特許第6237800号(P6237800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6237800-空気調和装置 図000002
  • 特許6237800-空気調和装置 図000003
  • 特許6237800-空気調和装置 図000004
  • 特許6237800-空気調和装置 図000005
  • 特許6237800-空気調和装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237800
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   F24F11/02 103A
   F24F11/02 103C
   F24F11/02 103B
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-31432(P2016-31432)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-150691(P2017-150691A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲山 聡通
(72)【発明者】
【氏名】野内 義照
(72)【発明者】
【氏名】塩濱 豪典
(72)【発明者】
【氏名】須原 遼太
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−196447(JP,A)
【文献】 特開昭60−011042(JP,A)
【文献】 特開平10−318590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間(500)の空気調和を行う空気調和装置(10)であって、
吸い込んだ室内空気を温度調節して上記室内空間(500)へ吹き出す室内ユニット(12)と、
上記室内ユニット(12)内に設けられ、該室内ユニット(12)に吸い込まれる室内空気の温度を測定する吸込み温度センサ(61)と、
上記室内ユニット(12)とは別体に構成され、周辺温度を測定する周辺温度センサ(13b)および該周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)の信号を無線通信によって送信する送信部(13c)を有する無線温度センサユニット(13)と、
上記送信部(13c)が送信した上記信号を受信する受信部(63a)と、
上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であるか否かを判定する異常判定部(63b)と、
室内温度の指標となる温度指標値を定める指標設定部(63c)と、
上記指標設定部(63c)が定めた温度指標値に基づいて上記空気調和装置(10)の運転を制御する制御部(28,66)とを備え、
上記指標設定部(63c)は、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であると上記異常判定部(63b)が判定している間、上記吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を温度指標値とするように構成され、
上記異常判定部(63b)は、上記吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が所定の第1温度閾値(Tth1)以下であるかまたは該第1温度閾値(Tth1)よりも高い所定の第2温度閾値(Tth2)以上である場合に、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定するように構成されている
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記指標設定部(63c)は、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態でないと上記異常判定部(63b)が判定している間、上記周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm1)を温度指標値とするように構成されている
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記異常判定部(63b)は、上記吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)と上記周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)との差の絶対値が所定の温度差閾値(ΔTth)以上である場合に、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定するように構成されている
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
上記異常判定部(63b)は、上記受信部(63a)が上記無線温度センサユニット(13)から上記信号を受信していない場合に、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定するように構成されている
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記受信部(63a)と上記異常判定部(63b)と上記指標設定部(63c)とが設けられて上記室内ユニット(12)に収容される受信機ユニット(63)を備えている
ことを特徴とする空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内空間の空気調和を行う空気調和装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この空気調和装置は、互いに配管接続された室外ユニットおよび室内ユニットを備えている。空気調和装置の運転は、制御部によって制御される。また、特許文献2には、室内ユニット内に取り込んだ空気の温度を測定するための吸込み温度センサを設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−099612号公報
【特許文献2】特開2014−137161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸込み温度センサに加えて、室内空間の任意の箇所の温度情報を取得するための手段として、当該任意の箇所に周辺温度を測定する周辺温度センサを設けることが考えられる。ここで、周辺温度センサは、任意の箇所に設置可能であるように、その測定値の信号を無線通信によって送信することができる送信部と共に携帯型の無線温度センサユニットを構成していることが好ましい。
【0005】
制御部は、吸込み温度センサや周辺温度センサの測定値に基づいて、例えば所定の目標温度に室内温度が近づくように、空気調和装置の運転を制御する。ここで、無線温度センサユニットを在室している人の近くに設置して使用することが考えられ、そのような場合には快適性の向上のために周辺温度センサの測定値を利用して空気調和装置の運転を制御することが好ましい。
【0006】
しかしながら、無線温度センサユニットが必ずしも適切な方法で使用されるとは限らない。例えば、暖房運転時に無線温度センサユニットが他の暖房器具の付近に設置された場合には、周辺温度センサの測定値は実際の室内温度よりも高くなる。本明細書では、このような場合を一例として、無線温度センサユニットが正常に機能していない状態のことを「無線温度センサユニットが異常状態である」と言うことにする。無線温度センサユニットが異常状態である場合に周辺温度センサの測定値を利用して空気調和装置の運転が制御されると、室内空間全体の空気調和が適切に行われないおそれがある。例えば、上記の場合には、周辺温度センサの測定値が室内空間全体の温度に比べて高温になり、当該測定値に基づいて暖房運転を行っても室内空間全体は目標温度よりも低い温度までしか暖められない。また、無線温度センサユニットが電池切れのために周辺温度センサの測定値の信号を送信できなくなることも想定される。その場合、空気調和装置が制御不能になるおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、室内空間の任意の箇所を対象とした空気調和を可能とすると共に、室内空間全体の空気調和を適切に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、室内空間(500)の空気調和を行う空気調和装置(10)を対象とする。空気調和装置(10)は、吸い込んだ室内空気を温度調節して上記室内空間(500)へ吹き出す室内ユニット(12)と、上記室内ユニット(12)内に設けられ、該室内ユニット(12)に吸い込まれる室内空気の温度を測定する吸込み温度センサ(61)と、上記室内ユニット(12)とは別体に構成され、周辺温度を測定する周辺温度センサ(13b)および該周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)の信号を無線通信によって送信する送信部(13c)を有する無線温度センサユニット(13)と、上記送信部(13c)が送信した上記信号を受信する受信部(63a)と、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であるか否かを判定する異常判定部(63b)と、室内温度の指標となる温度指標値を定める指標設定部(63c)と、上記指標設定部(63c)が定めた温度指標値に基づいて上記空気調和装置(10)の運転を制御する制御部(28,66)とを備え、上記指標設定部(63c)は、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であると上記異常判定部(63b)が判定している間、上記吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を温度指標値とするように構成されている。
【0009】
上記第1の発明では、無線温度センサユニット(13)を用いることによって室内空間(500)における任意の箇所の温度を測定し、その測定値(Tm2)が空気調和装置(10)の運転の制御に利用される。これにより、室内空間(500)の任意の箇所を対象とした空気調和が可能となる。一方、無線温度センサユニット(13)が異常状態である場合、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)に基づいて空気調和装置(10)の運転を制御すると、上述のように室内空間(500)全体の空気調和が適切に行われないおそれがある。これに対し、本発明では、無線温度センサユニット(13)が異常状態である場合、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)に基づいて空気調和装置(10)の運転が制御される。これにより、無線温度センサユニット(13)が異常状態である場合であっても、室内空間(500)全体の空気調和が適切に行われる。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記指標設定部(63c)は、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態でないと上記異常判定部(63b)が判定している間、上記周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)を温度指標値とするように構成されていることを特徴とする。
【0011】
ここで、無線温度センサユニット(13)は、在室者の近くに置かれる可能性が高い。そのため、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)よりも周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)を空気調和装置(10)の運転の制御に利用した方が、在室者の快適性を向上できる可能性が高い。そこで、上記第2の発明では、無線温度センサユニット(13)が異常状態でない場合には、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)を空気調和装置(10)の運転の制御に利用する。
【0012】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記異常判定部(63b)は、上記吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)と上記周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)との差の絶対値が所定の温度差閾値(ΔTth)以上である場合に、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記第3の発明において、吸込み温度センサ(61)は、室内ユニット(12)が実際に吸い込む空気の温度を測定する。このため、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が実際の室温と大きく異なる可能性は低い。一方、無線温度センサユニット(13)は、他の暖房機器の近くや、窓辺の日なた等に置かれることもあり、その場合の周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)は実際の室温と大きく異なる。そこで、本発明では、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)と周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)とが大きく異なる場合、無線温度センサユニット(13)が異常状態であるとして、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を空気調和装置(10)の運転の制御に利用する。これにより、室内空間(500)全体の空気調和がより適切に行われる。
【0014】
第1の発明は、上記の構成に加えて、上記異常判定部(63b)は、上記吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が所定の第1温度閾値(Tth1)以下であるかまたは該第1温度閾値(Tth1)よりも高い所定の第2温度閾値(Tth2)以上である場合に、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記第1の発明では、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が低すぎるかあるいは高すぎる場合に、異常判定部(63b)は、無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定する。例えば、室内空間(500)全体の平均温度とは温度が大きく異なる場所に無線温度センサユニット(13)が設置されている場合、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)は室内空間(500)全体の平均温度と大きく異なることになる。この状態で周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)に基づいて空気調和を行うと、室内空間(500)全体の温度が低すぎるがあるいは高すぎる状態になり、それに伴って吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が低すぎるかあるいは高すぎる状態になる。本発明では、そのような場合に無線温度センサユニット(13)が異常状態であるとして、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を空気調和装置(10)の運転の制御に利用する。これにより、室内空間(500)全体の空気調和がより適切に行われる。
【0016】
また、室内空間(500)全体の温度が低すぎるかあるいは高すぎる場合に、異常状態にある無線温度センサユニット(13)の周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)に基づいて空気調和装置(10)の運転を制御すると、空気調和装置(10)の構成機器に過剰な負荷がかかってしまうおそれがある。例えば、室内空間(500)全体の室温が高すぎる一方で周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)が低い場合に当該測定値(Tm2)に基づいて空気調和装置(10)の運転を制御すると、空気調和装置(10)の構成機器は暖房能力をさらに上昇させようとして過剰な負荷にさらされる。そして、空気調和装置(10)の構成機器に過剰な負荷がかかり続けると、空気調和装置(10)が故障してしまうおそれがある。これに対し、上記第1の発明では、室内空間(500)全体の温度が低すぎるかあるいは高すぎる場合に吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を空気調和装置(10)の運転の制御に利用する。このため、空気調和装置(10)の構成機器に過剰な負荷がかかることが防止され、ひいては空気調和装置(10)の故障が未然に防止される。
【0017】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記異常判定部(63b)は、上記受信部(63a)が上記無線温度センサユニット(13)から上記信号を受信していない場合に、上記無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
上記第4の発明では、無線温度センサユニット(13)からの信号が確認されない場合に、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を空気調和装置(10)の運転の制御に利用する。これにより、室内空間(500)全体の空気調和がより適切に行われる。
【0019】
第5の発明は、上記第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、上記受信部(63a)と上記異常判定部(63b)と上記指標設定部(63c)とが設けられて上記室内ユニット(12)に収容される受信機ユニット(63)を備えていることを特徴とする。
【0020】
上記第5の発明では、受信部(63a)、異常判定部(63b)および指標設定部(63c)が同じユニット(すなわち、受信機ユニット(63))内に設けられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、無線温度センサユニット(13)を使用することによって室内空間(500)の任意の箇所を対象とした空気調和を行うことができる。また、それに加えて、無線温度センサユニット(13)が異常状態である場合にも、室内空間(500)全体の空気調和を適切に行うことができる。
【0022】
また、上記第2の発明によれば、在室者の近くに置かれる可能性が高い無線温度センサユニット(13)の周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)を空気調和装置(10)の運転の制御に用いるので、在室者の快適性を向上させることができる。
【0023】
また、上記第1、第3および第4の発明によれば、室内空間(500)全体の空気調和をより適切に行うことができる。さらに、上記第1の発明によれば、空気調和装置(10)の故障を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態の空気調和装置の概略構成を示す冷媒回路図である。
図2図2は、実施形態の空気調和装置の設置態様を概略的に示す図である。
図3図3は、室内ユニットを斜め下方から見た斜視図である。
図4図4は、空気調和装置における各機器の構成を概略的に示す図である。
図5図5は、異常判定部が無線温度センサユニットの状態を判定する方法を示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0026】
−空気調和装置の構成−
図1および図2に示すように、本実施形態の空気調和装置(10)は、室外ユニット(11)と、室内ユニット(12)と、無線温度センサユニット(13)とを備えている。室外ユニット(11)と室内ユニット(12)とは、互いに配管接続されていて、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を構成している。
【0027】
室外ユニット(11)は、圧縮機(21)と、四方切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、室外ファン(24)と、膨張弁(25)と、室外制御器(28)とを有している。室外ユニット(11)は、図2に示すように、屋外に配置されている。空気調和装置(10)は、四方切換弁(22)の切り替えを行うことにより、冷媒回路(20)において冷媒が流れる方向を可逆に切り替えられるように構成されている。
【0028】
室内ユニット(12)は、室内熱交換器(26)および室内ファン(27)を有している。室内ユニット(12)は、図2に示すように、屋内の天井に形成された開口に埋め込まれている。すなわち、本実施形態の室内ユニット(12)は、いわゆる天井埋込型に構成されている。室内ユニット(12)の構成について、詳しくは後述する。圧縮機(21)および室内ファン(27)は構成機器を構成している。
【0029】
無線温度センサユニット(13)は室内ユニット(12)とは別体に構成されていて、図2に示すように、室内空間(500)の任意の箇所(例えば、在室者の付近)に設置可能である。無線温度センサユニット(13)は、ユニットケース(13a)と、このユニットケース(13a)内に配置されて周囲の温度を測定する周辺温度センサ(13b)と、ユニットケース(13a)内に配置されて周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)の信号を後述する受信機ユニット(63)に向けて無線通信によって送信する送信部(13c)とを有している。
【0030】
無線温度センサユニット(13)の送信部(13c)は、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)を少なくとも含む信号を生成し、生成した信号を無線通信によって発信する。この送信部(13c)は、受信機ユニット(63)との通信を所定の時間(例えば、10秒)毎に行うように構成されている。また、送信部(13c)は、前回送信した温度と現在検出している温度との温度差が小さい場合(例えば、当該差が0.05℃以下である場合)には、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)の信号を受信機ユニット(63)に送信しないように構成されている。また、無線温度センサユニット(13)は、内蔵するバッテリ(図示せず)の残量が低下した時に、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)の送信を停止し、内蔵するLED(図示せず)を点滅させるように構成されている。
【0031】
−室内ユニットの構成−
図1図3に示すように、室内ユニット(12)は、ケーシング(30)を備えている。ケーシング(30)は、室内空間(500)の天井(501)に設置されている。ケーシング(30)は、ケーシング本体(31)と化粧パネル(32)とによって構成されている。このケーシング(30)には、室内ファン(27)と、室内熱交換器(26)とが収容されている。また、ケーシング(30)には、吸込み温度センサ(61)と、受信機ユニット(63)と、室内制御器(66)とが収容されている。
【0032】
ケーシング本体(31)は、室内空間(500)の天井(501)に形成された開口に挿入されて配置されている。ケーシング本体(31)は、下面が開口する概ね直方体状の箱形に形成されている。
【0033】
室内ファン(27)は、下方から吸い込んだ空気を径方向の外側に向けて吹き出す遠心送風機である。室内ファン(27)は、ケーシング本体(31)の内部中央に配置されている。
【0034】
室内熱交換器(26)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器である。室内ファン(27)が吹き出した空気は、室内熱交換器(26)を通過する。室内熱交換器(26)は、当該室内熱交換器(26)を通過する空気を、冷媒回路の冷媒と熱交換させる。
【0035】
化粧パネル(32)は、四角い厚板状に形成された樹脂製の部材である。化粧パネル(32)の下部は、ケーシング本体(31)よりも一回り大きな正方形状に形成されている。この化粧パネル(32)は、ケーシング本体(31)の下面を覆うように配置されている。また、化粧パネル(32)の下面は、ケーシング(30)の下面を構成し、室内空間(500)に露出している。
【0036】
図3に示すように、化粧パネル(32)の中央部には、正方形状の一つの吸込み開口(33)が形成されている。吸込み開口(33)は、化粧パネル(32)を上下に貫通し、ケーシング(30)の内部に連通している。吸込み開口(33)には、格子状の吸込グリル(41)が設けられている。
【0037】
化粧パネル(32)には、概ね四角い輪状の吹出口(36)が、吸込み開口(33)を囲むように形成されている。図3に示すように、吹出口(36)は、四つの主吹出し開口(34)と、四つの副吹出し開口(35)とに区分されている。
【0038】
主吹出し開口(34)は、化粧パネル(32)の四つの辺のそれぞれに沿って一つずつ配置された細長い開口である。一方、副吹出し開口(35)は、1/4円弧状の開口である。副吹出し開口(35)は、化粧パネル(32)の四つの角部のそれぞれに一つずつ配置されている。
【0039】
図3に示すように、各主吹出し開口(34)には、風向調節羽根(51)が設けられている。風向調節羽根(51)は、吹出し気流の方向(すなわち、主吹出し開口(34)から吹き出される調和空気の流れの方向)を調節するための部材である。風向調節羽根(51)は、吹出し気流の方向を上下方向に変更する。つまり、風向調節羽根(51)は、吹出し気流の方向と水平方向のなす角度が変化するように、吹出し気流の方向を変化させる。
【0040】
〈吸込み温度センサ〉
吸込み温度センサ(61)は、吸込み開口(33)からケーシング(30)内に吸い込まれた室内空気の温度を測定するように構成されている。吸込み温度センサ(61)は、図4に示すように、センサ信号線(62)によって受信機ユニット(63)の入力用接続部(63d)に接続されている。入力用接続部(63d)は、例えば汎用のコネクタによって構成されている。
【0041】
〈受信機ユニット〉
受信機ユニット(63)は、図4に示すように、入力用接続部(63d)を有しており、この入力用接続部(63d)には、上述したように吸込み温度センサ(61)から延びるセンサ信号線(62)が接続されている。受信機ユニット(63)は、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)の信号を、有線通信によって当該吸込み温度センサ(61)から受信するように構成されている。
【0042】
図4に示すように、受信機ユニット(63)は、受信部(63a)と、異常判定部(63b)と、指標設定部(63c)とを有している。受信機ユニット(63)は、指標設定部(63c)によって定められた温度指標値の信号を室内制御器(66)に送信するように構成されている。
【0043】
受信機ユニット(63)は、図4に示すように、出力用接続部(63e)を有しており、この出力用接続部(63e)には制御信号線(64)の一端が接続されている。制御信号線(64)の他端は室内制御器(66)の共通入力用接続部(66a)に接続されている。
【0044】
受信機ユニット(63)は、また、電力線(65)によって室内制御器(66)と接続されていて、当該電力線(65)を介して室内制御器(66)から電力を供給されるように構成されている。
【0045】
なお、受信機ユニット(63)には図示しない複数のLEDが設けられている。受信機ユニット(63)は、無線温度センサユニット(13)が故障した場合と受信機ユニット(63)が故障した場合とで、当該LEDの点滅の態様を変更するように構成されている。また、受信機ユニット(63)は、無線温度センサユニット(13)が故障している場合には、バッテリ交換が必要であるか無線温度センサユニット(13)の本体の交換が必要であるかに応じて、LEDの点滅の態様を変更するように構成されている。また、受信機ユニット(63)は、当該受信機ユニット(63)が故障している場合には、交換が必要な部品の種類に応じてLEDの点滅の態様を変更するように構成されている。
【0046】
[受信部]
受信部(63a)は、無線温度センサユニット(13)から無線通信によって送信される、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)の信号を受信するように構成されている。受信部(63a)は、受信した周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)の信号を、異常判定部(63b)へ伝達する。
【0047】
[異常判定部]
異常判定部(63b)は、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)および周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)に基づいて無線温度センサユニット(13)が異常状態であるか否かを判定するように構成されている。
【0048】
具体的には、図5に示すように、異常判定部(63b)は、無線温度センサユニット(13)が正常状態である場合に次の三つの条件(A)〜(C)の少なくとも一つが成立したときに、無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定する。すなわち、条件(A)は、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)と周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)との差の絶対値が所定の温度差閾値(ΔTth)以上であるという条件である。条件(B)は、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が、所定の第1温度閾値(Tth1)以下であるかあるいは所定の第2温度閾値(Tth2)以上であるという条件である。ただし、第2温度閾値(Tth2)は第1温度閾値(Tth1)よりも高い(Tth1<Tth2)。条件(C)は、受信機ユニット(63)が無線温度センサユニット(13)からの信号を受信していないという条件である。一方、異常判定部(63b)は、条件(A)〜(C)の全てが成立しない場合には、無線温度センサユニット(13)が正常状態であると判定する。
【0049】
ここで、条件(A)が成立したときに無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定できるのは、次の理由による。すなわち、吸込み温度センサ(61)は室内ユニット(12)のケーシング(30)内に実際に吸い込まれる空気の温度を測定する。このため、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が実際の室温と大きく異なる可能性は低い。一方、無線温度センサユニット(13)は、他の暖房機器の近くや、窓辺の日なた等に置かれることもあり、その場合の周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)は実際の室温と大きく異なる。このため、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)と周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)とが大きく異なる場合、無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定できる。
【0050】
また、条件(B)が成立したときに無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定できるのは、次の理由による。すなわち、例えば、室内空間(500)全体の室温とは温度が大きく異なる場所に無線温度センサユニット(13)が設置されている場合、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)は室内空間(500)全体の室温と大きく異なる。この状態で周辺温度センサ(13b)の測定値に基づいて空気調和を行うと、室内空間(500)全体の温度が低すぎるがあるいは高すぎる状態になり、それに伴って吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が低すぎるかあるいは高すぎる状態になる。このため、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が低すぎるかあるいは高すぎる場合、無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定できる。
【0051】
また、条件(C)が成立したときに無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定できるのは、次の理由による。すなわち、例えば、無線温度センサユニット(13)が電気切れになって信号が送信できない場合には、受信機ユニット(63)は無線温度センサユニット(13)からの信号を受信できない。また、例えば、無線温度センサユニット(13)が誤って室外に持ち出されると、無線温度センサユニット(13)からの信号が受信機ユニット(63)に届かなくなるおそれがある。これらのため、受信機ユニット(63)が無線温度センサユニット(13)からの信号を受信していない場合、無線温度センサユニット(13)が異常状態であると判定できる。
【0052】
また、図5に示すように、異常判定部(63b)は、無線温度センサユニット(13)が異常状態である場合に次の三つの条件(D)〜(F)の全てが成立したときに、無線温度センサユニット(13)が正常状態であると判定する。すなわち、条件(D)は、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)と周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)との差の絶対値が所定の温度差閾値(ΔTth)未満であるという条件である。条件(E)は、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が、所定の第3温度閾値(Tth3)以上でありかつ所定の第4温度閾値(Tth4)以下であるという条件である。ただし、第3温度閾値(Tth3)は第1温度閾値(Tth1)よりもわずかに高くかつ第2温度閾値(Tth2)よりも低く、第4温度閾値(Tth4)は第2温度閾値(Tth2)もわずかに低くかつ第3温度閾値よりも高い(Tth1<Tth3<<Tth4<Tth2)。条件(F)は、受信機ユニット(63)が無線温度センサユニット(13)からの信号を受信しているという条件である。一方、異常判定部(63b)は、条件(D)〜(F)の少なくとも一つが成立しない場合には、無線温度センサユニット(13)が依然として異常状態であると判定する。
【0053】
[指標設定部]
指標設定部(63c)は、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)および吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)に基づいて室内温度の指標となる信号を生成するように構成されている。指標設定部(63c)は、異常判定部(63b)の判定結果に基づいて、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)または周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)のいずれか一方を温度指標値とする。具体的に、指標設定部(63c)は、無線温度センサユニット(13)が異常状態であると異常判定部(63b)が判定している間、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を温度指標値とする。一方、指標設定部(63c)は、無線温度センサユニット(13)が異常状態でないと異常判定部(63b)が判定している間、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)を温度指標値とする。なお、指標設定部(63c)は、無線温度センサユニット(13)が異常状態でないと異常判定部(63b)が判定している間であっても、場合によっては、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を温度指標値とするように構成されていてもよい。
【0054】
〈室内制御器〉
室内制御器(66)は、受信機ユニット(63)とは別体に設けられている。室内制御器(66)は、受信機ユニット(63)から送信されてきた吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)または周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)に基づいて、室内ファン(27)の回転速度や風向調節羽根(51)の向き等を制御する。
【0055】
室内制御器(66)は、入力用接続部(63d)と同形状であって制御信号線(64)およびセンサ信号線(62)を選択的に接続可能な共通入力用接続部(66a)を有している。共通入力用接続部(66a)は、例えば入力用接続部(63d)を構成するコネクタと同じコネクタによって構成されている。無線温度センサユニット(13)および受信機ユニット(63)を設けない場合は、図4に二点鎖線で示すように、吸込み温度センサ(61)のセンサ信号線(62)が共通入力用接続部(66a)に接続される。この状態では、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)の信号が室内制御器(66)に直接入力される。
【0056】
室内制御器(66)は、図4に示すように、連絡信号線(67)によって室外制御器(28)と接続されている。室内制御器(66)は、受信機ユニット(63)から送信されてきた温度指標値の信号を、室外制御器(28)に送信するように構成されている。
【0057】
室外制御器(28)は、室内制御器(66)から受信した温度指標値の信号に基づいて圧縮機(21)の回転速度の制御等を行う。例えば、冷房運転時において、温度指標値が目標温度よりも高い場合、室外制御器(28)は圧縮機(21)の回転速度を上げる一方、温度指標値が目標温度よりも低い場合、室外制御器(28)は圧縮機(21)の回転速度を下げる。また、例えば、暖房運転時において、温度指標値が目標温度よりも低い場合、室外制御器(28)は圧縮機(21)の回転速度を上げる一方、温度指標値が目標温度よりも高い場合、室外制御器(28)は圧縮機(21)の回転速度を下げる。
【0058】
なお、室内制御器(66)は、受信機ユニット(63)と一体に設けられていてもよい。室内制御器(66)および室外制御器(28)は、制御部を構成している。
【0059】
−運転動作−
次に、空気調和装置(10)の運転動作について説明する。暖房運転や冷房運転を行う場合には、圧縮機(21)、室外ファン(24)、および室内ファン(27)が駆動される。これにより、冷媒回路(20)において冷媒が循環し、蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われ、冷房運転や暖房運転等が行われる。ここで、冷房運転時には、四方切換弁(22)の切り替えにより、室外熱交換器(23)が放熱器(凝縮器)として機能し、室内熱交換器(26)が蒸発器として機能する。一方、暖房運転時には、四方切換弁(22)の切り替えにより、室内熱交換器(26)が放熱器(凝縮器)として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。
【0060】
ここで、室内ユニット(12)の運転中には、室内ファン(27)の回転により、室内空間(500)の室内空気が、吸込み開口(33)を通ってケーシング(30)内へ流入する。ケーシング(30)内へ流入した空気は、室内ファン(27)に吸い込まれ、室内熱交換器(26)に向かって吹き出される。室内ファン(27)から吹き出された空気は、室内熱交換器(26)を通過する間に冷却されまたは加熱され、四つの主吹出し開口(34)および四つの副吹出し開口(35)を通って室内空間(500)へ吹き出される。
【0061】
冷房運転中の室内ユニット(12)では、室内熱交換器(26)が蒸発器として機能し、空気が室内熱交換器(26)を通過する間に冷却される。一方、暖房運転中の室内ユニット(12)では、室内熱交換器(26)が凝縮器として機能し、空気が室内熱交換器(26)を通過する間に加熱される。
【0062】
室内ユニット(12)は、室内空間(500)の温度が所定の目標温度となるように調和空気を室内空間(500)へと吹き出す。ここで、室内制御器(66)は、指標設定部(63c)によって定められた温度指標値に基づいて、室内ユニット(12)の各機器を制御する。例えば、室内制御器(66)は、室内ファン(27)の回転速度を制御することによって、室内空間(500)に吹き出す調和空気の流量を制御する。また、室内制御器(66)は、四つの風向調節羽根(51)の位置を個別に制御することによって、調和空気の吹出し方向を制御する。
【0063】
また、室外制御器(28)は、指標設定部(63c)によって定められた温度指標値に基づいて、室外ユニット(11)の各機器を制御する。室外制御器(28)は、例えば、圧縮機(21)の回転速度を制御することによって、空気調和装置(10)の暖房能力または冷房能力を調節する。また、室外制御器(28)は、室外ファン(24)の回転速度制御、四方切換弁(22)の切り替え制御、および膨張弁(25)の開度制御等を行う。
【0064】
暖房運転では、暖かい調和空気を実質的に下方向へ吹き出す下吹き動作や、暖かい調和空気を実質的に水平方向に吹き出す水平吹き動作等が行われる。一方、冷房運転では、比較的低温の調和空気を実質的に水平方向と下方向との間でスイングさせながら吹き出すスイング動作や、比較的低温の調和空気を実質的に水平方向に吹き出す水平吹き動作等が行われる。
【0065】
−実施形態の効果−
本実施形態の空気調和装置(10)では、室内空間(500)の任意の箇所に設置可能な無線温度センサユニット(13)が異常状態でない場合、当該無線温度センサユニット(13)に設けられた周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)を空気調和装置(10)の運転の制御に用いる。これにより、室内空間(500)の任意の箇所を対象とした空気調和が可能となる。一方、無線温度センサユニット(13)が異常状態である場合、周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)ではなく室内ユニット(12)に設けられた吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を空気調和装置(10)の運転の制御に用いる。これにより、無線温度センサユニット(13)が異常状態である場合であっても、室内空間(500)全体の空気調和を適切に行うことができる。
【0066】
また、無線温度センサユニット(13)が異常状態でない場合に、在室者の近くに置かれる可能性が高い無線温度センサユニット(13)の周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)を空気調和装置(10)の運転の制御に用いる。これにより、在室者の快適性を向上させることができる。
【0067】
また、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)と周辺温度センサ(13b)の測定値(Tm2)とが大きく異なる場合、無線温度センサユニット(13)が異常状態であるとして、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を空気調和装置(10)の運転の制御に用いる。これにより、室内空間(500)全体の空気調和をより適切に行うことができる。
【0068】
また、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)が低すぎるかあるいは高すぎる場合、無線温度センサユニット(13)が異常状態であるとして、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を空気調和装置(10)の運転の制御に用いる。これにより、室内空間(500)全体の空気調和をより適切に行うことができると共に、空気調和装置(10)の故障を未然に防止することができる。
【0069】
また、受信部(63a)が無線温度センサユニット(13)から信号を受信していない場合、無線温度センサユニット(13)が異常状態であるとして、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)を空気調和装置(10)の運転の制御に用いる。これにより、室内空間(500)全体の空気調和をより適切に行うことができる。
【0070】
−実施形態の変形例−
実施形態の変形例について説明する。本変形例では、受信部(63a)等が受信機ユニット(63)ではなく空気調和装置(10)のリモコンに設けられる。
【0071】
具体的に、空気調和装置(10)は、室内ユニット(12)にリード線を介して接続されるリモコン(図示せず)を備えている場合がある。そのような場合に、受信部(63a)は、リモコンに設けられていてもよい。また、受信部(63a)に加えて、異常判定部(63b)および指標設定部(63c)の一方または両方がリモコンに設けられていてもよい。
【0072】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、異常判定部(63b)および指標設定部(63c)は受信機ユニット(63)に設けられているが、異常判定部(63b)および指標設定部(63c)は、例えば室内制御器(66)に設けられていてもよい。その場合、吸込み温度センサ(61)の測定値(Tm1)は、受信機ユニット(63)を経由して室内制御器(66)に伝達されてもよいし、室内制御器(66)に直接入力されてもよい。
【0073】
また、受信部(63a)は、室内制御器(66)に設けられていてもよい。また、それに加えて、異常判定部(63b)および指標設定部(63c)が室内制御器(66)に設けられていてもよい。この場合、無線温度センサユニット(13)から送信される信号は、室内制御器(66)によって受信される。
【0074】
また、上記実施形態では、室内ユニット(12)は空気調和装置(10)に一つだけ設けられているが、室内ユニット(12)が空気調和装置(10)に二つ以上設けられていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、主吹出し開口(34)の他に副吹出し開口(35)が設けられているが、副吹出し開口(35)が設けられていなくてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、室内ユニット(12)は4方向に調和空気を吹き出すように構成されているが、例えば、2方向に調和空気を吹き出すように構成されていてもよいし、1方向に調和空気を吹き出すように構成されていてもよい。
【0077】
また、室内ユニット(12)は、天井(501)の開口部に嵌め込まれる天井埋込型ではなく、ケーシング(30)が天井(501)に吊り下げられた状態で設置される天井吊下型であってもよいし、壁掛型や床設置型であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本発明は、空気調和装置について有用である。
【符号の説明】
【0079】
10 空気調和装置
12 室内ユニット
13 無線温度センサユニット
13b 周辺温度センサ
13c 送信部
28 室外制御器(制御部)
61 吸込み温度センサ
63 受信機ユニット
63a 受信部
63b 異常判定部
63c 指標設定部
66 室内制御器(制御部)
500 室内空間
図1
図2
図3
図4
図5