(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周方向主溝の最大溝深さは、前記センターラグ溝の最大溝深さよりも浅く、前記センターラグ溝の最大溝深さは、前記ショルダーラグ溝の最大溝深さよりも浅い、請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記第1のセンター細溝および前記第2のセンター細溝の最大溝深さをD1とし、前記周方向主溝の最大溝深さをD2としたとき、比D1/D2は0.05以上0.2以下である、請求項1または2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記センターブロックのタイヤ周方向長さをL1とし、前記第1のセンター細溝の溝長さをL2としたとき、比L1/L2は0.4以上0.9以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記センターブロックのタイヤ周方向長さをL1とし、前記第2のセンター細溝の溝長さをL3としたとき、比L3/L1は1.8以上2.2以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記底上げ部において最も浅い溝深さをD3とし、前記トレッド部のタイヤ幅方向のトレッド幅をTとしたとき、比D3/Tは0.01以上0.05以下である、請求項7に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記第2のセンター細溝は、前記半トレッド領域のそれぞれに、タイヤ赤道線に対してタイヤ幅方向外側に突出するように延びる凸曲がり部を1つ有している、請求項1から8のいずれか1項に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記センターブロック内における前記第1のセンター細溝と前記第2のセンター細溝との最短距離をDmとし、前記センターブロックのタイヤ周方向長さをL1とし、さらに、タイヤ周方向にわたって前記センターブロックおよび前記センターラグ溝の各領域の少なくとも一方だけが占めるタイヤ幅方向領域の長さをBdとしたとき、L1およびBdのいずれか短い方に対するDmの比は、0.1以上である、請求項1から9のいずれか1項に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記ショルダー細溝の長さをL4とし、前記ショルダーブロックのタイヤ周方向の最小長さをL5としたとき、比L4/L5は1.0以上1.2以下である、請求項11に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記トレッドパターンは、前記センターブロックのトレッド表面における中心点を基準として点対称である、請求項1から12のいずれか1項に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のタイヤでは、耐発熱性および耐偏摩耗性を両立させることができない。
本発明は、耐発熱性および耐偏摩耗性を両立できる重荷重用空気入りタイヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、トレッドパターン付き重荷重用空気入りタイヤであって、
タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられ、タイヤ赤道線を横切るようにタイヤ赤道線を基準としたタイヤ幅方向の第1の側および第2の側の半トレッド領域に、タイヤ幅方向及びタイヤ周方向に対して傾斜した向きに延びて両端を有する直線形状のセンターラグ溝と、
前記半トレッド領域のそれぞれにおいて、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられ、タイヤ幅方向外側に延びて、タイヤ幅方向外側の端がタイヤ幅方向の両側にある接地端に開口するショルダーラグ溝であって、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向内側の端のタイヤ幅方向の位置が、前記センターラグ溝の端のタイヤ幅方向の位置よりも外側にあり、かつ、タイヤ周方向において、前記センターラグ溝のうちタイヤ周方向に隣りあう隣接センターラグ溝の間に1つずつ設けられたショルダーラグ溝と、
前記半トレッド領域のそれぞれに設けられ、前記センターラグ溝の端と、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向の内側の端を交互に接続するように、タイヤ幅方向の外側に湾曲あるいは屈曲した第1溝曲がり部とタイヤ幅方向の内側に湾曲あるいは屈曲した第2溝曲がり部とが配置され、タイヤ周方向にわたって波形状に形成された一対の周方向主溝と、
前記隣接センターラグ溝と前記一対の周方向主溝によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成されたセンターブロックと、
前記センターブロックの領域を延びて、一方の端が前記周方向主溝および前記センターラグ溝のいずれかに開口し、他方の端が前記センターブロック内で閉塞する、前記ショルダーラグ溝の溝幅より溝幅が狭い1つまたは複数の第1のセンター細溝と、
前記センターブロックの領域を延びて、前記隣接センターラグ溝のそれぞれに開口し、前記ショルダーラグ溝の溝幅より溝幅が狭い第2のセンター細溝と、
を含む前記トレッドパターンをトレッド部に備え、
前記センターラグ溝および前記周方向主溝の溝幅は、前記ショルダーラグ溝の溝幅より狭いことを特徴とする。
【0007】
前記周方向主溝の最大溝深さは、前記センターラグ溝の最大溝深さよりも浅く、前記センターラグ溝の最大溝深さは、前記ショルダーラグ溝の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。
【0008】
前記第1のセンター細溝および前記第2のセンター細溝の最大溝深さをD1とし、前記周方向主溝の最大溝深さをD2としたとき、比D1/D2は0.05以上0.2以下であることが好ましい。
【0009】
前記センターブロックのタイヤ周方向長さをL1とし、前記第1のセンター細溝の溝長さをL2としたとき、比L1/L2は0.4以上0.9以下であることが好ましい。
【0010】
前記トレッドパターンは、複数の前記第1のセンター細溝として、溝長さがL2であるN本の前記第1のセンター細溝を含み、
前記センターブロックのタイヤ周方向長さをL1としたとき、比L1/(N×L2)は0.8以上3.0以下であることが好ましい。
【0011】
前記センターブロックのタイヤ周方向長さをL1とし、前記第2のセンター細溝の溝長さをL3としたとき、比L3/L1は1.8以上2.2以下であることが好ましい。
【0012】
前記一対の周方向主溝のそれぞれにおいて、溝深さが部分的に浅くなった底上げ部を備えることが好ましい。
【0013】
前記底上げ部において最も浅い溝深さをD3とし、前記トレッド部のタイヤ幅方向のトレッド幅をTとしたとき、比D3/Tは0.01以上0.05以下であることが好ましい。
【0014】
前記第2のセンター細溝は、前記半トレッド領域のそれぞれに、タイヤ赤道線に対してタイヤ幅方向外側に突出するように延びる凸曲がり部を1つ有していることが好ましい。
【0015】
前記センターブロック内における前記第1のセンター細溝と前記第2のセンター細溝との最短距離をDmとし、前記センターブロックのタイヤ周方向長さをL1とし、さらに、タイヤ周方向にわたって前記センターブロックおよび前記センターラグ溝の各領域の少なくとも一方だけが占めるタイヤ幅方向領域の長さをBdとしたとき、L1およびBdのいずれか短い方に対するDmの比は、0.1以上であることが好ましい。
【0016】
前記トレッドパターンは、さらに、
前記半トレッド領域のそれぞれにおいて、前記ショルダーラグ溝のうちタイヤ周方向に隣り合う一対の隣接ショルダーラグ溝、前記周方向主溝、および前記トレッド部のタイヤ幅方向の端によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成されたショルダーブロックと、
前記ショルダーブロックの領域を延びて、前記隣接ショルダーラグ溝のそれぞれに開口し、前記ショルダーラグ溝の溝幅より溝幅が狭いショルダー細溝と、を含むことが好ましい。
【0017】
前記ショルダー細溝の長さをL4とし、前記ショルダーブロックのタイヤ周方向の最小長さをL5としたとき、比L4/L5は1.0以上1.2以下であることが好ましい。
【0018】
前記トレッドパターンは、前記センターブロックのトレッド表面における中心点を基準として点対称であることが好ましい。
【0019】
前記周方向主溝および前記センターラグ溝の溝幅はそれぞれ7mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0020】
前記重荷重用空気入りタイヤは、建設用車両または産業用車両に装着される場合に好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の重荷重用空気入りタイヤによれば、耐発熱性および耐偏摩耗性を両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の重荷重用空気入りタイヤを詳細に説明する。
図1は、本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ(以降、タイヤともいう)1のタイヤ回転軸を含み、後で参照する
図2中のI−I線を通り、タイヤ径方向を含む平面でタイヤ1を切断したときのタイヤ1のプロファイルを示す。
本明細書でいう重荷重用空気入りタイヤとは、JATMA(日本自動車タイヤ協会規格) YEAR BOOK 2014のC章に記載されるタイヤの他に、D章に記載される1種(ダンプトラック、スクレーバ)用タイヤ、2種(グレーダ)用タイヤ、3種(ショベルローダ等)用タイヤ、4種(タイヤローラ)用タイヤ、モビールクレーン(トラッククレーン、ホイールクレーン)用タイヤ、あるいはTRA 2013 YEAR BOOKのSECTION 4 あるいは、SECTION 6に記載される車両用タイヤをいう。
タイヤ1は、骨格材として、カーカスプライ3と、ベルト部4と、一対のビードコア5とを有し、これらの骨格材の周りに、トレッド部6、サイド部7、ビードフィラー8、インナーライナ9等の各ゴム層を有する。
【0024】
ベルト部4は、一対の第1の交差ベルト層31、一対の第2の交差ベルト層33、および一対の第3の交差ベルト層35と、第2の交差ベルト層33のベルト層間に配されたシート状ゴム37とを含む。第1の交差ベルト層31、第2の交差ベルト層33、および第3の交差ベルト層35はそれぞれ、タイヤ周方向に対してベルトコードの向きが逆向きに傾斜した一対のベルト層であり、タイヤ径方向内側から外側にこの順で配されている。
【0025】
トレッド部6は、
図2に示されるトレッドパターン10を備えている。
図2は、タイヤ1のトレッドパターンを平面展開した図である。なお、
図2において、上下方向はタイヤ周方向であり、左右方向はタイヤ幅方向である。ここで、タイヤ周方向は、タイヤ回転中心軸を中心にタイヤ1を回転させたときにできるトレッド表面の回転面の回転方向である。タイヤ幅方向は、タイヤ1の回転中心軸方向である。タイヤ径方向は、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向と直交する方向である。トレッドパターンのタイヤの回転方向および車両装着時のタイヤ幅方向の向きは、特に指定されない。
【0026】
トレッドパターン10は、センターラグ溝11と、ショルダーラグ溝13と、一対の周方向主溝15と、センターブロック23と、ショルダーブロック27と、を含んでいる。
【0027】
センターラグ溝11は、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられている。センターラグ溝11は、タイヤ赤道線CLを横切るようにタイヤ赤道線CLを基準としたタイヤ幅方向の両側(第1の側および第2の側)の半トレッド領域Ta,Tbに、タイヤ幅方向およびタイヤ周方向に対して傾斜した向きに延びて両端11a、11aを有する。センターラグ溝11は、一対の周方向主溝15の後述する第2溝曲がり部15b同士を接続する。後述するように一対の周方向主溝15は互いに位相が異なって波形状に延びていることから、センターラグ溝11は、タイヤ幅方向に対し傾斜して延びている。センターラグ溝11は、直線形状の溝である。このため、センターラグ溝11が直線形状でない場合と比べ、センターブロック23のブロック剛性が均一化され、偏摩耗を抑制することができる。センターラグ溝11の溝幅は、ショルダーラグ溝13の溝幅よりも狭い。このため、走行時のセンターブロック23の接地圧が緩和され、タイヤ1の摩耗寿命が延びる。
【0028】
ショルダーラグ溝13は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれに、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられている。ショルダーラグ溝13は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、タイヤ幅方向外側に延びて、タイヤ幅方向の両側の接地端10a,10bのうち近接する方の接地端に開口する。
ここで、接地端10a,10bは以下のように定められる。接地端10a,10bは、タイヤ1を正規リムに組み付け、正規内圧を充填し、正規荷重の100%を負荷荷重とした条件において水平面に接地させたときの接地面のタイヤ幅方向端部である。なお、ここでいう正規リムとは、JATMAに規定される「測定リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、正規荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。なお、接地端10a,10bのタイヤ幅方向位置は、後述するトレッド幅の両端のタイヤ幅方向位置と一致している。
【0029】
タイヤ幅方向の両側に位置するショルダーラグ溝13において、一方の半トレッド領域に配置された1つのショルダーラグ溝13のタイヤ周方向の位置は、他方の半トレッド領域に配置された、隣接する2つのショルダーラグ溝13のタイヤ周方向の位置の間にある。
さらに、ショルダーラグ溝13は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、ショルダーラグ溝13が有するタイヤ幅方向内側の端13aのタイヤ幅方向の位置が、後述するセンターラグ溝11の端11aのタイヤ幅方向の位置よりもタイヤ幅方向の外側にあり、かつ、ショルダーラグ溝13は、タイヤ周方向において、センターラグ溝11のうちタイヤ周方向に隣りあう隣接センターラグ溝11の間に位置するショルダー領域に1つずつ設けられている。これにより、後述する周方向主溝15は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、センターラグ溝11の端11aとショルダーラグ溝13のタイヤ幅方向の内側の端13aを交互に接続して波形状を成す。ショルダーラグ溝13は、
図2において、溝が延びる方向に溝幅が変化しているが、一定であってもよい。
【0030】
周方向主溝15は、タイヤ赤道線CLを基準としたタイヤ幅方向の両側の半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれに設けられて、対をなしている。周方向主溝15は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、センターラグ溝11の端11aと、ショルダーラグ溝13のタイヤ幅方向内側の端13aを交互に接続するように、タイヤ幅方向の外側に湾曲あるいは屈曲した第1溝曲がり部15aと、タイヤ幅方向の内側に湾曲あるいは屈曲した第2溝曲がり部15bとが配置され、タイヤ周方向の全周にわたって波形状に形成されている。これにより、周方向主溝15は、タイヤ幅方向の外側に凸状をなして曲がる第1溝曲がり部15aでショルダーラグ溝13と接続し、タイヤ幅方向の内側に凸状をなして曲がる第2溝曲がり部15bでセンターラグ溝11と接続する。溝が波形状であるとは、溝が蛇行する形状をいう。周方向主溝15は、第1溝曲がり部15aおよび第2溝曲がり部15bをタイヤ周上に複数有し、これらを交互に接続して波形状をなすよう蛇行しながらタイヤ周方向に延びる。周方向主溝15が波形状であることで溝壁の表面積が増しており、放熱性が向上する。このため、耐発熱性が向上している。
【0031】
第1溝曲がり部15aおよび第2溝曲がり部15bは、屈曲形状であってもよく、丸まった湾曲形状であってもよく、屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものであってもよい。湾曲形状には、屈曲形状の頂部を例えば曲率半径を定めて丸めた形状も含まれる。屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものとは、溝曲がり部の頂部から一方の側が直線状に延びるとともに、頂部から他方の側が湾曲して延びたものをいう。溝曲がり部には、屈曲形状、湾曲形状、これらの組み合わせのうち、互いに同じ形状のものが用いられてもよく、互いに異なる種類の形状のものが用いられてもよい。また、周方向主溝15のうち溝曲がり部以外の部分は、直線形状であっても湾曲形状であってもよい。溝曲がり部と溝曲がり部以外の部分がともに湾曲形状である場合、2つの湾曲形状は同じ曲率半径の湾曲形状であってもよい。
【0032】
周方向主溝15は、
図2において、互いに同じ周期でかつタイヤ周方向に位相がずれて波形状に延びている。具体的に、第2溝曲がり部15bのタイヤ周方向の位置は、反対側の半トレッド領域の第2溝曲がり部15bに対してタイヤ周方向に位置ずれしている。なお、周方向主溝15は、互いに同じ周期でかつ位相が一致して波形状に延びていてもよく、また、互いに異なる周期で波形状に延びていてもよい。
周方向主溝15の溝幅は、ショルダーラグ溝13よりも溝幅が狭い。このため、走行時のセンターブロック23の接地圧が緩和され、タイヤ1の摩耗寿命が伸びる。
【0033】
センターブロック23は、センターラグ溝11と周方向主溝15によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成され、タイヤ赤道線CLが通過する。センターブロック23は、センターラグ溝11がタイヤ幅方向に対して傾斜していることで、タイヤ幅方向に対して傾斜している。
【0034】
ショルダーブロック27は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、ショルダーラグ溝13のうちタイヤ周方向に隣り合う一対の隣接ショルダーラグ溝13、周方向主溝15、および、トレッド部6のタイヤ幅方向の端(接地端)10a,10b、によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成されている。ショルダーブロック27は、
図2に示される例において、センターブロック23がタイヤ赤道線CLに対して傾斜する側と異なる側に傾斜している。
【0035】
本実施形態のトレッドパターン10は、以上の基本的な形態に加え、さらに、第1のセンター細溝20と、第2のセンター細溝17と、を備えていることを特徴とする。
【0036】
第1のセンター細溝20は、センターブロック23の領域を延びている。第1のセンター細溝20は、一方の端20bが周方向主溝15およびセンターラグ溝11のいずれかに開口し、他方の端20aがセンターブロック23内で閉塞する。第1のセンター細溝20の他方の端20aが閉塞していることでセンターブロック23の剛性を確保でき、偏摩耗の発生を抑制できるとともに、一方の端20bがセンターブロック23に隣接する他の溝に開口していることで空気の通り道が形成され、耐発熱性が向上する。このため、耐発熱性および耐偏摩耗性を両立できる。なお、第1のセンター細溝20の一方の端20bは、
図2に示される例において、周方向主溝15に開口しているが、後で参照する
図7に示されるようにセンターラグ溝11に開口していてもよい。また、第1のセンター細溝20は、ショルダーラグ溝13の溝幅より溝幅が狭い。第1のセンター細溝20は、
図2に示される例において、センターブロック23の領域内に合計2本配置されているが、センターブロック23の領域内に1本または合計3本以上配置されていてもよい。
【0037】
なお、
図2に示される例において、第1のセンター細溝20は、半トレッド領域Ta、Tbのそれぞれに、周方向主溝15に開口する一方の端20bを1つ有し、一方の端20bから、タイヤ赤道線CLと交差して他方の半トレッド領域内まで延びて閉塞している。また、第1のセンター細溝20は、
図2に示される例において、センターラグ溝11および第2のセンター細溝17の後述する中間領域17gと平行に延びているが、これらの溝と平行に延びていなくてもよい。また、第1のセンター細溝20は、
図2に示される例において、直線形状であるが、周方向主溝15の溝曲がり部15a,15bと同様の溝曲がり部を有していてもよい。また、第1のセンター細溝20は、
図2に示される例において、センターブロック23を二分する領域21,22のそれぞれに配置されているが、これらの領域21,22の一方にのみ配置されていてもよい。また、
図2に示される例において、2本の第1のセンター細溝20の一方の端20b同士を結ぶ仮想の直線は、センターブロック23がタイヤ赤道線CLに対して傾斜する側と異なる側に傾斜しているが、同じ側に傾斜していてもよい。
【0038】
第2のセンター細溝17は、センターブロック23の領域を延びている。このため、センターブロック23は、第2のセンター細溝17を挟む2つの領域21,22に分画されている。第2のセンター細溝17は、隣接センターラグ溝11のそれぞれに開口する開口端17a、17bを有している。このように第2のセンター細溝17の両端がセンターラグ溝11に開口していることで、センター領域(一対の周方向主溝15に挟まれた領域)における空気の通りが良くなり、耐発熱性が向上する。なお、第2のセンター細溝17は、
図2に示される例において、開口端17a、17bがタイヤ赤道線CL上を除くタイヤ幅方向位置に位置しているが、開口端17aおよび開口端17bの少なくとも一方がタイヤ赤道線CL上に位置していてもよい。より具体的に、第2のセンター細溝17は、
図2に示される例において、開口端17aと開口端17bは、互いに異なる半トレッド領域に位置し、タイヤ赤道線CLと交差しているが、同じ半トレッド領域またはタイヤ赤道線CL上に位置し、タイヤ赤道線CLと交差していなくてもよい。なお、開口端17a、17bがタイヤ赤道線CL上を除くタイヤ幅方向位置に位置し、かつ、第2のセンター細溝17が直線形状でない場合は、第2のセンター細溝17の溝体積を確保しやすく、耐発熱性を向上させることができる。
開口端17aと開口端17bが、互いに異なる半トレッド領域に位置する場合、タイヤ赤道線CLに対してセンターブロック23が傾斜するタイヤ幅方向の側と同じ側に、開口端17aと開口端17bとを結ぶ仮想の直線がタイヤ赤道線CLに対して傾斜するよう、開口端17aおよび開口端17bが位置することが好ましい。具体的に、開口端17aが半トレッド領域Tbに位置し、開口端17bが半トレッド領域Taに位置している形態よりも、
図2に示す例のように、開口端17aが半トレッド領域Taに位置し、開口端17bが半トレッド領域Tbに位置している形態が好ましい。これにより、第2のセンター細溝17の溝体積を十分に確保でき、耐発熱性を向上させることができる。
第2のセンター細溝17は、ショルダーラグ溝13の溝幅より溝幅が狭い。
【0039】
なお、第2のセンター細溝17は、
図2に示される例において、開口端17aが位置する半トレッド領域Taにおいて、開口端17aからタイヤ幅方向外側に延びる部分17c、および、開口端17bが位置する半トレッド領域Tbにおいて、開口端17bからタイヤ幅方向外側に延びる部分17d、を有しているが、開口端17a,17bからタイヤ周方向に延びていてもよく、また、開口端17a,17bからタイヤ赤道線CLに接近または接続するよう延びていてもよい。第2のセンター細溝17が上記部分17c、17dを有している場合は、タイヤ1が回転したときに接地圧が一定になり難くなるため、センターブロック23内の特定の位置に応力集中することを回避することができる。より具体的には、タイヤ1が回転したときにタイヤ幅方向において同じ位置が常に接地しない場合、つまり、接地しない位置がタイヤ幅方向で常に同じである場合、その位置に応力が集中し、早期摩耗が発生しやすくなるが、上記部分17c、17dがタイヤ幅方向の外側に延びていることで、タイヤ回転時に接地しない位置をタイヤ周方向に変動させ、応力が集中する位置を分散させることができる。特に、上記部分17c,17dが、タイヤ赤道線CLから遠ざかるようにタイヤ幅方向外側に延びていることで、タイヤ回転時に接地しない位置を、タイヤ幅方向のより広い範囲にわたって変動させることができる。
【0040】
なお、第1のセンター細溝20および第2のセンター細溝17の溝幅は、等しくてもよく、異なっていてもよい。また、第1のセンター細溝20は、
図2に示される例において、第2のセンター細溝17と接続していないが、第2のセンター細溝17と接続していてもよい。第1のセンター細溝20が複数ある場合に、第1のセンター細溝20同士が接続していてもよい。また、第1のセンター細溝20および第2のセンター細溝17は、隣接するセンターブロック23の第1のセンター細溝20または第2のセンター細溝17とセンターラグ溝11を挟んで連続して延びるよう形成されていてもよい。
【0041】
本実施形態のタイヤ1において、周方向主溝15の最大溝深さは、センターラグ溝11の最大溝深さよりも浅く、センターラグ溝11の最大溝深さは、ショルダーラグ溝13の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。このような溝深さの順であることで、タイヤ1の摩耗に伴って、トレッド表面から、周方向主溝15、センターラグ溝11の順に消失し、ショルダーラグ溝13が最後に残る。トレッド部6においてセンター領域は接地圧が高く、センターブロック23が繰り返し変形することで発熱しやすい。したがって、耐発熱性を改善するためには、センターラグ溝11の最大溝深さが周方向主溝15の最大溝深さ以上の大きさであることが好ましい。また、周方向主溝15の最大溝深さが大きすぎると、トレッド部6の剛性を十分に確保できず、摩耗寿命を伸ばし難くなるため、周方向主溝15の最大溝深さは、センターラグ溝11の最大溝深さより浅いことが好ましい。なお、最大溝深さとは、溝が延びる方向にわたり溝深さが一定でない場合は最大の溝深さをいい、一定である場合はその溝深さをいう。例えば、周方向主溝15が後述する底上げ部15cを備える場合、最大溝深さは、底上げされていない周方向主溝15の部分の溝深さである。
【0042】
本実施形態のタイヤ1において、第1のセンター細溝20および第2のセンター細溝17の最大溝深さは、周方向主溝15の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。第1のセンター細溝20および第2のセンター細溝17は、最大溝深さが周方向主溝15の最大溝深さよりも浅いことで、タイヤ1が摩耗すると、
図3(b)に示されるように、周方向主溝15よりも早く消失する。
図3(b)は、摩耗初期よりも摩耗が進行したタイヤのトレッドパターンを示す図である。
図3(a)は、摩耗初期におけるタイヤのトレッドパターンを示す図である。摩耗初期とは、最も溝深さの浅い溝がまだ消失していないタイヤ1の摩耗段階をいい、タイヤ1の新品時を含む。
特に、本実施形態のタイヤ1は、第1のセンター細溝20および第2のセンター細溝17の最大溝深さをD1とし、周方向主溝15の最大溝深さをD2としたとき、比D1/D2が0.05以上0.2以下であることがより好ましい。比D1/D2が0.2を超えると、センターブロック23の剛性が低下して偏摩耗が発生しやすく、また、センターブロック23のゴム量が不足して耐摩耗性が低くなる場合がある。また、比D1/D2が0.05未満であると、摩耗初期に第1のセンター細溝20および第2のセンター細溝17が空気の通り道として十分機能せず、耐発熱性が改善され難い。比D1/D2は、より好ましくは0.1以上0.2以下である。なお、トレッドパターン10に含まれる各溝に関して、単に溝深さという場合は、最大溝深さを指す。また、I−I線で切断した断面において、周方向主溝15には、後述する底上げ部15cが位置する部分が表れるが、説明の便宜のため、
図1では、底上げ部15cの溝深さD3(後述)の代わりに、周方向主溝15の最大溝深さD2を示す。
第1のセンター細溝20および第2のセンター細溝17の最大溝深さは、
図1に示される例では、互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。
【0043】
本実施形態のタイヤ1において、
図4に示されるように、センターブロック23のタイヤ周方向長さをL1とし、第1のセンター細溝20の溝長さをL2としたとき、比L1/L2は0.4以上0.9以下であることが好ましい。比L1/L2が0.4以上であることで、センターブロック23の領域において第1のセンター細溝20の溝体積が十分に確保され、耐発熱性を改善できる。また、比L1/L2が0.9以下であることで、センターブロック23の剛性を確保し、耐偏摩耗性の低下が抑えられる。比L1/L2は、より好ましくは0.5以上0.8以下である。
【0044】
本実施形態のタイヤ1において、
図4に示されるように、トレッドパターン10は、複数の第1のセンター細溝20として、溝長さがL2であるN本の第1のセンター細溝20を含み、センターブロック23のタイヤ周方向長さをL1としたとき、比L1/(N×L2)は0.8以上3.0以下であることが好ましい。比L1/(N×L2)が0.8未満であると、ブロック剛性が低下し、偏摩耗による早期摩耗が起きる。比L1/(N×L2)が3.0を超えると、センターブロック23内の溝体積が十分でなく、耐発熱性を改善できない。比L1/(N×L2)は、より好ましくは、0.9以上2.9以下である。なお、第1のセンター細溝20の溝長さL2は、
図4に示される例において互いに等しいが、異なっていてもよい。L2が互いに異なる場合であっても、上記比の範囲を満たすことが好ましい。また、Nの数は、3以上であってもよい。
【0045】
本実施形態のタイヤ1において、
図4に示されるように、第2のセンター細溝17の溝長さをL3とし、センターブロック23のタイヤ周方向長さをL1としたとき、比L3/L1は1.8を超え2.2以下であることが好ましい。
図4には、
図2と同じトレッドパターンが示されている。なお、L1は、
図4に示される例では、センターラグ溝11が位置するタイヤ幅方向領域と同じタイヤ幅方向領域では一定であるが、例えば、隣接センターラグ溝11が互いに平行でない場合は、その最大長さをいう。比L3/L1が1.8を超えることで、センターブロック23の領域内の溝体積が十分に確保され、耐発熱性を向上させることができる。一方、比L3/L1が1.8を超えていても、第2のセンター細溝17の最大溝深さが周方向主溝15の最大溝深さより浅い場合は、上述したように摩耗によって第2のセンター細溝17が比較的早期に消失するため、センターブロック23の剛性の低下は抑えられる。つまり、比L3/L1が1.8を超えることで、ゴム量の多い摩耗初期における耐発熱性が向上するとともに、第2のセンター細溝17の最大溝深さが周方向主溝15の最大溝深さよりも浅い場合は、摩耗寿命を伸ばすことできる。比L3/L1が1.8以下であると、第2のセンター細溝17が空気の通り道として十分に機能し難くなる。また、比L3/L1が2.2以下であることで、センターブロック23の剛性低下による偏摩耗の発生を抑制できる。比L3/L1が2.2を超えると、センターブロック23の剛性が低下して、偏摩耗が発生する場合がある。比L3/L1は、より好ましくは、1.9以上2.1以下である。
【0046】
本実施形態のタイヤ1は、
図5に示されるように、周方向主溝15のそれぞれにおいて、溝が部分的に浅くなった底上げ部15cを備えることが好ましい。
図5は、
図2中のV−V線を通り、タイヤ径方向を含む平面でタイヤ1を切断したときのトレッド部の一部のプロファイルを示す。底上げ部15cは、第1溝曲がり部15aおよび第2溝曲がり部15bが配置された位置と対応して溝底が底上げされている。このように、周方向主溝15が、センターラグ溝11およびショルダーラグ溝13と接続する位置において底上げ部15cを備えることによって、隣り合うセンターブロック23とショルダーブロック27が支えあってブロックの倒れこみが抑制されることで、ブロック剛性が適度な大きさになる。これにより、偏摩耗による早期摩耗を抑制できる。なお、隣接する底上げ部15c同士の間を延びる周方向主溝15の中間領域は、溝深さが深いことで溝体積が確保され、耐発熱性が改善される。
底上げ部15cは、図示されるように一定の溝深さD3を有していてもよく、溝深さが一定でなくてもよい。なお、溝深さD3は、底上げ部15cにおける最も浅い溝深さをいい、周方向主溝15の最小溝深さである。底上げ部15cは、
図5に示される例において、第1溝曲がり部15aおよび第2溝曲がり部15bと対応する位置に形成されているが、上記中間領域に形成されていてもよい。
【0047】
さらに、底上げ部15cにおける最も浅い溝深さD3及びトレッド部6のタイヤ幅方向のトレッド幅Tに関して、比D3/Tは0.01以上0.05以下であることが好ましい。トレッド幅Tは、トレッド部6のタイヤ幅方向の両端(接地端10a,10b)の間の外形形状に沿ったペリフェリ長をいう。比D3/Tが0.05以下であることにより、センターブロック23とショルダーブロック27が支えあうことでブロックの剛性がより適度な大きさになり、偏摩耗による早期摩耗を抑えることができる。また、比D3/Tが0.01以上であることにより、溝内の空気の通りが悪くなるのを回避できる。比D3/Tは、より好ましくは0.02以上0.04以下である。
【0048】
本実施形態のタイヤ1は、第2のセンター細溝17は、半トレッド領域Ta、Tbのそれぞれに、タイヤ赤道線CLに対してタイヤ幅方向外側に突出するように延びる凸曲がり部18aまたは18bを1つ有していることが好ましい。凸曲がり部18a,18bは、第2のセンター細溝17のうち、トレッド表面において溝の向きが変わることで曲がった部分であり、具体的に、屈曲形状であってもよく、丸まった湾曲形状であってもよく、屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものであってもよい。湾曲形状には、凸曲がり部18a,18bの全体を曲率半径を定めて丸めた形状や、
図2に示される例のように、屈曲形状の頂部17e,17f(
図2参照)を例えば曲率半径を定めて丸めた形状も含まれる。屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものとは、凸曲がり部18a,18bの頂部17e,17fの一方の側が直線状に延びるとともに、頂部17e,17fから他方の側が湾曲して延びたものをいう。凸曲がり部18a,18bには、屈曲形状、湾曲形状、これらの組み合わせのうち、互いに同じ形状のものが用いられてもよく、互いに異なる種類の形状のものが用いられてもよい。また、第2のセンター細溝17のうち凸曲がり部18a,18b以外の部分は、直線形状であっても湾曲形状であってもよい。
図2に示される例において、凸曲がり部18a,18b以外の部分は、直線形状である。凸曲がり部18a,18bと凸曲がり部18a,18b以外の部分がともに湾曲形状である場合、2つの湾曲形状は同じ曲率半径の湾曲形状であってもよい。
なお、凸曲がり部18aと凸曲がり部18bは、
図2に示される例において、タイヤ赤道線CLと交差するよう直線状に延びる中間領域17gを介して接続されている。
第2のセンター細溝17が凸曲がり部18a,18bを有していることで、第2のセンター細溝17によって二分された領域21,22のブロック剛性のそれぞれが適切なものとされ、偏摩耗の発生が抑制される。また、センターブロック23の領域に溝体積が十分に確保され、耐発熱性が向上する。凸曲がり部が、第2のセンター細溝17内に1つだけ配置される場合、または、一方の半トレッド領域にだけ配置される場合は、ブロック剛性の偏りが生じ、偏摩耗が発生しやすくなる。
【0049】
本実施形態のタイヤ1において、
図6に示されるように、センターブロック23内における第1のセンター細溝20と第2のセンター細溝17との最短距離をDmとし、センターブロック23のタイヤ周方向長さをL1とし、さらに、タイヤ周方向にわたってセンターブロック23およびセンターラグ溝11の各領域の少なくとも一方だけが占めるタイヤ幅方向領域の長さをBdとしたとき、L1およびBdのいずれか短い方に対するDmの比は、0.1以上であることが好ましい。この比が0.1以上であることで、第1のセンター細溝20および第2のセンター細溝17同士が接近し過ぎることがなく、局部的にセンターブロック23の剛性が低下する領域が生じることを回避でき、偏摩耗の発生を抑えることができる。Dmは、
図6に示される例では、第1のセンター細溝20の閉塞する端20aと、第2のセンター細溝17のうちの部分17dとの最短距離であるが、これに制限されず、例えば、互いに平行に延びる、第1のセンター細溝20、および、第2のセンター細溝17の中間領域17gとの距離であってもよい。L1およびBdのいずれか短い方に対するDmの比は、より好ましくは0.15以上である。
【0050】
本実施形態のタイヤ1は、トレッドパターン10は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、
図2に示されるように、ショルダーブロック27の領域を延びて、隣接ショルダーラグ溝13のそれぞれに開口し、ショルダーラグ溝13の溝幅より溝幅が狭いショルダー細溝19を含むことが好ましい。ショルダーブロック27の領域に両端がショルダーラグ溝13に開口するショルダー細溝19が設けられていることで、トレッド部6の表面積が増加し、かつ、空気の通りが良好になることによって、耐発熱性が向上する。また、ショルダー細溝19の溝幅は、ショルダーラグ溝13の溝幅よりも狭い。なお、ショルダーブロック27は、ショルダー細溝19によって二分された2つの領域25,26を含む。
ショルダー細溝19は、
図2に示される例では、直線形状であるが、直線形状でなくてもよく、例えば、周方向主溝15の溝曲がり部15a,15bと同様の溝曲がり部を有していてもよい。ショルダー細溝19は、
図2に示される例では、タイヤ周方向に延びているが、タイヤ周方向に対して傾斜して延びていてもよい。タイヤ周方向に隣接する隣接ショルダー細溝19は、
図2に示されるように、ショルダーラグ溝13に対して同じタイヤ幅方向位置で接続してもよく、また、異なるタイヤ幅方向位置で接続してもよい。
【0051】
本実施形態のタイヤ1において、ショルダー細溝19の長さをL4とし、ショルダーブロックのタイヤ周方向の最小長さをL5としたとき、比L4/L5は1.0以上1.4以下であることが好ましい。比L4/L5が1.0以上であることによって、少なくともL5が最小となる位置においてショルダー細溝19が隣接ショルダーラグ溝13の両方に開口する。また、比L4/L5が1.4以下であることによって、ショルダーブロック27のブロック剛性の低下による偏摩耗を抑制することができる。なお、ショルダーブロック27のタイヤ周方向の長さは、タイヤ幅方向に、一定であってもよく、
図2に示される例のように、一定でなくてもよい。なお、
図2に示される例において、L5は、ショルダーブロック27においてタイヤ周方向長さが最小となるタイヤ幅方向位置でのタイヤ周方向長さである。
【0052】
本実施形態のタイヤ1において、トレッドパターン10は、センターブロック23のトレッド表面における中心点P(
図2参照)を基準として点対称であることが好ましい。トレッドパターン10がこのような形態を有していることにより、タイヤ幅方向の両側で剛性が均一化され、偏摩耗を抑制することができる。点対称でない場合は、剛性の偏りが生じ、偏摩耗が発生しやすくなる。なお、このトレッドパターン10では、センターブロック列において、センターブロック23が互いに同一の形態を有している。
【0053】
本実施形態のタイヤ1において、周方向主溝15およびセンターラグ溝11の溝幅はそれぞれ7mm以上20mm以下であることが好ましい。周方向主溝15およびセンターラグ溝11の溝幅の大きさは、例えば18mmである。なお、周方向主溝15およびセンターラグ溝11の溝幅が上記範囲にあることは、タイヤ1がオフロードタイヤとして用いられる場合に好適である。この場合において、第2のセンター細溝17およびショルダー細溝19の溝幅はそれぞれ7mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0054】
本実施形態のタイヤ1は、建設用車両または産業用車両に装着される場合に好適である。建設用車両または産業用車両は、例えば、JATMAに記載されるダンプトラック、スクレーバ、グレーダ、ショベルローダ、タイヤローラ、ホイールクレーン、トラッククレーン、または、TRAに規定される「COMPACTOR」、「EARTHMOVING」、「GREADER」、「LOADER AND DOZER」等の車両を含む。
【0055】
本実施形態のタイヤ1は、変形例として、
図2に示される例に代えて、
図7または
図8に示されるトレッドパターン10を有していていもよい。
図7および
図8は、いずれも、
図2のトレッドパターンの変形例を示す図である。
図7および
図8において、
図2に示すトレッドパターン10に含まれる要素と対応する要素には、
図2で用いたのと同じ参照符号を用いている。
図7において、凸曲がり部18a,18bは、直線状に延びる中間領域17gを間に挟んだ2つの屈曲形状の部分を有しており、これらのうちタイヤ幅方向のより外側に位置する方の屈曲形状の部分が頂部17e,17fである。また、
図8において、凸曲がり部18a,18bは、全体が曲率半径を定めて丸めた形状であり、円弧上の中点が頂部17e,17fである。
【0056】
本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ1によれば、センターラグ溝11が直線形状であることで、タイヤ周方向に隣接するセンターブロック23のブロック剛性が均一化され、偏摩耗を抑制することができる。また、隣接センターラグ溝11に開口する第2のセンター細溝17を有していることで、センター領域における空気の通りが良くなり、耐発熱性が向上する。また、第1のセンター細溝20の他方の端20aが閉塞していることでセンターブロック23の剛性を確保でき、偏摩耗の発生を抑制できるとともに、一方の端20bがセンターブロック23に隣接する他の溝に開口していることで空気の通り道が形成され、耐発熱性が向上する。このため、耐発熱性および耐偏摩耗性を両立できる。
【0057】
周方向主溝15の最大溝深さが、センターラグ溝11の最大溝深さよりも浅く、センターラグ溝11の最大溝深さが、ショルダーラグ溝13の最大溝深さよりも浅い場合は、耐発熱性を改善できるとともに、トレッド部6の剛性を十分に確保でき、摩耗寿命を伸ばすことができる。
【0058】
比D1/D2が0.2以下である場合は、センターブロック23の剛性の低下を抑え偏摩耗の発生を抑えられるとともに、センターブロック23のゴム量を確保して耐摩耗性の低下を抑えることができる。また、比D1/D2が0.05以上である場合は、摩耗初期に第2のセンター細溝17が空気の通り道として十分機能し、耐発熱性を改善することができる。
【0059】
比L1/L2が0.4以上である場合は、センターブロック23の領域において第1のセンター細溝20の溝体積が十分に確保され、耐発熱性を改善できる。また、比L1/L2が0.9以下であることで、センターブロック23の剛性を確保し、耐偏摩耗性の低下が抑えられる。
【0060】
比L1/(N×L2)は0.8以上3.0以下であることが好ましい。比L1/(N×L2)が0.8未満であると、ブロック剛性が低下し、偏摩耗による早期摩耗が起きる。比L1/(N×L2)が3.0を超えると、センターブロック23内の溝体積が十分でなく、耐発熱性を改善できない。
【0061】
比L3/L1が1.8を超える場合、センターブロック23の領域内の溝体積が十分に確保され、耐発熱性を向上させることができる。一方、比L3/L1が1.8を超えていても、第2のセンター細溝17の最大溝深さが周方向主溝15の最大溝深さより浅い場合は、摩耗によって第2のセンター細溝17が比較的早期に消失するため、センターブロック23の剛性の低下は抑えられる。つまり、比L3/L1が1.8を超えることで、ゴム量の多い摩耗初期における耐発熱性が向上するとともに、第2のセンター細溝17の最大溝深さが周方向主溝15の最大溝深さよりも浅い場合は、摩耗寿命を伸ばすことができる。比L3/L1が1.8以下であると、第2のセンター細溝17が空気の通り道として十分に機能し難くなる。また、比L3/L1が2.2以下であることで、センターブロック23の剛性低下による偏摩耗の発生を抑制できる。
【0062】
周方向主溝15のそれぞれにおいて、溝が部分的に浅くなった底上げ部15cを備える場合、隣り合うセンターブロック23とショルダーブロック27が支えあってブロックの倒れこみが抑制されることで、ブロック剛性が適度な大きさになる。これにより、偏摩耗による早期摩耗を抑制できる。
【0063】
比D3/Tが0.05以下である場合、センターブロック23とショルダーブロック27が支えあうことでブロックの剛性がより適度な大きさになり、偏摩耗による早期摩耗を抑えることができる。また、比D3/Tが0.01以上であることにより、溝内の空気の通りが悪くなるのを回避できる。
【0064】
第2のセンター細溝17が凸曲がり部18a,18bを有している場合、第2のセンター細溝17によって二分された領域21,22のブロック剛性のそれぞれが適切なものとされ、偏摩耗の発生が抑制される。また、センターブロック23の領域に溝体積が十分に確保され、耐発熱性が向上する。
【0065】
L1およびBdのいずれか短い方に対するDmの比が0.1以上である場合、第1のセンター細溝20および第2のセンター細溝17同士が接近し過ぎることがなく、局部的にセンターブロック23の剛性が低下する領域が生じることを回避でき、偏摩耗の発生を抑えることができる。
【0066】
トレッドパターン10がショルダー細溝19を含む場合は、トレッド部6の表面積が増加し、かつ、空気の通りが良好になることによって、耐発熱性が向上する。
【0067】
比L4/L5が1.0以上である場合、少なくともL5が最小となる位置においてショルダー細溝19が隣接ショルダーラグ溝13の両方に開口する。また、比L4/L5が1.4以下である場合、ショルダーブロック27のブロック剛性の低下による偏摩耗を抑制することができる。
【0068】
センターブロック23のトレッド表面における中心点Pを基準として点対称である場合、タイヤ幅方向の両側で剛性が均一化され、偏摩耗を抑制することができる。
【0069】
周方向主溝15およびセンターラグ溝11の溝幅はそれぞれ7mm以上20mm以下である場合は、オフロードタイヤとして用いられる場合に好適である。
【0070】
本実施形態のタイヤ1は、建設用車両または産業用車両に装着される場合に好適である。
【0071】
(実施例)
本実施形態のタイヤの効果を調べるために、表1〜6に示されるようにトレッドパターンの異なるタイヤを種々試作し(実施例1〜24、比較例1および2)、トレッドセンター領域の耐発熱性と、耐偏摩耗性とを調べた。なお、表1〜6に示した仕様以外のタイヤの仕様は、
図2のトレッドパターンの仕様を用いた。
試作したタイヤのサイズはいずれも、33.00R51である。サイズ51×24−5.0のリムに装着し、700kPa(TRA規格最大空気圧)を試験条件として、耐発熱性試験及び耐偏摩耗試験を行なった。
【0072】
(耐発熱性)
試作したタイヤを室内ドラム試験機に取り付け、TRA規格最大荷重(38,750kg)の110%の負荷荷重の条件で、速度5km/時にて走行し、12時間ごとに速度を1km/時ずつ増加させ、タイヤが破壊するまでの走行時間を測定した。その結果を、比較例1を100とする指数で表した。指数が大きいほど耐発熱性に優れている。
【0073】
(耐偏摩耗性)
試作したタイヤを実車に装着して、TRA規格最大荷重(38,750kg)の試験条件で鉱山のオフロード路面の走行試験を行い、3000時間以上の同時間走行したときに生じた偏摩耗の程度を観測し、比較例1を100とする指数で表した。偏摩耗としては、トレッド表面に発生したタイヤ周方向での最大の段差を観測した。指数が大きいほど耐偏摩耗性が優れている。
以上の結果、耐発熱性および耐偏摩耗性の指数がいずれも100以上であって、かつ、指数の合計が206以上である場合を、耐発熱性および耐偏摩耗性を両立することができたと評価した。
なお、表1〜6において、比「Dm/(BdまたはL1)」は、上述した、BdおよびL1のいずれか短い方に対するDmの比を表す。
【0075】
表1に示されるように、一対の周方向主溝を有し、直線形状のセンターラグ溝を有し、両端が隣接センターラグ溝に開口する第2のセンター細溝を有し、かつ、一端が周方向主溝およびセンターラグ溝のいずれかに開口し、他端が閉塞する第1のセンター細溝を有している場合(実施例1)は、耐発熱性および耐偏摩耗性を両立できた。これに対し、一端が周方向主溝およびセンターラグ溝のいずれかに開口し、他端が閉塞する第1のセンター細溝を有していない場合(比較例2)は、耐発熱性および耐偏摩耗性を両立する程度に、耐発熱性および耐偏摩耗性が向上しなかった。
【0077】
表1および表2からわかるように、比D1/D2が0.05以上0.2以下である場合(実施例2、3)は、D1/D2が0.2を超える場合(実施例1)と比べ、耐偏摩耗性は向上し、耐発熱性は少なくとも維持された。
また、表2にからわかるように、比L1/L2が0.4以上0.9以下である場合(実施例4〜6)は、比L1/L2が0.4未満である場合(実施例2)と比べ、耐偏摩耗性は少なくとも維持され、耐発熱性は向上した。また、比L1/L2が0.9を超える場合(実施例7)と比べ、耐偏摩耗性が向上した。
【0079】
表2および表3からわかるように、比L1/(N×L2)が0.8以上3.0以下である場合(実施例8〜10)は、比L1/(N×L2)が0.8未満である場合(実施例5)と比べて、耐偏摩耗性が少なくとも維持され、耐発熱性は向上した。また、比L1/(N×L2)が3.0を超える場合(実施例11)と比べ、耐偏摩耗性が向上した。
【0081】
表3および表4からわかるように、比L3/L1が1.8以上2.2以下である場合(実施例12〜14)、比L3/L1が1.8未満である(実施例9)と比べ、耐発熱性および耐偏摩耗性はいずれも向上した。また、比L3/L1が2.2を超える場合(実施例15)と比べ、耐偏摩耗性は向上し、耐熱性は維持された。
【0083】
表4および表5からわかるように、D3/Tが0.01以上0.05以下である場合(実施例16,17)は、D3/Tが0.05を超える場合(実施例13)と比べ、耐偏摩耗性は向上し、耐発熱性は少なくとも維持された。
また、表5からわかるように、第2のセンター細溝が、各半トレッド領域に凸曲がり部を有している場合(実施例18)は、第2のセンター細溝が、各半トレッド領域に凸曲がり部を有していない場合(実施例16)と比べ、耐発熱性および耐偏摩耗性はいずれも向上した。なお、各半トレッド領域に凸曲がり部を有しない態様として、一方の半トレッド領域にのみ凸曲がり部を有する態様を採用した。
比Dm/(BdまたはL1)が0.1以上である場合(実施例19)は、比Dm/(BdまたはL1)が0.1未満である場合(実施例18)と比べ、耐偏摩耗性が向上した。なお、実施例18および19において、BdがL1よりも短いとし、比Dm/(BdまたはL1)として比Dm/L1を用いた。
【0085】
表6からわかるように、比L4/L5が1.0以上1.2以下である場合(実施例21〜22)は、比L4/L5が1.0未満である場合(実施例20)、および、比L4/L5が1.2を超える場合(実施例23)と比べ、耐発熱性および耐偏摩耗性はいずれも向上した。
また、トレッドパターン10が点対称である場合(実施例24)は、点対称でない場合(実施例22)と比べ、耐発熱性および耐偏摩耗性はいずれも向上した。なお、なお、トレッドパターンが点対称でない態様として、両半トレッド領域のパターンが互いに異なっている態様を採用した。
【0086】
以上、本発明の重荷重用空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。