(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地上側に設けられ電力を送信する少なくとも一つの送電装置と、車両に設けられ前記送電装置より送信された電力を受信して電気負荷に供給する受電装置と、を備えた非接触給電システムにおいて、
前記送電装置は、
駐車スペースに設けられ、電力を送信する送電コイルと、
前記送電コイルへ供給する電力を制御する給電制御部と、
前記受電装置との間で通信を行う送電側通信部と、を備え、
前記受電装置は、
前記送電コイルより送信された電力を受信し、受信した電力をコンデンサを介して前記電気負荷に供給する受電コイルと、
前記受電コイルによる電力の受信を制御する受電制御部と、
前記送電装置との間で通信を行う受電側通信部と、を備え、
前記給電制御部は、車両が前記駐車スペースに接近した際に、識別データを含む励磁パターンで前記送電コイルを励磁する第1励磁とし、
前記受電制御部は、車両が前記駐車スペースに接近した後に前記コンデンサをプリチャージし、且つ、送電コイルが第1励磁とされた際に前記識別データを取得し、且つ、この識別データを前記送電装置に送信し、
前記給電制御部は、前記励磁パターンに含めた識別データと、前記受電制御部にて取得した識別データが一致した場合、送電装置と受電装置をペアリングすること
を特徴とする非接触給電システム。
前記受電コイルの周囲に設けられ、該受電コイルに流れる電流に影響されることなく前記送電コイルより送信される電力を受信する少なくとも一つの周辺サブコイルを更に備え、
前記受電制御部は、前記送電コイルが第1励磁とされた際に、前記周辺サブコイルにて受信された電力より前記識別データを取得し、且つ、この識別データを前記送電装置に送信し、
前記送電コイルが、駐車スペースの充電可能位置に車両が存在するか否かを判断するための第2励磁とされた際には、前記中央サブコイルで受信される電力から、前記車両が駐車スペースの充電可能位置に存在するか否かを判断すること
を特徴とする請求項7に記載の非接触受電装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態の説明]
図1は、本発明の第1実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この非接触給電システムは、地上側の駐車設備に設けられる複数の送電装置と(
図1では、一例として2つの送電装置101,101aを示している)、車両20に搭載される受電装置102を備えている。
【0010】
送電装置101は、車両20を駐車するための駐車スペースを備えている。また、地上ユニット51と、駐車スペースの地面に設置された送電コイル11と、駐車スペースに車両20が接近した際にこれを検出する車両検出センサ33を備えている。なお、
図1では、一例として2つの地上ユニット51,51aを示している。本発明はこれに限定されるものではなく、3以上の地上ユニットを備える場合ついても適用することができる。
【0011】
地上ユニット51は、送電コイル11に電流を通電して励磁するパワーユニット12と、該パワーユニット12の作動を制御する地上コントローラ13(給電制御部)と、受電装置102との間で無線通信を行う通信部14(送電側通信部)と、を備えている。また、送電装置101aについても同様の構成を有しており、地上ユニット51a、送電コイル11a、及び車両検出センサ33aを備えている。なお、地上コントローラ13は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
【0012】
車両20に搭載される受電装置102は、車両20の底部適所に設置された受電コイル21と、該受電コイル21にて受信される交流電圧を直流化し、且つ平滑化する整流平滑回路22と、を備えている。更に、整流平滑回路22の作動を制御する車両コントローラ24(受電制御部)と、受電コイル21にて受信された電圧を充電するバッテリ23(電気負荷)と、地上ユニット51との間で通信を行う通信部25(受電側通信部)と、を備えている。受電コイル21は、車両20が駐車スペースの所定位置に駐車された際に、上述した送電コイル11と互いに向き合う位置となるように配置されている。そして、該受電コイル21にて受信した電力はバッテリ23に供給される。即ち、受信した電力を駆動力として車両20に供給する。
【0013】
受電コイル21は、
図6に示すように、フェライトコア61に螺旋状に巻回されている。更に、該フェライトコア61の中央部には、サブコイルSC1(中央サブコイル)が巻回されている。該サブコイルSC1は、車両20が移動して駐車スペースの所定位置に接近した際に、送電コイル11より出力される電磁信号を受信し、車両コントローラ24に出力する。即ち、サブコイルSC1は、受電コイル21の近傍に設けられ、送電コイル11より送信された電力を受信する中央サブコイルとしての機能を備えている。なお、車両コントローラ24は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶部からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
【0014】
図2は、車両20と複数の駐車スペース32,32aとの関係を示す説明図である。本実施形態では、各駐車スペース32,32aに設けられる地上ユニット51,51aと車両20に搭載される受電装置102との間で無線通信を行うことにより、受電装置102と該車両20が駐車する駐車スペース32に対応する送電装置101とをペアリングする処理を行う。そして、車両20とペアリングされた送電装置101の送電コイル11を通電して電力を送信し、受電装置102はこの電力を受信して、車両20に搭載されたバッテリ23(
図3参照)を充電する。
【0015】
図3は、
図1に示したパワーユニット12、送電コイル11、受電コイル21、整流平滑回路22、サブコイルSC1、及びその周辺機器の詳細な構成を示す回路図である。
図3に示すように、パワーユニット12は、複数のスイッチ回路(例えば、半導体素子等)からなるインバータ回路31を備えている。そして、地上コントローラ13(
図1参照)の制御により各スイッチ回路のオン、オフを制御して、直流電源15より供給される直流電圧Vinを所定の周波数の交流電圧に変換する。
【0016】
送電コイル11には、抵抗R1及びコンデンサC1が接続されており、該送電コイル11にパワーユニット12より出力される交流電圧を印加して電流を流すことにより、送電コイル11を後述するペアリング用の励磁である第1励磁、及び車両20の位置合わせのための励磁である第2励磁とすることができる。更に、
図1に示すように、送電コイル11と受電コイル21が互いに向き合うように配置された場合には、送電コイル11をバッテリ充電用の励磁である第3励磁とすることにより、受電コイル21にバッテリ充電用の電力を送信する。
【0017】
受電コイル21は、コンデンサC2及び抵抗R2に接続されており、送電コイル11より送信された電力を受信する。整流平滑回路22は、複数のダイオードからなるブリッジ回路、及びコンデンサC3を有しており、受電コイル21で受信した交流電圧を直流電圧に変換し、更に、平滑化してバッテリ23に供給する。
【0018】
コンデンサC3とバッテリ23との間には、リレーX1,X2,X3が設けられている。即ち、バッテリ23のプラス極とコンデンサC3の一端はリレーX1を介して接続され、バッテリ23のマイナス極とコンデンサC3の他端はリレーX2を介して接続されている。更に、リレーX1に対して並列に、リレーX3と抵抗R4の直列接続回路が接続されている。そして、各リレーX1〜X3は、
図1に示す車両コントローラ24によりオン、オフが制御される。
【0019】
サブコイルSC1は、送電コイル11より出力される電磁信号を受信した場合に、この電磁信号を車両コントローラ24に出力する。即ち、車両20が駐車スペース32内に進入している際に、車両20の移動に伴ってサブコイルSC1が送電コイル11に接近し、該送電コイル11より出力される電磁信号が、サブコイルSC1にて受信された場合に、この電磁信号を受信して車両コントローラ24に出力する。
【0020】
図4は、車両20の底部に搭載される受電コイル21とサブコイルSC1の配置、及びサブコイルSC1の受信可能領域Q1を示す説明図である。
図4に示すように、受電コイル21の近傍にサブコイルSC1が設けられている。詳細には、
図6に示したように、サブコイルSC1は、受電コイル21と同一のコアに巻回されている。
【0021】
また、サブコイルSC1は
受信可能領域Q1に存在する電磁信号を受信できる。つまり、受信可能領域Q1が送電コイル11の励磁範囲と重複する位置となった場合に、サブコイルSC1は該送電コイル11より出力される電磁信号を受信することができる。
【0022】
そして、本実施形態では、車両20が駐車スペース32に接近した際に、送電コイル11を第1励磁とする。第1励磁では、後述するように、ペアリング信号を含む電磁信号を出力する。また、車両コントローラ24は、リレーX2,X3をオン、X1をオフとして、コンデンサC3をプリチャージ(充電)する。即ち、バッテリ23とコンデンサC3を、抵抗R4を介して接続することにより、コンデンサC3をプリチャージする。そして、送電コイル11より送信される電磁信号をサブコイルSC1で受信し、この電磁信号に含まれるペアリング信号を用いて、車両20と地上ユニット51との間でペアリングを行う。
【0023】
ここで、コンデンサC3をプリチャージする理由について説明する。
図4に示したように、サブコイルSC1は受電コイル21の近傍に設けられている。即ち、
図6に示したように、フェライトコア61に受電コイル21が螺旋状に巻回され、更に、該フェライトコア61の中央部にサブコイルSC1が巻回されている。この際、
図3に示したように、受電コイル21は、平滑用のコンデンサC3に接続されているので、該コンデンサC3が充電されていない場合には、サブコイルSC1で受信される電圧がコンデンサC3に供給されてしまい、サブコイルSC1に生じる電圧の上昇が遅くなる。これは、サブコイルSC1が受電コイル21と同一のコアに巻回されている場合のみならず、サブコイルSC1が受電コイルに近接して配置されている場合についても起こり得る。
【0024】
これを、
図7に示す特性図を参照して説明する。
図7は、受電コイル21及びサブコイルSC1に発生する電圧の変化を示しており、曲線q1はコンデンサC3を時刻t0にてプリチャージした場合の受電コイル21に生じる電圧の変化を示している。また、曲線q3はコンデンサC3をプリチャージしない場合の受電コイル21に生じる電圧の変化を示し、曲線q2はコンデンサC3を時刻t0にてプリチャージした場合のサブコイルSC1に生じる電圧の変化を示し、曲線q4はコンデンサC3をプリチャージしない場合のサブコイルSC1に生じる電圧の変化を示している。
【0025】
曲線q4に示すように、コンデンサC3をプリチャージしない場合には、時刻t2においてサブコイルSC1の受信可能領域Q1と送電コイル11の励磁範囲が重複すると、サブコイルSC1に生じる電圧は徐々に上昇して一定のレベルに到達する。この際、時刻t5の時点でサブコイルSC1に生じる電圧が第1閾値電圧Vth1に達するので、この時刻t5からペアリング処理が開始されることになる。つまり、コンデンサC3がプリチャージされていない場合には、サブコイルSC1に生じる電圧がコンデンサC3の充電に消費されるため、該サブコイルSC1で受信されるペアリング信号の電圧レベルが第1閾値電圧Vth1に達するまでに長時間を要する。
【0026】
一方、曲線q2に示すように、コンデンサC3をプリチャージした場合には、時刻t2においてサブコイルSC1の受信可能領域Q1と送電コイル11の励磁範囲が重複すると、サブコイルSC1に生じる電圧は急激に上昇して一定のレベルに到達する。つまり、コンデンサC3をプリチャージすることにより、サブコイルSC1に生じる電圧がコンデンサC3に供給されなくなるので、サブコイルSC1に生じる電圧は、即時に第1閾値電圧Vth1に達する。具体的には、
図7に示す時刻t3にて第1閾値電圧Vth1に達する。従って、ペアリング処理を即時に実施することが可能となる。
【0027】
また、受電コイル21についても同様に、コンデンサC3をプリチャージしない場合には、曲線q3に示すように、時刻t2において受電コイル21の受信可能領域Q0(後述する
図18参照)と送電コイル11の励磁範囲が重複すると、受電コイル21に生じる電圧は徐々に上昇して一定のレベルに到達する。この際、時刻t4の時点で受電コイル21に生じる電圧が第1閾値電圧Vth1に達するので、この時刻t4からペアリング処理が開始されることになる。
【0028】
これに対して、コンデンサC3を時刻t0にてプリチャージした場合には、この時刻t0において受電コイル21に生じる電圧が上昇し、時刻t1にて所定の電圧レベルに達する。従って、時刻t2において受電コイル21の受信可能領域Q0と送電コイル11の励磁範囲が重複すると、この時点で受電コイル21に生じる電圧は既に第1閾値電圧Vth1を上回っているので、ペアリング処理を開始することができる。
【0029】
このように、サブコイルSC1及び受電コイル21の受信可能領域Q1,Q0が、送電コイル11に接近する前の時点でコンデンサC3をプリチャージすることにより、サブコイルSC1、或いは受電コイル21で受信される電圧が即時に第1閾値電圧Vth1に達するので、ペアリング処理を迅速に実行することが可能となる。
【0030】
そして、上記の処理により、地上ユニット51の送電コイル11と車両20の受電コイル21とのペアリングが完了すると、送電コイル11を第2励磁とする。このとき、サブコイルSC1にて受信される電磁信号のレベルから、車両20が駐車スペース32内の所定位置に駐車しているか否かを判断する。その後、車両20が駐車スペース32内の所定位置に駐車していると判断された場合には、送電コイル11を第3励磁として、バッテリ23に充電用の電力を供給する。
【0031】
ここで、第2励磁とする際に送電コイル11に供給する電力は、第1励磁とする際に送電コイル11に供給する電力よりも大きくしている。これは、送電コイル11が第1励磁とされているときに、車両コントローラ24が第2励磁であると誤認識することを防止するためである。
【0032】
次に、
図5に示すデータ列を参照して、第1励磁について説明する。第1励磁では、スタートビット、ID、データ長コード、識別データ、サム値、終了ビットのデータ列からなるペアリング信号を含むパターンで送電コイル11を励磁する。従って、送電コイル11より出力される電磁信号は、
図5に示すペアリング信号を含むことになる。
【0033】
ペアリング信号に含まれる識別データには、各地上ユニット毎に割り当てられた固有のビット列が設定される。例えば、4ビットのデータとした場合には任意の地上ユニットに対して「1、0、1、0」が設定される。地上コントローラ13は、
図5に示すペアリング信号が含まれるように、送電コイル11を励磁する。即ち、第1励磁では、ペアリング信号を含む励磁パターンで送電コイル11を励磁する。
【0034】
送電コイル11が励磁されると、サブコイルSC1の受信可能領域Q1が送電コイル11の励磁範囲と重複する位置に到達した際に、該サブコイルSC1にてペアリング信号が受信され、このペアリング信号は、
図1に示す車両コントローラ24に供給される。
【0035】
車両コントローラ24では、サブコイルSC1で受信されたペアリング信号から、識別データを読み取る。そして、読み取った識別データを、通信部25より通信部14に送信し、地上コントローラ13は、送電コイル11より送信した識別データと、通信部14で受信した識別データとの一致、不一致を判断する。そして、両者が一致した場合に、この受電装置102と送電装置101をペアリングする。
【0036】
次に、車両20が駐車スペース32に接近し、その後、駐車スペース32内の所定位置に停車するまでの動作について、
図8,
図9に示すフローチャート、及び
図10〜
図13に示す説明図を参照して説明する。
【0037】
図10は、車両20が駐車枠34で囲まれる駐車スペース32内に接近している状態を示している。この際、地上コントローラ13は待機中とされ(
図8のステップa11)、車両コントローラ24は駐車スペース32に接近中である(ステップb11)。そして、通信部25よりLAN(Local_Area_Network)等の通信により、車両IDを含む無線信号を送信する(ステップb12)。
【0038】
地上ユニット51の通信部14は、この無線信号を受信すると、該無線信号に含まれる車両IDが正規の車両IDであることを認識する(ステップa13)。その後、地上ユニット51を起動させ(ステップa14)、地上ユニット51が起動したことを無線信号にて車両コントローラ24に通知する(ステップa15)。
【0039】
車両コントローラ24は、ディスプレイ(図示省略)への表示等により地上ユニット51が起動したことを車両20の運転者に通知する(ステップb13)。その結果、運転者は地上ユニット51が起動したことを認識できる。更に、車両コントローラ24は、
図3に示したリレーX2,X3をオン、X1をオフとして、バッテリ23とコンデンサC3を接続する。これにより、バッテリ23からコンデンサC3に電力が供給され、コンデンサC3がプリチャージされる(ステップb13a)。車両コントローラ24は、ペアリング信号待ちとなる(ステップb14)。
【0040】
地上ユニット51が起動すると、地上コントローラ13は、車両検出センサ33を起動させる(ステップa16)。地上コントローラ13は車両20の接近待ち状態となる(ステップa17)。
【0041】
その後、
図11に示すように、車両20の一部が駐車スペース32内に侵入すると(ステップb15)、車両20が駐車スペース32内に侵入したことが、車両検出センサ33により検出される(ステップa18)。地上コントローラ13は、ペアリング信号を含む励磁パターンで送電コイル11を励磁する。即ち、送電コイル11を、前述した第1励磁としてペアリング信号を送信する(
図9のステップa19)。更に、第1励磁を継続させる(ステップa20)。このとき、車両コントローラ24は、ペアリング信号待ち状態とされる(ステップb16)。
【0042】
その後、
図12に示すように、車両20が駐車スペース32内の送電コイル11に接近し、更にサブコイルSC1の受信可能領域Q1が送電コイル11の励磁範囲と重複する位置に達すると、
受信可能領域Q1が送電コイル11の励磁範囲に進入するので(
図9のステップb17)、サブコイルSC1にてペアリング信号が受信され、車両コントローラ24は、このペアリング信号に含まれる識別データを認識する(ステップb18)。
【0043】
車両コントローラ24は、認識した識別データを、通信部25より送信し、地上コントローラ13に対してペアリングを要求する(ステップb19)。地上コントローラ13は、ペアリング要求を受信し(ステップa21)、更に、識別データを受信する。そして、第1励磁で送信したペアリング信号に含まれる識別データと、車両コントローラ24より送信された識別データの一致、不一致を判断する。そして、両者が一致した場合には、受電装置102と送電装置101をペアリングする(ステップa22)。その後、地上コントローラ13は、充電可能位置判断制御を開始する(ステップa23)。車両コントローラ24は、ペアリングされたことを認識し(ステップb20)、充電可能位置判断制御を開始する(ステップb21)。
【0044】
地上コントローラ13は、送電コイル11を第2励磁とするように、該送電コイル11に流れる電流を制御する(ステップa24)。その後、バッテリ23の充電に移行する(ステップa25)。車両コントローラ24は、受電コイル21と同一のコアに設けられているサブコイルSC1で受信される電圧の大きさを判断する(ステップb22)。この受電電圧判断処理の詳細については、後述する。
【0045】
そして、
図13に示すように、車両20が駐車スペース32内の所定位置に停車した場合、即ち、送電コイル11と受電コイル21が重複する位置に達した場合には、送電コイル11を第3励磁としてバッテリ23の充電に移行する(ステップb23)。この際、
図3に示したリレーX1,X2をオンとし、リレーX3をオフとする。
【0046】
次に、
図9のステップb22に示した受電電圧判断処理の詳細な手順を、
図14に示すフローチャートを参照して説明する。受電電圧判断処理が開始されると、地上コントローラ13は、送電コイル11を第2励磁とする。即ち、前述した第1励磁よりも高い電圧で送電コイル11を励磁し、該送電コイル11より電力を送信する。
【0047】
図14のステップS11において、受電コイル21に併設されたサブコイルSC1が第2励磁による電力を受信する。車両コントローラ24は、この電力による電圧が予め設定した第2閾値電圧Vth2(>Vth1)に達しているか否かを判断する。
【0048】
そして、第2閾値電圧Vth2に達していない場合には(ステップS12でNO)、車両20の停車位置が所定位置に達していないと判断し、ステップS13においてその旨を運転者に通知し、ステップS11に処理を戻す。
【0049】
一方、サブコイルSC1で受信される電圧が第2閾値電圧Vth2に達している場合には(ステップS12でYES)、車両20は所定位置に
達したものと判断する。そして、ステップS14において、車両の停車位置が充電可能位置に到達していることをディスプレイ(図示省略)等に表示して、運転者に通知する。運転者は、この表示を見ることにより、車両20を停止させる。
【0050】
即ち、送電コイル11とサブコイルSC1が重複する面積の大きさが大きいほど、サブコイルSC1で受信される電圧が増加する。従って、サブコイルSC1で受信される電圧を監視することにより、駐車スペース32内の所定位置(充電可能な位置)に車両20が停車しているか否かを判断することができる。
【0051】
ステップS15において、運転者による充電開始要求が入力されたか否かを判断する。そして、充電開始要求が入力された場合には(ステップS15でYES)、ステップa25,b23(
図9参照)において、バッテリ23の充電を開始する。
【0052】
上記の処理を、
図15(a),(b)を参照して説明する。
図15(a)は送電コイル11に励磁される電圧変化を示す波形図、
図15(b)はサブコイルSC1で受信される電圧変化を示す波形図である。
図15(a)に示す時刻t0にて送電コイル11を第1励磁とする。即ち、送電コイル11をペアリング信号を含む励磁パターンで励磁する。サブコイルSC1では、
図15(b)に示すように、時刻t0にてペアリング信号が受信され、更に、受信信号の強度が強くなり、時刻t1にてペアリングが行われる。その後、時刻t2にて送電コイル11を第1励磁から第2励磁に切り替える。車両20は駐車スペース32に対して移動しているので、受電コイル21で受信される電圧は
図15(b)に示すように変動する。そして、受信電圧が予め設定した第2閾値電圧Vth2に達した場合に、車両20が充電可能位置に達していると判断し、バッテリ23の充電に移行する。
【0053】
このようにして、第1実施形態に係る非接触給電システムでは、車両20が駐車スペース32に接近した後にコンデンサC3をプリチャージする。従って、送電コイル11が第1励磁とされてペアリング信号が送信された場合には、車両コントローラ24は、コンデンサC3の影響を受けることなく、ペアリング信号に含まれる識別データを取得できる。その結果、送電装置101と受電装置102のペアリングを迅速に行うことができる。
【0054】
また、コンデンサC3がプリチャージされるので、サブコイルSC1がペアリング信号を受信した場合には、コンデンサC3の影響を受けることなく、該サブコイルSC1の受信信号の電圧は即時に上昇する。その結果、送電コイル11が第1励磁とされてペアリング信号が送信された際には、サブコイルSC1に生じる電圧は即時に上昇するので、ペアリング信号を即時に取得することができ、送電装置101と受電装置102のペアリングを迅速に行うことができる。
【0055】
[第2実施形態の説明]
次に、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、サブコイルSC1で受信されるペアリング信号に基づいて、受電装置102と送電装置101をペアリングする例について説明した。第2実施形態では、サブコイルSC1を搭載せず、受電コイル21でペアリング信号を受信し、このペアリング信号に基づいて、受電装置102と送電装置101とのペアリングを行う。
【0056】
図16は、第2実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図、
図17は、
図16に示したパワーユニット12、送電コイル11、受電コイル21、整流平滑回路22、及びその周辺機器の詳細な構成を示す回路図である。また、
図18は、車両20の底部に設けられる受電コイル21及びその周囲の
受信可能領域Q0を示す説明図である。
【0057】
第2実施形態に係る非接触給電システムは、
図1,
図3に示した第1実施形態と対比して、サブコイルSC1が搭載されていない点、及び電圧計71(
図17参照)が設けられている点で相違する。それ以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、同一符号を付して構成説明を省略する。
【0058】
電圧計71は、受電コイル21に発生する電圧を測定し、測定した電圧データを、
図16に示す車両コントローラ24に送信する。
【0059】
そして、第2実施形態に係る非接触給電システムでは、受電コイル21の受信可能領域Q0(
図18参照)が送電コイル11の励磁範囲と重複する前に、
図17に示すリレーX2,X3をオン、X1をオフとしてコンデンサC3をプリチャージする。その後、受信可能領域Q0が送電コイル11の励磁範囲と重複した際に、送電コイル11より送信されるペアリング信号が受電コイル21にて受信され、該受電コイル21に生じる電圧が電圧計71で測定される。このペアリング信号は、車両コントローラ24に供給される。
【0060】
そして、受電コイル21で受信したペアリング信号に含まれる識別データと、地上コントローラ13より出力したペアリング信号に含まれる識別データが一致した場合に、受電装置102と送電装置101をペアリングする。
【0061】
また、前述した第1実施形態と同様に、受信可能領域Q0が送電コイル11の励磁範囲と重複する前に、コンデンサC3がプリチャージされるので、
図7の曲線q1に示したように、時刻t1の時点で受電コイル21に生じる電圧は第1閾値電圧Vth1に達しているので、即時にペアリング処理を実行することが可能となる。
【0062】
このようにして、第2実施形態に係る非接触給電システムでは、車両20が駐車スペース32に接近した後にコンデンサC3をプリチャージする。従って、受電コイル21がペアリング信号を受信した場合には、コンデンサC3の影響を受けることなく、該受電コイル21の受信信号の電圧は即時に上昇する。その結果、送電コイル11が第1励磁とされてペアリング信号が送信された際には、受電コイル21に生じる電圧は即時に上昇するので、ペアリング信号を即時に取得することができ、受電装置102と送電装置101のペアリングを迅速に行うことができる。
【0063】
[第3実施形態の説明]
次に、第3実施形態について説明する。前述した第1実施形態では、受電コイル21に併設したサブコイルSC1を用いて、送電コイル11より送信されるペアリング信号を受信し、受電装置102と送電装置101をペアリングする例について説明した。これに対して、第3実施形態では、複数のサブコイルを搭載し、各サブコイルを用いてペアリング信号を受信することにより、迅速なペアリングを行う。また、ペアリングが完了した後に、コンデンサC3をプリチャージすることにより、第2励磁による位置合わせを迅速に行う。以下、詳細に説明する。
【0064】
図19は、第3実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
図19に示すように、第3実施形態に係る非接触給電システムでは、前述した第1実施形態と対比して、受電装置102がサブコイルSC1に加えて、サブコイルSC2〜SC4を備えている点で相違する。なお、
図19において、
図1と同一部分には同一符号を付して構成説明を省略する。
【0065】
図20は、
図19に示したパワーユニット12、送電コイル11、受電コイル21、サブコイルSC1〜SC4、整流平滑回路22、及びその周辺機器の詳細な構成を示す回路図であり、
図3に示した回路図と対比して、サブコイルSC1に加えサブコイルSC2〜SC4を備えている点で相違する。なお、
図20において、
図3と同一部分には同一符号を付して構成説明を省略する。
【0066】
図21は、車両底部に搭載される受電コイル21及びサブコイルSC1〜SC4の配置を示す説明図である。
図21に示すように、車両前方側の底部にはサブコイルSC2が搭載され、車両後方側の底部には、2個のサブコイルSC3,SC4が設けられている。そして、各サブコイルSC2〜SC4は、サブコイルSC1と同様に、車両コントローラ24(
図19参照)に接続されている。サブコイルSC2〜SC4は、受電コイル21の周囲に設けられ、該受電コイル21に流れる電流に影響されることなく送電コイル11より送信された電力を受信する周辺サブコイルとしての機能を備えている。
【0067】
次に、第3実施形態に係る非接触給電システムの作用を、
図22,
図23に示すフローチャート、及び
図24〜
図27に示す説明図を参照して説明する。
図24は、車両20が駐車枠34にて囲まれる駐車スペース32内に接近している状態を示している。この際、地上コントローラ13は待機中とされ(
図22のステップa11)、車両コントローラ24は駐車スペース32に接近中である(ステップb11)。そして、通信部25よりLAN(Local_Area_Network)等の通信により、車両IDを含む無線信号を送信する(ステップb12)。
【0068】
地上ユニット51の通信部14は、この無線信号を受信すると、該無線信号に含まれる車両IDが正規の車両IDであることを認識する(ステップa13)。その後、地上ユニット51を起動させ(ステップa14)、地上ユニット51が起動したことを無線信号にて車両コントローラ24に通知する(ステップa15)。
【0069】
車両コントローラ24は、ディスプレイ(図示省略)への表示等により地上ユニット51が起動したことを車両20の運転者に通知する(ステップb13)。その結果、運転者は地上ユニット51が起動したことを認識できる。車両コントローラ24は、ペアリング信号待ちとなる(ステップb14)。
【0070】
地上ユニット51が起動すると、地上コントローラ13は、車両検出センサ33を起動させる(ステップa16)。地上コントローラ13は車両20の接近待ち状態となる(ステップa17)。
【0071】
その後、
図25に示すように、車両20の一部が駐車スペース32の駐車枠34内に侵入すると(ステップb15)、車両検出センサ33により、車両20が駐車スペース32内に侵入したことが検出される(ステップa18)。地上コントローラ13は、ペアリング信号を含む励磁パターンで送電コイル11を励磁する。即ち、送電コイル11を、前述した第1励磁としてペアリング信号を送信する(
図23のステップa19)。更に、第1励磁を継続させる(ステップa20)。このとき、車両コントローラ24は、ペアリング信号待ち状態とされる(ステップb16)。
【0072】
その後、
図26に示すように、車両20が駐車スペース32内の送電コイル11に接近し、サブコイルSC4の受信可能領域Q4が送電コイル11の励磁範囲と重複する位置に達すると、
受信可能領域Q4が送電コイル11の励磁範囲に進入するので(
図23のステップb17)、サブコイルSC4にてペアリング信号が受信され、車両コントローラ24は、このペアリング信号に含まれる識別データを認識する(ステップb18)。
【0073】
車両コントローラ24は、認識した識別データを、通信部25より送信し、地上コントローラ13に対してペアリングを要求する(ステップb19)。地上コントローラ13は、識別データを受信し(ステップa21)、第1励磁で送信したペアリング信号に含まれる識別データと、車両コントローラ24より送信された識別データの一致、不一致を判断する。そして、両者が一致した場合には、受電装置102と送電装置101をペアリングする(ステップa22)。
【0074】
ペアリング処理では、複数のサブコイルでペアリング信号が受信された場合には、各サブコイルで受信されるペアリング信号に含まれる識別データを合成して合成データを生成する。例えば、2つのサブコイルSC3及びSC4でペアリング信号が受信された場合には、各ペアリング信号に含まれる識別データのORを演算し、この演算結果を合成データとする。そして、この合成データと、送電コイル11より送信したペアリング信号の識別データとの一致を判断する。
【0075】
これを、
図28に示す波形図を参照して説明する。
図28(a)は送電コイル11に励磁される電圧変化を示す波形図、
図28(b)は2つのサブコイルSC3,SC4で受信される電圧を合成した電圧の変化を示す波形図、
図28(c)はサブコイルSC1で受信される電圧の変化を示す波形図である。
【0076】
例えば、
図28(a)に示すように、時刻t0〜t1の時間帯にて送電コイル11よりペアリング信号が送信され、
図28(b)に示すように、2つのサブコイルSC3,SC4の合成データが取得された場合には、これらの一致を判断する。そして、送電コイル11より送信したペアリング信号に含まれる識別データと、2つのサブコイルSC3,SC4の合成データが一致した場合には、ペアリングが完了する。
【0077】
その後、地上コントローラ13は、充電可能位置判断制御を開始する(
図23のステップa23)。車両コントローラ24は、ペアリングされたことを認識すると(ステップb20)、
図20に示したリレーX2,X3をオン、X1をオフとして、コンデンサC3をプリチャージする(ステップb20a)。その後、充電可能位置判断制御を開始する(ステップb21)。
【0078】
地上コントローラ13は、送電コイル11を第2励磁とするように、該送電コイル11に流れる電流を制御する(ステップa24)。その後、バッテリ23の充電に移行する(ステップa25)。車両コントローラ24は、受電コイル21の近傍に設けられているサブコイルSC1で受信される電圧の大きさを判断する(ステップb22)。この受電電圧判断処理は、
図14にて示した処理と同一である。
【0079】
即ち、
図28(a)〜(c)に示すように、時刻t1にてペアリングが完了し、時刻t2にて送電コイル11が第1励磁から第2励磁に切り替えられると、初めに
図28(b)に示す合成電圧が上昇し、その後、車両20が移動すると、
図28(c)に示すようにサブコイルSC1の受信電圧が上昇する。そして、サブコイルSC1の受信電圧が予め設定した第2閾値電圧Vth2に達した場合に、車両20が充電可能位置に達していると判断する。
【0080】
この際、
図23のステップb20aの処理で、コンデンサC3をプリチャージしているので、ステップb22の受電電圧判断処理では、サブコイルSC1で受信される電圧がコンデンサC3に供給されることを防止できる。このため、サブコイルSC1に生じる電圧が即時に上昇し、充電可能位置を迅速に判断することができる。
【0081】
その後、
図27に示すように、車両20が駐車スペース32内の所定位置に停車した場合、即ち、送電コイル11と受電コイル21が互いに向き合う位置に達した場合には、バッテリ23の充電を開始する(ステップb23)。
【0082】
このようにして、第3実施形態に係る非接触給電システムでは、車両20の底面に複数のサブコイルSC1〜SC4を搭載している。また、車両20が駐車スペース32に接近すると、送電コイル11が第1励磁とされ、ペアリング信号が送信される。そして、このペアリング信号がサブコイルSC1〜SC4の少なくとも一つで受信されると、このペアリング信号に含まれる識別データと、送電コイル11より送信されたペアリング信号に含まれる識別データとの一致が判断され、一致した場合には、受電装置102と送電装置101がペアリングされる。
【0083】
従って、車両20が駐車スペース32内の所定位置に停車する前の時点で、車両20と駐車スペース32をペアリングすることが可能となる。その結果、その後の充電位置を合わせる操作、及びバッテリ23を充電する操作に迅速に移行させることができる。
【0084】
また、コンデンサC3がプリチャージされるので、送電コイル11が第2励磁とされた場合には、コンデンサC3の影響を受けることなくサブコイルSC1にて受信される電圧レベルが上昇する。従って、車両20が充電可能な位置に停車しているか否かの判断を迅速に行うことができる。
【0085】
また、ペアリングが完了した後にプリチャージすることにより、ペアリングが完了したけれども、運転者の都合で駐車スペース32から車両20を離脱させる場合には、不要なプリチャージが行われることを防止できる。
【0086】
以上、本発明の非接触給電システム、及び非接触受電装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0087】
例えば、前述した実施形態では、電気負荷としてバッテリ23を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、電動機を電気負荷とすることができる。