症状の出現前、及び/又は血液中での該ウイルスの検出前に、該疾患の症状の出現を阻止するための本発明の化合物又は組成物の投与を意味する。
用語「治療的に有効な量」は、治療が必要な患者に投与すると、本化合物が有用である病態、状態、又は障害の治療を達成するのに十分な本発明の化合物の量を意味する。該量は、研究者又は臨床医が探究している組織系、又は患者の生物学的又は医学的反応を誘発するのに十分であろう。治療的に有効な量を構成する本発明の化合物の量は、化合物とその生物学的活性、投与のために使用する組成物、投与時間、投与経路、化合物の排出率、治療の持続期間、治療する病態又は障害のタイプとその重症度、本発明の化合物と併用するか又は同時に使用する薬物、並びに患者の年齢、体重、全身の健康、性別及び食事制限等の因子によって非常に左右されるであろう。
さらなる実施形態
以下の好ましい実施形態では、本発明の下記式(I)の基及び置換基について詳細に説明する。
【0017】
【化5】
(I)
【0018】
下記定義のいずれもそれぞれ互いに組み合わせてよい。
R1/R2
R1/R2-A:R1及びR2は、H、ハロ及び-CNから成る群よりそれぞれ独立に選択される。
R1/R2-B:R1とR2の一方はハロ又は-CNであり、R1とR2の他方はHである。
R1/R2-C:R1とR2の一方はCl又は-CNであり、R1とR2の他方はHである。
R3A及びR3B
R3A及びR3B-A:R3A及びR3Bは、H、(C1-6)アルキル及び(C3-7)シクロアルキルから成る群よりそれぞれ独立に選択され、前記アルキル及びシクロアルキルはそれぞれ任意にR32で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
或いはR3AとR3Bが、それらが結合しているCと一緒に連結して(C3-7)ヘテロシクリル又は(C3-7)シクロアルキルを形成し;前記ヘテロシクリル及びシクロアルキルはそれぞれ任意にR32で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
R32は、ハロ、-CN、OH、-O-(C1-6)アルキル、-C(=O)-(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)ハロアルキル及び任意にOH、CN、-O-(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル又は-N((C1-6)アルキル)2で一置換又は二置換されていてもよい(C1-6)アルキルから成る群よりそれぞれ独立に選択される。
R3A及びR3B-B:R3A及びR3Bは、H又は任意にOH若しくは-O-(C1-6)アルキルで一置換若しくは二置換されていてもよい(C1-6)アルキルから成る群よりそれぞれ独立に選択され;
或いはR3AとR3Bが、それらが結合しているCと一緒に連結して、任意にハロ、-CN、OH、-O-(C1-6)アルキル、-C(=O)-(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル及び(C1-6)アルキルで一置換又は二置換されていてもよい(C3-7)シクロアルキルを形成している。
R3A及びR3B-C:R3A及びR3Bは、H及び(C1-6)アルキルから成る群よりそれぞれ独立に選択される。
【0019】
Z1
Z1-A:Z1はC(R4)又はNであり;
R4はH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルである。
Z1-B:Z1はC(R4)であり;
R4はH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルである。
Z1-C:Z1はCHである。
Y:
Y-A:Yは-(C1-6)アルキル-R5、-(C1-6)アルキル-O-R5、-(C1-6)アルキル-N(R51)-(C1-6)アルキル-R5又は-(C1-6)アルキル-N(R51)-R5であり、R51はH又は(C1-6)アルキルである。
Y-B:Yは-(C1-6)アルキル-R5又は-(C1-6)アルキル-N(R51)-R5であり、R51はH又は(C1-6)アルキルである。
Y-C:Yは(C1-6)アルキル-R5である。
R5
R5-A:R5はアリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり;前記アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールはそれぞれ任意にR52で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
R52は、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、-CN、-OH、-O(C1-6)アルキル、ハロ、-C(=O)OH、-O-(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、-O-(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)ハロアルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル、-N((C1-6)アルキル)2、-(C1-6)アルキル-C(=O)OH、-(C2-6)アルケニル-C(=O)OH、-C(=O)-O-(C1-6)アルキル及び-C(=O)-NH2から成る群よりそれぞれ独立に選択される。
R5-B:R5はヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、前記ヘテロシクリル及びヘテロアリールはそれぞれ任意にR52で一置換、二置換、又は三置換されていてもよく;
R52は、(C1-6)アルキル、-CN、-OH、-O(C1-6)アルキル、ハロ、-C(=O)OH、-O-(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル、-N((C1-6)アルキル)2、-(C1-6)アルキル-C(=O)OH、(C2-6)アルケニル及び-(C2-6)アルケニル-C(=O)OHから成る群よりそれぞれ独立に選択される。
R5-C:R5は、任意にR52で一置換、二置換、又は三置換されていてもよい5員又は6員ヘテロアリールであり;
R52は、(C1-6)アルキル、-CN、-OH、-O(C1-6)アルキル、ハロ、-C(=O)OH、-O-(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル及び-N((C1-6)アルキル)2から成る群よりそれぞれ独立に選択される。
Z2
Z2-A:Z2はC(R6)又はNであり;
R6はH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルである。
Z2-B:Z2はC(R6)であり;
R6はH、ハロ、-CN、(C1-6)アルキル、OH、-O-(C1-6)アルキル又は(C1-6)ハロアルキルである。
Z2-C:Z2はCHである。
本発明のさらなる下位概念の実施形態を下表に示す。表中、各実施形態の各置換基群は、上記定義に従って規定される。
【0020】
【0021】
本発明の最も好ましい化合物の例は、本発明の各単一化合物、すなわち、化合物11a1、11aa1、11aaa1、11bb1、11bbb1、11bbb2、11c1、11cc1、11ccc1、11dd1、11ddd1、11e1、11ee1、11eee1、11f1、11ff1、11fff1、11g1、11gg1、11ggg1、11h1、11hh1、11hhh1、11i1、11iii1、11jjj1、11m1、11n1、11oo1、11pp1、11q1、11qq1、11r1、11rr1、11s1、11ss1、11t1、11tt1、11u1、11uu1、11v1、11vv1、11w1、11ww1、11x1、11xx1、11y1、11yy1、11z1、11zz1、13a1、13b1、13c1、13d1、13e1、13f1、13g1、13k1、13l1、13n1、13o1、13p1、13q1、13r1、13s1、13t1、13u1、13v1、13w1、13w2、13x1、13y1、16a3、16b3、16c3、16d3、17b1、17f1、17g1、17l1、17m1、17n1、17o1、19a2、19b2、19c2、22a1、22a2、22aa1、22b1、22bb1、22c1、22d1、22dd1、22e1、22f1、22g1、22h1、22i1、22j1、22k1、22l1.1、22l1.2、22m1、22n1、22o1、22p1、22q1、22r1、22s1、22t1、22u1、22v1、22w1、22x1、22y1、22z1、24a1、24d1、24e1、24f1、31a1及び8l1である。
【0022】
医薬組成物
本発明の化合物の投与に適した製剤は当業者には明白であり、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、座剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、サシェ剤、注射剤、吸入剤及び散剤が挙げられる。医薬的に活性な化合物の含量は、全体として組成物の0.05〜90wt.-%、好ましくは0.1〜50wt.-%の範囲内であるべきである。
適切な錠剤は、例えば、本発明の1種以上の化合物を既知賦形剤、例えば不活性な希釈剤、担体、崩壊剤、アジュバント、界面活性剤、結合剤及び/又は潤沢剤と混合することによって得られる。錠剤は、数層から成ってもよい。
適切な注射剤は、例えば、本発明の1種以上の化合物を既知賦形剤、例えば不活性な希釈剤、担体、共溶媒、アジュバント、界面活性剤及び/又はシクロデキストリン錯体と混合することによって得られる。注射製剤は、エマルション又は懸濁液であってよい。
【0023】
併用療法
本発明の化合物、又はその医薬的に許容できる塩を下記:CMV侵入阻害薬、CMV初期転写現象阻害薬、CMVヘリカーゼ-プライマーゼ阻害薬、他のCMV DNAポリメラーゼ阻害薬、UL97キナーゼの阻害薬、CMVプロテアーゼ阻害薬、CMVターミナーゼ阻害薬、CMV成熟阻害薬、CMV生活環における別の標的の阻害薬、CMVワクチン及びCMV生物学的薬剤から選択される少なくとも1種の追加薬と共投与する併用療法を企図する。
これらの追加薬を本発明の化合物と組み合わせて単一の医薬剤形を作製することができる。或いはこれらの追加薬を多重剤形の一部として、例えば、キットを用いて患者に別々に投与してもよい。本発明の化合物、又はその医薬的に許容できる塩の投与前、投与と同時、又は投与後に該追加薬を患者に投与してよい。
1日に適用できる本発明の化合物の用量範囲は、通常は0.01〜100mg/kg(体重)、好ましくは0.1〜50mg/kg(体重)である。各薬用量単位は便宜上5%〜95%の活性化合物(w/w)を含有し得る。好ましくは該製剤は20%〜80%の活性化合物を含有する。
実際の医薬的に有効な量又は治療薬用量は、当然に患者の年齢と体重、投与経路及び疾患の重症度等の当業者に既知の因子によって決まるであろう。いずれの場合も患者特有の状態に基づいて医薬的に有効な量を送達できる薬用量及び方法で組み合わせ薬を投与するであろう。
本発明の組成物が本発明の化合物と1種以上の追加治療薬又は予防薬との組み合わせを含むとき、化合物と追加薬は両方とも単剤治療計画で一般的に投与される薬用量の約10〜100%、さらに好ましくは約10〜80%の薬用量レベルで存在すべきである。
該併用療法に用いるために企図される抗ウイルス薬には、ヒトにおいてウイルスの産生及び/又は複製を阻害するのに有効な薬剤(化合物又は生物学的製剤)があり、限定するものではないが、ヒトにおいてウイルスの産生及び/又は複製に必要な宿主又はウイルスのメカニズムを妨害する薬剤が挙げられる。該薬剤は下記から選択可能である:CMV侵入阻害薬;CMV初期転写現象阻害薬;CMVヘリカーゼ-プライマーゼ阻害薬;CMV DNAポリメラーゼ阻害薬、例えばガンシクロビル(Cytovene)、バルガンシクロビル(Valcyte;Cymeval)、シドホビル(Vistide)、ホスカルネット(Foscavir)、CMX001、シクロシクロプロパビル(MBX-400)及びバラシクロビル(Valtrex;Zelitrex);UL97キナーゼの阻害薬、例えばマリバビル;CMVプロテアーゼ阻害薬;CMVターミナーゼ阻害薬、例えばAIC246(Letermovir);CMV成熟阻害薬;他の阻害薬、例えばアルテスナート;CMVワクチン、例えばTransVax及びCMV生物学的製剤、例えばサイトガム(Cytogam)(Cytotect)、TCN-202及びCMV IgG。
【実施例】
【0024】
実施例
本発明の他の特徴及び利点は、例として本発明の原理を以下にさらに詳述する実施例から明らかになるであろう。当業者には周知なように、空気又は水分から反応成分を保護するために必要な不活性雰囲気(限定するものではないが、窒素又はアルゴンが挙げられる)内で反応を行なう。温度は、摂氏度(℃)で与えてある。溶液の百分率及び比は、特に指定のない限り、体積対体積の関係で表す。Teledyne Isco CombiFlash(登録商標)Rfシステム又はTeledyne TorrentでRediSep(登録商標)順相シリカフラッシュカラム又はRediSep Rf Gold(登録商標)順相シリカカラム又はSiliaSepTM普遍的クローズドトップフラッシュカートリッジ又はInnoFlashTMシリカフラッシュカラムを用いてフラッシュクロマトグラフィーを行なう。
下記具体例に類似して本発明の全ての化合物を合成する。後述する標準的な分析HPLC又はUPLC条件を用いて各化合物の保持時間(tR)を測定する。当業者には周知なように、保持時間値は、特定の測定条件に敏感である。従って、たとえ同一条件の溶媒、流速、線形勾配等を用いても、例えば、異なるHPLC又はUPLC機器で測定すると保持時間値が異なることがある。同一機器で測定したときでさえ、例えば、異なる個々のHPLC又はUPLCカラムを用いて測定すると、値が異なることがあり、或いは同一機器かつ同一の個々のカラムで測定しても、例えば、異なる機会に取った個々の測定値間で異なることがある。当業者は、実施例セクションに列挙した各特定化合物を生成するためには、種々の工程を行なうために示した時間量を含め、合成方法に明らかな修正が必要とされ得ることを認めるであろう。
【0025】
分取RP-HPLCは、標準条件下、以下の特定の測定条件の1つを用いて行なう。
標準条件下、Waters SunFire Prep OBDTM C18カラム(5μm,19×50mm)を用いて線形MeOH:水勾配(10mMのギ酸アンモニウム(pH3.8)含有)で10分間30mL/分にて溶出する分取RP-HPLCによって化合物を精製する。所望生成物を含有するフラクションをプールして凍結乾燥させる。
標準条件下、Waters XBridge Prep OBDTM C18(5μm,19×50mm)を用いて、線形MeOH:水勾配(10mMの炭酸水素アンモニウム(pH10)含有)で10分間30mL/分にて溶出する分取RP-HPLCで化合物を精製する。所望生成物を含有するフラクションをプールして凍結乾燥させる。
標準条件下、Waters SunFire Prep OBDTM C18カラム(5μm,19×50mm)を用いて、線形アセトニトリル:水勾配(0.06%のTFA(v/v)含有)で10分間30mL/分にて溶出する分取RP-HPLCで化合物を精製する。所望生成物を含有するフラクションをプールして凍結乾燥させる。
分析UPLCは、標準条件下、以下の特定の測定条件の1つを用いて行なう。
標準条件下、Waters ACQUITY UPLC(登録商標)HSS T3カラム(1.8μm,2.1×50mm)を用いて、セグメント化線形MeCN勾配(0.06%のTFA(v/v)含有)で2.6分間0.9mL/分にて溶出する分析UPLCを行なう。
標準条件下、Waters ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18カラム(1.8μm,2.1×30 mm)を用いて、線形MeOH勾配(10mMの炭酸水素アンモニウム(pH10)含有)で2.2分間0.75mL/分にて溶出するか又はWaters ACQUITY UPLC(登録商標)HSS C18カラム(1.8μm,2.1×30mm)を用いて、線形MeOH勾配(10mMのギ酸アンモニウム(pH3.8)含有)で2.3分間0.8mL/分にて溶出する分析UPLCをも行なう。
質量スペクトル分析は、エレクトロスプレー質量分析を利用して記録する。
標準条件下、以下の条件マトリックスの1つの条件組み合わせを用いて分取SFC-MSでエナンチオマーを調製することができる。
1. SFC(多重積層注入):SFC-MS:Waters Prep 100、カラム:タイプ(表1参照):21.2×250mm、40℃で、溶出剤A:CO2、溶出剤B:表1参照、勾配:アイソクラチックX:YのCO2:溶出剤B、50mL/分で、背圧調整弁:150バール、実行時間:10分。
2. SFC(多重積層注入):SFC-MS:Waters Prep 15、カラム:タイプ(表1参照):10×250mm、40℃で、溶出剤A:CO2、溶出剤B:表1参照、勾配:アイソクラチックX:YのCO2:溶出剤B、10mL/分で、背圧調整弁:150バール、実行時間:10分。
【0026】
表1:SFC条件のマトリックス(カラムタイプと溶出剤B)
【0027】
分析SFC-MSは、標準条件下、以下の条件マトリックスの1つの条件組み合わせを用いて行なう。
1. SFC(多重積層注入):SFC-MS:Waters Prep 15、カラム:タイプ(表1参照):10×250mm、40℃で、溶出剤A:CO2、溶出剤B:表1参照、勾配:アイソクラチックX:YのCO2:溶出剤B、10mL/分で、背圧調整弁:150バール、実行時間:10分。
本明細書で使用する略語又は記号には以下のものがある:
Ac:アセチル;AcOH:酢酸;ACCN:1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル);AmBic:炭酸水素アンモニウム;AmFor:ギ酸アンモニウム;BEH:エチレン架橋ハイブリッド;Bn:ベンジル(フェニルメチル);BOC又はBoc:tert-ブチルオキシカルボニル;Bu:ブチル;BBN:9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン;DCM:ジクロロメタン;DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMAP:4-ジメチルアミノピリジン;DME:ジメトキシエタン;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;EC50:50%有効濃度;EDCI:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;Et:エチル;Et3N:トリエチルアミン;Et2O:ジエチルエーテル;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;Hex:ヘキサン;HATU:N,N,N',N'-テトラメチル-O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート;HPLC:高速液体クロマトグラフィー;HSS:高強度シリカ;iPr又はi-Pr:1-メチルエチル(イソプロピル);LC-MS:液体クロマトグラフィー-質量分析;m/z:質量対電荷比;[M+H]+:プロトン化分子イオン;Me:メチル;MeCN:アセトニトリル;MeOH:メタノール;MS:質量分析;NMP:N-メチル-2-ピロリドン;OBD:最適層密度;Ph:フェニル;Pr:プロピル;Prep LCMS:分取液体クロマトグラフィー-質量分析;SFC:超臨界流体クロマトグラフィー;SFC-MS:超臨界流体クロマトグラフィー-質量分析;RP-HPLC:逆相高速液体クロマトグラフィー;RT:室温(約18℃〜25℃);tert-ブチル又はt-ブチル:1,1-ジメチルエチル;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフラン;tR:保持時間;UPLC:超高速液体クロマトグラフィー。
実施例1
中間体1a2の調製
【0028】
【化6】
【0029】
工程1:
3-アミノベンゾニトリル1a1(Aldrich)(43.7g,0.37mol)とイタコン酸(Aldrich)(47.6g,0.37mol)の混合物を160℃で1時間加熱する。残渣をRTに冷ましてから水を加える。結果として生じる沈殿物をNaOH(1N)に溶かす。残渣をろ過してからろ液を濃HClで酸性にする。残渣をろ過し、水で洗浄する。固体を真空下で乾燥させ、シリカゲルに予め吸着させ、Rf Combi-Flash(0〜35%のMeCN/CH2Cl2溶出)で精製して1a2(tR=0.9分,(M+H)+ 231.1)を得る。
適切なアニリンから出発して実施例1に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0030】
【化7】
【0031】
実施例2
中間体2a2の調製
【0032】
【化8】
【0033】
工程1:
2a1(Synchem-inc,1.72g,12mmol)、2a2(Matrix,2g,10mmol)、炭酸セシウム(4.9g,15mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(229mg,0.25mmol)及び4,5-ビス-ジフェニルホスファニル-9,9-ジメチル-9H-キサンテン(289mg,0.5mmol)を1,4-ジオキサン(20mL)に入れる。混合物をアルゴンで20分間脱気し、100℃で16時間加熱する。反応混合物をRTに冷まし、EtOAcを加えて有機層を水及びブラインで洗浄する。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(10%〜80%のEtOAc:ヘキサン)で精製して2a3を得る(tR=1.3分,(M+H)+ 263.1)。
工程2:
2a3(1.8g,6.7mmol)をMeOHとDCMの(1:1)混合物(16mL)に溶かす。エナンチオマーをSFC(多重積層注入):SFC-MS:Waters Prep 100、カラム:IA 21×250mm、40℃で、溶出剤A:CO2、溶出剤B:MeOH、勾配:アイソクラチック90:10のCO2:MeOH、50mL/分で、背圧調整弁:120バール、実行時間:12分で分離する。
所望フラクションを収集し、真空中で濃縮して2a4(S-エナンチオマー)及び2a5(R-エナンチオマー)を得る。
工程3:
化合物2a4(0.52g;2mmol)をMeOHとTHFの1:1混合物(10mL)に溶かしてLiOH水溶液(3mLの水中840mg,2mmol)で処理する。混合物をRTで10分間撹拌し、EtOAcとNaHCO3飽和水溶液の混合物中に注ぐ。層を分け、水層を6N HClで酸性にしてEtOAc(3×)で抽出する。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮して2a6を得る(tR=1.05分,(M+H)+ 249)。
実施例3
中間体3a4の調製
【0034】
【化9】
【0035】
工程1:
0℃でDCM(50mL)中のカルボン酸1a2(5g,22mmol)、tert-ブタノール(5.7mL,59.5mmol)、トリエチルアミン(6mL,43mmol)及びDMAP(250mg,2.1mmol)の混合物に2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド(7mL,44.8mmol)を加える。氷浴を除去して反応混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物を水とEtOAcの混合物中に注ぐ。有機層を分離して水及びNaHCO3飽和水溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。Combi-Flash Rf(30〜70%のEtOAc/ヘキサン溶出)で精製して3a1を得る(tR=1.3分,(M+H)+ 287.0)。
工程2:
3a1(4.8g,17mmol)を96mLのMeOHに溶かし、エナンチオマーをSFC(多重積層注入):SFC-MS:Waters/Thar Prep 15、カラム:IA 10×250mm、40℃で、溶出剤A:CO2、溶出剤B:MeOH、勾配:アイソクラチック80:20 CO2:MeOH、10mL/分、背圧調整弁:150バール、実行時間:7分で分離する。
所望フラクションを収集し、真空中で濃縮して3a2(R-エナンチオマー)(tR=1.31分,(M+H)+ 287.1)及び3a3(S-エナンチオマー)(tR=1.31分,(M+H)+ 287.1)を得る。
工程3:
(S)-1-(3-シアノ-フェニル)-5-オキソ-ピロリジン-3-カルボン酸tert-ブチルエステル3a3(1.37g;4.8mmol)をDCM(25mL)に溶かし、トリフルオロ酢酸(25mL,0.32mol)で処理する。混合物をRTで1時間撹拌する。トルエン(10mL)を加え、溶媒を蒸発させる。残渣を高真空下で乾燥させて3a4(tR=0.59分,(M+H)+ 231.1)を得る。
適切な酸誘導体から出発して実施例3に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0036】
【化10】
【0037】
実施例4
中間体4a4の調製
【0038】
【化11】
【0039】
工程1:
ピペリジン-4-イル-メタノール4a1(Lancaster,5g,43mmol)をDCM(250mL)に溶かして0℃に冷却する。溶液をトリエチルアミン(12mL;87mmol)で処理し、クロロギ酸ベンジル4a2(12mL;87mmol)を滴加する。混合物をRTで一晩撹拌する。混合物をDCMで希釈し、NaHCO3飽和水溶液、水及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。Combiflash(80gのカラム,50〜100%のEtOAc/Hex)で精製して4a3を得る。
工程2:
塩化オキサリル(9.4g;74mmol)をDCM(55mL)に溶かし、-78℃に冷却する。DMSO(7.5mL;106mmol)を滴加して混合物を-78℃で15分間撹拌する。別のフラスコで、4a3(13g;53mmol)をDCM(55mL)に溶かし、カニューレを用いて最初のフラスコに滴加する。添加が終了したら、混合物を-55℃で15分間撹拌する。反応混合物を-78℃に冷却し、DCM(28mL)中のトリエチルアミン(22mL;158mmol)の溶液を反応混合物にカニューレを用いて滴加する。混合物を-78℃で1時間、次いで0℃で15分間及びRTで30分間撹拌する。反応を11mLのAcOHで中和し、100mLのDCM及び100mLの水で希釈する。層を分け、水層をDCM(2×100mL)で抽出する。混ぜ合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。Combiflash(120gのカラム,0〜50%のEtOAc/Hex)で精製して4a4を得る。
実施例5
中間体5a2の調製
【0040】
【化12】
【0041】
工程1:
ヒドラジン5a1(Matrix,15g,67mmol)を2-メチル-プロピオンアルデヒド(Aldrich,5.1g,70mmol)と混合してDCM(105mL)に溶かす。反応混合物にTFA(38g,340mmol)を加えて1時間還流させる。混合物に水素化ホウ素ナトリウム(7.6g,201mmol)を加えて10分後、混合物を氷浴に入れる。過剰の水酸化アンモニウム(水中28%,47g,1.3mol)を少しずつ添加した後、水(150mL)を加える。層を分け、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残渣をCombiflash RF(120gのカラム,0〜20%のEtOAc:ヘキサン)で精製して5a2(tR=1.52分,(M+H)+ 226; 228)を得る。
適切なヒドラジン及びアルデヒド誘導体から出発して実施例5に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0042】
【化13】
【0043】
実施例6
中間体6a5の調製
【0044】
【化14】
【0045】
工程1:
5-クロロ-2-ヨード-フェニルアミン6a1(Combi-Blocks,15g,59mmol)をテトラヒドロフラン(610mL,7.5mol)に溶かし、boc無水物(54g;250mmol)とDMAP(720mg,5.9mmol)で処理する。混合物を一晩還流させる。反応混合物をRTに冷まし、EtOAcで希釈し、1N HCl、NaHCO3 飽和水溶液及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。
粗製ビス-Boc生成物をMeOH(609mL,15mol)に取り、炭酸カリウム(25g;178mmol)で処理し、2時間還流させる。反応混合物をRTに冷まして濃縮する。粗生成物をEtOAc及び水に溶かす。層を分け、有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。Teledyne Torrent(330gのカラム,0〜10%のEtOAc/Hex)で精製して6a2を得る(tR=1.94分,(M-H)+ 351.8; 353.8)。
工程2:
6a2(2.5g,7mmol)をDMF(30mL)に溶かし、0℃に冷却する。NaH(鉱油中60%,880mg;27mmol)を加える。混合物を0℃で15分間撹拌してからRTで15分間撹拌する。3-クロロ-2-メチル-プロペン(Aldrich,2.2mL;23mmol)を加えて混合物をRTで1.5時間撹拌する。水とEtOAcを添加して反応混合物を中和してからEtOAc及び水で希釈する。層を分け、有機層を水(4×)及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して6a3(tR=2.12分)を得る。
工程3:
6a3(2.9g;7mmol)をトルエン(160mL)に溶かす。トリフェニルスズヒドリド(3g;8.5mmol)の添加後にACCN(259mg;1.1mmol)を加え、混合物を窒素で15分間泡立たせる。混合物を80℃で1時間撹拌する。シリカを加え、溶媒を蒸発させる。Combiflash RF(80gのカラム,0〜100%のトルエン/Hex)で精製して6a4(tR=2.07分)を得る。
工程4:
6a4(1g,3.7mmol)をアセトニトリル(120mL)に溶かし、1-ブロモ-ピロリジン-2,5-ジオン(720mg;4.1mmol)を加える。混合物をRTで45分間撹拌する。反応混合物を濃縮して約20mLのMeCNとし、EtOAcで希釈し、Na2S2O3飽和水溶液、1N NaOH(3×)及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して6a5(tR=2.22分)を得る。
適切なアニリン誘導体から出発して実施例6に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0046】
【化15】
【0047】
実施例7
中間体7a1の調製
【0048】
【化16】
【0049】
工程1:
4a4(1g,2.5mmol)をDCM(15mL)に溶かし、DCM(5mL)中のboc無水物(600mg;2.7mmol)の溶液の添加後にジイソプロピルアミン(0.9mL,5mmol)を加える。混合物をRTで2日間撹拌する。反応混合物をEtOAcで希釈し、1N HClで洗浄する。水層をEtOAc(2×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。Combiflash RF(80gのカラム,0〜40%のトルエン/Hex)で精製して7a1(tR=2.37分,(M+H)+ 501.3; 503.3)を得る。
適切なアミン誘導体から出発して実施例7に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0050】
【化17】
【0051】
実施例8
中間体8a1の調製
【0052】
【化18】
【0053】
工程1:
テフロン(登録商標)撹拌子を備えた圧力容器に7a1(700mg;1.4mmol)、カリウム(モルホリン-4-イル)メチルトリフルオロボラート(350mg,1.7mmol)、炭酸セシウム(1.4g;4.2mmol)、酢酸パラジウム(II)(31mg;0.14mmol)及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル(130mg;0.28mmol)を詰める。テトラヒドロフラン(7mL)及び水(0.7mL)を加え、アルゴンを5分間泡立たせて溶液を脱気する。容器を密封し、80℃で一晩加熱する。反応混合物をRTに冷まし、Celiteでろ過し、EtOAcで洗浄する。水を加えて水層をEtOAc(3×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。Combiflash RF(25gのカラム,70〜100% EtOAc/Hex)で精製して8a1を得る(tR=1.88分,(M+H)+ 522.2)。
適切なブロモインドリン誘導体から出発して実施例8に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0054】
【化19】


【0055】
実施例9
中間体9a2の調製
【0056】
【化20】
【0057】
工程1:
8a1(600mg,1.1mmol)をEtOH(12mL)に溶かし、アルゴン下でパージする。Pd/C(10%w/w,182mg,0.2mmol)を加える。混合物をアルゴン下でパージしてからH2(1atm)下に2時間置く。反応混合物をセライトのパッドを通してろ過し、MeOHで洗浄する。ろ液を濃縮乾固させて9a1(tR=0.95分,(M+H)+ 388.3)を得る。
工程2:
9a1(430mg,1.1mmol)をDCM(44mL)に溶かして塩化アセチル(94μL,1.3mmol)で処理した後トリエチルアミン(0.31mL,2.2mmol)で処理する。混合物をRTで16時間撹拌する。水とDCMを加えて層を分ける。水層をDCM(3×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して9a2(tR=1.34分,(M+H)+ 430.3)を得る。
実施例10
中間体10a1の調製
【0058】
【化21】
【0059】
工程1:
9a2(50mg,0.1mmol)を1,4-ジオキサン中のHCl溶液(4M,1mL,4mmol)でRTにて2時間処理する。混合物を濃縮乾固させて10a1(tR=0.95分,(M+H)+ 388.3)を得る。
適切なBOC誘導体から出発して実施例10に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0060】
【化22】



【0061】
実施例10-1
中間体10-1a1の調製
【0062】
【化23】
【0063】
工程1:
6a5(1.1g;3.1mmol)をDCM(15mL)に溶かし、溶液をトリフルオロ酢酸(15mL)の滴加により処理する。混合物を30分間撹拌し、溶媒を蒸発させる。粗生成物をDCM(75mL)に取る。NaHCO3飽和水溶液を加えて混合物を1時間撹拌する。層を分け、水層をDCMで2回抽出する。混ぜ合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して10-1a1(tR=1.71分,(M-H)+ 260; 261.9)を得る。
適切なBOC誘導体から出発して実施例10-1に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0064】
【化24】


【0065】
実施例11
11a1の調製
【0066】
【化25】
【0067】
工程1:
NMP(1mL)中の酸3a4(24mg,0.11mmol)にHATU(80mg,0.2mmol)及び2,6-ルチジン(73μL,0.63mmol)を加える。NMP(0.25mL)中のアミン10a1(42mg,0.12mmol)の溶液を加えて混合物をRTで2.5時間撹拌する。反応混合物をAcOH/MeOHで希釈して(2mLの溶液とし)、Acrodiscフィルターを通してろ過し、分取HPLC MeOH/H2O(5mMのギ酸アンモニウム含有)で精製する。純粋フラクションを混ぜ合わせ、濃縮し、MeCN/H2Oの混合物で希釈し、凍結乾燥させて11a1(tR=1.07分,(M+H)+ 542.5)を得る。
適切な酸及びインドリン誘導体から出発して実施例11に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0068】
【化26】












【0069】
実施例12
中間体12a1の調製
【0070】
【化27】
【0071】
工程1:
テフロン撹拌子を備えた丸底フラスコに11b1(750mg,1.7mmol)、クロロホルム(75mL)及びクロロギ酸エチル(330μL,3.5mmol)を詰める。混合物を3時間還流させる。混合物をRTに冷まし、DCMで希釈し、1N HCl及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。Combiflash RF(25gのカラム,0〜20%のMeCN/DCM)で精製して12a1を得る(tR=0.93分,(M+H-Cl)+ 344.1)。
適切なモルホリン誘導体から出発して実施例12に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0072】
【化28】


【0073】
実施例13
13a1の調製
【0074】
【化29】
【0075】
工程1:
DMF(4.7mL)中の12a1(560mg,1.5mmol)にイミダゾール(510mg,7.4mol)を加えて混合物を80℃で1.5時間撹拌する。混合物をRTに冷まし、AcOH/MeOHで希釈し、Acrodiscフィルターでろ過し、分取HPLC MeCN/H2O(5mMのギ酸アンモニウム含有)で精製する。純粋フラクションを混ぜ合わせ、濃縮し、MeCN/H2Oの混合物で希釈し、凍結乾燥させて13a1(tR=0.76分,(M+H)+ 412.1)を得る。
適切なクロロ又はメシル酸誘導体から出発して実施例13に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0076】
【化30】






【0077】
実施例14
中間体14a1の調製
【0078】
【化31】
【0079】
工程1:
テフロン撹拌子を備えた圧力容器に11d1(690mg,1.7mmol)、2,4,6-トリビニルシクロトリボロキサンピリジン錯体(420mg,1.7mmol)、炭酸ナトリウム(水中2M,5mL,10mmol)、Pd(PPh3)4(180mg;0.15mmol)及びDME(20mL)を詰める。アルゴンを5分間泡立たせて溶液を脱気する。容器を密封し、80℃で一晩加熱する。反応混合物をRTに冷まし、EtOAc中に注ぎ、水及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。Combiflash RF(24gのカラム,0〜30%のMeCN/DCM)で精製して14a1(tR=1.78分,(M+H)+ 358)を得る。
適切なブロモ及びボロン酸誘導体から出発して実施例14に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0080】
【化32】
【0081】
実施例15
中間体15a1の調製
【0082】
【化33】
【0083】
工程1:
オレフィン14a1(470mg,1.3mmol)、t-BuOH中のOsO4溶液(0.1M,260μL,0.03mmol)及び水中のNaIO4溶液(0.5M,9.3mL,4.6mmol)のTHF(10mL)中の混合物をRTで4時間撹拌する。混合物を水に注ぎ、EtOAcで2回抽出する。有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過及びエバポレートして15a1(tR=1.48分,(M+H)+ 360)を得る。
適切なビニル誘導体から出発して実施例15に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0084】
【化34】
【0085】
実施例16
16a3の調製
【0086】
【化35】
【0087】
工程1:
MeOH(10mL)中のアルデヒド15a1(390mg,1.1mmol)の混合物(1mLのTHFを加えて可溶化を完了する)をN2(g)下でRTにて撹拌する。NaBH4(81mg,2.1mmol)を加えて混合物をRTで2時間撹拌する。反応混合物を1N HClで中和してから濃縮する。EtOAcを加えて有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、ろ過かつエバポレートする。Combi-Flash Rf(4gのカラムで溶出剤として0〜50%のMeCN/CH2Cl2、25分)で精製して16a1(tR=1.33分,(M+OMe)+=376.1)を得る。
工程2:
CH2Cl2(110mL)中のアルコール16a1(160mg,0.4mmol)の溶液をN2(g)下で0℃にて撹拌する。Et3N(0.15mL,1.1mmol)の添加後に15分間でメタンスルホニルクロリド(50μL,0.65mmol)を加える。反応混合物を2時間にわたってRTに温める。水を加えて層を分ける。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過してからエバポレートして16a2(tR=1.05分,(M+H)+=445.1)を得る。
工程3:
DMF(2mL)中の16a2(40mg,0.09mmol)にイミダゾール(31mg,0.45mmol)を加えて混合物を16時間140℃で撹拌する。混合物をRTに冷まし、AcOH/MeOHで希釈し、Acrodiscフィルターでろ過し、分取HPLC MeOH/H2O(5mMのギ酸アンモニウム含有)で精製する。純粋フラクションを混ぜ合わせ、濃縮し、MeCN/H2Oの混合物で希釈し、凍結乾燥させて16a3(tR=1.06分,(M+H)+ 412.0)を得る。
適切なアルデヒド誘導体から出発して実施例16に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0088】
【化36】
【0089】
実施例17
中間体17a1の調製
【0090】
【化37】
【0091】
工程1:
テフロン撹拌子を備えた圧力容器に6c5(250mg,0.8mmol)、1-ビニルイミダゾール(90mg,1mmol)、トリ-o-トリルホスフィン(tolyphosphine)(33mg,0.11mmol)、ジイソプロピルアミン(0.4mL,2.3mmol)、Pd(OAc)2(12mg;0.05mmol)及びDMF(18mL)を詰める。アルゴンを5分間泡立たせて溶液を脱気する。容器を密封し、110℃で一晩加熱する。反応混合物をRTに冷まし、EtOAc中に注ぎ、0.1N HClで抽出する。水層を炭酸カリウムで塩基性にし、EtOAcで抽出する。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して17a1を得る(tR=1.52分,(M+H)+ 340)。
工程2:
17a1(190mg,0.55mmol)をEtOH(20mL)に溶かし、アルゴン下でパージする。Pd/C(10%w/w)を加える。混合物をアルゴン下でパージしてからH2(1atm)下に16時間置く。反応混合物をセライトのパッドを通してろ過し、MeOHで洗浄する。ろ液を濃縮乾固させて17a2(tR=1.21分,(M+H)+ 342.2)を得る。
適切なブロモ及びビニル誘導体から出発して実施例17に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0092】
【化38】





【0093】
実施例18
中間体18a4の調製
【0094】
【化39】
【0095】
工程1:
テフロン撹拌子を備えた圧力容器に6c5(410mg,1.3mmol)、(トリエチルシリル)アセチレン(220mg,1.6mmol)、ジエチルアミン(650μL,6.3mmol)、ヨウ化銅(24mg,0.13mmol)、Pd(PPh3)4(130mg;0.12mmol)及びDMF(5.5mL)を詰める。アルゴンを5分間泡立たせて溶液を脱気する。容器を密封し、90℃で一晩加熱する。反応混合物をRTに冷ましてEtOAc中に注ぐ。有機層をクエン酸の1N溶液及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。Combi-Flash Rf(12gのカラム上で溶出剤として0〜2%のEtOAc/ヘキサン)で精製して18a1(tR=2.52分)を得る。
工程2:
18a1(450mg,1.2mmol)をMeOH(18mL)に溶かし、THF中のTBAF溶液(1M,1.3mL,1.3mmol)で70℃にて16時間処理する。反応混合物をRTに冷まして濃縮する。Combi-Flash Rf(12gのカラム上で溶出剤として0〜10%のEtOAc/ヘキサン)で精製して18a2(tR=1.93分)を得る。
工程3:
テフロン撹拌子を備えた圧力容器に18a2(260mg,0.95mmol)、5-ブロモピリミジン(190mg,1.2mmol)、ジエチルアミン(491μL,4.8mmol)、ヨウ化銅(18mg,0.10mmol)、Pd(PPh3)4(100mg;0.09mmol)及びDMF(4.0mL)を詰める。アルゴンを5分間泡立たせて溶液を脱気する。容器を密封し、90℃で一晩加熱する。反応混合物をRTに冷ましてEtOAc中に注ぐ。有機層を塩化アンモニウム飽和水溶液及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。Combi-Flash Rf(12gのカラム上で溶出剤として0〜20%のEtOAc/ヘキサン)で精製して18a3(tR=1.88分,(M+H)+=350.1)を得る。
工程4:
18a3(205mg,0.59mmol)をEtOH(20mL)に溶かしてアルゴン下でパージする。Pd/C(10%w/w)を加える。混合物をアルゴン下でパージしてからH2(1atm)下に16時間置く。反応混合物をセライトのパッドを通してろ過し、濃縮乾固させる。Combi-Flash Rf(4gのカラム上で溶出剤として0〜50%のEtOAc/ヘキサン)で精製して18a4(tR=1.65分,(M+H)+=298.1)を得る。
適切なブロモ誘導体から出発して実施例18に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0096】
【化40】
【0097】
実施例19
19a2の調製
【0098】
【化41】
【0099】
工程1:
テフロン撹拌子を備えた圧力容器に11j1(100mg,0.21mmol)、5-エチニル-1-メチル-1H-イミダゾール(28mg,0.26mmol)、ジエチルアミン(109μL,1.1mmol)、ヨウ化銅(4mg,0.02mmol)、Pd(PPh3)4(22mg;0.02mmol)及びDMF(1mL)を詰める。アルゴンを5分間泡立たせて溶液を脱気する。容器を密封し、90℃で一晩加熱する。反応混合物をRTに冷ましてEtOAc及び水中に注ぐ。残渣をろ過し、ろ液を高真空下で乾燥させて19a1を得る(tR=1.38分,(M+H)+=498; 500)。
工程2:
19a1(25mg,0.05mmol)をMeOH(1mL)とTHF(1mL)の混合物に溶かす。スラリーを20%Pd/Cw/w(Degussa E101型 NE/W,4mg)で処理し、アルゴン下でパージしてからH2(1atm)下に16時間置く。反応混合物をAcrodiscフィルターを通してろ過し、濃縮乾固させる。残渣をDMSOで希釈し、分取HPLC MeCN/H2O(5mMのギ酸アンモニウム含有)で精製する。純粋フラクションを混ぜ合わせ、濃縮し、MeCN/H2Oの混合物で希釈し、凍結乾燥させて19a2をラセミ混合物として得る。エナンチオマーをSFC(多重積層注入):SFC-MS:Waters Prep 15,カラム:IA 10×250mm、40℃で、溶出剤A:CO2、溶出剤B:MeOH-2mMの炭酸水素アンモニウム、勾配:アイソクラチック50:50のCO2:MeOH+2mM AmBic、10mL/分で、背圧調整弁:150バール、実行時間:12分で分離する。所望フラクションを収集し、真空中で濃縮して19a2(tR=1.09分,(M+H)+ 502.1;504.0)を得る。
適切なブロモインドリン誘導体から出発して実施例19に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0100】
【化42】
【0101】
実施例20
中間体20a1の調製
【0102】
【化43】
【0103】
工程1:
7b1(450mg,1.7mmol)をアセトニトリル(55mL)に溶かし、1-ブロモ-ピロリジン-2,5-ジオン(330mg;1.9mmol)を加える。混合物をRTで45分間撹拌する。反応混合物を濃縮して約20mLのMeCNとし、EtOAcで希釈し、Na2S2O3飽和水溶液、1N NaOH(3×)及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して20a1(tR=2.14分,(M+H)+ 331; 333)を得る。
適切な誘導体から出発して実施例20に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0104】
【化44】
【0105】
実施例21
中間体21a1の調製
【0106】
【化45】
【0107】
工程1:
14c1(42mg,0.15mmol)と9-BBN(THF中0.5M,1.2mL,0.6mmol)の溶液をRTで1時間撹拌する。65μLの水を加え、この混合物をRTで10分間撹拌する。K2CO3溶液(水中2M,250μL,0.5mmol)を加え、この混合物を25分間撹拌する。THF(0.4mL)中の5-ブロモ-ニコチノニトリル(42mg,0.23mmol)とPd(PPh3)4(8.9mg,0.01mmol)の溶液を加える。N2を泡立たせて溶液を脱気し、マイクロ波照射下で120℃にて20分間撹拌する。混合物を濃縮し、残渣をEtOAcと水に溶かす。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。粗生成物をcombi-flash RF(4gのカラム、0〜40%のEtOAc/ヘキサン溶出)で精製して21a1(tR=1.88分,(M+H)+ 378.2)を得る。
適切なハロ及びビニル誘導体から出発して実施例21に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0108】
【化46】
【0109】
実施例22
22a1の調製
【0110】
【化47】
【0111】
工程1:
テフロン撹拌子を備えた圧力容器に12j1(25mg,0.07mmol)、(1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)ボロン酸(17mg,0.13mmol)、K3PO4(84mg,0.39mmol)、Pd(OAc)2(3mg;0.01mmol)、トリフェニルホスフィン(6.9mg,0.03mmol)及びDMF(1.6mL)を詰める。アルゴンを5分間泡立たせて溶液を脱気する。容器を密封し、マイクロ波照射下110℃で10分間加熱する。反応混合物をRTに冷まし、Acrodiscフィルターを通してろ過し、分取HPLC MeCN/H2O(5mMのギ酸アンモニウム含有)で精製する。純粋フラクションを混ぜ合わせ、濃縮し、MeCN/H2Oの混合物で希釈し、凍結乾燥させて22a1(tR=1.13分,(M+H)+ 426.1)を得る。
エナンチオマーは、一般的SFC手順に記載の条件マトリックスから特定条件を用いてSFC-MSで分離可能である。
適切なクロロ及びボロン酸誘導体から出発して実施例22に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0112】
【化48】






【0113】
実施例23
中間体23a2の調製
【0114】
【化49】
【0115】
工程1:
無水THF(68mL)中の23a1(Matrix,8g,68mmol)の溶液にBH3のTHF中1M溶液(410mL,410mmol)をRTで15分かけて加える。この混合物を還流下で6時間撹拌する。RTに冷ました後、MeOHを添加して反応混合物を中和し、減圧下で濃縮する。残渣をMeOHに溶かし、一晩還流させる。混合物を濃縮する。残渣をEtOAcに溶かし、水及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させる。ろ過及び溶媒の蒸発後、粗製物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル230〜400メッシュ;EtOAc中MeOHの0〜3%の勾配)で精製して23a2を得る。
実施例24
24a1の調製
【0116】
【化50】
【0117】
工程1:
MeOHとTHFの混合物中の13z1(51mg,0.10mmol)にLiOH水溶液(2.5M,100μL,0.26mmol)を加える。反応混合物をRTで16時間撹拌してからDMSO及びギ酸アンモニウム水溶液(5mM)を加える。溶液をAcrodiscフィルターを通してろ過し、分取HPLC MeCN/H2O(5mMのギ酸アンモニウム含有)で精製する。純粋フラクションを混ぜ合わせ、濃縮し、MeCN/H2Oの混合物で希釈し、凍結乾燥させて24a1(tR=0.82分,(M+H)+ 498.3)を得る。
適切なエステル誘導体から出発して実施例24に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0118】
【化51】
【0119】
実施例25
中間体25a6の調製
【0120】
【化52】
【0121】
工程1:
テトラヒドロフラン(240mL)に溶かした2-ヨード-フェニルアミン25a1(Aldrich,5g,23mmol)をboc無水物(15g;68mmol)及びDMAP(280mg,2.3mmol)で処理する。混合物を一晩還流させる。反応混合物をRTに冷まし、EtOAcで希釈し、10%クエン酸水溶液、水(2×)及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。粗製ビス-boc生成物をMeOH(240mL)に取り、炭酸カリウム(9.5g;68mmol)で処理し、2時間還流させる。反応混合物をRTに冷まして濃縮する。粗生成物をEtOAcに溶かし、10%クエン酸水溶液を加える。層を分け、有機層を水及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して25a2(tR=1.78分,(M-H)+ 317)を得る。
工程2:
25a2(2g,6.3mmol)をDMF(40mL)に溶かして0℃に冷却する。NaH(鉱油中60%,780mg;19mmol)を加える。混合物を0℃で15分間撹拌してからRTで15分間撹拌する。3-クロロ-2-(クロロメチル)-1-プロペン(Aldrich,2.3mL;20mmol)を加えて混合物をRTで3時間撹拌する。反応混合物を水とEtOAcで中和してからEtOAc及び水で希釈する。層を分け、有機層を水(4×)及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して25a3(tR=2.13分)を得る。
工程3:
25a3(2.6g,6.3mmol)をDMF(20mL)に溶かし、酢酸カリウム(800mg,8.2mmol)を加える。混合物を65℃で16時間撹拌する。水を加えて反応混合物を中和し、EtOAc(3×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層を水(4×)及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。10%のEtOAc/Hexを溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製して25a4(tR=1.78分,(M-OtBu)+ 375)を得る。
工程4:
25a4(600mg;1.4mmol)をトルエン(30mL)に溶かす。トリフェニルスズヒドリド(590mg;1.7mmol)の添加後、ACCN(51mg;0.21mmol)を加え、窒素を15分間泡立たせて混合物を脱気する。混合物を80℃で1時間撹拌する。シリカを加えて溶媒を蒸発させる。3〜5%のEtOAc/Hexを溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製して25a5を得る。
工程5:
25a5(280mg,0.9mmol)をアセトニトリル(4mL)に溶かし、1-ブロモ-ピロリジン-2,5-ジオン(170mg;0.9mmol)を加える。混合物をRTで60分間撹拌する。反応混合物を濃縮し、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して25a6(tR=1.88分)を得る。
実施例26
中間体26a1の調製
【0122】
【化53】
【0123】
工程1:
10o1(109mg,0.38mmol)をアセトニトリル(5.5mL)に溶かし、炭酸カリウム(110mg,0.77mmol)とクロロギ酸ベンジル(60μL,0.42mmol)を加える。混合物を2時間撹拌し、EtOAcで希釈し、水、0.5N HCl及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。粗生成物をcombi-flash RF(10%のEtOAc/ヘキサンを溶出する4gのカラム)で精製して26a1を得る(tR=1.88分,(M+H)+ 417.9; 419.9)。
実施例27
中間体27a1の調製
【0124】
【化54】
【0125】
工程1:
24c1(26mg,0.07mmol)をTHF(1mL)とMeOH(1mL)に溶かしてアルゴン下でパージする。Pd/C(10%w/w,触媒的)を加える。混合物をアルゴン下でパージしてからH2(1atm)下に16時間置く。反応混合物をセライトのパッドを通してろ過し、MeOHで洗浄する。ろ液を濃縮乾固させる。ジエチルエーテル中のHClを加え、固体を収集して27a1(tR=1.01分)を得る。
実施例28
中間体28a2の調製
【0126】
【化55】
【0127】
工程1:
酸28a1(Aldrich,130mg,0.9mmol)を直接8mLのバイアルに量り入れ、MeOH(3mL)で溶かし、1,4-ジオキサン中4MのHCl溶液(0.5mL;2mmol)を加える。反応混合物を60℃で一晩撹拌する。減圧下で溶媒を除去して28a2を得る。
実施例29
中間体29a1の調製
【0128】
【化56】
【0129】
工程1:
テフロン撹拌子を備えた圧力容器に6c5(305mg,0.93mmol)、トリブチル-(1-エトキシ-ビニル)-スタンナン(0.41mL,1.2mmol)、PdCl2(PPh3)2(98mg;0.14mmol)及びDMF(4.5mL)を詰める。アルゴンを5分間泡立たせて溶液を脱気する。容器を密封し、マイクロ波照射下145℃で30分間加熱する。反応混合物をRTに冷ます。1N HCl溶液(2.8mL,2.8mmol)を加え、この混合物をRTで1時間撹拌する。EtOAcを加える。混合物をセライト上でろ過し、真空中で濃縮する。EtOAcと水を加え、層を分け、水層をEtOAc(2×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層を水(2×)、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。粗生成物をcombi-flash RF(0〜20%のEtOAc/ヘキサンを溶出する12gのカラム)で精製して29a1を得る(tR=2.04分,(M+H)+ 290.3)。
工程2:
MeOH(2mL)中の29a1(60mg,0.21mmol)に水素化ホウ素ナトリウム(16mg,0.41mmol)を加えて混合物をRTで一晩撹拌する。反応混合物をNH4Cl飽和水溶液で中和する。EtOAcを加えて水層をEtOAc(3×)で抽出する。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。粗生成物をcombiflash RF(0〜30%のEtOAc/Hexを用いる4gのカラム)で精製して29a2(tR=1.91分,(M-OH)+ 274.2)を得る。
工程3:
THF(2mL)中の29a2(50mg,0.17mmol)にジ-イミダゾール-1-イル-メタノン(56mg,0.34mmol)を加えて混合物を還流させながら一晩撹拌する。反応混合物をRTに冷ます。EtOAcと水を加えて層を分ける。水層をEtOAc(3×)で抽出する。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。粗生成物をcombiflash RF(0〜8%のMeOH/DCMを用いる4gのカラム)で精製して29a3(tR=1.66分,(M+H)+ 342.3)を得る。
実施例30
中間体30a1の調製
【0130】
【化57】
【0131】
工程1:
THF(7mL)中のアルケン14c1(200mg,0.73mmol)と9-BBN(THF中0.5M,7.3mL,3.7mmol)の溶液を0℃で0.5時間及びRTで3時間撹拌する。混合物を0℃に冷却し、1N NaOH溶液(7.3mL,7.3mmol)と過酸化水素溶液(水中30%,3.3mL,29mmol)を加える。混合物をRTに戻して2時間撹拌する。反応混合物を10%のNa2S2O3水溶液で0℃にて中和する。混合物をRTで10分間撹拌し、濃縮する。水性残渣をEtOAc(3×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。粗生成物をCombiflash RF(0〜40%のEtOAc/ヘキサンを溶出する12gのカラム)で精製して30a1(tR=1.95分,(M+H)+ 292.3)を得る。
工程2:
DCM(3mL)中のアルコール30a1(190mg,0.63mmol)とトリエチルアミン(0.11mL,0.82mmol)の溶液を0℃で撹拌し、メタンスルホニルクロリド(54μL,0.7mmol)を加える。混合物をRTに戻して16時間撹拌する。反応混合物をDCMと水の混合物に注ぎ、層を分ける。水層をDCM(3×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。粗生成物をCombiflash RF(0〜40%のEtOAc/ヘキサンを溶出する12gのカラム)で精製して30a2(tR=1.97分,(M+H)+ 370.2)を得る。
工程3:
0℃でDMF(1.5mL)中の1H-ピラゾール(Aldrich,18mg,0.27mmol)の溶液に水素化ナトリウム(60%,11mg,0.27mmol)を加える。この混合物をRTで20分間撹拌する。DMF(1mL)中の30a2(90mg,0.24mmol)を加えて混合物を1時間撹拌する。反応混合物をEtOAcと水の混合物に注ぎ、層を分ける。水層をEtOAc(3×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層を水(2×)、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過かつ濃縮する。粗生成物をCombiflash RF(0〜40%のEtOAc/ヘキサンを溶出する12gのカラム)で精製して30a3(tR=2.06分,(M+H)+ 342.0)を得る。
適切なアルケン及びアゾール誘導体から出発して実施例30に記載の手順に類似して下記中間体を調製する。
【0132】
【化58】
【0133】
実施例31
31a1の調製
【0134】
【化59】
【0135】
工程1:
テフロン撹拌子を備えた0.5〜2.0mLのマイクロ波容器に15a1(20mg;0.05mmol)、ピリミジン-5-イルアミン(25mg;0.26mmol)、2-MeTHF:AcOHの95:5混合物(0.80mL)及びSiliaBond シアノボロヒドリド(100mg;0.1mmol)を詰める。容器に蓋をしてマイクロ波照射下で120℃にて10分間加熱する。反応混合物をAcrodiscフィルターでろ過し(DMSOで洗い流し)、分取HPLC(Sunfireカラム;MeCN/AmFor、45℃)で精製する。所望フラクションを収集して濃縮する。SFC(多重積層注入):SFC-MS:Waters Prep 100、カラム:IB 10×250mm、40℃で、溶出剤A:CO2、溶出剤B:MeOH、勾配:アイソクラチック50:50のCO2:MeOH、50mL/分で、背圧調整弁:150バール、実行時間:10分でエナンチオマーを分離する。所望フラクションを収集し、真空中で濃縮して31a1(tR=1.01分,(M+H)+ 467.3)を得る。
【0136】
実施例A
発現ベクター、タンパク質発現及び増殖
昆虫細胞内発現のため株AD169由来のコドン最適化UL54 HCMVポリメラーゼ遺伝子をDNA 2.0(Menlo Park, CA)から得、pFastBac由来ベクターのグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)遺伝子の3’にサブクローニングする。バクミド及びバキュロウイルスを生成し、SF900 II SFM培地で培養したSf21昆虫細胞で発現させる。バキュロウイルスを用いる感染は5〜10のMOIで行ない、感染48時間後に細胞を収集して凍結させる。
【0137】
試薬及び材料(等価物は許容できる):
【0138】
全ての精製手順を4℃で行なう。1Lの培養(1×109細胞)から細胞ペレットを25mLの50mM Tris pH 7.5、1mM TCEP、0.1mM EDTA、150mM NaCl、10%グリセロール、1mM PMSF、2μg/mLのロイペプチン、2μg/mLのアンチパイン、2μg/mLのペプスタチンAに再懸濁させる。ダウンス型ホモジナイザーを用いて溶液を均質化する。均質化後、体積を40mLに増やした後、750×gで5分間の遠心分離によって核を除去する。次に上清を移し、グルタチオン-セファロース4B樹脂の50%スラリー3ccを加えて混合物をローテータ上で1時間インキュベートする。スラリーを500gで5分間遠心分離にかける。上清を捨て、ペレットを10×体積の洗浄緩衝液(50mM Tris pH 7.5、1mM TCEP、0.1mM EDTA、150mM NaCl、10%グリセロール)に再懸濁させて5分間インキュベートする。スラリーを500gで5分間遠心分離にかけて上清を捨てる。この洗浄工程を5回行なう。1.5体積の溶出緩衝液(50mM Tris pH 7.5、1mM TCEP、0.1mM EDTA、150mM NaCl、10%グリセロール、20mMグルタチオン)を添加することによって溶出を行なってからローテータ上で15分間インキュベートする。スラリーを500gで5分間遠心分離にかけ、上清を除去して取っておく。この溶出工程を4回行なう。上清をプールし、500×gで5分間遠心分離にかけて樹脂粒子を除去し、-80℃で凍結させる。
凍結タンパク質を解凍させ、3体積のDEAE緩衝液A(50mM Tris pH 7.5、1mM TCEP、0.1mM EDTA、10%グリセロール)の添加によりNaCl濃度を37.5mMに減じる。タンパク質をHiTrap DEAE-セファロースFFカラムに充填し、DEAE緩衝液B(50mM Tris pH 7.5、1mM TCEP、0.1mM EDTA、10%グリセロール、1M NaCl)で勾配を用いて溶出する。UL54は140mMのNaClで溶出される。DEAEフラクションをプールし、凍結させ、-80℃で貯蔵する。OD280によってタンパク質濃度を決定する(A280=1.03mg/mL)。
【0139】
実施例B
HCMVポリメラーゼLANCE TR-FRETアッセイ
この非放射測定アッセイは、株AD169(UL54)から精製された組換え体HCMVポリメラーゼの酵素活性を、ヘテロ多量体鋳型を予備刺激するジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドを用いて決定する。新生相補鎖にビオチン-dUTPを組み入れることによって酵素活性を決定する。供与体(プライマーで結合している抗ジゴキシゲニン-ユーロピウムキレート)から、近接して組み込まれた標識ヌクレオチドのビオチンに結合している受容体ストレプトアビジン-アロフィコシアニン(SA-APC)への蛍光共鳴エネルギー移動によってシグナルが生じる。
【0140】
試薬及び材料(等価物は許容できる):
【0141】
化合物の調製:
DMSOを用いてカラム2〜11及び14〜23でDMSO保存化合物溶液の段階希釈を行なう。カラム1、12、13及び24にはDMSOのみが存在する。3μLのDMSO段階希釈液を移し、21μLの化合物希釈緩衝液(10mM ヘペス pH 7.5、25mM KCl、5mM MgCl2、1mM TCEP)を用いて希釈して12.5%DMSOを得る。1ウェル当たり4μLの12.5%DMSO段階希釈化合物溶液をアッセイプレートに添加する。プレートを200×gで30秒間遠心分離にかける。
LANCE TR-FRETアッセイ:
アッセイ条件は以下の通りである:10mM ヘペス pH 7.5、25mM KCl、7.5mM NaCl、5mM MgCl2、0.2mg BSA/mL、1mM TCEP、1.5%グリセロール、5%DMSO、235nM dATP、350nM dCTP、350nM dGTP、235nM dTTP、12nM ビオチン-16-dUTP、23.5nM Dig-プライマー/鋳型、2nM GST-UL54。アッセイ体積は10μLである。各試薬を以下のように添加する:4μLのa+3μLのb+3μLのc;a:12.5%DMSOを得るために化合物希釈緩衝液で希釈した化合物;b:10mM ヘペス pH 7.5、25mM KCl、5mM MgCl2、25mM NaCl、5%グリセロール、0.67mgのBSA/mL、1mM TCEP w/o DMSO中の酵素(GST-UL54)(このアッセイでは2nMのGST-UL54が存在する);c:10mM ヘペス pH 7.5、25mM KCl、5mM MgCl2、1mM TCEP、783nM dATP、1166nM dCTP、1166nM dGTP、783nM dTTP、40nM ビオチン-16-dUTP、78nM Dig-プライマー(5’-/Dig/AGC TCG TTT AGT GAA CC-3’(SEQ ID NO: 1))/鋳型(5’-GAG GTC AAA ACA GCG TGG ATG GCG TCT CCA GGC GAT CTG ACG GTT CAC TAA ACG AGC T-3’(SEQ ID NO: 2)) w/o DMSO中の基質。プライマーと鋳型を10mM Tris-HCl pH 7.5、50mM NaCl中、それぞれ50μMの濃度でアニールする。それらを乾燥バッチブロック内で95℃にて5分間インキュベートする。ブロックを乾燥浴から取り出してRTに冷ます。アリコートを作製して-20℃で貯蔵する。
アッセイを行なうため、3μLの酵素溶液をカラム2〜12及び14〜24に添加する。カラム1及び13(ブランク)では、酵素をブランク溶液(酵素のないb溶液)に代える。プレートを200×gで30秒間遠心分離にかける。3μLの基質溶液を各ウェルに加える。プレートを200×gで30秒間遠心分離にかける。プレートを37℃で30分間インキュベートする。5μLの抱合体溶液を加える(25mM ヘペス pH 7.5、0.1M NaCl、0.25%ツイーン20、1mg/mL BSA、12mM EDTA、24nM ストレプトアビジン-APC、342ng/mL 抗Dig-ユーロピウム)。プレートをRTで少なくとも120分間インキュベートする。Envisionプレートリーダー(Perkin-Elmer)又は等価物でシグナルを解読する。
実施例Bに記載のアッセイで本発明の全ての化合物を試験すると5μm以下の範囲のIC50値を示す。代表データを下表に示す。
【0142】
【0143】
全ての特許、特許出願、及び出版物を含め、本出願で引用した各参考文献は、あたかもそのそれぞれが個々に組み入れられたかのように、参照によってその全体がここに組み入れられる。さらに、当然のことながら、本発明の上記教示において、当業者は本発明に一定の変更又は修正を加えることができるであろうし、これらの等価物も、本出願に添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内ということになる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]