(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の蓄電素子では、蓄電素子の製造時に、容器内に電極体に加えてスペーサも挿入する必要があるため、容器に挿入する工程が煩雑になる。また、容器に当該スペーサを挿入したとしても、容器内での当該スペーサの位置がずれるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、容器内でのスペーサの位置ずれを低減しつつ、当該スペーサを円滑に容器に挿入することができる蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、正極と負極とを有する電極体と、前記電極体を収容する容器とを備える蓄電素子であって、前記容器内に配置され、前記電極体と前記容器とを絶縁する絶縁材と、前記容器内に配置されるスペーサとを備え、前記スペーサは、前記絶縁材と前記電極体との間に配置される。
【0008】
これによれば、蓄電素子は、スペーサが絶縁材と電極体との間に配置された構成を有している。つまり、当該スペーサは、絶縁材と電極体との間に挟まれた状態で、電極体に固定される。そして、当該スペーサが絶縁材と電極体との間で固定された状態で容器に挿入されることで、蓄電素子が構成される。このように、当該スペーサが絶縁材で電極体に固定されて容器に挿入されるため、容器内での当該スペーサの位置ずれを低減しつつ、当該スペーサを円滑に容器に挿入することができる。
【0009】
また、好ましくは、前記スペーサは、前記電極体と前記容器との間の空間を低減し、前記電極体が前記容器内で動くことを抑制するよう構成される。
【0010】
これによれば、容器の底面や側面に沿って配置される、比較的大きな体積をもつスペーサが、絶縁材と電極体との間に挟まれた状態で、電極体に固定される。そして、電極体とスペーサとの相対位置が絶縁材によって固定された状態で、スペーサが容器に挿入される。このため、スペーサが、電極体よりも先に容器に挿入されて容器の底面に沿って配置される底面スペーサであっても、容器内での底面スペーサの位置ずれを低減することができる。
【0011】
また、好ましくは、前記絶縁材は、前記スペーサと前記電極体とを覆うように配置される。
【0012】
これによれば、蓄電素子は、絶縁材が電極体とスペーサとを覆うように配置された構成を有している。つまり、絶縁材が電極体とスペーサとを包み込むようにして、電極体とスペーサとを固定している。このため、当該スペーサが絶縁材で覆われて電極体に固定され容器に挿入されるため、容器内での当該スペーサの位置ずれを低減しつつ、当該スペーサを円滑に容器に挿入することができる。
【0013】
また、好ましくは、前記絶縁材は、シート状の部材である。
【0014】
これによれば、絶縁材はシート状の部材であるため、容易にスペーサを包み込んで電極体に固定することができる。
【0015】
また、好ましくは、前記絶縁材は、前記スペーサに接着または溶着される。
【0016】
これによれば、容器内でのスペーサの位置ずれを効果的に低減することができる。
【0017】
また、好ましくは、前記スペーサは、前記電極体に対向する内面部と、前記内面部の両側に配置される2つの側面部とを有し、前記2つの側面部のうち少なくとも1つの側面部と前記内面部とは、曲面で接続される。
【0018】
これによれば、スペーサの少なくとも1つの側面部と内面部とは、曲面で接続されている。つまり、スペーサは、電極体に固定される際に電極体に接触する先端部分が丸くなっている構成を有する。これにより、当該スペーサが電極体に固定される際に、スペーサの先端で電極体を損傷させることを防止することができる。
【0019】
また、好ましくは、前記スペーサは、前記電極体に対向する内面部と、前記内面部の両側に配置される2つの側面部と、前記絶縁材に対向して前記2つの側面部の間に配置される外面部とを有し、前記2つの側面部のうち少なくとも1つの側面部と前記外面部とは、曲面で接続される。
【0020】
これによれば、スペーサの少なくとも1つの側面部と外面部とは、曲面で接続されている。つまり、スペーサは、絶縁材に接触する角部が丸くなっている構成を有する。これにより、振動などでスペーサと絶縁材とが擦れた場合でも、スペーサの角部で絶縁材を損傷させることを防止することができる。
【0021】
また、好ましくは、前記スペーサは、絶縁性の部材である。
【0022】
これによれば、スペーサは絶縁性の部材であるため、例えば、当該スペーサが絶縁材で包み込まれて電極体に固定される際などに、絶縁材が損傷したような場合でも、電極体と容器との間の絶縁性を確保することができる。
【0023】
また、好ましくは、前記電極体は、前記正極及び前記負極の表面に活物質が塗工されている塗工領域と、前記正極及び前記負極の表面に活物質が塗工されていない未塗工領域とを有し、前記スペーサは、前記未塗工領域に対向する第一部分と、前記塗工領域に対向する第二部分とを有し、前記第一部分の厚みの方が前記第二部分の厚みよりも厚い。
【0024】
これによれば、スペーサの活物質の未塗工領域に対向する第一部分の厚みの方が、スペーサの活物質の塗工領域に対向する第二部分の厚みよりも厚い。ここで、未塗工領域は、圧迫されても蓄電素子の性能低下を引き起こしにくい領域である。この蓄電素子では、その耐振動性を高めるために未塗工領域に対向するスペーサの第一部分の厚みを第二部分よりも厚くして未塗工領域を圧迫しているため、蓄電素子の性能をあまり低下させずに耐振動性を高めることができる。また、塗工領域は、充放電を繰り返すことにより膨らみやすい領域であり、過剰に圧迫されると蓄電素子の性能が低下しやすい領域である。このため、スペーサの第二部分の厚みを第一部分の厚みよりも薄くすることにより、電極体の膨らみを許容できる空間を設けることができ、電極体が膨張しても蓄電素子の性能を低下することを防ぐことができる。
【0025】
また、好ましくは、前記スペーサの前記第一部分と前記電極体の前記未塗工領域との隙間よりも、前記スペーサの前記第二部分と前記電極体の前記塗工領域との隙間の方が大きい。
【0026】
これによれば、電極体の塗工領域に対向する位置との隙間(クリアランス)が、電極体の未塗工領域に対向する位置とのクリアランスよりも大きくなるようにスペーサが形成されている。このため、電極体は充放電を繰り返すことによりその塗工領域が膨張しても、塗工領域に対向する位置のクリアランスが大きいため、電極体の塗工領域の膨張を許容できる。また、電極体は、圧迫されることによる蓄電素子の性能低下が起こりにくい未塗工領域のクリアランスが小さいため、蓄電素子の性能低下を起こさないような状態で耐振動性を向上させることができる。
【0027】
また、好ましくは、前記スペーサは、前記第一部分の前記電極体側の形状が、前記電極体の外面に沿う形状である。
【0028】
これによれば、スペーサの第一部分の電極体側の形状が電極体に沿う形状であるため、第一部分に対応する位置における隙間(クリアランス)を最小とすることができる。このため、スペーサは、第一部分において耐振動性をより向上させることができる。
【0029】
また、好ましくは、前記スペーサは、長手方向の両端に配置される2つの前記第一部分と、前記2つの第一部分のそれぞれに接続される2つの前記第二部分とを有するとともに、前記2つの第二部分の間に前記2つの第二部分よりも厚みが薄い第三部分を有する。
【0030】
これによれば、スペーサは、2つの第二部分の間に第二部分よりも厚みが薄い第三部分を有する。つまり、スペーサは、第一部分と第二部分とで電極体を支持することができるため、電極体の支持に使用されない2つの第二部分の間の第三部分の厚みを薄くすることで、部品材料の低減によるコスト低減を図ることができる。
【0031】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子の製造方法は、正極と負極とを有する電極体と、前記電極体を収容する容器と、前記容器内に配置され前記電極体と前記容器とを絶縁する絶縁材と、前記容器内に配置されるスペーサとを備える蓄電素子の製造方法であって、前記スペーサを、前記絶縁材と前記電極体との間に配置する配置工程と、前記スペーサを、前記絶縁材と前記電極体とともに前記容器内に挿入する挿入工程とを含む。
【0032】
これによれば、スペーサは、絶縁材と電極体との間に配置される。つまり、当該スペーサは、絶縁材と電極体との間に挟まれた状態で、電極体に固定される。そして、当該スペーサが絶縁材と電極体との間で固定された状態で容器に挿入されることで、蓄電素子が構成される。このように、当該スペーサが絶縁材で電極体に固定されて容器に挿入されるため、容器内での当該スペーサの位置ずれを低減しつつ、当該スペーサを円滑に容器に挿入することができる。
【0033】
また、好ましくは、前記配置工程では、前記絶縁材で前記スペーサと前記電極体とを覆うように、前記スペーサを前記絶縁材と前記電極体との間に配置する。
【0034】
これによれば、絶縁材が電極体とスペーサとを覆うように、スペーサを絶縁材と電極体との間に配置する。つまり、絶縁材が電極体とスペーサとを包み込むようにして、電極体とスペーサとを固定する。このため、当該スペーサが絶縁材で覆われて電極体に固定され容器に挿入されるため、容器内での当該スペーサの位置ずれを低減しつつ、当該スペーサを円滑に容器に挿入することができる。
【0035】
また、好ましくは、前記配置工程では、前記絶縁材の上に、前記スペーサを載置するとともに、長尺帯状の前記正極および前記負極を巻き回されて巻回軸を中心に長円形状に巻回された前記電極体を横置きにし、前記絶縁材を前記電極体に巻きつけることで前記スペーサを前記絶縁材と前記電極体との間に配置する。
【0036】
これによれば、製造効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によると、蓄電素子の製造過程において、容器内でのスペーサの位置ずれを低減しつつ、当該スペーサを円滑に容器に挿入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子及び蓄電素子の製造方法について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造方法における各工程、各工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0040】
まず、蓄電素子10の構成について、説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の外観を模式的に示す斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の容器100を除いた分解斜視図である。つまり、
図2は、蓄電素子10の容器100内方に配置されている構成要素を示す図である。
【0042】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質電池である。
【0043】
これらの図に示すように、蓄電素子10は、容器100と、容器100の上方に設けられるふた板110と、正極端子200と、負極端子300とを備えている。また、容器100内方には、電極体120と、正極集電体130と、負極集電体140と、側面スペーサ150、160と、底面スペーサ170と、絶縁材180とが配置されている。
【0044】
なお、蓄電素子10の容器100の内部には電解液などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。また、蓄電素子10は、非水電解質電池には限定されず、非水電解質電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0045】
容器100は、金属からなる矩形筒状で底を備える容器本体であり、金属製のふた板110で当該容器本体の開口が閉塞されている。つまり、容器100は、電極体120等を内部に収容後、ふた板110と溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、本実施の形態では、容器100の開口とは反対側の面を容器100の底面と定義する。
【0046】
電極体120は、詳細な図示は省略するが、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる部材である。正極は、アルミニウム箔からなる長尺帯状の正極基材の表面に正極活物質層が形成されたものである。負極は、銅箔からなる長尺帯状の負極基材の表面に負極活物質層が形成されたものである。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートである。そして、電極体120は、負極と正極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを全体が長円形状となるように巻き回されて形成されている。
【0047】
さらに詳しくは、上記正極と上記負極は、上記セパレータを介し、長尺帯状の幅方向に互いにずらして、当該幅方向に沿う巻回軸を中心に長円形状に巻回されている。そして、上記正極及び上記負極は、それぞれのずらす方向の端縁部を活物質の非形成部とすることにより、捲回軸の一端部には、活物質が形成されていない正極基材であるアルミニウム箔が露出し、捲回軸の他端部には、活物質が形成されていない負極基材である銅箔が露出している。また、電極体120の捲回軸方向の両端部には正極集電体130及び負極集電体140が上記捲回軸方向と垂直方向に延びて配置されている。
【0048】
また、電極体120は、正極及び負極とセパレータとが平面で積層されている平面部と、曲面で積層されている曲面部とが形成されている。そして、電極体120は、容器100の底面に対して曲面部が対向するように、容器100に収容される。
【0049】
ここで、正極活物質としては、LiMPO
4、LiMSiO
4、LiMBO
3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO
2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0050】
また、負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−ケイ素、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、ケイ素酸化物、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li
4Ti
5O
12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
【0051】
なお、同図では、電極体120の形状としては長円形状を示したが、円形状または楕円形状でもよい。
【0052】
正極端子200は、電極体120の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、電極体120の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体120に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体120に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子200及び負極端子300は、電極体120の上方に配置されたふた板110に取り付けられている。
【0053】
正極集電体130は、電極体120の正極と容器100の側壁との間に配置され、正極端子200と電極体120の正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体130は、電極体120の正極と同様、アルミニウムで形成されている。
【0054】
負極集電体140は、電極体120の負極と容器100の側壁との間に配置され、負極端子300と電極体120の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体140は、電極体120の負極と同様、銅で形成されている。
【0055】
側面スペーサ150、160及び底面スペーサ170は、電極体120と容器100との間の空間を低減し、電極体120が容器100内で動くことを抑制するように構成されたスペーサである。
【0056】
具体的には、側面スペーサ150、160は、正極集電体130及び負極集電体140と容器100の側壁との間に配置され、正極集電体130及び負極集電体140に沿って延びる長尺状の絶縁性を有する部材である。例えば、側面スペーサ150、160は、ポリプロピレン(PP)などの樹脂である。つまり、側面スペーサ150、160は、正極集電体130及び負極集電体140と容器100とを絶縁する。また、側面スペーサ150、160は、正極集電体130及び負極集電体140と容器100との間のスペースを埋めることにより、正極集電体130及び負極集電体140を介して電極体120が容器100に対して振動しないように支持する。
【0057】
底面スペーサ170は、電極体120と容器100の底面との間に配置され、電極体120の捲回軸方向に沿って延びる長尺状の絶縁性を有する部材である。例えば、底面スペーサ170は、ポリプロピレン(PP)などの樹脂である。より具体的には、底面スペーサ170は、容器100の底面と電極体120の曲面部との間に配置される。つまり、底面スペーサ170は、電極体120と容器100とを絶縁する。また、底面スペーサ170は、電極体120と容器100との間のスペースを埋めることにより、電極体120が容器100に対して振動しないように支持する。底面スペーサ170の詳細な構成の説明については、後述する。
【0058】
絶縁材180は、電極体120と容器100とを絶縁する絶縁材である。具体的には、絶縁材180は、絶縁性を有するシート状の部材であり、底面スペーサ170と電極体120とを覆うように配置される。つまり、絶縁材180は、袋を展開したような形状となっており、底面スペーサ170の下方から、底面スペーサ170と、側面スペーサ150及び160と、正極集電体130及び負極集電体140と、電極体120の側面とを包み込む。これにより、底面スペーサ170と側面スペーサ150及び160とは、絶縁材180と電極体120との間に配置される。
【0059】
このように、絶縁材180は、底面スペーサ170と側面スペーサ150及び160と電極体120とを包み込むように、大きさが調整されて成形されている。なお、絶縁材180は、電極体120の全てを包み込まなくてもよく、電極体120の一部のみを覆うように成形されていることにしてもよい。また、絶縁材180は、袋状に形成できる形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0060】
図3は、本発明の実施の形態に係る底面スペーサ170と電極体120とが絶縁材180で覆われた状態で容器100に挿入されるのを示す図である。
【0061】
同図に示すように、絶縁材180は、底面スペーサ170と、側面スペーサ150及び160と、正極集電体130及び負極集電体140と、電極体120とを、底面スペーサ170の下方から包み込むように覆う。そして、絶縁材180で覆われた集合体は、容器100に挿入される。
【0062】
次に、底面スペーサ170の詳細な構成について、説明する。
【0063】
図4は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の内部における電極体120と底面スペーサ170との位置関係を示す図である。なお、同図は、正極集電体130、負極集電体140、側面スペーサ150、160、及び絶縁材180は省略して示している。
【0064】
また、
図5A及び
図5Bは、本発明の実施の形態に係る底面スペーサ170の構成を示す図である。具体的には、
図5Aは、底面スペーサ170を斜めから見た外観斜視図であり、
図5Bは、
図5Aに示された底面スペーサ170を同図の左下側から見た図である。
【0065】
まず、
図4に示すように、電極体120には、正極及び負極のそれぞれに活物質が塗工されていない領域である未塗工領域A1が捲回軸方向の両端に設けられており、正極及び負極に活物質が塗工されている領域である塗工領域A2が、未塗工領域A1の間の電極体120の捲回軸方向の中央に設けられている。
【0066】
そして、底面スペーサ170は、電極体120の未塗工領域A1に対向する2つの第一部分171と、電極体120の塗工領域A2に対向する第二部分172とを有している。底面スペーサ170は、電極体120の捲回軸方向に直交する平面における第一部分171の断面形状と、当該平面における第二部分172の断面形状とが異なる。
【0067】
具体的には、
図5A及び
図5Bに示すように、第一部分171の厚みの方が第二部分172の厚みよりも厚いように形成されている。つまり、底面スペーサ170の第一部分171と電極体120の未塗工領域A1との隙間よりも、底面スペーサ170の第二部分172と電極体120の塗工領域A2との隙間の方が大きくなるように形成されている。
【0068】
また、それぞれの第一部分171は、内面部171aと、2つの側面部171bと、外面部171cとを有している。
【0069】
内面部171aは、電極体120に対向する面であり、電極体120の外面に沿った形状を有している。つまり、底面スペーサ170は、第一部分171の電極体120側の形状が、電極体120の未塗工領域A1の外面に沿う形状である。具体的には、内面部171aは、凹んだ曲面形状を有している。
【0070】
側面部171bは、内面部171aの両側に配置される平面形状の面である。つまり、底面スペーサ170は、第一部分171の側面形状が容器100の内面の側面に沿う形状である。
【0071】
外面部171cは、絶縁材180に対向して2つの側面部171bの間に配置される平面形状の面である。つまり、底面スペーサ170は、第一部分171の底面形状が容器100の内面の底面に沿う形状である。
【0072】
そして、2つの側面部171bのうち少なくとも1つの側面部171bと内面部171aとは、曲面で接続されている。つまり、
図5Bに示すように、2つの側面部171bと内面部171aとは、曲面R1及び曲面R2で接続されている。なお、曲面R1及び曲面R2は曲面であればよく、その形状は限定されないが、例えば、半径が1〜2mmの円弧状の断面形状を有する曲面である。
【0073】
また、2つの側面部171bのうち少なくとも1つの側面部171bと外面部171cとは、曲面で接続されている。つまり、
図5Bに示すように、2つの側面部171bと外面部171cとは、曲面R3及び曲面R4で接続されている。なお、曲面R3及び曲面R4は曲面であればよく、その形状は限定されないが、例えば、半径が1〜3mmの円弧状の断面形状を有する曲面である。
【0074】
また、第一部分171と同様に、第二部分172は、内面部172aと、2つの側面部172bと、外面部172cとを有している。
【0075】
内面部172aは、電極体120に対向する面であり、電極体120の外面に沿った形状を有している。つまり、底面スペーサ170は、第二部分172の電極体120側の形状が、電極体120の塗工領域A2の外面に沿う形状である。具体的には、内面部172aは、凹んだ曲面形状を有している。
【0076】
側面部172bは、内面部172aの両側に配置される面である。つまり、底面スペーサ170は、第二部分172の側面形状が容器100の内面の側面に沿う形状である。
【0077】
外面部172cは、絶縁材180に対向して2つの側面部172bの間に配置される面である。つまり、底面スペーサ170は、第二部分172の底面形状が容器100の内面の底面に沿う形状である。
【0078】
そして、第一部分171と同様に、2つの側面部172bのうち少なくとも1つの側面部172bと内面部172aとは、曲面で接続されている。ここでは、2つの側面部172bの双方と内面部172aとは、曲面で接続されている。なお、当該曲面の形状は限定されないが、例えば、半径が1〜2mmの円弧状の断面形状を有する曲面である。
【0079】
また、第一部分171と同様に、2つの側面部172bのうち少なくとも1つの側面部172bと外面部172cとは、曲面で接続されている。ここでは、2つの側面部172bの双方と外面部172cとは、曲面で接続されている。なお、当該曲面の形状は限定されないが、例えば、半径が1〜3mmの円弧状の断面形状を有する曲面である。
【0080】
これらのように、底面スペーサ170は、底面スペーサ170の短手方向の端部に、電極体120の側方に沿って底面スペーサ170の長手方向に延びるように配置されている側部の先端部を形成する面が曲面となるように形成されている。
【0081】
なお、第一部分171や第二部分172と同様に、側面スペーサ150及び160の電極体120に対向する内面部と、当該内面部の両側に配置される2つの側面部とは、曲面で接続されていることにしてもよい。また、側面スペーサ150及び160の2つの側面部と、絶縁材180に対向して2つの側面部の間に配置される外面部とは、曲面で接続されていることにしてもよい。
【0082】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10によれば、底面スペーサ170が絶縁材180と電極体120との間に配置された構成を有している。つまり、容器100の底面に沿って配置される、比較的大きな体積をもつ底面スペーサ170は、絶縁材180と電極体120との間に挟まれた状態で、電極体120に固定される。そして、底面スペーサ170が、絶縁材180と電極体120との間で固定された状態で(すなわち、電極体120と底面スペーサ170との相対位置が絶縁材180によって固定された状態で)容器100に挿入されることで、蓄電素子10が構成される。このように、電極体120よりも先に容器100に挿入され、電極体120により容器100の底面に向けて押し込まれる底面スペーサ170が、絶縁材180で電極体120に固定されて容器100に挿入されるため、容器100内での底面スペーサ170の位置ずれを低減しつつ、底面スペーサ170を円滑に容器100に挿入することができる。
【0083】
また、蓄電素子10は、絶縁材180が電極体120と底面スペーサ170とを覆うように配置された構成を有している。つまり、絶縁材180が電極体120と底面スペーサ170とを包み込むようにして、電極体120と底面スペーサ170とを固定している。このため、底面スペーサ170が絶縁材180で覆われて電極体120に固定され容器100に挿入されるため、容器100内での底面スペーサ170の位置ずれを低減しつつ、底面スペーサ170を円滑に容器100に挿入することができる。
【0084】
また、絶縁材180はシート状の部材であるため、容易に底面スペーサ170を包み込んで電極体120に固定することができる。
【0085】
また、底面スペーサ170の少なくとも1つの側面部と内面部とは、曲面で接続されている。つまり、底面スペーサ170は、電極体120に固定される際に電極体120に接触する先端部分が丸くなっている構成を有する。これにより、底面スペーサ170が電極体120に固定される際に、底面スペーサ170の先端で電極体120を損傷させることを防止することができる。
【0086】
また、底面スペーサ170の少なくとも1つの側面部と外面部とは、曲面で接続されている。つまり、底面スペーサ170は、絶縁材180に接触する角部が丸くなっている構成を有する。これにより、振動などで底面スペーサ170と絶縁材180とが擦れた場合でも、底面スペーサ170の角部で絶縁材180を損傷させることを防止することができる。
【0087】
また、底面スペーサ170は絶縁性の部材であるため、例えば、底面スペーサ170が絶縁材180で包み込まれて電極体120に固定される際などに、絶縁材180が損傷したような場合でも、電極体120と容器100との間の絶縁性を確保することができる。
【0088】
また、底面スペーサ170の活物質の未塗工領域A1に対向する第一部分171の厚みの方が、底面スペーサ170の活物質の塗工領域A2に対向する第二部分172の厚みよりも厚い。ここで、未塗工領域A1は、圧迫されても蓄電素子10の性能低下を引き起こしにくい領域である。この蓄電素子10では、その耐振動性を高めるために未塗工領域A1に対向する底面スペーサ170の第一部分171の厚みを第二部分172よりも厚くして未塗工領域A1を圧迫しているため、蓄電素子10の性能をあまり低下させずに耐振動性を高めることができる。また、塗工領域A2は、充放電を繰り返すことにより膨らみやすい領域であり、過剰に圧迫されると蓄電素子10の性能が低下しやすい領域である。このため、底面スペーサ170の第二部分172の厚みを第一部分171の厚みよりも薄くすることにより、電極体120の膨らみを許容できる空間を設けることができ、電極体120が膨張しても蓄電素子10の性能を低下することを防ぐことができる。
【0089】
また、電極体120の塗工領域A2に対向する位置との隙間(クリアランス)が、電極体120の未塗工領域A1に対向する位置とのクリアランスよりも大きくなるように底面スペーサ170が形成されている。このため、電極体120は充放電を繰り返すことによりその塗工領域A2が膨張しても、塗工領域A2に対向する位置のクリアランスが大きいため、電極体120の塗工領域A2の膨張を許容できる。また、電極体120は、圧迫されることによる蓄電素子10の性能低下が起こりにくい未塗工領域A1のクリアランスが小さいため、蓄電素子10の性能低下を起こさないような状態で耐振動性を向上させることができる。
【0090】
また、底面スペーサ170の第一部分171の電極体120側の形状が電極体120に沿う形状であるため、第一部分171に対応する位置における隙間(クリアランス)を最小とすることができる。このため、底面スペーサ170は、第一部分171において耐振動性をより向上させることができる。
【0091】
次に、蓄電素子10の製造方法について、説明する。
【0092】
図6は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0093】
図7A〜
図7Cは、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法を説明するための図である。なお、同図は、ふた板110、正極集電体130、負極集電体140及び側面スペーサ150、160は省略して示している。
【0094】
まず、
図6に示すように、底面スペーサ170の配置工程として、底面スペーサ170を、絶縁材180と電極体120との間に配置する(S102)。
【0095】
具体的には、
図7Aに示すように、底面スペーサ170を絶縁材180上に載置し、貼り付ける。つまり、絶縁材180は、接着剤や接着テープなどを用いて、底面スペーサ170に接着されて固定される。または、代替的に、絶縁材180は、超音波溶着などを用いて、底面スペーサ170に溶着されて固定されてもよい。これにより、容器100内での底面スペーサ170の位置ずれを効果的に低減することができる。また、絶縁材180上の底面スペーサ170の側方に、電極体120を底部が底面スペーサ170に対向するように横置きに載置する。
【0096】
そして、
図7Bに示すように、絶縁材180を電極体120に巻きつけるように底面スペーサ170とともに持ち上げていく。この際に、同図に示すように底面スペーサ170の先端部が電極体120に当接するが、底面スペーサ170の先端部は丸く成形されているため、電極体120が損傷するのを防ぐことができる。
【0097】
そして、
図7Cに示すように、絶縁材180で底面スペーサ170と電極体120とを覆うように、絶縁材180を電極体120に巻きつける。このようにして、底面スペーサ170を絶縁材180と電極体120との間に配置する。
【0098】
以上のように、当該配置工程では、絶縁材180の上に、底面スペーサ170を載置するとともに、長尺帯状の正極および負極を巻き回されて巻回軸を中心に長円形状に巻回された電極体120を横置きにし、絶縁材180を電極体120に巻きつけることで底面スペーサ170を絶縁材180と電極体120との間に配置する。これにより、製造効率を向上することができる。
【0099】
そして、
図6に戻り、底面スペーサ170の挿入工程として、底面スペーサ170を、絶縁材180と電極体120とともに容器100内に挿入する(S104)。
【0100】
具体的には、
図7Cに示すように、容器100を開口が水平方向に向くように横置きに配置する。そして、絶縁材180で底面スペーサ170と電極体120とを包み込んだ状態の集合体を、容器100の開口から水平方向に容器100内に挿入する。
【0101】
このように、容器100を横向きに配置することで、容器100を強い力で保持し易くなり、底面スペーサ170と電極体120とを絶縁材180で包み込んだ集合体を、容器100に挿入し易くなる。
【0102】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法によれば、底面スペーサ170は、絶縁材180と電極体120との間に配置される。つまり、底面スペーサ170は、絶縁材180と電極体120との間に挟まれた状態で、電極体120に固定される。そして、底面スペーサ170が絶縁材180と電極体120との間で固定された状態で容器100に挿入されることで、蓄電素子10が構成される。このように、底面スペーサ170が絶縁材180で電極体120に固定されて容器100に挿入されるため、容器100内での底面スペーサ170の位置ずれを低減しつつ、底面スペーサ170を円滑に容器100に挿入することができる。
【0103】
また、絶縁材180が電極体120と底面スペーサ170とを覆うように、底面スペーサ170を絶縁材180と電極体120との間に配置する。つまり、絶縁材180が電極体120と底面スペーサ170とを包み込むようにして、電極体120と底面スペーサ170とを固定する。このため、底面スペーサ170が絶縁材180で覆われて電極体120に固定され容器100に挿入されるため、容器100内での底面スペーサ170の位置ずれを低減しつつ、底面スペーサ170を円滑に容器に挿入することができる。
【0104】
(変形例1)
次に、本実施の形態の変形例1について説明する。上記実施の形態では、絶縁材180はシート状の部材であることとした。しかし、本変形例1では、絶縁材は袋状の部材である。
【0105】
図8は、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電素子11の構成を示す図である。なお、同図では、容器100は省略して、容器100の内部の構成について示している。
【0106】
同図に示すように、蓄電素子11は、上部が開口した袋状の絶縁材181を備えている。ここで、絶縁材181は、絶縁性のシートを袋状に加工することで成形された絶縁材である。
【0107】
そして、絶縁材181は、底面スペーサ170と電極体120とを覆うように配置される。つまり、電極体120と、正極集電体130と、負極集電体140と、側面スペーサ150及び160と、底面スペーサ170とが、絶縁材181の内方に収容されて、容器100内に挿入される。
【0108】
ここで、絶縁材181は、電極体120と、正極集電体130と、負極集電体140と、側面スペーサ150及び160と、底面スペーサ170とを内方に収容できるように、大きさが調整されて成形されている。なお、絶縁材181は、電極体120の全てを内方に収容できなくともよく、電極体120の下部の一部のみを覆うように成形されていることにしてもよい。
【0109】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電素子12によれば、袋状の絶縁材181が電極体120とスペーサ(側面スペーサ150及び160と底面スペーサ170)とを覆うように配置された構成を有している。つまり、絶縁材181が電極体120と当該スペーサとを包み込むようにして、電極体120と当該スペーサとを固定している。このため、当該スペーサが絶縁材181で覆われて電極体120に固定され容器100に挿入されるため、容器100内での当該スペーサの位置ずれを低減しつつ、当該スペーサを円滑に容器100に挿入することができる。
【0110】
(変形例2)
次に、本実施の形態の変形例2について説明する。上記実施の形態では、絶縁材180は底面スペーサ170と側面スペーサ150、160の双方を覆うように配置されることとした。しかし、本変形例2では、絶縁材は、底面スペーサ170および/または側面スペーサ150、160を覆うように配置される。
【0111】
図9〜
図11は、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電素子の構成を示す図である。なお、
図9及び
図10では、容器100は省略して、容器100の内部の構成について示している。
【0112】
図9に示すように、蓄電素子12は、長方形状のシート状の絶縁材182を備えている。そして、絶縁材182は、底面スペーサ170と電極体120とを覆うように配置される。つまり、電極体120と、正極集電体130と、負極集電体140と、側面スペーサ150及び160と、底面スペーサ170とが、電極体120の下方から絶縁材182に包み込まれるように覆われる。
【0113】
ここで、絶縁材182は、電極体120と、正極集電体130と、負極集電体140と、側面スペーサ150及び160と、底面スペーサ170とを包み込むように、大きさが調整されて成形されている。例えば、側面スペーサ150及び160を電極体120に組み付けた後、底面スペーサ170に接着または超音波溶着された絶縁材182により電極体120と側面スペーサ150及び160とを包み込み、そして絶縁材182を側面スペーサ150及び160に熱溶着する。なお、絶縁材182は、電極体120の全てを包み込まなくてもよく、電極体120の一部のみを覆うように成形されていることにしてもよい。
【0114】
また、
図10に示すように、蓄電素子13は、長方形状のシート状の絶縁材183を備えている。そして、絶縁材183は、側面スペーサ150及び160と電極体120とを覆うように配置される。つまり、電極体120と、正極集電体130と、負極集電体140と、側面スペーサ150及び160と、底面スペーサ170とが、電極体120の側方から絶縁材183に包み込まれるように覆われる。
【0115】
そして、
図11に示すように、粘着テープ184などにより絶縁材183の端部が固定されて、容器100内に挿入される。
【0116】
ここで、絶縁材183は、電極体120と、正極集電体130と、負極集電体140と、側面スペーサ150及び160と、底面スペーサ170とを包み込むように、大きさが調整されて成形されている。なお、絶縁材183は、電極体120の全てを包み込まなくてもよく、電極体120の一部のみを覆うように成形されていることにしてもよい。
【0117】
また、蓄電素子13の構成の場合、電極体120や絶縁材183の損傷を防止するために、底面スペーサ170と同様に、側面スペーサ150及び160の電極体120または絶縁材183と接触する角部は、曲面形状であるのが好ましい。つまり、側面スペーサ150及び160の電極体120に対向する内面部と、当該内面部の両側に配置される2つの側面部とは、曲面で接続されているのが好ましい。また、側面スペーサ150及び160の2つの側面部と、絶縁材183に対向して2つの側面部の間に配置される外面部とは、曲面で接続されているのが好ましい。
【0118】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電素子12、13によれば、絶縁材182、183が電極体120とスペーサ(側面スペーサ150及び160と底面スペーサ170)とを下方または側方から覆うように配置された構成を有している。つまり、絶縁材182、183が電極体120と当該スペーサとを下方または側方から包み込むようにして、電極体120と当該スペーサとを固定している。このため、当該スペーサが下方または側方から絶縁材182、183で覆われて電極体120に固定され容器100に挿入されるため、容器100内での当該スペーサの位置ずれを低減しつつ、当該スペーサを円滑に容器100に挿入することができる。
【0119】
(変形例3)
次に、本実施の形態の変形例3について説明する。上記実施の形態では、底面スペーサ170は、2つの第一部分171と、当該2つの第一部分171に挟まれた第二部分172とで構成されることとした。しかし、本変形例3では、底面スペーサ170は、さらに第三部分を有する。
【0120】
図12は、本発明の実施の形態の変形例3に係る蓄電素子が備える底面スペーサ170Aの構成を示す図である。
【0121】
同図に示すように、底面スペーサ170Aは、長手方向の両端に配置される2つの第一部分171と、2つの第一部分171のそれぞれに接続される2つの第二部分173とを有している。そして、底面スペーサ170Aは、2つの第二部分173の間に第三部分174を有している。
【0122】
ここで、第三部分174は、2つの第二部分173よりも厚みが薄い平板状の部位である。つまり、底面スペーサ170Aは、上記実施の形態における底面スペーサ170の中央部分の厚みが薄くなったような形状を有する。
【0123】
なお、第三部分174の形状は平板状に限定されず、曲面形状などどのような形状を有していてもよい。また、第一部分171と第二部分173と第三部分174とは、同じ材質で構成されていてもよいし、異なる材質で構成されていてもよい。
【0124】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例3に係る蓄電素子が備える底面スペーサ170Aによれば、2つの第二部分173の間に第二部分173よりも厚みが薄い第三部分174を有する。つまり、底面スペーサ170Aは、第一部分171と第二部分173とで電極体120を支持することができるため、電極体120の支持に使用されない第三部分174の厚みを薄くすることで、部品材料の低減によるコスト低減を図ることができる。
【0125】
(変形例4)
次に、本実施の形態の変形例4について説明する。上記実施の形態及びその変形例では、底面スペーサの第一部分の側面部及び外面部と、第二部分の側面部及び外面部とは平面形状を有していることとした。しかし、本変形例4では、底面スペーサの側面部及び外面部は曲面形状を有する。
【0127】
図13Aに示すように、底面スペーサ170Bは、第一部分175と第二部分176とを備えている。そして、第一部分175は、上面に内面部175aと、側面に2つの側面部175bと、底面に外面部175cとを備えている。同様に、第二部分176は、上面に内面部176aと、側面に2つの側面部176bと、底面に外面部176cとを備えている。
【0128】
ここで、これらの2つの側面部175b、外面部175c、2つの側面部176b、外面部176cは、曲面形状を有している。つまり、側面部175bは、内面部175aの両側に配置される曲面形状の面であり、外面部175cは、絶縁材180に対向して2つの側面部175bの間に配置される曲面形状の面である。また、側面部176bは、内面部176aの両側に配置される曲面形状の面であり、外面部176cは、絶縁材180に対向して2つの側面部176bの間に配置される曲面形状の面である。
【0129】
そして、このような底面スペーサ170Bを有する蓄電素子の製造過程においては、
図13Bに示すように、まず、底面スペーサ170Bを絶縁材180上の電極体120の側方に載置し、
図13Cに示すように、絶縁材180を電極体120に巻きつけるように底面スペーサ170Bとともに持ち上げ、絶縁材180を電極体120に巻きつけていく。
【0130】
この際、底面スペーサ170Bは、側面部及び外面部が曲面で形成されているため、絶縁材180をスムーズに折り曲げることができる。そして、底面スペーサ170Bは、絶縁材180と電極体120とともに、容器100内に挿入される。
【0131】
なお、底面スペーサ170Bの側面部及び外面部は、全部が曲面形状を有していることには限られず、曲面形状を有しているのは、2つの側面部175b、外面部175c、2つの側面部176b、外面部176cのうちの一部であってもよい。
【0132】
(変形例5)
次に、本実施の形態の変形例5について説明する。上記実施の形態及びその変形例では、側面スペーサと底面スペーサとは別体であった。しかし、本変形例5では、スペーサが、側面スペーサとして機能する側面部と、底面スペーサとして機能する底面部とを有する。
図14は、本発明の実施の形態の変形例5に係る蓄電素子が備えるスペーサ165を説明するための図である。
【0133】
図14に示すように、変形例5に係る蓄電素子が備えるスペーサ165は、側面スペーサとして機能する側面部165aと、底面スペーサとして機能する底面部165bとを有する。この蓄電素子のスペーサ165以外の構成要素は、
図9に示した蓄電素子12に含まれる構成要素と類似するため、詳細な説明は省略する。
【0134】
側面部165aは、容器の側壁に沿って配置される。底面部165bは、容器の底面に沿って配置される。側面部165aは、底面部165bとは略直交する方向に延びている。このスペーサ165は、
図9に示す電極体120に組み付けられた後、絶縁材182によりその底面部165bが電極体120とともに包み込まれる。
【0135】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。
【0136】
つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0137】
例えば、上記実施の形態では、底面スペーサ170は、第一部分171と、第一部分171よりも厚みが薄い第二部分172とを有していることとした。しかし、底面スペーサ170は、第一部分171と、第一部分171よりも硬度が低い第二部分172とを有していることにしてもよい。また、底面スペーサ170は、第二部分172を有しておらず、第一部分171のみ有していることにしてもよい。これらの構成によっても、底面スペーサ170は、電極体120の膨張を許容しつつ、電極体120を支持することができる。