特許第6237912号(P6237912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237912
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】パワー半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20171120BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H01L23/46 Z
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-545067(P2016-545067)
(86)(22)【出願日】2015年7月27日
(86)【国際出願番号】JP2015071203
(87)【国際公開番号】WO2016031462
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】特願2014-174629(P2014-174629)
(32)【優先日】2014年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】堀 元人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良和
(72)【発明者】
【氏名】望月 英司
(72)【発明者】
【氏名】西村 芳孝
(72)【発明者】
【氏名】池田 良成
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−206363(JP,A)
【文献】 特開2012−119618(JP,A)
【文献】 特開2011−209158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/473
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器と、前記冷却器上に並べて固定された複数のパワー半導体ユニットと、前記パワー半導体ユニットを電気的に接続するバスバーユニットとを備え、
前記パワー半導体ユニットが、
回路板、絶縁板及び金属板が順次に積層された積層基板と、
おもて面に電極を有し、裏面が前記回路板に固定された半導体素子と、
プリント基板と複数の導電ポストを有し、前記プリント基板は前記半導体素子のおもて面及び前記回路板に対向し、前記導電ポストはその一端が前記プリント基板に接続され、他端が前記半導体素子の前記電極又は前記回路板に電気的かつ機械的に接続された配線部材と、
前記回路板に電気的かつ機械的に接続された外部端子と、
前記積層基板、前記半導体素子、前記配線部材及び前記外部端子を封止する絶縁性の封止材と、を備え、
前記バスバーユニットが、各前記パワー半導体ユニットの前記外部端子を相互に接続する複数のバスバーを内蔵し、前記バスバーを絶縁性樹脂で覆い一体で成形されたものであるパワー半導体モジュール。
【請求項2】
前記バスバーユニットが、前記パワー半導体ユニットの前記外部端子と接続する端子接続部と、各前記端子接続部を連結する連結部と、共通端子が設けられた端子台部とを備え、
前記端子接続部の幅よりも前記連結部の幅が狭い請求項1記載のパワー半導体モジュール。
【請求項3】
前記バスバーユニット上に、更に制御基板が設けられた請求項1又は2記載のパワー半導体モジュール。
【請求項4】
前記バスバーユニットは、上面が平坦であり、前記連結部が下側に突出しており、
前記パワー半導体ユニットは、上側に前記連結部に嵌まり合う溝を有する請求項2記載のパワー半導体モジュール。
【請求項5】
前記バスバーユニットの前記端子台部が、隣り合う前記パワー半導体ユニットの間に位置する請求項2記載のパワー半導体モジュール。
【請求項6】
前記バスバーユニットが、前記パワー半導体ユニットの数に応じた長さを有する請求項1記載のパワー半導体モジュール。
【請求項7】
前記バスバーユニットが、センサを備える請求項1記載のパワー半導体モジュール。
【請求項8】
前記バスバーユニットが、電子部品を内蔵する請求項1記載のパワー半導体モジュール。
【請求項9】
前記パワー半導体ユニットの前記外部端子が、リードよりなる請求項1記載のパワー半導体モジュール。
【請求項10】
前記パワー半導体ユニットの前記外部端子と前記バスバーユニットとがねじ結合、ボルト結合、溶接及び接合材から選ばれる1種の手段により固定されている請求項1記載のパワー半導体モジュール。
【請求項11】
前記パワー半導体ユニットの前記金属板と、前記冷却器とが接合材により固定されている請求項1記載のパワー半導体モジュール。
【請求項12】
前記半導体素子がSiC半導体よりなる請求項1記載のパワー半導体モジュール。
【請求項13】
冷却器と、前記冷却器上に並べて固定された複数のパワー半導体ユニットと、前記パワー半導体ユニットを電気的に接続するバスバーユニットとを備え、
前記パワー半導体ユニットが、
回路板、絶縁板及び金属板が順次に積層された積層基板と、
おもて面に電極を有し、裏面が前記回路板に固定された半導体素子と、
プリント基板と複数の導電ポストを有し、前記プリント基板は前記半導体素子のおもて面及び前記回路板に対向し、前記導電ポストはその一端が前記プリント基板に接続され、他端が前記半導体素子の前記電極又は前記回路板に電気的かつ機械的に接続された配線部材と、
前記回路板に電気的かつ機械的に接続された外部端子と、
前記積層基板、前記半導体素子、前記配線部材及び前記外部端子を封止する絶縁性の封止材と、を備え、
前記バスバーユニットが、各前記パワー半導体ユニットの前記外部端子を相互に接続する複数のバスバーを備えるとともに、
前記バスバーユニットが、前記パワー半導体ユニットの前記外部端子と接続する端子接続部と、各前記端子接続部を連結する連結部と、共通端子が設けられた端子台部とを備え、前記端子接続部の幅よりも前記連結部の幅が狭く、かつ、
前記バスバーユニットは、上面が平坦であり、前記連結部が下側に突出しており、前記パワー半導体ユニットは、上側に前記連結部に嵌まり合う溝を有するパワー半導体モジュール。
【請求項14】
冷却器と、前記冷却器上に並べて固定された複数のパワー半導体ユニットと、前記パワー半導体ユニットを電気的に接続するバスバーユニットとを備え、
前記パワー半導体ユニットが、
回路板、絶縁板及び金属板が順次に積層された積層基板と、
おもて面に電極を有し、裏面が前記回路板に固定された半導体素子と、
プリント基板と複数の導電ポストを有し、前記プリント基板は前記半導体素子のおもて面及び前記回路板に対向し、前記導電ポストはその一端が前記プリント基板に接続され、他端が前記半導体素子の前記電極又は前記回路板に電気的かつ機械的に接続された配線部材と、
前記回路板に電気的かつ機械的に接続された外部端子と、
前記積層基板、前記半導体素子、前記配線部材及び前記外部端子を封止する絶縁性の封止材と、を備え、
前記バスバーユニットが、各前記パワー半導体ユニットの前記外部端子を相互に接続する複数のバスバーを備えるとともに、
前記バスバーユニットが、前記パワー半導体ユニットの前記外部端子と接続する端子接続部と、各前記端子接続部を連結する連結部と、共通端子が設けられた端子台部とを備え、前記端子接続部の幅よりも前記連結部の幅が狭く、かつ、
前記バスバーユニットの前記端子台部が、隣り合う前記パワー半導体ユニットの間に位置するパワー半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用や産業用等に好適なパワー半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパワー半導体モジュールは、スイッチング素子が1個の1in1、2個の2in1、6個の6in1等があり、それぞれ異なる外形を有している。また、パワー半導体モジュールは、顧客から要求される電流や電圧の定格が様々である。そのため、電流や電圧の定格に応じて個別に製品を設計、製造していた。
【0003】
従来のパワー半導体モジュールの一例を図12に断面図で示す。パワー半導体モジュール101は、冷却器110のフィンベース111上に積層基板121を備えている。積層基板121は、絶縁板121aのおもて面に回路板121bが固定され、絶縁板121aの裏面に金属板121cが固定された積層構造を備えている。積層基板121は、接合材122、例えばはんだによりフィンベース111に固定されている。回路板121b上には、半導体チップ123が、導電性の接合材124、例えばはんだにより接合されている。
【0004】
積層基板121の周囲にはケース125が設けられ、積層基板121及び半導体チップ123を収容している。ケース125の上端には蓋125aが設けられている。ケース125には、一端がケース125の内側で露出し、他端がケース125の上端から突出する外部端子126が一体で取り付けられている。半導体チップ123同士及び半導体チップ123と外部端子126とはボンディングワイヤ127により電気的に接続されている。積層基板121、半導体チップ123及びボンディングワイヤ127の絶縁のため、ケース125内は例えば絶縁性樹脂よりなる封止材128により封止されている。ケース125の取り付け手段として、ケース125の端部に設けられた貫通孔に金属リング129が取り付けられている。そして、金属リング129を通してねじ130が設けられ、このねじ130がフィンベース111にねじ結合されている。また、ケース125は、その底面とフィンベース111との間が接着剤131により固着されている。
【0005】
冷却器110は、フィンベース111と、フィンベース111に取り付けられたフィン112と、フィン112を収容しフィンベース111の周縁で密閉されるケース113とを備えている。ケース113内には流路が形成されていて、この流路に冷却液を通すことにより、半導体チップ123より生じ、積層基板121を通してフィン112に伝熱された熱を冷却する。
【0006】
従来のパワー半導体モジュールは、例えば、半導体チップの数や電流や電圧の定格に応じて個別に製品を設計、製造していたため、設計、製造に手間や時間を要していた。また、パワー半導体モジュールは、車載用等の使途において、薄型化、小型化が求められている。
【0007】
パワー半導体モジュールの小型化に関して、ラミネートバスバーを備え、このラミネートバスバーの両面にそれぞれ半導体モジュールと冷却器を取り付けたものが提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載のパワー半導体モジュールは、各半導体モジュールにボンディングワイヤが用いられているために製造に手間や時間を要していた。また、両面にそれぞれ半導体モジュールと冷却器を備えているため、冷却器を含めた外形の薄型化は十分でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−273884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、回路構成、電流、電圧の定格に応じた複数種類のパワー半導体モジュールの製造の手間や時間を軽減し、迅速かつ低コストに製造することが可能であり、しかも薄型化することができるパワー半導体モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のパワー半導体モジュールは、冷却器と、該冷却器上に並べて固定された複数のパワー半導体ユニットと、該パワー半導体ユニットを電気的に接続するバスバーユニットとを備えている。そして該パワー半導体ユニットが、回路板、絶縁板及び金属板が順次に積層された積層基板と、おもて面に電極を有し、裏面が該回路板に固定された半導体素子と、プリント基板と複数の導電ポストを有し、該プリント基板は該半導体素子のおもて面及び該回路板に対向し、該導電ポストはその一端が該プリント基板に接続され、他端が該半導体素子の該電極又は該回路板に電気的かつ機械的に接続された配線部材と、該回路板に電気的かつ機械的に接続された外部端子と、該積層基板、半導体素子、配線部材及び外部端子を封止する絶縁性の封止材と、を備えている。さらに該バスバーユニットが、各該パワー半導体ユニットの該外部端子を相互に接続する複数のバスバーを内蔵し、前記バスバーを絶縁性樹脂で覆い一体で成形されたものである
【発明の効果】
【0011】
本発明のパワー半導体モジュールによれば、複数種類のパワー半導体モジュールの製造の手間や時間を軽減し、迅速かつ低コストに製造することが可能であり、さらに薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態のパワー半導体モジュールの斜視図である。
図2図2は、図1のパワー半導体モジュールの分解斜視図である。
図3図3は、パワー半導体ユニットの断面図である。
図4図4は、パワー半導体ユニット、冷却器及びバスバーユニットの断面図である。
図5図5は、バスバーユニットの斜視図である。
図6図6は、バスバーユニットを下側から見上げた斜視図である。
図7図7は、パワー半導体ユニット及びバスバーユニットを下側から見上げた斜視図である。
図8図8は、バスバーユニットの例の斜視図である。
図9図9は、パワー半導体モジュールの別の実施形態の斜視図である。
図10図10は、パワー半導体モジュールの別の実施形態の斜視図である。
図11図11は、パワー半導体モジュールの別の実施形態の斜視図である。
図12図12は、従来のパワー半導体モジュールの一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のパワー半導体モジュールの実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、本出願の記載に用いられている「電気的かつ機械的に接続されている」という用語は、対象物同士が直接接合により接続されている場合に限られず、はんだや金属焼結材などの導電性の接合材を介して対象物同士が接続されている場合も含む。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態のパワー半導体モジュールの斜視図であり、図2図1のパワー半導体モジュールの分解斜視図である。本発明の実施形態1のパワー半導体モジュール1は、冷却器10と、複数のパワー半導体ユニット20と、バスバーユニット30を備えている。そして、複数のパワー半導体ユニット20は、冷却器10上に並べて設けられており、バスバーユニット30が各パワー半導体ユニット20を電気的に接続している。
【0015】
冷却器10は、冷却液の入口14及び出口15を備え、図示しない冷却システムに接続されて入口14から冷却液を冷却器10内に導入し出口15から排出させる。冷却器10の内部構造については後述する。
【0016】
図3に、パワー半導体ユニット20の断面図を示す。パワー半導体ユニット20は、いわゆる2in1と呼ばれるものであり、スイッチング素子と還流ダイオードが逆並列に接続されて上アーム及び下アームが構成された回路を有している。パワー半導体ユニット20は、積層基板21、半導体チップ22、配線部材23、外部端子24、封止材25を備えている。
【0017】
積層基板21は、絶縁板21aと、絶縁板21aのおもて面に設けられた回路板21bと、絶縁板21aの裏面に設けられた金属板21cとで構成されている。すなわち、回路板21b、絶縁板21a及び金属板21cが順次に積層されてなる。絶縁板21aは例えば窒化アルミニウムや窒化珪素、酸化アルミニウム等の絶縁性セラミックスよりなり、回路板21b、金属板21cは、例えば銅などの金属よりなる。そして回路板21bは、所定の回路パターンが形成されている。積層基板21は、例えばDCB(Direct Copper Bonding)基板やAMB(Active Metal Blazing)基板等を用いることができる。
【0018】
半導体チップ22は、おもて面に図示しない電極を有しており、裏面が回路板21bに図示しない接合材、例えばはんだによって固定されている。本実施例では、半導体チップ22はおもて面と裏面のそれぞれに電極が配置された縦型の半導体チップであり、裏面の電極が回路板21bに電気的かつ機械的に接続されている。もっとも、半導体チップ22は縦型に限られず、半導体チップ22のおもて面に複数種類の電極が配置された横型の半導体チップであってもよい。
【0019】
半導体チップは、例えばパワーMOSFETやダイオード、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である。半導体チップは、シリコン半導体でもよいし、炭化ケイ素(SiC)半導体でもよい。半導体チップ22がIGBTの場合では、裏面の電極はコレクタ電極であり、おもて面の電極はエミッタ電極及びゲート電極である。半導体チップ22がパワーMOSFETである場合は、裏面の電極はドレイン電極であり、おもて面の電極はソース電極及びゲート電極である。SiCからなる半導体チップ(例えばSiC−MOSFET)は、シリコンからなる半導体チップに比べて高耐圧で、かつ高周波でのスイッチングが可能である。そのため、本実施形態のパワー半導体モジュールの半導体チップ22として最適である。もっとも、半導体チップ22は、IGBTやパワーMOSFETに限定されず、スイッチングの動作が可能な半導体素子の一個又は複数個の組み合わせであればよい。
【0020】
配線部材23は、プリント基板23aと、複数の導電ポスト23bを有する。プリント基板23aは、金属層及び絶縁層を有し、半導体チップ22のおもて面電極及び積層基板21の回路板21bに対向して設けられている。導電ポスト23bは、その一端が半導体チップ22のおもて面電極又は積層基板21の回路板21bにはんだやロウ付けにより電気的かつ機械的に接続されている。そして、他端がプリント基板23aの金属層とはんだやロウ付け、又はカシメにより電気的かつ機械的に接続されている。
【0021】
配線部材23により、例えば半導体チップ22のおもて面電極と、回路板21bとが電気的に接続される。本実施形態においては、配線部材23がボンディングワイヤではなく、プリント基板23aと導電ポスト23bとにより構成されている。これにより、半導体チップ22の発熱の繰り返しによる熱サイクルに対する信頼性が高いパワー半導体ユニットとすることができる。また、配線部材23がプリント基板23aと導電ポスト23bとにより構成されることにより、ボンディングワイヤを用いた場合に比べてパワー半導体ユニット20を薄型化できる。また、導電ポスト23bは、ボンディングワイヤに比べておもて面の電極の面積が小さくても確実に接続できる。また、導電ポスト23bはリードに比べて半導体チップ22に加わる応力が小さいので信頼性が高く、接合材の厚さを薄くできるので電気伝導、熱伝導に有利である。
【0022】
プリント基板23aは、半導体チップ22がスイッチング素子である場合に、そのおもて面に配置されたゲート電極およびソース電極に対応して複数層の金属層を有する構成が好ましい。プリント基板23aの金属層や導電ポスト23bは、導電性のよい金属、例えば銅よりなる。また、プリント基板23aや導電ポスト23bは、必要に応じてめっきを表面に施すことができる。プリント基板23aは、その絶縁層はガラスエポキシ材などからなるリジッド基板でもよく、また、絶縁層がポリイミド材などからなるフレキシブル基板でよく、更に、絶縁層がセラミックスからなる基板でもよい。導電ポスト23bの外形は、円柱形状、直方体形状等の形状とすることができるが特に限定されない。導電ポスト23bの底面は、半導体チップ22のおもて面の電極より小さい大きさである。更に、一つの半導体チップ22に対する導電ポスト23bの設置数は任意であり、一つのおもて面電極に複数個の導電ポスト23bを接合することも可能である。
【0023】
プリント基板23aと導電ポスト23bとは、パワー半導体ユニット20の組み立てに当たって、あらかじめ一体化して配線部材23とすることができる。配線部材23を用いることにより、ボンディングワイヤに比べてパワー半導体ユニット20の製造工程を簡素化することができる。
【0024】
積層基板21の回路板21bに、外部端子24の一端が電気的かつ機械的に接続されている。外部端子24は、銅板などよりなるリードであることが大電流を流せるために好ましい。回路板21bと外部端子24との接続は、はんだ等の接合材(図示せず)や超音波接合などを用いることができる。
【0025】
外部端子24の他端は、パワー半導体ユニット20の底面と平行になるように折り曲げられている。図3に示した例では外部端子24としてP端子24A、N端子24B及びU端子(又はV端子、W端子)24Cが設けられている。
【0026】
パワー半導体ユニット20の各部材である積層基板21、半導体チップ22、配線部材23、及び外部端子24は、絶縁性の熱硬化性樹脂よりなる封止材25により封止されている。なお、積層基板21の金属板21cの底面、および外部端子24の他端は、封止材25から外部に露出している。熱硬化性樹脂よりなる封止材は、ゲルよりなる封止材よりも耐熱性、耐圧性が高いので、封止材25に用いるのに好ましい。封止材25は、具体的には、エポキシ樹脂を用いることができる。また、放熱性を高めるために、樹脂中に熱伝導性の高い材料のフィラーを添加した封止材も好ましい。フィラーは、例えば、アルミナや窒化ボロン等が適用できる。
【0027】
封止材25のモールド成形により、パワー半導体ユニット20の外形が形成される。本実施形態では、封止材25によりパワー半導体ユニット20の筐体が構成されていて、別途にケースを備えていない。モールド成形は、トランスファーモールド法を用いることができるが、トランスファーモールド法に限られない。例えば樹脂のポッティングにより成形することもできる。また、パワー半導体ユニット20は、別途ケースを備える構成とすることもできる。
【0028】
図4に、パワー半導体ユニット20、冷却器10及びバスバーユニット30の断面図を示す。パワー半導体ユニット20内の金属板21cは、冷却器10のフィンベース11に、図示しないはんだ等の接合材により固定されている。また、パワー半導体ユニット20の封止材25の底面部分は、冷却器10のフィンベース11と図示しない接着剤により固定されている。なお、パワー半導体ユニット20と冷却器10との固定は、上述した接合材及び接着剤に限られない。例えば、金属板21cとフィンベース11との間にサーマルグリス等の放熱材を塗布し、パワー半導体ユニットに別途設けられた貫通孔にねじを通し、パワー半導体ユニットをフィンベース11にねじ止めすることもできる。放熱性の観点からは接合材及び接着剤により固定することが好ましく、製造コストの観点からはねじ止めにより固定することが好ましい。
【0029】
冷却器10は、フィンベース11と、フィンベース11に一体的に取り付けられたフィン12と、フィン12を収容しフィンベース11の周縁に配置されるケース13とを備えている。ケース13内には流路が構成されていて、この流路に冷却液を通すことにより、半導体チップ22により生じ、積層基板21を通してフィン12に伝熱された熱を放熱する。パワー半導体モジュール1が冷却器10を備えることにより、パワー半導体ユニット20が薄型化されても半導体チップ22を十分に冷却することができる。すなわち、パワー半導体ユニット20を薄型化することができる。このため、例えば配置する空間に余裕のない車載用途において、パワー半導体モジュールを設置する場所の自由度が増す。また、本発明のパワー半導体モジュール1は、横置きでも縦置きでも使用することができる。
【0030】
パワー半導体ユニット20の上側には、外部端子24であるP端子24A及びN端子24Bが露出している。P端子24A及びN端子24Bは、バスバーユニット30のバスバーと電気的に接続する。バスバーユニット30の設置を容易にするために、パワー半導体ユニット20の上側には、突起20a及び溝20bが設けられている。
【0031】
バスバーユニット30は、複数個のパワー半導体ユニット20のP端子24A及びN端子24Bのそれぞれと電気的に接続して、共通するP端子及びN端子を構成したものである。図5にバスバーユニット30の斜視図を示す。図5のバスバーユニット30は、3個の2in1のパワー半導体ユニット20を相互に電気的に接続して、6in1のパワー半導体モジュール1を構成することができる。
【0032】
バスバーユニット30は、各パワー半導体ユニット20のP端子24A及びN端子24Bの何れかと接続し共通するP端子又はN端子まで延びる2枚のバスバーを内蔵している。そして、絶縁性樹脂でモールド成形されて図示した外形になっている。バスバーが樹脂で覆われ、モールド成形されていることにより、2枚のバスバー間が所定の間隔で保持されるとともに互いの絶縁が確保される。さらに、バスバーの腐食が防止される。
【0033】
バスバーユニット30は一体で形成され、端子接続部30aと、連結部30bと、端子台部30cを有している。端子接続部30aは、各パワー半導体ユニット20のP端子24A及びN端子24Bと接続している。連結部30bは、各端子接続部を連結している。端子台部30cには、パワー半導体モジュール1の共通端子が設けられている。
【0034】
端子接続部30aでは、バスバーユニット30内のバスバーとパワー半導体ユニット20のP端子24A又はN端子24Bとが、ねじ結合、ボルト結合、はんだ接合又はレーザー溶接等の手段により固定されている。そしてパワー半導体ユニット20のP端子24A又はN端子24Bと、バスバーユニット30内のバスバーが電気的に接続されている。パワー半導体ユニット20の端子との電気的な接続のために、バスバーユニット30の端子接続部30aの裏面には、内蔵されたバスバーが露出している。またねじ結合、ボルト結合又はレーザー溶接を用いる場合は、端子接続部30aのおもて面に開口を形成して、バスバーを露出させるとよい。
【0035】
バスバーユニット30は、図5に示すように、端子接続部30aの幅W1に比べて、連結部30bの幅W2が狭い。したがって、隣接する端子接続部30aの間には空間が形成されている。そしてこの空間を、パワー半導体モジュール1上に積み重ねて設けられる制御基板(図11参照)に取り付けられた部品を配置するためのスペースとすることができる。したがって、制御基板がパワー半導体モジュール1上に積み重ねられたときの高さを低くすることができる。そのため、パワー半導体モジュール1に制御基板が必要な場合においても、パワー半導体モジュール全体を薄型化することができる。
【0036】
バスバーユニット30は、上面が平坦である。これは、バスバーユニット30上に制御基板が必要な場合に、制御基板やそれに取り付けられた電子部品にできるだけ物理的に干渉しないようにするためである。このことは制御基板が取りつけられたパワー半導体モジュール全体の薄型化に寄与する。バスバーユニット30は、端子接続部30aの厚さT1に比べて、連結部30bの厚さT2が大きい。これは、端子接続部30aでは1枚のバスバーが内蔵されているのに対して、連結部30bでは2枚のバスバーが重ねて内蔵されているためである。連結部30bにおいて、極性の異なる二枚のバスバーを重ねて内蔵することにより、バスバーによる配線を低インダクタンスにすることができる。
【0037】
図6にバスバーユニット30を下側から見上げた斜視図を示す。バスバーユニット30は、連結部30bが下側に突出している。連結部30bは、パワー半導体ユニット20の上側に設けられた溝20bと嵌まり合う。また、端子接続部30aは、パワー半導体ユニット20の上側に設けられた突起20aと嵌まり合う。このためバスバーユニット30の連結部30bをパワー半導体ユニット20の溝20bに合わせ、さらに、端子接続部30aを突起20aに合わせることで、バスバーユニット30をパワー半導体ユニット20に容易に設置することができる。
【0038】
バスバーユニット30の端子台部30cには、外部と接続するP端子及びN端子が設けられている。図5、6に示した例では一個のバスバーユニット30に、それぞれ2個の端子台部30cが設けられている。これは、1個の端子台部30cに電流が集中するのを避けるためである。2個の端子台部30cが設けられることにより、端子台部30cのP端子又はN端子に流れる電流は二つに分散される。もっとも端子台部30cの数は1個でもよく、また、3個以上でもよい。
【0039】
図7に、パワー半導体ユニット20とバスバーユニット30を組み合わせた構成を下側から見上げた斜視図を示す。図7に示す通り、バスバーユニット30の端子台部30cは、隣接するパワー半導体ユニット20の間に位置するように設けられているのが好ましい。このことにより、端子台部30cを低く配置することができ、よってパワー半導体モジュール1を薄型化することができる。
【0040】
図8(a)〜(c)に、2個の端子台部30cの間隔が異なるバスバーユニット31〜33の例を斜視図で示す。図8(a)は、基準間隔のバスバーユニット31、図8(b)は基準間隔よりも間隔が広いバスバーユニット32、図8(c)は基準間隔よりも間隔が狭いバスバーユニット33である。このようにバスバーユニットにおける端子台部30cの形状、位置、数等は任意である。そのため、パワー半導体モジュール1のP端子及びN端子は、バスバーユニット30のみ変えるだけで、フレキシブルに変更することができる。
【0041】
本実施形態のパワー半導体モジュール1は、同一形状、同一定格の2in1の3個のパワー半導体ユニット20を冷却器10上で並べて配置し、バスバーユニット30で電気的に接続することで6in1のパワー半導体モジュールを構成している。したがって、2in1のパワー半導体モジュールと6in1のパワー半導体モジュールを個別に設計、製造する場合に比べて、設計、製造に手間や時間を要しない。よって複数種類のパワー半導体モジュールを迅速かつ低コストに製造することができる。
【0042】
上記した6in1のパワー半導体モジュールは本発明の例示である。その他の例としては、3個のパワー半導体ユニット20を電気的に並列に接続するバスバーユニット30を用いることにより、3個並列の2in1のパワー半導体モジュールを製造することができる。このようにして3個のパワー半導体ユニット20と冷却器10を組み合わせた場合であっても、バスバーユニット30を変更することのみで、異なるパワー半導体モジュールを製造することができる。
【0043】
(実施形態2)
図9に本発明の別の実施形態のパワー半導体モジュール2を斜視図で示す。なお、以下の実施形態においては、実施形態1のパワー半導体モジュール1と同一の部材については同一の符号を付している。したがって、以下の説明では各部材についての重複する説明は省略する。
パワー半導体モジュール2は、冷却器10上に6個の同じ種類のパワー半導体ユニット20を設け、これらのパワー半導体ユニット20をバスバーユニット34により電気的に接続したものである。バスバーユニット34は、6個のパワー半導体ユニット20を電気的に並列に接続するバスバーユニットである。上述した2in1のパワー半導体ユニット20を用い、既設のバスバーユニットをパワー半導体ユニット20の個数に応じた長さを有するバスバーユニット34に変え、冷却器10の長さを変えるだけで、6個並列の2in1のパワー半導体モジュールを構成している。
【0044】
図1及び図9から理解されるように、本発明の実施形態によれば、パワー半導体ユニット20の個数とバスバーユニット30の構成の変更によって複数種類のパワー半導体モジュールを製造することができる。ひいては顧客のニーズに応じてフレキシブルにパワー半導体モジュールを迅速かつ低コストに製造することができる。
【0045】
(実施形態3)
パワー半導体モジュールの別の実施形態について説明する。
本実施形態では、バスバーユニット30が、端子台部30c又は他の箇所に、コンデンサ等の電子部品を内蔵している。電子部品は、バスバーユニット30の製造の際に、バスバーと共に絶縁性樹脂で覆われている。
【0046】
バスバーユニット30が電子部品を内蔵することにより、従来は制御基板に取り付けられた電子部品の一部又は全部をバスバーユニット30に設けることができる。よってパワー半導体モジュール1に、制御基板が具備する機能の一部又は全部を兼備させることができる。
【0047】
(実施形態4)
図10は、パワー半導体モジュールの別の実施形態の斜視図である。
図10に示すパワー半導体モジュール3は、バスバーユニット35が、センサを備えている。より具体的に、バスバーユニット35の端子台部30cに電流センサ35aが取り付けられている。すなわち、パワー半導体モジュール3の既設のバスバーユニットをバスバーユニット35に変えることで、パワー半導体モジュール3のみで電流を測定することができる。このように、本実施形態により、パワー半導体モジュールに追加機能を付与することができる。
【0048】
図10に示した電流センサ35aに限られず、センサとして例えば温度センサ、例えばサーミスタをバスバーユニット30に取り付けることができる。温度センサを取り付ける位置は任意であるが、例えば電流センサ35aと同様の位置とすることができる。
【0049】
(実施形態5)
図11にパワー半導体モジュールの別の実施形態の斜視図を示す。
本実施形態のパワー半導体モジュール4には、バスバーユニット30上に制御基板40が設けられている。この制御基板40に取り付けられる電子部品は、既に述べたようにバスバーユニット30の隣接する端子接続部30aの間の空間に配置することができる。このため、パワー半導体モジュール全体の薄型化に好適である。
【0050】
制御基板40の種類、用途は問わない。例えば、制御基板40とパワー半導体ユニット20の制御端子(図示せず)と電気的に接続して、パワー半導体モジュール4をインテリジェントパワーモジュール(IPM)とすることができる。それにより、さらに高度な制御が可能となる。
【0051】
(実施形態6)
パワー半導体モジュールの別の実施形態として、冷却器10の両面にそれぞれパワー半導体ユニット20及びバスバーユニット30を固定した構成とすることもできる。本発明のパワー半導体モジュールは薄型であるため、冷却器10の両面にそれぞれパワー半導体ユニット20及びバスバーユニット30を固定しても、十分に薄い外形を有している。
【0052】
以上、本発明のパワー半導体モジュールを図面及び実施形態を用いて具体的に説明したが、本発明のパワー半導体モジュールは、実施形態及び図面の記載に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で幾多の変形が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1、2、3、4 パワー半導体モジュール
10 冷却器
20 パワー半導体ユニット
20a 突起
20b 溝
21 積層基板
21a 絶縁板
21b 回路板
21c 金属板
22 半導体チップ
23 配線部材
23a プリント基板
23b 導電ポスト
24 外部端子
25 封止材
30、31、32、33、34、35 バスバーユニット
30a 端子接続部
30b 連結部
30c 端子台部
35a 電流センサ
40 制御基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12