(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2電位は、直列に接続された2つの前記トランジスタの主回路電源の高電位側電位から前記第1電位までの間の浮遊電位であることを特徴とする請求項5に記載の半導体集積回路装置。
【背景技術】
【0002】
PWM(Pulse Width Modulation)インバータ等の電力逆変換(直流交流変換)用ブリッジ回路の上アームを構成するスイッチングパワーデバイスをオン・オフ駆動させる半導体集積回路装置として、高耐圧接合を利用した素子分離方式の高耐圧集積回路装置(HVIC:High Voltage Integrated Circuit)が公知である。HVICは、スイッチングパワーデバイスの異常時の過電流検出手段や温度検出手段を備えることで高機能化を図ったり、トランスやフォトカプラ等による電位絶縁を行わないことで電源システムの小型化・低コスト化を図ったりすることができる。
【0003】
従来のHVICの接続構成について、インバータなどの電力変換装置を構成するスイッチングパワーデバイスとして用いた絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)を駆動するHVICを例に説明する。
図10は、高耐圧集積回路装置の接続構成を示す回路図である。
図10には、2つのスイッチングパワーデバイス(IGBT114,115)を直列に接続したハーフブリッジ回路を備えた電力変換装置を示す。
【0004】
図10に示す電力変換装置は、HVIC、低電圧電源(第1,2低電圧電源)112,113、IGBT114,115、還流ダイオード(FWD:Free Wheel Diode)116,117、L負荷(誘導負荷)118およびコンデンサ119を備える。この電力変換装置は、ハーフブリッジ回路の上アームであるIGBT115と下アームであるIGBT114とを交互にオンさせることで出力端子であるVs端子111から高電位または低電位を交互に出力し、L負荷118に交流電力を供給している(流している)。
【0005】
すなわち、HVICは、ハーフブリッジ回路の上アームであるIGBT115と下アームであるIGBT114とを相補にオン・オフさせる駆動素子である。Vs端子111から高電位を出力する場合、HVICによって、上アームのIGBT115がオンし、かつ下アームのIGBT114がオフするようにIGBT114,115を動作させる。一方、Vs端子111から低電位を出力する場合、HVICによって、上アームのIGBT115がオフし、かつ下アームのIGBT114がオンするようにIGBT114,115を動作させる。
【0006】
動作期間中、HVICは、GNDの電位(接地電位)を基準にしてL−OUTから下アームのIGBT114のゲート信号を出力する。また、HVICは、Vs端子111の電位を基準にしてH−OUTから上アームのIGBT115のゲート信号を出力する。HVICは、Vs端子111の電位を基準にしてH−OUTから上アームのIGBT115のゲート信号を出力するために、レベルシフト機能(レベルシフト回路(レベルアップ回路やレベルダウン回路):不図示)を備える。
【0007】
レベルアップ回路は、H−INから入力されたロジックレベルの入力信号をレベルアップしてIGBT115のゲート信号を生成する。レベルダウン回路は、IGBT115の過熱や過電流などの異常信号110を入力し、異常信号110に基づきアラーム信号を形成し、このアラーム信号をレベルダウンする。H−INには、レベルアップ回路のローサイド側(前段)の周辺回路であるCMOS(相補型MOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路(ローサイド回路部:不図示)のゲートが接続されている。H−INは、レベルアップ回路の前段のローサイド回路部に伝達する入力信号の入力を受ける入力端子である。
【0008】
H−OUTには、レベルアップ回路のハイサイド側(後段)の周辺回路であるCMOS回路(ハイサイド回路部:不図示)の出力端子が接続されている。H−OUTは、HVICの後段に配置された上アームのIGBT115のゲートに接続されている。H−OUTは、IGBT115にゲート信号を供給する出力端子である。L−INは、IGBT114にゲート信号を供給するCMOS回路に伝達される入力信号の入力を受ける入力端子である。IGBT114にゲート信号を供給するCMOS回路は、L−INから入力されたロジックレベルの入力信号に基づいてIGBT114のゲート信号を生成する。
【0009】
L−OUTには、IGBT114にゲート信号を供給するCMOS回路の出力端子が接続されている。L−OUTは、HVICの後段に配置された下アームのIGBT114のゲートに接続されている。L−OUTは、IGBT114にゲート信号を供給する出力端子である。ALM−INは、IGBT115の異常信号110の入力を示す。異常信号110は、異常信号110に基づきアラーム信号を形成する検出回路(不図示)に入力される。ALM−OUTには、レベルダウン回路のローサイド側(後段)の周辺回路であるCMOS回路(ローサイド回路部:不図示)の出力端子が接続されている。ALM−OUTは、レベルダウン回路によってレベルダウンされたアラーム信号を出力する出力端子である。
【0010】
H−VDDは、Vsの電位を基準とする低電圧電源113の高電位側に接続する端子である。L−VDDは、GNDの電位を基準とする低電圧電源112の高電位側に接続する端子である。Vsは、高電圧電源(主回路電源)の高電位側Vssの電位からGNDの電位まで変動する中間電位(浮遊電位)の端子であり、Vs端子111と同電位である。GNDはグランド(接地)端子である。低電圧電源112は、HVICのL−VDDとGNDとの間に接続されたローサイド駆動電源である。低電圧電源113は、HVICのH−VDDとVsとの間に接続されたハイサイド駆動電源である。また、低電圧電源113は、ブートストラップ回路方式の場合、L−VDDとH−VDDとの間に接続される外付けのブートストラップダイオード(不図示)によって充電される外部コンデンサ(不図示)から構成される。
【0011】
IGBT114のエミッタは高電圧電源の低電位側であるGNDに接続され、コレクタはIGBT115のエミッタに接続されている。IGBT115のコレクタは高電圧電源の高電位側Vssに接続されている。また、IGBT114,115には、それぞれ逆並列にFWD116,117が接続されている。IGBT114のコレクタとIGBT115のエミッタとの接続点(すなわちハーフブリッジ回路の出力端子)はVs端子111に接続されている。Vs端子111には、HVICのVsおよびL負荷118が接続されている。L負荷118は、ハーフブリッジ回路(IGBT114,115)を組み合わせて構成されたブリッジ回路を利用して動作する例えばモータや照明などの交流抵抗(リアクタンス)である。コンデンサ119は、L−VDDとGNDとの間に接続されている。
【0012】
次に、HVICのレベルシフト回路(レベルアップ回路およびレベルダウン回路)について説明する。
図11は、レベルアップ回路の構成を示す回路図である。
図12は、レベルダウン回路の構成を示す回路図である。
図11,12には、レベルシフト回路の周辺回路として、レベルシフト回路へ入力信号を伝達するCMOS回路と、レベルシフト回路の出力信号を後段に伝達するCMOS回路とを示す。
図11,12に示すH−IN、H−OUT、ALM−IN、ALM−OUT、H−VDD、L−VDD、VsおよびGNDは、それぞれ、
図10に示すH−IN、H−OUT、ALM−IN、ALM−OUT、H−VDD、L−VDD、VsおよびGNDと対応する。
【0013】
図11に示すレベルアップ回路210は、nチャネル型絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)211、レベルシフト抵抗212およびダイオード213を備える。レベルアップ回路210は、ハーフブリッジ回路の上アームのIGBT115がnチャネル型の場合に必要となる。nチャネルMOSFET211のドレインはレベルシフト抵抗212の一端に接続され、ソースは接地されている。nチャネルMOSFET211には、nチャネルMOSFET211に逆並列に接続されたボディーダイオード214が内蔵されている。nチャネルMOSFET211とレベルシフト抵抗212との接続点は、レベルアップ回路210の出力部215である。
【0014】
レベルシフト抵抗212の他端は、H−VDDに接続されている。レベルシフト抵抗212に並列にダイオード213が接続されている。ダイオード213は、H−VDDの電位がGNDの電位よりも大幅に低電位になったとき(過大な負のサージ電圧(以下、負サージ電圧とする)が印加されたとき)に発生する熱により、レベルシフト抵抗212が発熱して破壊に至ることを防止する機能を有する。また、ダイオード213は、nチャネルMOSFET211のオン動作時にH−VDDに過電圧が印加された場合に、後述するハイサイド回路部217のCMOS回路のゲートに過大な電圧が印加されることを防止する機能を有する。ダイオード213には、通常はツェナーダイオードが多用される。
【0015】
レベルアップ回路210の周辺回路として、レベルアップ回路210の前段にローサイド回路部216が配置され、後段にハイサイド回路部217が配置されている。ローサイド回路部216およびハイサイド回路部217は、ともに、pチャネルMOSFET(PMOS)とnチャネルMOSFET(NMOS)とを相補うように接続したCMOS回路を備えている。ローサイド回路部216のCMOS回路のゲートは、H−INに接続され、HVICから伝達される入力信号の入力を受ける。ローサイド回路部216のCMOS回路のpチャネルMOSFETのソースはL−VDDに接続され、nチャネルMOSFETのソースは接地されている。なお、ローサイド回路部216およびハイサイド回路217はCMOS回路以外の伝達回路を備えている場合もある。
【0016】
ローサイド回路部216のCMOS回路を構成するpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETとの接続点(出力端子)は、nチャネルMOSFET211のゲートに接続され、レベルアップ回路210へ入力信号を伝達する。ハイサイド回路部217のCMOS回路のゲートは、レベルアップ回路210の出力部215に接続され、レベルアップ回路210から伝達される入力信号の入力を受ける。ハイサイド回路部217のCMOS回路(以下、第2CMOS回路とする)のpチャネルMOSFET(以下、第2pチャネルMOSFETとする)130aのソースはH−VDDに接続され、nチャネルMOSFET(以下、第2nチャネルMOSFETとする)130bのソースはVsに接続されている。ハイサイド回路部217のCMOS回路を構成する第2pチャネルMOSFET130aと第2nチャネルMOSFET130bとの接続点は、H−OUTに接続され、HVICへ入力信号を伝達する。
【0017】
このようなレベルアップ回路210では、H−INからの入力信号がローサイド回路部216のCMOS回路のゲートに入力されると、その信号はローサイド回路部216のCMOS回路を経由してレベルアップ回路210のnチャネルMOSFET211のゲートに入力される。この入力信号の入力を受けてnチャネルMOSFET211がオン・オフし、レベルアップ回路210の出力部215から出力信号が出力され、ハイサイド回路部217のCMOS回路のゲートに入力される。この入力信号の入力を受けてハイサイド回路部217のCMOS回路がオン・オフし、ハイサイド回路部217のCMOS回路の出力信号(レベルアップ回路210によりレベルアップされた信号)がH−OUTから出力される。この出力信号は、Vs端子111の電位を基準とした信号に変換され、上アームのIGBT115のゲートに入力される。この入力信号の入力を受けてハーフブリッジ回路の上アームのIGBT115がオン・オフする。
【0018】
図12に示すように、レベルダウン回路220は、pチャネルMOSFET221、レベルシフト抵抗222およびダイオード223を備える。pチャネルMOSFET221のドレインはレベルシフト抵抗222の一端に接続され、ソースはH−VDDに接続されている。pチャネルMOSFET221には、pチャネルMOSFET221に逆並列に接続されたボディーダイオード224が内蔵されている。pチャネルMOSFET221とレベルシフト抵抗222との接続点は、レベルダウン回路220の出力部225である。レベルシフト抵抗222の他端は、接地されている。レベルシフト抵抗222に並列にダイオード223が接続されている。ダイオード223は、H−VDDの電位がGNDの電位よりも大幅に低電位になったときに発生する熱により、レベルシフト抵抗222が発熱して破壊に至ることを防止する機能を有する。また、ダイオード223は、pチャネルMOSFET221のオン動作時にH−VDDに過電圧が印加された場合に、後述するローサイド回路部227のCMOS回路のゲートに過電圧が印加されるのを防止する機能を有する。
【0019】
レベルダウン回路220の周辺回路として、レベルダウン回路220の前段にハイサイド回路部226が配置され、後段にローサイド回路部227が配置されている。ハイサイド回路部226およびローサイド回路部227は、ともに、pチャネルMOSFET(PMOS)とnチャネルMOSFET(NMOS)とを相補うように接続したCMOS回路を備えている。ハイサイド回路部226のCMOS回路のゲートは、異常信号110に基づいて形成されたアラーム信号の入力を受ける。ハイサイド回路部226のCMOS回路のpチャネルMOSFETのソースはH−VDDに接続され、nチャネルMOSFETのソースはVsに接続されている。なお、ローサイド回路部227およびハイサイド回路226はCMOS回路以外の伝達回路を備えている場合もある。
【0020】
ハイサイド回路部226のCMOS回路を構成するpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETとの接続点(出力端子)は、pチャネルMOSFET221のゲートに接続され、レベルダウン回路220へ入力信号を伝達する。ローサイド回路部227のCMOS回路のゲートは、レベルダウン回路220の出力部225に接続され、レベルダウン回路220から伝達される入力信号の入力を受ける。ローサイド回路部227のCMOS回路のpチャネルMOSFETのソースはL−VDDに接続され、nチャネルMOSFETのソースは接地されている。ローサイド回路部227のCMOS回路を構成するpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETとの接続点は、ALM−OUTに接続され、ALM−OUTから外部へ出力信号を出力する。
【0021】
このようなレベルダウン回路220では、異常信号110に基づくアラーム信号がハイサイド回路部226のCMOS回路のゲートに入力されると、その信号はハイサイド回路部226のCMOS回路を経由してレベルダウン回路220のpチャネルMOSFET221のゲートに入力される。この入力信号の入力を受けてpチャネルMOSFET221がオン・オフし、レベルダウン回路220の出力部225から出力信号が出力され、ローサイド回路部227のCMOS回路のゲートに入力される。この入力信号の入力を受けてローサイド回路部227のCMOS回路がオン・オフし、ローサイド回路部227のCMOS回路の出力信号(レベルダウン回路220によりレベルダウンされたアラーム信号)がALM−OUTから出力される。
【0022】
次に、従来のHVICの断面構造について説明する。
図13は、従来の高耐圧集積回路装置の構造を示す断面図である。
図13には、自己分離型のHVIC200の各構成部のうち、ローサイド回路部216、ハイサイド回路部217、レベルアップ回路210と、高耐圧接合終端領域(HVJT:High Voltage Junction Termination region)201との要部を示す。
図13の上方に図示された断面図右側から、下方に図示された断面図左側まで続く矢印は、上方に図示された断面図と下方に図示された断面図とがつながった1つのp型半導体基板101(半導体チップ)であることを示している。また、H−IN、H−OUT、H−VDD、L−VDD、VsおよびGNDは、それぞれ、
図10に示すHVICのH−IN、H−OUT、H−VDD、L−VDD、VsおよびGNDと対応する端子である。
【0023】
図13に示すように、従来のHVIC200において、GNDに接続されたp型半導体基板101のおもて面の表面層には、n
-型ウエル領域102,104、n型ウエル領域103およびp型ウエル領域105がそれぞれ選択的に設けられている。n
-型ウエル領域104はn型ウエル領域103の周囲を囲み、n
-型ウエル領域102はn
-型ウエル領域104の外側(チップ外周部側)に設けられている。p型ウエル領域105は、n
-型ウエル領域102とn
-型ウエル領域104との間に設けられ、n
-型ウエル領域102およびn
-型ウエル領域104に接する。
【0024】
n
-型ウエル領域102には、レベルシフト回路の周辺回路であるローサイド回路部216,227などが配置される。
図13には、ローサイド回路部216を構成する第1CMOS回路(pチャネルMOSFET(以下、第1pチャネルMOSFETとする)120aおよびnチャネルMOSFET(以下、第1nチャネルMOSFETとする)120b)を示す。n型ウエル領域103には、レベルシフト回路やレベルシフト回路の周辺回路であるハイサイド回路部217,226などが配置される。
図13には、ハイサイド回路部217を構成する第2CMOS回路(第2pチャネルMOSFET130aおよび第2nチャネルMOSFET130b)を示す。
【0025】
第1pチャネルMOSFET120aは、n
-型ウエル領域102、n
+型コンタクト領域122、p
+型ソース領域123、p
+型ドレイン領域124およびゲート電極125からなる一般的な横型のMOSゲート(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)構造、ソース電極161、ドレイン電極162、を備える。ゲート電極125は、H−INに接続されている。ソース電極161は、L−VDDに接続されている。ドレイン電極162は、第1nチャネルMOSFET120bのドレイン電極164に接続されている。
【0026】
第1nチャネルMOSFET120bは、p型オフセット領域121、n
+型ドレイン領域126、n
+型ソース領域127、p
+型コンタクト領域128およびゲート電極129からなる一般的な横型のMOSゲート構造、ソース電極163、ドレイン電極164、を備える。ゲート電極129は、第1pチャネルMOSFET120aのゲート電極125に接続され、かつH−INに接続されている。ソース電極163は、GNDに接続されている。ドレイン電極164は、第1pチャネルMOSFET120aのドレイン電極162に接続されている。
【0027】
第2pチャネルMOSFET130aは、n型ウエル領域103、n
+型コンタクト領域132、p
+型ソース領域133、p
+型ドレイン領域134およびゲート電極135からなる一般的な横型のMOSゲート構造、ソース電極165、ドレイン電極166、を備える。ゲート電極135は、レベルアップ回路210の出力部215に接続されている。H−VDDと出力部215との間には、レベルシフト抵抗212およびダイオード213が並列に接続されている。ソース電極165は、H−VDDに接続されている。ドレイン電極166は、H−OUTに接続されている。
【0028】
第2nチャネルMOSFET130bは、p型オフセット領域131、n
+型ドレイン領域136、n
+型ソース領域137、p
+型コンタクト領域138およびゲート電極139からなる一般的な横型のMOSゲート構造、ソース電極167、ドレイン電極168、を備える。ゲート電極139は、第2pチャネルMOSFET130aのゲート電極135に接続されている(不図示)。ソース電極167は、Vsに接続されている。ドレイン電極168は、第2pチャネルMOSFET130aのドレイン電極166に接続され、かつH−OUTに接続されている。
【0029】
レベルアップ回路210を構成するnチャネルMOSFET211は、n型ウエル領域103から、n
-型ウエル領域104、およびn
-型ウエル領域104に接するp型ウエル領域105にわたって配置される。レベルアップ回路210を構成するnチャネルMOSFET211は、n型ウエル領域103、n
-型ウエル領域104、p型ウエル領域105、n
+型ソース領域141、n
+型ドレイン領域142、p
+型コンタクト領域143、ゲート電極144、ソース電極145およびドレイン電極146を備える。p型ウエル領域105はベース領域として機能する。
【0030】
p型ウエル領域105の内部に、n
+型ソース領域141およびp
+型コンタクト領域143が選択的に設けられている。n型ウエル領域103の内部に、n
+型ドレイン領域が選択的に設けられている。p型ウエル領域105の、n
+型ソース領域141とn
-型ウエル領域104とに挟まれた部分の表面上には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極144が設けられている。ゲート電極144は、第1pチャネルMOSFET120aのドレイン電極162および第1nチャネルMOSFET120bのドレイン電極164に接続されている。ソース電極145は、n
+型ソース領域141およびp
+型コンタクト領域143に接する。また、ソース電極145は、GNDに接続されている。
【0031】
ドレイン電極146は、n
+型ドレイン領域に接する。また、ドレイン電極146は、表面金属配線(不図示)によってレベルシフト抵抗212に接続され、レベルシフト抵抗212を介してH−VDDに接続されている。ドレイン電極146とレベルシフト抵抗212との接続部がレベルアップ回路210の出力部215となる。この出力部215からの出力は、nチャネルMOSFET211のオン時は低電位であり、オフ時には高電位となる。このため、HVIC200は、異なる基準電位間の信号伝達であるレベルシフト動作を行うことができる。符号147はp
+型コンタクト領域であり、符号148はピックアップ電極である。
【0032】
nチャネルMOSFET211のソース電極(以下、第1ピックアップ電極とする)145は、負サージ電圧発生時にp型ウエル領域105に注入された電子をp
+型コンタクト領域(以下、第1高濃度領域とする)143から引き抜くピックアップ電極として機能する。また、n型ウエル領域103の基板おもて面側の表面層には、n
-型ウエル領域104との境界付近に、n
+型コンタクト領域(以下、第2高濃度領域とする)151が設けられている。第2ピックアップ電極152は、第2高濃度領域151に接する。第2ピックアップ電極152は、H−VDDに接続され、負サージ電圧発生時にn型ウエル領域103に注入された正孔を第2高濃度領域151から引き抜く機能を有する。
【0033】
このようなHVIC200を駆動素子とするスイッチングパワーデバイス(IGBT114,115)で構成されたハーフブリッジ回路を組み合わせて構成されるブリッジ回路は、モータ制御用のインバータのほか、大容量のプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、液晶パネルなどの電源用途、エアコンや照明といった家電用インバータなど多くの分野で広く利用されている。また、ハーフブリッジ回路を構成するスイッチングパワーデバイスは、IGBT以外に、パワーMOSFETも使用される。これらモータや照明などは上述したようにL負荷118となる。このため、HVIC200のVsやH−VDDは、プリント基板上の配線やL負荷118までのケーブル等による寄生インダクタンス成分等の悪影響を受ける。
【0034】
この寄生インダクタンス成分により、上アームのIGBT115がオフするときに、Vs端子111の電位(ハイサイド回路部217,226の基準電位)やH−VDDの電位(Vs端子111の電位を基準とする電位)はGNDの電位(0V)に対して負電位側へ変動する。例えば、上アームのIGBT115をオフするタイミングでVs端子111には、GNDの電位に対して負電位となる負サージ電圧V
S0が印加される。この負サージ電圧V
S0は、下記(1)式を用いて算出することができる。下記(1)式において、L
0はL負荷118のインダクタンス値であり、IはIGBT115に流れる電流値である。
【0035】
V
S0=L
0×dI/dt ・・・(1)
【0036】
Vs端子111に印加された負サージ電圧V
S0が[GNDの電位−(V
supply+V
fd)]よりも低くなると、自己分離型のHVIC200(チップ)の寄生pnダイオード171,172が導通し始める。寄生pnダイオード171は、p型半導体基板101とn型ウエル領域103とからなる。寄生pnダイオード172は、p型ウエル領域105とn
-型ウエル領域104からなる。V
supplyは低電圧電源113または図示しないブートストラップコンデンサの両端間のバッテリ電圧である。V
fdは寄生pnダイオード171,172の順方向電圧降下である。
【0037】
Vs端子111の電位が大きくマイナス方向に引かれた場合には、HVIC200(チップ)に過電流が流れる。その結果、HVIC200を構成するハイサイド回路部217の誤動作やラッチアップを引き起こし、HVIC200が故障や破壊に至る虞がある。Vs端子111の電位がマイナス方向に引かれている期間には、HVIC200からプリント基板上の配線やL負荷118までのケーブル等による寄生インダクタンス成分L
1と、IGBT115のオフ時にIGBT115に流れていたオン電流I
1がゼロとなるまでに要する期間dI
1/tとの積に比例して負方向に突出したスパイク状の負サージ(電流変化に伴う急激な負サージ)電圧V
S1(=L
1×dI
1/t)がVs端子111に印加される。具体的には、このときVs端子111に印加される負サージ電圧V
S0は例えば−30V程度であり、その印加期間はおよそ数百nsから500ns程度である。
【0038】
次に、従来のHVIC200の各構成部の平面レイアウトについて、
図13,14を参照しながら説明する。
図14は、
図13の高耐圧集積回路装置の平面レイアウトを示す平面図である。
図14には、ハイサイド回路部217,226などが配置される高電位領域、ローサイド回路部216,227などが配置される低電位領域、共通電位(GND電位)が印加される領域(以下、共通電位領域とする)を含むHVJT201を示す。
図14に示すように、高電位領域であるn型ウエル領域103には、ハイサイド回路部217、H−VDDパッド、H−OUTパッド、Vsパッドなどが配置されている。
図14には、Vsパッドに接続されたVs電位領域181と、H−VDDパッドに接続されたH−VDD電位領域182とを示す。
【0039】
Vs電位領域181は、Vsパッドに電気的に接続され、Vsの電位が印加される領域である。具体的には、Vs電位領域181は、ハイサイド回路部217のロジック部を構成する第2nチャネルMOSFET130bのp型オフセット領域131およびp
+型ドレイン領域134である。H−VDD電位領域182は、H−VDDパッドに電気的に接続され、H−VDDの電位が印加される領域である。具体的には、H−VDD電位領域182は、ハイサイド回路部217の第2pチャネルMOSFET130aのn
+型コンタクト領域132およびp
+型ソース領域133などが配置される領域である。n型ウエル領域103の周囲には、n型ウエル領域103に接してn型ウエル領域103の周囲を囲むように、耐圧領域であるn
-型ウエル領域104が配置されている。
【0040】
n型ウエル領域103の、n
-型ウエル領域104との境界付近には、n型ウエル領域103の外周に沿って環状にn
+型コンタクト領域である第2高濃度領域151が設けられている。第2高濃度領域151は、n
-型ウエル領域104と離して配置されている。第2高濃度領域151上には、第2ピックアップ電極152が配置されている。第2ピックアップ電極152は、H−VDDパッドに接続されている。n
-型ウエル領域104に接してn
-型ウエル領域104の周囲を囲むように、共通電位領域であるp型ウエル領域105が配置されている。p型ウエル領域105には、n
-型ウエル領域104の外周に沿って環状にp
+型コンタクト領域である第1高濃度領域143が配置されている。第1高濃度領域143上には、第1ピックアップ電極145が配置されている。
【0041】
図14において、第1,2ピックアップ電極145,152としてそれぞれ配置した各黒四角は、チップおもて面を覆う図示省略する層間絶縁膜や保護膜上に堆積された第1,2ピックアップ電極145,152の、コンタクトホールに埋め込まれた部分である。すなわち、第1,2ピックアップ電極145,152を示す黒四角は、第1,2高濃度領域143,151とのコンタクト(電気的接触部)である。
図14では図示省略するが、第1,2ピックアップ電極145,152はそれぞれ第1,2高濃度領域143,151上に環状に配置されている。第1,2高濃度領域143,151と、第1高濃度領域143と第2高濃度領域151とに挟まれたn型ウエル領域103、p型ウエル領域105およびn
-型ウエル領域104とでHVJT201が構成される。
【0042】
HVJT201には、例えば略矩形環状の平面形状を有するn
-型ウエル領域104のコーナー部を含む領域に、n型ウエル領域103からn
-型ウエル領域104およびp型ウエル領域105にわたってレベルシフト回路が配置されている。
図14には、レベルアップ回路210のnチャネルMOSFET211のn
+型ドレイン領域142、ゲート電極144(144a,144b)およびドレイン電極146を示す。nチャネルMOSFET211は、IGBT115への出力信号(ゲート信号)をローレベルにリセットした状態またはハイレベルにセットした状態に保持するRS(Reset−Set)フリップフロップを構成する。
【0043】
n型ウエル領域103は、1つの角部が内側(チップ中央部側)に凹んだ略凹四角状の平面形状を有しており、n
-型ウエル領域104の、n型ウエル領域103の凹んだ部分にn
+型ドレイン領域142が配置される。n
+型ドレイン領域142上には、ドレイン電極146が配置されている。図示省略するがn
+型ドレイン領域142およびドレイン電極146は、セット用およびリセット用のnチャネルMOSFET211ごとに配置される。n
-型ウエル領域104およびp型ウエル領域105には、セット信号およびリセット信号の入力を受ける各ゲート電極144a,144bが配置されている。ゲート電極144a,144bは、略矩形環状のp型ウエル領域105の1つのコーナー部を共有する連続する2辺にあたる各直線部上にそれぞれ配置されている。
【0044】
p型ウエル領域105の周囲には、p型ウエル領域105に接してp型ウエル領域105の周囲を囲むように、低電位領域であるn
-型ウエル領域102が配置されている。n
-型ウエル領域102には、ローサイド回路部216のロジック部(不図示)、GNDパッド、H−INパッド、L−VDDパッドが配置されている。
図14において、各パッドの周囲を囲む破線は、寄生pnダイオードを流れる電流が流れ込む領域を示している(
図1,3〜5においても同様)。また、各パッドの周囲を囲む破線よりも細かい破線(第2高濃度領域151の一部を囲み、かつH−VDDパッドに接する破線)で示す領域は、nチャネルMOSFET211のドレイン領域146およびピックアップ電極152とH−VDDパッドとを接続する配線層である。
【0045】
従来のHVIC200においてVs電位領域181およびH−VDD電位領域182を無駄なく効率よく配置してチップサイズの縮小化を図る場合、Vs電位領域181は、n型ウエル領域103の外周付近に、HVJT201の第2高濃度領域151に近接して配置される。すなわち、略矩形状のVs電位領域181の1辺185は、n型ウエル領域103の周囲を囲む略矩形環状の第2高濃度領域151の内周の1辺に平行に対向する。これにより、Vs電位領域181と対向する第2高濃度領域151の1辺(以下、対向箇所とする)185において、Vs電位領域181とHVJT201との間の距離を最小にすることができる。
【0046】
このようなHVICとして、出力ノードでの過大な負のスイング(負サージ電圧が印加されること)を見込んでハーフブリッジ型のパワートランジスタを駆動するHVICを保護するために、HVICチップ内の寄生ダイオードと直列に接続され、かつHVICチップの基板と接地電位端子との間に配置され、出力ノードでの負の電圧過渡現象に起因してHVICの寄生ダイオードに流れる負電圧スパイク(負サージ)中の電流を制限する抵抗器を備えた回路が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0047】
また、別のHVICとして、レベルシフト回路に属するスイッチング素子のドレイン電極と増幅器(CMOS回路)に属するMOSトランジスタのゲート電極との間にダイオードを挿入することで、定格耐圧を超えて印加される負の電圧(逆バイアス)の悪影響を減殺する装置が提案されている(例えば、下記特許文献2参照。)。下記特許文献2では、スイッチング素子を逆流する電流によって、増幅器の動作が悪影響を受けることを防止している。
【0048】
また、別のHVICとして、高電圧電源の高電位側と低電位(接地電位)側との間に、高電圧電源の高電位側から、レベルシフト抵抗、電流制限抵抗、および、レベルアップ回路を構成するスイッチング素子(ドレインが高電位側)の順に直列接続され、レベルシフト抵抗と電流制限抵抗との間をレベルアップ回路の出力部とする装置が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)。下記特許文献3では、Vs端子の電位を基準とするレベルシフト回路の低電圧電源の高電位側(H−VDD)と低電位側(GND)との間の電流経路に電流制限抵抗を接続することで、レベルアップ回路を構成するnチャネルMOSFETのボディーダイオードやHVICの寄生pnダイオード自体が過電流により破壊に至ることや、レベルシフト回路の電流容量の小さい箇所が過電流により破壊に至ることを防止している。
【0049】
また、別のHVICとして、HVIC内部に共通の基板領域を利用して、共通接地ノードと高電位側基準電位の仮想接地(中間電位)ノードとの間に高耐圧ダイオードを設けた装置が提案されている(例えば、下記特許文献4参照。)。下記特許文献4では、高電位側基準電位の端子(Vs端子)と共通接地電位(GND電位)にある基板領域との間に高耐圧ダイオードを設けることで、高電位側基準電位の仮想接地ノードに発生する負電圧のアンダーシュートによる高電位側電源電圧の低下を抑制している。
【0050】
また、別のHVICとして、高電位側基準電位領域(Vs電位領域)に近接した箇所におけるHVJTのコンタクトを間引く、またはHVJTを構成する耐圧領域の幅を広くして、ダブルリサーフ構造を部分的に追加した平面レイアウトを備えた装置が提案されている(例えば、下記特許文献5参照。)。下記特許文献5には、負電圧のアンダーシュートによる高電位側電源電圧の低下に伴う高電位側基準電位領域へのキャリア注入量を低減している。
【0051】
また、別のHVICとして、p
-型半導体基板に、低耐圧領域であるn
-型拡散領域が環状に形成され、この内側に接して、HVJTを構成するn型拡散領域が環状に形成され、さらにこの内側に所定幅のp
-型半導体基板を挟んで高耐圧領域となる島状のn型拡散領域を備えた装置が提案されている(例えば、下記特許文献6(第0045段落、第8図)参照。)。下記特許文献6では、HVJTを構成するn型拡散層とハイサイド回路部を配置したn型拡散層とを環状のp
-型拡散層で分割した構造が提案されている。
【0052】
しかしながら、発明者が鋭意研究を重ねた結果、上述した従来のHVICには次の問題があることが判明した。
図10に示すスイッチングパワーデバイス(IGBT114,115)とHVICとが接続されてなる電力変換装置において、高電圧電源(主回路電源)の高電位側Vssが1200V程度であり、HVICのH−VDDの電位がVsの電位に対して15V程度高い場合を例に説明する。ハーフブリッジ回路の上アームのIGBT115がオンし、下アームのIGBT114がオフしている際には、上アームのIGBT115からL負荷118へ向かって電流が流れる。
【0053】
この状態から上アームのIGBT115がオフ状態へ移行されると、L負荷118が電力変換装置に流れる電流を維持しようとする(L負荷118によって交流電圧に対して電流位相が遅れる)ため、GNDから下アームのIGBT114に並列に接続されたFWD116を経由してL負荷118に電流が流れた状態となる。これにより、Vs端子111の電位がGND電位よりも低くなり、例えば−30V程度になる。Vs端子111の電位が−30V程度となった場合、上述したようにH−VDDの電位はVsの電位に対して15V程度高いため、−15V(=−30V+15V)程度となる。
【0054】
図13,14に示す従来のHVIC200の構造では、p型半導体基板101およびp型ウエル領域105がGND電位にある。そのため、レベルアップ回路210のハイサイド回路部217のロジック部のCMOS回路を構成するn型ウエル領域103およびn
-型ウエル領域104がともにGND電位よりも低くなるまでVs端子111の電位が低下した場合、寄生pnダイオード171,172が順方向バイアスとなり大電流が流れる。この電流は、n型ウエル領域103を通ってハイサイド回路部217からIGBT115に入力され、IGBT115のゲート・エミッタ間容量を介してL負荷118へと流れる。この電流経路(パス)には電流を制限する抵抗成分がないため、極めて大きなパルス電流となる。このパルス電流によって、HVIC200が破壊されたり、誤動作したりする。
【0055】
また、従来のHVIC200の平面構造では、Vsパッド(Vs端子111)またはH−VDDパッドに負サージ電圧が印加された場合、寄生pnダイオード172のアノードを構成するp型ウエル領域105から、カソードを構成するn
-型ウエル領域104へ正孔が注入される。特に、HVJT201の、Vs電位領域181との間の距離が狭い対向箇所185では、Vs電位領域181とp型ウエル領域105とに挟まれたn
-型ウエル領域104の抵抗(寄生pnダイオード172のカソード抵抗)が、n
-型ウエル領域104の他の箇所よりも小さくなる。このため、HVJT201の、Vs電位領域181との間の距離が狭い対向箇所185では、p型ウエル領域105からn
-型ウエル領域104へ正孔注入量が、n
-型ウエル領域104の他の箇所よりも多くなる。
【0056】
n
-型ウエル領域104に入り込んだ正孔は、第2高濃度領域151直下(基板裏面側)を通って、GND電位に対して負電位となっているVs電位領域181であるp型オフセット領域131およびp
+型ドレイン領域134へ向かって流れる。p型オフセット領域131に入り込んだ正孔は、p
+型コンタクト領域138からVs端子111に引き抜かれる。しかしながら、p型オフセット領域131に入り込んだ一部の正孔は、n
+型ソース領域137の直下にまで流入し、n
+型ソース領域137、p型オフセット領域131およびn型ウエル領域103からなる寄生npnトランジスタのゲート電流となる。このため、この寄生npnトランジスタがオンしてハイサイド回路部217のロジック部を誤動作させる虞がある。
【0057】
さらに、n
+型ソース領域137の直下にまで流入した正孔が、n
+型ソース領域137、p型オフセット領域131、n型ウエル領域103およびp型半導体基板101からなる寄生サイリスタをオン(ラッチアップ)させて、ハイサイド回路部217が破壊に至る虞がある。また、p型オフセット領域131に入り込んだ正孔の一部がn型ウエル領域103を通ってp
+型ドレイン領域134まで流れた場合、ハイサイド回路部217が誤動作する虞がある。なお、寄生pnダイオード171は、アノードとなるp型半導体基板101の比抵抗が高いため、アノード抵抗が高い。このため、p型半導体基板101からn型ウエル領域103への正孔の注入は微量である。
【0058】
寄生動作によって誤動作や破壊が生じることについて、下記特許文献1には、電流を制限する抵抗器を基板とグランド端子との間に接続することで電流量を抑制しているが、それ以外の箇所に抵抗器を接続することについて記載されていない。また、この抵抗器はポリシリコン層で形成されているため、負サージ電圧による大きなパルス電流(数A〜数十A)が過渡的にVs端子とグランド端子との間の寄生ダイオードに流れた際に、抵抗器を構成するポリシリコン層が過電流により熱溶解し破壊に至る虞がある。
【0059】
下記特許文献2には、L負荷によってH−VDDの電位が負電位になった場合に、レベルシフト回路を構成するMOSFETのボディーダイオードやHVICの寄生pnダイオードの電流を制限するための抵抗やレイアウトについて記載されていない。下記特許文献3には、Vs端子の電位を基準とするハイサイド回路部の寄生動作による誤動作(誤反転)を防止することについて記載されていない。
【0060】
下記特許文献4には、ブートストラップ電源電位(H−VDDの電位)のノード(電位点)と共通接地電位(GND電位)にある基板領域との間に高耐圧ダイオードを設けることについて記載されていない。下記特許文献5に記載の技術では、負サージ電圧が高い場合や、負サージ電圧の印加期間が長い場合には、Vs電位領域にもキャリアが多量に注入されるため、ハイサイド回路の誤動作や破壊を防止するという効果が得られない。このため、効果が限定的となる。
【0061】
下記特許文献6に記載の技術では、HVJTを構成するn型拡散層にはレベルシフト回路を構成する高耐圧nチャネルリサーフMOSFETが配置されており、このn型拡散層はドレインドリフト領域もしくはドレイン領域に相当する。このため、負サージ電圧によってHVJTを構成するn型拡散層からレベルシフト回路に正孔(電流)が注入され、レベルシフト回路の内部デバイスや配線等が過電流によって発熱して破壊に至ったり、正孔の過剰注入によってドレインノード(高耐圧nチャネルリサーフMOSFETのドレイン電位点)の電位が不安定になり、レベルシフト回路が誤動作する虞がある。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体集積回路装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0075】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体集積回路装置の構造について、自己分離型の高耐圧集積回路装置(HVIC)を例に
図1,2,7〜9を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1にかかる高耐圧集積回路装置の平面構造を示す図である。
図2は、
図1の切断線A−A'および切断線C−C'における断面構造を示す断面図である。実施の形態1にかかるHVIC50は、
図10に示す電力変換装置を構成するHVICに対応する駆動素子であり、ハーフブリッジ回路のIGBT(トランジスタ)114,115のオン・オフを制御する機能を有する。HVIC50の接続構成(電力変換装置の回路構成)、HVIC50のレベルシフト機能(レベルシフト回路)の回路構成、および、HVIC50によるIGBT114,115の駆動方法は例えば従来と同様でよいため、説明を省略する(
図10〜12の説明を参照)。
【0076】
まず、HVIC50の平面レイアウトについて説明する。
図1に示すように、実施の形態1にかかるHVIC50は、p型半導体基板(第1導電型半導体層)1上に、高電位領域、低電位領域、および高耐圧接合終端領域(HVJT)21を備える。高電位領域とは、HVIC50のH−VDDの電位(第3電位)およびVsの電位(第2電位)が印加される領域である。具体的には、高電位領域は、p型半導体基板1のおもて面側に配置されたn型ウエル領域(第1の第2導電型ウエル領域)3である。高電位領域には、例えば、レベルシフト回路の周辺回路であるハイサイド回路部(第2回路部)などが配置される。
【0077】
低電位領域とは、HVIC50のL−VDD(第4電位)やGNDの電位(第1電位)が印加される領域である。具体的には、低電位領域は、n型ウエル領域3よりも外側(チップ外周部側)に配置されたn
-型ウエル領域(第3の第2導電型ウエル領域)2である。低電位領域には、レベルシフト回路の周辺回路であるローサイド回路部(第1回路部)などが配置される。HVJT21は、耐圧領域および共通電位領域を含む領域であり、例えばレベルシフト回路などが配置されてもよい。耐圧領域は、n型ウエル領域3とn
-型ウエル領域2との間に配置されたn
-型ウエル領域(第2の第2導電型ウエル領域)4である。
【0078】
共通電位領域とは、共通電位(例えばGND電位(接地電位))が印加される領域である。具体的には、共通電位領域は、n
-型ウエル領域4とn
-型ウエル領域2との間に配置されたp型ウエル領域(第1導電型ウエル領域)5である。以下、共通電位をGND電位として説明する。レベルシフト回路およびレベルシフト回路の周辺回路の断面構造は、例えば従来のHVIC(
図13参照)と同様である。ここでは、HVIC50がレベルアップ回路(第3回路)210およびその周辺回路(ハイサイド回路部217およびローサイド回路部216)を備える場合を例に説明するが、HVIC50はレベルダウン回路を備えていてもよい。
【0079】
H−VDDは、Vsの電位を基準とするハイサイド駆動電源である低電圧電源113の高電位側に接続する端子である。L−VDDは、GNDの電位を基準とするローサイド駆動電源である低電圧電源112の高電位側に接続する端子である。Vsは、高電圧電源(主回路電源)の高電位側Vssの電位からGNDの電位まで変動する中間電位(浮遊電位)の端子である。GNDはグランド(接地)端子である。
図1のH−VDD、L−VDD、VsおよびGNDは、それぞれ、
図10に示すH−VDD、L−VDD、VsおよびGNDと対応する端子である(
図3〜5においても同様)。
【0080】
高電位領域であるn型ウエル領域3には、例えば、レベルアップ回路210のハイサイド回路部217,226、H−VDDパッド(端子)、H−OUTパッド、Vsパッド、n
+型コンタクト領域(以下、第2,3高濃度領域(第1,2の第2導電型高濃度領域)とする)51,54および第2,3ピックアップ電極(第1,2電極)52,55が配置されている。Vs電位領域(所定領域)81は、Vsパッドに電気的に接続され、Vsの電位が印加される領域である。
図1には、Vs電位領域81とVsパッドとを接続する配線層を、Vs電位領域81とVsパッドとをつなぐ破線で示す。
【0081】
具体的には、Vs電位領域81は、ハイサイド回路部217を構成する第2nチャネルMOSFET130bのp型オフセット領域131、n
+型ドレイン領域136、n
+型ソース領域137およびp
+型コンタクト領域138や、第2pチャネルMOSFET130aのp
+型ドレイン領域134等が配置される領域である。H−VDD電位領域82は、H−VDDパッドに電気的に接続され、H−VDDの電位が印加される領域である。H−VDDパッドの電位は、n型ウエル領域3に配置された回路の電源電圧となる。具体的には、H−VDD電位領域82は、ハイサイド回路部217の第2pチャネルMOSFET130aのn
+型コンタクト領域132およびp
+型ソース領域133等が配置される領域である。
【0082】
図1には、Vs電位領域81およびH−VDD電位領域82を、略矩形状の平面形状を有するn型ウエル領域3の外周の1辺13aに沿った方向(以下、第1方向とする)に延びる直線状の平面形状で図示している。また、
図1には、Vs電位領域81とH−VDD電位領域82とを、第1方向に平行に、かつ第1方向と直交する方向(以下、第2方向とする)に並列に配置した状態を図示している。
図1では、Vs電位領域81とH−VDD電位領域82とを分けて示しているが、実際には、Vs電位領域81およびH−VDD電位領域82に配置される各領域はn型ウエル領域3上に混在して配置される。
【0083】
n型ウエル領域3の外周の、Vs電位領域81およびH−VDD電位領域82が配置された側の1辺13aに向かい合う辺(対辺)13b側には、例えば、H−VDDパッド、H−OUTパッドおよびVsパッドが配置されている。H−VDDパッド、H−OUTパッドおよびVsパッドは例えば第1方向に順に並列に配置されている。また、n型ウエル領域3の外周の、Vs電位領域81およびH−VDD電位領域82が配置された側の1辺13aに向かい合う辺13b側には、各パッド(H−VDDパッド、H−OUTパッドおよびVsパッド)よりも外側に、かつ各パッドに対向するように、第3高濃度領域54が配置されている。第3高濃度領域54は、n型ウエル領域3の外周の1辺13bに沿った方向(第1方向)に延びる直線状の平面形状を有する。
【0084】
また、n型ウエル領域3の外周の残りの2辺(向かう合う辺13a,13b以外の1組の向かい合う2辺)13c,13dのうち、Vsパッドに対向する1辺13cに沿って、第3高濃度領域54が配置されている。n型ウエル領域3の外周の1辺13cに沿って配置された第3高濃度領域54は、例えばVs電位領域81に対向しないように配置される。また、n型ウエル領域3の外周の2辺13b,13cに沿ってそれぞれ配置された各第3高濃度領域54は、互いに離して配置されている。すなわち、第3高濃度領域54は、n型ウエル領域3の外周の2辺13b,13cで共有する1つの角部(コーナー部)に配置されていない。第3高濃度領域54上には、第3高濃度領域54に沿って環状に第3ピックアップ電極55が配置されている。第3ピックアップ電極55は、H−VDDパッドに接続されている。第3高濃度領域54は、n型ウエル領域3の電位を安定させる目的で形成するものであり、回路が形成されていない領域にできるだけ形成することが望ましい。また、第3高濃度領域54を設けない場合もある。
【0085】
また、n型ウエル領域3には、n型ウエル領域3の外周に沿って環状にp
-型領域(以下、p
-型分離領域(分離領域)とする)53が配置されている。p
-型分離領域53は、n型ウエル領域3内を接合分離する。具体的には、p
-型分離領域53は、n型ウエル領域3の、Vs電位領域81、H−VDD電位領域82、第3高濃度領域54および各パッドなどが配置されたp
-型分離領域53よりも内側(チップ中央部側)の部分と、p
-型分離領域53よりも外側(チップ外周部側)の部分とを接合分離する。これにより、n型ウエル領域3の、p
-型分離領域53によって囲まれた内側の部分に正孔が注入されることを防止することができる。p
-型分離領域53は、可能な限りn型ウエル領域3の、n
-型ウエル領域4との界面に近い位置に配置することが好ましい。その理由は、p
-型分離領域53によって囲まれた正孔がほぼ注入されない領域、すなわちVs電位領域81やH−VDD電位領域82などを配置する領域を可能な限り大きく確保することができるからである。
【0086】
n型ウエル領域3の、p
-型分離領域53よりも外側には、p
-型分離領域53の外周(すなわちn型ウエル領域3の外周)に沿って、第2高濃度領域51が選択的に配置されている。第2高濃度領域51は、p
-型分離領域53に接していない。具体的には、第2高濃度領域51は、n型ウエル領域3の外周の各辺13a〜13dに沿ってそれぞれ、互いに離して配置されており、n型ウエル領域3のコーナー部には配置されていない。各第2高濃度領域51上には、それぞれ第2高濃度領域51に沿って第2ピックアップ電極52が配置されている。第2ピックアップ電極52は、従来のHVICの第2ピックアップ電極と同様に、H−VDDパッドに接続されている。
【0087】
また、n型ウエル領域3の外周の辺13aに沿って配置された2つのn
+型ドレイン領域142a,142bは、それぞれn
-型ウエル領域4をドリフト領域とし、レベルアップ回路210を構成するセット用およびリセット用のnチャネルMOSFET211のn
+型ドレイン領域である。これらn型ウエル領域3の外周の辺13aに沿って配置された2つのn
+型ドレイン領域142a,142bは、それぞれ、レベルシフト抵抗212a,212bを介して、n型ウエル領域3の外周の辺13aに連続する辺13c,13dに沿って配置された第2高濃度領域51に接続されている。
【0088】
レベルシフト抵抗212(212a,212b)は、n型ウエル領域3の、n
+型ドレイン領域142と、n型ウエル領域3の外周の辺13c,13dに沿うように配置された第2高濃度領域51とに挟まれた部分で構成される内部抵抗である。各n
+型ドレイン領域142a,142b上には、それぞれn
+型ドレイン領域142a,142bに沿ってドレイン電極146a,146bが配置されている。ドレイン電極146a,146bは、従来のドレイン電極146と同様に、出力部215に接続されている。nチャネルMOSFET211のソース領域は従来のn
+型ソース領域141と同様p型ウエル領域5の内部に形成される(不図示)。nチャネルMOSFET211をオンし、レベルシフト抵抗212(212a,212b)に電流を流して出力部215の電圧を降下させることで、レベルシフト回路動作が可能である。なお、レベルシフト抵抗212は、内部抵抗に限るものではなく他の抵抗素子、例えば、n型ウエル領域3上に絶縁膜を介して形成された多結晶シリコン層などであってもよい。
【0089】
n型ウエル領域3の周囲には、n型ウエル領域3に接してn型ウエル領域3の周囲を囲むように、n
-型ウエル領域4が配置されている。n
-型ウエル領域4に接してn
-型ウエル領域4の周囲を囲むように、共通電位領域であるp型ウエル領域5が配置されている。p型ウエル領域5には、n
-型ウエル領域4の外周に沿って環状にp
+型コンタクト領域(第1高濃度領域)143が配置されている。第1高濃度領域143上には、第1高濃度領域143に沿って環状に第1ピックアップ電極145が配置されている。第1ピックアップ電極145は、GNDに接続されている。なお、nチャネルMOSFET211のn
+型ソース領域141も第1ピックアップ電極145に接続される。
【0090】
図1では、第1,2ピックアップ電極145,52を簡略化し、チップおもて面を覆う図示省略する層間絶縁膜や保護膜上に堆積された第1,2ピックアップ電極145,52の、コンタクトホールに埋め込まれた部分を黒四角で示す。すなわち、第1,2ピックアップ電極145,52を示す各黒四角は、それぞれ第1,2高濃度領域143,51とのコンタクト(電気的接触部)である。第1,2ピックアップ電極145,52と対応する各第1,2高濃度領域143,51とが部分的に接する複数のコンタクトを設ける代わりに、第1,2高濃度領域143,51に沿って延びる帯状のコンタクトを設けてもよい。
【0091】
第1,2高濃度領域143,51、p
-型分離領域53、および、第2高濃度領域51と第3高濃度領域54とに挟まれた部分(第3高濃度領域54が配置されていない部分においては、第2高濃度領域51とp
-型分離領域53とに挟まれた部分)でHVJT21が構成される。すなわち、HVJT21は、第1,2高濃度領域143,51と、n
-型ウエル領域4と、p型ウエル領域5の、第1高濃度領域143よりも内側の部分で構成される。
【0092】
図1には、
図11のレベルアップ回路210のnチャネルMOSFET211のn
+型ドレイン領域142(142a,142b)、ゲート電極(符号144a,144bで示す)およびレベルシフト抵抗212(212a,212b)を示す。HVJT21に、セット用およびリセット用のnチャネルMOSFET211がそれぞれ配置されている。セット用およびリセット用のnチャネルMOSFET211の各n
+型ドレイン領域142a,142bは、ともにn
-型ウエル領域4上に配置されている。
【0093】
n
-型ウエル領域4およびp型ウエル領域5上には、セット信号およびリセット信号の入力を受ける各ゲート電極144a,144bが配置されている。ゲート電極144a,144bは、それぞれn
+型ドレイン領域142a,142bに対向するように、p型ウエル領域5の表面上に絶縁膜(不図示)を介して配置される。
【0094】
p型ウエル領域5の周囲には、p型ウエル領域5に接してp型ウエル領域5の周囲を囲むように、低電位領域であるn
-型ウエル領域2が配置されている。n
-型ウエル領域2には、レベルアップ回路210のローサイド回路部216のロジック部(不図示)、GNDパッド、H−INパッド、L−VDDパッドなどが配置されている。また、各パッドの周囲を囲む破線よりも細かい破線(第2高濃度領域51およびH−VDDパッドを囲む破線)で示す領域は、ピックアップ電極52とH−VDDパッドとを接続する配線層である。
【0095】
次に、HVIC50のp型ウエル領域5、n
-型ウエル領域4およびn型ウエル領域3の外周の辺13dの部分を横切る切断線A−A'における断面構造について説明する。
図2に示すように、実施の形態1にかかるHVIC50において、GNDに接続されたp型半導体基板(半導体チップ)1のおもて面の表面層には、上述した配置でn
-型ウエル領域2,4、n型ウエル領域3およびp型ウエル領域5がそれぞれ選択的に設けられている。p型半導体基板1の不純物濃度は2.0×10
13/cm
3以上1.0×10
15/cm
3以下程度であることが好ましい。p型ウエル領域5の不純物濃度は2.0×10
15/cm
3以上5.0×10
18/cm
3以下程度の範囲であることが好ましい。
【0096】
n型ウエル領域3の基板おもて面側には、ハイサイド回路部217を構成するVs電位領域81および図示省略するH−VDD電位領域82が設けられている。また、n型ウエル領域3の基板おもて面の表面層には、Vs電位領域81よりも外側(n
-型ウエル領域4側、すなわちチップ外側)に、第2高濃度領域51が選択的に設けられている。さらに、n型ウエル領域3には、基板おもて面からn型ウエル領域3を貫通してp型半導体基板1の残部(p型半導体基板1の裏面側の、n
-型ウエル領域2,4およびn型ウエル領域3が設けられていない部分)に達するp
-型分離領域53が設けられている。p
-型分離領域53は、Vs電位領域81と第2高濃度領域51との間に設けられている。
【0097】
p
-型分離領域53の幅(内側から外側に向う方向の幅)w1は、H−VDDパッドの電位が1200V程度の高電位に跳ね上った場合においても耐圧特性を維持可能な幅とする。具体的には、p
-型分離領域53の幅w1は、p
-型分離領域53の内側のn型ウエル領域3との間のpn接合(内周側)、および、p
-型分離領域53の外側のn型ウエル領域3との間のpn接合(外周側)からそれぞれ伸びる空乏層同士がp
-型分離領域53内で接するように設定すればよい。すなわち、p
-型分離領域53の幅w1は、p
-型分離領域53が空乏化されるように設定する。より具体的には、p
-型分離領域53の幅w1は、例えば10μm以上30μm以下程度であることがよい。
【0098】
p型ウエル領域5は、p型半導体基板1の残部に接するように設けられている。p型ウエル領域5は、第1高濃度領域143および第1ピックアップ電極145を介してGNDに電気的に接続され、p型半導体基板1の電位をGND電位に固定する固定電位領域である。すなわち、p型ウエル領域5は、n
-型ウエル領域2と、n型ウエル領域3およびn
-型ウエル領域4とを電気的に分離する自己分離領域として機能する。p型ウエル領域5は、n
-型ウエル領域2,4に代えて設けられた連続する1つのn
-型ウエル領域(エピタキシャル層)の、ローサイド回路部216が設けられた領域よりもn型ウエル領域3側に、n型ウエル領域3と離して、かつ当該n
-型ウエル領域を基板おもて面から深さ方向に貫通してp型半導体基板1の残部に接するように設けられていればよい。
【0099】
p型ウエル領域5の基板おもて面側の表面層には、第1高濃度領域143が選択的に設けられている。基板おもて面の、第1,2高濃度領域143,51など電極とのコンタクトを形成する部分以外には、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)などのフィールド酸化膜8が設けられている。フィールド酸化膜8上には、基板おもて面を覆うように層間絶縁膜6が設けられている。第1ピックアップ電極145は、層間絶縁膜6を深さ方向(基板深さ方向)に貫通するコンタクトホールを介して第1高濃度領域143とオーミック接触している。第2ピックアップ電極52は、層間絶縁膜6を深さ方向(基板深さ方向)に貫通するコンタクトホールを介して第2高濃度領域51とオーミック接触している。層間絶縁膜6上には、第1ピックアップ電極145,52を覆うように保護膜7が設けられている。
【0100】
次に、実施の形態1にかかるHVIC50の製造方法について、
図2を参照しながら説明する。ここでは、n
-型ウエル領域2,4、n型ウエル領域3、p型ウエル領域5、p
-型分離領域53、第1,2高濃度領域143,51,n
+型ソース領域141、n
+型ドレイン領域142(142a,142b)および第1,2ピックアップ電極145,52の形成方法を説明する。HVIC50のその他の構成部(例えばハイサイド回路部217、ローサイド回路部216およびレベルシフト回路等の各構成部)の形成方法は説明を省略するが、一般的な方法により所定のタイミングで基板上に形成すればよい。まず、フォトリソグラフィおよびイオン注入を繰り返し複数回行い、p型半導体基板1のおもて面の表面層に、n
-型ウエル領域2,4およびn型ウエル領域3を形成するための不純物をそれぞれ選択的に導入する。n
-型ウエル領域2,4、n型ウエル領域3を形成するための不純物は、例えばリン(P)のイオン注入により形成する。
【0101】
n
-型ウエル領域2,4は、例えば1回のイオン注入により同時に形成してもよい。n
-型ウエル領域2,4およびn型ウエル領域3を形成する順序は種々変更可能である。次に、例えば、高温(1100℃以上1200℃以下程度)で熱処理を行い、導入した不純物を所定の深さに拡散しn
-型ウエル領域2,4およびn型ウエル領域3を形成する。この熱処理は、n
-型ウエル領域2,4およびn型ウエル領域3を形成するためのイオン注入ごとに行ってもよい。次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入により、p型半導体基板1のおもて面の表面層に、p型ウエル領域5を形成するための不純物を選択的に導入する。p型ウエル領域5を形成するための不純物は、例えばボロン(B)のイオン注入により形成する。次に、例えば、高温(1100℃以上1200℃以下程度)で熱処理を行い、導入した不純物を所定の深さに拡散しp型ウエル領域5を形成する。
【0102】
次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入により、n型ウエル領域3の表面にp
-型分離領域53を形成するための不純物を選択的に導入する。具体的には、例えば、p
-型分離領域53の形成領域に対応する部分が開口したフォトマスクや窒化膜マスクを用いて、n型ウエル領域3が形成されていない部分(すなわちn型ウエル領域3を形成するためのリンのイオン注入が行われていない部分)にボロンのイオン注入を行う。次に、熱処理により導入した不純物を所定の深さに拡散しp
-型分離領域53を形成する。p
-型分離領域53は、例えば1回のイオン注入によりp型ウエル領域5と同時に形成してもよい。次に、フォトリソグラフィおよび砒素(As)のイオン注入により、n型ウエル領域3の表面層にn
+型コンタクト領域である第2高濃度領域51,n
+型ソース領域141,n
+型ドレイン領域142を形成するための不純物を選択的に導入する。
【0103】
次に、例えば750℃以上900℃以下程度の温度の熱処理より、導入した不純物を所定の深さに拡散し第2高濃度領域51,n
+型ソース領域141,n
+型ドレイン領域142を形成する。第2高濃度領域51,n
+型ソース領域141,n
+型ドレイン領域142の表面不純物濃度は1×10
20/cm
3程度としてもよい。次に、フォトリソグラフィおよびフッ化ボロン(BF
2)のイオン注入により、p型ウエル領域5の表面層に、p
+型コンタクト領域である第1高濃度領域143を形成するための不純物を選択的に導入する。次に、例えば750℃以上900℃以下程度の温度の熱処理により、導入した不純物を所定の深さに拡散し第1高濃度領域143を形成する。第1高濃度領域143の表面不純物濃度は、1×10
20/cm
3程度としてもよい。次に、一般的な方法により、フィールド酸化膜8の形成や、層間絶縁膜6の形成、コンタクトホールの形成、金属電極となる金属層を堆積するためのスパッタなどを行い、コンタクトホールを埋める金属層からなる第1,2ピックアップ電極145,52を形成する。その後、一般的な方法により、基板おもて面を覆うパッシベーション膜などの保護膜7を形成することで、
図1に示すHVIC50が完成する。
【0104】
次に、負サージ電圧発生時のキャリア(電子および正孔)の挙動について、
図2を参照しながら説明する。負サージ電圧発生時とは、例えば、Vs端子111の電位がマイナス方向に低下して、H−VDDに接続されたハイサイド回路部217を配置したn型ウエル領域3およびHVJT21を構成するn
-型ウエル領域4が過渡的にGND電位より低い電位になった場合である。
図2に示すように、HVIC50には、n
+型コンタクト領域である第2高濃度領域51をカソードとし、p
+型コンタクト領域である第1高濃度領域143(およびp型ウエル領域5)をアノードとし、このカソードとアノードとに挟まれたn
-型ウエル領域4をドリフトとする寄生pnダイオード31が形成される。この寄生pnダイオード31を流れる電流(キャリアの流れ)のうち、正孔は、第1高濃度領域143から、H−VDDの電位の第2ピックアップ電極52に接続された第2高濃度領域51に注入される。一方、寄生pnダイオード31を流れる電子は、第2高濃度領域51からn
-型ウエル領域4を経由して、GND電位の第1ピックアップ電極145に接続された第1高濃度領域143(およびp型ウエル領域5)に注入される。また、第2高濃度領域51よりも内側に配置されたp
-型分離領域53によって、n型ウエル領域3の、Vs電位領域81やH−VDD電位領域82などからなるハイサイド回路部217が配置された内側の部分と、第2高濃度領域51が配置された外側(耐圧領域側)の部分とが接合分離されている。これによって、負サージ電圧発生時に、p
-型分離領域53が電位障壁となるため、p
-型分離領域53の外側に形成される寄生pnダイオード31に流れる電流(正孔)が支配的になる(符号32で示す矢印)。したがって、p
-型分離領域53よりも内側に配置されたVs電位領域81やH−VDD電位領域82には正孔はほとんど流れ込まない(符号33で示すバツ印を付した点線矢印)。このため、ハイサイド回路部217のロジック部の誤動作や破壊を防止することができる。
【0105】
つぎに、負サージ電圧発生時にp型ウエル領域5からn型ウエル領域3に向かうキャリア(主に正孔)の流れについて、
図2,3を参照しながらさらに詳しく説明する。
図3は、
図1の高耐圧集積回路装置に負サージ電圧が印加されたときのキャリアの挙動を示す説明図である。
図3において、p型ウエル領域5から第2高濃度領域51に向かう矢印は、
図2に示す寄生pnダイオード31によって支配的になる正孔の流れ32である。p型ウエル領域5およびn
-型ウエル領域4上に記載されたダイオードは、
図2の寄生pnダイオード31である。バツ印を付した矢印は、
図2に示すように電位障壁となるp
-型分離領域53によってn
-型ウエル領域4からVs電位領域81への正孔の流れ33が抑制された状態である。
【0106】
図2,3に示すように、HVIC50のVsおよびH−VDDをそれぞれ経由して第1ピックアップ電極145と第2ピックアップ電極52に負サージ電圧が入力された場合、寄生pnダイオード31が順方向バイアスされ、正孔はVs電位領域81などのハイサイド回路部217が配置されたn型ウエル領域3側へ流れ、電子はp型ウエル領域5(第1高濃度領域143)側へ流れる。このとき、n型ウエル領域3に流れ込んだ正孔は、n型ウエル領域3の、p
-型分離領域53によって接合分離された内側へは流れ込まず(符号33で示すバツ印を付した矢印)、
図3において破線で囲んだH−OUTパッド、VsパッドおよびGNDパッド付近(以下、寄生pnダイオード領域とする)に積極的に流れ込み、H−VDDの電位の第2ピックアップ電極52に流れ込む(符号32に示す矢印)。これによって、p
-型分離領域53よりも内側に配置されたVs電位領域81への正孔の流入を抑制することができる。
【0107】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、Vs電位領域およびH−VDD電位領域などに配置された各領域からなるハイサイド回路部のロジック部を囲むようにp
-型分離領域を設けて、ハイサイド回路部のロジック部と耐圧領域とを分離し、かつこのp
-型分離領域の外側(耐圧領域側)にH−VDDの電位に固定された第2高濃度領域および第2ピックアップ電極を配置することで、第2ピックアップ電極へ流れる電流(正孔)が支配的になり、負サージ電圧発生時においても、Vs電位領域への正孔注入量を低減させることができる。また、実施の形態1によれば、第2ピックアップ電極へ流れる電流(正孔)が支配的になるため、HVJTに配置されたレベルアップ回路を構成するnチャネルMOSFETのドレインに流れ込む正孔注入量を低減させることができる。このため、HVJTとハイサイド回路部が配置されたVs電位領域との間の距離が狭い対向箇所が生じる程度に縮小化を図った場合であっても、ハイサイド回路部のロジック部の誤動作(誤信号伝達)や、ラッチアップによる破壊を起こりにくくすることができる。したがって、チップ面積を大きくすることなく、負サージ電圧によるハイサイド回路部のロジック部の誤動作や破壊を防止したHVICを提供することができる。
【0108】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる半導体集積回路装置(HVIC)の構造について説明する。
図4は、実施の形態2にかかる高耐圧集積回路装置の要部の構造を示す断面図である。
図5は、実施の形態2にかかる高耐圧集積回路装置の別の一例の要部の構造を示す断面図である。実施の形態2にかかるHVICが実施の形態1にかかるHVICと異なる点は、n
-型ウエル領域4に接するようにp
-型分離領域53が配置されている点である。具体的には、
図4(a)のように、n型ウエル領域3とn
-型ウエル領域4との間に、n型ウエル領域3およびn
-型ウエル領域4に接するようにp
-型分離領域53を配置してもよい。また、p
-型分離領域53の代わりに
図4(b)のように、n型ウエル領域3とn
-型ウエル領域4とが接しないように形成してp型半導体基板1が表面に露出する構成とすることでp型分離領域153を形成してもよい。また、
図5のように、基板おもて面からn
-型ウエル領域4を貫通してp型半導体基板1の残部に達するようにp
-型分離領域53を形成し、内周側および外周側に配置されたn
-型ウエル領域4同士に挟まれるようにp
-型分離領域53を配置してもよい。
【0109】
この場合、レベルアップ回路210を構成するnチャネルMOSFET211のn
+型ドレイン領域142や、p
-型分離領域53の外周に沿って配置される第2高濃度領域51は、n
-型ウエル領域4に配置される。また、レベルシフト抵抗212は、n
-型ウエル領域4の、n
+型ドレイン領域142とこのn
+型ドレイン領域142に対向する第2高濃度領域51とに挟まれた部分で構成される。これによって、実施の形態1と同様に、実施の形態2にかかるHVICのレベルシフト回路動作を行うことが可能である。また、p
-型分離領域53の幅は、n型ウエル領域3との間のpn接合(内周側)およびn
-型ウエル領域4との間のpn接合(外周側)からそれぞれ伸びる空乏層同士がp
-型分離領域53内で接するように設定すればよい。なお、
図4(b)の例では、n型ウエル領域3とn
-型ウエル領域4との間にp型分離領域153を形成しているが、n型ウエル領域3またはn
-型ウエル領域4をそれぞれ複数に分離して形成することもできる。
【0110】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0111】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる半導体集積回路装置(HVIC)の構造について説明する。
図6は、実施の形態3にかかる高耐圧集積回路装置の要部の構造を示す断面図である。実施の形態3にかかるHVIC60が実施の形態1にかかるHVICと異なる点は、耐圧領域であるn
-型ウエル領域4内を接合分離するようにp
-型分離領域(分離領域)63が配置されている点である。具体的には、p
-型分離領域63は、セット側およびリセット側のnチャネルMOSFET211と、Vs電位領域81およびH−VDD電位領域82とを接合分離する。以下に、p
-型分離領域63の平面レイアウトについて、p型ウエル領域5に接して環状をなす略U字状の3つのp
-型分離領域63(以下、第1〜3p
-型分離領域63a〜63cとする)を配置した場合を例に説明する。
【0112】
第1,2p
-型分離領域63a,63bは、それぞれ、nチャネルMOSFET211およびnチャネルMOSFET211に対向する第2高濃度領域51と、Vs電位領域81およびH−VDD電位領域82とを接合分離する。具体的には、第1p
-型分離領域63aは、セット用のnチャネルMOSFET211を囲む略U字状に配置され、その両端部はn
-型ウエル領域4を横切ってp型ウエル領域5に接する。第2p
-型分離領域63bは、第1p
-型分離領域63aと同様に略U字状に配置され、p型ウエル領域5に接して、リセット用のnチャネルMOSFET211を囲む。
【0113】
第3p
-型分離領域63cは、n型ウエル領域3の外周の辺13b〜13dに沿って配置された各第2高濃度領域51と、Vs電位領域81およびH−VDD電位領域82とを接合分離する。具体的には、第3p
-型分離領域63cは、n型ウエル領域3の外周の3辺13b〜13dに沿って配置された各第2高濃度領域51と、第3高濃度領域54、Vs電位領域81およびH−VDD電位領域82との間を通って当該第2高濃度領域51を囲む略U字状に配置され、その両端部はn
-型ウエル領域4を横切ってp型ウエル領域5に接する。すなわち、第3p
-型分離領域63cは、p型ウエル領域5に接して、n型ウエル領域3の外周の辺13b〜13cに沿って配置された第2高濃度領域51を囲む。
【0114】
p
-型分離領域63の幅は、H−VDDパッドの電位が600V程度の高電位に跳ね上った場合においても耐圧特性を維持可能な幅とする。具体的には、p
-型分離領域63の幅は、p
-型分離領域63の内側のn型領域(n型ウエル領域3またはn
-型ウエル領域4)との間のpn接合(内周側)、および、p
-型分離領域63の外側のn型領域との間のpn接合(外周側)からそれぞれ伸びる空乏層同士がp
-型分離領域63内で接するように設定すればよい。すなわち、p
-型分離領域63の幅は、p
-型分離領域63が空乏化されるように設定する。より具体的には、p
-型分離領域63の幅は、例えば10μm以上20μm以下程度であることがよい。
【0115】
実施の形態3においては、p
-型分離領域63によって、n型ウエル領域3の外周の辺13aに沿って配置された第2高濃度領域51と、n型ウエル領域3の外周の辺13c,13dに沿って配置された第2高濃度領域51とが接合分離されているため、n型ウエル領域3の内部抵抗からなるレベルシフト抵抗212a,212bを形成することができない。このため、例えば基板(n型ウエル領域3)上に絶縁膜を介して配置したポリシリコン抵抗によって、nチャネルMOSFET211のn
+型ドレイン領域142(142a,142b)と、H−VDDパッドもしくは第3高濃度領域54とを接続する。これによって、実施の形態1と同様に、レベルシフト回路動作を行うことができる。
【0116】
以上、説明したように、実施の形態3によれば、実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
【0117】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる半導体集積回路装置(HVIC)の構造について説明する。
図7は、実施の形態4にかかる高耐圧集積回路装置の要部の構造を示す断面図である。
図8は、
図7の切断線B−B'における断面構造を示す断面図である。実施の形態4にかかるHVIC70が実施の形態1にかかるHVICと異なる点は、n型ウエル領域3内を接合分離するp
-型分離領域に代えて、誘電体領域(分離領域)73によってn型ウエル領域3内を誘電体分離している点である。誘電体領域73は、例えばn型ウエル領域3の深さよりも深いトレンチ71の内部に例えば酸化膜(SiO
2)などの一般的な誘電材料膜72を埋め込んでなる。
【0118】
誘電体領域73は、実施の形態1と同様に、n型ウエル領域3のn型ウエル領域3の外周に沿って環状に配置され、n型ウエル領域3の内側(チップ中央部側)の部分と、p
-型分離領域53よりも外側(チップ外周部側)の部分とを接合分離する。誘電体領域73を形成するには、例えば、n型ウエル領域3を形成した後に、エッチングにより、基板おもて面からn型ウエル領域3を貫通してp型半導体基板1の残部に達するトレンチ71を形成し、その後、トレンチ71の内部に誘電材料膜72を埋め込めばよい。
【0119】
また、実施の形態2を適用して、n型ウエル領域3とn
-型ウエル領域4との間に、n型ウエル領域3およびn
-型ウエル領域4に接するように誘電体領域73を配置してもよい。また、基板おもて面からn
-型ウエル領域4を貫通してp型半導体基板1の残部に達するようにトレンチ71を形成して誘電材料膜72を埋め込み、内周側および外周側に配置されたn
-型ウエル領域4同士に挟まれるように誘電体領域73を配置してもよい。
【0120】
また、上述した実施の形態2,3に実施の形態4を適用して、p
-型分離領域に代えて誘電体領域73を設けた場合においても、実施の形態4と同様の効果が得られる。
【0121】
以上、説明したように、実施の形態4によれば、実施の形態1〜3と同様の効果を得ることができる。
【0122】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5にかかる半導体集積回路装置(HVIC)の構造について説明する。実施の形態5にかかるHVICが実施の形態1にかかるHVICと異なる点は、高電位領域、低電位領域およびHVJTを構成するn型領域(
図1のn型ウエル領域3およびn
-型ウエル領域2,4)に代えて、p型半導体基板1上にn型エピタキシャル成長層を積層してなるエピタキシャル基板(半導体チップ)や、p
-型エピタキシャル層と埋め込みn
+型半導体層からなる埋め込みエピタキシャル基板を用いてHVICを構成している点である。この場合、p型ウエル領域5は、n型エピタキシャル成長層を貫通して下層のp型半導体層(p型半導体基板1やp
-型エピタキシャル層)に達する深さで設ければよい。
【0123】
図9は、実施の形態5にかかる高耐圧集積回路装置の要部の構造を示す断面図である。
図9では、p型半導体基板1表面にn
+型埋め込み層3a形成のための不純物を導入後、p型半導体基板1上にエピタキシャル層4aを積層し、n
+型埋め込み層3aの上にエピタキシャル層4aの表面から形成された拡散層からなるn型ウエル領域3bを形成した埋め込みエピタキシャル成長基板の例である。p
-型分離領域83をエピタキシャル層4aの表面からp型半導体基板1に達するように拡散層により形成している。
【0124】
また、上述した実施の形態2〜4に実施の形態5を適用して、エピタキシャル基板や埋め込みエピタキシャル基板を用いた場合においても、実施の形態5と同様の効果が得られる。
【0125】
以上、説明したように、実施の形態5によれば、実施の形態1〜4と同様の効果を得ることができる。
【0126】
以上において本発明では、上述した各実施の形態に限らず、ハイサイド回路部とHVJTとの間に寄生のpn接合部(寄生pnダイオード)が形成される様々な集積回路に適用可能である。また、各実施の形態は、半導体層または半導体領域の導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。