(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)アクリル系共重合体、(b)熱硬化性樹脂、(c)無機充填材および(d)アミノ基を有するシランカップリング剤を含有し、(a)アクリル系共重合体が構成モノマー単位中アクリロニトリル単位を30モル%以上含有し、かつ電子部品用樹脂シート中の(a)アクリル系共重合体の含有率が2〜5重量%である、中空構造を形成するために用いられることを特徴とする電子部品用樹脂シート。
半導体チップ搭載面を囲む形状を有する半導体チップ搭載用基板、前記半導体チップ搭載用基板上に形成された半導体チップおよび中空構造形成用基板を有しており、前記半導体チップ搭載用基板と前記中空構造形成用基板が、請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品用樹脂シートを介して接続されていることを特徴とする半導体装置。
(1’)半導体チップ搭載面を囲む形状を有する半導体チップ搭載用基板上に半導体チップを形成する工程、(2’)半導体チップ搭載用基板の中空構造形成用基板との接続面または中空構造形成用基板の半導体チップ搭載用基板との接続面に、請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品用樹脂シートを積層する工程、および(3’)半導体チップ搭載用基板と中空構造形成用基板を、前記電子部品用樹脂シートを介して接続する工程、をこの順に含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化・薄型化に伴い、搭載される電子・電気部品にも、より小型化・薄膜化が求められるようになってきている。このため近年では、半導体の電子部品においても、従来のねじ止めやピン挿入型から、表面実装などの手法が採られるようになってきており、これにより小型化・薄膜化が実現されている。MEMS(MICRO ELECTRO MECHANICAL SYSTEMS)等の電子部品も例外ではなく、特にシート状の樹脂による表面実装によって、小型化・薄膜化を実現している(特許文献1、2参照)。
【0003】
MEMSの中でも圧力センサや加速度センサ、ジャイロセンサ、SAWフィルタ等の電子部品の場合は、その機能上電子部品内部に中空を有していることが必要不可欠である。
【0004】
図1は本発明の第一の半導体装置を示し、中空構造を有する電子部品の例であるが、この構造自体は従来から用いられているものである。ここで
図1の電子部品用樹脂シート2に従来の樹脂材料を用いると、中空部分4に樹脂が入り込んで中空構造が損なわれることがあり、より高いレベルでの中空維持性が求められていた。
【0005】
また
図1に示すような電子部品の場合、基板1表面から半導体チップ3上面まで電子部品用樹脂シート2で完全に覆う構造となっている。そのため、電子部品用樹脂シート2を薄くする必要がある場合、外部の水蒸気が中空部分4に浸入しやすくなり、半導体チップ3の感度が損なわれるものであった。また薄い電子部品用樹脂シート2を硬化させる目的やパッケージ化の目的で加熱すると中空部分4に残存した気体が膨張し、電子部品用樹脂シート2が変形してしまうという問題があった。そのため薄くてもこのような問題の生じない電子部品用樹脂シートが求められていた。
【0006】
また
図2は本発明の第二の半導体装置を示し、中空構造を有する電子部品のもう1つの例であるが、この構造自体も従来から用いられているものである。
図2に示すような電子部品の場合、中空部分9の空間容積が大きいため、中空部分9の残存気体の膨張がより大きくなる。一方で
図2に示すような電子部品の場合、電子部品用樹脂シート7は半導体チップ搭載用基板6と中空構造形成用基板10の間にのみ存在し、中空部分9と外部の距離が短いため、水蒸気が外部から中空部分9へ侵入する場合の移動距離が短くなる。しかしながら従来の樹脂材料は水蒸気透過度が十分低いとはいえず、
図2の電子部品用樹脂シート7に従来の樹脂材料を用いた場合、水蒸気が透過して半導体チップ8の感度が損なわれることがあり、より高いレベルでの低水蒸気透過度が求められていた。
【0007】
これらに対して近年は樹脂材料の改良が進んでおり、上記中空維持性に関しては、電子部品用樹脂シートを2層構造として一方の層に粘度・伸度の高い樹脂材料を用い、これを中空構造と隣接する側に配置して樹脂が中空構造に入り込むことを防ぎ、これにより中空維持性を改善したものが開発されている(特許文献3)。なおこの電子部品用樹脂シートの他方の層は、中空維持性は劣るものの膜強度等の電子部品用樹脂シートが本来的に求められる物性に優れた樹脂材料を用いて、本来の目的も達成している。また上記水蒸気透過度については、無機充填剤の配合量等を制御することによって、水蒸気透過度を低くした技術が開発されている(特許文献4)。
【0008】
しかしながらいずれも中空維持性と低水蒸気透過性を両立させたものではなく、さらなる改善が求められていた。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の電子部品用樹脂シートは、(a)アクリル系共重合体、(b)熱硬化性樹脂、(c)無機充填材および(d)アミノ基を有するシランカップリング剤を含有し、(a)アクリル系共重合体が構成モノマー単位中アクリロニトリル単位を30モル%以上含有し、かつ電子部品用樹脂シート中の(a)アクリル系共重合体の含有率が2〜5重量%であることを特徴とする。
【0015】
本発明における(a)アクリル系共重合体は樹脂シートの可撓性、熱応力の緩和、低吸水性による絶縁性の向上等の機能を有する。また、構成モノマー単位中アクリロニトリル単位を30モル%、好ましくは35モル%以上含有することにより、電子部品用樹脂シートの可撓性を損なうことなく電子部品用樹脂シートの水蒸気透過度を効果的に抑え、更には絶縁性も向上させることができる。アクリロニトリル単位は疎水性を有したモノマー単位である。ポリマー中のアクリルニトリル単位が増加するにしたがってポリマーとしての疎水性が増加し、水蒸気透過度を抑制できる。アクリロニトリル単位を30モル%以上とすることで樹脂シートの可撓性を維持しつつ、100um厚の樹脂シートの40℃/90%RHの環境下における水蒸気透過度を50g/(m
2・24h)以下にすることができる。
【0016】
ここでアクリロニトリル単位とは、モノマーを重合してアクリル系共重合体を得る際の原料モノマー中におけるアクリルニトリルに由来する構成単位をいう。またアクリロニトリル単位以外の構成単位とは、上記原料モノマー中におけるアクリルニトリル以外のモノマーに由来する構成単位をいう。
【0017】
(a)アクリル系共重合体中のアクリロニトリル以外の構成単位の種類については特に限定されない。アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチルのようなアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。またアクリル酸シクロヘキシルのようなアクリル酸の脂環属アルコールとのエステル等が挙げられる。
【0018】
また、上記アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル以外の構成単位が含まれていてもよい。例えば、酢酸ビニル、スチレン、メチルスチレン、クロルスチレン、ビニリデンクロライド、エチルα―アセトキシアクリレート等が挙げられる。
【0019】
さらに、上記(a)アクリル系共重合体はエポキシ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、シラノール基およびイソシアネート基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。これにより、後述の(b)熱硬化性樹脂との結合が強固になり、絶縁性が向上することによって電子機器の信頼性が向上する。特にエポキシ基はエポキシ樹脂との相溶性の観点からより好ましい。
【0020】
本発明における(a)アクリル系共重合体の含有率は電子部品用樹脂シート全体に対して2〜5重量%であり、2〜3.5重量%であることが好ましい。(a)アクリル系共重合体の含有量を2重量%以上とすることにより樹脂組成物に可撓性を与え、シート状としての形状が維持できるようになる。また、(a)アクリル系共重合体を5重量%以下にすることで電子部品用樹脂シートの水蒸気透過度を効果的に低下させることができ、また絶縁性を向上させることができる。これは電子部品用樹脂シートの構成単位中で最も水蒸気透過度の高い構成単位であるアクリル系共重合体の含有量を少なくすることによって、電子部品用樹脂シートとしての水蒸気透過度を抑制できることによるものである。アクリル系共重合体を5重量%以下にすることによって、100μm厚の樹脂シートの40℃/90%RHにおける水蒸気透過度を50g/(m
2・24h)以下にすることができる。
【0021】
本発明における(b)熱硬化性樹脂は特に限定されないが、エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0022】
本発明で好ましく使用されるエポキシ樹脂は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。これらの具体例としては、たとえばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0023】
これらのエポキシ樹脂の中で、本発明において好ましく用いられるものは、含有塩素量が少なく、低軟化点であり柔軟性のある2官能成分の多いエポキシ樹脂であるビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂である。もちろんこれらエポキシ樹脂を混合して用いてもよい。
【0024】
また本発明では(b)熱硬化性樹脂とあわせて、硬化剤を使用してもよい。本発明で好ましく使用される硬化剤は、エポキシ樹脂と反応して硬化させるものであれば特に限定されないお。これらの具体例としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAやレゾルシンから合成される各種ノボラック樹脂、無水マレイン酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物およびジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンが挙げられる。これら硬化剤の中で、好ましく用いられるものは、耐熱性、耐湿性の点から、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA、ジアミノジフェニルスルホンである。
【0025】
また本発明では(b)熱硬化性樹脂とあわせて、硬化促進剤を使用してもよい。本発明で好ましく使用される硬化促進剤は、硬化反応を促進させるものであれば特に限定されない。その具体例としては、例えば2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールおよび2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよび1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、トリフェニルスルフォン、トリエチルスルフォン、トリブチルスルフォンなどの有機スルフォン化合物が好ましく、特にイミダゾール化合物、トリフェニルスルフォン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などが好ましく用いられる。なお、これら硬化促進剤は、用途によっては2種類以上を併用してもよく、その添加量は(b)熱硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部、より好ましくは5〜25重量部の範囲が好ましい。これにより、保存安定性が向上する。また、硬化促進剤を用いることで熱硬化性樹脂の架橋密度が増加し、樹脂シートに可撓性が付与され、さらには水蒸気透過度を抑制し、絶縁性を向上させることができる。
【0026】
本発明における(c)無機充填材としては、溶融シリカ、結晶性シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、窒化珪素、酸化チタンなどが挙げられるが、その低透湿性から溶融シリカが好ましく用いられる。ここでいう溶融シリカとは、真比重が2.3以下の非晶性シリカを意味する。この溶融シリカの製造方法は、必ずしも溶融状態を経る必要はなく、任意の製造方法を用いることができる。たとえば結晶性シリカを溶融する方法、および各種原料から合成する方法などで製造することができる。本発明に用いる溶融シリカの粒径は、接着剤厚みや搭載される部品間距離に影響を与えるサイズのものでなければ特に限定されないが、通常、その平均粒径が20μm以下のものが用いられる。また、溶融時の流動性を向上させる目的で、2種類以上の平均粒径を有する溶融球状シリカを併用することがさらに好ましい。中でも、平均粒径3μm以上の溶融球状シリカおよび平均粒径2μm以下の溶融球状シリカを併用することが好ましい。平均粒径3μm以上の溶融球状シリカおよび平均粒径2μm以下の溶融球状シリカを95/5〜30/70の重量比で混合して用いることがさらに好ましい。
【0027】
また、本発明において上記(c)無機充填材の含有率は水蒸気透過度の観点から60〜90重量%であることが好ましい。下限としては70重量%以上であることがより好ましく、75重量%以上であることがさらに好ましい。また上限としては88重量%以下であることがより好ましく、83重量%以下であることがさらに好ましい。無機充填材を60重量%以上とすることで電子部品用樹脂シートの水蒸気透過度をより低くすることができ、また90重量%以下とすることで電子部品用樹脂シートをより容易にシート状に加工することができ、さらには100μm以下の薄いシート状にすることができる。
【0028】
本発明における(d)アミノ基を有するシランカップリング剤は、アミノ基を有しているため(a)アクリル系共重合体中のアクリロニトリル単位との相溶性が優れている。これにより本発明の電子部品用樹脂シートは、硬化前の状態においてその可撓性、膜強度が向上する。中空構造を有する電子部品の貼り合せや保護に用いて電子部品用樹脂シートを熱硬化させた場合にも、中空部分の残存気体の熱膨張によって電子部品用樹脂シートがおこす変形が少なく、幅広い加工条件において良好な貼り合せや保護を行うことができる。
【0029】
(d)アミノ基を有するシランカップリング剤の具体例としては、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルー3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等が挙げられる。中でもN−フェニルー3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いると(a)アクリル系共重合体中のアクリロニトリル単位との相溶性がより優れているため好ましい。アミノ基を有するシランカップリング剤はアクリル系共重合体中のアクリロニトリル単位とシランカップリング剤の相溶性が優れているため、電子部品用樹脂シートの可撓性を向上させることができる。
【0030】
本発明において、上記(d)アミノ基を有するシランカップリング剤の含有量は、(c)無機充填材の比表面積に対して用いられるシランカップリング剤の最小被覆面積(m
2/g)の割合として、0.4〜3.0であることが好ましい。また下限としては0.8以上であることがより好ましく、上限としては2.0以下であることがより好ましい。
【0031】
本発明の電子部品用樹脂シートは、さらに各種添加剤を含有させてもよい。例えばハロゲン化合物、リン化合物などの難燃剤、カーボンブラック、オレフィン系共重合体、変性ニトリルゴム、変性ブタジエンゴム、変性ポリブタジエンゴムなどの各種エラストマー、チタネート系カップリング剤などの充填材表面処理剤、ハイドロタルサイト類などのイオン捕捉剤などを挙げることができる。
【0032】
本発明の電子部品用樹脂シートは、100μm厚の40℃/90%RHでの水蒸気透過度が、50g/(m
2・24h)以下であることが好ましく、35g/(m
2・24h)以下であることがより好ましく、20g/(m
2・24h)以下であることがさらに好ましい。水蒸気透過度を低くすることにより、絶縁性が向上し電子機器の信頼性を向上させることができる。また水蒸気透過度については、JIS Z 0208(1976)(カップ法)の記載の方法に従って、測定することができる。
【0033】
なお電子部品用樹脂シートの厚みが100μmでない場合は、上記方法にて水蒸気透過度を測定し、以下の計算式で換算すればよい。
【0034】
100μm厚の40℃/90%RHでの水蒸気透過度=水蒸気透過度の測定値×(測定に用いた電子部品用樹脂シートの厚み(μm)/100)
また、本発明の電子部品用樹脂シートは、電子部品において中空構造を形成する場合に、好適に用いることができる。本発明の電子部品用樹脂シートは、硬化前の状態における可撓性、膜強度が優れている。そのため本発明の電子部品用樹脂シートを、中空構造を有する電子部品の貼り合せや保護に用いた場合、中空部分に残存した気体が熱硬化時に膨張したとしても、形状の変化が少ないという効果を有する。
【0035】
次に、本発明の電子部品用樹脂シートの製造方法について説明する。本発明の電子部品用樹脂シートの製造方法としては溶融混練、例えばバンバリーミキサー、ニーダーロール、単軸もしくは二軸の押し出し機およびコニーダーなどの公知の混練方法を用いて溶融混練した後にシート状に成型する方法が挙げられる。また原材料を有機溶剤、例えば、トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの芳香族系、メチルエチルケトン、メチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドンなどの非プロトン系極性溶剤単独あるいは混合物に溶解・分散した後に、基材層、例えばシリコーン、フッ素、アルキド化合物などを処理したポリエステルフィルムに、塗布し乾燥することによって作製することもできる。特に溶剤に溶解・分散させてから基材層に塗布し乾燥させる方法は、より薄い膜を形成できることから好ましい。
【0036】
本発明の保護フィルム付電子部品用樹脂シートは、上記電子部品用樹脂シートおよび保護フィルムを有することを特徴とする。保護フィルムは電子部品用樹脂シートの片面のみ有していてもよいし、両面に有していてもよい。本発明で言う保護フィルムとは、電子部品用樹脂シートの表面を保護し、また電子部品用樹脂シートから剥離できれば特に限定されない。例えばシリコーン、フッ素化合物、アルキド化合物などをコーティングしたポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。保護フィルムの厚みは特に限定されないが、10〜100μmが一般的である。
【0037】
本発明の第一の半導体装置は、基板、前記基板上に形成された半導体チップおよび前記基板上に形成された半導体チップを覆うように積層された上記電子部品用樹脂シートを有しており、前記基板と前記半導体チップとの間に中空構造が形成されていることを特徴とする。
【0038】
また本発明の第二の半導体装置は、半導体チップ搭載面を囲む形状を有する半導体チップ搭載用基板、前記半導体チップ搭載用基板上に形成された半導体チップおよび中空構造形成用基板を有しており、前記半導体チップ搭載用基板と前記中空構造形成用基板が、上記電子部品用樹脂シートを介して接続されていることを特徴とする。
【0039】
本発明の第一の半導体装置の製造方法は、(1)基板上に半導体チップを形成する工程、および(2)前記基板上に形成された半導体チップを覆うように、前記半導体チップ側から電子部品用樹脂シートを積層する工程をこの順に含み、前記基板と前記半導体チップとの間に中空構造が形成されるように電子部品用樹脂シートを積層することを特徴とする。
【0040】
また本発明の第二の半導体装置の製造方法は、(1’)半導体チップ搭載面を囲む形状を有する半導体チップ搭載用基板上に半導体チップを形成する工程、(2’)半導体チップ搭載用基板の中空構造形成用基板との接続面または中空構造形成用基板の半導体チップ搭載用基板との接続面に、電子部品用樹脂シートを積層する工程、および(3’)半導体チップ搭載用基板と中空構造形成用基板を、前記電子部品用樹脂シートを介して接続する工程、をこの順に含むことを特徴とする。
【0041】
上記電子部品用樹脂シートを用いて上記半導体装置を製造することで、上記半導体装置に形成された中空構造への水蒸気の透過が抑制され、半導体チップの感度が損なわれることが少なくなる。これにより感度等の性能の高い半導体装置とすることができる。また、中空構造を作製するために上記電子部品用樹脂シートを用いても、その貼り合せ時や熱硬化時に樹脂が変形することなく、所定の形状を容易に作製することができるため生産性に優れている。
【実施例】
【0042】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各実施例において略号で示した原料の詳細を以下に示す。
【0043】
<アクリル系共重合体1>
混合機及び冷却器を備えた反応器に窒素雰囲気下にて、アクリロニトリル(和光純薬社製、特級)106g(2.00モル)、ブチルアクリレート(和光純薬社製、特級)231g(1.80モル)、グリシジルメタクリレート(和光純薬社製、特級)28g(0.20モル)、溶媒としてメチルエチルケトン(和光純薬社製、一級)を2900g入れ、大気圧(1013hPa)下、85℃に加熱し、さらに連鎖移動剤として2―エチルヘキシルメルカプトアセテート(和光純薬社製)を0.001g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬社製、V−60)を0.002g加え、重量平均分子量が70万となるまで重合した。重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法(装置:東ソー社製GELPERMEATION CHROMATOGRAPH、カラム:東ソー社製TSK−GEL GMHXL7.8×300mm)により測定し、ポリスチレン換算で算出した。
【0044】
これにより、モル比がアクリロニトリル:ブチルアクリレート:グリシジルメタクリレート=50:45:5(重量平均分子量70万)のアクリル系共重合体1を得た。
【0045】
<アクリル系共重合体2>
混合機及び冷却器を備えた反応器に窒素雰囲気下にて、アクリロニトリル(和光純薬社製、特級)106g(2.00モル)、ブチルアクリレート(和光純薬社製、特級)505g(3.94モル)、グリシジルメタクリレート(和光純薬社製、特級)44g(0.31モル)、溶媒としてメチルエチルケトン(和光純薬社製、一級)を6600g入れ、大気圧(1013hPa)下、85℃に加熱し、さらに連鎖移動剤として2―エチルヘキシルメルカプトアセテート(和光純薬社製)を0.001g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬社製、V−60)を0.002g加え、重量平均分子量が86万となるまで重合した。重量平均分子量の測定方法は上記アクリル系共重合体1と同様の方法で行った。
【0046】
これにより、モル比がアクリロニトリル:ブチルアクリレート:グリシジルメタクリレート=32:63:5(重量平均分子量86万)のアクリル系共重合体2を得た。
【0047】
<アクリル系共重合体3>
混合機及び冷却器を備えた反応器に窒素雰囲気下にて、エチルアクリレート(和光純薬社製、特級)200g(2.00モル)、ブチルアクリレート(和光純薬社製、特級)118g(0.920モル)、グリシジルメタクリレート(和光純薬社製、特級)22g(0.155モル)、溶媒としてメチルエチルケトン(和光純薬社製、一級)を3000g入れ、大気圧(1013hPa)下、85℃に加熱し、さらに連鎖移動剤として2―エチルヘキシルメルカプトアセテート(和光純薬社製)を0.001g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬社製、V−60)を0.001g加え、重量平均分子量が120万となるまで重合した。重量平均分子量の測定方法は上記アクリル系共重合体1と同様の方法で行った。
【0048】
これにより、モル比がエチルアクリレート:ブチルアクリレート:グリシジルメタクリレート=65:30:5(重量平均分子量120万)のアクリル系共重合体3を得た。
【0049】
<熱硬化性樹脂>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER−828、エポキシ当量:190、三菱化学株式会社製、常温で液状、25℃での粘度:14Pa・s)。
【0050】
<硬化剤>
ノボラックフェノール(H−1、明和化成株式会社製)。
【0051】
<硬化促進剤>
2−ヘプタデシルイミダゾール(C17Z、四国化成株式会社製)。
【0052】
<無機充填材>
溶融球状シリカ(FB−5D、平均粒径5.0μm、電気化学工業株式会社製)
溶融球状シリカ(SO−C2、平均粒径0.5μm、株式会社アドマテックス製)。
【0053】
<シランカップリング剤>
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573、信越化学工業株式会社製)
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−602、信越化学工業株式会社製)
ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン(V0048、東京化成工業株式会社製)。
【0054】
<シート化膜評価>
各実施例・比較例で得られた積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)を直径が3インチのコア、直径が6インチのコアに巻き取らせて、シート化膜評価を行った。評価基準は下記のとおりである。なお巻き取りの際に、樹脂シート中に1mm以上のピンホール状の穴が開いた場合は、巻き取れなかったものとして評価した。
◎:直径が3インチのコアにも直径が6インチのコアにもロール状に巻き取れたもの。
○:直径が3インチのコアにはロール状に巻き取れなかったが、直径が6インチのコアにロール状に巻き取れたもの。
×:直径が3インチのコアにも直径が6インチのコアにもロール状に巻き取れなかったもの。
【0055】
<水蒸気透過度測定>
各実施例・比較例で得られた積層体(電子部品用樹脂シート厚み100μm)のシリコーン離型剤付き厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製PET38)および保護フィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)を剥がし、170℃で2時間加熱硬化し、得られた電子部品用樹脂シートの硬化物についてJIS Z 0208(カップ法)の規定に従って、水蒸気透過度測定を行った。測定条件は40℃/90%RH、96時間とした。
【0056】
<中空封止試験>
各実施例・比較例で得られた積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)を20mm角に切り出し、中央に5mmの丸穴を金型で打ち抜いた。この穴の空いた積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)から、シリコーン離型剤付き厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製PET38)および保護フィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)を剥がし、穴の空いた電子部品用樹脂シート単膜とした。これを2枚のカバーグラス(松浪硝子工業株式会社製:マイクロカバーグラス No.4)で挟み、60℃、0.3MPaで1分間プレスし2枚のカバーグラスと穴の空いた電子部品用樹脂シート単膜を貼りあわせ、中空封止試験用試験片とした。この試験片を150℃で2時間加熱し、2枚のカバーグラスと電子部品用樹脂シートで囲まれた中空の穴の辺の長さを測定し、初期値である5mmを超えた長さを記録した。
【0057】
中空の穴の中に残存した気体は150℃加熱中に膨張し、中空部分を囲む電子部品用樹脂シートを押し広げる。つまり、この中空の穴の加熱後の直径の増加量を測定することによって電子部品用樹脂シートが加熱中に気体膨脹によってどれだけ変形するかを測ることができる。この直径の増加量が少ないほど、初期の形状を維持しており、中空構造の維持性能が高いと言える。
【0058】
<絶縁破壊試験>
まず35mm角のセラミック基板を用意し、この中央に2層フレキシブル基板(東レフィルム加工株式会社製:メタロイヤル、ポリイミド樹脂層25μm、銅箔8μm)を用いてL/S=15/15μmのくし型電極を作製した。
【0059】
続いて各実施例・比較例で得られた積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)を30mm角に切り出し、その中央に、20mm角の穴を金型で打ち抜いた。次に積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)から、シリコーン離型剤付き厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製PET38)および保護フィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)を剥離し、穴の空いた電子部品用樹脂シート単膜にした。これを前記のセラミック基板上のくし型電極の周りを囲むようにセラミック基板上に貼り付け、さらにこの上から別の35mm角のセラミック基板を貼りあわせて、セラミック基板/電子部品用樹脂シート・くし型電極/セラミック基板の構成体を作製した。
【0060】
これを60℃、0.3MPaで1分間の条件でプレスして接着し、さらにオーブンにて150℃/2h加熱して電子部品用樹脂シートを熱硬化させ、絶縁破壊試験用試験片とした。この試験片を40℃90%RHの環境下に置き、マイグレーションテスター(IMV社製MIG−8600B)を用いてくし型電極に12Vの直流電圧をかけ、336h後の絶縁抵抗値を測定した。
【0061】
実施例1
溶融球状シリカ(SO−C2、平均粒径0.5μm、株式会社アドマテックス製)28.8g、溶融球状シリカ(FB−5D、平均粒径5.0μm、電気化学工業株式会社製)51.9gをミキサー内で入れ、メチルイソブチルケトンを40g加えた。続いてN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573、信越化学工業株式会社製)0.8gを霧吹きで噴射し、ミキサー内で混合した。これにアクリル系共重合体1を2.5g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER−828、エポキシ当量:190、三菱化学株式会社製、常温で液状、25℃での粘度:14Pa・s)11.9g、ノボラックフェノール(H−1、明和化成株式会社製)4g、2−ヘプタデシルイミダゾール(C17Z、四国化成株式会社製)0.1gを加えて、固形分濃度70重量%となるようにメチルイソブチルケトンを加え、30℃で撹拌、ホモミキサーで処理をして接着剤溶液を作製した。
【0062】
この接着剤溶液をバーコータで、シリコーン離型剤付き厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製PET38)に乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、110℃で5分間乾燥し、保護フィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)を貼り合わせて、シリコーン離型剤付き厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製PET38)、電子部品用樹脂シートおよび保護フィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)がこの順に積層された積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)を作製した。
【0063】
また接着剤溶液の塗布の際に、乾燥後の厚みが100μmとなるようにした以外は積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)と同様にして、積層体(電子部品用樹脂シート厚み100μm)を作製した。
【0064】
得られた積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)を用いて、上記シート化膜評価、中空封止試験、絶縁破壊試験の各評価を行った。また得られた積層体(電子部品用樹脂シート厚み100μm)を用いて、上記水蒸気透過度測定を行った。結果を表1に示す。
【0065】
実施例2〜11、比較例1〜5
各組成の種類、配合量を表1、2に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にして、シリコーン離型剤付き厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製PET38)、電子部品用樹脂シートおよび保護フィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)がこの順に積層された積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)および積層体(電子部品用樹脂シート厚み100μm)を作製した。
【0066】
得られた積層体(電子部品用樹脂シート厚み50μm)を用いて、上記シート化膜評価、中空封止試験、絶縁破壊試験の各評価を行った。また得られた積層体(電子部品用樹脂シート厚み100μm)を用いて、上記水蒸気透過度測定を行った。結果を表1、2に示す。なお比較例1については、バーコータにて塗った膜に1mm以上のピンホール状の穴があるため、水蒸気透過度測定、中空封止試験、絶縁破壊試験の各評価を行うことはできなかった。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】