特許第6237892号(P6237892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237892
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20171120BHJP
   H01M 2/06 20060101ALI20171120BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20171120BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20171120BHJP
   H01G 9/12 20060101ALI20171120BHJP
   H01G 11/16 20130101ALN20171120BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/06 A
   H01M2/08 A
   H01G11/74
   H01G9/12 C
   !H01G11/16
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-514760(P2016-514760)
(86)(22)【出願日】2015年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2015055963
(87)【国際公開番号】WO2015163004
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2016年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-89298(P2014-89298)
(32)【優先日】2014年4月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南形 厚志
(72)【発明者】
【氏名】奥田 元章
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/154166(WO,A1)
【文献】 特開2014−017051(JP,A)
【文献】 特開2014−002901(JP,A)
【文献】 特開2012−038529(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/041988(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01M 2/06
H01M 2/08
H01G 9/12
H01G 11/74
H01G 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に収容された電極と、
前記ケースに固定され、前記電極との間で電気を授受する電極端子と、
前記ケース内の圧力が所定値を超えたときに前記電極と前記電極端子の間の導通を遮断する電流遮断装置と、を有する蓄電装置であって、
前記電流遮断装置は、
前記ケースに固定されているとともに前記電極端子に接続されている第1通電部材と、
前記第1通電部材と間隔をおいて前記第1通電部材に対向する位置に配置されており、前記電極に接続されている第2通電部材と、
前記第1通電部材と前記第2通電部材の間に配置されているとともに、端部が前記第1通電部材に接続されており、中央部が前記第2通電部材に接続されており、前記ケース内の圧力が所定値を超えたときに前記第2通電部材と非導通になる変形部材と、
前記第1通電部材と前記第2通電部材の間に配置されており、前記電流遮断装置の内部を前記電流遮断装置の外部から気密に保つ第1シール部材と、を備えており、
前記ケースと前記第1通電部材の間に、前記ケースの内部を前記ケースの外部から気密に保つ第2シール部材が配置されており、
前記第2シール部材によってシールされている前記ケースと前記第1通電部材の間のガス透過性が、前記第1シール部材によってシールされている前記第1通電部材と前記第2通電部材の間のガス透過性より大きい蓄電装置。
【請求項2】
前記電流遮断装置は、前記第2通電部材に対して前記変形部材とは反対側に配置されているとともに、前記第2通電部材側に前記第2通電部材に向けて突出した形状の突起が設けられており、前記電流遮断装置の内部と外部を隔てている第2の変形部材をさらに備えており、
前記第1シール部材の材料がゴムである請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
ケースと、
前記ケース内に収容された電極と、
前記ケースに固定され、前記電極との間で電気を授受する電極端子と、
前記ケース内の圧力が所定値を超えたときに前記電極と前記電極端子の間の導通を遮断する電流遮断装置と、を有する蓄電装置であって、
前記電流遮断装置は、
前記ケースに固定されているとともに前記電極端子に接続されている第1通電部材と、
前記第1通電部材と間隔をおいて前記第1通電部材に対向する位置に配置されており、前記電極に接続されている第2通電部材と、
前記第1通電部材と前記第2通電部材の間に配置されているとともに、端部が前記第1通電部材に接続されており、中央部が前記第2通電部材に接続されており、前記ケース内の圧力が所定値を超えたときに前記第2通電部材と非導通になる変形部材と、
前記第1通電部材と前記第2通電部材の間に配置されており、前記電流遮断装置の内部を前記電流遮断装置の外部から気密に保つ第1シール部材と、を備えており、
前記ケースと前記第1通電部材の間に、前記ケースの内部を前記ケースの外部から気密に保つ第2シール部材が配置されており、
前記第2シール部材によってシールされている前記ケースと前記第1通電部材の間のガス透過性が、前記第1シール部材によってシールされている前記第1通電部材と前記第2通電部材の間のガス透過性より大きく
前記第2シール部材の材料がゴムである蓄電装置。
【請求項4】
前記蓄電装置は、二次電池である請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年4月23日に出願された日本国特許出願第2014−089298号に基づく優先権を主張する。その出願の全ての内容は、この明細書中に参照により援用されている。本明細書は、電流遮断装置を備える蓄電装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置が過充電されたり、内部で短絡が発生したときに、電極端子間(正極端子と負極端子)に流れる電流を遮断する電流遮断装置の開発が進められている。電流遮断装置は、電極端子と電極の間(正極端子と正極の間又は負極端子と負極の間)に配置される。電流遮断装置は、蓄電装置のケース内の圧力が上昇すると、電極端子と電極の間の導通を遮断する。特開2012−28008号公報の電流遮断装置は、第1通電部材に対向する第2通電部材を備えている。第2通電部材は、電極に接続されている。また、第1通電部材と第2通電部材の間に変形部材が配置されている。変形部材の端部は第1通電部材に接続されており、中央部が第2通電部材に接続されている。特開2012−28008号公報では、シール部材が、ケースと第1通電部材の間に配置されている。以下、特開2012−28008号公報を特許文献1と称する。
【発明の概要】
【0003】
特許文献1では、ケースと第1通電部材の間にシール部材を配置することにより、ケースの内部をケースの外部から気密に保っている。しかしながら、ケースと第1通電部材の間を完全にシールすると、蓄電装置が正常に作動しているときに生じるガスによって、ケース内の圧力が除々に上昇することが起こり得る。その結果、蓄電装置に異常が発生していないにも関わらず電流遮断装置が作動し、電極端子と電極の間の導通が遮断されることが起こり得る。すなわち、電流遮断装置の感度が低下する。本願明細書は、電流遮断装置の感度が低下することを抑制する技術を提供する。
【0004】
本明細書で開示する蓄電装置は、ケースと、電極と、電極端子と、電流遮断装置を有する。上記電極は、上記ケース内に収容されている。上記電極端子は、上記ケースに固定され、上記電極との間で電気を授受する。上記電流遮断装置は、上記ケース内の圧力が所定値を超えたときに上記電極と上記電極端子の間の導通を遮断する。上記電流遮断装置は、第1通電部材と、第2通電部材と、変形部材と、第1シール部材を備えている。上記第1通電部材は、上記ケースに固定されている。上記第1通電部材は、上記電極端子に接続されている。上記第2通電部材は、上記第1通電部材と間隔をおいて上記第1通電部材に対向する位置に配置されている。上記第2通電部材は、上記電極に接続されている。上記変形部材は、上記第1通電部材と上記第2通電部材の間に配置されている。上記変形部材の端部が上記第1通電部材に接続されており、上記変形部材の中央部が上記第2通電部材に接続されている。上記変形部材は、上記ケース内の圧力が所定値を超えたときに、上記第2通電部材と非導通になる。上記第1シール部材は、上記第1通電部材と上記第2通電部材の間に配置されている。上記第1シール部材は、上記電流遮断装置の内部を上記電流遮断装置の外部から気密に保つ。本明細書で開示する蓄電装置は、さらに、第2シール部材を備えている。上記第2シール部材は、上記ケースと上記第1通電部材の間に配置されている。上記第2シール部材は、上記ケースの内部を上記ケースの外部から気密に保つ。上記第2シール部材の材料はゴムである。
【0005】
上記の蓄電装置は、第2シール部材によって、ケースの内部をケースの外部から気密に保っている。第2シール部材の材料はゴムである。ゴムは、ガス透過性を有している。そのため、ケース内でガスが発生すると、ケース内の圧力が過度に上昇する前に、ガスが除々に第2シール部材を透過し、ケース内の圧力を適切に保つことができる。その結果、電流遮断装置が誤作動することが抑制される。なお、蓄電装置内で異常が発生した場合、ケース内の圧力は急速に上昇する。そのため、ガスが第2シール部材を透過する前に、ケース内の圧力が所定値を超え、電流遮断装置か作動し、電極端子と電極の間の導通を遮断することができる。
【0006】
本明細書で開示される技術によると、電流遮断装置の感度が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施例の蓄電装置の断面図を示す。
図2】第1実施例の蓄電装置で用いられている電流遮断装置の拡大断面図を示す。
図3】第2実施例の蓄電装置の断面図を示す。
図4】第2実施例の蓄電装置で用いられている電流遮断装置の拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本明細書で開示する蓄電装置の技術的特徴の幾つかを記す。なお、以下に記す事項は、各々単独で技術的な有用性を有している。
【0009】
蓄電装置は、ケースと、電極組立体と、電極端子と、電流遮断装置を備えている。電極組立体は、ケース内に収容されており、正極及び負極を備えていてよい。電極端子は、ケースの内外を通じていてよい。すなわち、電極端子の一部がケースの外部に位置しており、電極端子の他の一部がケースの内部に位置していてよい。また、電極端子は、ケースに固定されていてよい。電極端子は、電極(正極又は負極)との間で電気を授受してよい。電流遮断装置は、負極端子と負極に接続されていてもよい。この場合、電流遮断装置は、負極端子と負極の通電経路上に配置され、ケースの内圧が所定値を超えたときに、負極端子と負極を導通状態から非導通状態に切換える。電流遮断装置は、正極端子と正極に接続されていてもよい。この場合、電流遮断装置は、正極端子と正極の通電経路上に配置され、ケースの内圧が所定値を超えたときに、正極端子と正極を導通状態から非導通状態に切換える。
【0010】
電流遮断装置は、第1通電部材と、第2通電部材と、変形部材と、第1シール部材を備えていてよい。第1通電部材は、蓄電装置のケースに固定されていてよい。第1通電部材は、電極端子に接続されていてよい。あるいは、第1通電部材は、電極端子の一部であってもよい。第1通電部材は、ケース内に位置している拡径部と、ケースに設けられている貫通孔を通じてケースの外部に突出している突出部を備えていてよい。また、その突出部に、ボルト部が設けられていてよい。第1通電部材は、突出部に設けられているボルト部にナットを締結することにより、ケースに固定されていてよい。拡径部のサイズは、ケースに設けられている貫通孔より大きくてよい。すなわち、拡径部の一部は、ケースに対向していてよい。第1通電部材の電極組立体側の端面は、第2通電部材に対向していてよい。その端面の中央部に、第2通電部材とは反対側に窪んでいる窪み部が設けられていてよい。
【0011】
第2通電部材は、第1通電部材と間隔をおいて第1通電部材に対向する位置に配置されていてよい。第2通電部材は、電極に接続されていてよい。第2通電部材の中央部の厚みは、端部の厚みより薄くてよい。第2通電部材の中央部に、ケース内の圧力が所定値を超えたときに破断の起点となる破断溝が設けられていてもよい。破断溝は、第2通電部材の中央部において、連続的又は断続的に一巡していてもよい。なお、破断溝は、ケース内の圧力が所定値を超えたときに破断の起点となる脆弱部であればよく、第2通電部材の中央部に局所的に設けられていてもよい。
【0012】
変形部材は、第1通電部材と第2通電部材の間に配置されていてよい。変形部材の端部が第1通電部材に接続されており、変形部材の中央部が第2通電部材に接続されていてよい。変形部材の中央部は、破断溝に囲まれた位置で第2通電部材に固定されていてもよい。変形部材は、ケース内の圧力が所定値を超えたときに第2通電部材と非導通になってもよい。変形部材は、第2通電部材と導通しているときは中央部が第2通電部材に向けて突な状態であり、第2通電部材と非導通のときは中央部が第1通電部材に向けて突な状態に変形してもよい。
【0013】
第1シール部材が、第1通電部材と第2通電部材の間に配置されていてよい。第1シール部材は、絶縁性であってよい。第1シール部材の材料は、例えば、樹脂,ゴムであってよい。第1シール部材は、第1シール部材,第1通電部材及び第2通電部材で囲まれる空間(電流遮断装置の内部空間)を、電流遮断装置の外部空間から隔離していてよい。すなわち、第1シール部材が、電流遮断装置の内部空間を外部から気密に保っていてよい。第1シール部材は、上記した変形部材の外側で第1通電部材と第2通電部材をシールしていてよい。
【0014】
ケースの内部において、第2シール部材が、ケースの内壁と第1通電部材の間に配置されていてよい。第2シール部材は、ケースの内壁と上記拡径部の間に配置されていてもよい。第2シール部材が、ケースの内部をケースの外部から気密に保っていてよい。第2シール部材は、絶縁性であってよい。第2シール部材の材料は、例えば、ゴムであってよい。第2シール部材の材料は、第1シール部材の材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0015】
電流遮断装置の気密性は、ケースの気密性以上であってよい。すなわち、第1シール部材によってシールされている第1通電部材と第2通電部材の間のガス透過性(以下、第1ガス透過性という)が、第2シール部材によってシールされているケースと拡径部の間のガス透過性(以下、第2ガス透過性という)以下であってよい。この場合、第1シール部材の材料として第2シール部材の材料よりガス透過性が小さいものを用いてもよいし、第1シール部材及び第2シール部材の材料は同じであり、構造上、第1ガス透過性を第2ガス透過性以下に調整されていてもよい。
【0016】
第1シール部材及び第2シール部材の材料が同じ場合、第1シール部材の幅(電流遮断装置の内側に位置する面と外側に位置する面との距離)が、第2シール部材の幅(ケースの内側に位置する面と外側に位置する面との距離)以上であってよい。あるいは、第1シール部材の第1通電部材及び第2通電部材との接触面積を、第2シール部材のケース及び拡径部との接触面積以上にしてもよい。なお、電流遮断装置の気密性は、ケースの気密性より大きくてもよい。
【0017】
絶縁部材が、第1通電部材と第2通電部材の間に配置されていてよい。また、絶縁部材は、変形部材と第1シール部材の間に配置されていてよい。すなわち、上記した変形部材の端部は、絶縁部材の内側で第1通電部材に固定されていてよい。絶縁部材によって、第1通電部材と第2通電部材の間隔が維持されていてもよい。絶縁部材が設けられている範囲外では、第1通電部材と第2通電部材の間に隙間が設けられていてよい。絶縁部材は、リング状であってよい。絶縁部材は、変形部材及び第1シール部材と非接触の状態で第1通電部材と第2通電部材の間に配置されていてよい。また、第1通電部材の第2通電部材側の端面に、絶縁部材の一部を収容する窪みが設けられていてよい。より具体的には、第1通電部材の第2通電部材側の端面のうち、絶縁部材の第1通電部材側の端面と接触する面が、絶縁部材と接触しない周囲の面から窪んでいてよい。同様に、第2通電部材の第1通電部材側の端面に、絶縁部材の一部を収容する窪みが設けられていてよい。すなわち、第2通電部材の第1通電部材側の端面のうち、絶縁部材の第2通電部材側の端面と接触する面が、絶縁部材と接触しない周囲の面から窪んでいてよい。
【0018】
第2通電部材に対して上記した変形部材とは反対側に、第2の変形部材が配置されていてもよい。以下、第1通電部材と第2通電部材の間に配置されている変形部材を第1変形部材と称し、第2通電部材に対して第1変形部材とは反対側に配置されている変形部材を第2変形部材と称する。第2変形部材は、第2通電部材に固定されていてよい。第2変形部材は、第2通電部材と電極組立体の間に設けられていてよい。第2変形部材が、電流遮断装置の内部と外部を隔てていてよい。すなわち、第2変形部材が電流遮断装置の外側面を構成しており、ケース内の圧力が第2変形部材に直接作用してもよい。第2変形部材の第2通電部材側の中央部に、第2通電部材に向かって突出した形状の突起が設けられていてよい。突起は、第2通電部材から離れた状態で、第2通電部材の破断溝に囲まれた部分に対向していてもよい。突起は、絶縁性であってもよい。
【0019】
第2変形部材は、ケース内の圧力が所定値以下のときは中央部が第2通電部材から離れる方向に突な状態であり、ケース内の圧力が所定値を超えたときに中央部が第2通電部材に向けて移動して上記突起が第2通電部材に接触してもよい。上記突起が第2通電部材に接触し、第2通電部材を破断し、第1変形部材と第2通電部材を非接触にしてもよい。第2変形部材は、第1変形部材と同じ構造を有していてよい。第2変形部材は、金属製であってもよいし、非金属製であってもよい。
【0020】
本明細書で開示する蓄電装置の一例として、二次電池、キャパシタ等が挙げられる。二次電池の電極組立体の一例として、セパレータを介して対向する電極対(負極及び正極)を有するセルが複数積層された積層タイプの電極組立体、セパレータを介して対向する電極対を有するシート状のセルが渦巻状に加工された捲回型の電極組立体が挙げられる。また、本明細書で開示する蓄電装置は、例えば車両に搭載され、モータに電力を供給することができる。以下、蓄電装置の構造について説明する。なお、以下の説明では、電流遮断装置が負極端子と負極に接続されている蓄電装置について説明する。本明細書で開示する技術は、電流遮断装置が正極端子と正極に接続されている蓄電装置に適用することもできる。
【実施例】
【0021】
(第1実施例)
図1を参照し、蓄電装置100の構造を説明する。蓄電装置100は、ケース18と、電極組立体52と、正極端子2と、負極端子30と、電流遮断装置50を備えている。ケース18は、金属製であり、略直方体形状である。ケース18は、蓋部18aと本体部18bを備えている。ケース18の内部には、電極組立体52と電流遮断装置50が収容されている。電極組立体52は、正極と負極を備えている(図示省略)。正極タブ16が正極に固定されており、負極タブ20が負極に固定されている。ケース18の内部には、電解液が注入されている。
【0022】
正極端子2と負極端子30が、ケース18の内外を通じている。正極端子2と負極端子30は、ケース18の一方向に配置されている。すなわち、正極端子2と負極端子30の双方が、電極組立体52に対して同じ方向(蓋部18aが設けられている側)に配置されている。正極端子2は、ボルト部8を備えている。なお、ボルト部8とは、正極端子2のうち、ナット10を締結するためにねじ切りされている部分のことである。正極端子2は、ボルト部8にナット10を締結することにより、ケース18に固定されている。正極端子2の一端はケース18の外部に位置しており、他端はケース18の内部に位置している。同様に、負極端子30は、ボルト部36を備えている。ボルト部36とは、負極端子30のうち、ナット38を締結するためにねじ切りされている部分のことである。負極端子30は、ボルト部36にナット38を締結することにより、ケース18に固定されている。負極端子30の一端はケース18の外部に位置しており、他端はケース18の内部に位置している。
【0023】
正極端子2に、正極リード14が接続されている。正極リード14は、正極タブ16に接続されている。正極端子2は、正極リード14を介して、正極タブ16に電気的に接続されている。すなわち、正極端子2は、電極組立体52の正極に電気的に接続されている。正極リード14は、絶縁シート12によってケース18から絶縁されている。正極端子2及びナット10は、絶縁部材58によってケース18から絶縁されている。ケース18内において、正極端子2とケース18の間に絶縁性のシール部材56が配置されている。シール部材56は、ゴム製である。正極端子2とケース18の隙間は、シール部材56によってシールされている。なお、バスバー4が、バスバーボルト6によって、正極端子2に固定されている。
【0024】
電流遮断装置50は、負極端子30に接続されている。電流遮断装置50の詳細は後述する。電流遮断装置50は、金属製の接続部材26を介して、負極リード24に接続されている。負極端子30は、負極リード24を介して、負極タブ20に電気的に接続されている。すなわち、負極端子30は、電極組立体52の負極に電気的に接続されている。負極リード24は、絶縁シート22によってケース18から絶縁されている。負極端子30及びナット38は、絶縁部材28によってケース18から絶縁されている。ケース18内において、負極端子30とケース18の間に絶縁性の第2シール部材42が配置されている。第2シール部材42は、絶縁性のOリングである。第2シール部材42の材料は、ゴムである。負極端子30とケース18の隙間は、第2シール部材42によってシールされている。シール部材56,42によって、ケース18の内部が、ケース18の外部から気密に保たれている。なお、バスバー32が、バスバーボルト34によって、負極端子30に固定されている。
【0025】
蓄電装置100では、ケース18内の圧力が所定値以下のときは、負極端子30と負極タブ20が、電流遮断装置50を介して電気的に接続している。すなわち、負極端子30と負極の間が導通している。ケース18内の圧力が所定値を超えると、電流遮断装置50が、負極端子30と負極タブ20の導通を遮断し、蓄電装置100に電流が流れることを防止する。
【0026】
図2を参照し、電流遮断装置50について説明する。電流遮断装置50は、負極端子30と、金属製の破断板88と、金属製の第1変形部材80を備えている。負極端子30は、拡径部37aと突出部37bを備えている。拡径部37aはケース18内に位置しており、突出部37bはケース18に設けられている貫通孔を通じてケース18の外部に突出している。突出部37bは、負極端子30のうち、ケース18の上側に突出している部分である。ボルト部36が、突出部37bに設けられている。ボルト部36は、突出部37bのうち、ナット38を締結するために表面にねじ切りが設けられている部分である。負極端子30は、第1通電部材の一例である。
【0027】
拡径部37aの一部は、ケース18に対向している。第2シール部材42は、拡径部37aとケース18の間に配置されている。拡径部37aの破断板88側に、溝92と窪み86が設けられている。窪み86は、溝92の内側に設けられている。拡径部37aの破断板88側の端面35は、破断板88に対向しており、中央に向かって窪んでいる。具体的には、端面35は、端部から中央に向かうに従って、破断板88から離れるように傾斜している。なお、「溝」は、2つの側壁に囲まれた底面を有する形態のことを意味する。また「窪み」は、単に周囲よりも高さが低い形態であり、段差を有する形態も「窪み」に含まれる。
【0028】
破断板88は、拡径部37aと間隔をおいて拡径部37aに対向する位置に配置されている。破断板88は、第2通電部材の一例である。電極組立体52(図1も参照)とケース18の間において、電極組立体52の上方に、破断板88,第1変形部材80,拡径部37aの順に配置されている。破断板88の拡径部37a側の端面に、溝96が設けられている。溝96は、溝92に対向する位置に設けられている。破断板88には、接続部材26が固定されている。破断板88は、接続部材26,負極リード24を介して、負極タブ20と導通している(図1も参照)。破断板88の中央部88aの厚みは、端部88bの厚みより薄い。また、拡径部37aの反対側において、破断溝90が、中央部88aに設けられている。破断溝90は、中央部88aで連続的に一巡している。破断板88の拡径部37aとは反対側に、窪み89が設けられている。窪み89は、破断板88の端部88bに設けられている。
【0029】
第1シール部材84が、拡径部37aと破断板88の間に配置されている。第1シール部材84は、絶縁性のOリングである。第1シール部材84の材料は、ゴムである。第1シール部材84は、拡径部37aと破断板88を絶縁するとともに、電流遮断装置50の内部を気密に保っている。すなわち、第1シール部材84は、拡径部37aと破断板88をシールして、電流遮断装置50の内部の空間を、電流遮断装置50の外部の空間(ケース18内の空間)と遮断している。シール部材56(図1も参照),42及び84の材料として、例えば、EPDM(エチレンプロピレンゴム)を用いることができる。蓄電装置100では、拡径部37aと破断板88の間のガス透過性(第1ガス透過性)が、ケース18と拡径部37aの間のガス透過性(第2ガス透過性)以下である。より具体的には、第1シール部材84のガス透過性が、第2シール部材42のガス透過性以下に調整されている。すなわち、ここでいう「気密に保っている」とは、所定のガス透過性以下となるように保たれていることをいう。
【0030】
絶縁部材94が、拡径部37a(負極端子30)と破断板88の間に配置されている。絶縁部材94は、第1シール部材84の内側に配置されている。絶縁部材94は、リング状である。絶縁部材94は、拡径部37aと破断板88の間隔を維持している。絶縁部材94は、拡径部37aと破断板88が接触し、両者が直接導通することを防止している。絶縁部材94の両端部が、溝92,96内に位置している。そのため、絶縁部材94は、第1変形部材80及び第1シール部材84に向けて移動することが規制されている。また、絶縁部材94の移動が規制されているので、第1シール部材84が第1変形部材80側に移動しようとしても、第1シール部材84が絶縁部材94に接触し、それ以上内側に移動することがない。
【0031】
第1変形部材80は、拡径部37aと破断板88の間に配置されている。第1変形部材80は、金属性のダイアフラムである。第1変形部材80の端部80bは、拡径部37aに固定されている。より具体的には、第1変形部材80の外周縁を拡径部37aの窪み86の側壁に当接させた状態で、第1変形部材80の端部80bが拡径部37aに溶接されている。第1変形部材80の中央部80aは、拡径部37aから離れるように突出している。換言すると、第1変形部材80は、端部80bから中央部80aに向かうに従って、破断板88に近づいている。第1変形部材80の中央部80aは、破断溝90の内側で、破断板88に固定されている。より具体的には、中央部80aは、破断溝90に囲まれた範囲で、破断板88に溶接されている。
【0032】
支持部材78が、負極端子30の拡径部37aと破断板88を支持している。支持部材78は、金属製の外側部72と、絶縁性の第1内側部74と、絶縁性の第2内側部75を備えている。第1内側部74は、外側部72の内側に配置されており、第2内側部75の上方(ケース18側)に配置されている。第2内側部75は、外側部72の内側に配置されており、第1内側部74の下方(電極組立体52側)に配置されている。外側部72によって、拡径部37aと破断板88が位置決めされている。具体的には、第1内側部74と第2内側部75を所定の位置に配置した後、外側部72をかしめることによって、破断板88を拡径部37aに固定している。なお、内側部74,75は、拡径部37aと破断板88を絶縁している。金属製の外側部72を用いることにより、電流遮断装置50の内部空間の気密性をさらに高くすることができる。
【0033】
ケース18の内圧が所定値以下のときは、負極端子30は、第1変形部材80,破断板88,接続部材26,負極リード24,負極タブ20を介して、負極と導通している。ケース18の内圧が所定値以下のときは、突起95と破断板88の間には隙間が設けられている。
【0034】
例えば、蓄電装置100が過充電状態になると、ケース18の内圧が上昇し、所定値を超える。ケース18の内圧が所定値を超えると、電流遮断装置50の内部と外部に圧力差が生じる。その結果、破断溝90を起点として破断板88が破断する。第1変形部材80と破断板88が分離し、第1変形部材80と破断板88が非導通となる。負極端子30と負極が非導通になるので、正極端子2と負極端子30(図1も参照)の間に電流が流れることを防止することができる。なお、破断板88が破断すると、第1変形部材80の中央部80aが、破断板88側から拡径部37a側に向けて移動する。換言すると、第1変形部材80が反転する。なお、上記したように、拡径部37aの端面35が窪んでいるので、第1変形部材80の反転が拡径部37a(負極端子30)に妨げられることはない。破断板88が破断した後に、第1変形部材80と破断板88が再導通することを防止することができる。すなわち、ケース18内の圧力が上昇して電流遮断装置50が作動した後に、正極端子2と負極端子30の間に再度電流が流れることを防止することができる。
【0035】
蓄電装置100の利点を説明する。上記したように、蓄電装置の過充電等によりケース18の内圧が上昇して所定値を超えると、電流遮断装置50が作動し、負極端子30と負極を非導通にする。蓄電装置100では、通常状態の間も、例えば電解液の分解等によりケース18内にガスが発生し、ケース18の内圧が除々に上昇することがある。しかしながら、蓄電装置100では、第2シール部材42が、ゴム製であり、ガス透過性を有している。そのため、通常状態の際に発生したガスは、第2シール部材42の内部を通過してケース18の外部に移動することができる。そのため、蓄電装置100は、通常状態のときにケース18の内圧が所定値を超え、電流遮断装置50が作動してしまうことを防止することできる。蓄電装置100は、通常状態の間に発生するガスがケース18の外部に移動することにより、過充電等の状態のときにのみ電流遮断装置50が作動する。
【0036】
以下、蓄電装置100の他の利点を説明する。上記したように、電流遮断装置50の内部空間は、第1シール部材84に加えて、支持部材78の外側部72によっても気密性が高められている。すなわち、拡径部37aと破断板88の間のガス透過性を、さらに低下させることができる。そのため、ケース18内で発生したガスが、電流遮断装置50の外部から内部に移動することを抑制することができる。上記したように、電流遮断装置50は、電流遮断装置50の内部と外部に圧力差によって作動する。そのため、拡径部37aと破断板88の間のガス透過性が高いと、電流遮断装置50が正常に作動することができない。蓄電装置100は、外側部72を用いることにより、電流遮断装置50の感度をさらに高くすることができる。
【0037】
絶縁部材94の両端部が溝92,96内に位置しており、絶縁部材94が第1変形部材80及び第1シール部材84に向けて移動することが規制されている。絶縁部材94が第1変形部材80に接触し、第1変形部材80の可動範囲を狭くしたり、第1変形部材80の形状が変形すること防止することができる。また、絶縁部材94が第1シール部材84に接触し、第1シール部材84の存在空間を狭くすることを防止することもできる。第1シール部材84の存在空間が狭くなると、第1シール部材84の充填率が増大し、第1シール部材84が破損する等の不具合が起こり得る。
【0038】
(第2実施例)
図3及び図4を参照し、蓄電装置200について説明する。蓄電装置200は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置250の構造が蓄電装置100の電流遮断装置50と異なる。蓄電装置200について、蓄電装置100と同じ部品は、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。
【0039】
電流遮断装置250は、破断板88に対して第1変形部材80とは反対側に、第2変形部材93が配置されている。すなわち、破断板88が、第1変形部材80と第2変形部材93の間に配置されている。第2変形部材93は、金属製のダイアフラムである。第2変形部材93の端部93bが、破断板88に固定されている。より具体的には、第2変形部材93の外周縁が破断板88の窪み89の側壁に当接した状態で、第2変形部材93の端部93bが破断板88に溶接されている。
【0040】
絶縁性の突起95が、第2変形部材93の破断板88側に設けられている。突起95は、第2変形部材93の中央部93aに配置されており、破断板88に向かって突出している形状である。突起95は、破断板88の中央部88aに対向している。より具体的には、電流遮断装置250を平面視(突出部37bが伸びている方向、すなわち、負極端子30の軸方向から観察)したときに、突起95が、破断溝90で囲まれた範囲内に位置している。第2変形部材93は、端部93bから中央部93aに向かうに従って、破断板88から離れるように突出している。
【0041】
電流遮断装置250では、絶縁性の第2内側部275が、第2変形部材93の下方にまで延びている。これにより、第2変形部材93と電極組立体52(図3も参照)が接触し、電流遮断装置250が誤作動することを防止することができる。なお、第2内側部275は、中央に貫通孔275aを備えている。そのため、第2変形部材93の中央部93aは、第2内側部275に覆われていない。そのため、ケース18の内圧が第2変形部材93に加わることは妨げられない。
【0042】
蓄電装置200では、ケース18の内圧が所定値を超えると、第2変形部材93にケース18内(電流遮断装置250の外部)の圧力が加わり、第2変形部材93が、破断板88に向かうように変形する。すなわち、中央部93aが、破断板88の中央部88aに向けて移動する。換言すると、第2変形部材93が、端部93bを支点として反転する。突起95が破断板88に接触し、破断板88が破断溝90を起点として破断する。第1変形部材80と破断板88が分離し、破断板88と第1変形部材80が非導通となる。
【0043】
また、第2変形部材93が反転すると、突起95の一部が、破断板88の上方に位置する。換言すると、突起95が、破断板88の中央部分を通過する。突起95は、第1変形部材80が下方(破断板88側)に移動することを規制する。そのため、第1変形部材80と破断板88が再導通することをより確実に防止することができる。
【0044】
また、蓄電装置200では、第2変形部材93が、電流遮断装置250の内部と外部を隔てている。そのため、第2変形部材93には、ケース18の内圧変化が直接作用する。ケース18の内圧に応じて反転する第2変形部材93を用いることによって、ケース18の内圧が所定値を超えたときに、破断板88を確実に破断することができる。第2変形部材93を用いることによって、破断板88を電流遮断装置250の外部(ケース18の内部)から遮断することができる。破断板88が破断したときにアークが発生しても、アークがケース18内のガス(例えば水素)と接することを防止することができる。
【0045】
なお、上記実施例では、電流遮断装置が接続部材を介して負極リードに接続されている形態について説明した。しかしながら、接続部材と負極リードは一体の部品であってもよい。すなわち、電流遮断装置が、負極タブに接続されている部材(負極リード)に直接接続されていてもよい。また、電流遮断装置が正極端子と正極の間に配置されている場合、電流遮断装置が、正極タブに接続されている部材(正極リード)に直接接続されていてもよい。
【0046】
上記した蓄電装置は、電極端子(第1通電部材)とケースの間にゴム製のシール部材を設けることにより、ケース内のガスがケース外に除々に移動する構造であればよい。そのため、電流遮断装置の構造、及び、蓄電装置を構成する部品の材料は様々なものを使用することができる。以下に、蓄電装置の一例であるリチウムイオン二次電池について、蓄電装置を構成する部品の材料を例示する。
【0047】
電極組立体について説明する。電極組立体は、正極と、負極と、正極と負極の間の位置に介在しているセパレータを備えている。正極は、正極用金属箔と、正極用金属箔上に形成されている正極活物質層を有する。正極タブは、正極活物質層が塗布されていない正極用金属箔に相当する。負極は、負極用金属箔と、負極用金属箔上に形成されている負極活物質層を有する。負極タブは、負極活物質層が塗布されていない負極用金属箔に相当する。なお、活物質層に含まれる材料(活物質、バインダ、導電助剤等)には特に制限がなく、公知の蓄電装置等の電極に用いられる材料を用いることができる。
【0048】
正極用金属箔として、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ステンレス鋼又はそれらの複合材料を用いることができる。特に、アルミニウム又はアルミニウムを含む複合材料であることが好ましい。また、正極リードの材料として、正極用金属箔と同様の材料を用いることができる。
【0049】
正極活物質は、リチウムイオンが侵入及び脱離可能な材料であればよく、LiMnO、Li(NiCoMn)0.33、Li(NiMn)0.5、LiMn、LiMnO、LiNiO、LiCoO、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiMnO、LiMn等を使用することができる。また、正極活物質としてリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、あるいは、硫黄などを用いることもできる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。正極活物質は、必要に応じて導電材,結着剤等とともに正極用金属箔に塗布される。
【0050】
負極用金属箔として、アルミニウム、ニッケル、銅(Cu)等、又はそれらの複合材料等を使用することができる。特に、銅又は銅を含む複合材料であることが好ましい。また、負極リードの材料として、負極用金属箔と同様の材料を用いることができる。
【0051】
負極活物質として、リチウムイオンが侵入及び脱離可能な材料を用いる。リチウム(Li)、ナトリウム(Na)等のアルカリ金属、アルカリ金属を含む遷移金属酸化物、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、高配向性グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料、シリコン単体又はシリコン含有合金又はシリコン含有酸化物を使用することができる。なお、負極活物質は、電池容量を向上させるため、リチウム(Li)を含まない材料であることが特に好ましい。負極活物質は、必要に応じて導電材,結着剤等とともに負極用金属箔に塗布される。
【0052】
セパレータは、絶縁性を有する多孔質を用いる。セパレータとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、あるいは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布を使用することができる。
【0053】
電解液は、非水系の溶媒に支持塩(電解質)を溶解させた非水電解液であることが好ましい。非水系の溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状エステルを含んでいる溶媒、酢酸エチル、プロピロン酸メチルなどの溶媒、又はこれらの混合液を使用することができる。また、支持塩(電解質)として、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF等を使用することができる。
【0054】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
図1
図2
図3
図4