(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
はじめに、既存の光変調器チップと、光変調器および光モジュールの構成について説明しておく。本発明では、光変調器チップとしてLNチップを例に説明する。
【0012】
図1は、既存の光変調器の構成例を示す平面図である。光変調器100は、筐体(パッケージ)101内部に、強誘電体、例えば、LNの基板材料からなるLNチップ(光変調器チップ)102と、パッケージ101の外部から入力される電気信号をLNチップ102に中継接続する中継基板103と、電気信号の終端部分のLNチップ102部分に設けられる終端抵抗やバイアスT等の部品104と、LNチップ102に光を入出射させるための光ファイバ105等、を含み構成される。この光変調器100は、光モジュールの送信部として設けられる。
【0013】
光モジュールは、LD(Laser Diode)と、光変調器100と、光信号を入出力するレンズや光ファイバ等の光学系と、光変調等の動作を制御する制御部等を有し、光源が出射する光を光変調器100に入射させ、光変調器100が送信する電気信号を光変調し、光ファイバ等の伝送路上に出力する。光モジュールは、さらに光伝送路の光信号を受信する受信側の構成(例えば、受信部や光復調部等)を有してもよい。光モジュールが送信側および受信側を有する場合、送信部と受信部を統括制御する制御部をさらに設けてもよい。
【0014】
LNチップ102には、光源から入射される光を入射端102aから出射端102bまで所定長さで導波する光導波路111(図中点線)が設けられ、光導波路111部分で光変調された光信号は、他端102bから伝送路に向けて出力される。なお、LNチップ102の入射端102aと出射端102bは斜めにカットされ、光ファイバ105などに接続される。また、レンズ系などの接続の場合は光導波路111の入射端102a、および出射端102b部分にはARコート等の反射低減処理が行われて入射および出射する光の反射率を低減させている。
【0015】
図1の構成例では、光導波路111は、長さ方向(光の進行方向)で2分岐されており、それぞれの光導波路111の長さ方向に沿って線状の信号電極121が設けられている。また、信号電極121の両側部には信号電極121よりも幅広なグランド電極(接地電極)122が設けられている。光導波路111に沿って設けられる信号電極121(およびグランド電極122)の部分が光変調の相互作用部として機能し、送信したい電気信号のデータを信号電極121に出力することで、光導波路111の相互作用部で光信号に変換(光変調)される。
【0016】
図1の構成例では、LNチップ102の信号電極121(およびグランド電極122)の一端(電極接続部分A)には、中継基板103が設けられる。
図1では不図示であるが、LNチップ102の信号電極121(およびグランド電極122)の他端には、終端抵抗が設けられる。
【0017】
中継基板103は、LNチップ102の信号電極121およびグランド電極122部分に対向して配置される。中継基板103には、LNチップ102の信号電極121に接続される信号電極131と、LNチップ102のグランド電極122に接続されるグランド電極132が設けられる。これら対向するLNチップ102の端面と中継基板103の端面は、それぞれ上述したカット工程により形成され、互いの端面を接合あるいは所定の隅間を有して配置される。
【0018】
そして、LNチップ102の信号電極121と、中継基板103の信号電極131とはワイヤボンディングによるワイヤ140を介して電気的に接続される。LNチップ102のグランド電極122についても、ワイヤ140を介して中継基板103のグランド電極132に電気的に接続される。中継基板103の電極接続部分Aと反対側の部分(パッケージ101部分)には接栓(コネクタ)142がはんだ等で設けられ、中継基板103の信号電極131とグランド電極132に接続された同軸等のコネクタ142を介して電気信号(データ)が入力される。
【0019】
光変調器100のパッケージ101内部には、このほかに、LNチップ102の下面に均熱板およびペルチェ素子等からなる温度調節構造、温度検出器、光信号のパワーを検出する受光器(PD)等が設けられる。制御部は、電気信号(データ)の入力、光源の発振光、光変調器(バイアス電流等)の各種制御を行う。このほか制御部は、温度検出器で検出された温度に基づき温度調節構造を制御して一定温度制御等を行う。
【0020】
図2は、
図1に示した光変調器チップと中継基板との電極接続部分の拡大図である。
図1の電極接続部分Aを拡大した図である。LNチップ102の電極の一端の信号電極121は、相互作用部での幅に対し電極接続部分Aが幅広に形成されており、図示のように幅広となる変換部(テーパー部)121aを有する。信号電極121の両側部に設けられるグランド電極122は、信号電極121のテーパー部121aに対応し、一定の特性インピーダンス(例えば50Ω)を維持するようテーパー部122aが形成される。
【0021】
信号電極121のテーパー部121aは、LNチップ102の端部(電極の一端)に向かうにつれ徐々に幅広に形成され、グランド電極122のテーパー部122aは、LNチップ102の端部(電極の一端)に向かうにつれ徐々に幅狭に形成されている。
【0022】
そして、LNチップ102の信号電極121の端部と、中継基板103の信号電極131とはワイヤボンディングによるワイヤ140を介して電気的に接続される。LNチップ102のグランド電極122についても、ワイヤ140を介して中継基板103のグランド電極132に電気的に接続される。
【0023】
図1の例では、LNチップ102の信号電極121の端部と、中継基板103の信号電極131とは1本のワイヤ140で接続され、LNチップ102のグランド電極122の端部と、中継基板103のグランド電極132とは複数本(2〜3本)のワイヤ140で接続されている。ワイヤ140の本数は、電極接続部分Aの大きさに応じて任意に変更可能である。
【0024】
ここで、このワイヤ140のワイヤ長をできるだけ短くすることにより、高い周波数特性を得ることができる。このためには、LNチップ102の信号電極121の端部と、中継基板103の信号電極131の端部との間のギャップdをできるだけ狭く(近接)させることが有効である。この際、LNチップ102のグランド電極122の端部と、中継基板103のグランド電極132の端部との間についても同様のギャップdをできるだけ狭く(近接)させることが有効となる。
【0025】
図3は、既存の光変調器チップに生じるチッピングを説明する平面図である。
図3(a)は、上述したLNチップ102部分を示し、光導波路111は便宜上省略してある。
図3(b)は、LNチップ102の電極接続部分Aの拡大図であり、ワイヤ140は省略してある。
【0026】
製造プロセスにおいて、LNチップ102をカットする際には、LNチップ102の長さ方向のカット面102c,102dにある確率でチッピング301が生じる。チッピング301は、LNチップ102側面に様々な長さL1と深さD1で、発生するが、この深さ方向D1が大きいと電極部に掛かり、電極剥離等の問題を引き起こす。
【0027】
現在は、このようなチッピング301の発生が防げない。このため、信号電極121の端部121b、及び122bの位置をLNチップ102のカット面102cに対しチッピング301が発生しても電極に掛からないよう、通常製造プロセスの最大値の深さD1(数十μm)以上のギャップ(隙間)dを有して形成している。信号電極121の端部121bの幅L0は、例えば100μmである。
【0028】
このため、電極接続部分Aにおいて、LNチップ102と中継基板103との間はチッピング301の深さD1以上のギャップdを有して離れる。良好な高周波特性を得るためには、中継基板103の電極131,132と、LNチップの電極121,122の距離をできるだけ短くすることが有効であるが、このギャップdを設けることによりLNチップ102の端面(カット面102c)に中継基板103の端面を接合させた場合において、互いの電極はギャップd以上で離れるため、周波数特性(高周波特性)を向上できない。加えてLNチップ102と中継基板103との間に隙間を有する場合、さらに互いの電極同士は離れることになり高周波特性は劣化する。
【0029】
発明者らは、電極接続部分Aのギャップ(隙間)をより短くする(LNチップ102の端面に近づける)ことで、ワイヤ140のワイヤ長を短くし、周波数特性を改善できることに着目した。以下、本発明の各実施の形態について説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図4は、実施の形態1にかかる光変調器チップを示す平面図である。
図4(a)はLNチップ102全体を示し、
図4(b)は、電極接続部分Aを拡大した図である。実施の形態1では、中継基板103に面するLNチップ102の電極接続部分Aのみ、中継基板103との間のギャップが狭くなるように信号電極121の端部121bの位置をLNチップ102の端部(カット面102c)に近づける。
【0031】
すなわち、グランド電極122の端部122bとLNチップ102の端部(カット面102c)とのギャップはdとする。そして、信号電極121の端部121bとLNチップ102の端部(カット面102c)との間のギャップ(隙間)d1は、グランド電極122のギャップdよりも小さくする。
【0032】
信号電極121のパッド(端部121b)の幅L0(例えば100μm)であり、LNチップ102は、例えば、長さが40mm〜50mm程度、幅が1mm程度である。そして、信号電極121のパッド(端部121b)の幅L0は、例えば100μmであり、残りの部分はほとんどがグランド電極122である。
【0033】
このように細長いLNチップ102の長さ方向(カット面102c)でみて、電極接続部分Aの信号電極121の端部121bの幅L0が占める割合は、信号電極数にもよるが、LNチップ102の長さの数%であり、割合が低い。
【0034】
そして、LNチップ102のカット工程でチッピング301(
図3参照)が生じても、チッピング301が電極接続部分Aの信号電極121の端部121bで生じる確率は低い。チッピング301は、LNチップ102の長さ方向全域で生じるのではなくランダムな位置に所定の長さL1を有して生じる。
【0035】
このため、信号電極121の端部121bのみをLNチップ102の端部(カット面102c)方向に突出させても、電極接続部分Aでチッピング301が発生する確率は極めて低くできる。すなわち、LNチップ102の端部102cに対し、ギャップd以下の狭い間隔まで電極を形成し、LNチップ102を既存のギャップdに基づくカットを同様に行っても、信号電極121の端部121b部分にチッピング301が生じる割合は無し(ゼロ)に近い。
【0036】
図5は、
図4の拡大図であり、ワイヤ接続状態を示す図である。LNチップ102の長さ方向の端面(カット面102c)と、中継基板103の端部103cとを密接させた状態である。なお、中継基板103の信号電極131の端部131bと、グランド電極132の端部132bは、いずれも端面(カット面)103cから所定幅内側に設けられている。
【0037】
ここで、上述したように、LNチップ102の信号電極121の端部121bを中継基板103の信号電極131に近接させることができる。したがって、LNチップ102の信号電極121の端部121bと中継基板103の信号電極131との間を、ワイヤ長が短いワイヤ140aを用いて接続できるようになり、周波数特性を向上できるようになる。
【0038】
図5に示す例では、LNチップ102と中継基板103とが密着して配置している。これに限らず、相互の材質の線膨張係数差等を考慮してLNチップ102の端部102cと、中継基板103の端部103cとの間の距離を数μm〜数十μm離した構造とした場合でも、高周波特性を改善することができる。
【0039】
図6は、実施の形態1にかかる光変調器チップの製造工程の例を示す断面図である。
図6には、ウェハプロセスおよびチップ化における一部分を拡大したLNチップ102の断面を示している。
【0040】
はじめに、
図6(a)に示すように、LN基板(ウェハ)102A上にチタン(Ti)601を蒸着により膜形成する。この後、
図6(b)に示すように、フォトリソグラフィ等により光導波路111の形成部分を残すパターニングを行う。この後、
図6(c)に示すように、Ti拡散を行い、LN基板(ウェハ)102A内に光導波路111を作成する。
【0041】
その後、
図6(d)に示すように、LN基板(ウェハ)102A上にバッファ層602およびシリコン(Si)コート膜603を電子ビーム(EB)蒸着やスパッタ法により成膜する。
【0042】
この後、
図6(e)に示すように、金(Au)メッキを行い電極(信号電極121およびグランド電極122)を形成する。以上の電極形成までの工程はウェハ単位で処理する。
【0043】
その後、
図6(f)に示すように、LN基板(ウェハ)102Aをダイシングソーなどでカットし、LNチップ102としてチップ化する。この際、上述したように、LNチップ102の端面(102c等)にチッピング301等が生じる。
【0044】
このため、LNチップ102の端面(カット面)102cについては、電極から所定ギャップd(数十μm)離れた位置をカットする。
図6ではグランド電極122に対するカット位置を示している。実施の形態1におけるカット位置(
図4)は、既存(現在行っている)のカット位置(
図3)と同じ位置である。
【0045】
そして、実施の形態1では、電極(信号電極121およびグランド電極122)形成は、マスク設計で対応するため、既存の電極形成プロセスと何ら変わらずに、電極(信号電極121およびグランド電極122)形成が完了後、カットを行う。チップ化自体の工程も既存技術と同様のプロセスでダイシングソーなどを用いてカットを行う。
【0046】
このように、LNチップ102の形成にかかる工程はすべて既存の技術および既存同様のギャップdに基づくカット工程をそのまま用いて行うことができるため、実施の形態1のLNチップ102を簡単に形成できる。この際、カット位置の精度等を高精度化する必要もない。
【0047】
図7は、実施の形態1にかかる光変調器チップの特性を示す図表である。
図7(a)には、S11(反射特性)のシミュレーション結果を示す。縦軸はS11(反射特性[dB])、横軸は周波数[GHz]である。
【0048】
図7(b)は、現在の一般的なLNチップの例、すなわち、
図3等に示したLNチップ102の端部102cと電極の端部(信号電極121の端部121bおよびグランド電極122の端部122b)のギャップdの場合である。
【0049】
図7(c)は、実施の形態1にかかるLNチップ102の例、すなわち、
図4等に示したLNチップ102の端部102cとグランド電極122の端部122bのギャップがd、LNチップ102の端部102cと信号電極121の端部121bのギャップがd1の場合である。
【0050】
図7(a)に示すように、実施の形態1によれば、高周波帯域の全域において既存の構成に比して反射特性を改善されていることが示されている。これは、中継基板103とLNチップ102との間の信号電極121,131の間隔を狭め、信号電極121,131間に設けるワイヤ140aのワイヤ長が短いためである。
【0051】
以上説明した実施の形態1によれば、LNチップの電極のうち、中継基板と接続する信号電極の端部の位置を、LNチップの端面に近づけて形成することで、LNチップと中継基板の信号電極とを接続するワイヤ長を短くできる。これにより、周波数特性を改善することができる。また、LNチップのカット工程で生じるチッピングが、幅狭の信号電極の部分で生じる確率は極めて低いため、LNチップの製造歩留まりを低下させることなく、簡単な工程で周波数特性を改善したLNチップを提供できるようになる。
【0052】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2にかかる光変調器チップを示す平面図である。
図8(a)はLNチップ102全体を示し、
図8(b)は、電極接続部分Aを拡大した図である。実施の形態2では、中継基板103に面するLNチップ102の電極接続部分Aについて、実施の形態1同様に、中継基板103との間のギャップが狭くなるように信号電極121の端部121bをLNチップ102の端部(カット面102c)に近づける。
【0053】
さらに、実施の形態2では、グランド電極122の端部122bの一部をLNチップ102の端部(カット面102c)に近づける。
【0054】
すなわち、グランド電極122のうち電極接続部分Aに位置し、信号電極121に隣接する一部(所定長さL3部分)は、LNチップ102の端部(カット面102c)に近づけた端部(第1の端部)122cを有する。端部(第1の端部)122cとLNチップ102の端部(カット面102c)との間のギャップ(隙間)はd1である。
【0055】
また、LNチップ102のグランド電極122のうち、信号電極121から離れた部分(第1の端部122cの所定長さL3以外の部分)は、LNチップ102の端部(カット面102c)との間にギャップd(d>d1)の端部(第2の端部)122bを有する。第2の端部122bは、LNチップ102の端部(カット面102c)に対し、実施の形態1同様のギャップdを有する。すなわち、平面でみて第1の端部122cは第2の端部122bよりもLNチップ102の端部(カット面102c)方向に突出した段差を有して形成される。
【0056】
このように、電極接続部分Aに位置する信号電極121の端部121b、およびグランド電極122の端部122cの一部(信号電極121に隣接する部分)をLNチップ102の端部(カット面102c)にギャップd1を有して近接させる。この場合、LNチップ102と中継基板103との間は、信号電極121に加えて、グランド電極122についても複数本の短いワイヤ140で接続できるようになる。なお、信号電極121の端部121b、およびグランド電極122の端部122cが有するギャップd1は互いが同一でなくてもよい。
【0057】
なお、
図8において電極接続部分Aは、LNチップ102全体の長さに比して大きく(長さが大きく)記載してあり、電極接続部分Aの長さ方向は数百μmである。このため、グランド電極122の端部122cをギャップd1を有してLNチップ102の端部(カット面102c)に近接させても、カット時にグランド電極122の端部122cにチッピング301が生じる割合は依然として低い。
【0058】
このように、実施の形態2によれば、電極接続部分について信号電極だけではなくグランド電極についても短いワイヤ長で接続できる。これにより、リップル等の発生や特性インピーダンスの微調整(整合)を容易に行うことができ、より周波数帯域を改善できるようになる。
【0059】
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3にかかる光変調器チップを示す平面図である。
図9(a)はLNチップ102全体を示し、
図9(b)は、電極接続部分Aを拡大した図である。実施の形態3では、LNチップ102の電極接続部分Aについて、上記各実施の形態同様に、中継基板103との間のギャップが狭くなるように信号電極121の端部121bをLNチップ102の端部(カット面102c)に近づける。
【0060】
実施の形態3では、グランド電極122の一部をLNチップ102の端部(カット面102c)にギャップd1を有して近づけた端部122cを設ける。
【0061】
そして、
図9(b)に示すように、グランド電極122の端部122cとLNチップ102の端部(カット面102c)とのギャップはdとする。そして、グランド電極122のうち、電極接続部分Aに位置する部分には、LNチップ102の端部(カット面102c)に近づけた所定長さL3の端部122cを設ける。端部122cとLNチップ102の端部(カット面102c)との間のギャップ(隙間)はd1とする。
【0062】
また、グランド電極122において電極接続部分Aに位置する部分のうち、端部122c以外の領域は、端部122c(ギャップd1)の位置からギャップdの位置に連続的にギャップの間隔が変化するブロード部(傾斜部)122dを設ける。
【0063】
グランド電極122のブロード部122dは、信号電極121部分に近接する部分(端部122c)が最もLNチップ102の端部(カット面102c)に近づきギャップが小さい形状とする。そして、信号電極121からLNチップ102の長さ方向に離れる位置となるにつれて、グランド電極122は、ブロード部122dによりLNチップ102の端部(カット面102c)から離れていく(ギャップが大きくなっていく)形状となっている。
【0064】
このように、電極接続部分Aに位置する信号電極121の端部121b、およびグランド電極122の端部122cの一部(信号電極121に近接する箇所)をLNチップ102の端部(カット面102c)に近接させる。この場合、LNチップ102と中継基板103との間は、信号電極121に加えて、グランド電極122についても複数本の短いワイヤ140で接続できるようになる。
【0065】
上記のブロード部122dは、連続的にギャップが変化するが、これに限らず、異なる複数のギャップを持ち階段状にギャップが変化する構成としてもよい。
【0066】
このため、実施の形態3においても、電極接続部分について信号電極だけではなくグランド電極についても短いワイヤ長で接続できる。これにより、リップル等の発生や特性インピーダンスの微調整(整合)を容易に行うことができ、より周波数帯域を改善できるようになる。
【0067】
加えて、実施の形態3では、電極接続部分のグランド電極にブロード部を設けることにより、実施の形態2よりもさらにリップル等の発生や特性インピーダンスの微調整(整合)を容易に行うことができ、より周波数帯域を改善できるようになる。
【0068】
(実施の形態4)
図10は、実施の形態4にかかる光変調器チップを示す平面図である。
図10(a)はLNチップ102全体を示し、
図10(b)は、電極接続部分Aを拡大した図である。
【0069】
実施の形態4では、電極に対する電気信号の入力側の電極接続部分(第1の電極接続部分)Aの構造を、電極の出力側、すなわち終端抵抗等に接続される部分(第2の電極接続部分B)にも適用したものである。電極接続部分A,Bは、いずれもLNチップ102の同一の端部(カット面102c)に設けられる。
【0070】
上述したように、電極接続部分Aについては、実施の形態1〜3(
図4,
図8,
図9)のいずれかの各種態様とすることができる。そして、電極接続部分Bについても、実施の形態1〜3(
図4,
図8,
図9)のいずれかの各種態様とすることができる。なお、
図10には、実施の形態1(
図4)で説明した構造を電極接続部分A,Bに適用した例を示している。
【0071】
実施の形態4によれば、各実施の形態で説明した効果を得ることができるとともに、LNチップに対する電気信号の入力側および出力側のいずれについても、信号電極とグランド電極それぞれの端部をLNチップの端面(カット面)に近接させることにより、高周波特性や終端部のリップルをさらに低減化できるようになる。
【0072】
(実施の形態5)
図11は、実施の形態5にかかる光変調器チップを示す平面図である。
図11(a)はLNチップ102全体を示し、
図11(b)は、電極接続部分Aを拡大した図、
図11(c)は、電極接続部分Bを拡大した図である。
【0073】
実施の形態5では、電極に対する電気信号の入力側の電極接続部分Aに対して、電極の出力側、すなわち終端抵抗等に接続される部分(電極接続部分B)がLNチップ102の反対面に形成された例に適用したものである。電極接続部分A,Bは、互いにLNチップ102の反対面の端部(カット面102c,102d)に設けられる。
【0074】
実施の形態4同様に、電極接続部分A,Bは、それぞれ実施の形態1〜3(
図4,
図8,
図9)のいずれかの各種態様とすることができる。なお、
図11には、実施の形態1(
図4)で説明した構造を電極接続部分A,Bに適用した例を示している。
【0075】
実施の形態5によれば、各実施の形態で説明した効果を得ることができるとともに、LNチップに対する電気信号の入力側と出力側がLNチップ102の反対面に形成されている場合にも同様の作用効果を得ることができる。すなわち、LNチップ102の反対面にそれぞれ設けられる電極(信号電極とグランド電極)それぞれの端部をLNチップの端面(カット面)に近接させることにより、高周波特性や終端部のリップルをさらに低減化できるようになる。
【0076】
以上説明した各実施の形態によれば、LNチップの電極のうち、中継基板と接続する電極接続部に位置する少なくとも信号電極の端部の位置を、LNチップの端面に近づけて形成することで、LNチップと中継基板の信号電極とを接続するワイヤ長を短くできる。また、グランド電極の端部の位置を、LNチップの端面に近づけて形成してもよい。また、信号電極の端部のうち信号電極に隣接する位置を、LNチップの端面に近づけて段差状に形成してもよい。また、信号電極の端部のうち信号電極に隣接する位置を、LNチップの端面に近づけて形成し、信号電極から離れるにしたがいLNチップの端面から次第に離れるよう形成してもよい。
【0077】
上記構成により簡単な構造で周波数特性を改善することができる。また、LNチップのカット工程で生じるチッピングが、幅狭の信号電極の部分で生じる確率は極めて低いため、LNチップの製造歩留まりを低下させることなく、簡単な工程で周波数特性を改善したLNチップを提供できるようになる。
【0078】
また、実施の形態では、変調器チップをLN(LiNbO
3)チップの例で説明したが、変調器チップは、LNチップに限らず、InP、Siであっても同様に周波数特性を改善できる。また、信号電極数および光導波路の分岐数を2本としたが、これに限らず、複数本(例えば4本、8本、…)であってもよい。
【0079】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0080】
(付記1)光信号を入力される電気信号で光変調する光変調器チップと、前記電気信号を前記光変調器チップに中継接続する中継基板と、を有する光変調器において、
前記光変調器チップは、
前記光信号の導波路に沿って形成された前記電気信号の信号電極およびグランド電極を有し、
前記光変調器チップの一端が前記中継基板に対向配置され、当該一端に前記電気信号を前記中継基板とワイヤで接続する電極接続部が設けられ、
前記電極接続部に位置する前記信号電極の一端の端部と前記光変調器チップの前記一端までの距離が、前記電極接続部に位置する前記グランド電極の一端の端部と前記光変調器チップの前記一端までの距離よりも小さい、
ことを特徴とする光変調器。
【0081】
(付記2)光信号を入力される電気信号で光変調する光変調器チップと、前記電気信号を前記光変調器チップに中継接続する中継基板と、を有する光変調器において、
前記光変調器チップは、
前記光信号の導波路に沿って形成された前記電気信号の信号電極およびグランド電極を有し、
前記光変調器チップの一端が前記中継基板に対向配置され、当該一端に前記電気信号を前記中継基板とワイヤで接続する電極接続部が設けられ、
前記グランド電極は、前記信号電極に隣接する第1の端部と、前記信号電極から離れた第2の端部とを有し、
前記電極接続部に位置する前記信号電極の一端の端部と前記光変調器チップの前記一端までの距離、および前記グランド電極の一端の前記第1の端部と前記光変調器チップの前記一端までの距離は、いずれも前記グランド電極の一端の前記第2の端部と前記光変調器チップの前記一端までの距離よりも小さい、
ことを特徴とする光変調器。
【0082】
(付記3)光信号を入力される電気信号で光変調する光変調器チップと、前記電気信号を前記光変調器チップに中継接続する中継基板と、を有する光変調器において、
前記光変調器チップは、
前記光信号の導波路に沿って形成された前記電気信号の信号電極およびグランド電極を有し、
前記光変調器チップの一端が前記中継基板に対向配置され、当該一端に前記電気信号を前記中継基板とワイヤで接続する電極接続部が設けられ、
前記電極接続部に位置する前記グランド電極は、前記信号電極に隣接する第1の端部と、前記信号電極から離れるにしたがい前記光変調器チップの前記一端までの距離が大きくなるブロード部とを有し、
前記電極接続部に位置する前記信号電極の一端の端部と前記光変調器チップの前記一端までの距離、および前記グランド電極の一端の前記第1の端部と前記光変調器チップの前記一端までの距離は、いずれも前記グランド電極の前記ブロード部と前記光変調器チップの前記一端までの距離よりも小さい、
ことを特徴とする光変調器。
【0083】
(付記4)前記信号電極および前記グランド電極の他端が前記光変調器チップの一端に向けて設けられ、前記信号電極および前記グランド電極の他端を前記光変調器チップの一端で対向する終端部とワイヤで接続する第2の電極接続部が設けられたことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光変調器。
【0084】
(付記5)前記信号電極および前記グランド電極の他端が前記光変調器チップの他端に向けて設けられ、前記信号電極および前記グランド電極の他端を前記光変調器チップの他端で対向する終端部とワイヤで接続する第2の電極接続部が設けられたことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光変調器。
【0085】
(付記6)前記光変調器チップの基板材料が強誘電体であることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の光変調器。
【0086】
(付記7)前記光変調器チップの一端と、前記中継基板とを接合、あるいは所定間隔を有して配置したことを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の光変調器。
【0087】
(付記8)前記光導波路に入力される光源と、前記光信号の光学系と、前記光変調器の動作を制御する制御部と、をさらに有することを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の光変調器を備えた光モジュール。
【解決手段】光変調器は、光信号を入力される電気信号で光変調するLNチップ102と、電気信号を前記光変調器に中継接続する中継基板と、を有する。LNチップ102は、光信号の導波路に沿って形成された電気信号の信号電極121およびグランド電極122を有し、LNチップの一端102cが中継基板に対向配置され、LNチップ102の一端に電気信号を中継基板とワイヤで接続する電極接続部Aが設けられ、電極接続部Aに位置する信号電極121の一端の端部121bとLNチップ102の一端までの距離d1が、電極接続部Aに位置するグランド電極122の一端の端部122bとLNチップ102の一端までの距離dよりも小さい。